○
参考人(
ディビッド・M・
マークス君)(
通訳) 御来席の皆様、また
国際・地球温暖化問題に関する
調査会のメンバーの
方々、本日このようなお席をいただいて、大変ありがとうございます。
私の方からは、アメリカのパブリックディプロマシーということでお話し申し上げたいというふうに思っています。
まず、私どもが行っている
活動です、パブリックディプロマシーと呼んでいるんですけれども、
英語では。御存じのように、九九年にUSIAが国務省と合併いたしまして一緒になりました。そして、なぜそういうふうになったかといいますと、もっとフルにアメリカの情報
機関の
活動をまとめまして、アメリカ
政府の政策に合致性を良くしようということであったわけです。そして、USIAを何で国務省に統合したか。
チームとして考えたことがあったんですけれども、つまり、政策としてこのパブリックディプロマシーをなぜやるのか、それはアメリカの国益を増進させるためであります。つまり、アメリカについて
理解を深めてもらう、そして、
外国の人にアメリカから
発信をして
理解を深めてもらうということだったわけです。
それから、このパブリックディプロマシーというのは、パブリックアフェアーズとはまた違うということなんです。つまり、パブリックアフェアーズといったときの対象というのはアメリカ国内の国民なんですけれども、パブリックディプロマシーというときにはアメリカ国外の
人たちが対象であるということなわけです、ただ、厳密にこの
二つの言葉をきっちりと使い分けて今使っているわけでもないんですけれども。
このパブリックディプロマシーというのは、六〇年代中盤に初めて出てきた言葉なんです、アメリカで、タフツ
大学のフレッチャー・スクールというところで。当時のフレッチャー・スクールの学長は元アメリカの外交官だったんです。この人が言いました。
パブリックディプロマシーというのは、国民の態度に対して
影響を与える運動である。そして、
外交政策の実行にも最終的には
影響を与える。そして、伝統的な
外交政策を超えた上での別の形での
外交政策である。その他の国における世論形成にも資することができる。民間の利害者団体等にアプローチすることによって、ある一国の
外交政策がより幅広い形でほかの国に伝わることができると。そして、外交官、
外国特派員等ももちろん
外国と
コミュニケーションするけれども、一般のレベルでもコミュニケートできるということを言ったわけです。つまり、国境を越えた形で情報なりアイデアなりを
発信するのがまさにこのパブリックディプロマシーであるというふうに彼が言ったわけです。
つまり、これは、今言うところのソフトパワーに該当することだと思うんです。ソフトパワーというのは、御存じのように、元国防次官補であってハーバード
大学の教授であるナイ
先生がおっしゃったことなんですけれども、あと、スマートパワーと言われるときもありますよね、ソフトパワーではなくて。最近はCSISがこのスマートパワーという言葉を使っていますけれども、この
委員会の方もナイ
先生が
委員長をしている。あと、アーミテージ前国務副長官もこのメンバーに名を連ねていたんですけれども。
アメリカ
政府においては、国務省が最高権限を持ってこのパブリックディプロマシーというのをアメリカのために実行している
機関であります。少しお時間いただいて、国務省がどういうふうに組織を構成しているのか、どうやって
外交政策を実行しているのか、また海外で在外公館としてどのような組織であるのかをお話ししたいと思います。
まず、国務省の
中心を成す部分なんですけれども、パブリックディプロマシーについて。これは、パブリックディプロマシーについての諮問
委員会というのがあります。これは超党派の議会がつくった諮問
委員会であって、任命は大統領が行うわけです。アメリカの
政府が行う
活動について監視を行う
委員会です。そして、
外国の国民にどのような
影響を与えるのか
活動を考える
委員会で、この
委員会というのはもう五十七年間も
活動しています。そして、最終的な提言ですとか報告書は、大統領、議会、国務長官、そして国民に対して定期的に出しています。いろんな
委員会が書いた報告書が出ておりまして、国務省のホームページに掲載されています。御覧になってください。
国務省の中にこのパブリックディプロマシー、パブリックアフェアーズ担当の次官がいまして、この人が長となって責任を持って
活動をやっています。そして、この次官がいまして、その下に
三つの局があるんです。パブリックアフェアーズ局、そして
教育文化局、それから
国際情報プログラム局というものです。
まず、このパブリックアフェアーズ局というのは、いわゆるマスコミ対応の局なんです、実行局ということで。アメリカは特に努力をアメリカ国内で払っていまして、必ず
外国人のジャーナリストがアメリカの
政府の情報、またアメリカ
政府の政策ですとかについてアメリカ国内のジャーナリストと同等にアクセスを担保するということを方針としておりますので、アメリカの官庁が記者証というのを
外国人のジャーナリストに出しています、その記者証を持っていれば身分証明になるということで。
二つフォーリンプレス
センターがあるんですけれども、ワシントンとニューヨークに、それから三番目にロサンゼルスでも本当はあったんですけれども、
予算制約で最近閉鎖したんですけれども。
だから、いろんな便宜を
外国のジャーナリストに図っているわけです。そして、フォーリンプレス
センターを置くことによって
外国のジャーナリストに便宜を供与しています。そして、アメリカの
政府の政策ですとかを
理解してもらえるようにしているわけです。アメリカの
政府の機能の仕方とかを分かってもらっています。主にこのフォーリンプレス
センターの果たしている現在の
役割は、
外国のジャーナリストの
方々にユニークでどっちかというと複雑なアメリカの大統領選挙の仕組みについて分かってもらうようにいろいろ努力しているわけです。
それから、
教育文化局もあるというふうに申し上げましたけれども、こちらの主たる業務は
文化及び
教育交流のプログラムを実施することです、アメリカ対諸
外国ということなんですけれども。
最も有名なこの局がやっているプログラムの
一つは、インターナショナル・ビジター・
リーダーシップ・プログラムというものであります。つまり、
世界各国の
人々を毎年アメリカにお呼びいたしましてアメリカの専門家に会っていただく、そしてアメリカ生活を味わっていただくということであります。そして、将来リーダーになりそうな人、これは各
分野なんです。
政治、ジャーナリズム、その他もろもろということで在外公館が人選をします。そして、現在あるいは昔の二百名以上の国家元首、千五百名以上の今や閣僚になっている
人たち、またその他もろもろの今
世界のリーダーになっている人、また民間で優秀な経営者になった
人たちが参加してくれています。
最初にこのプログラムが
日本で導入されたのは一九五三年だったんですけれども、もう今や累積二千三百名以上の
日本のすばらしいリーダーの方がアメリカ
政府に招待されてこのプログラムに加わってまいりました。このプログラムの卒業生の
人たちは、後にノーベル賞学者、首相にもなった、また非常に
影響力のある各
分野のリーダーになられています。
例えば、
日本の国会議員の
先生も入っております。いろんな方いらっしゃるんですよ。海部俊樹さん、菅直人さん、小池百合子さん、神崎武法さん、福島みずほさん、そうそうたるメンバーが並んでいます。そして、超党派ということで、党にこだわらず満遍なく呼ばさせていただいております。ほかにも同窓生に立派な人がいます、ジャーナリズムの
世界でも。例えば、産経のトップの方、日経のトップの方、朝日のトップの方。また、
文化の
分野では、作家、俳優等々の方がそろっています。今日、
外国人が
参考人として伺っていますけれども、同窓生の中には、実はジスカールデスタン元大統領も入っている。ヘルムート・シュミットさんも、あとマーガレット・サッチャーさんもそうだったんです。
国際情報プログラム局は、アメリカについての情報を
世界に
発信するというのを
目的としております。最近、この局が新しいウエブサイトを作りました。ホームページです。というのは、御同僚がおっしゃったように、ほかの国の方が、このごろますますチャレンジングな
世の中になってきた、若い人との
コミュニケーションがなかなかうまくいかないということであるので、もっと
若者にアプローチしたいということで新しいアメリカ・ドット・ガブというウエブサイトを作りました。
これは、インタラクティブなウエブサイトとして、主に対象としているのは
若者なんです。これは多層型のウエブサイトで、コンテンツはいろんな多岐にわたっております。いろんな
若者にリーチアウトできるように、
若者からオピニオンメーカーまでいろんな
人たちが対象になっています。アメリカの
外交政策、
ライフスタイル、
文化、ありとあらゆる情報が満載されておりますので、こちらのところで、Eジャーナル、ポッドキャストとか、またライブのウエブサイトのチャットもできます、アメリカの作家、アメリカの官僚とかいろんな
人たちと。このウエブサイトは
英語及びスペイン語、
フランス語、ロシア語、ペルシャ語、
中国語、アラビア語でそろっています。
アメリカが在外公館をいろいろ各地に置いているんですけれども、それを通してパブリックディプロマシーを国務省と同じようにやっています。パブリック・アフェアーズ・セクションというのが、広報
文化交流部というのが
大使館に置いてあります。
文化ですとかマスコミ対応ですとかいろんなことをやって、
教育交流をやっているところもあります。
東京アメリカン
センターも
日本にありますし、あとインフォメーション・リソース・
センターというのもあります。プレス
オフィスというところから私、来ているんですが、こちらはメディアイベントをオーガナイズしています。そして、アメリカの政策をマスコミの方に
発信しています。
また、マスコミを介してもいろんなことをやっています。
一つ効果的なやり方は、大使ですとかその他アメリカ
政府の幹部の
人たちの
意見を
外国のマスコミに対して
発信しています、寄稿といったような形なんですけれども。
最近も私どもの大使が寄稿しています。読売新聞に出ています。一月三十日です。児童ポルノ対策ということで寄稿しております、シーファー大使が、一月三十日付けということで。大きな反響を呼びました、おかげさまで。
日本の国会議員の
方々のみならず、
教育者及びその他幅広い児童福祉で活躍なさっている
方々からの反応をいただきました。
あと、さらに私の
オフィスを通してアメリカの
政府高官が来日するときには、その
機会を利用いたしまして講演してもらうといったようなことをやってアメリカの政策を広めるといったようなことをやっています、特にマスコミ対応が多いんですけれども。あと、もちろんアメリカ人とかその他の
外国人記者とも話すこともあります。
さて、広報
文化交流部で
教育交流室というのもあるんですけれども、こちらの方は
教育交流及び
文化交流を主にやっています。
国際訪問者プログラムのことを先ほど申し上げました。これは我々が誇るプログラムの
一つであり、またフルブライトの制度ももちろん有名なものであるんですが、
東京アメリカン
センターを介していろんなプログラムもやっています。多分何名かの方は御招待させていただいたと思うんです、そして御講演いただいたかと思いますけれども、アメリカン
センターの方で。
最後に御紹介したいのがインフォメーション・リソース・
センターです。これはレファレンス図書館みたいなものなんですけれども、ありとあらゆるアメリカについての情報を得ることができるような図書館です。もうバラエティーに富んでいまして、いろんな内容がありますので、特に最近はアメリカの選挙制度についてのお問い合わせが多いんですけど。
そろそろ私の時間がなくなってきたんじゃないかと思うんですけれども、最後になりますが、ライス長官もおっしゃっています。二十一世紀においてはパブリックディプロマシーは
対話であるべきだ、モノローグであってはいけない、これはすべてのアメリカ人に課せられた義務であってアメリカの
政府の専門家だけの
仕事ではないということで、いろんなアメリカ
政府外の
人たちのスペシャリストの助力を得るようにしています。いろんな方の御
協力を広範に得るということで、幅広くアメリカの政策、アメリカの生活などを
世界に
発信している最中です。
以上です。
御清聴ありがとうございました。