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参考人(
清沢聖子君)
東京介護福祉労働組合で書記長をしております
清沢と申します。この度は
意見陳述の機会を与えてくださいまして、本当にありがとうございます。
私ども
東京介護福祉労働組合は、
日本自治体労働組合総連合に加盟する
自治体及び
自治体関連労働者の組合として、公共
サービスの向上に日夜
努力をしております。また、いわゆる登録、非常勤などの雇用体系にかかわらず、
介護職場で働いている
介護関係労働者のいわゆる組織をしている労働組合です。よろしくお願いいたします。
この法案については、今までの
参考人の方もお話をされましたが、昨年六月に
コムスンが
不正行為を行っていたことに対する
処分をきっかけに立案されたものと理解をしております。法を犯した
事業運営に対する
処分は妥当であったと認識をしています。しかし、
コムスンが法を犯すに至った原因を正しく見る必要があると考えています。
私どもの組合は、
処分直後に
コムスン介護労働者緊急相談ホットラインを実施し、八十四人の方の深刻で切実な相談を電話とメールで受けました。その結果は、人員配置の基準を大きく縮小して
運営しても労働者には労働基準法が
規定する賃金保障は行えず、その上、赤字
運営だったということです。現在の
介護保険並びに
介護報酬が適切な
事業運営ができる設定になっていないことが明確に示されたと認識することが重要だと考えています。
また、本法案は不正な
事業運営の
再発を防ぐために立案されていますが、現場の
事業所や
介護労働者から見ると、不正な
介護保険運営をしているのは各
自治体ではないかという声があります。
昨年十二月二十日、厚生労働省から各
都道府県に
同居家族等がいる場合における
訪問介護サービス及び
介護予防訪問介護サービスの
生活援助等の取扱いについての事務連絡がされました。
自治体の中には、要
介護の
高齢者と同居する
家族がいるというだけで
介護サービスを認めない、したがって、要
介護者と
家族の
生活が成り立たないという現場の批判が高まって出されたものです。
同居家族問題に限定されず、
自治体ごとに法の解釈が異なって
介護保険運営が変わり、特に東京都は
監査で不適正とみなされると報酬返還命令が出されます。この
自治体運営の改善なく本法案の実行が行われれば、
事業所、特に
ケアマネージャーは萎縮をして必要な
サービスを縮小するのではないかと危惧をしています。
次に、緊急相談ホットラインでも示された
介護労働者の
労働条件について
意見を申し上げます。
介護労働者の低賃金、長時間労働を原因にした
離職率は高まる一方であり、
施設職員の欠員や訪問
介護事業所の人員不足による
介護サービスの低下、
サービス提供不足が深刻になっていることは周知のとおりですが、そもそもの労働基準法が守られていません。改善に向けた
対策として何点かお話をさせていただきます。
まず、
訪問介護における直行直帰、登録型雇用は不安定労働、低賃金を生むものであり、何より移動時間等、労働者の権利保障と労働安全衛生上の問題がありますので、廃止することです。
平成十六年八月二十七日に
訪問介護労働者の法定
労働条件の確保についての通知が出されましたが、一向に改善をされていません。そもそもの雇用体系に問題が多く、体系を見直すことのほかには改善がないことが示されていると考えています。また、小
規模施設は一人夜勤になっていますが、実態として休息、仮眠を取ることができません。労働安全衛生法の
観点から著しく問題があります。老齢や疾病などで障害を持った
高齢者や
障害者の援助を行う
介護労働者が健康で安全に働けないことは問題がありますので、廃止をしていただきたい。
その際、厚生労働省が本年二月六日に通知した職場における腰痛発生
状況の分析についてでは、腰痛に関する知識などの労働者教育や
介護作業の改善、
介護職の適正な配置、
施設や設備の構造等の改善として適切な機器、これは
介護リフトのことですが、その
導入、人間の生理は夜間に活動が低下するとして、夜勤、不規則勤務等の作業量を通常の日勤時の作業量をやや下回る基準に決める配慮が必要だとも求めています。通知や労働安全衛生法の遵守が必要です。
介護労働者はもちろんのこと、
事業を
運営する
経営者の方も悩んでいるのが、
社会保険など雇用をすると必然として係る基本的な権利です。
介護報酬が低いために、常勤雇用であっても
事業所負担が支払われないことから権利が得られないことが少なくありません。
社会保険、雇用保険、労災保険加入に加えて、
介護は女性労働者が多く、近年は若い労働者が増加していることを考慮しますと、育児・
介護休業法など労働者を雇用するに必要な雇用管理に
対応する補助金を創設し、
離職率低下に努めることが必要だと思います。これにより
事業所経営はゆとりができて、非常勤から常勤へ、常勤から賃金が上がることにつながるのではないかと考えています。
女性労働者の
観点から見ますと、特に若い労働者に対するセクシュアルハラスメントについても問題になっています。特に、
在宅職場は深刻になっておりますので、
事業所の義務を
指導を徹底して
責任を果たすようにしていただきたい。
現在の
介護労働者の労働法制違反は
介護報酬が低いことが影響を持っていますが、一方で、
介護経営者は
社会福祉事業法、
社会福祉法人による地主や
福祉関係分野以外からの転籍した者が多く、
経営の
在り方は率直に申し上げまして未熟で問題があるものと言わざるを得ません。
したがって、
都道府県、
市町村が
介護事業所を認可する場合、事前の労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法の教育研修が必要だと考えます。また、
介護保険制度にとどまらずに、少なくとも先ほど申し上げました三法、労基法、労働安全衛生法、最低賃金法の
事業開始後の
監査は年一回としていただき、改善が見られない場合は
事業取消しも行っていただきたいと存じます。
現在の
離職率について労働組合の
責任を持つ者として痛切に感じておりますのは、労働者層の変化です。
介護労働は約四十年前に
在宅で暮らす老人の
生活のお世話をするために生まれました。当時から食事作りや掃除は女性ならばだれでもできる
仕事として、四十歳から五十代のいわゆる主婦層の方が
自治体の非常勤や嘱託職員等で雇用されて、その後建設された特別養護老人ホームでもその延長線上の低賃金で多くは雇用をされてきました。私
たちは決して認めていたわけではありませんが、
介護労働のやりがいと
生活の基盤は夫に支えられながら継続してきました。しかし、高齢化
社会を迎えるに当たり、二十年前に
介護福祉士養成校が創設をされ、若い労働者が年々増加し、それと入れ替わりに
措置制度のころに
介護現場を支えた主婦層の
方々が高齢化をして次々と退職をしています。
若い人はこれから結婚をして子供を産み育てていかなければなりません。特に、
介護労働という
対人援助の
仕事を選択する皆さんは、結婚や子育て、いわゆる
家族を持つことに対する夢を持っている人が多いと感じています。
生活できる賃金が欲しい、将来に
希望が持てる賃金が欲しい、何よりこのまま
介護の
仕事を続けていきたいというのが彼らの願いです。
現在の
介護労働者にないものが三つあります。昇給、賞与、残業代です。私は、三ない尽くしという意味で三Nと呼んでいます。本来は三Sと言うべきなのかもしれませんが、きつい、汚い、暗いの三Kに加えてこの三Nでは、若者が定着してくれるわけはありません。
昨年八月に
福祉人材確保指針が示されました。是非この具体的実行を果たしていただきたい。そして、この実行については、
介護保険制度の枠内ではなく、国あるいは
自治体の補助金を創設して
利用料に跳ね返らない形で行っていただきたい。乏しい年金
収入からの
介護保険料を支払う
利用者と日夜向かい合っている私
たち介護労働者は、賃上げイコール
利用料負担増加になる要求は出せません。
そして、今の
介護現場を支える若者
たちばかりではなく、子供
たちから、大きくなったら
ホームヘルパーになりたいとか、大きくなったら特養ホームの職員になりたいと言われるような
職業にしていただきたいと思います。
意見と申し上げながらお願いばかりというふうになりましたが、議員の
皆様におかれましては、
現状を思い量っていただきまして、御尽力くださいますように切にお願い申し上げて、私の
意見とさせていただきます。
ありがとうございました。