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2008-04-22 第169回国会 参議院 厚生労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月二十二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十七日     辞任         補欠選任      米長 晴信君     櫻井  充君  四月十八日     辞任         補欠選任      青木  愛君     森 ゆうこ君  四月二十二日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     姫井由美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本  司君     理 事                 家西  悟君                 谷  博之君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 渡辺 孝男君     委 員                 足立 信也君                 大河原雅子君                 風間 直樹君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 中村 哲治君                 姫井由美子君                 森 ゆうこ君                 石井 準一君                 石井みどり君                 岸  宏一君                 島尻安伊子君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 山本 博司君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    副大臣        厚生労働大臣  西川 京子君        厚生労働大臣  岸  宏一君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省健康        局長       西山 正徳君        厚生労働省医薬        食品局長     高橋 直人君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       大谷 泰夫君        厚生労働省老健        局長       阿曽沼慎司君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        社会保険庁長官  坂野 泰治君        社会保険庁総務        部長       吉岡荘太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (後期高齢者医療制度在り方に関する件)  (後期高齢者医療制度における障害者の加入の  取扱いに関する件)  (医療制度改革に伴う医療費削減に関する件)  (新型インフルエンザ対策に関する件)  (介護予防事業在り方に関する件)  (終末期医療在り方に関する件)  (社会保険病院等整理合理化地域医療の確  保に関する件)     ─────────────
  2. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、米長晴信君及び青木愛君が委員辞任され、その補欠として櫻井充君及び森ゆうこ君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩本司

    委員長岩本司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省健康局長西山正徳君外七名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩本司

    委員長岩本司君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 おはようございます。民主党の津田弥太郎であります。  今日は、社会保障及び労働問題に対する質疑一般質疑ということで、私は今まで労働問題はかなり深くやってきたんですが、昨今を取り巻く特に社会保障問題を中心に、大臣中心質疑をさせていただきたいと思います。  最初に、平成二十年度の予算が成立をしたわけであります。特に、今後の予算関連法案、これにおいて経済財政諮問会議が主導しました社会保障費の二千二百億円の削減、これはもうこの委員会が開催されるたびに与党からも、野党はもちろんですが、再三再四この問題について非常に大きな問題であるということが指摘をされてきているわけでございます。この削減というものが、厚生労働省が極めて大きな足かせになっているという認識、これはまさにこの厚生労働委員会のメンバー、与野党含めてすべて一致をしている認識でありますし、舛添大臣も再三再四このことについては触れられてきているわけであります。  現下の我が国の財政状況が大変厳しいということについても、私は否定するものではありません。しかし、財政が厳しいからこそ、各省庁の行っている施策の中で本当に必要なものは何なのか、そのことについての精査がしっかり行わなければならないはずであります。財政が厳しくても絶対に予算を削ってはならない分野、あるいは施策をむしろ充実しなければならない分野、そういう分野というものは絶対に存在をしているわけでありますし、厚労省が所管している分野というのは多くがその命に直結する、私はこの命に直結するというせりふをもう何十回吐いているか分からないくらい申し上げているわけでありますが、あるいは憲法に明記をされております生存権、これを担保するという意味で、たとえ不況下であったとしても自助、共助が働きにくい、こういう昨今でありますから、公助という形で国民から求められている、そういう分野ではないかなというふうに思うわけであります。  余談ではありますけれども政権交代が行われれば、直ちに私どもはこの二千二百億円なんというのはもうすぐ撤廃をさせていただきたいというふうに思っているわけで、今申し上げたような予算についてはしっかり確保をする覚悟でありますけれども、たとえ現在、自民党さん、公明党さんの自公政権下であっても、私は基本的には同じでなければならないのではないかというふうに思うわけであります。  これから夏の平成二十一年度の概算要求というものに向かっていくわけでありますが、これ、大臣として、もうこれ以上この二千二百億円の削減ということは不可能である、これはもう削減は行うべきではないということを、これはもうまさに堂々と政府内で声高らかに主張をし、他省庁予算も分捕ってくる、厚労省に、直ちにそうした対応を行うことが私は必要でありますが、いかがでしょう。
  7. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 実は今日、閣議の後の閣僚懇談会政府全体の無駄、これをもう一遍見直して無駄をゼロにしようと。それで、例えば政策の棚卸しという言葉で、まあ昔からやっている政策でもう見直していいんじゃないかということ、これの見直し、それから省庁だけではなくて公益法人、これは道路予算について様々な指摘がなされました。そういうことを踏まえて公益法人についても全部見直すと、そういう歳出削減効率化努力は、これは政府を挙げて、そしてその点については厚労省もこれは例外ではないと思います。きちんと無駄は排していく、公益法人についてもこれはきちんと見直していく、大変数が多いわけですから。  その中で、今委員がおっしゃったように、最後セーフティーネットとして社会保障というのがある。まあ今年も二千二百億円捻出するのに相当苦労をいたしました。薬価の問題それから健康保険組合の間のお金の融通というようなことがありました。  ただ、来年を考えたときに、例えば今衆議院で議論していただいている感染症新型インフルエンザ、もう鳥インフルエンザは韓国で今はやっています。そういうのが人インフルエンザに変異したときの予防措置を考えると、もうすぐ一千億近いお金の準備をしないといけません。それからお医者さんの不足の問題、これもう丸い数字でいいんですね、二十六万人です、今。しかし、需要は二十八万人あります、二万人足りないんですね。一生懸命この手当てをしてきました、特に産科、小児科が閉鎖されないように。しかし、そろそろやっぱり長期的にこの医療制度の再構築を考えないといけない。これも予算が必要であります。介護の問題も、介護の現場で働く方々は大変な御苦労をなさっている。こういうことについてもしかるべき手当てが私は必要だと思います。そういう点では、これは党派を超えてきちんとまとめることができる、そういうテーマだと思いますんで、そういう意味で就任以来二千二百億円の歳出削減というのはもう限界に来ているということを申し上げております。  襟を正し、そして効率化をし、無駄を省く努力は十分行いますが、その上で、しかし最後セーフティーネットとしての社会保障をきちんと守る官庁として厚生労働省はやるべきことはやりたいと、そういうことで、今委員がおっしゃっていただいたように、今後、政府内において来年度予算に向けて国民の命を守るために必要な予算は確保すると、そういう思いで全力を挙げてまいりたいと思います。
  8. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 今まで大臣は極めてセンセーショナルなせりふを言われてまいりました。死に物狂いでやるとか、牢屋に入れるとか、最後のお一人までやるとかいろいろ、極めてセンセーショナルなセリフを言われてきました。  ちょっと考えてくださいよ。やっぱり、今党派を超えてというふうにおっしゃった、それは我々もしっかり受け止めたいというふうに思っているんですよ。この二千二百億円の削減はもう二十一年度は何としても阻止しなきゃいけないということを少しセンセーショナルな言葉で言っていただけませんか。
  9. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まあ過去七か月、八か月、いろんな不適切な発言もあり、皆様方に御迷惑をお掛けしたと思いますけれども、私自身は例えばどうしても、この肝炎の問題にしても介護の問題にしてもこれを先に進めたいというときに、まあある意味でそういう言葉を使っていわゆる抵抗勢力を乗り越えるための道具とした面もあります。しかし、いろんな方にも不愉快な思いをさせるということもありますから、まあ少しずつ言葉遣いを慎重にかつ御迷惑を掛けないように今努力をしているところでございますので、まあどういう表現か、今私が申し上げているのはそろそろ限界に来てますと、国民の命をしっかり守るための政策をしっかりやります、どうかその意をお酌みいただいて、是非委員の方で援護射撃のセンセーショナルなお言葉をいただければと思います。
  10. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこで、今大臣もおっしゃった新型インフルエンザに関してお聞きをしたいというふうに思います。  厚生労働省の行う業務というのは国民生活に最も身近な分野が多いわけでありまして、それゆえに、今大臣もおっしゃったように国民から感謝されることも多ければ、一方で、問題が起きれば、まあ日常言葉で言うとくそみそにやられるということになるわけで、そういう宿命を背負っている役所ではないかというふうに思うんです。こういう状況の中で、厚労省皆さんには、その使命を自覚して是非とも国民のために頑張ってもらいたいと思うわけでありますが、先ほど出た年金あるいは肝炎、こういう問題では、厚生労働省社保庁にかかわる様々な問題を見てみますと、事務方官僚皆さん意識というものが国民意識からかなり懸け離れてしまっているのではないかと思われるような事象がございます。  この新型インフルエンザで私が指摘をしたいのは、プレパンデミックワクチンの方針に関する問題であります。これ、お配りしております資料を見ていただきたいというふうに思うんですが、平成二十一年中にワクチン有効期限超過が始まることもあって、平成二十一年度には医療従事者等、まあここまでは分かる、問題はこの後です、社会機能維持者一千万人、この事前接種検討を行うというふうに書かれているわけであります。  私どもとしては全国民ワクチンを早急に確保することが不可欠であるというふうに考えているわけですが、物理的にそこまでの量が確保できない場合、限られたワクチンをだれに接種するのかという問題は、政策課題であるという点では重要であるということを私は否定するものではないわけであります。  今日は細かいところまで議論する時間はありませんけれども当該職業に従事している方が欠けた場合、他の方の人命に影響をもたらすような職業について、これは恐らく医療従事者というのが当然出てくるわけでありますし、例えばほかには消防士、これも大変かかわってくるんではないかというふうに思うんです。こういう方々優先的なワクチン接種ということであるならば国民的に是認できる余地は私は高いだろう、そのことを否定するつもりはないんです。  しかし、厚労省の案では、治安維持ライフライン関係、国又は地方公共団体危機管理に携わる者、国民の最低限の生活維持のための情報提供にかかわる者、あるいは輸送というような五つの類型を示して、その具体的な職業を列記した上で、それらを一くくりにして社会機能維持者という名称を使っているんです。  私は、中身はともかく、この社会機能維持者という言葉、これに大変抵抗を覚えるわけであります。これを、言葉を用いた厚労省の、私から見れば極めて傲慢な、不遜な姿勢であるというふうに私は怒りを強く覚えているわけでありまして、国民社会機能維持者とそうでない者に二分をする、一体なぜこのようなことになったのか、その経緯についてまず御説明ください。
  11. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) お答え申し上げます。  平成十六年の厚生科学審議会感染症部会、ここの新型インフルエンザ対策報告書におきまして、ワクチン接種対象として社会機能維持の立場から見た対象、つまり「社会基本的サービスを提供しており、インフルエンザに罹患することによって社会機能の麻痺を招く恐れのある集団」という表現がございました。一方、米国のCDCでございますけれども、英語で恐縮ですけれども、メーンテーニング・ファンクション・オブ・ソサエティーというような用語がございました。  これらを基に、平成十七年でありますけれども関係省庁連絡会議、これは厚労省国土交通省、外務省、いろいろ入っているわけですけれども、その場において、新型インフルエンザ対策行動計画において初めて社会機能維持者という言葉を用いたところでございます。
  12. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。  これ、ちょっと具体的にお聞きしますが、西山さん、この政策立案を行った担当部署である結核感染症課官僚方々というのは社会機能維持者の範疇に含まれるんですか。
  13. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 含まれると考えております。
  14. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ということは、西山さん、あなた自身も含まれるというふうに理解していいわけですね。
  15. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 私も先生方もそういうことになります。
  16. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 私はそうではないと思っているんですよ。  大臣、もし支持者の方からなぜ私は事前接種を認められないのかというふうに尋ねられた場合、大臣政治家として、あなたは社会機能維持者ではないからですと面と向かって答えられますか。例えば、医療従事者優先接種を行うと書く分には、そのことの当否は別にして、職業に基づく区別なんです、職業に基づく。しかし、社会機能維持者という概念を新たに設けることは、人間を価値に基づいて分けるという意味で明確な私は差別ではないかというふうに考える。  さっきの私が、五分類言った中に子供は入っていないわけです。もし本当にこの人—人感染で猛烈な感染力があるとした場合に、一体、多くの方々が何十万、何百万という方が亡くなる、そのときにだれを残したらいいのかということを考えたとき、私は大臣大臣のうちにも小さいお子さんまだいらっしゃるけれども、おれに打つか子供に打つかって考えませんか。私は、必ずしも今局長が説明したようなことで、学者議論まではともかくとしても、国民に向かってこのことを本当にこんな言葉で話ができるのか、私はこの言葉は撤回すべきだというふうに考えるわけですが、大臣、いかがですか。
  17. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) どういう表現用語を使うか、これは今の委員の御意見も参考にしながら更に検討を進めていきたいと思いますが。職種によってどういう優先順位を付けるか。ただ、お医者さん、医療関係それから救急隊員、これはそうでしょう。しかし、例えば輸送、これもライフラインで必要で、水を守る電気を守る、例えば東京電力の方々も、例を挙げると、電気切れちゃったらアウトになりますから、そうするとこれもう本当に区別が付きません。  そこで、今製造能力限界があったりとかいろんなのありますけれども、私は最終的には希望する方全員接種ができるような体制にできるだけ早く持っていきたいと。まず六千人に、この研究をしてみて、そして一千万人分、このときに医療関係まだ臨床研究ですから、こうやってみて、それから輸送とかライフライン関係者やってみると。そして、その間に一刻も早く、先ほどの予算の話じゃありませんけれども、今単純に計算いたしますと、一千万人分の原液を買うのに五十億円掛かりましたから、一億二千万人分をそろえるとすると六百億円あればそろえられるわけです。それはもう外国から買ってきたりとか、日本製造能力に限りがあります。  ですから、例えばそういうことをしっかりやることによって、今の委員のような御質問は、それどこからも出てくる、じゃ例えば私が全権を持ってこの中のだれから順番に打つんですかと、その順番付けというのは極めて難しいというように思います。例えばもうお年寄りと子供とどっちを優先にするかと、これだってそう簡単じゃありません。  ですから、やっぱり最終的な解決法は、国民皆さんコンセンサスをいただいて、財源の措置もきちんとして、そして希望する国民全員にこれが準備できると、それが最終的な解決だろうと思って、今その方向を目指して努力を始めたところでございます。  したがって、まあこれ、一つの手は、社会機能維持者という言葉をやめて、例えば医療従事者等にして、例えば括弧して今のライフラインにかかわる職種とか書いていくのも一つの手だと思いますので、ちょっとこれは国民皆さんの納得いくような形での検討をしながら、そして希望者全員に打てる体制を一日も早く整えていきたいと。今日、あしたというわけにはいきません。臨床研究もあります。しかし、そういう方向で私は努力をしたいと思っております。
  18. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 検討してください。社会機能維持者というこの言葉そのものに私、こだわっているんですよ。具体的な中身のことについて私は言っているわけではないんです。やっぱり、こういう言い方をされて、あなたは社会機能維持者維持者でないかという、これは大変つらいことです。同じ一家の中でも社会機能維持者とそうじゃない方が出てくるわけですよ。だから、こういう問題は、さっきも言ったように学者議論している間はともかくとしても、政治の世界に入ったらこういう言葉は使わないでもらいたい。そのことを強く今後検討の材料にしていただきたいというふうに思います。  言葉の問題で言うならば、この後期高齢者医療制度という言葉もある面では共通をしているわけであります。当事者となる国民の視点に立っていないから、厚労省としてこうした極めてアカデミックな言葉をそのまま使ってしまう。  平成十七年九月二十一日に社会保障審議会医療保険部会に出された資料の中で、こういう記述があるんです。老年医学では、高齢者の定義は六十五歳以上、その中で七十五歳以上を後期高齢者、八十五歳以上又は九十歳以上から超高齢者と。高齢者の上に超が付くんですね。こういうふうにするのが現在の考え方であり、また、世界的なコンセンサスであるという記述があるわけでございます。  この後期高齢者にとどまらず、更にその上の超高齢者高齢者を超えているって何なのか。考えてくださいよ。そんな表現あるかよ。この資料を提出した東大の大学院の教授が学術用語として用いる分には私は認められるかもしれないと思います、アカデミックなところでは。しかし、そのことを履き違えて直接国民に対して行政が用いてしまったこと、そのことが後期高齢者と名指しをされた当事者の気持ちを全く考えていなかったことの表れである。  国民的な批判があって、制度施行初日の四月一日、長寿医療制度という名称を、愛称ですか、これは、これが出てきたわけですね。長寿医療制度、これも前の障害者自立支援法のときもそうだけれども、とても中身と合致している名称とは思えないわけであります。何でこんな名称になったか、もう一度大臣からお答えをいただきたいと思いますし、それだったらば法律改正もしたらどうかと思うんですが、いかがでしょう。
  19. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この後期高齢者医療制度自身については、二年前の六月に国会で法律が制定されているところであります。それで、総理の方から御指示がありまして、周知徹底をする、そしてこの名前が必ずしも分かりやすくないと、そういう意味長寿医療制度という通称を使ったらどうかという御指示がありましたので、通称として長寿医療制度。そして、その意図するところは、長生きをする、そして長生きをして良かったなあと思えるような、そういう日本をつくっていく、そういう長寿方々生活全体をきちんと支えていく、そのための医療制度であると、そういうことを周知徹底しようということで、こういう通称ということを採用させていただいたわけであります。
  20. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 法律改正についてはいかがですか。
  21. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはあくまで通称ですから、初心者マークのことを若葉マークと言うのと同じようなことでありますので、法律については特段変える必要はないと思います。
  22. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、中身について少し議論をさせていただきたいと思います。  問題点二つ大別をされるのではないかというふうに考えます。  一つは、そもそも七十五歳という年齢に着目した新たな制度をつくる必要があったのかという、これは根本的な問題であります。二つ目は、今回の制度改正における運用面における問題、この二つ大別をされると思います。  当時、この前者について当時の川崎大臣が三点この理由について述べられております。  一つは、現役と高齢世代費用負担関係が不明確であるという点、二つ目は、国民健康保険と比較して財政運営責任が不明確であるという二つ目三つ目が、七十五歳以上の方々生理機能低下日常活動低下をする症状が増加するとともに生活習慣病を原因とする疾患を中心に入院による受療が増加するなどの特性があると、心身の特性に応じたサービスを提供する必要があるという、これは一番、二番とはちょっと違う事情を述べられているわけであります。  この三つのうちの前段の二つ、これについては与党の内部からもかなりいろいろ疑問点が呈ぜられているわけでありますが、今回のような独立した制度を創設せずには対応できなかったのかどうか、この一番の費用負担関係あるいは財政運営責任が不明確、ここでどうしてもこの制度をつくらなければこの二つはクリアできないという、そこの理由を御説明ください。
  23. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 法律改正のときの背景等、若干御説明させていただきたいと思います。  まず、問題点として、今委員指摘の現役世代と高齢世代費用負担が不明確、あるいは給付と負担が分かれていて財政運営責任が不明確ということで、老人保健制度は改めるべしと、これは当時の参議院の国民福祉委員会でも全党一致で意見をいただいたわけでございます。  そのときに、当時どういう議論がなされたかといいますと、四つの類型があったわけですね。一つは老健制度維持するということでありまして、これはらち外といたしまして、一つは、国保あるいは健保加入者も全員入った、被用者も含めました一元的な保険のパターンが一つ。それからもう一つは、被用者は被用者としてOBも支える、自営業者は自営業者としてそのOBを支えるという、いわゆる突き抜け型、それから独立型と、こういう三つ、現実には三つのパターンが示されたわけであります。  それについて政府内部でも議論をしたわけでありますけれども、なかなか、全体を一元化するという方式でやりますと、これは年金でもいろいろ議論されておりますけれども、所得捕捉の問題でありますとか、そういう問題があるということで、これはなかなかあしたの制度としては難しいだろうということがございました。  それからもう一つ、二点目の突き抜け方式をとるということになりますと、サラリーマンの方はいいかもしれません。ただ、自営業者の組織、保険につきましては加入者数が減ってしまうと、若年加入者が減る傾向にあるということで、これはなかなか制度として国保グループの財政維持が難しい。さらに、この弱点を補おうとして財政調整やるとすれば五千もの保険者の間で財政調整やらなきゃいけない、リスク構造調整と当時言っておりました。そういうことから、なかなかこれもあしたの制度としては難しい。  とすれば、その老健制度に代わるものとしてはこの独立の制度という形で、先ほどの課題にこたえていくというのが現実的だろうと、こういう議論を経て制度改正が行われたものでございます。
  24. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 納得できる説明になってないんですよ。  私は、現役世代の負担増に歯止めを掛けていくことを否定するつもりはありません。また、高齢者について応分の負担をお願いすること、このことも否定するつもりはありません。しかし、冒頭に指摘をさせていただいた経済財政諮問会議の主導によって医療費を強引に引き下げようとしているという、これは大きな問題なんですよ。そのことにより、この制度も保険ということが強調され過ぎてしまったんではないか、これがこれまでこの問題を様々な議論をしていく中で一番問題の中心になっている点であります。  有斐閣の法律用語辞典によりますと、保険というのは、生命、財産等に対する予測できない偶然の事故の発生によって生ずる経済上の必要を、同種の危険にある多数の人があらかじめ一定割合でする出捐で賄う制度。病気にかかりやすく医療費がかさみがちなリスクの高い集団を設定した以上、これは保険という概念が適切に機能するはずがないんであります。  これは前に西島委員も鋭く指摘をされていたわけでありますが、保険というよりは保障、七十五歳まで一生懸命働いて税金を納めた方々に対して安心の老後を保障していくという姿勢が必要であるわけであって、間違っても受診抑制などには至らせないということが私は大前提ではないかというふうに考えるわけです。この高齢者の視点に立った対応をしていれば、こういう事態は起こってないんではないかというふうに思うんです。  そこで、政府委員にお尋ねしますが、二〇一〇年と二〇二〇年度について、高齢者の保険料負担及び窓口における自己負担が現在の割合のままと仮定をした場合に、七十五歳と八十歳の高齢者一人当たりの年間の保険料負担、窓口負担を合わせた医療費はそれぞれ幾らになるでしょうか、お答えください。
  25. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 平成十八年の改正時にお示しをいたしました将来見通しにおきましては、二〇一五年度におきます後期高齢者全体の保険料あるいは患者負担の見通しについては作成しておりますけれども、お求めのような二〇一〇年度あるいは二〇二〇年度におきます見通し、さらには八十歳という、そういう年齢を区切った保険料負担あるいは患者負担につきましては作成してございません。  十八年改正時にお示しした二〇一五年度の将来見通しにおきましては、後期高齢者一人当たりの年間平均額で、保険料負担につきましては医療給付費ベースで八・五万円、患者負担では九・七万円となっているわけでございます。  お求めの七十五歳、八十歳の高齢者の保険料負担、患者負担をお求めでございますけれども、これを試算するに当たりましては、後期高齢者の所得でありますとか医療費の分布につきまして年齢別に適切な前提を置く必要があるわけでありますけれども、なかなか必要なデータがないため、これは試算は困難でございます。  それからもう一つ、将来にわたります一人当たり後期高齢者の保険料ということでございます。二〇一〇年度、二〇年度ということでございますが、特に二〇一〇年度につきまして、両方ともやってないわけでありますけれども、特にその将来見通しにつきましては、その前提となる足下の医療費あるいは経済状況がその後変化してきております。  それから、制度改正時の指摘、これは民主党からも各党からいただいたわけでありますけれども、将来見通しの在り方につきましても、そのやり方について疑問が呈されたわけでございまして、それらの指摘を踏まえました医療費の将来見通しに関する検討会で推計方法自体につきましても御提案を今受けているところでございます。  それから、制度自体五年後見直しという規定もございますが、いろいろ不確定な要素がございまして、二〇二〇年度の見通しというものを現時点でお示しすることは難しいと考えております。
  26. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 もう既に四月一日から実施している制度なんですね。このような基礎的な推計というのは、これは当然なされなきゃいかぬ。だって私、二〇一〇年も言っているんだよ。二〇一〇年ぐらい出なくてどうするんですか。それは、もちろん推計でやるわけです、いろんな仮定の条件を付けてやるわけですけれども、先のところが一定程度見通せないようじゃ、これは話にならぬわけです。  これ、委員長に要請をしたいというふうに思います。  直ちに私が申し上げました先ほどの推計のデータを本委員会にお示しをいただきますよう、お取り計らいをお願いします。
  27. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  28. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、先ほどの三番目、川崎元大臣が理由に挙げた七十五歳以上の高齢者について、その心身の特性等に応じたサービスを提供する必要があるというふうに言っているわけでありますが、この七十五歳以上に限定したサービスとして実施されているものを列挙してください。
  29. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。  後期高齢者医療の診療報酬につきましては、社会保障審議会の後期高齢者医療の在り方に関する特別部会において診療報酬体系の骨子というものがまとめられてございます。これに基づきまして、中央社会保険医療協議会において具体的な項目について検討を行いまして、新たに創設したものでございます。  具体的には、七十五歳以上の高齢者の場合には複数疾患、特に慢性疾患に罹患すること、それから治療が長引くことが多い、こういった心身の特性がありますので、主なものを挙げますと七項目の事項を御紹介したいと思います。  一つは、退院後の生活に配慮するため、日常生活能力を評価し、退院が難しい高齢者の円滑な退院を調整することの評価の創設。二点目は、入院時の主治医の求めに応じて連携病院が緊急入院を受けた場合の加算の創設。それから三番目に、退院後の、入院前の主治医の外来に継続して入院した場合の評価の創設。それから四番目に、在宅患者の病状の急変あるいは診療報酬の変更などの際、関係者が、これは医師、歯科医師、薬剤師、看護師等でございますが、関係者が情報を共有した場合の評価の創設。それから五番目に、後期高齢者等が多く生活する施設、例えば有料老人ホーム等でございますが、その入居者に対して在宅医療を提供した場合の評価の創設。六番目に、高齢者担当医が診療計画を作成し、心身にわたる総合的な評価や検査等を通じて患者を把握し、外来から入院先の紹介、在宅医療まで継続してかかわる仕組みの創設。七番目に、患者と家族が医療従事者と終末期における診療方針等について話合いを行った場合の評価の創設、これらの対応を図ったところでございます。
  30. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこで、水田局長、今おっしゃったその具体的な限定サービスの内容というのは、この独立した制度を創設しなければ行えないんですか。そこ、お答えください。
  31. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) これは診療報酬でございますんで、必ずしもその点は独立した制度でなければならないということはありませんが、ただ、独立した制度をつくることによって、まず、その方々に対する医療の在り方はどういうふうにあるべきかということを先ほど申し上げました特別部会で検討をしたわけであります。  これはまさに、独立制度をつくったがゆえに、そういった部会であるべき医療の姿が検討されたわけでありまして、それに即して診療報酬を組んでいったと、こういう経緯になります。
  32. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこで、あなたが最初言ったように、特に制度をつくらなくても対応できるんですよ。あなたは最初にそれおっしゃったじゃないですか。  そこで、この財政的な問題に関しても、あるいは、今、七十五歳以上の独自のサービスに関しても、七十五歳以上の独立した制度でなければならないという必然性が十分に説明されたとは言えないんですよ。現在の制度をめぐる高齢者の怒り、現場の混乱、制度創設の検討段階からさかのぼった検証が私は不可欠ではないかというふうに考えます。  これは、言うまでもなく、この制度創設において厚労省試案の公表など中心的な役割を果たしたのが、あの悪名高き真野保険局長であります。この方は、御存じのように、それ以前には基礎年金番号への統合時に社会保険庁の運営部長という要職に就いている。さらには、この厚労省保険局長の後には社会保険庁長官を務めるなど、宙に消えた年金問題でも国会として第一に話を聞かなければならない張本人であるわけです。  この方は、総務省の検証委員会のメンバーから聴き取りをしているわけであります、真野さんは。当然、検証委員会では話はするけど、国権の最高機関である国会で話をしたくないなんということは私はあり得ないというふうに思うわけでありまして、是非この七十五歳以上の独立した保険制度の問題、年金記録問題の両方でじっくり真野さんの話を聞かせていただきたいというふうに思うんです。  ちなみにお聞きしたいんですが、現在、この真野元社会保険庁長官はどんな仕事をされているんでしょう。
  33. 大谷泰夫

    政府参考人(大谷泰夫君) 平成十六年七月まで社会保険庁長官を務めておられた真野章氏は、平成十八年四月に財団法人こども未来財団の理事長に就任され、現在に至っております。
  34. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 退官後、民間損保会社の顧問を務めたようでありますが、ただいま御答弁があったように、こども未来財団の理事長。  それでは、このこども未来財団の一般会計、特別会計それぞれについて、この財団の収入に占める公費の割合とその総額についてお答えください。
  35. 大谷泰夫

    政府参考人(大谷泰夫君) こども未来財団でありますが、これは児童の健全な育成に寄与するために、児童手当法に基づく児童の育成事業を実施する団体であります。  このこども未来財団の平成十八年度の決算におきます総収入で申しますと、総収入額が約十七億円でありまして、このうち事業主からの拠出金を財源とします国庫補助金が約十一億円、またこども未来基金の運用収入額が五億円でありまして、公費が収入の約九割を占めているわけであります。残り約一割は、基本財産の運用収入や民間助成金、出版物によるものでございます。
  36. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 要は、ほぼ一〇〇%弱公費で賄っている。  ちなみに、財団の役員給与規程第四条によると、真野理事長の俸給は月額九十六万八千円、このほかにも東京二十三区内に勤務しているということで特別都市手当、さらには夏と冬のボーナス、同じくこの財団の退職手当支給規程第三条、退職金については俸給の百分の二十八掛ける月数。真野理事長はわずか二年前に理事長に就任したにもかかわらず、今辞めても六百七十八万円、一年後には一千万円の大台を超えることになるわけです。前回、社会保険庁歴代長官の退職金が幾らぐらいになるかということで、ほぼ七千万円近い、これもう既にもらっているわけですね。多少の上下はあったとしてももらっている。これ典型的な天下り。国民の血税からいまだに多額の禄をはんでいる。  これは当然国会審議に協力をしていただけると私は確信をしているわけでありまして、委員長、これ是非、真野氏を、これは本委員会参考人として招致をしていただきたいと思います。
  37. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  38. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、年金の問題に移らせていただきたいというふうに思います。  本委員会において、政府参考人から、ねんきん特別便、このねんきん特別便の未統合記録の作業における位置付けというのはまさに主軸の課題であるというふうに答弁が行われてまいりました。  そこで、お尋ねをしたいと思うんですが、主軸だと言ったんですよ、三月末までに年金受給者に出されたねんきん特別便について、五歳ごとの年齢区分によるそれぞれの回答率をお答えください。
  39. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) お尋ねの五歳ごとの年齢別の回答率のデータについては、現在、私ども作成をいたしておりません。
  40. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 通告しているんですよ。そのぐらいの調査ができなくてどうするんですか。主軸だと言っているんだ、このねんきん特別便が。何で出てこないんですか。納得できません。
  41. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 現在、私ども、全国集計の形で回答率のデータを作成し公表をいたしておるわけでございますけれども、五歳ごとの年齢別の回答率を直ちにシステム上把握できる仕組みになっておりません。また、これを手作業で行うとなれば膨大なマンパワーと時間を要することになります。  私ども、現在、三月までの特別便、更に加えて、四月からの九千五百万人に及ぶ方々への特別便の発送、これに伴う相談、またこの相談に伴う記録の統合など、膨大な業務に今追われておるさなかでございます。したがって、そういう作業を進めながら、私ども仕事の優先順位を付けながら仕事を推し進めております。  そういう中で、現在、御要求のデータをお出しできないということは誠に申し訳ないことと考えておりますけれども、事情は御理解をいただきたいと思います。
  42. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ、さっきから私、強調しているのは、主軸だと言っているの。主軸だと言っていて、詳しい中身が全然出てこない。これ年齢ごとに五歳刻みで見るというのは重要な意味があるんです。  私はもっと言いたい。都道府県ごとも、これ状況を見たい。どういう状況になっているのか。それによって、やはり問題のあるところ、年齢とか地方、これが分かってくるんですよ。そうすれば、もっと注意喚起ができるんですよ。だから、そういう面ではこういう分析というのは大変重要な意味を私は持っていると思う。そのことに対して全然やっていない。鼻をくくったような答弁に対しては極めて私は遺憾であるということを申し上げておきたいというふうに思います。  三月二十五日の時点で受給者全体の回答率が四九・八%。この数字は一月七日時点の三三・八%と比べて上がってきたわけであります。しかし一方で、半数以上が回答をしていないという事実、こっちの方が極めて重く受け止めなければならないわけであります。  社保庁自身が未統合記録の作業の主軸というふうに位置付けるこのねんきん特別便の回答率を高めるためには、回答状況の分析が私は絶対必要だと思う。こういう今、坂野長官が言ったような答弁では、さっきも言ったように、本当に問題がどこにあるのかということが分からないわけです。  これは大臣、こういういいからかげんなことをやられていたんじゃ困る。主軸だと言っている以上はきちっとやってもらいたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  43. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) どういう形でこの回答率について統計がもっと細かく取れるか、ちょっと検討させていただきたいと思います。  今、最初に受給者の方にお送りし、次に現役の方にお送りしていますので、その区別は大きく分けてあります。ただ、未回答の方々に対して再送する努力をする、それから電話を掛けて丁寧に八月までやると、そういう努力は続けていきますけれども、何らかの形で、例えば都道府県別だけでも取れるかどうか、そういうことについて検討させていただきます。
  44. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ、本当に一〇〇%の回答にしていくためには絶対必要なことだと思うんですよ。今までの回答がどういう内容だったのか、それを見れば、その残りの未回答のところをどうすればいいかという実はヒントが生まれてくる、そういう意味で私は大変重要だというふうに思うんです。  ですから、是非このねんきん特別便に対する受給者の回答状況について、年齢区分別、都道府県別にデータをまとめ、本委員会に提出をいただくよう委員長に求めたいと思います。
  45. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  46. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 前回の私が質問したときにも結果が出なくて、委員長預かりにしていただいた件、御質問させていただきたいというふうに思います。  消えた年金あるいは宙に浮いた年金について、記録訂正が今行われているわけです、順繰りに。そのことによって無年金だった人が年金受給者になった、これは大変大きな意味を持つわけであります。二十五年という、いわゆる掛金を支払ったこの三百か月というものを満たしたかどうか。この宙に浮いた年金がその本人に戻ってきたことによって無年金者から年金受給者になれるというのは大変重要な意味を持っているというふうに私は思うわけであります。これ大変大事なデータであって、今どのような状況になっているか。  実は、前回質問をして以来、いまだに回答がございません。大臣、どうなっているんでしょう。
  47. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) かつてこの御要求があったときにも担当者から御説明をしておると思いますけれども、私ども、今御要求のデータをシステム上直ちに把握する、そういう仕組みにしておりません。したがって、御要求のデータを直ちに御提出を申し上げられる状況にないということでございます。  これ、御要求のデータを作成をしようということを考えました際には、かなり複雑な作業を要することになります。未統合記録の一つ一つについてどの基礎年金番号の記録に統合されたのかを把握し、さらに年金の受給年齢に達している方を特定した上で、その未統合記録の統合によってこれまで満たされていなかった年金の資格期間を満たすことになったのかどうかを一つ一つの記録について検討し、またその積み上げを行わなければなりません。また、仮にシステム上そういうことをやるといたしましても、さらに老齢年金について、繰下げ受給を選択しようとして、受給資格年齢に到達しながら受給申請をされていない方もおられると考えられますし、また、いわゆる空期間、海外居住期間等でございますが、ございます。あるいは共済組合期間など、社会保険庁が受理していない記録もございます。  そういう点で、御要求のデータについて、私ども直ちにこれをお示しすることが困難であると、そういう状況にあるわけでございます。
  48. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今実は委員、この前、蓮舫委員の御質問でお答えしたかと思うんですけれども、今システム上はすぐそういうのは出ない。例えば五歳刻みとか都道府県別。  それで、今実は私、指示して考えていますのは、窓口行きますね、例えば津田委員が行かれる。それで年金記録を回復したと。結局最終的に、今三か月に縮めようと思って努力していますけど、六か月後にしか現実に例えば振り込みができないということなんで、そうすると窓口で、自分の年金の記録はこう回復されましたと。それで、ラフな計算で、概算でいいんですが、例えば一月につき三千円これで上がりますというようなことが出ます。それをフォーマットを今作らして、それをきちんと、例えば津田弥太郎さん、あなたは、まあ受給者とした場合に、これだけ増えますと、今計算して、これはまあ最終確定の数字じゃありませんですけど、大体こういうもんですということで、担当者の名前もちゃんと書き、判こも押して、こういうものですということを作らせると。そしてそれを集積していけば、蓮舫委員がたしかおっしゃった、全体でどれぐらいの金額になるんですかというのは、それを毎日各センターから集積していけばいいんで、統一フォーマットにして、それで、手書きというよりも、ぱっとコンピューターで打てば積算できますんで、それを今早急にやる形で全体像をつかむ。  そして、今の二十五年の方が、本当は二十五年超えているのに二十四年六か月とかいうのが、回復できたときにはまさにゼロが全部満額増えるわけですから、そこに、今の二十五年が、間違いで二十五年満たしましたよというふうに、ちょっと何か一つ欄を付けるとか、そのフォーマットの中にそれが明記できるような形にすればできると思いますんで。  今、実は蓮舫委員の御質問におこたえする形でそのフォーマットの検討をさしておりますんで、今日、今、津田委員の御質問、御提言の、それもフォーマットの中で見れれば、そうすると、例えば今日から始められれば、今日そういう方が発見できればそこに数字が出てくるんで、ちょっとその工夫を早急にやらしていただいて、残念ながら今のシステムだと出ないんで、これを一日も早く検討させて実現させたいと思います。  かなり検討を進ませておりますんで、またその進捗状況について御報告いたしますが、その形で対応できるかなというふうに思っております。
  49. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 リップサービスではないわけですね。  さっきから、あれも駄目、これも駄目ってね、むしろ今、私責めている問題じゃないんですよ。二十五年を、三百か月を満たしたか満たしてないかというのは、これ極めて、ある面では多くの国民皆さんに対して、ねんきん特別便に対して、極めて神経質になってもらいたい、そこらに投げないでもらいたいと。もしかしたらそういう方がいるんですよと、あるいは何十人、何百人、何千人も無年金から受給者になった、こういう人が出てきたんです。宝の山があるんです、あの中に。ということを知っていただければ、こんな低い回答率じゃないはずだ。本当にみんな真剣に老後のことを、七十五歳から天引きされることも含めて考えれば、本当に生活を守るためにこれ重要なところだと思うんですよ。  ですから、私は、責めてるんじゃなくて、この課題を解決をしていくための極めて重要なツールになる、だから申し上げているということでありまして、大臣、その辺はよく認識をしていただきたいと思いますし、この問題は、私は前の委員会でもこのことを委員長にお願いを申し上げておりますんで、再度委員長の方で取り扱っていただきたいと思います。
  50. 岩本司

    委員長岩本司君) 引き続き理事会で協議いたします。
  51. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 時間がなくなりました。  最後大臣、このペーパー、四月七日の予算委員会、実はこの予算委員会はテレビ入りで行われました。この方についての大臣の答弁が求められたわけでありまして、大臣の答弁は、なかなか事業主の方の御協力を得られないというふうに四月の七日の予算委員会で答弁をされているわけであります。  しかし、この事実は違っておりまして、当該案件の事業主は社保庁の担当者に対して、第三者の立会いの下であれば事情聴取に応じるという回答を予算委員会が開かれる五日前の四月の二日に既に行っております。これに対して社保庁の担当者の方は、検討して後日連絡をいたしますということになっていたんです。このことについて私どもの部門会議で四月の十五日に議論をしましたところ、当該社保庁の担当者自身も今先ほど申し上げた事実経過を認めているわけであります。  勝手に標準報酬月額を引き下げられた事業主の立場からすれば、社保庁に不信感を持っているわけで、当然第三者の立会いということを求めるのは私はおかしくないと思うんです。第三者がいたんじゃ話ができないという方がおかしいんです。第三者がいようがいまいが事情聴取をするのは当たり前のことなんです。もしかしたらその立川かどっかに転勤した職員の方に問題があるかもしれないというふうに何で思えないのか。これ私は不思議でしようがない。  特に、民間のこの方が、大臣のテレビ入りの発言によって名誉を著しく傷つけられたということをここに書いてあるわけでありまして、これは私のいつも使っている言葉で申し訳ありませんが、落とし前を付けなければなりません。これは大臣、謝罪してください。お願いします。
  52. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その四月一日の民主党の会議においてこの証言の後も協力依頼を行ったということなんですけど、第三者の立会いについては、従業員の個人情報にも触れるということで、守秘義務の観点からは第三者、その第三者の場合に弁護士であるとか、そういう特定の方を除いた場合はこれは守秘義務上は問題あるとして、第三者の立会いがない形での協力依頼を社保庁が行ったというふうに私は聞いております。したがって、それに対してこれは前向きの回答をいただけなかったということについて申し述べたわけですから、私は虚偽の答弁はいたしたつもりはございません。  したがいまして、更に四月十六日にも社保庁の方から事業所に関係書類の郵送をしていただいたところであって、引き続き協力をお願いしたいと、そういう第三者の立会い云々についての守秘義務との絡みでこのポイントについて申し上げた次第でありますので、私はそういう報告を受けておりましたから、その時点での御協力、つまり第三者抜きの依頼ということに対する答えをいただいていないということについて申し上げておきます。
  53. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 済みません、時間超過して申し訳ないです。  これ、個人の名誉を著しく傷つけているんですよ。だから、本人は事情聴取に応じると言っていると。第三者の問題は確かに調整をしなきゃいかぬ点はあるかもしれない、百歩譲って。しかし、事情聴取に応じるというのと、なかなか事業主の協力が得られないというのじゃ全然違うんです。このことについてはまた後ほど議論を深めてまいりたいと思います。  以上で私の質疑を終わります。
  54. 足立信也

    ○足立信也君 民主党の足立信也でございます。  私は、後期高齢者医療制度一本に絞って質問させていただきます。リテラシーの差といいますか、違いがある分はちょっと勘弁願いたいと、そのように思います。  二年前の医療制度改革関連二法案、これはもう皆さん御案内のように、ここにも相当なメンバー残っておられますが、衆議院で強行採決されました。参議院では、衆議院より、その強行採決よりも短い審議時間、三十四時間で終結という形を迎えました。ただ、参議院としては、衆議院のように委員長の体に触れるとか、そういうことは避けようということで委員長の周りで抗議をいたしました。しかしながら、この制度が成立してしまった場合には大変な問題が起きるということで、全会一致で二十一項目の附帯決議を付けたわけです。  私は、全会一致の附帯決議ということですので、この参議院あるいはこの厚生労働委員会を代表するつもりで、この附帯決議に沿って質問したいと、そのように思います。  私は、二年前の衆参の議事録を全部読みました。今日の事態はすべて想像できております。ただ、残念なことは、このことがメディアにほとんど報道されなかったということですね。しかし、今日の事態はしっかり予測はできていた。あとは行政がやることです。このことをまず申し上げたい。  最初に、ちょっとこれ通告していないことなんですが、先ほどの長寿医療制度のことなんですけど、総理からの指示大臣も合意されたということなんですが、これ七十五歳以上のすべての方と、六十五歳以上の三級以上の障害を持った方ですね。大臣、障害があったら六十五歳で長寿ですか。
  55. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、七十五歳以上の後期高齢者制度であれば七十五歳以上です、それは。
  56. 足立信也

    ○足立信也君 全然認識が違うじゃないですか。六十五歳以上七十四歳未満の一定の障害があった方、これ政府は寝たきり等と言っていますが、一級、二級、三級じゃないですか。この方々が入るんでしょう。六十五歳で障害があったら、長寿ですか、長生きですか、それを喜ぶべきですか。そういう認識ですか。
  57. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは選択できるという制度にしてあります。
  58. 足立信也

    ○足立信也君 谷さんが後で刀を磨いて待っているようですので。ただ、私も後でまた触れます。これは通知を含め、選択制になっているとはとても思えないんですよ。そのことは後で言いますね。  附帯決議についてなんですが、これはまず附帯決議二十一項目あるうちの二からいきますね。  これは、都道府県、市町村、広域連合そして保険者への支援は十分に行う、そして支援金を出す保険者の意見を反映させる、そして後期高齢者広域連合の設立や制度の創設を円滑に進めるように、これくぎを刺しているんですね。円滑に進めるのは相当大変だろうと思っておりますので、附帯決議の二で円滑に進めるように、そうすべきであるということ。それから、六においては、広域連合による被保険者への通知が十分行われるよう配慮すること、このことも書いてあるわけです。  今回のこの大混乱は、聞いてない、あるいは電話をしてあるいは窓口で質問をしても答えられない、その事態なわけですよね。この附帯決議二、六、十分な周知に努めること、円滑に進めるように行政として対応することと、このことに対して、大臣、率直な反省の弁をください。
  59. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんなところで委員御承知のように混乱が生じておりますし、いろんなミスも起こっております。そういうことについては、これは、周知徹底努力が欠けていたということはそれはもう率直に認めないといけないと思います。  ただ、もちろんこの後、全国都道府県の担当課長、広域連合事務局長会議の開催、その他事務処理に関する事務連絡の発出をやる、さらに予算措置も努める、いろんな手当てはこれは行政上はきちんとやってきてはおります。しかし、今回のような混乱が起こったことについては、それはきちんと反省していかないといけない。  それからもう一つは、制度ができて二年間ありました。しかし、昨年の末に例えば急激な負担にならないように凍結措置をした、そういう点も市町村の事務が煩瑣になったことにもかかわっていると思います。更に言えば、一般の国民方々に対して更にもっと分かりやすい形での説明が十分なされてこなかったのではないか、そういうこともこれはきちんと反省しないといけないと思っております。  そしてまた、今そういうことを全力を挙げて国民に対して、そしてまた各広域連合、自治体に対しても周知徹底をする。総務省との間で連絡会議もつくりましたし、それから自治体の担当の方がいつ御相談に来られても厚生労働省として対応できるようにホットラインを開設すると、こういう努力を今行って、これまでの周知徹底不足に対して全力を挙げて対応してまいりたいと思っております。
  60. 足立信也

    ○足立信也君 反省はするということですが、資料を御覧ください。先ほどの障害者の件について少しだけ触れておきます、触りの部分。  これは、今年の二月六日に厚生労働省保険局総務課長から出されたものです。この二枚目を御覧ください。特に最後の丸ですね。「後期高齢者医療制度に加入した後でも、広域連合へ障害認定の申請の撤回を申し出ることができます。その場合には、この申し出を受けて広域連合が障害認定を取り消した日から、後期高齢者医療制度を脱退し、国民健康保険又は被用者保険に加入することになります。」と。  これは障害認定と後期高齢者医療制度が一体化しているという説明になるわけですね。  これで、先ほど選択制だとおっしゃいましたが、まず確認したいんですけれども政府はいつも六十五歳から七十四歳まで寝たきり等というふうに説明しますが、私は、一級から二級、三級それから四級の一部というふうに認識しているんですけれども、これは寝たきり等で通すんですか、それとも具体的には私が今申し上げたことで正しいんですか。これは局長で。
  61. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。  寝たきり等という簡便な表現を使っていることもございますけれども、内容は一定の障害の状態にある方でございまして、中身的には、今委員の御指摘のとおり、一級、二級、三級という障害の程度にある方でございます。
  62. 足立信也

    ○足立信也君 六十五歳では、これ被用者保険に入っている方は相当おられるんですよ。そして、先ほどの通知の一番下のところですね。これはやっぱり障害認定とそれから後期高齢者医療制度が一体化しているとしか読めないんですよ。これで地方自治体は今混乱を起こしているわけですね。後期高齢者医療制度に加入しないと障害者医療費助成が、これ県単事業ですが、受けられないとはっきり決めている自治体が十ある。そういう事態ですね。これはやっぱり後期高齢者医療制度に入らなければという規定になってしまうんではないですか。非常に厳しい選択を迫っているんですか、それとも。
  63. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) その点について御説明をいたしますと、まさに長寿医療制度におきましては、六十五歳から七十四歳までの一定の障害の状態にある方につきまして、その申請に基づいて長寿医療制度に加入することができると、またその申請を撤回することができると。ただ、その制度切替え時点におきましては、届出負担を軽減するために入ったものとみなすわけでございます。  したがいまして、法律どおり運用されますと、申請に基づき、入りたいという方は加入することができるわけでありますし、入りたくないという意思をはっきりさせた方については制度に入る義務はないわけでございます。  さらに、ここで言っておりますのは、いったん加入した後でもその申請の撤回を申し出ることができるということでありまして、まさに選択できると、選択制を取られているということを示したものであると考えております。
  64. 足立信也

    ○足立信也君 ちょっとその前に、先ほど私、附帯決議が全会一致と申し上げましたが、共産党は反対だったと訂正したいと思います。済みません。  これはやはり、実際、被用者保険に入っていられる方、そしてこの認定に合致する方いらっしゃる。その方々には被扶養者も当然いるわけですね。この方々に対して、将来の保険料の算定もあやふやである、実際に負担がどれぐらい増えるのかよく分からない、その中で選択を迫っているわけですよ。これは非常に厳しいことだと思います。  そこで、将来の医療費の推計にかかわってくる、先ほど保険料の今後の見通しは分からないというような答弁がございましたが、じゃ、一定の障害を持った方、被用者保険から後期高齢者医療制度に変わって、被扶養者が、この場合、奥さんがいた場合は国民健康保険に入り直さなきゃいけないわけですね。お子さんがいるとその方も入るわけですね。こういうふうに被用者保険から後期高齢者医療制度に入った方で、今まで被扶養者だった方、これは新たに国民健康保険に入るわけですね。この方々はどれぐらいだと推計されているんですか。
  65. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 被用者保険の被保険者であった七十五歳以上の方が、後期高齢者医療制度が創設されることによりまして、この方々御本人は後期高齢者医療制度に移行されると。その被扶養者、七十五歳未満であれば国民健康保険に加入していただくことになります。これは委員指摘のとおりでございます。  お尋ねの後期高齢者医療制度創設に伴って被用者保険の被扶養者から新たに国保に移行される方は約七万人と見込んでおります。
  66. 足立信也

    ○足立信也君 私が聞いているのは、その部分だけではなくて、六十五歳から七十四歳の一定の障害を持った方です。この方々が被用者保険から後期高齢者医療制度に変わるわけですよね。その場合に、被扶養者であった方がどれぐらい国民健康保険に新たに入らなきゃいけないのかと、その推計を聞いているんですよ。
  67. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お尋ねの推計につきましては、行っておりません。
  68. 足立信也

    ○足立信也君 将来の国民健康保険あるいは後期高齢者医療制度、この制度の目的そのものはこれから私触れていくんですが、医療費適正化という言葉に名を借りた医療費削減策ですよね。これでどれぐらいの方が保険制度に移行するか推計もしていないということですか。分からない。もう一度。それは、しなくてもいいということですか。
  69. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) しなくてもいいと申しますか、観念的にはもう既にその数字は把握されていると思います。ただ、集計はまだなされておりません。そういう意味で、今推計の問題というよりは、むしろ今現実のその数字を把握しているかどうかということだろうと思いますし、また、どうしてそういう数字に至ったかと、いろんな、どういう御意向であったか、どういう御判断の下にされたのか、それはもう少しこれ調べてみたいと思っております。
  70. 足立信也

    ○足立信也君 これは、当然のことながら後期高齢者医療制度には均等割というのがすべての方に掛かっているわけですね。人数の推計ができなきゃいけないわけです。それから、国民健康保険にもいろいろ試算の根拠がありますけれども、これは平等割、均等割が入ってくるわけですね。だとしたら、人数が把握できなくてどうやって保険料計算できるんですか。矛盾していませんか。  少なくともこれ、千三百万人、千三百万人と言いますが、千三百万人のうち生活保護を受けている方が百万人、マイナス百万人ですね。しかしながら、六十五歳以上の一定の障害を持った方が百万人。プラス・マイナス・ゼロで一千三百万人という推計ですよね。だとしたら、先ほどの保険間の移動はある程度分かっていないと保険料計算できないじゃないですか。少なくとも均等割が両方あるわけですから、国民健康保険もそれから後期高齢者医療制度も。  これ、先ほど検討はしていませんと言いましたが、すぐにでも開始すべきじゃないですか。これ保険料の計算、困りますよ、これから。これからどういうふうに取り組まれるか、その考えをお聞かせください。
  71. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 保険料の計算自体は、これは推計とは別に、それぞれの広域連合において被保険者数の見込みを行い、所得を把握をし、翌年度ないしそれから翌々年度の医療費推計をして付加保険料を決めていくという作業の積み上げになるわけでありますので、私どもの、先ほど来お話のある将来見通しとは別に、現実の予算編成過程を通じてなされるものでありますので、特段、今御指摘の、それがなければ動かない、保険料が計算できないというものではないわけでございます。
  72. 足立信也

    ○足立信也君 いや、本当にそうでしょうかね。私は、均等割という、数の把握ができなければそれは無理な話だと思いますよ。この点を是非ともこれから検討してください。  次に行きますね。  これも二年前の審議のことなんですが、これは十八年、二年前の医療制度改革で、二〇二五年、今から十七年後の国民医療費は六十五兆円から五十六兆円へ削減できたということですね。これは、平均在院日数の短縮で約四兆円。それから、十八年、二年前の小泉総理が、三・一六%の診療報酬引下げと、これ史上最高の引下げだと誇らしげに語っておられましたが、これで約二兆円。残りの三兆円は何で、どういう方法で削減されたんでしょうか。
  73. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 平成十八年の改正当時でございますけれども国民医療費につきましては、二〇二五年時点で六十五兆円から五十六兆円、医療給付費ベースでは改正前の五十六兆円から四十八兆円になると見込んでいたわけでございます。  効果という点ではこの給付費に着目するわけでございますが、一つは平均在院日数短縮で四兆円、これは御指摘のとおりでございます。それから、十八年診療報酬改定、当時は三・一六%でありますけど、一兆円でありますが、それが二〇二五年まで視野に入れて影響を算出しますと、これも御指摘のとおり二兆円というふうになるわけであります。  これ以外でございますけれども一つは、生活習慣病対策の効果がこのころまでには出てくるだろうということで二兆円を見込んでおります。さらに、短期的方策、患者負担の見直しでございますが、例えば現役並み所得者三割と、もう既に実施しておりますけれども、そういった短期的方策の影響が二〇二五年に及ぼす影響というものをはじいたのが一兆円ということでございます。
  74. 足立信也

    ○足立信也君 窓口負担を増やすことによって一兆円ということですね。これはこの後お聞きします。  そこで、まずちょっと気になっていることだけ確認したいんですが、局長は、資料も示されて、この中で七十五歳以上の医療費が、二〇二五年ですね、三十兆円から二十五兆円へ削減できたと、こういうふうにおっしゃっています。ところが、当時の川崎大臣はこれ二十三兆円というふうにずっと答えておられるんですよ、議事録見ると。どちらが正しいんでしょうか。
  75. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 二十三兆円というのは医療給付費のことだと思います。一方で、二十五兆円は国民医療費でございまして、二十三兆円は医療給付費だと考えられます。
  76. 足立信也

    ○足立信也君 私もそう思うんですが、大臣は混同していたんです、ずっと。この区別が付いていなかったんですね、説明で。国民医療費なのか医療給付費なのかまるっきり区別が付いていなかったんですよ、あのときの議論で。私はそう認識していました。ここがやっぱり問題だと思っているんですね。実際の医療費を推計するのに、国民医療費なのか医療給付費なのか混同して話されている。  ただ、今のお答えですから、もう一度繰り返しますよ。ということは、五兆円削減ですね。七十五歳以上で五兆円。先ほどの説明からいきますと、七十五歳以上から五兆円削減する、合わせて九兆ですから、七十五歳未満から四兆円の削減でいいんですね。
  77. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) そのとおりでございます。
  78. 足立信也

    ○足立信也君 これ、皆さん比率を考えてほしいんですけど、七十五歳以上というのは一千三百万人、十分の一ですよ、国民の。九対一ということになるわけですけどね。それで、七十五歳以上から五兆円削減して、七十五歳未満からは四兆円削減するんですよ。半分以上ですね。  これ、今御存じのように国民医療費三十三兆円ですね、七十五歳以上が十一兆ですね、三分の一ですよね、今三分の一。二〇二五年の推計は、先ほどから出ておりますように国民医療費五十六兆で、七十五歳以上が二十五兆なわけですね。これは半分以下ですよね、かなり少ない。なのに削減額は七十五歳以上が半分以上、六割近い、こういう事態になっているんですよ。全くこれ比率が合っていないと思いますよ。  これは解決するためにはどういうことかなと私考えたんですけど、医療費で七十五歳以上五兆円削減する、これはどうやったら七十五歳以上だけこんなに多く削減することができるのかと。これはまさに七十五歳以上をターゲットにした医療費抑制策でしかあり得ないんですよね。今までの比率と全然違うじゃないですか。説明ありますか。
  79. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) こういった後期高齢者の方に比較的厚く出てくるわけでございますけれども、これは先ほど申し上げました長期的な医療費適正化の方策が、生活習慣病予防、それから長期入院の是正という二つ大きい項目を挙げておりました。こうしたことの効果が出てくるのは、主として、例えば予防にしましても、まさに健診、特定保健指導、これは釈迦に説法でございますけれども、脳卒中予防から重症化予防ということで、効果が出てくるのはむしろそういった後期高齢者になってからの割合が大きいだろうということ。それから、長期入院の是正にしても、入院が多いのは高齢者に多いわけでありますので、そちらサイドにより厚く影響が出てくるということでありまして、特にこれはそこをねらい撃ちにして、例えば患者負担削減とかそういうことをやるということでありませんで、医療内容をまさに適正化することによって、結果としてこういった医療費の削減を見込んでいるということでございます。
  80. 足立信也

    ○足立信也君 ねらい撃ちにしたんじゃないと、これはずっとそうおっしゃっていたわけですが。  資料の三を御覧ください。先ほど窓口負担で一兆円の削減だとおっしゃいました。じゃ、十八年度の医療制度改革以降、窓口負担が増えたところはどこなのかと。これ、七十歳以上の二割から三割の現役並み所得と、七十歳から七十四歳までの、まあ今回凍結されましたけど、法律上は二割負担ですね。七十歳以上のここだけですね、ここだけ窓口負担を増やしたことによって一兆円削減するんだとさっきおっしゃったわけですよね。まさに、七十歳以上のところがターゲットなんですよ。  そこで、窓口負担の引上げでどうして医療費削減になるんですか。そこをお聞きしたい。窓口負担の割合を引き上げる、これはトータルの額は同じで、自分が払う部分と保険から出る部分の割合が変わるだけですね。これ、どうして医療費削減になるんですか、教えてください。
  81. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) こういった制度的な給付率の変更に伴いまして医療費の水準が変化するということが経験的に知られておりまして、この効果を長瀬効果と呼んでいるわけであります。すなわち、患者負担を増やした場合、そのシフトする部分はそれは単なる財源のシフトでございますけれども、その結果、給付率が低くなる、患者負担が増加する制度改革が実施されますと受診行動が変化して、受診率が低下したり、一件当たり日数が減少するということによりまして医療費の水準が低くなるということでございます。
  82. 足立信也

    ○足立信也君 長瀬効果ですよね。受診抑制じゃないですか。受診率が下がるから医療費が削減されるんじゃないですか。川崎大臣を始めとして、ずっと受診抑制はしないんだって強弁してきているんですよ。でも、今の根拠は受診を抑制されるからじゃないですか。(発言する者あり)いや、言い訳利かないとは思いますよ。今はっきりそうおっしゃったわけですからね。これはなぜ窓口負担を増やしたら、割合を増やしたら医療費が削減できるのか、これは受診抑制であると。もう一回答えてください。
  83. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 長瀬効果自体はまさにこの給付率が低くなると受診行動が変化する、受診率が低下したり、一件当たり日数が減少するということでございまして、これはある意味で不必要な受診が抑制されるということであろうかと考えております。
  84. 足立信也

    ○足立信也君 今、二つ問題があるんですね。これは一つは、受診抑制は認めているということですね。それから、その内容は不必要な受診を抑制するんだと。これは、不必要かどうかというのは、じゃ患者さんが判断するということですか。受診をするかしないかの判断は患者さんでしょう。患者さんが、これ私は必要ない医療だろうと、そういうように判断して決めなさいということを今おっしゃったんですか。
  85. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) これは事象として観察されるわけでございまして、例えば平成十五年、三割負担、十四年でしたか、三割負担が行われたわけでありますけれども、そのときにはやはり受診延べ日数が低下しているという事象があるわけでありまして、これ自体はまず起こっているわけであります。その結果として、それじゃ大きく健康状態が悪くなったかということは必ずしも言えないわけでありまして、そういう意味では、何と申しますか、抑制できる受診が抑制されたというふうに考えております。
  86. 足立信也

    ○足立信也君 今おっしゃった前半の部分は、これ厚生労働省の科研費で出ているやつですよね、私、それ読んでいます。やっぱり明らかに受診抑制するんですよ。まさに今、後半の部分、先ほどの質問の後半部分、これはだれが判断するんですか、そのことを答えてください、抑制するというのは。
  87. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) それは様々ケースがあると思いますけれども、患者さんが判断されることも多いと思いますし、医療機関側で判断する場合も、例えば長期投薬ということを併せて考えますと、考えることもあろうかと思います。
  88. 足立信也

    ○足立信也君 患者さんが判断すると。医療機関は、この間の議論でずっとあるように、今大変な状況にあるというのはもう皆さん共通認識なんですよ。ですから、これはやめましょうねと医療機関から自粛していくということよりも、やはりこれは患者さんに求めているんですよ、行くのをやめなさいねと。医療費を安くしたい、保険料を安くしたいんだったら、控えなさい。自己負担を上げるのは患者さんに受診抑制行動を期待していると、まさにそのことなんですよ。  二年前、大臣は、一切ないんだと、このことを何度も何度も言うんですよ。これは明らかに間違っていると私は思いますし、皆さんももう共通認識だと思います。明らかに言います。窓口自己負担割合を上げることは受診抑制が目的です。  先ほどの資料三の下の部分をちょっと御覧ください。私これ計算している部分なんですが、これ、窓口自己負担が、夫と妻が同じ年ならいいですよ、これ現役並み所得というのは一人世帯の場合三百八十三万ですよね、二人世帯で五百二十万以上。夫が先に七十五歳に到達するか妻が先に七十五歳に到達するかでこんなに違うんですよ、今までと比較して。これ、私、いろんなところで講演依頼されるので必ずこれ出しているんですけれども、こういう状況だったら分かりませんよ。分からないということはどういうことか、やっぱり行かない方がいいんじゃないかなと、みんなそうなると思います。これ見てください。自分の収入、それから奥さんあるいは夫の収入によってこれだけ変わってくるんですよ。下がるかなと思われるのは、四番のところだけですね。夫が三百八十三万円未満、夫婦で五百二十万円以上、こういう場合ですね。これだけのことを、家庭家庭、世帯世帯で想像できるはずがないんですよ。分かりません、私も、計算できないと思います。だから全体に抑制が掛かるんだと私は思います。  そこで、次に行きますが、これ、私、二年前の議事録全部読んだって言いましたが、これ、この制度の目的なんですね。次の四枚目を御覧ください。  これ目的が一、二ありまして、一にも医療費の適正化を推進する、二にも費用の適正化を図るための取組、要するに医療費抑制策なんですよ。  西島委員がいらっしゃいませんけれども、先週、彼が、今までの受けていた医療は安心して受けられるんだということをおっしゃいましたが、これ、二年前の五月二十三日のこの委員会での西島委員の発言なんですが、この制度は医師会から自民党に提案し、前回附則に書き込み、今回制度化した。医療費適正化、つまり医療費削減のための法律です。七十五歳以上はみとりの医療なのだから、包括的な医療にしたらどうかということを発言されている。提案は二つあって、医師会からの提案だということなんですが、七十五歳以上で切り分けた制度をつくること、それはみとりの医療だということ、二つ目が包括化医療の推進。前回の発言と全く違うと私は思うんですが、そして、そのとき水田局長にその結果どれぐらい医療費が抑えられたかという質問に対する答弁が、先ほどの二〇二五年に三十兆から二十五兆へと五兆円の削減ですという答弁なんですよ。これ、目的のところにもあるように、明らかな医療費削減策なんですね。現場はこれまた相当な痛手を被っているという事態。  今までは二年前に成立したこの法律の目的から窓口自己負担の話をしてきました。次は保険料のこと、今大変混乱を起こしている保険料のことに移っていきたいと思います。  附帯決議の四に、我々が付けました、自民党さんも一緒になって付けました、高齢者に負担が過度にならないよう留意し、低所得者への十分な配慮を行う、こうしています。負担が大きく増えたり同居すると減額措置がなくなる、前回、私申し上げました。百三十五万円の妻、百五十三万円の夫であれば、どちらも均等割のうちの七割が軽減される、しかし、そこへ百五十四万円以上収入のある人と同居していれば軽減措置は全くなくなると、このようなことなんですね、減額措置がなくなる。そして、被扶養者の保険料に特段の軽減措置を講ずると、こういうふうになっています。  特段の措置なんですけど、被扶養者から後期高齢者医療制度へ加入する方の保険料は、これ二年間だけ均等割の半額ですよね。これが、今回わずか半年の凍結がありましたが、二年間だけの均等割半額と、これで特段の措置と言えるんでしょうかね。十分な配慮と言えますか。
  89. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいまの保険料の、被扶養者であった方に負担していただく保険料の扱いでございますけれども、これは本則で二年間、保険料を半額にするということでございます。これは仕組みとしては恒久措置でございまして、二年後に仕組みがなくなるわけではございません。これから加入される方についてもこれは適用されるわけであります。  特例措置については、これは二十年の措置でございますが、なぜその二年間で足りるのかということでございますけれども、二年間の軽減措置を更に延長するということになりますと、同じ年金を受けている高齢者が一方では保険料を払い、負担していただいているわけでありますので、それとのやはり均衡ということを考えますと、これをずっと延長するということはそれは適切ではないと、このように考えたからこのような措置をとったわけでございます。
  90. 足立信也

    ○足立信也君 二年間が妥当なところかどうかというのは大変な議論が必要だと思いますが、不均衡を生じないようにという御説明ですね。  ところで、先ほど私ちょっと気になったんですが、津田議員の質問で、保険料の将来的な推計については確たるものはないというようなことでしたが、二年前の議論でこれは明らかなのは、皆さん後期高齢者に対する給付費の一〇%が御本人たちの保険料だという認識でいると思うんですが、ところが保険料は、これ局長の答弁なんですけど、これから少子高齢社会が進むと若い人が減っていくだろう。これは四割負担することになっているわけですね、今。ところが、若い人が減ると若い人一人頭の保険料の負担が多くなる、ですからこの増大分の半分は高齢者に回すという制度設計ですよね。ということは、一〇%ではないということですよね。そこは明確にお答えください。
  91. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 十八年の改正当時の考え方は、若人の負担が、今後少子化に伴って負担が増えてくると。その場合、若人の負担増の半分については高齢者にも担っていただこうということで考え方を、分担のルールを定めておりまして、当時は、一〇・八%に二〇一五年時点で伸びるだろうと、平成二十七年度、二〇一五年で一〇・八%にこの後期高齢者負担率が上昇すると、このように見込んでいるわけであります。
  92. 足立信也

    ○足立信也君 既に二年前にそういう議論はされており、一〇%にとどまるわけではないということを再認識いたしました。  ところで、先ほどからの議論にある二千二百億円の削減の件なんですけど、これは十八年度改革、これの将来予測で、先ほど、二〇二五年に六十五兆から五十六兆、後期高齢者は三十兆から二十五兆という話がありました。これは二千二百億円の削減の外の話ですか。それとも、この中に入っている話でしょうか。
  93. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは外の話です。
  94. 足立信也

    ○足立信也君 ということは、今年の診療報酬改定で、マイナス、トータルで〇・八二、これは二千二百億円の中に入っているということですね。ということは、大臣が明言されている来年の介護報酬改定では上げるんだと。ということは、何かを下げるということですね。  そして、もし仮に、再来年の話をしてもちょっと大臣には問題かもしれませんが、来年介護報酬を上げたら、再来年の診療報酬は下げるんですか。二千二百億円の中の話ですね。これ先ほど、もう少しはっきりしないと、少なくとも介護報酬を上げるって言っている以上は何かを下げるはずなんですよ。そこのところの考えをお聞かせください。
  95. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 介護報酬については、片一方で介護保険料をどうするかということとの絡みがあります。  したがって、今働いている人たち、介護労働者、それから介護の経営をやっている事業主、これの今調査を行っているところでありまして、私は保険料を上げるということも一つの視野に入れないといけない、そして介護報酬を上げると。つまり、今余りに劣悪な労働環境にありますから、それを上げる方向で私はやりたいと思っています。そのときにどこから財源を持ってくるかということについては、それは国民の御理解がいただければ、介護保険料自体アップするということもまた一つの視野に入る。  しかし、二千二百億円の問題については、これは来年度の予算については、これは単年度制度ですから、きちんと議論をして必要な予算を付けると。限界に来ているものについては、これはしっかりと政府全体で議論をしてもらうと。そういう立場ですから、どこかを上げればどこかを下げるという単純なトレードオフの関係にはないというふうに思っております。
  96. 足立信也

    ○足立信也君 今の段階ではお答えは非常に難しいとは思っていますので。  今、限界説ですと、介護分野は私も共通に認識します。これは、医療の分野はどうなんですか、大臣認識は今現在。限界にあるという認識でしょうか。
  97. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 医療についても私は限界に来ていると。つまり、先ほど申し上げましたように、様々な施策を展開しなければ国民のニーズに対応できない。  もちろん、例えばコメディカルを活用するスキルミックスなんということをやっていけば、それは例えば助産師であるとか介護士、看護師、薬剤師、こういう方々の役割転換を、例えば法律を変えることによってやるというような形になれば、それはコストは余り掛からない形でできるかもしれませんが、しかし、それだけで済むのかと。例えば、養成する医師を増やすとすれば、それは直接厚生労働省予算ではなくて、これはむしろ文部科学省の予算になるかもしれませんが、いずれにしても様々な手当てをやるときには、やはり今のこの抑制された財源では極めて困難であるというふうに思っております。医療の分野についてもそういうふうに思っております。
  98. 足立信也

    ○足立信也君 医療の分野限界であるという御発言でした。  保険料について、私、今質問しているわけですけれども、私もあるいは我が民主党もいろんなことを調べて、実際に保険料は国民健康保険と比較してどうなるんだろうと、これやりました。その一例が資料の五、六です。新聞にも書かれておりますように、私の全体の概観ですと、単身世帯は保険料が下がる傾向がある。しかし、先ほど私例を挙げましたように、夫婦世帯あるいはそこへ今まで被扶養者だった方がいた場合はどうも上がる傾向にあるという大体の傾向がつかめると思います。  これは東京保険医協会作成のものなんですが、まず五枚目は、これ二十三区、世帯の所得別の保険料の変化ですね、一番右から二番目です。後期高齢者になると、これは所得の低い方はほとんど上がる、それから所得の高い方はほとんど下がる、これ二十三区内ですね。六枚目は、二十三区外の市町村です。これ、十五万円までと四十万円のところを除くと全部上がる。こういう傾向なんですね。  全体を調べた統計は今のところないというふうな話もありましたが、やはり私は、これで御覧のように、特に夫婦世帯以上、あるいは収入の低い世帯はかなり保険料が増えて苦しんでいると。そして、実際に医療機関でも世帯分離した方が楽ですよということを言っている。窓口でそういうふうに説明しているところももう出てきている。これは確かなんですね。  そこで、これはデータがないというふうに答えられるかもしれませんが、やはり収入の低い方にかなり厳しい、そして世帯分離を推奨するような方向性を含んでいると、こういう認識についてはいかがでしょう。
  99. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) まず、資料でお示しになった東京都におきます保険料の国保との比較でございますけれども、これはかなり大きな特殊事情が東京にはございます。  一つに、かなり大きな金額の一般会計繰入れというものを国保に行っておりまして、それが今度、長寿でも一部継続されますけれども、かなりその受入れの額が減るということがございます。その分が保険料に転嫁されるということでございます。  もう一つは、国保料の算定方式としまして、住民税方式という大変控除が多い仕組みを取っておりまして、その結果として賦課ベースが大変小さい仕組みを東京都は取っておられます。一方で、長寿医療の方は、これは国保での一般的なやり方でございますので、基礎控除だけを認めているものでございます。  したがって、賦課ベースが広がることによって一部低所得のところが増える、それから、先ほど申し上げました一般会計繰入れはないと、この二つの効果が合わさって来ているものと思われます。  したがって、この点につきましては、ただ、東京都の広域連合議会においてまさにこの水準についても議論がされ、全会一致でこれで行こうと。ただし、こういった保険料が引き上がることによって生活にお困りの方が出た場合には、それは個別に対応していこうと、こういう議論が東京都の広域連合議会でなされて、その結果として全会一致で決められたものでございます。  全国一般ではどうかといいますと、こういった特別の事情がないところでございますと、従来の市町村単位の国保料と県で一本の比較でございますので一概には言えないわけでありますけれども、一番普及している算定方式による全国平均的な保険料で比較をいたしますと、基礎年金や平均的な厚生年金だけで暮らしておられる方の負担は軽減されるものと考えております。  それからもう一つ、家族との同居、軽減要件の判定のときに家族の所得が考慮される、その結果として世帯分離を促すんじゃないかと、こういう御指摘ございましたけれども、これはある意味で、高額所得者の息子さんと同居している高齢者の場合を想定していただくといいと思うんですけれども、仮にこの高齢者の方が低年金であったとしても、世帯として見ますと高所得世帯でありますので、その世帯の保険料を軽減するということは実態から見て適切でないということで、従来から国民健康保険介護保険でこういった考え方が取られてきているわけでございます。
  100. 足立信也

    ○足立信也君 障害者自立支援法も、それから介護保険法も、今回も、社会保険というのはやっぱり個人単位が原則なんですよね。  そこで、これ何度も私申し上げていますが、世帯のきずなとか家族のきずなとか、そういうことを持ち上げながら、結局は同居していると負担が多くなるという形になっているんですね。このことは、やはり私は基本的に社会保険というのは個人単位だと思っていますので。それから、これ広域連合がやることだからと言われてしまえばそれまでなんですが、実際の保険料の所得別の全国分布、これを是非とも検討していただきたい、調査していただきたい、そのことをお願いしておきます。  そこで、特別徴収のことをちょっとお伺いしたいんですが、年金からの特別徴収ですね。二年前の議論でもこれ大体八割強が該当するだろうと。被保険者の便益の向上、事務の効率化、収納の確保、これが利点だというふうに答えられている。年金額が十八万円以下と介護との合計で二分の一以上になる場合は特別徴収をしないというふうになっていますが、これ、特別徴収をしない理由は何なんですか。そして、じゃ、どのような徴収をする工夫があるんですか。そのことをお答えください。
  101. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) まず、特別徴収にしない理由でございますけれども、これはやはりこういった年金が十八万円未満である、あるいは介護と合わせた保険料額が年金額の二分の一を下回ると、こういう場合に特別徴収しないわけでありますけれども、これについてはやはり個別にその世帯の状況、つまり年金以外の収入がどうであるか、そういった点も含めて個別に当たっていく必要があるだろうということで、これは普通徴収の対象とすることとしたわけでございます。  この普通徴収の対象者につきましては、これはもう御承知のとおりではありますが、均等割所得を所得に応じて段階的に軽減すると、あるいは所得割額は当然ながら所得が低ければ低い額になる、あるいは対象外としているということで、納めやすい仕組みにしているということでございます。  また、実態といたしましては、国民健康保険制度へ加入していた七十五歳以上の方に係る国民健康保険料収納率は約九八%でございまして、他の年齢層に比べて高い収納率でございまして、納付意識が比較的高いといったことがございますので、国民健康保険部門と連携して、口座振替を推奨するなど納付しやすい環境を整えていくということが課題かなというふうに考えております。
  102. 足立信也

    ○足立信也君 今、二点おっしゃったと思うんですが、まず工夫の面で、個別に対応すると、これは資産割等も考えて、保険料が変わる可能性があるということですね、一つは。それから後半部分は、振り込みなどを考えて、これは当然所得が少ない世帯、高齢の方の世帯は家からほとんど出られないような方もいらっしゃるわけで、この利便性について言えば何らかの工夫がないと当然困るわけですね。今、二点工夫の話がありましたが、保険料が変わり得るということと、それから別の納付システムを考えると、この二点。これは、考えないとまた無理だと思っていますんで。  そこで、前回、風間委員資料として提出された、これはリビングウイルのことなんですけど、これ、当然、書式がありました中に、はっきり言って、もうこの年齢になったから医療は必要ないっておっしゃる方もいらっしゃるわけですよ。リビングウイルで実際、輸液から蘇生術までずっと書いてまして、全部希望しないという場合は、ほとんどもう、私はもう医療いいよ、十分生きたよという方もいらっしゃる、それもリビングウイルだと思うんですね。そういう方からも保険料を取るんですか。
  103. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 保険料は、まさに医療サービスを受けるに当たっての費用なわけでありますので、それは払っていただくことになります。
  104. 足立信也

    ○足立信也君 いや、笑って答えられておりますけれども、だからリビングウイルを先にやるわけですよ。お金も付くことになるわけですけど。私はもう、例えば、分かりませんけれども、心境としては分かりませんが、もう百何歳になった、もう医療はいいよと、その分若い人に使ってくれという方からも保険料を取るんですかって聞いているんです。
  105. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) それはやはり負担の公平という観点から、そういった個人の思いとは別に、これは公租公課としてやはりいただかなきゃいけないものだと思っております。
  106. 足立信也

    ○足立信也君 さっき、医療サービスを受けるからって言ったじゃないですか。受けたくないって言っている人取るんですかって聞いているんですよ。それは負担の公平ですか。  大臣にこれから振っていきますが、当然のことながら、やはりこの特別徴収を外す中には、これはやむを得ないだろうと、取れないだろうという方も入っているわけですよ。それなのに全員から集めるんだということを強弁するからこうなっているんですよ。でも、リビングウイルってやっぱりそういうものだと思う。私はもう医療を受けたくないと、その分子供に回してくれという方々からもやっぱり全部。  例えば我が党は、ある一定年齢に達したら保険料は取るべきじゃないというふうに考えているんですよ。窓口負担で十分だと。これも一つの考えだと思うんですよ。もう医療を受ける必要はない、自分はもうそこまで十分生きた、その方々からも保険料は取る、百十歳になっても、という考えですか、大臣
  107. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、私は大臣になる前、リビングウイルを法制化したいなと思っていました。そのときに、例えばリビングウイルを明言した場合に、その中に一切の医療サービスを拒否すると。例えばその場合に今の保険料についてはしたがって支払わないというような仕組みをつくるかと、これはきちんと議論をしてやる。それをやるのも一つの方法だと思いますけれども、しかし自助、共助、公助ということになったときに、じゃ例えば、医療費というのは保険料だけで賄っておりません。税金も半分は掛かっています。そうすると、私は医療サービスを受けませんと言ったときに、私が例えばそうだったら、私の税金のうちのどの部分が医療サービスに回っているか、それについてじゃ差し引くのかという議論にもなるわけですから、そこは、先ほど一定の年齢以上になったら要するに窓口だけの支払にするとおっしゃいましたけれども、やはり税でやるのか保険でやるのか、まさにそこに大きな違いが来ると思う。  だから私は、憲法改正議論するときに、今納税の義務しか書いてない、社会保険料を払う義務について明記しなさいと言う方がおられたんですが、私はちょっとその議論は待ってくださいと、もう少し議論してからにしましょうということで、社会保険料を加えなかったのは、実は今のような議論が起こってくると思いますのでね。  これは、例えばリビングウイルを法制化するようなときにもそういうことを十分考えて検討したいというふうに思っております。
  108. 足立信也

    ○足立信也君 まさにその本質論をやらないと、これはやっぱり小手先だけの医療費削減策だったんだなということなんですよ、二年前は。そのことはまた最後に申し上げますが。  ところで、これで、さっき七十五歳以上は五兆円削減だと、それは主にメタボリック対策だと、若いころからのメタボリック対策だと、それによって七十五歳以上の医療費が減っていくんだと。これ前回も言いましたが、これは保健指導、特定保健指導は動機付けが大体一万二千円で、積極的支援が三から六か月の継続で約三万円だという話をしたんですね。  そこで、これはどこで受けるかということの中で、説明では、会社員の妻など扶養家族は健康保険が指定した医療機関、国保の加入者は近所の医療機関で健診を受ける、しかし指導のメーンはこの前の答弁では保健師、管理栄養士が担うんだということでしたね。  だとしたら、これは附帯決議の九にもあるんですが、保健指導の担い手である保健師、管理栄養士を適正に配置するよう努めると。これ、実際この二年間でこの適正配置、数の面も含めて、これ保健指導が十分できるような配置になったんですか。
  109. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 特定保健指導の保健師、それから管理栄養士、二種類の必要数でありますけれども、四千七百五十名と試算しております。  現状でございますけれども、トータルしますと、保健師、管理栄養士を合わせて八千六百名。ただ、この中には、地方交付税措置を二十年度お願いしています市町村国保の保健師さん千四百名含まれています。したがって、二十年度末にはこういう数字になるだろうと。  さらに、この今回の特定保健指導でアウトソーシング、いわゆる特定保健指導機関で活躍されている保健師さん、管理栄養士さんの数が合わせて四千三十八名ということでありますので、トータルしますと一万二千六百三十八名ということですから、議員の御指摘の足りるか足りないかというような点については、足りるだろうというふうに考えています。  また、配置状況でありますけれども、現在集計しておりまして、医療機関だけではございません。市町村保健センターですとかそういうところに配置されていますので、配置状況については、また集計できた段階で御報告させていただきたいというふうに考えています。
  110. 足立信也

    ○足立信也君 じゃ、その報告を見たいと思います。  ただ、前回も言いましたように、医療機関で健診を受けた方はやっぱり医療機関に行くんですよ。そうすると、診療だというふうにしてしまうというか、ならざるを得ないと私は思うんですね。そのことだけは申し上げたい。  最後に、大臣は、前回、風間委員の質問だったと思うんですが、これ、国民皆保険を維持するにはいい制度だと。私はある意味正しいとそれは思っているんです、おっしゃることは。  これはどういう制度かというと、言わばオートレギュレーションのシステムなんですね。高齢者本人も若い人も、保険料を少なくしたければ高齢者の受診抑制を求めると、そういう仕組みなんですよ。これは持続性に関しては持続しやすいだろうと思いますけれども、やっぱり問題は中身です、さっき大臣がおっしゃったように。これは、私に言わせればずるい制度ですよ、そういうオートレギュレーションのシステム導入するということは。そこでやっぱりしわ寄せというか、標的といいますか、やっぱり高齢者受診抑制だなという形になってきてしまうんですよ。  やっぱりここは、国民負担と医療費はどうあるべきか、税と社会保険の関係はどうあるべきか、そして保険者間の調整ですね。年代ごとにはどういう負担であるべきかと、こういう本質論からやっぱり逃げているんですよ。今それをやらなきゃどうしようもない。やっぱりそのもとはどこにあるかと。これは一九八三年でしたか、医療費亡国論、局長の大先輩になると思うんですが、ここからスタートしているんですよ。その考え方を今改めないと、そして本質論に迫っていかないと危機は打開できませんよ。  そのことだけ申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 谷博之

    ○谷博之君 谷博之でございます。  今日は、私は、後期高齢者医療制度のうちの、特に先ほど足立委員からも御質問ありましたが、障害者の医療費助成の問題について絞ってお聞きしたいと思っております。  その前に、これ最近の新聞で、特に共同通信が四月の十九、二十日、世論調査をしまして、この後期高齢者医療制度には七八%の人が見直すべき必要があるというふうに回答していること。あるいは朝日新聞も、この制度を評価しないと答えている人が七一%。さらにまたフジテレビも、四月十七日に行った調査では、評価しないが七二%。これもう圧倒的にこの制度についてはこういう世論が調査として出ているわけですけれども、これ、大臣どう思われますか。
  112. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 何度も申し上げますように、二年前の六月にこの制度自身は国会で決まったことであります。その二年間、鋭意これら準備をしてきたと。そういう過程において、昨年の末に与党の方で凍結、一部の負担の凍結含めて激変緩和措置のようなことがやられた。そして、様々な周知徹底の手は打ってきましたけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、分かりやすい言葉でこの制度の趣旨について、それはいろんな利点もあるわけですから、そういうことについての十分な御説明も足りなかったと、そういうことが反映しているというふうに思いますので、今後はきちんとそういう点について分かりやすく更に説明をしていきたいというふうに思っております。
  113. 谷博之

    ○谷博之君 これは福田総理もそのように説明をしておりますけれども、じゃ、しからばお伺いしたいんですけれども、このいわゆる世論調査、評価するあるいは見直す必要はない、こういう数字が今は一〇%ちょっとぐらいなんですね。これ何%ぐらいになったら説明が足りたというふうに考えておられますか。
  114. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、それは一つ一つ世論調査だけで政治が動いているわけではありません。信念を持っていい制度であれば世論の支持がなくてもそれは貫いていくというリーダーシップは必要だと思いますので、数字について私はお答えすることはいたしませんが、十分に例えばすべての方がこの制度について御理解できているのかというと、私は甚だ心もとない。それは我々の説明不足ということがありますから、そういうことはきちんと反省して、そして説明をする。  しかし、そもそもこれは、国会においてきちんと議論があり、そして採決されて、決定したことですから、私は実施責任者としてしかるべき周知徹底の手は打ちます。しかし、見直す云々ということは、基本的には国権の最高機関である国会で新しい法律を作る必要があるわけですから、そういうことを踏まえた上で、しかし、当面はとにかくこの制度中身について、いろいろ複雑であったり分かりにくかったりする、それから市町村において様々なミスが起こったりしている、こういうことを一つ一つ是正しながら、国民皆さん方にこの制度とはどういう制度なのかということを更に議論をしていく。  そういう中で、しかしそれでもなおこれは見直していくべきであるということであれば、それは国会議員の皆さん方、各政党の皆さん方、それぞれの場で議論する場所があるわけですから、そういう形で積み上げていって、それは一度つくった制度を永遠に変えないということではなくて、必要な修正は加えていくと、そういう柔軟性は持ち合わせていきたいと思っております。
  115. 谷博之

    ○谷博之君 大臣のそのお気持ちは分からないわけではないんですけれども、例えば一つのこれ例なんですけれども、宮城県の県の社会保障推進協議会という団体が新聞にコメントを出しておりますけれども、広域連合も自治体も周知努力が足らないと、これはもう事実ですね。知らない人が知らない人に教えている状態だと言っているんですよ。だから、何聞いても、答える人も分からないし、聞いている人も分からないというのが実態なんですよ。  ですから、大臣の答弁はそれはそれで、まさに優等生的な答弁だと思いますよ。しかし、現実は違うんです。そういう意味で、厚生労働省が地方自治体、広域連合も含めてどの程度この二年間にきちっと当事者皆さん方に説明しているかということになったら、ここに書いてあるとおり、知らない人が知らない人に答えているんですよ。  こういう現実をやっぱり考えたときに、この数字というのは私は重いということを思うんですよ。それは、確かに五〇%になったらそれはもう、それで説明が足りたということかどうかはそれは別ですよ。ですけれども、今申し上げたように、現場がそれだけ混乱している。ですから、この数字というのはまさに当たり前の数字として私たちは見ざるを得ないんです。そういう点を私はしっかりと再認識していただきたい、この点だけはしっかり申し上げておきたいと思うんです。  障害者の医療費助成の問題についてですけれども、これは足立委員からも先ほど質問がありました。もう中身皆さんお分かりですから、申し上げません。  ただ、一つだけ申し上げたいのは、六十五歳から七十四歳の障害者方々が従来受けていた自治体の医療費助成が、この四月一日から後期高齢者医療制度に加入するともらえなくなるという自治体が一道十二県あります。具体的に名前を申し上げましょう。北海道、青森、山形、福島、栃木、茨城、富山、愛知、滋賀、広島、山口、徳島、福岡、この一道十二県、これは実は今まで重度障害者皆さん方にいわゆる一割の自己負担を県費、市費等で補助していたそういう制度が、この後期高齢者医療制度に加入しない限り全部ストップになっちゃうという、こういう状況になっちゃったわけなんですね。    〔委員長退席、理事蓮舫君着席〕  私は資料に今日出しておりますけれども、まず六十五歳以上のいわゆる障害者の数というのは、これは厚生労働省の保険局総務課から資料をいただきました。身体障害者の数が二百二十一万、知的障害者の数が一万五千、精神疾患総疾患者数が九十三万四千、これは六十五歳以上のいわゆる障害者の数です。このうちの一級から四級の一部を含めて認定される障害者というのは、これはすべてではありませんけれども、相当数やっぱり占められている。こういう方々が四十七都道府県の中で、少なくとも十二の道県でこの制約を受けてくるということは、これは非常に私は問題だというふうに思っているんです。  それで、そのことについてまずお聞きしたいんですけれども、これは、こういう都道府県によって取扱いが違うということについて、大臣、これどういうふうに思われますか。
  116. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいま委員指摘のあった問題点は、長寿医療制度に加入しないと引き続き自治体の医療費助成を受けられないと、一道十二県でそういった状態が起こっているということについてどう考えるかということでございますけれども、この助成事業自体はこれは自治体が単独事業で実施しているものでございまして、自治体独自の判断で行っておりまして、財源も固有の財源で行っているということでございますので、政府としてその事業内容について指導する立場にはないというのが実情でございます。
  117. 谷博之

    ○谷博之君 そういう答弁になるんだろうと思うんですけれども、しかし実際、一億二千万余の国民の中で六十五歳から七十五歳の障害者の方というのは随分おられますよ。その住んでいるところでこのようなやっぱり取扱いの違いが出てくるというのは、これおかしいと思いませんか。どうですか、大臣
  118. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは自治体の中で、今回の長寿医療制度、広域連合を単位としました。しかし、国保は市町村でやっていた。これの障害者に対する補助事業も市町村でやっている。今何が起こっているかというと、国と都道府県、市町村、この間の、本質的なことを言うと、どういう役割分担でやるか。それから、保険料の問題にしても、名古屋なんかそうなんですけれども、その町自体で独自にやっていた補助がある。そうすると、個人から見ると、これだけの補助を受けていた、例えば三千円掛かっているのを町の補助で千円しか掛かっていない状況になっていたと。しかし、それ取っ払われると、三千円が二千円になっても、本人にとっては千円が二千円に上がるわけですから、負担感増すわけですね。  まさにこれもそういう状況なんで、後期高齢者医療制度によって財源的なベースを広域連合、都道府県にすることによって安定化させるという要請がありながら、片一方でこういう問題が起こっている。私はこれは決して好ましいことではないというふうに思っています。それはもう答弁的には、先ほど局長が答えたように、それは各自治体の自由ですということになりますけど、私は、やっぱりこういう自治体による違いによって差が生まれるということは国としてこれは望ましいことではない、したがってこういうものも今後の検討課題としてきちんと見据えていくべきだというふうに思っています。
  119. 谷博之

    ○谷博之君 実は私もそのように考えておりまして、これは何でその十二の道県がそういうことになって、残りがそういうふうになっていないのかなというふうに率直に疑問に感じているんですよ。やっぱり基本的なこれは都道府県の財政力の違いなのかなというふうに思っているんですが。  例えば、六十五から七十歳までは三割ですね、自己負担が。そして、七十から七十五までが二割の自己負担、七十五以上は一割負担ということになってくると、結局のところ六十五歳から七十五歳までの間の三割なり二割の負担というのはやっぱりこれかなり大きいものですから、それがゆえに六十五歳からもうこの制度に入れちゃえと、こういうふうに私は考えざるを得ない。結果的にいえば、これは都道府県のやっぱり財政力の違いなのかなというふうに思っているんですけど、その辺、どのように認識されておられますか。
  120. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) まず事実関係から申し上げたいと思いますけれども、ただいまの先生の御指摘のこともありまして、都道府県の財政力指数と、それから地方公共団体が独自の制度で医療費助成制度の適用条件として長寿医療制度加入を求めているかどうかということを照らし合わせてみたんですけれども、客観的データからは相関関係にはございません。  したがいまして、財政力のこともあろうかと思いますけれども、一方で、やはり障害者施策に対する取り組み方ということの違いが現れたんだと思います。
  121. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほども申し上げたんですけど、例えば北海道は必ずしも財政力は上の方にあるわけではありません。しかし、肝炎の総合対策を私が策定するときに見ましたら、非常に手厚い手当てを北海道は行っていた。それは肝炎を難病として指定していたわけです。  だから、例えばそういう自治体によって施策、方策が全然違ってくる。これはある意味で地方自治のいい形であるかもしれませんが、しかし、どこまでが国のレベルで、ナショナルなレベルで例えば障害者についてはここまではきちんと国がやらないといけない、都道府県はここまでだ、じゃ市町村はどうだと。そのときに財政力の差だけで左右されることは避けないといけないと思いますが、先ほど足立委員がおっしゃったように、こういうことを含めて実を言うと本質的なところに迫っていく必要があると思いますから、障害者後期高齢者医療制度についても、私は今のような視点も実は社会保障国民会議、こういうところで国民的なコンセンサスを得るような形でのきちんとした議論を提案したいと思っております。
  122. 谷博之

    ○谷博之君 是非それは議論をしていただいて、こういう、ある意味では地域間のそれぞれの施策の格差みたいなのが生じているということは、これはやっぱりおかしいと思うんですね。それは自治体、県の中でも市町村との関係なんかもそういうことは多分にありますけれども、これはどこかでやっぱりきちっと議論をする必要があるというふうに思っています。  これは私の地元の栃木県の話なんですけれども、担当の保健福祉部長が人工透析の患者さんの方々に対してこういうふうなコメントを発言しているんですね、公式の場で。後期高齢者医療制度に加入しても透析医療を受けられるので障害者には何ら影響がなく問題ない、こう言っているんですが、しかし患者の側からすれば、全く影響がないと言っていいのかというふうな疑問が起きています。  それはどういうことかというと、まず保険料の負担が上がりますね。それからもう一つは、やっぱり透析医療そのものは影響がないかもしれないけれども、それ以外の医療面などで不利益を受ける可能性は十分あると、こういうふうに言っているんですけれども、ここら辺もやっぱり私は、こういう制度に、この新しい制度に加入させるということは私は非常にこれは一方的な考え方であるというふうに思っていますし、当然、ですから患者側からは、任意の加入なんだから、だからそのことをしっかりと指導してくれと、こう言っているわけですよ。  実は、その資料を見ていただければと思いますけれども資料の二に、今年の二月の六日に「後期高齢者医療制度の被保険者となる者に対する周知事項について」ということで、こういう資料が出ています。これ、ちょっと四ページを見ていただければと思うんですが、アンダーラインを引いておりますけれども、また、市町村において認定申請の撤回の申出を受けた場合には、後期高齢者医療制度及びこれに関連して各自治体で行われる医療費助成制度等の単独事業の内容を踏まえた上で、撤回に係る判断をしていただけるように、当該申出を行った方に対し、必要な情報提供に遺漏なきよう努めてもらいたい、こういうことになっているんですが、現実は強制加入になっているんですよ。強制加入という理由は、重度心身障害者皆さん方の医療費助成についてはここに入らなければもう出しませんよと、こういうことになっているわけですね。ということは、これはもう完全に強制加入とみなしてもこれはおかしくないと思うんですよ。  資料の三を見ていただきたい。これは簡単に図式しているわけですけれども、栃木県など一道十二県に住んでいる方の場合とその他の府県に住んでいる場合と、こういうふうに図式してあります。上の四つの四角の枠がありますけれども、両方の上の問題は全く同じです。問題は、栃木県などの場合は、この下の枠を見ていただくと、被用者保険に残り、保険料は従来どおり無料のまま、新たに窓口負担を二割から三割負担するということ。それ以外の県については、被用者保険に残り、保険料は従来どおり無料のまま、窓口負担は医療費助成で従来どおり低額、無料とする、こういうふうになっているわけですね。    〔理事蓮舫君退席、委員長着席〕  要するに、ここに書いてありますように、栃木県など一道十二県に住んでいればいわゆる保険料も含めてどちらも負担が増えるということで、その他の県については従来どおりの負担増で済むということになるわけなんですよ。  ですから、こういうことを考えたときに、これはもうまさに本人の選択の意思じゃない、任意に加入するかしないかを選択できるという状況ではなくて、こういうふうに現実にはもう言うならば強制的に加入させられていると、これが現実の話だと思うんですよ。  この点について、大臣、どう思われますか。
  123. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ここは先ほど来申し上げている選択ということを考えれば、基本的には任意加入であると考えていいと思います。その上で、先ほど申し上げたような様々なきめの細かい手当てができるかどうかということに懸かってくると、そういうふうに思っております。
  124. 谷博之

    ○谷博之君 実は、私どもの民主党の障害者の作業チームで先日この問題について説明を受けました。そのときに、担当者からの説明では、私どもが患者の立場からこういうふうなデータを調べました、厚生労働省としては四十七都道府県で実態がどうなっているのかについて調べているのかと言ったら、調べていないと言っているんですよ。これは私は非常に重大な問題だと思っているんですが、どうですか、調べていますか。
  125. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) こういった都道府県が独自の障害者施策を持っているかどうかというのは、所管部局で仕組みとしては把握をしているんじゃないかと思います。ただ、恐らく説明に行きましたのは保険局だと思いますんで、それは長寿制度を所管する立場としては、それは必ずしも持っていないということだったんじゃないかなというふうに推測はいたしますけれども、ちょっと事実関係、よく把握してからお答えしたいと思います。
  126. 谷博之

    ○谷博之君 これは質問通告で実は私出しているはずですから。  いわゆる私どもの作業チームで説明されたその内容と、そのときには調べていない、それぞれ広域連合なり都道府県のそういうふうな対応でやっていると、こういうことだったんですが、二月六日に通達が、通知が出ているんですよ。要するに、あくまで任意の加入なんだよというちゃんと説明までしているわけですよ。ところが、現実には、私どもの栃木県でいえば、去年の十一月にそういう方針もう決めちゃっているんですよ。だから、そういう意味では、厚生労働省としての対応はそれではまずいんじゃないですかと、こう言っているんですよ。  調べる気はあるんですか。
  127. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) この自治体の運用をしております助成制度との関係というのは、反面でこの長寿医療制度でどのくらいの障害者の方が手を挙げてこの制度に加入されているか、申請されているかということでございますんで、長寿医療制度対象と、どのくらいの方がなっているのか、あるいは申請を撤回された方がどのくらいおられるのか、撤回の理由、そういったことにつきまして、自治体の協力も得て、これは一定の時間をいただくことが必要だと思いますけれども、把握をしていきたいと考えております。
  128. 谷博之

    ○谷博之君 これはもう是非早急に調べてくださいよ。そして、その上に立ってどう対応するか、我々も十分議論さしていただきたいと思っています。  それから、もう一点お伺いしたいんですが、先ほども足立委員からちょっと質問が出ましたけれども、何で六十五歳からなんですかということなんですね。  時間がないので私の方からちょっと説明をさせていただきますと、どうもこの前の作業チームに対する厚生労働省の説明では、資料四と五を見ていただきたいんですが、昭和五十六年の十一月十二日に、衆議院の社会労働委員会で老人保健法案に対する修正案というのが出ています。ここがどうも何かその根拠になっているような話なんですよ。  つまり、六十五歳以上の障害者方々が組み込まれることによって、老人保健法の対象になることにメリットがあったからこのような対応をしたというふうに考えられるんですが、このことについての考え方と、それから、今回は全くこれはメリットありません、デメリットばっかりです。そのことについての御答弁をいただきたいと思うんです。
  129. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 今回、長寿医療制度で、この六十五歳以上七十四歳以下の方々障害者について申請が得られれば加入することができるという規定を設けたときの六十五歳の考え方というのは、今委員指摘の老人保健法のときの扱いを踏襲しているわけでございます。  その理由といたしましては、今回の後期医療制度におきましても、六十五歳であれば三割負担、それから、現在は一割負担でありますけれども七十歳の方、これは制度的には二割に窓口負担の増加をお願いしているわけでありますけれども、そういった方々がこの長寿医療制度に入れば一割の負担で済むというその点は変わらないわけでありますし、国保の世帯でありますと保険料負担の水準も恐らくそう変わらないだろうということで、メリットはあるというふうに考えたわけでございます。
  130. 谷博之

    ○谷博之君 私どもはそうは考えておりません。少なくとも、これはどう見ても、個々の対象者によって違いますけれども、総体としては、やはりこれはもう障害を持つ方々、特にこういう認定されてそこに強制的に加入される方々にとってはデメリットが大きいというふうに私どもは考えております。  それで、もう一つちょっとお伺いしておきたいんですけれども、包括制導入の考え方なんですが、後期高齢者医療制度には診療報酬の包括制が導入されていると。当面は選択制なので問題はないと思われるけれども、透析患者など慢性疾患患者あるいは難病者、重度障害者は、将来この包括制の適用が拡大して本人にとって必要な医療が提供されなくなるのではないか、このような心配の声が上がっているというふうに言われていますが、この点、大臣、どう思われますか。
  131. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、これはもうそういうことがないようにするということでありまして、私が常に申し上げているのは、今の医療水準、今受けている医療の質、こういうものを下げることがないようにするためにはどうすればいいかと。それは全体的な財政のことも考えないといけないです。そして、継続、維持可能なような、サステーナブルな制度としていくということも、そういうものの中に、大きな制度設計から入りますけれども、個々のケースについて、じゃ糖尿病だ、透析だ、今まで受けてきた治療が受けられなくなるのかと。いかなる制度設計をしようとそういうことは絶対にないという形で、これは政策を進めていきたいと思っています。
  132. 谷博之

    ○谷博之君 時間がないので、私の最後に考え方を申し上げたいと思うんですけれども、今全体として障害を持っている方々が約七百万人いると言われています。我々は健常者であるか障害者であるかということはそれぞれありますけれども、人口の六%、七%を占めているこういう方々の問題というのは非常に大きいと。しかも、それは、いろんな福祉制度医療制度の中で、こういう方々の対応というのは極めて大きい問題だと思っているんですけれども、現実に、例えばそういう方々が就労できない、年金で生活をしている、そういう中で様々な皆さん方の支えをもって生活をしているということを考えたときに、私は、よりこういう医療の問題についてもきめ細かい対応がやっぱり必要なんだろうと思うんです。  それについて、特にこの重度、中度の対象となっている方々が現実にそういうふうな制度に本当に強制的に入ることを望んでいるんだろうかということになれば、これは、あくまでそれは当事者の選択が基本なんですよ。保険料のこととあるいはいろんな医療費のこと、そういうものを総合的に勘案をして、そしてあくまで当事者がそれを選べるという道をしっかり取らないとおかしいと思うんですが。しかも、それが、こういう県や都道府県によってこういう扱いが違っているというのは、私はどう見てもこれは筋が通らないと思うんですよ。そういう点はやっぱり、大臣、先ほど検討すると言っておりましたけれども、私は是非これは、世の中というのは筋を通さなきゃ駄目ですよ。  そういうことを、改めてもう一度答弁していただきたいと思います。
  133. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 各自治体の自治というものはありますけれども、いわゆるナショナルな国のレベルで全体を考えたときに極めて不公平な取扱いがあるということは問題だと思いますんで、検討対象にさしていただきたいと思います。
  134. 谷博之

    ○谷博之君 終わります。
  135. 岩本司

    委員長岩本司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分から再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  136. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  137. 西島英利

    ○西島英利君 自由民主党の西島でございます。  本日は、午前中も大きな話題になりました後期高齢者医療制度につきまして、今日は大臣と一問一答でやらせていただこうかなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  本当に今、この後期高齢者医療制度、医療を提供する側もそれから医療を受ける側も混乱をしていることはこれ間違いございません。今朝の御質問でもいろいろございましたけれども、やはり周知徹底ということ、それからまだまだ理解がされていないのかなという部分も私自身も感じております。私は医師会からの推薦で出てきておりますけれども、全国医師会から呼ばれてお話をしに行きますとその辺りが実によく分かります。医療を提供する側の医師もまだよく分かっていないということで、これは少しやっぱり時間を掛けて理解を求め活動しなきゃいけないのかなというふうに思っているところでもございます。  ところで、大臣のお手元には、ちょっと先ほどお渡しいたしましたけれども、これが年金振り込み通知書の実はコピーなんですが、実際はこういう形で送られてまいります。そして、何で私の手元にこれがあるのかといいますと、私の地元の、本当に自民党を一生懸命応援されていた方から手紙が来ました。八十三歳の方でございますけれども、こういうことではもうこれから一切自民党を応援しないと言われて、最初に私は丁寧なお返事をお書きいたしました。こういう形でこういう制度が導入されたんですよということでお書きしまして、それから約一か月近くたって、また再度この通知書と同封されて送られてきたわけでございます。  この中を見ますと、この内容を見ますと、まず、字が小さ過ぎますよね。八十三歳の方でございます。視力も低下して、我々医療の専門家では明暗という言葉を使いますけれども、明るい暗い、高齢者になっていきますと、我々が今この明るさで見ているものが薄暗く見えるんですよ。そういう形の中で、ばあんと年金振り込み通知書が来て、その中、どこに後期高齢者医療保険が書いてあるか分からないような小さな字。私も今は老眼鏡を掛けていますけど、本当は私は若いころは二・〇あったんですから。ところが、今は老眼鏡を掛けなきゃいけないと、やっぱり視力というのは落ちてくるんですね。それが八十三歳の方でございますから、読めるはずがないんですね。その中で、この方の二十年四月支払額を見てみますと、金額は七万六千五百六十六円、介護保険料額が一万二千四百円、それからこの読めない字のところですが、後期高齢者医療の保険額が二万三千三百円、割引支払額が四万八百六十六円ということなんですね。  やはりこれを見られますと、もうとてもこれでは生活できないと言われているんですが、恐らく二万三千三百円という保険料が掛かっているということは、もっと大きな収入を持っておられると思うんですね。つまり、この方はどうも何かの議員をされておった方だというふうにお聞きします。ですから、共済年金的なものがあるんだろうと思うんですが、事務局に聞きますと、どれを主にしてそこから引くのかということで決まりますということでございますから、二万三千三百円も引かれているということは、ほかにも収入が多くあるんだろうというふうに思うんですね。  しかも、これ実は二か月分なんですよ。年金は支給がそもそも二か月に一回支給されるわけでございますから、この保険料も二か月分が差し引かれているというところでございまして、やはり今までここから引かれたことがないものですから、つまり、今までは少なくとも国民健康保険料は、これは窓口に行くか、それとも銀行振り込みをされているわけでございますから、いきなりこういう形で引かれて、七万六千円が四万円になると、これはやっぱり驚かれるのは僕は当たり前だろうと。しかも、小さな文字でいろんなことが書いてありますから、やっぱりこれ、この金額見て、えっと思われるのは当たり前だろうというふうに私自身思います、一般的に考えて。そこで、やはり二か月に一回分だということがまだ周知徹底されていないんじゃないかなと。実は奥様のものも送ってこられました。奥様は安いんですよ、保険料そのものが。たしか八千二百円だったと思います、二か月分で。  というようなことで、私、これを見られて、ちょっと高齢者の方にこの通知を出すにしてはやっぱり文字が小さ過ぎるんじゃないかと、それから余りにも情報量が多過ぎるんじゃないかというようなことを感じたわけでございますが、今新聞も文字を大きくし始めたんですね。そういう中で、やはりだれがこの情報を読むのかということを考えながら、例えばこれの大きさをもう少し全体を大きくしてお出しするのか。事務局の方に聞きますと、いや、いろんなチラシを作ってやっていますからと言われるんですが、こんなチラシなんか読む人余りいないですよ、はっきり申し上げて。  そういう意味でございますから、やはりだれが読むのかという視点でこの通知書、これは二か月に一回恐らく出ていくんだろうというふうに思うんですけれども、このことも含めてやっぱり御検討をしていかなきゃいけないのではないかなというふうに思うんですが、大臣の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  138. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず文字の大小ですけれども、さすがにこれは私もこれぐらいやらないとちょっと見にくい、辛うじて読めますけれども。早急にこれ検討させまして、このフォーマットの中に入れようとしたからこうなったんだと思うんです。そして、国保か後期高齢者かどっちかを削除する形にしているんで。それで、確かにいろんなPRというか説明のところがありますから、これは別になくてもいいのかもしれません。  ですから、ちょっと至急指示を出して、次の便までには分かりやすくしたいというふうに思っております。
  139. 西島英利

    ○西島英利君 私は精神科医でございますから、人間というのは面白い動物で、一度怒り出すとすべてのものが頭にくるようになるんですね。ですから、今本当に高齢者方々が怒っておられることは間違いないと思うんですね。それがどういう情報によって怒っておられるかも様々だろうというふうには思うんですが、そういうことをきめ細かくやはり情報提供側はやっていく必要性があるだろうと私自身思っていますので、是非速やかな御検討をお願いを申し上げたいというふうに思います。  それから、次の同じ後期高齢者の御質問に移りたいんですが、先ほど私、全国医師会から呼ばれていろんな御指導をいただいているんですけれども、その中で、本当に将来も今の医療サービスがきちんと提供できるようになるのかという御疑問を皆さん持っておられる。  それはなぜかといいますと、平成十年ごろからずっと、例えば財務省の財政制度等審議会というところがございますけれども、ここが一番最初は老人医療費伸び率管理制度を導入したいという考え方をこれは出してきたんですね。それを受けた形で、厚生労働省がそういう制度を導入したいというお話が最初にあった。  そこで、この前もちょっとお話をしましたけれども、その中で、私がちょうど日本医師会常任理事をしていましたときに、やはりそれではもうとても必要な医療は提供できなくなるということで、高齢者医療制度、本当にいろんな国会議員の先生方に陳情に行って何とかこういう制度ができたということでございますが、まずは老人医療費伸び率管理制度を導入しようとした。その次が、総枠管理を導入しようとした。さらには、これはずっと続いているんですが、混合診療の全面解禁。それからもう一つは、公的保険の守備範囲の見直しと、つまり公的保険で見る部分はもう縮小しますよと、限られた部分でしか見ないというようなことですね。ですから、セットとしてこの混合診療の全面解禁が私はあるだろうというふうに思うんですが。それからもう一つは、様々な形で老人医療費の包括化というのが行われてきたこともこれ間違いないことだろうというふうに思います。  そこで、これだけもう次から次に、結果的にはそれはほとんど導入されなかったんですけれども、これだけの政策案が示されてきたということに対して、かなりやはり今回のこの診療報酬の様々な仕組みに対しても疑心暗鬼になっていらっしゃるんだろうというふうに思うんですね。やはりこれは将来的にはすべて包括化していくんじゃないかと、そして受けられる医療はもう限定していくんじゃないかと、そういうことを言われているんです。  ある県の医師会が、実はこれ猛反対を出しておられますし、パンフレットも作っておられます。先日、小池委員がここでそれをお示しになりました。私、これ誤解だろうというふうに思うんですけれども、しかしやっぱりそういう流れの中でこういう考え方が出てきているのではないかなというふうに思っております。  そこで、是非大臣、この前から私何回も御質問いたしまして御答弁をいただいているんですが、そのときの大臣の御答弁は、要するに今までの医療のレベルは下げませんということを言っておられます。ですから、そういう意味で、今回、この後期高齢者医療制度は、先ほど津田委員からも御質問がございましたように、それなりの負担はもうそれは当然必要だと思うと。ですけれども、将来この団塊、団塊って我々ですけれども、団塊の世代がわあんとこの七十五歳以上入ってきたときに、それを全部保険で見るという、これは無理な話だと思うんですね。そうすると、保険料はどんどんどんどん増えていく。年金というのは、これは生活を支える部分でございますから、だからそれを更に保険料で取られていくということは、これはとてもじゃないけれども生活そのものに大きな影響を与えるということでございますので、保険料はもう限度というのはあるだろうという観点で考えていきますと、この前から私何回も申し上げていますように、保険というよりは保障という形で税金を重点的に投入するための仕組みのこの制度だということを私はいろんなところでお話しすると、皆さん方は御理解いただけるんですね。  ですから、二点、大臣のお考えをお聞かせいただきたいのは、今の医療のレベルを下げないということをもう一度明言をしていただきたいということと、やはり保険料の上はこれは限度がありますよねという形でいきますと、やはり税をどこまで投入するかという問題が出てくるわけでございますから、当然それと併せてやっぱり税制の抜本改革の中でこの社会保障費用をどうするのかということをしっかりと議論をしていかないとやっぱり国民は安心しないだろうというふうに思うんですが、その二点について御感想をお聞かせいただければと思います。
  140. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 第一点のこの医療レベルの水準を下げない、今までかかっていた医療を受けられなくなるんじゃないかとか、今までかかりつけで行っていた病院にも行けなくなるんじゃないかと、こういうのはすべて誤解であります。そして、まさに長期的なビジョンを持つときに医療水準を下げないと、そういうことを前提にしてやっているのでいろんな制度設計もそこから来ていると。  だから、お金がないから下げるのではなくて、医療水準を下げないようにするためにどういうふうな財源を持ってくるか、そこに当然負担と給付の関係が来るわけでありますけれども、もうそれは委員含めてお医者さんがここに何人もおられますけれども、医療の高度技術化、それから大変高額な医療になっています。そのことによって命も救われる、大変結構なんですけれども、ますますこのコストが掛かっていっていることはまた片一方で確かです。もちろんジェネリックを使うというようなことで削減努力はしても、おのずから限界がある。  私は、比較的この日本の医療費というのは低い水準に抑えられてきて、これだけの水準でよくここまで国民の健康を守ってきたなという感もあります。しかし、例えばスウェーデン始めとして北欧諸国では二五%という、こういう消費税でもって社会保障の財源を負担している。我が国は五%です。  ですから、どこまで税でどこまで保険かと。国民にとってはある意味で負担は同じになるわけですから、その国民の負担をこれはきちんと議論をしてやらないと、私がいつも申し上げるように、天からお金が降ってくるならだれも苦労しません。しかし、余りに過大な、過重な負担も、これは生活やっていけませんですから、国民の負担、それに見合っただけのサービスをどう確保していくかと。そのバランスについて、これはもう真摯に党派を超えて国民的な議論をやらないといけないと思います。そういう意味社会保障国民会議もあるというふうに思いますし、私はずっと前から申し上げているように、消費税の議論も避けてはいけない。議論することは決して悪いことではありません。  したがって、今、大体いろんなものが、介護にしても医療にしてもフィフティー・フィフティー、税と保険と。その比率を、税の方を重くするのかどうなのか、逆にするのかどうなのか。それから、混合診療のようなことをどう考えるのか。つまり、委員おっしゃったように、公的負担のカバー範囲をどこまでにするのかと。ただ、私はやっぱり国民皆保険、これは守っていくべきであるというふうに思っていますから、少なくとも、経済的に困窮しているから医療が受けられない、こういうのは先進国のやることではありません。私は、そのことはしっかりと守っていきたいと思っています。
  141. 西島英利

    ○西島英利君 やはり、余りにも急激に医療費の抑制策と思われるものが次から次に打ち出されるものですから、医療を受ける側が本当に戸惑っているんですね。  実は、これ、ある閣僚経験者の方から私は依頼を受けました。それはどういうことかというと、五十三歳の男性の方なんですが、どうも動脈瘤の、解離性大動脈かな、というのを起こして入院されて、全く意識がない状態の中で某特定機能病院に入院されていると。そうしたらば、数日後に、もう見込みがないから退院してくれと言われたと。つまり、それはどういうことかといいますと、全く意識のない状態で、恐らく人工呼吸器に入っているんでしょう。そういう状況の中で退院してくれと言われると、家族はどうしていいか分からないですよね。  だから、結果的には、国会議員の先生方とか、地方でいけば市会議員の先生方とか、そういう方々に依頼をして来られるんですが、どうしてそういうことが起きるのかというと、例えば特定機能病院は包括化をしていますので、そこには日数制限がかなり厳しくあるんですね。そうすると、本当にそこで必要な医療を受けられているのか。結構中途半端な状況の中で退院を迫られる、もう家族はおろおろする。これ、私、今から対応しなきゃいけないんですけれども、そういうことがもう次から次に起きてきている。  そこで、例えば入院医療に関しましては、ベッド数というのは限られておるんですね。地域医療計画の中で病床限られていますから、よほどのことがない限り増床はできないようになっています。ということは、掛かる費用というのは、確かに先ほど大臣がおっしゃいましたように、技術が高度になればなるほどそれなりに高いものが入ってくるかもしれません。新薬が開発されれば、それなりに高い薬を使うことになるかもしれません。しかし、それでもそんなに大きな影響は私は与えないんだろうと。それはなぜかといいますと、ベッド数が限られていますから。それよりは実は外来の方が患者さんたち増えていくんですね。いや、そっちを抑制してくれとか、そういうことじゃないんですよ。ですけれども、今、私が申し上げたようなことは、医療費抑制という観点の中で次から次に政策として進められてきた。その結果、こういうふうな大変な思いをされている、患者さんというよりは御家族の方でしょうね、そういう方々が増えてきていることも間違いないだろうというふうに思っております。  そこで、もう一つ。それも含めた形の中で、もう一度これは大臣に御感想をお聞かせいただきたいんですが、今まさしく、年寄りは早く死ねということかと。それから、先ほども足立委員から終末期医療の話がちょっと出てまいりましたけれども、この若い人たちと高齢者との間に医療のレベルが違ってはいけないと私は思うんですね。ところが、どうしてもそういう誤解が今生じてきている。ですから、そういう医療のサービスの違いはないんだということを是非大臣がそう思っておられるのであれば明確に言っていただければなというふうに思っています。
  142. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まあ例えば糖尿病というのはいつ発症するかにもよりけりですけれども、七十五歳以上の糖尿病の患者と例えば六十歳の患者と全く違う扱いをするというようなことは全くありません。それで、包括制を入れるにしても出来高払も残すわけですから、これは選択肢が残してある。だから、少なくとも医療水準、医療の内容について年齢差別は全くありません。    〔委員長退席、理事蓮舫君着席〕  同時に、今度はやっぱり世代間の負担の公平と、ちょっと話が外れますけど、これもまた考えていかないといけないんで、まあ何次元かの連立方程式を解くような話であって、確かに財源、医療費の全体をこれはある意味で抑制するにはどうするかという視点も必要でしょう。しかし、必要な医療水準を保っていく、そして今度負担になると世代間の公平、それはサービスが公平であったって負担が不公平であったならばもちませんから、制度としては。そういう複雑な連立方程式を解いていく中で、しかし、最優先させるべきことは、年齢とか性別とかそれから貧富の差であるとか、そういうことによって医療の中身が変わってはならないし、それは変えないということであります。
  143. 西島英利

    ○西島英利君 今、自民党の中で一つのプロジェクトチームができていまして、人生百年設計という考え方をしているんですね。つまり、最初は九十年でどうかということだったんですが、意見をいろいろと聞きますとやっぱり百年、百歳ということがもう目の前に来ているということでございます。そうしますと、七十五歳になってもまだ二十五年あるんですよ。これは一つの大変な生活の何といいますか、そのレベルをどういう形でそれを保っていくのかという非常に重要なことでもございます。そういう意味で、今大臣がおっしゃったようなことは非常に重要でございますので、是非これを保っていただきたい。それがある意味では医療を提供する側、受ける側も安心につながっていくだろうというふうに思いますので、是非お願いを申し上げたいと思います。  もう一点、在宅の問題でございます。  この後期高齢者医療制度議論する中で、やはり在宅支援という言葉が盛んに出てまいります。実際にこの在宅という考え方が表面的に出てきたのが平成二年ごろなんですね。つまり、訪問看護制度をつくろうとしたときなんです。たしか平成二年前後から訪問看護のモデル事業が全国で行われるようになりました。たしか十一か所だったかな。私も小倉医師会のときにこのモデル事業を受けました。そして、平成四年の四月からこの訪問看護制度が始まりました。まさしくこれは在宅支援だったわけです。  と同時に、私はこのモデル事業をやっている中で、やはりホームヘルパー、介護をしていただける人がいないことにはこれは絶対やっぱり在宅は無理だなというふうに思いました。そういう意味では、訪問看護師とそれからホームヘルパーの連携というのは非常に重要だというふうに考えて、次々とこのモデル的なものをやってきたわけです。例えば、かかりつけ医モデル事業もそこでスタートいたしました。これは国のモデル事業だったわけでございますけれども、そこでいろんな課題が実は出てきたんですが、その後ほとんど解決されないまま今に来ていると。  そして、介護保険制度に入りました。これはまさしくケアプランを、ケア計画を立てるときには、もう医師も含めた医療関係者等々を含めてケアカンファレンスをやった上でケア計画を立ててくださいという仕組みだったんですね。ですから、あれには、居宅介護支援事業者には一人の利用者に対して毎月管理料と称するものが出てきているのは実はそれなんですよね。ところが、それらがほとんどなされていないということで、先日の介護保険の見直しのときにその辺りが強化されたというところでございますが、まだまだ未熟な状況の中で行われているような気がしてならないわけでございます。  そこで、今回、この後期高齢者医療制度の中で様々な仕組みができました。大臣は確かに選択肢の一つを入れただけですというふうにおっしゃいますけれども、そういうトレーニングができていないんですよね。  さらには、情報の共有という話も今日もしておられました。例えば、歯医者さんも含めた形の中で情報共有をというお話でございましたが、今までそういうことがほとんどなされていない中でこの仕組みが入ったわけです。私は、この仕組みは悪いとは思っていません。今後じっくりと時間を掛けてこれは育てていかなきゃいけない制度だというふうに思うんですけれども、しかし、実際にその医療を提供する側が、先ほど申し上げましたように、これがもう一人の医師で全部管理するということにつながってしまって、結果的にそれが必要な医療を患者さんたちが受けられなくなるんじゃないかというような、そういう不安につながってきている。  そういう意味では、やはりこれはじっくりと育てていかなきゃいけない部分だと。ですから、時間を掛けてということで、焦って後期高齢者診療料というものを広げていこうというそういうお考えじゃなくて、じっくり育てていこうという視点から私は考えるべきではないかなというふうに思うんですが、大臣はいかが思われますでしょうか。
  144. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 実は、今回は、高齢者担当医、かかりつけ医というのを決めましたけれども、しかし、そういう制度があろうがなかろうが、我々は、かかりつけ医って大体持っている方が多い。いろんなことをそこに相談する。それから、家庭医という名前でやっておられる方もおられるし、標榜科目でいうと総合科という形で、そういう人たちは現実に診療報酬で加算されようがされまいが実際やってきたことは、今度の後期高齢者医療制度が理想としていることを現実に無報酬でやってこられたわけですね。  そうすると、今回、例えば夜、訪問介護してもらえる、はるかにやりやすくなりました。それで、例えば、私が母親を介護していたときに、歯医者で訪問してくれる方を探すのが大変だった。今度はこの制度で比較的簡単にやれるようになる。それから、やっぱり退院、入院、退院、入院と繰り返す、そのときに、じゃ、出されたけど次どこに行くんだねと。今度は自分のうちに帰ってきたけれども、また病院に行かないといけない。それで、私も同じ北九州ですから、まあ次どこの病院だというのはもう探すのが大変でしたね。今回はそういうことをきちんとかかりつけのお医者さんがやれることになって、やることについてもちゃんと診療報酬というインセンティブが付いてきた。  ただ、問題は、どうしても役所の説明になりますと、診療報酬上これとこれとこれとこれをやりましたということにしかならないんです。そんなもの分かりません、国民から見たら。  だから、私が今申し上げたように、それがあるから、要するに国民の側としては、今まで電話一本で、お母さん調子どうですか、来てくれると、診てくれると。そういうことの説明をこれからきちんとやっていこうというふうに思っていますし、やはりこれは、自分の住み慣れたところで、その地域であらゆる医療資源をそのかかりつけ医という方をコーディネーターとして利用する道が拡大したというような説明が必要だろうというふうに思っていますし、それは非常に良くて、それから、かかりつけ医的な、ないし家庭医的なものに二つぐらいの要素があって、一つは、やっぱり精神的な、これはもう釈迦に説法ですが、安心ですよ。何かあったら、とにかくその先生に相談に行けばいい。相談するだけでもう気分も晴れるということがあります。それとともに、例えば目が悪ければどこの眼科だと、先ほどの入退院の調整はやってもらえると。  実を言うと、こういう医療資源の調整役、コーディネーターというのが余り存在していなかった。もう本当に今までコネだけで、先生お願いしますよと。たまたまいい先生に当たればいいけど、そうじゃなければ困ったことになるということですから、私は、それをきちんと制度化したんで、これは今から国民の側も上手に活用する、そしてかかりつけ医の方もそれを、ちゃんと報酬も来るわけですから、積極的にやってもらうとともに、やはり地域のネットワーク、連係プレーが必要なんで、そのためのインセンティブを与えていることになるんだろうというように思いますから、そういういい面をきちんと伸ばす形でこの長寿医療制度を定着させたいと思っています。
  145. 西島英利

    ○西島英利君 そういう意味で、ですから大臣と私の考え方は一緒なんですが、ただ、今までそういうトレーニングをほとんどなされていない中でこの制度が導入されましたので、ですからみんな戸惑っているんですね。ですから、これは時間を掛けてやらなきゃいけませんし、そういうことを今までやってきた医師はそういう意味では非常にうれしいことですね、これは。それが要するに報酬につながってきたわけですから。それを私は全然否定するものでも何でもございません。ただ、これ時間を掛けてという、やっぱりそういう考え方を持っていかないとなかなか育たないのかなと。以前にもそれと似たようなのがいっぱい導入されてきたんですけれども、ほとんどうまくいっていないんですよ。  ですから、そういう意味で、国全体でそういうのをどういう形で支えていくのかという併せてその仕組みをつくらないと、こういう形でやってくださいとか、もう一つ今いろいろと言われているのは、一主病一医療機関という言葉が使われておるんですね。ところが、その主病は、先ほど糖尿病のお話しされましたけれども、糖尿病という主病がありますと、ところが合併症で腎症を起こしますと、皮膚潰瘍を起こしますと、様々、例えば目も悪くなりますと、いろんな合併症があります。そういう意味でいくと、一主病一医療機関ではやっぱりこれはおかしいんですよ、医者の立場でいきますと。  ですから、もうちょっと慎重にそういう言葉をその説明のときに使っていかないと、いや、これはこういうふうに書いてありますからそのとおりなんですという説明ではやはりなかなか安心につながらないとか、育てるという意味ではやっぱりじっくりと時間を掛けてというのが私は重要かなと。  先ほど申し上げましたように、平成二、三年ごろから実はこういうような考え方でやっていこうというものはあったんですけど、もうそれから十八年たってやっと制度としてはできましたが、全国的にそれが広がっているわけではございませんので、そういう考え方は私必要かなとちょっと思ったものですからこの質問をさせていただきました。  それでは、この後期高齢者医療制度のことはちょっと終わらせていただきまして、今まさに鳥インフルエンザのことが大きな話題になってきております。先日もNHKが大きく報道をいたしまして、ようやく一般国民認識が出てきたのかなというふうに思っています。私のところにもマスコミの方が取材に来られまして、えっ、これは鳥のインフルエンザじゃないんですかということをおっしゃった。いや、これはこういうふうに大変なことなんだよということを私は申し上げたんですが、このことにつきまして少し御質問をさせていただきたいというふうに思います。  どうしてかといいますと、今もう既に衆議院でこの議論がなされております。当然、政府としてはもう参議院にも提出をしているわけでございますから、この辺りの御質問を今日はさせていただきたいなと、時間を争う問題でもございますので、質問をさせていただきたいというふうに思います。  それでは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案ということにつきまして、この法案の内容も含めて質問させていただきたいと思うんですが、今の状況についてお教えいただきたいというふうに思います。外国の状況も含めてでございますけれども
  146. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) お答え申し上げます。  世界保健機関、WHOでございますが、鳥インフルエンザH5N1、鳥から人への感染状況でございますが、平成二十年四月十七日現在、発生国十四か国、患者数三百八十一人、そのうち死亡者数二百四十人と増加しております。東南アジアを中心に予断を許さない状況となっております。  さらに、人から人へ感染すると、新型インフルエンザについては、病原性の変化を示唆する報告はまだございませんが、血縁間におきまして人から人への限定的な感染が否定できない事例が幾つか見られており、警戒を強めておるところでございます。  それからまた、今月に入りまして、御案内のとおり、韓国におきまして、鳥の間でH5N1が全国的に韓国全土で発生しております。蔓延防止策を進めていると聞いておりますが、我が国でも緊急に情報収集や渡航者への注意喚起に努めているところでございます。  非常に、今申し上げましたように、鳥インフルエンザの拡大、それから新型インフルエンザの発生というようなことで警戒感を強めている状態でございます。
  147. 西島英利

    ○西島英利君 このいただいた資料によりますと、もしこれが大流行という形になりますと、かかる患者さんの数が三千二百万人、そのうちの外来患者さんが千三百万から二千五百万、それから入院患者数が五十三万から二百万人、死亡者が最低見積もっても十七万人、多ければ六十四万人と、これ実は大変な状況でございますが、しかし、今言われているのは、外国から人に感染したものが入ってくることに対してどうするのかという、大体これが一番大きな対策だろうというふうに思うんですけれども、さあ、その外国での情報がしっかりと入ってくるような体制ができているかどうか。  先年、SARSが発生しましたときに、某国はほとんど情報を出さないという異様な状況も起きているわけでございます。そういう意味で、いかに早く情報を取って、そして俗に言うパンデミックワクチンといいますか、そのときはプレじゃないですよね、パンデミックワクチンというものをいかに早く作ってそして接種していくかということを考えなきゃいけないだろうというふうに思うんですけれども、その情報収集体制はいかがなのか、それも含めて情報についてお教えいただきたいと思います。
  148. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) お尋ねの海外の情報でございますが、私ども最も重視していますのがWHOの情報でございます。昨日も、WHOのケイジ・フクダ、この方はグローバルインフルエンザプログラムのコーディネーター、オフィサーでありますけれども日本に来られまして、東南アジア二十八か国ぐらいの方々が集まりました。これは研究者の方々でありますけれども、意見交換を行ったところであります。  さらに、したがって、その国立感染症研究所を中心とする各国研究機関とのネットワーク、これはGOARNと言っておりますけれども、グローバル感染症対応ネットワークと。もう一点は外務省を通じての在外公館からの情報収集でございます。これについても外務省と連携を取っております。さらに、最後でございますが、アジア諸国の政府及び研究機関との連携の強化、これは必要だろうと。  このようなことでございまして、今申し上げた様々なチャンネルを活用して迅速かつ正確な動向把握というふうなものが必要だと思っております。
  149. 西島英利

    ○西島英利君 先日大騒ぎになりましたギョーザの問題でも正確な情報がなかなか入ってこなかった、それから日本とその国との情報の違いというのも明確になってきたというふうなことから考えますと、しっかりとした情報を収集するやっぱり体制づくりというのは必要かなと思いますね。  先日、実はアメリカのそれを担当されている方とちょっと朝食会がございまして、そのときに聞いたお話なんですが、近隣の国からしっかりとした情報入ってきていますかと聞きましたら、それは難しいからこちらから研究者を三百人ぐらい入れ込んでいるという話でもございました。やはりそういうことも含めて、情報収集というのは向こうから来る情報を待つだけではなくてこっちから積極的に取りに行くという、そういう体制づくりも必要かなというふうに思いますので、是非そういうことも含めた御検討もお願いを申し上げたいなというふうに思っております。  それでは、今朝の津田委員の質問にもございましたけれども新型インフルエンザに対しての対策でございますけれども、これについて、改正法案の内容についても触れながら御質問をしていきたいと思うんですが、まず最初は、プレパンデミックワクチンやパンデミックワクチンについてでございます。  ワクチンに関する国民の期待というのは非常に強いわけでございますけれども、有効性とか安全性についても、これも検討を進めていかなければならない課題も私は多いだろうというふうに思うわけでございます。そして、できれば希望する国民すべてがワクチン接種できるような体制が私も、今朝そういうお話が出ましたけれども、望ましいというふうに思っております。  そこで、先日、新型インフルエンザの専門家会議が開催されまして、既に発生している鳥インフルエンザウイルス株から製造いたしますプレパンデミックワクチン、それから新型のインフルエンザ発生後にそのウイルス株から製造しますパンデミックワクチンについて、幾つかの新しい方針がその会議で打ち出されたというふうに聞いております。  大臣からもそのような趣旨の発言が以前あったというふうに思いますけれども、もう一度、その件についてお教えいただければと思います。
  150. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、まずプレパンデミックワクチン、これを製造し備蓄するということが望ましいということとともに、六千人を対象にこのプレパンデミックワクチンを事前に接種して研究して、これ安全性、副作用なんかあるといけませんから安全性、有効性を確認できれば、医療従事者等に一千万人打っていくと。そして、さらに希望者に渡るように、これは今後拡大をする方向で努めていくと。  それからもう一つは、今度はパンデミックワクチンの方ですけれども、どのウイルスだというのが確定して株が固定してから半年ぐらいの間に国民全員分のパンデミックワクチンをどう製造するかということを、これは製薬メーカーにも依頼しないといけないし、今、有精卵でやっていますが、これだと時間掛かり過ぎますので細胞培養の方法を使うと、そういうことを今検討しているのが専門家会議です。  先週、国立感染症研究所に私、視察行きまして、P3という、非常にセキュリティーレベルの高いところまで入らせていただいて見てきましたけれども一つは、組織培養される細胞培養の研究が進んでいます。実際に顕微鏡でそれを培養しているところを見まして、これはなるべく早く実現したい。それから、予防接種的な注射の接種ではなくて、鼻から噴霧して入れることによって直接気管に植え付けるということの方がいろんな意味で効果があると。  しかし、その二つ研究を早く進めないといけないんですけれども、今の予算と今の人員と今の体制のままですと七、八年掛かってしまうかなと。かといって、こういう、私はこれは危機管理、ナショナルセキュリティーの問題を安易に、何でもアメリカから買います、ライセンスやります、向こうが、じゃシャットアウトしたらどうするんですかということになりますから、やはりこういう基本的なところは国の水準を上げて日本国独自に持つべきだというのがナショナルセキュリティーの上から必要だと思いますから、そういう意味で、予算措置、人員の措置、これを来年度予算に向かって獲得すべく努力をしたいと思っています。
  151. 西島英利

    ○西島英利君 特にこのパンデミックワクチンの前のプレパンデミックワクチンをだれに接種するのかという、先ほど午前中の質問にもございました。  例えば、治安維持のために働く人たち、もちろん消防も含めてでございますけれども、それから医療を提供する、そういう人たちがやっぱり倒れてしまったらどうしようもない、この話。これが今までずっと議論をされてきていたわけですが、しかし、もう一つやっぱり重要なことは、何といいますか、体力的な弱者ですね。高齢者若しくは幼少児、これはインフルエンザが発生するときに一番最初やられるんですよ。ですから、そういう方々も含めた形の中での検討をやっぱり進めていく必要性があるだろうというふうに思います。  そういう意味で、今後、どういうような手順でこのプレパンデミックワクチン接種対象者の拡大をしていこうと、もし、お考えといいますか、検討の今しておられることがありましたら、お話を伺いたいと思いますが。
  152. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) ただいまの御質問ですけれども、プレパンデミックワクチン、現在二千万人分ございます。このワクチンを使いまして、まず、この四月から六千人を対象とした臨床研究を実施すると、これは成人であります。それと同時に、先生が言われた小児に対するワクチンの治験をこの四月から開始するというようなことで考えております。この後、その結果を踏まえて、先ほど来議論ありました医療従事者方々に対する接種について改めて検討すると、このような手順を考えております。
  153. 西島英利

    ○西島英利君 本当に今何でこんなに大騒ぎになっているのかといいますと、俗に言う四十年周期とか、そういうことが近づいてきているからということで大きな騒ぎになっているし、実際的に東南アジアを含めて鳥インフルエンザがああいう形で広がってきて、そしてお亡くなりになっている方もいらっしゃるということでございますので、やはり国としても速やかにこれ対応を是非していただきたいというふうに思っております。  そこで、できるだけ早く国民全員にこのワクチンを確保するということは非常に重要かというふうに思いますけれども、例えばワクチンを製造すると、これはかなりの日数が掛かるというふうに聞いております。それだけではなくて、この接種をするときの例えば注射器をどうしていくのかとか感染防止をどういう形でやるのか、そういうことを、ワクチン接種体制をこれ事前に入念に検討しておく必要性があるだろうというふうに思いますね。  そこで、先ほどもちょっと大臣もおっしゃいましたけれども、財源の問題をおっしゃいましたが、まさしく安全保障の一つですよね。つまり、国防という視点での安全保障、それから命という意味での安全保障、これは同じだというふうに思うんですけれども、例えば今、全国に自衛隊がたくさんいらっしゃいまして、国防に一生懸命従事していただいているわけでございますが、そのほとんどは使われないままずっと来ておるんですね。ですけれども、それ必要だから、だから予算が付いて自衛隊という組織があるんだろうというふうに思うんですね。これを無駄と言う人もいらっしゃいます。しかし、やっぱりこういう意味での安全保障というのは、私は無駄が当たり前のことだろうと思うんですね。起きた後ではどうしようもない。  という観点からいきますと、命を守るという安全保障という視点では、もし使われなかったときは無駄じゃないかということを考える必要は全くないんだと。起きたときにすぐ対応できるようなやっぱり準備をしておかなきゃいけない。そのためには十分な予算を、これは例えば何年計画でやりますという話じゃないと思うんですね。起きたらもう終わりでございますから、是非そういう意味で、十分な予算も含めた観点の中で今の政府が、政府といいますか、厚生労働省と言ったらいいんでしょうか、今これ内閣を中心にしてやっているんだろうというふうに思うんですが、そういうことを含めてお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  154. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一千万人分用意するのに、今朝方も申し上げましたけれども、大体五十億掛かっていますんで、一億二千万分で六百億円です。そうすれば、一気にプレパンデミックワクチンに必要な量がそろいます。六百億円というのは大変なお金ですけれども、一億二千万で割ったら国民一人当たり五百円です。使わないで済めばそれにこしたことはないと思いますんで、まずそういうことの予算獲得に向けて努力をしたいと思います。  それから、どういう方に、一気にそれはそろえば結構なんですけれども、メーカーの対応とかいろんな意味でそろわなくて、例えば最初、今三千万人、次三千万人となったときに、どういう順番接種していくかということについて、これはやはり国民的なきちんと議論をして、私が勝手に決めるということではなくて、国会でもきちんと議論をいただいて、それはやっぱり医療従事者は先でしょうとか、それからやっぱり救急隊員が先でしょうと、そういうような形での順位付け、それから年齢による順位付け、こういうことは、これはもう、例えば国会のこういう委員会の場できちんと整理をする必要があろうと思います。そういうことをやらないで済むとすれば一気に一億二千万人分そろえるということですんで、その両方の方向で今後努力を続けていきたいと思います。
  155. 西島英利

    ○西島英利君 実は、これまだ国民にはそういう危機意識が完全ではないんですね。ですから、まずはやっぱり国民に危機意識を持っていただく、それが逆に言えば財源の獲得にも私はつながっていくのではないかなというふうに思いますので、そういう意味での広報活動も必要なのかなというふうに思います。  次は、抗インフルエンザ薬についてでございます。  タミフルが国と都道府県合わせて二千八百万人分、それからリレンザは百三十五万人分、この前のたしか補正予算で増えましたですね。備蓄しているということでございますけれども、この新型インフルエンザ感染力の強さというのはまだはっきりと分からない状況の中で、このタミフルの耐性ウイルスの出現というのもやはり危険性としてあるだろうと。一部、タミフルが効くのか効かないのかという議論も実は医学界の中では行われているわけでございます。先日のたしか情報では、今、タミフル、使用する量は、今の倍使用しないと、とてもとてもそれは治療としては成り立たないということを言われた方もいらっしゃいます。四倍というお話がございます。  そういう意味で、これで足りるのかどうかということを早急にやはり検討していかないと、使ったはいいわ効かないわでは、これどうしようもないわけでございますから、こうしたことも含めまして、この備蓄量で足りるというふうにお考えになっているのかどうか、これもお考えをお伺いしたいと思います。
  156. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 御指摘のように、現在、WHOの方では専門家会合がございまして、タミフルの使用については現在の四倍程度必要だというようなことが議論されています。    〔理事蓮舫君退席、委員長着席〕  今後、こういった知見に照らして、必要な量となる備蓄量についても専門家の意見を聞きながら考えていきたいと、検討してまいりたいというふうに考えております。
  157. 西島英利

    ○西島英利君 何回も私、先ほどから申し上げていますけれども、要するに、目の前にいつ起きてもおかしくないような状況が来ているという観点から、これもうできるだけ速やかにこの検討を進めていただきたいというふうに思います。  もう一つは、タミフルについて、その有効期限、これ今まで五年というふうに聞いておりましたが、製薬会社の方からその有効期限を七年間に延ばしたいという申請が出ているというふうに聞いております。もしその申請が出てきた場合に、それを許可するとしても、じゃ、今現在備蓄しているものは五年で廃棄をしていくのかどうか、今備蓄しているものも七年が適用されるのかどうか、それもお聞かせいただきたいと思います。
  158. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) この三月二十八日でありますけれども、製薬企業から、タミフルカプセルの使用期限を従来の五年から七年に延長することを目的とする規格及び試験方法等の一部変更申請がなされました、薬事法の規定でありますけれども。  これに伴いまして、私ども、既に備蓄している製品の使用期限については、今回の一部変更申請の直接の対象ではないけれども、今回の申請を認めることができるのであれば、今現在審査中でございますから、認めることができるのであれば、今回の承認前後で製品自体が異なるものではないことなどから、適切に備蓄されているものについては七年の使用期限に変更したとしてもその品質、有効性、安全性には支障がないものと考えております。
  159. 西島英利

    ○西島英利君 もう一つの問題は、そういうことが起きたときに、速やかに必要なところにタミフルを含めた抗インフルエンザ薬が持っていけるのかどうかという流通経路についての検討も私は必要だろうというふうに思うんですね。  実は、先日議論しましたときにこういうことがございました。もしパンデミックな状態になれば、これはパニックになっていくであろうと。そうすると、タミフルを求めて暴動が起きる可能性もあるのではないか。アメリカの場合は、たしか軍隊の中に置いておくとかそういう話もちょっと聞いたわけでございます。  そういう意味で、セキュリティーも含めたしっかりとした流通経路というのはやっぱり体制として確保しておく必要性があるのではないかなというふうに思うんですが、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  160. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 幾つか御質問がありました。  新型インフルエンザ発生時におきましては発熱外来を設けます。それから、入院医療機関と診療を行う施設に対して必要な量の抗インフルエンザウイルス薬を速やかに調達されることが重要だというふうに考えております。  今現在、私ども国及び都道府県で確保しているタミフル等でありますけれども、発生時には流通備蓄薬、それから県の備蓄薬、国の備蓄薬の順番に使用すると。まず流通している備蓄薬を使うと、それから最後に国の備蓄薬を使う。その流通方法については、現在、在庫の情報の把握方法、あるいは都道府県や卸業者、製造販売業者等の関係機関と現在調整を行っているところであります。  発生時に必要な抗インフルエンザウイルス薬が速やかに調達されるよう、引き続き整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  161. 西島英利

    ○西島英利君 セキュリティーのことについてまだちょっと御答弁いただけなかったんですが、これは非常に重要なことだと思うんですね。日本はまだそういうふうなパニックな状態になったことないんですよ、いろんな意味で。アメリカの場合はそういうパニックなことが常に起きることを考えていろんな体制づくりをしていると私聞いておりますので、やっぱりそういうことも含めてのセキュリティーというのも非常に大事かなというふうに思います。  それからもう一つ、これも大きな問題になりましたけれども、このタミフルで、その副作用として、いろんなところから飛び降りて不幸にもお亡くなりになったと。特に、十代の若者がそういうような事件、異常行動を起こしたということで、これは非常に大きな問題になっているんですが、今でもまだ、たしか十代の服薬者についてはかなり制限が掛かっているはずだというふうに思うんですね。  ところが、一方では、これはタミフルから起きる副作用ではないのではないかという議論もあります。私は、これは、インフルエンザそのものはかなりの高熱を出しますから、もうろう状態になってそういうような異常行動が出てきているのではないかなというふうに思うんですが、やはりこれも早く結論を出していかないと、まだ完全な結論は出ていないんですね。これはやっぱり恐怖ですよね。インフルエンザになってタミフル飲んだは、自殺をしたはじゃ、これどうしようもないわけでございますから、できるだけ早くこの結論を出していただいて、やはり国民に、もしそうなった場合にはどうぞ安心して服用してくださいという、そういう情報提供も必要かなというふうに思うんですが、これについて今恐らく調査はされているんだろうと思うんですけれども、その結果はいつごろ出るんでしょうか、何かそういう情報あったら教えていただきたいと思います。
  162. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 昨年四月以降でございますけれども、薬事・食品衛生審議会の安全対策調査会を中心としまして詳細な調査検討を進めてきております。昨年十二月に開催されました安全対策調査会におきまして、まず一つ目でございますけれども、現時点において直ちにタミフルの服用と異常な行動との因果関係を示唆するような結果は得られていないと、二点目でありますけれども、今議員御指摘のように、インフルエンザによって異常な行動が起こり得ることについて改めて注意喚起を図ることが必要であるとされたところでございます。  現在、引き続き疫学調査等の解析を進めているところでございまして、それらの結果が得られ次第、安全対策調査会を開催し、時期でございますけれども、できるだけ早期に最終的な意見の取りまとめを行うこととしたいというふうに考えております。
  163. 西島英利

    ○西島英利君 これもできるだけ速やかに結果を国民にお知らせいただきたいというふうに思います。  次は、この新型インフルエンザが発生したときの医療提供体制についてでございます。  確かにワクチン、それから抗インフルエンザの備蓄、これも非常に重要なことではございますが、実際に治療する場というのはもっと重要だろうというふうに思うんですね。ですから、そういう意味での場と言われる病床の確保、それから医療従事者の確保、そういうものについての整備、これについて今どのような検討がなされているのか、きちんと役割分担ができているのかどうか。それから、そもそも、医療機関がどの程度患者さんを受け入れることができるのか。そして、患者さんはどこの医療機関に行ったらいいのか、ただただ近くの医療機関に飛び込めばいいのかということの情報は実は余りないんだろうというふうに思っています。  私も今、この鳥インフルエンザの対策のプロジェクトチームの一員で、いろんな意見を申し上げているんですが、もういざというときは自衛隊にお願いして、野戦病院的なところである意味での隔離的なものをやって治療していく、そういうことも含めた検討は必要じゃないかというふうに思っているところでもございますけれども。  これは、まずはやっぱり、国もしなきゃいけないんですが、都道府県、自治体がそういうことを、しっかりとした体制を組んでいただいているということも大事だろうというふうに思うんでございますけれども、こういう医療提供体制について、厚生労働省の今検討されていることがございましたらお教えいただきたいと思います。
  164. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) まず、その原則について議論をしました。最終的な結論は、新型インフルエンザ発生時におきましては患者が多数に上ることが想定されます。したがって、現在の感染症指定医療機関では少ないと。結核病床を持つ医療機関の活用、これでも少ないだろうと。一般病床も活用するというようなことで考えております。この一般病床、どの病院、公的医療機関であるのか、国立病院使うのか、社会保険病院使うのかと、いろんな議論がございますけれども、それについては現在議論中であります。各地方自治体の協力を得ながら医療機関の確保を進めていくと。  それからもう一つは、大流行時においては、患者数がこういった収容能力を超えると。先ほど自衛隊の話がございましたけれども、私どもその前に、医療機関以外の宿泊施設での医療の提供や軽症者の自宅療養の奨励というようなことをこの改正法案で記載させていただいております。そういったことで、地域の事情を勘案しながら対応したいと。  それから、今先生がるるお話しされた、医療従事者の理解をいかに得るか、あるいは医療機関の機器の問題、マスクなどの個人防護具をどうするか。これについては補正でも整備しておりますけれども、基本的にはまだ総合的にはこれから検討していくというような状況でございまして、先般、地域における医療体制の確保というようなことが根幹になるところでありまして、全地方自治体、都道府県でありますけれども、担当者とワークショップを開きました。各ブロックごとにどのような医療体制が一番いいのかというようなことについて協議を行いました。  引き続き、各自治体と意見交換をも更に行って、今申し上げたようなことを進めてまいりたいというように考えております。
  165. 西島英利

    ○西島英利君 もしこれが大流行という、まあ大流行の前でもいいんですけれども、それが広がり始めたときには、はっきり申し上げると、だれが指揮官になるのかというのが非常に重要なことなんですね。一つの医療機関が云々の話ではないというふうに思いますので、やっぱり幅広い検討が必要だろうというふうに思います。  またさらに、医師とか看護師などの医療従事者、この協力はもう必要不可欠だろうというふうに思うんですけれども、SARSのときにもかなり様々な問題が実は起きました。例えば、医療機関でいきますと、そういう患者さんはできるだけ医療機関に行かないようにというような指導も私はなされたように思うんですね。それはどういうことかというと、電話で問い合わせてくださいと、そして電話で問い合わせていただいたらばどこどこに行きなさいと指示をしますというのがたしかあったと思うんです、SARSのときに。というのは、その患者さんが直接医療機関に来ますとほかの患者さんに感染してしまうおそれがあるからということで、かなりその辺りは厳しく検討されて指導がなされていたはずでございます。  もう一方では、知識の少なさが、ある意味では現場から離れてしまうという、例えば看護師さんでも医師でもですね、そういうこともある。先ほど申し上げたように、先日、アメリカから来た関係者と話したところ、近くの国では四割以上の医療従事者が現場を離れたということも聞いております。  そういう意味では、やはり正確な知識、正しい知識をしっかりと従事される医療関係者にも私は提供する必要性があるんだろうというふうに思っております。そういう意味で、厚生労働省はこういうものに対してどうお考えになっているのか、お教えいただきたいと思います。
  166. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 新型インフルエンザが国内で発生した場合でありますけれども、御指摘のように、診療を担う医師などの医療関係者の役割は極めて重要でございます。新型インフルエンザに関する正確な御理解の下に、積極的に御協力いただけるようにすることが必要だというふうに考えております。  私どもとしましては、都道府県を通じまして医療従事者対象とした新型インフルエンザに関する正しい知識の普及啓発や実地研修を実施することとしており、平成二十年度予算においても必要な予算を計上したところでございます。  こうした知識の普及を進めるとともに、医師会等の協力を得ながら各地域の具体的な医療体制の整備を早急に推進してまいりたいというふうに考えております。
  167. 西島英利

    ○西島英利君 ここが一番の私はポイントだと思うんですよね。  医療従事者がやっぱりその現場を離れてしまうと、これ治療になりませんので、是非正しい、SARSのときは、当時私も日本医師会におりました。そして、全国の医療機関に対して実は情報を発信したわけですが、そのときには、やはり先ほど申し上げたとおりなんですよ。つまり、直接来ていただかずに、要は電話を掛けて問い合わせてくださいと。でないと、そこにおられるほかの患者さんたちまで感染してしまうからということで、恐らくそういう指導がなされたんだろうというふうに思いますが、今度のこの新型インフルエンザもそうですよね。だから封じ込め作戦とかいろんなことをしなければいけない。例えば、飛行機で外国から、発生国から来られた方は、例えば成田の近くのホテルを借り切って、そこで何日間か滞在をしてもらうというふうなことも今検討を一方ではされておる。それはやはり、この感染というものが非常に強いからやっぱりこういうような検討がなされているんだろうというふうに思いますね。  そういう意味では、ですから、医療機関はどうしなければいけないのかという指導はしっかりとしておかないと、私、今日何回も申し上げますけれども、いつ起きてもおかしくないこの状態でございますから、そういうことも含め、日本医師会その他、それぞれの学会等々がございますので、そういうことも含めた速やかな検討と、そして情報提供是非していただきたいなというふうに思っております。  もう一つは、やはり国民の理解がなければこの封じ込め等々はできないだろうというふうに思います。例えば、外国から来られる場合には、これは検疫等で水際作戦という形でやれるんですけれども、しかし、実際には入ってきた場合にどうするのか。今検討されているのは、たしか学校を要するに休校にするとかいろいろあるんですが、場合によったらば交通機関をストップしなければいけないという検討もなされているわけですけれども、しかし、これはやはり国民が理解をしていただかなければなかなかうまくいかないものであろうというふうに思います。  そういう意味では、先ほども申し上げましたように、まだまだ国民の危機意識というのは私は薄いというふうに考えておりまして、一方では、まだまだ体制は今検討中、検討中ということでございますね。ですから、やはり早く検討を済ませ、そして、こういう体制の中でやりますという、まず国民に対して安心を与える、ただ、協力はしてくださいと。例えば、そういう状況が周囲に発生した場合にはできるだけ外出を控えていただきたい等々、そういうようなことも含めた情報提供が必要だろうというふうに思うんですが、まだまだその辺りが私は少ないだろうというふうに思います。  国民が危機に備えた準備をどのようにしていくのか、たしか食料も要するに自宅で確保するという考え方も示されていますよね、何日か分か。そういうことを含めたものでお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  168. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 今議員御指摘のことと重複しますけれども、私どもこの対策を推進するに当たりましては、政府、都道府県等が対策を強化するとともに、国民一人一人がこの病気に対する関心を持っていただくというようなことが非常に重要であると考えています。  具体的には厚生労働省のホームページにおきまして発生状況等についての情報提供あるいは国民への注意喚起、QアンドAを用いた正しい知識の普及や個人、企業レベルでの感染予防策の周知を行っております。それから、学校等に対しましても、関係省庁連絡会議におきまして、文部科学省とも連携を取りつつ、広報、普及を進めております。私ども内部におきましても、これまで担当者が定期的に会見を開きまして、マスコミの方に広報を努めているところであります。  また、これに加えまして、四月一日からでありますけれども新型インフルエンザ対策推進室を設置しまして、リスクコミュニケーション担当者を置いて分かりやすい情報提供や普及啓発の強化をすることとしておりまして、今後とも、国民への最新かつ適切な情報の周知について積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  169. 西島英利

    ○西島英利君 是非、積極的にという言葉は便利な言葉でございますけれども、本当に積極的にこういう対策をやっていただきたいと思います。  それでは、今、国会、衆議院は今議論をしているわけでございますが、参議院にもこの法律そのものは提出されておりますけれども、この感染症予防の法案について御質問をさせていただきたいというふうに思います。  今日、聞くところによりますと、衆議院はあした採決、二十三日に採決をされて、そして二十四日の本会議に上程をされるというふうに聞いております。やはり国民の命の問題でもございますから、参議院でも速やかに議論をして早期のやっぱり成立をさせなきゃいけないと、これは我々国会議員の役目であろうというふうに思っております。  そこで、この法案について簡単に御説明をしていただきたいと思います。
  170. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 鳥インフルエンザ、H5N1が人に感染する事例が増加しています。先ほど申し上げたとおりであります。新型インフルエンザの発生が世界的に危惧されている状況を踏まえ、本法案においてその発生直後から蔓延防止策を迅速に実施できるように措置を講じたいというふうに考えております。  具体的には五点ほど述べさせていただきますけれども新型インフルエンザとなることが懸念されています鳥インフルエンザ、H5N1を二類感染症とし、患者の入院等の措置を可能とすること、これが一点目でございます。それから、二点目でありますけれども新型インフルエンザをこれまでの感染症の類型とは別に新たに定義すると。その理由としましては、水際での隔離、停留や、国内での患者の入院措置を可能とすること。さらに、新型インフルエンザの疑いのある者に対しまして、都道府県知事が健康状態の報告や外出自粛を要請することができると、これが新しい点でございますけれども、そういうような独自の措置を設けたところでございます。四点目でありますけれども新型インフルエンザの疑いのある者に対する停留先としまして医療機関以外の施設を追加すると、水際対策の実効性を担保することでございます。五点目でありますけれども、検疫における水際対策と国内の感染症対策との連携を強化すること。以上のようなことが重要な点でございまして、所要の改正をお願いしたいというふうに考えております。
  171. 西島英利

    ○西島英利君 鳥インフルエンザとそれから新型インフルエンザ感染症についての違いといいますか、そしてよく言われるんですけど、鳥インフルエンザ新型インフルエンザに変異するケース、こうなったときが大変だという話でございますね。ですから、そういうふうに変異したというのはどういう状況で認定することになるのか、そういうような具体的な手続がございましたらお教えいただきたいと思います。まずは違いと、両方ですね。
  172. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 鳥インフルエンザ新型インフルエンザの違いでございますけれども、まず簡単に申し上げれば、鳥インフルエンザについては、H5N1であっても人—人間の感染力が高くないと。重篤性が高いことから、今回の法改正におきまして二類感染症に位置付けたところであります。  一方、新型インフルエンザはウイルスの変異によりまして人類が免疫を有しないことから、人—人間で極めて高い感染力を有するインフルエンザであると、世界的大流行が懸念されているわけであります。  それから、新型インフルエンザの変異でございますけれども、一番重要なことは遺伝子の変異であります。ただし、これは時間が掛かります。しかも、遺伝子の変異ということで、これはウイルス学的に変化するものでありますけれども。もう一点は、先ほど来申し上げていますように、公衆衛生学的あるいは疫学的に感染力が強いというようなことでありますから、これについては感染例が見られた場合の規模というようなことが判断条件になります。  さらに、新型インフルエンザの発生については、現在のところWHOが最終的に判断するというようなことでございまして、政府としてはそういったことに関する情報提供のシステムをWHOとの間で強化しているというようなことでございます。  責任者の問題、先ほど議論出ていましたけれども新型インフルエンザが発生した場合には、これ閣議決定しておりますけれども、内閣総理大臣が国内対策強化を宣言するというようなことになろうかと思います。
  173. 西島英利

    ○西島英利君 さらに、これは要するに封じ込みという意味でいきますと、様々なことがこの中にも設けられているわけでございますけれども、例えば非常に感染力が強いということを想定をして、そういうおそれのある方については健康状態を報告するということや、自宅等からの外出を自粛するということを都道府県知事が要請することができる規定が設けられたということでございますけれども、この規定は義務規定ではないですよね、たしか。要請という形にとどめられているわけでございますが、本当に防止するという意味では義務ではないとなかなか難しいのではないかなという気がしないでもないんですけれども、どうして要請にとどめられたのか、その理由をお教えいただきたい。
  174. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 感染症法全般にわたって強制的にこうするというようなことではなくて、できる規定といいますか、こういうことができるというふうな法体系になっております。これは、一つはやはり人権の問題に配慮するというふうなことと、感染の蔓延の防止と、この二つのことを、やっぱり感染症予防の観点からも大事だし、一方で人権の問題からも大事だと、このようなことで法制定以来運用してきております。  今お尋ねの外出自粛については、もちろん感染のおそれのある者とは、あくまでも感染者との接触のあった方でありますから、外出禁止等の強制措置を行う、強制までいきますといわゆる人権上の問題が出てくるだろうと。かといって、やはり御本人に納得していただく形の中で法律に基づく外出自粛を要請した上でタミフルの予防投薬を行うだとか、あるいは担当職員、保健所の職員になると思いますけれども、定期的に服薬状況や健康状態を確認すると、このようなことを了解した上で外出を自粛していただくというふうなことを今念頭に置いております。
  175. 西島英利

    ○西島英利君 これは通告にはないんですけれども、もし、いやおれは嫌だと、何でそんなことまでして家にいなきゃいけないのかとおっしゃった場合に何か考えられることありますか。要するに、まき散らしていく可能性あるわけですよね。それいかがでございますか。これは別に通告してないけど、まだ答えられなければそれでも結構でございますが、何かお考えがあれば。
  176. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 法律上はございません。要するに、何度も何度も検疫所の職員あるいは保健所の職員が説得をするというようなことであります。拘束をしたり拉致したり、そういったことは法律上明記されていません。したがって、それは実際どうなるのかということでありますけれども、やはり納得していただいて、御本人が病気でありますから、発熱しているわけですから、あるいは発熱するおそれがあるわけですから、御自宅にいていただくとか、タミフルを飲んでいただくとか、そういうことを御理解いただくしかないんだろうというふうに考えております。
  177. 西島英利

    ○西島英利君 ということは、これは措置ではないということですよね。
  178. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) いわゆる精神関係の措置とは違います。
  179. 西島英利

    ○西島英利君 死亡者がこれだけ出てくる可能性があるよということでございますので、ですからこういうふうな強力な体制を組まなきゃいけないというふうになっているわけでございますが、やはり何らかの形での強制力というのは、今すぐ、私は今すぐ回答を求めませんけれども、していかなきゃいけないのではないかなというふうにちょっと思いましたので、この御意見をちょっと申し上げさせていただきました。  次に進ませていただきますけれども、ただ、この改正法案では、検疫法において新型インフルエンザの感染のおそれのある者については、医療機関だけでなく医療機関以外の施設にも停留をさせることができることとしております。これは、やはり多くの感染者がいられて、そしてそういうふうな感染といいますかインフルエンザウイルスをまき散らすということも含めたものがあるからこういうふうになっているんだろうというふうに思いますが、まだ発症してない患者さんですね、そうじゃないかなと思っても発症してない患者さんに対しても感染のおそれがあるという者については医療機関以外でも停留をすることができるようにした趣旨というふうに思いますけれども、この停留というもの、私は成田に入ってこられた場合には近隣のホテルをというふうには聞いておりますけれども、具体的に医療機関以外ではどのような施設を想定されていらっしゃるのか、またその施設の確保は今後どのように進めていかれるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  180. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) お答え申し上げます。  議員御指摘のように、今回の改正においては、ホテル等の宿泊施設の管理者の同意を得て宿泊施設に収容を行うことができるとなっています。ただ、成田近辺をシミュレーションしますと約七千ぐらいの客室しかないわけでありまして、成田日赤を含めましても数としては足りないだろうと、相当足りないだろうというようなことでございます。これは、新型インフルエンザに感染したおそれのある者については期間を定めて医療機関に入院を委託をすることができるというようなことは根本でありますけれども、やはりそれじゃ、先ほど来申し上げているように、足りないだろうというようなことでございます。  現在の時点では、特定感染症指定医療機関等については順次委託契約を結びまして必要な施設を確保しております。また、その宿泊施設についても、施設に対する費用負担あるいは安全対策というようなものの検討を進めております。関係自治体や関係団体との協議を進め、停留候補施設の管理者の合意が得られるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  181. 西島英利

    ○西島英利君 一つは、例示としては成田の近隣のホテルというお話でもございました。ここは医療機関じゃないですよね。そうしますと、感染のおそれのある者がそこでとどめられると。ところが、そこで発症した場合にどのような体制でされるのか、そのことについて御検討されているんでしょうか。  つまり、おそれのある者がそこでとどめられますと、実際には高熱、発してきたという場合にどういう体制で、その治療をしなきゃいけないわけでございますから、そういうことも含めて御検討をされているんでしょうか。例えば、それ以外にも、これは、そういうふうに発症してしまえば、今度は感染防止対策をしっかりとしなきゃいけないですね、そこのホテルで働いておられる従業員の方々等々も含めて。それについてはどのような御検討をされているんでしょうか。
  182. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 例えば成田でありますと、成田日赤が特定感染症指定の医療機関であります。そこの医師等と宿泊施設の管理者が契約を結ぶことになろうと思います。  現在は、まだこれからでありますけれども、そういった段階において、感染の疑いのある方を入室していただくと。もちろん、咽頭ぬぐい液等の検査を始めとして、発熱といいますか、体温計で測っていただくと同時に、個室でお世話をお願いしたいというようなことであります。また、従業員の方についても健康診断が必要ですので、そういったことを一括してやはり契約を結ぶ必要があるだろうというふうなことで今、関係者と検討をしている最中でございます。
  183. 西島英利

    ○西島英利君 これも、そういう御検討をされているのはもちろん必要なんですが、実際には今度はそのホテルの従業員に対してやっぱり正しい知識を持っていただかないといけないわけでございますし、また当然、プレパンデミックワクチンといいますかパンデミックワクチンといいますか、そういうことも含めたものをやっぱりそこでしていかなきゃいけないだろうというふうに思うんですけれども、そういう具体的な検討是非しておいていただかないと、今度はそのホテルの従業員がパニックになってしまうということもございますので、そういうことも必要かなというふうに思っております。  そこで、改正法案では、新型インフルエンザについて、特に検疫所長から都道府県への迅速な情報提供を図るための規定、これが整備をされているわけでございますが、具体的にはどのように検疫所と都道府県の保健所等が連携を図っていくのか、御説明をお願いしたいと思います。  といいますのは、これは全然、ちょっと横道にそれるわけでございますけれども、今回の例のギョーザの問題でも、ほとんど情報の連携がなかったというところから大騒ぎになったということでございますので、この辺りどう御検討されているか、御説明願いたいと思います。
  184. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 検疫所におきましては、新型インフルエンザに感染している方を発見した場合には、医療機関に隔離、停留することになります。感染しているおそれのある方については、患者との接触の程度によりまして、停留又は自宅にて健康状態の報告や、先ほど来申し上げています外出自粛を要請することになります。  このように、自宅等に帰宅した方であっても感染のおそれが否定し切れないこともありまして、検疫所長は、入国段階で対象者の居住地の都道府県知事に対しまして、その方に関する情報を通知します。通知を受けた都道府県が、保健所になろうかと思いますけれども、必要な蔓延防止策を迅速に実施できるようにしていると。このようなことで、検疫所と地方自治体、保健所との連携を深めていくと、強めていくというようなことを考えております。
  185. 西島英利

    ○西島英利君 この改正法案について、参議院にも一応提出をされていますから、この法案の内容について御質問をさせていただきました。  今朝の情報ですと、先ほど申し上げましたように、衆議院は二十四日に参議院の方へ送付してくるというお話を今朝私は聞きました。ただ、この国会でもしその法案が成立しない場合には、これは六月の十一日で期限が切れるということで、極めて重大な結果になると考えられます。  ですから、参議院も当然、それぞれの国会議員はそれなりの責任を持っていただいておりますので、これも早期に御議論がなされるだろうというふうに思っております。  もしこのような状況が、要するに可決、成立しないというふうな状況が起きれば、これは国民にとってみたら大変な状況になっていくわけでございまして、我々政治家としての責任としても、何とかこの事態は避けねばならないというふうに考えております。そういう意味で、是非この委員会でも早期の御議論を私からも委員先生方にもお願いを申し上げたいなというふうに思っております。  ところで大臣、これは大臣には質問通告してないんですが、今、私の質問の中で、まだ検討検討検討というのが物すごく多いんですね。でも、実際には、今現実的には特例的にやられているわけでございますけれども、もしこれが成立をしますと、七月十一日からその法案は動き始めていくと。ところが、実際的には、まだ検討項目はたくさんあるということでございまして、是非大臣の御決断で、これはもう厚生労働省だけの問題ではないと思うんですね、すべての省庁がやはりきちんとした体制づくりをしなければこの新型インフルエンザには対抗できないと私自身考えているわけでございますが、是非、今日のこの質問をお聞きになって、御感想と御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  186. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、是非六月の期限切れ前に速やかにこの法案について可決していただきたいと思います。これは党派を超えて国民の命を守るということでお願いできればと思います。  それで、その上で、我が省には四月一日に新型インフルエンザ対策推進室を設置しました。そこに専門家を集め、広報体制を含めてきちんとやりますが、できれば、この法案が可決していただいた暁には、内閣総理大臣をヘッドとするこの全体の対策本部がありますんで、一度実際にシミュレーションをやってみたいと思います。  それで、現実に、これは地震や災害のときの防災センターがありますから、これを同様に使う形にして成田の検疫所とつないでみると。それから横浜、港から入ってくるからです、それとつなぐ。それと都道府県。これを今から準備をしてシミュレーションをやり、何度かそれを繰り返していくうちにどこに不備があるのかということが明確になっていくと思いますので、そして必要な予算獲得に向けて是非また皆さん方の御協力をいただければと思います。
  187. 西島英利

    ○西島英利君 初めての制度後期高齢者医療制度、これがこれだけの混乱を起こしているんですね。ましてや新型インフルエンザというのは命にかかわる問題でもございますので、恐らくそれぞれの立場でそれぞれの方々がパニック状態になられるという可能性も否定はできないと思いますし、また、国民は本当に正確な知識というのはなかなかそれは学ぶ場がないわけでございますから、やはり行政を含めた関係者がしっかりとした体制を組んでいただいて、そして国民の安心を是非持たせていただければというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。  終わります。ありがとうございました。
  188. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  昨年末にも新型インフルエンザ対策、質問をさせていただきました。その前、農林水産委員会に所属していたときには、H5N1の鳥のインフルエンザ日本でも発生しまして、その防御体制、大変重要でございまして、そういう質問もさせていただいたわけでありますけれども、先ほども御質問がありましたとおり、プレパンデミックワクチンの事前投与、事前接種ですね、そういうものも議論をされてきている状況になりましたので、今日はその新型インフルエンザあるいは鳥インフルエンザ対策等について中心に質問をさせていただきたいと思います。  まず、N5H1の鳥インフルエンザから発生する可能性が高いとされている新型インフルエンザに対する治療の基本となるものがやはりワクチンでありまして、その製造、備蓄、そして接種に関して質問をさせていただきたいと思います。  新型インフルエンザは、まだ今のところ世界的には発生が確認をされておりませんけれども、万一発生した場合を想定をしてプレパンデミックワクチン、それを準備をしていくことが大変重要でありまして、先ほどからお話があったとおりでございます。  このプレパンデミックワクチンの製造、どのようなウイルス株を用いて何種類ぐらい備蓄用のワクチンの製造に着手しているのか、世界の状況と、日本ではどのようなワクチンを、ウイルス株に基づいたプレパンデミックワクチンを備蓄しているのか、その点を厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  189. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) プレパンデミックワクチンでございますけれども、WHOが指定している候補の中から選ばれたウイルス株について製造しております。現在、我が国ではプレパンワクチンといたしまして、平成十八年度補正予算におきましてはベトナム株とインドネシア株、合計約一千万人分であります。それから、平成十九年度補正予算におきましては、安徽株と言っています、中国の株でありますけれども、を約一千万人分備蓄したところでございます。合計三種類の株のワクチンを製造、備蓄したことになります。  世界的に見ると、やはり諸外国においても、WHOが指定していますウイルス株の候補の中から株を選定してワクチンを製造しているというようなことを推測しております。例えば、米国におきましてはベトナム株、インドネシア株を中心に備蓄しているというふうに聞いております。
  190. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 世界のプレパンデミックワクチンの備蓄の戦略ですね、国によってどれくらい備蓄をしていくのか、あるいはどういう株を基にプレパンデミックワクチンを作っていくのか、各国違うと思うんですね。この戦略、これについて、また備蓄の状況について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  191. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 各国の状況ですけれども、今申し上げましたように、まず備蓄量でありますが、アメリカが約二千万人分、備蓄目標としては一千三百万人をもう既に備蓄済んでいると。イギリスですけれども、これは三百三十万回分ということで、お一人二回接種するということになれば百六十五万人分というようなことになります。スイスは八百万人分を備蓄済みであります。ところが、カナダは備蓄という政策を取っていないと、こんな状況でございます。  このように、プレパンデミックワクチンについては、スイスのように全国民を既に用意している国もある一方で、今申し上げたようにカナダのように政策が違うというようなこともございます。私ども日本やアメリカなどでは人口の一定割合の備蓄を進めていくと。各国により方針が違うというような状況でございます。
  192. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 それでは、我が国のプレパンデミックワクチンの備蓄の戦略といいますか、それと、先ほども述べていただきましたけれども、備蓄の現状をどのように考えて実施をしているのか、この点を確認をさせていただきたいと思います。厚生労働省、よろしくお願いします。
  193. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 今申し上げましたように、既に二千万人分を備蓄しております。  今月十六日に開催されました専門家会議におきまして、これからのことでありますけれども、ウイルス変異に対応したプレパンワクチンを備蓄するというようなことで、別の株が必要だろうというようなことで、二十年度、できれば補正等で整備していきたいなというふうに考えております。そういう提言がございました。それから、現在のワクチンの安全性、有効性を検証する臨床研究をしたらどうかというような提言がございました。こういうことで、今後のプレパンデミックワクチン接種在り方については、この臨床研究の結果を慎重に見極めた上で検討してまいりたいというふうに考えております。
  194. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 四月十六日、つい先日ですけれども、専門家会議でいろいろな検討がなされるということが発表されているわけでありますけれども、私も余り詳しくないんですが、この新しいウイルス株より効果が期待できると思われるんだというふうに私は理解しているんですが、そのクレード2の2というんですか、そういう分類の株を用いたワクチンの製造も検討していかなければいけないというようなお話もあったんですが、この点、どのような検討になるんでしょうか。
  195. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 先ほども申し上げたように、先日の専門家会議におきまして、クレード2・2というような株がございまして、これが有力な候補ではないかというようなことで、備蓄をする必要があるだろうと。  ただ、今後でございますけれども、ウイルスの変異とワクチン製造用株の開発状況等々も考慮しまして、製造候補株についてワーキンググループをつくりまして、そこで再検討するというようなことでございます。現在の状況はそのような状況でございます。
  196. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 それから、プレパンデミックワクチンの備蓄を強化しようと、先ほど、人口に比してどれくらい準備をするかというような国もあるし、また違う考え方でやっているという国もあるということでありましたけれども日本として足りないんじゃないかと、今の備蓄よりももっと増やすべきじゃないかという声は今までも上がってきたわけでありますけれども、この備蓄の強化をしていくべきだと、そういう声にこたえて検討をしていくということでありますが、舛添厚生労働大臣、どの程度また備蓄を増やしていく、あるいは更に新しい株についてまた製造をしていくとか、その点、どのような考えでおられるのか、大臣にお聞きをしたいと思います。
  197. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほどの御質問にあったクレード2・2、これを採用すれば三千万人分ということになります。しかし、先ほど来議論がありますように、じゃ、だれから順番に打つのかねという問題が起こってきます。早急にその六千人の実験をやり、それから、その臨床研究の結果、問題がなければ一千万人に、とにかく医療従事者などから始めて打っていくということを、これは現実にそれを行っている国はどこにもありませんから、世界に先駆けて行うことになります。  その上で、やはり国民の間に優先順位をどう付けるかというのは、これもまた非常に難しい問題でありますので、必要な予算措置をしっかりやっていただいて、希望する国民にはみんなこのプレパンデミックワクチン接種できるように、そういう体制を早急に整えたいというふうに思っております。
  198. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほども質問がありましたけれども、そのワクチン、大体有効期間が三年ぐらいだというようなことになりますと、いつ起こるか分からないわけでありますけれども、長く準備をしていかなければいけないということになるわけであります。  そういう意味では、そういう有効期限切れのワクチンのことも考えながら、いつまでにこれはまた新しいものを作って交換しなきゃならないと、そういうことになるわけでありますけれども、そういうことを考えて、今後、製造、備蓄、またそういうワクチンの活用というようなことも考えて対策を取っていかなければいけないと思うんですが、そういうお考えについて、厚生労働省、どのように開展をしていくのか、お話をお聞きしたいと思います。
  199. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 有効期限がおっしゃるように三年ということであります。私ども一つはやはり保存方法の研究開発ということで、この有効期間がもうちょっと長くならないかと。先ほどタミフルの話がありましたけれども、タミフルは五年から七年に変わったわけでありますから、そういったことで、そういった方向一つございます。  それから、もう一点でございますけれども、先ほど来御説明していますように、プレパンデミックワクチンをやっぱり国民方々に、何といいますか、接種し始めるというようなことも一つの方法でございます。もちろん希望者の方でありますけれども。そのために、やはり治験のときの対象者より更に多くの方に有効性、安全性についての臨床研究を実施したいというようなことで、先ほど来申し上げております六千人についてやりたいというようなことを考えております。  さらには、例えば海外への無償提供だとかいうようなことも一つの考え方にあると思いますけれども、基本的に私ども国民に対しまして六千人を対象とした臨床研究を始めて、その後、先ほど来議論あるようなことについて、国民に対しての接種について検討してまいりたいというふうに考えております。
  200. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 臨床研究というお話ありましたけれども新型インフルエンザ臨床研究平成二十年度の厚生科学研究でいろんな案件検討されているところでありますけれども、例えば、今まで、その中にありましたベトナム株の既接種者に対しても調査をするといいますか、もう一回フォローアップをしながらやっていくような研究もあると聞いておりますけれども、ベトナム株で前にワクチンの治験をしたと、その場合にどういう結果だったのか。例えば、副反応、予想外の反応が出たとか、後遺症、副作用が起こってしまったとかそういうこともあったのかどうか、その治験の結果についてお伺いをしたいと。また、どのような効果が、ちゃんと治験でそういうワクチンに対するきちんと免疫機能が上がっているのかどうか、そういう治験の結果についてお伺いをしたいと思います。
  201. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) お答え申し上げます。  昨年十月に承認をいたしました新型インフルエンザワクチンにつきましては、それぞれ約三百例の被験者が参加した治験結果などに基づきまして承認をいたしたところでございます。  一般的に治験につきましては対象者の年齢構成や対象者数が限られた条件の下で実施されますので、したがいまして、御指摘のそのワクチンに関する治験についても、有効性、安全性に関するデータにはこれは数からくる限界がありますが、結果としては、まず当該ワクチンの十五マイクログラムを接種した場合の抗体陽転率は約七〇から八〇%、それから治験全体の副反応発現率は約七〇から一〇〇%でございまして、主な副反応といたしましては、注射部位の疼痛、それから紅斑、赤い斑点ですね、などの局所反応及び頭痛、倦怠感などの全身性反応でございました。  なお、当該ワクチンの治験の範囲内におきましては重篤な副反応は認められておりませんが、通常のインフルエンザワクチンにおきましては、ショックや急性散在性脳脊髄炎、いわゆるADEMでございますけれども、こういった重篤な副作用が現れることもございますので、本剤につきましてもそうした副作用の発現の可能性がないとは言えないことから、添付文書におきましてその旨を記載をいたしたところでございます。
  202. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これまでのワクチンの治験結果では、局所の反応はあったということでありますけれども、大きな後遺症になるようなものはなかったということでありますけれども、三百例ずつ各々やったということでありますが、まだまだ数は少ないわけで、これで何万人、先ほどですと、もう一千万人というようなことになりますと思い掛けないことも起こり得るということで、より安全性については確認をしていかなければいけないわけでありますけれども。  先ほどからも議論になっておりますように、事前接種をしていかなければいけないと。万一、新型インフルエンザが発生して国内に及んだ場合には、最前線で検疫とか医療従事者等は、あるいはライフラインを保っているような大事な方々は即危険性を伴うわけでありまして、そういう場合にはプレパンデミックワクチン事前接種をしておいてある程度免疫を高めておいて、これが本当に新型インフルエンザに効果があればいいわけで、それを期待しているわけでありますけれども、取りあえずできるだけの最善の準備はしておかなければいけないということでありますが、先ほども厚生労働大臣の方からまたそういう事前接種検討状況等お話ありましたけれども、簡潔にもう一度お答えをいただきたいんですが、いつごろまでにこういう方々事前接種をすることを検討しているということにつきましてお答えいただきたいと思います。
  203. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 六千人の臨床研究を終わり、先ほど医薬局長が説明したような副作用その他の点についての安全性、有効性ということが確認されたら、立ち所に一千万人分を接種をしたいというふうに思っております。そして、その後、これはメーカーの能力にもよりけりですし、外から買ってくるという手もあるでしょうけれども予算措置を取りながら希望する方に打っていくと。  ただ、若干の留保が必要なのは、例えばベトナム株で作ったプレパンデミックワクチンが果たしてほかの種類の対応がちゃんとできるのか、きちんと効くのかどうなのかということがあります。その点でも、注射による接種方式ではなくて、鼻から吸入するという、鼻に噴霧して気管に直接やる方が株が違う株であっても有効性が高いと思います。ですから、どういうふうにしてワクチンを体内に入れるかというそのやり方の研究もこれは早急に加速化させないといけないと思います。これまだ実用化は日本ではしておりません。  それとともに、先ほど来申し上げていますように、鶏卵を使う形ではなくて、細胞培養、組織培養をやる形での研究も進めないといけない。ですから、こういうのはやはりナショナルプロジェクトとして、予算措置、人的な手当て、そういうことをやっぱり国民皆さんの合意をいただいて早急に取り組む必要があろうかと思っております。  いずれにしましても、まずは一千万人分を世界に先駆けて現実に接種する、その上で希望者に行き渡るようにこれを拡大していくと、そういう方針に変わりはございません。
  204. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほどから話がございまして、来年度ですか、一応、医療従事者等社会機能維持者、この名前が本当に適切かどうかという議論も先ほどありましたけれども、そういう方々に対して事前接種検討しているということであります。  原則希望者なんでしょうけれども、公的な役割を担っておられるような方々、あるいは民間の方々、いろいろお願いをすることに、あるいは希望を募ることになると思うんですが、これは特別、民間だから、あるいは公務員だからどうこうというのは、そういう差別というか区別はないわけですね。この点、確認したいと思います。
  205. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 当然、官民での区分ということはガイドライン上規定をしておりません。当然そのようなことは考えておりません。  現在、十九年三月に策定したガイドラインに、今議員が御指摘医療従事者、それから治安維持ライフライン等の職種について記述がございまして、これから更に関係省庁と詰めていきたいというふうに考えております。
  206. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 例えば、病院で感染症対策に当たっているような医療従事者がいる、あるいは入院を担当されているような方々がいらっしゃる。しかし、いろんな事情で私はワクチン接種は受けませんと、そういった場合に、場合によってはそういう最前線の感染症対策、新型インフルエンザ対策の最前線の業務は外れなければならないというようなことも起こり得るのかなというふうに思うんですけれども、そうしますと、本人の本来の意思とは違って、やっぱり接種して万一のときに備えなきゃいけないなというようなことも起こってくるのではないかと思うんですが、そういう様々な事情を勘案して、また業務にも差し支えがないような形にしていく、こういうのを現場で今いろいろ実際に検討されているんですか、その点、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  207. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 先ほど申し上げましたように、十九年三月にガイドラインをお示ししまして、医療従事者の方についてはやはり感染症指定医療機関の方が中心でございますし、さらに医師会や病院協会、こういう方々と現在議論を進めているところでございます。    〔委員長退席、理事家西悟君着席〕
  208. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そこではどういうお話とか出ていますか。
  209. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 私もつぶさにはまだ聞いておりませんけれども、やはり医師あるいはナース、あるいはそういった方たち、受付の事務の方ですね、どういう範囲にワクチン接種したらいいのかと、こんな議論中心だというふうに聞いております。
  210. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほどもワクチン投与の場合の副反応等をお話お聞きしたんですが、今のところは重篤なものは起こっていないということでありますけれども、先ほどもお話ししましたとおり、今までのワクチンでは脳炎になったりとかいろんなことが起こっておるわけでありますけれども、万一プレパンデミックワクチン接種後に副反応あるいは重篤な障害等が起こった場合に補償についてはどのように対応されるのか、この点、やはりこれから具体的にワクチン接種等になりますと関心を呼ぶわけでありますけれども、この点はいかがでしょうか、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  211. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 現在、この予防接種については、予防接種法に基づく予防接種とするのかどうかについて法令的な議論を今しております。プレパンワクチン接種を予防接種法第六条に基づく臨時の予防接種として行う場合には、副作用が生じた場合には予防接種法の健康被害救済制度に基づいた救済が行われるというようなことでございます。  いずれにしましても、何らかの健康被害が生じた方に対しましては、適切に救済制度が適用されるよう鋭意早急に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  212. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 万一そういう後遺症等、あるいは様々な副作用等起こった場合に、そういう救済制度がきちんと活用されないと安心して危険な業務に携われないということでありますので、その補償を、万一のときの、そういう副作用がワクチンによって、特にプレパンデミックワクチンによって出るというようなことになったときの補償というものをしっかり対応していただきたいと思うんですね。  あと、私も医療にかかわっていたものですから、万一自分の命にかかわるようなこともあり得るということで、生命保険あるいは損害保険、傷害保険等、そういうことも本当にこの場合利くのかなという心配もしておりましたけど、一応保険は適用されるというようなお話を聞いておりますが、当然そういうリスクを覚悟しながら医療関係者等対応しなければいけないと、そのように感じているところであります。  次に、一般国民への事前接種検討というものがほかの国々ではどのようになっているのか、日本ではそれを検討しましょうという話になったんですが、世界的にはどのような対応が考えられているのか、この点をお伺いをしたいと思います。
  213. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) スイスの例を調べました。  先ほど申し上げましたように、全国民八百万人の備蓄をしたということであります。スイスの行動計画によりますと、スイス国内での高病原性鳥インフルエンザの鳥—鳥感染が発生した段階では主に鳥に接触する職業の従事者の方に打つと、それから、鳥—人感染が発生した段階では主に鳥インフルエンザ患者を扱う医療従事者等に対して段階に応じて接種すると、このようなことでございます。また、新型インフルエンザが発生した段階では、備蓄したプレパンデミックワクチンの有効性が期待されれば、そのワクチンを全国民接種することを現在スイスでも検討しているというふうに聞いております。
  214. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そのほかの国々では、プレパンデミックのワクチン事前接種というのは余り検討されてないということでよろしいんでしょうか。今スイスの例を挙げられましたけれども、そのほかには余りこういう議論はされてないということでよろしいんでしょうか。
  215. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 申し訳ございません。ちょっとその他の国で、恐らく米国、イギリス、フランス等も議論していると思いますけれども、ちょっとまだ海外情報が足りないので、また調べて御報告させていただきます。
  216. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 新型インフルエンザ、本当にいつ発生するか分からないという大変危機的な状況が近づいているのではないかというふうな専門家の声もあるわけでありますけれども、この新型インフルエンザがある国、あるいは日本でということは余り今のところ想定されてないようですが、海外で発生した、そういう場合に、どのように新型インフルエンザのウイルス株を入手してその後そのワクチンを製造する、そしてまたワクチンを承認する、そして国内に、各地域に分配し具体的に接種をしていくと、そういう流れになると思うんですけれども。  もう一度確認ですが、そういう新型インフルエンザがもし海外で発生したと、その後の対応ですね、基本的な流れについて厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  217. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) パンデミックワクチンでございますけれども、まず株でございますけれども、WHO協力センター等を通じまして供与されるワクチンの製造候補株の輸入を迅速に行うと。このWHO協力センターは世界で四か所ございます。そこを中心にしまして、候補株の輸入を迅速に行い、今度、ワクチンメーカーで製造していただくと。  このパンデミックワクチンは、その迅速な供給によりまして健康被害の拡大防止を図るために緊急に使用するというようなことが求められておりまして、先般の専門家会議議論を経まして、薬事法第四十三条の国家検定の規定にかかわらず、当該新型インフルエンザワクチンの販売、授与等を行うことができるというようなこととしているところでございます。  さらに、供給、接種に関しましては、まず、今まで申し上げていますように、新型インフルエンザウイルスの性質に基づきまして、専門家の意見を聞いた上で接種順位と具体的な実施方法を決定すると。さらに、パンデミックワクチンが製造され次第、各省庁及び各自治体は、接種対象者に対しまして予診票と接種案内状を送付すると。私ども厚生労働省は、各省庁及び各自治体が報告したワクチンの必要数に応じまして、卸等を通じまして接種場所に段階的に配送すると、このような基本的流れを示されたところであります。  この方針に基づき更に詳細についてこれから詰めていくと、こんな状況にございます。
  218. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 いざそういう状況になったときに、やはり人的また物的な資材等々、大変な数を必要とするのではないかと思うんですけれども、この点、かなりそういう人材、あるいはそういう物的な様々な準備というようなものはどの程度まで今進んでおられるのか。まあ、ちょっとこれ質問通告外ですけれども、かなりの数が必要になると思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  219. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) パンデミックの議論は、やはり現在、プレパンワクチンの有効性、安全性等々の議論からするとちょっと遅れぎみでございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、まずWHO協力センターとの連携を図っていく中で、ワクチンの製造候補株の輸入を迅速に行うシステムというような点が一点。それからもう一点は、承認のときの薬事法の関係の法的な整備が二点目でございます。三点目としましては、今お尋ねの分配等については、現在、卸と、プレパンワクチンと併せましてパンデミックワクチンの流通に関しまして大手の卸と協議を重ねていると、こんな状況にございます。
  220. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほど厚生労働大臣も、少しプレパンデミックワクチンの準備も一千万人ぐらいですか、多めにこれから増やしていこうというようなお話もございました。いざ、パンデミックワクチンが必要になったときに、これを全国民用に準備をする、前々からこれはかなりの期間が掛かるんだというようなお話でありますけれども、確認ですけれども、全国民分を製造するのにはどの程度期間が掛かる推計なのか、この点をお伺いをしたいと思います。
  221. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) 先ほど西山局長から申し上げましたように、パンデミックワクチンのその入手というところがまずあるわけでございます。入手してからどれぐらい掛かるかということについてちょっとお答え申し上げますが、まず入手してからパンデミックワクチンのその製造のためには、まず事前から準備を始めますけれども、まず季節性インフルエンザ製造用の鶏の卵を転用できる場合はちょっとこれは別でございますけれども、新たにウイルス培養用の鶏卵、これは有精卵でございますが、これを確保する場合には、その製造を開始するために六か月以上の期間を通常要します。ですから、卵の確保にまず半年以上の時間を要するということでございます。    〔理事家西悟君退席、委員長着席〕  それから、あと、製造ラインを全部、通常のインフルエンザワクチンの生産ラインを仮に全部こちらのパンデミックワクチンに振り向けると、ですから通常菌インフルエンザワクチンのその生産を中止すると、そういう仮定の上でというお話ですが、国内のすべての生産ラインをパンデミック用の生産に振り向けたとして、インドネシア株、中国安徽株の増殖性を基にいたしますと年間で約八千万人から一億一千万人分の生産ができるのではないかという試算になっております。これは先日の新型インフルエンザ専門家会議資料にも提出いたしております。  したがいまして、その卵の確保と、それからワクチンの製造というところまでのその期間で申し上げれば、大体一年半から二年弱、あるいはちょっと超えるかもしれませんが、それぐらいの期間が予想されるわけでございます。  これは最初の出荷はもちろん、一発で一億何千万人分出るということではございませんで、最初の出荷というのはもうちょっと半年プラス、卵の確保プラス三か月からもうちょっとぐらいの期間でできますけれども、おしまいぐらいのところになってくると二年前後の期間が掛かるのではないかというふうに見ております。
  222. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 かなりの、いざ新型インフルエンザが発生してから、やっぱり国内で製造して全国民分を作るまでには一年から二年弱というようなお話で、まあ前々からこれ本当に長くて、これで対応が本当にできるのかといういろいろ声が上がって、私もそのように思うわけでありますけれども、少しでも国民に投与する、接種する、そういう期間を短くしていかなきゃいけないということでありますけれども、今回の国家検定制度に関しても特例を設けて早くするというようなことがありましたけれども、この点、どういうことなのか、舛添厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  223. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 新しい型のインフルエンザワクチン、これ出荷までには国家検定を受けないといけないわけですけれども、その検定を受けているとインフルエンザが蔓延してしまって間に合わないということがありますんで、そういうときには、緊急に使用する必要があると認められた場合には国家検定を受けなくても使えるという状況について、先般の専門家会議で了承をいただきました。その結果として、大体三十五日間程度短縮することが可能でありますんで、そういうことで緊急事態に対応したいと思っています。  また、この件については今パブリックコメントの手続をしておりまして、その後、薬事法施行規則の改正など必要な改正を行いたいと、そういうふうに思っております。
  224. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やはりそれ以外にも製造期間を短縮するということが大変重要でありまして、この点についてはどのような検討がなされているか、この点を厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  225. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 先ほどの専門家会議におきましても議論されました。新型インフルエンザ発生後、ワクチン製造用のウイルス株が同定されてから六か月ほどの間に国民全員分のパンデミックワクチンの製造の完了が望ましいというようなことであります。このためには、細胞培養などによりまして有利な手法によるワクチン製造技術を確立するというようなことが必要であると、この旨提言されたわけでありまして、私どもとしては、二十年度から細胞培養の技術開発についての研究開発を進めていきたいというふうに考えております。
  226. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 細胞培養、どの程度まで技術的に可能になってきているのか、あるいはまだ研究段階であるのか、いつごろまでに使えそうなのか、この細胞培養によるワクチンの製造、これについて、技術開発の現状についてお伺いをしたいと思います。
  227. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) お答え申し上げます。  細胞培養技術によるインフルエンザワクチン、これは通常のインフルエンザワクチンでございますと海外で一社承認を得たところでございますが、この細胞培養技術、新型の方のインフルエンザワクチン、これにつきましては、世界的にその技術がまだ十分確立されているということではございません。その研究開発というところで、現在、欧米の企業で先行して開発が進められているというところが現状でございます。それで、既に臨床試験が実施されているものもございますけれども、欧米当局の承認を受けたものはないということでございます。  我が国におきましては、国立感染症研究所等々、複数のワクチンメーカーが組織培養のインフルエンザワクチンの製造技術の開発に取り組んでいるところでございますけれども、現在のところ、基礎研究あるいは非臨床試験の段階にあるということでございまして、細胞培養技術による新型インフルエンザワクチンの開発のためには、動物への毒性試験の結果などを踏まえまして、今後臨床試験を計画して実施するということが必要になってくるということでございます。
  228. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そういういい技術は期待されているんですけれども、まだまだ実際の応用については課題があるということでありまして、こういう研究、世界的にも進めておると思いますけれども日本もこういう技術の開発、活用について十分対応していっていただきたいと思います。  それから、先ほども、プレパンデミックワクチンの場合、事前投与ということで、だれをどのように優先をしてやっていくのかと、ワクチン接種でございますけれども、そういう話がありました。この優先順序と、パンデミックワクチン製造しても、最初から全国民分ができているわけではないと、患者さん等を優先に投与するということになるのか、また、先ほどもあったライフラインあるいは医療関係者にまず優先的に投与していくことになるのか、この点の方針について確認をしたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
  229. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 全体像を描きますと、それはもうあした来られたらすぐに間に合いませんが、少し時間があるという前提の下にお話をいたしますと、プレパンデミックワクチンをできれば希望するすべての国民接種をすると。そうすると、基本的にある程度の免疫は付きますね。それからあと、タミフルの備蓄も、これは必要な量を確保することによって予防にも治療にも一定の効果はあると思います。そういう形で、予防を全国民ができる体制をなるべく早くまずやると。  そして、今、細胞培養などについて研究が進んでいますけど、今日あしたこれは実用化する話ではありません。したがって、卵を使う場合にはやはり一年半ぐらい掛かる可能性があります。そうすると、フェーズ4は、本当にこの新型インフルエンザの発生ということになったときに、まさに医療関係者そして感染した人、そういう人をもちろん優先的に手当てをしていかないといけないですから、基本的にプレパンデミックワクチン接種するのと同じ優先順位でやっていくしかないと思うんですね。  ただ、その間にパンデミックワクチン自体の製造というのを急がせる必要がある、そして予防段階で全国民対象にする、そして最終的には、さらにパンデミックワクチン自身も、予防と言ったのはプレパンデミックのことなんですけれども、第一段階はプレパンデミック、そしてこのパンデミックワクチン、その両方をきちんと、全体的な、システマチックに準備して国民の命を守っていくと、こういう体制を早急に確立することが重要だと、そういうふうに思っております。
  230. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 免疫のないところで発症してしまってからでは、当然ワクチンをそれから後でやっても十分な効果が得られるということは余り期待薄いのかなという感じもしますけれども。  とにかく、時間が掛かり過ぎると、製造に。これを何とか早くできて、日本が第一発生国になるという可能性は少ないんですけれども、なるべく日本に入ってくるのを水際で防いで、時間を稼ぎながら対策を急いで進めると、あるいは国際的な協調関係の中で、これは一国だけの問題では当然ありませんので、本当に世界と協力しながら迅速な対応を取らざるを得ないと、そういうふうに考えますけれども、本当に課題が多くて、まだまだ未決定の部分も大いにあるということでありますので、この点、国民皆さんにも御理解いただきながら、協力をいただきながら、予算もそれなりにきちんと確保しながら対策を進めていただきたいと思います。  それで、そういうワクチン等の開発とは別に、もうインフルエンザ、普通のインフルエンザもあるわけで、その場合にも、いろいろ個人ができるあるいは家庭でできる、そういう予防対策があるわけであります。うがいをしたり、場合によってはマスクをしたりすると、そういうことでありますけれども、家庭でできる予防対策の推進、あるいはせきエチケットですか、今までは余り、我々もエチケットに外れるようなことをしていたこともあると思うんですが、もうこのせきエチケットといいますか、周りの人にうつさないように工夫する、あるいは自分も防御するというようなことが大事になってくるわけでありますが、みんなができる、そういう対策をしっかり啓蒙、推進をしていくことも大変重要だと思うんですが、このせきエチケットの啓蒙あるいは家庭でできる予防対策等の啓蒙、この点に関しまして、厚生労働省、どのような対策を推進をしているのか、お伺いをしたいと思います。
  231. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 新型インフルエンザ鳥インフルエンザインフルエンザでございますから、やはり感染症予防の基本は手洗い、うがいと、それから今先生おっしゃったせきエチケット、すなわちせき、くしゃみの際はティッシュなど口と鼻を押さえ、他の人から顔を背けて一メートル以上離れると、これが原則であります。なかなか私どももできないんでありますけれども、そこで私ども、個人および一般家庭・コミュニティ・市町村における感染対策に関するガイドラインというものの中で取り上げまして、市町村とかいろんな機関を通じまして国民方々に知識の普及に取り組んでいるところでございます。  また、こうした各家庭や個人で行うことのできる予防対策についてより一層情報提供に努めることが重要でありまして、四月一日からは、新型インフルエンザ対策推進室に、リスクコミュニケーションの研究歴を持つ人材、マスコミュニケーションの専門家などから成る情報提供チームを設けまして、新たに予防対策の効果的な啓発推進方策について今研究しているところでございます。
  232. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 普通のインフルエンザでも、学校等でもあるいは幼稚園等でもいろんな子供さんとかにも教育をするんだと思うんですけれども、学校等でもこういうせきエチケットとかうがい、手洗い等、こういうのはかなり教育はされているんでしょうか。これも質問の中の一部かもしれませんが、この点はいかがでしょうか。もし情報持っていればお伺いをしたいと思いますが。文科省の方ですかね。
  233. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 恐らく、それは一般の学校においても、保健の授業であるとかそういうところではきちんと指導はしてあるというふうには思っておりますけれども、しかし、せきのエチケットであるとか、特に冬場の一般的なインフルエンザの流行のときに、手洗い励行、うがいの励行、こういうことも既に言っております。やはりビールスを入れないということが一番先決になりますんで、これはもう国民的な常識としてきちんとやっていきたいと思いますし、また、しかるべきいろんな御注意は、例えば厚生労働省のホームページなんかを活用して周知徹底していきたいと思っております。
  234. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 それでは、新型インフルエンザ対策については以上で質問を終わりにしますけれども、次に、介護予防対策について質問をさせていただきたいと思います。  介護予防、二年前からいろいろ対策を講じているわけでありますけれども介護予防に関しまして、一般の住民の方々高齢者方々に対しての対策、それから要支援、要介護状態になるおそれの高い特定高齢者に対する対策、また介護保険の中で要支援の高齢者に対する対策と、様々な対策が行われておると思うんですけれども、この市区町村での実施状況がどのような形になっているのか、この点を厚生労働省にはお伺いをしたいと思います。
  235. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 平成十八年四月の介護保険制度の見直しで、できる限り要支援、要介護状態にならないようにするということで、重度化しないように、介護予防を重視したシステムの導入をいたしました。要介護、要支援となる前の段階の方々対象にいたしまして、介護予防の事業と、それから要支援者の方に対します新予防給付というものを創設をしたところでございます。  今お尋ねの現在の状況でございますけれども平成十八年度の一般高齢者対象にしました介護予防施策でございますけれども、全国で介護予防のための講演会等の開催回数が約二十一万九千回、参加者の延べ人数が約三百六十一万人という形になっております。それから、介護予防のための個別相談会等の開催回数が約八万三千回、参加者の延べ人数が約百二万六千人という数字になっております。  それから、お尋ねございました特定高齢者の関係でございますが、平成十八年度に特定高齢者に決定されました方々は全国で約十五万八千人でございまして、このうち介護予防の特定高齢者施策に参加された方は約五万一千人となっております。
  236. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 まだまだこの特定高齢者、その選定も適切に行われているのかどうか、あるいは、そういう選定はされても実際にそういうサービスを受けるような、全員が受けているというわけではないと思うんですけれども、しかし、今まで数としてはそういう介護予防を受けておられる、利用している方が増えているということでありますけれども、この介護予防の効果についてどのような調査検討がなされているのか。  私たちは、公明党としましては介護予防、大変重要だというふうに考えておりまして、とにかく健康寿命を長く延ばすためには、骨折等を起こしてしまえば要介護者になってしまう、脳卒中等になってしまえばまた要介護者になりやすい、また栄養状態も偏ってしまえばそういう要介護者になりやすいというようなことがありまして、とにかくいろいろな予防対策、これは大変重要だと思っておりますが、その効果が、実際これまで行ってきて、本当に効果がどの程度実証されているのか、この点が大変注目をしているところでありますけれども、この介護予防の事業がどのような効果をもたらしているのか、調査結果についてお伺いをしたいと思います。
  237. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護予防の効果につきましては、私ども専門家の先生方から成ります調査検討会を設けております。  去る三月三十一日に、介護予防の継続的評価分析等検討会という検討会を開催をいたしまして、今回の介護予防の特定高齢者施策、それから新予防給付から成る新たな介護予防施策の効果分析について仮集計を行っていただきました。それで、まだ途中なんで、仮集計、暫定的な集計でございますけれども、特定高齢者あるいは要支援一に相当する方につきまして、人数と特定の状態であった期間を掛け合わせて算出しました人・月という指標で集計をいたしましたところ、この施策の導入前後で状態が悪化した方の人・月の割合が減少するということは明らかになっております。  したがいまして、一応その効果がないわけではないということははっきりしておるわけでございますが、今後、検討会におきましては更に分析を続けまして、この効果の定量的な評価を行うということになっておりますし、また、介護予防サービス費用対効果の分析、あるいは男女の属性ごと、サービスごとの評価についても検討するということになっております。  私ども厚生労働省としては、現時点におきましては一定の介護予防の効果があったと考えておりますけれども、今後、検討会で更に分析検討を行っていただくことにしておりますので、その結果を踏まえて今後の施策に反映させていきたいというふうに考えております。
  238. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 まだ仮の結果の分析だということでありまして、来年ですか、二十一年の三月ごろまでに調査結果をまとめるというようなお話は聞いておるわけでありますけれども、これまでの調査結果で、効果的な介護予防プログラムの開発というのは大変重要だと思うんですが、これまでの検討の中でどういう課題が出てきているのか、またこれをどのように改善をしていくのか、この点に関しまして、もし大臣、お考えがあればお伺いをしたいと思いますけど。
  239. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 認知症なんかの場合も、やっぱり治療より予防、今これのメカニズムの研究が相当進んでいます、アルツハイマーについても。だから、研究開発をきちんとやっていくとともに、やはり認知症を含め、それから運動器疾患、そういう方で介護が必要な方が増えてくる可能性は高いわけですから、そういう意味で、要支援辺りの方々見て、特定高齢者、とにかく今予防しておけば重くなりませんよと、これをきちんと把握することが必要だというふうに思っております。だから、研究をきちっとやることと、介護が必要な方の予備軍というか、その第一歩の方々、これをきちんと把握をしていくということが一つの課題だと思っています。  それから、今、介護予防サービスの効果についての分析を行っていますけれども、それは全く何も効果がないかというのは、やっぱり一定の効果はあるんだろうと思いますから、そういうことについて、きちんと掛けた費用を上回る効果が出るということであれば、これは体系的にやっていきたいというふうに思いますんで、まさに転ばぬ先のつえということであり、今言った三つのこと、つまり、研究開発をきちんとやる、そして特定高齢者の把握をきちんとやる、そして介護予防サービスの効果について評価をし、その評価が下されるならば更にこれを進めていく、そういう課題に取り組みながら治療よりも予防と、予防について今後とも全力を挙げてまいりたいと思っております。
  240. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 後期高齢者長寿医療制度通称ですけれども、先ほどもいろいろ質問等もあったわけでありますけれども高齢者になってくれば関節疾患、ひざが悪くなってくる、足首が悪くなってくる、腕が悪くなってくると、そういう高齢者も多くなってくるわけであります。  また、筋力も弱まってきますから、自分の体重支えるのが大変だと、だから運動は余りしたくないと、あるいは運動しようと思ってもうまくいかないというようなことも当然起こってくるわけでありまして、そういうときには水中運動、プールでのいろんな運動とか、温泉を活用した入浴だけでも、あるいはそんな強烈なスイミングしなくてもお風呂に入っていれば当然ながら水圧掛かってカロリーも大分消費されるし、また動くことによる筋力の強化もできるわけでありまして、なるべくそういう関節が悪い方あるいは体重負荷が掛かり過ぎる方、こういう方々は水中運動大変よろしいと。あるいは、温泉であれば、皆、無理やり運動に行くというのは大変、もう面倒くさくなる、あるいはつらいという場合にも、温泉ですと非常に行ってみたいと、あそこならばお友達も大勢来るから楽しみもあるから行ってみたいと、そういうことになるんで、そういう水中運動あるいは温泉を活用した介護予防というのはかなり有効ではないかと我々思って、そういう方々ともいろいろ懇談をすることがあるんですが、厚生労働省としましては、こういう水中運動とか温泉地域の、そういう温泉プールというまではいかないかもしれませんが、そういうものをどのように活用していくのか、もし研究事業あるいは検討等しておりましたら、お伺いをしたいと思いますが。
  241. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護予防事業の実施に当たりましては、具体的にどういうふうにやっていくかということにつきましては、各市町村で創意工夫をいただくということだと思います。  今御指摘の温泉を利用した介護予防事業でございますけれども、私どもが知る限りにおきます一つの例でございますけれども、熊本の山鹿市におきまして、市内の温泉施設にお年寄りに通っていただいて、運動とか栄養指導、口腔ケアなどの介護予防プログラムを総合的に実施しているようなケースがあるというふうに承知をいたしております。  厚生労働省としても、この介護予防の事業がより効果的、効率的に推進されるということは大変重要な意義があると思っておりますので、市町村の先駆的な事例につきましては積極的に全国に情報提供するなどの取扱いをしていきたいというふうに考えております。
  242. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今、やっぱり景気が低迷しているというようなこと、あるいはなかなか休暇が取れないというようなことで、温泉地域もなかなか、経営的に大変厳しいというようなこともありまして、逆に昼間空いているから、そういう特定高齢者といいますか、運動不足あるいは引きこもりで、どうしても閉じこもって運動もしない、あるいは食事も、もう自分だけで好きなものを食べていると、ついつい栄養が偏ってしまうというような高齢者もいらっしゃるということで、そういう温泉施設で、昼間空いている、お客さんが少ないようなときに高齢者向けの入浴サービスあるいは健康講話あるいは食事療法、適切な食事、高齢者に向いた食事を指導する、そういうサービスをしているところもありますので、地域のいろんな資源を生かしながら介護予防、これを効果的に行っていただきたい、そのような思いでございます。  まだまだ適切なプログラム開発することが十分に行っていないというような感じも私自身思っておりますので、そういうもっと地域の資源を活用した介護予防、これを進めていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。     ─────────────
  243. 岩本司

    委員長岩本司君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、風間直樹君が委員辞任され、その補欠として姫井由美子君が選任されました。     ─────────────
  244. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  後期高齢者医療制度に伴う現役世代の拠出金の増加の問題が報道されています。  そこでお聞きしますが、政管健保、組合健保、共済について、二〇〇七年度に老人保健制度や退職者医療に拠出した費用と、二〇〇八年度に後期高齢者、前期高齢者、退職者に拠出する費用の差額をお示しください。
  245. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 保険者におきましての高齢者医療等への拠出金の負担についてのお尋ねでございます。  内容について申し上げますと、まず、七十五歳以上の方の給付費に……
  246. 小池晃

    ○小池晃君 説明要らない。数字言えばいいんだよ。
  247. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) それでは、七十五歳以上の方と、それから六十五歳から七十四歳の方の給付、拠出金について異動を申し上げますと、各保険者におきます平成二十年度の拠出金の負担等、これを平成十九年度と比べますと、政管健保におきましては〇・一兆円の増、健保組合におきましては〇・四兆円の増、共済組合におきましては〇・一兆円の増、市町村国保におきましては一・二兆円の減となることを見込んでおります。
  248. 小池晃

    ○小池晃君 あのね、〇・一兆円とかそういう数字じゃなくて、私のところには、今日、さっき、政管健保千五百億円、組合健保四千三百億円、共済一千百億円、市町村国保はマイナス、これはあと同じだけど、そう言ってきたんだよ。新聞にだって出ているじゃない、今日。でたらめな数字言わないでちゃんと、少なくとも百億の単位まで言ってください。
  249. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 私自身、この単位での数字でございまして、百億円単位のものはつまびらかにしておりません。
  250. 小池晃

    ○小池晃君 駄目です。駄目、駄目、だってこれこういうふうに言ったんだもん、今日。駄目です、止めてください、委員長委員長、止めてください。
  251. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  252. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。
  253. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 失礼いたしました。  健保組合におきましては四千三百億円の増となっております。
  254. 小池晃

    ○小池晃君 こういう手間取らせないでほしいんですよね。  今提出されている特例法案による国庫負担の肩代わりは七百五十億、組合健保に掛けるわけだから、これ組合健保の新たな負担が五千億円超えるということになることは、今のままでいけばこれが労働者の保険料の負担ということになってくる。  大臣後期高齢者医療制度は現役世代との負担の公平のためと言うけれども、結局、老いも若きも負担増ということになっているんじゃないですか。
  255. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 市町村国保においては逆にこれは負担が減るということでありますので、これはずっと前から御説明いたしておりますように、国保は御高齢の方が相対的に数多く入るわけですから、どうしても、先ほどの西島委員のお話じゃないけど、保険としてはもうそれは機能しない。したがって、五割公費が入り、四割若い人の支援金が入り、そして一割を高齢の方と。したがって、その支援金の額が今健保について四千三百億円と、こういう数字になっているわけですから、これは国民全体で国民皆保険を守っていくという観点からそういうことになっているというふうに思っております。
  256. 小池晃

    ○小池晃君 いや、市町村国保は負担軽減すると言うけれども、地方財政健全化法の影響なんかもあって、実態としては保険料値上げの動きが広がっているんですよね。東京二十三区では賦課総額の減少以上に被保険者数の減少があるので、一人当たりの保険料が年間三千三百円上がる、こういう発表もされています。この委員会でも指摘があって、これはもう全国調査やると言っている。直ちにこの結果を報告していただきたいというふうに思います。決して市町村国保の財政だって改善するとは言えないような実態が現場では起こっていると思うんですね。今もうおっしゃったように、被用者保険について見れば、これは老いも若きも負担増になっているという構造になっています。  さらに、医療の中身についてですが、今日お配りしました、これは「高齢者の医療の確保に関する法律の解説」という保険局の課長補佐が書いた本です。この本の中で、資料にも入れておきました、二ページにコピー置いておきましたが、後期高齢者の診療報酬体系というのをつくる必要性についてこう書いてあるんですね。後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が一時間でも、一分でも生かしてほしいと要望して、いろんな治療がされる。それが、かさむと五百万円とか一千万円の金額になってしまう。家族の感情から発生した医療費をあまねく若人が支援金として負担しなければならないということになると、負担の意欲が薄らぐ可能性があるので、それを抑制する仕組みを検討するのが終末期医療の評価の問題であると。  大臣、一時間でも一分でも生きてほしいと願うのは私は当然の願いだと思うんですよ。これじゃうば捨て山だと言われても仕方ないんじゃないですか。いかがですか、大臣
  257. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは私の論文ではありません。ですから、私はそういう考え方でやっておりませんから、土佐というこの著者がそういうことを書いてあったって、終末期医療をそういうふうに位置付けているわけではなくて、何度も申し上げていますように、リビングウイルの法制化をやりたいと思っていたのが私でありますから、きちんと人生の最後を全うすると、そういう観点から申し上げているのであります。
  258. 小池晃

    ○小池晃君 いや、これ個人的な本じゃないですよ。国民健康保険課課長補佐、老人医療企画室室長補佐、高齢者医療制度施行準備室室長補佐、肩書しっかり並べて書いているんですよ。大臣、これ実際地方自治体ではこの本を購入して実務に当たっているんですよ。個人的な見解で済まされる話じゃないですよ。  大臣、じゃ、私が紹介したこの部分というのは、これは誤りなんですか。
  259. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは厚生省が出している本ではありません。したがって、これはこの人の、土佐さんという人の意見でしょうけれども、要するにここに書いていることは、一分でも生かしてほしいと。それはもう当たり前なわけで、いろんな治療をされると。  一々この文章のてにをはまで私は言う気はありませんけれども、しかしながら、いずれにしても、負担と給付、これの割合についてどう考えるのか、だれがどういう形で負担し、どういう給付を行うのかと、そういうことをきちんと議論する必要があるわけですから、この人はそういう考え方を述べたということだと思います。
  260. 小池晃

    ○小池晃君 これは間違っていますとはっきり言えないんだったら、私はこれは認めたことにもなると思いますよ。しかも、これだけの肩書を並べてこの本を書いている。この本では、高齢者終末期医療に五百万円だ、一千万円だ、莫大なお金掛かるように書いているけれども、実態どうなのかというと、これ、疾患別に終末期の医療費がどれだけ掛かっているかという研究がございます。東京医科歯科大学の川渕孝一教授が、悪性新生物十万例、心疾患一万五千例、脳血管疾患七千例のDPCのデータを用いて分析をしている。  これによれば、大臣、聞いてください、死亡直前の医療費が、悪性新生物では一週間で三十二万八千円、心疾患で三十八万九千円、脳血管障害で二十二万三千円。大臣ね、人生最後の一週間の医療費として、これ高額過ぎると思いますか。終末期医療はうんと削減しなきゃいけないような、そういう金額だとお考えですか。
  261. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それはケース・バイ・ケースで、それぞれの方が終末期にどれだけの医療負担が掛かるかということでありますから、それは今委員がおっしゃった数字でありまして、それだって、高いと見るか低いと見るかはそれは個人の自由であって、私はそういう議論をするよりも、必要な医療はきちんと、終末期であれ若者であれきちんと受ける必要があると。そのためにどういうような負担と給付の関係をやるかと、そういう観点から仕事をしていきたいと思っております。
  262. 小池晃

    ○小池晃君 まさにケース・バイ・ケースなのに、五百万だ、一千万だという非常に極端な話を出して、抑制しなければいけないという、そういう宣伝しているじゃないですか。  しかも、この研究では高齢者の方が終末期の医療費が低いということも明らかに実はされています。例えば悪性新生物でいうと、死亡前六週間、七十五歳以上は百三十七万円、七十五歳未満は百六十万円です。それから心疾患は、死亡前四週間で七十五歳以上は百五十七万円、七十五歳未満は三百二万円です。それから脳血管疾患は、死亡前三週間で七十五歳以上は七十一万円、七十五歳未満は百十一万円なんです。  大臣ね、既に、後期高齢者とそれ以外の世代を比べると、終末期に掛かっている医療を比べると、実態としては、後期高齢者じゃない若年世代の方が高いんですよ、医療費が。だから、本当にこの間のやり方によって、高齢者に対してはかなり医療の現場では抑制された、もう既にそういう医療が私は行われているというのが実態だと思うんですね。そこに更に、終末期医療だということでリビングウイルを経済誘導したりするようなやり方をすれば、まさに必要な医療もできなくなるような、そういう事態が生まれるんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  263. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 何度も申し上げておりますように、必要な治療、必要な医療は今までどおり受けられる、そういうことを大前提にしてやっております。
  264. 小池晃

    ○小池晃君 私が示したこういう実証データを見てどうお考えです。私は、はっきり言って、現場では後期高齢者皆さんに対しては、むしろ実態としては、抑制された医療がもう既に行われているような実態はあると思うんですが、大臣、いかがですか。
  265. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) すべてケース・バイ・ケースで、その著者の方が、川渕さんとおっしゃったが、本当にEBM、エビデンス・ベースド・メディシンをやっているか、データベースをきちんと取っているのか、そういうことを含めて、それはもう若い方が掛かる、年取った方が掛からない、その逆であるというようなことは、定量的にないし定性的に言えるのかどうなのかと。そういうことの議論よりも、私は、それぞれの方が必要な医療を受けられるためにはどうすればいいのか、それを、国民皆保険制度を守っていくことから含めてきちんと議論する必要はあるというふうに思っております。
  266. 小池晃

    ○小池晃君 私は実態をしっかり、それこそエビデンス・ベースド・ポリシーというか、きちっとこういうデータに基づいた政策というのをつくっていくべきだというふうに思いますよ。  それから、保険料について、今後の見通しがこの間も議論になっています。これ、後期高齢者医療制度では、資料の三枚目に入れておりますが、後期高齢者の負担率というものがあります。これは制度スタート時は一〇%ですが、これは若年層の人口減少率に応じて二年ごとに負担割合が引き上がっていく仕組みになっている。すなわち、人口の変化に応じて自動的に上がっていくわけです。これに一人当たりの医療給付費の伸びが加わって更に伸びていくという仕組みです。ですから、年金改悪で行ったマクロ経済スライドのような自動保険料引上げシステムが今度の制度には入っている。  資料には、参考二ということで計算式も示されております。この計算式で、〇六年に出された新しい人口推計の数字を当てはめて私計算してみました。そうすると、後期高齢者負担率はこうなります。二〇一五年には一一%、二〇二五年には一三・二%、二〇三五年には一五%、二〇四五年には一七%、二〇五五年は一九・三%。つまり、七年後の二〇一五年には高齢者負担率は一一%ですから、一人当たり給付費が全く増えなくても保険料は一割増えるという仕組みになっている。それから同様に、団塊の世代が後期高齢者になってくる二〇二五年ごろには一三・二%ですから、三割増です。その後も伸び続けて、二〇五五年には二倍近くになるわけです。  大臣、こういう自動的に保険料のベースラインが上がっていく仕組み、この負担増に耐えられると思いますか。大臣
  267. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 委員が示されたのは若人人口でこの高齢者負担率を計算されているわけでありますけれども、実際は七十五歳未満の医療保険加入者数でありますので、七十五歳未満の生活保護受給者でありますとか、先ほど来話がありました六十五歳から七十四歳の障害認定者がどのような選択をされるか、これによって動く数字でございますので、よく見なけりゃいけないと思います。それから、五年後見直し規定もございます。
  268. 小池晃

    ○小池晃君 あのね、日本というのは国民皆保険制度の国なんでしょう。だから、若人人口というのは、ほぼイコール保険加入者、被保険者の数になるんですよ。ちゃんと、だって、計算式だって、これ人口で計算しているじゃないですか。別に被保険者なんて書いてない。だから、それに当てはめて計算しただけで、実態で見ても、例えば今の時点で一億一千四百万人の若年人口のうち保険加入者は一億一千三百万人ですから、一億人に対して百万人の誤差の範囲の話なんで、それは一定の数字を置けば計算できるはずでしょうと。  大臣、これ法案審議のときに示した数字なんですよ。ベースラインとして人口構成でどれだけ保険料が負担率が上がっていくか、これ示すの当然じゃないですか。大臣、これ数字出せと言ったら、今の理屈で出せないと言うんですよ。それで、レクに来た人、何て言ったか御存じです。これ計算できますから、小池先生計算してくださいと言ったんですよ。だから私、計算したんですよ。  こういう基本的な数字、出さなきゃ駄目じゃないですか、大臣、いかがですか。
  269. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、それはきちんと計算できるんならそれは出していいと思いますが、しかし、いろんなパラメーターを入れていかないといけないとかいうのがあると思いますけれども、そういうことでなければ、それは出せばいいと思いますよ。
  270. 小池晃

    ○小池晃君 いや、だから要らないんですよ。だから、若年人口と被保険者の差というのは、生活保護の部分とそれから前期高齢者障害者がどれだけ入るかと。それは、一定の仮置き、数字を置けば計算できるんですよ、大きく変わるわけじゃないんだから。五年ごとに生活保護の加入者がもうこんな大きく変わるわけないでしょう、大臣。だから、これ計算できるんですから出してください。大臣、いかがですか、この数字出していただきたい。出してください、大臣
  271. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) なぜ出せないかについて、事務方に説明させてもらいます。
  272. 小池晃

    ○小池晃君 さっき言ったこと言うだけなんです。これは本当に道理がないと思いますよ、私。このぐらいの数字を示すのは私、役所の責任だから、委員長、これは是非出させるようにしていただきたい。
  273. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  274. 小池晃

    ○小池晃君 今後の保険料がどう推移していくのかというのは、これからのこの問題議論する上で基礎的なデータですよ。これを出さないというのは、私、国会を本当に軽んじるものだというふうに申し上げたいと思います。  しかも、この人口の数字はこれは余りにも明らかだ、こんなものも隠ぺいしようとしていますが、先ほど言ったように、これだけじゃないわけですよ。人口の変化によって負担率そのものが自動的に上がっていく上に、一人当たり医療の給付費が増える部分がそれに上乗せされて保険料が上がっていくという仕組みが後期高齢者の保険料です。  一人当たり医療給付費の伸びを厚生労働省は、今いろんな批判もありますけれども厚生労働省のやり方としては一人当たりの医療給付費の伸びを三・一%というふうに設定をしております。これも私、計算してみました。この負担率の上昇に加えて、一人当たり医療給付費の伸びを三・一%と設定して、二〇〇八年の足下の保険料を年間七万二千円としますと、こうなります。二〇一五年は九万八千四百円、二〇二五年は十六万円、それから二〇三五年は二十四万六千四百円、二〇四五年は三十七万八千七百円、二〇五五年は五十八万三千二百円。二〇二五年にもう二倍超えるわけです。私が後期高齢者になる二〇三五年には、これは三倍超える、二〇五五年には八倍超える。  大臣、これは基本的な構造として今のような前提を置けばこういうふうになっていく、このことをお認めになりますか。
  275. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) だから、その前提が問題で、じゃ何のために例えば予防対策をいろいろやるのかと。それは、全体のこのシステム設計において、それはもちろん、今一対四対五という形で高齢者一割、四割が若者からの、現役からの支援、五割が公費だということになっていますね。しかし、介護の場合も医療の場合も、じゃどれだけの保険料を設定するのかと。しかし、この出る方はどれぐらいの給付をしないといけないか。当然のことながら、みんなが医療サービスを受けないでいいように例えば生活習慣病の予防をきちっとやっていってくれれば、委員後期高齢者になられるときに、ますますかくしゃくとしておられれば何の問題も起こらないわけですから、そういう支出を減らすこともやる。  そしてまた、ただ単に保険料が上がるのかと。それは一対四の中で相互にやり取りをするわけですよね。だから、一が一・〇八になったり一・一になれば、こちらがその分減っていくということになるんで、それはできるだけ国民の負担を抑える形で、そしてできるだけ健康な寿命を長引かしていくと。そういう形で政策体系を整えるべきであって、いや、最初からこれだけ保険料上がる、これだけっていうのは機械的に計算できないんで、私は、それは一つの試算としてやるのは全く意味がないとは言いません。しかし、そういう試算が意味がなくなるように全力を挙げて対策を打ちたいと思っております。
  276. 小池晃

    ○小池晃君 いや、だから私は必ずこうなるとは申し上げてないので、今、人口のベースはまさにこれは社人研の人口推計でやっています。それから、一人当たりの給付費三・一%というのは、厚生労働省が今そう言っているからそれでやっているんです。だから、そのまま何もしなければこうなるでしょうと、こういう計算になるんじゃないですかと聞いているんです。それはいかがですか。
  277. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) そのまま何もしないんではなくて、例えば糖尿病の対策もしっかりやる、それから、これから、今から二十年後どれだけ医学の水準が上がり、医療技術の水準が上がるかもしれません。今、全く、物すごい高額を掛けて治療しなければならないものが、新しい新薬の開発によってそういうことがなくなる可能性もありますから、ですから、私は余りそこの試算をやるよりも、それは恐らく、間違っていれば局長に後で訂正させますけれども、恐らくこの二年前に法案を作るときに、いろんな試算を出す過程でそういう数字が出てきたと思いますけど、私はもっと生産的なのは、今私が申し上げたように、そういうことにならないような政策を打っていく。単純に三・一%増えるんじゃなくて、いかにすれば健康寿命を長引かせるかをやれば増えないで済むわけですから、それこそがやっぱり私はやるべき仕事だと思っております。
  278. 小池晃

    ○小池晃君 私はきちっとしたデータを国民に示す、そこから議論が始まるんだと思いますよ。これから先の人口推計による変化自体も示さない、こういうことではやっぱり議論、だから国民は不信感をやっぱり募らせるということになっているんじゃないですか。  きちっとやっぱりこういうデータは示すべきだし、まさにこの後期高齢者医療制度というのはこういうすさまじい、このまま行けばこういうすさまじい保険料負担になるよと。だから、この本で言っているような医療費の削減を取るのか、どっちを選ぶのか、まさにそういう制度になっているということだと思いますので、こういう制度はスタートさせるべきではないと、直ちに中止、撤回するということしかないというふうに思います。  その上で、最後に、この財政構造についてなんですが、今言ったように後期高齢者負担率は制度発足時一〇%、そのほかに窓口での患者負担が原則一割になっているわけです。  四枚目の資料を見ていただくと、これは今年の予算での財源構成で、これ十一か月分で十・九兆円の後期高齢者医療費のうち、高齢者の保険料が約一兆円、患者負担が約一兆円。したがって、医療費の一九%ぐらいが高齢者の負担だという、そういう計算になるはずです。  ところが、最後のページちょっと見ていただきたいんですが、先日の公明党の機関紙に高齢者の負担半減するという記事が出まして、これは政調会長が、低所得者への軽減措置で窓口負担と保険料を合わせて平均すると高齢者の負担は制度運営財源の約二割が一割になった、半分になったと。  これ、私、どうしたらこういう計算になるかよく分かんないんですよ。要するに、今年度予算のほかに一兆円ぐらいが投入されているんであればこういうことになると思うんですが、そんなことしてないはずで、どこかでそういうこと決まったんでしょうか。これ、大臣、いかがですか。
  279. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私は斉藤政調会長じゃありませんので、これは私が説明すべきことではないと思いますが、あえてこういうことではなかろうかという推測でよろしゅうございますか。  この後期高齢者制度について負担軽減策を講じているわけでありまして、例えば高齢者の高額医療費について入院と外来の自己負担額に若人よりも低い所得に応じた上限を設けているとか、それから特に高額医療・高額合算制度を導入して医療保険と介護保険両方利用する世帯の年間での自己負担合計額に上限を設けているとか、それから均等割について低所得者に七割、五割、二割と、こういうことをやっている。そういうことで、さらに、被用者保険はこれは四月—九月はゼロですよね。それからその次が一割しか払わないでいいと。そういうようなことを総合的に見て、窓口負担と保険料負担の合計の割合について、この中低所得者にとここに書いてありますから、中低所得者については非常に一般の被保険者の場合と比べて大きく軽減されるということでこういう数字をお出しになったのではないかというふうにそんたくするわけであります。
  280. 小池晃

    ○小池晃君 いや、苦しいです。だって、そういうふうに書いてないんです、これ。だって、十分の一・九の負担が十分の一に軽減する。だから、今おっしゃられた合算制度の上限制度とか保険料の負担軽減七割、五割というのは、それが入って十一兆円のうち二兆円の負担なんでしょう。そのほかに、補正予算でいわゆる凍結で千七百億円ぐらいですよ、入ったのは。どう考えたって二兆円の負担が一兆円になるわけないじゃないですか。これ、おかしいと思いません、大臣。これ説明付かないでしょう。
  281. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、これは、ですからいろんな軽減措置を入れてこういうふうになるということを斉藤政調会長が御主張になさっているということだと思います。
  282. 小池晃

    ○小池晃君 だから、どうしてなるんですか。説明してください。
  283. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、私はそんたくするだけで、私は斉藤政調会長ではありませんから、それは斉藤政調会長にお伺いしていただきたいと思います。
  284. 小池晃

    ○小池晃君 テレビでもそういう発言を私の目の前でされましたので、もう私はどうしても計算これできません。どう考えても半分になるわけがないということはちょっと申し上げておきたいと思いますし、こんな宣伝までするぐらいだったらやっぱり中止するという声を上げる方向是非声を上げていただきたいなということを申し上げて、質問を終わります。
  285. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。私も、まず後期高齢者医療制度における保険料の負担割合についてお聞きをいたします。これ、事前にレクを受けておりますので、答えてください。  制度スタート時の現時点では後期高齢者医療制度の保険料の負担割合は一割ですが、どこまで推計をされていらっしゃいますか。
  286. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 平成十八年度、法案審議のときに行った見通しでは、七年後の平成二十七年度、二〇一五年度には後期高齢者の保険料の負担割合は一〇・八%と見込んでございます。
  287. 福島みずほ

    福島みずほ君 保険料はどれだけ上がりますか。
  288. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 医療給付費ベースで八・五万円になると見込んでおりました。
  289. 福島みずほ

    福島みずほ君 今、私たちは後期高齢者医療制度に一貫して反対し、実は昨日巣鴨のとげぬき地蔵でも街頭演説をやりました。高齢者皆さん、九十一歳の人も百歳の人もこの負担を受けていると。突然自分のところで年金下がっているけど何でだろうという質問などをたくさん受けました。  これから推計ということでは二〇一五年で一〇・八%、大体一一%ぐらいになるわけですが、保険料も上がるわけですよね。二〇一五年以降の推計というのはあるのでしょうか。
  290. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 二〇一五年以降の推計は行っておりません。
  291. 福島みずほ

    福島みずほ君 推計は行っていないとして、これは二年ごとに政令で定めるとしておりますが、二〇一五年で約一〇・八%、一割八厘、六万一千円から八万五千円。その後も下がるという要因は特にないですよね。
  292. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 基本的にこれは人口の問題でありますので、出生率が向上しない限り、その点は傾向的には率が上がるということになります。
  293. 福島みずほ

    福島みずほ君 傾向的に上がっていくんですよ。二〇一五年では一〇・八%、約一一%ですが、少子高齢化が急激に解決するわけでなく、子供も急に大きくなるわけではありませんから、傾向としては上がると。  つまり、今の負担でもきゅうきゅうだけれども、上がっていくということも問題だと思います。いずれ、私は預言者ヨハネではありませんが、予言としては後期高齢者医療制度は早晩破綻をするだろう、保険料、後期高齢者の負担割合も高くなるし、個人の高齢者皆さんも来年四月で二割負担、いずれこれは破綻するだろうということを本当に予言をする。だとすれば、やめるしかないというふうに思います。  高齢者の保険料の割合が高くなると高齢者は病院にかかることを抑制すると大臣は思われますか。
  294. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、必ずしも、まず本当に高くなるのかどうなのかというのは、それは低所得者に対してはきちんと軽減措置をやっております。  ただ、一般的にですよ、一般的に昔は窓口負担ゼロというようなところはありました。これは窓口の負担と保険料は違いますけれども、先ほどの長瀬効果というような実証の研究もあります。しかしながら、一般的に、保険料が上がったからといってじゃ受診を抑制するかというのは、それは一義的に言えないんじゃないですか。窓口負担については長瀬効果というのはあると思いますけれども、保険料の割合が高くなったからといって受診抑制するとは私は思えません。
  295. 福島みずほ

    福島みずほ君 高齢者の保険料割合の上限は何割ぐらいまでと考えますか。
  296. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) この長寿医療制度におきます高齢者と現役の世代の負担のあるべき姿というものにつきましては、まず、この根っこにある医療給付費の動向、それから現役世代の賃金の上昇率、それから年金の給付額の変化、こういったものを勘案して考えられるべきものでございますけれども、これらにつきましては不確定要素が多いということもございます。  したがいまして、将来的な高齢者の保険料の負担割合につきまして上限を設定するということは、上限がどのくらいになるかということは現段階では設けておりませんし、そういった上限を設定することは適切ではないと考えております。
  297. 福島みずほ

    福島みずほ君 でも、そうすると、これから高齢社会になって高齢者の人たちの負担する割合が増える可能性はあるわけですよね。減る要素は何もない。そうすると、五年後の見直し規定があるから先のことは分からないといっても、上限がないままでは大変不安な制度だと思います。  例えば、高齢者の負担割合の上限は一割と決めて、残りは国費を投入するなどの方針はないのでしょうか。
  298. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私はそういうことは決められないと思っている。なぜならば、私も団塊の世代ですけれども、これがみんな高齢者になったときに、しかも少子化がずうっと続いていったときに人口構成考えてみてくださいよ。圧倒的に大きなのが高齢者になる。若い人が少なくなる。やはり世代間の負担の公平ということも考えないといけない。  常に高齢者といったら、本当に困っている、そういう人たちにはいろんな温かい手を差し伸べるようにいたしますよ、だけど、そういう方ばかりが高齢者じゃありません。高級外車に乗って羽ぶりよくやっている高齢者もおられます。そのような人には例えば窓口は三割払ってもらうんです。だから、私は、高齢者といったって、皆さん高齢者といったらもうそういう方しかテレビに出さない。しかし、私は、負担の公平、世代間公平、そしてみんなで国民皆保険を支えるにはどうすればいいかというときに、一律に一割というのは決めるのは反対ですね、むしろ。
  299. 福島みずほ

    福島みずほ君 確かに高齢者の中で金持ちの人もいます。逆に、七十五歳以上のお父さんがすごい、ある程度収入があって、子供に収入がないので、お父さんが後期高齢者医療保険証を単独持ったために、今まで被扶養者だった子供たちが自分で保険料を払わなくちゃいけなくなったとか、いろんな形はあります。  ただ、問題なのは、圧倒的に多くの人は、やっぱり年金で暮らしているという人が多いことで、後期高齢者医療制度である程度上限を決めないと、いずれ後期高齢者の方の保険料がどんどん上がっていくということになると思います。  それと、一言要望いたしますが、先ほど、長寿高齢者医療制度というのは、法律もそんな言葉はありませんし、この委員会で使うことをやめていただきたいということを私の方から強く要望いたします。局長、よろしくお願いします。そういう言葉法律にありませんから、お願いいたします。  次に、社会保険病院、厚生年金病院のことについてお聞きをいたします。  社会保険病院五十三病院中、産科三十七施設、小児科三十六施設、二次救急五十二施設あり、厚生年金病院の十病院中、産科五施設、小児科五施設、二次救急七施設あります。  これらがもしも民間病院に売却されたときに存続するのか、不採算部門とされるのか、住民の不安は大変募っております。公的性格を持つ病院として、産科や小児科不足の現実を前に、社会保険病院、厚生年金病院は存続すべきと考えますが、いかがですか。
  300. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) お答えを申し上げます。  社会保険庁改革に伴いまして、今委員指摘社会保険病院につきましては今年の十月以降、また厚生年金病院につきましては二十二年四月以降、これは日本年金機構となりますので、法律上特別会計、国でこれらの病院を保有しないものと整理をされているところでございます。  他方、今年の四月二日に行われました与党社会保障政策会議におきましては、社会保険病院及び厚生年金病院、これを独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、RFOでございます、これへ出資するということで合意がされたわけでございますが、このRFOの法案審議におきまして、これは厚生年金、趣旨としては社会保険病院も含めて、その整理合理化計画については地域の医療体制を損なうことのないように十分に検証した上で策定することとされたところでございます。  この両病院につきましても、今お示しのそれぞれの病院が各地域で果たしている役割、そういうものを踏まえまして、これから地域医療を損なうことのないように十分配慮しながら、これらの整理合理化につきまして、新たな受皿の検討と併せまして取りまとめてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  301. 福島みずほ

    福島みずほ君 元々、社会保険病院・診療所、厚生年金病院は、御存じ、戦後旧厚生省の所管で十六年間運営された後、三十七年の社会保険庁発足に伴って社会保険庁に移管をしたと。そして現在、介護老人保健施設二十九施設を設置し、地域の介護にも大きく貢献をしている。つまり、地域における重要な病院で、それが社会保険庁の改革に、私ははっきり言ってとばっちりを受けたというふうに考えているんですね。本当にとばっちりを受けて、地域の中における病院って本当に大事であるにもかかわらず、これの整理統合ということが非常に安易に言われている。今、吉岡さんから話がありましたけれど、この公的性質を持つ病院としてやはり大事にしてもらいたい。千三百万人以上の患者さんが受診できなくなるし、これを維持してほしいというのは地方議会やいろんなところからも声が上がっております。  大臣、これは、RFOへの現物出資というのは、どうしてもいずれ売却されるというマイナスのイメージもあってどんどん看護師さんたちが辞めているという現状もあります。存続するという方向是非検討していただきたい。いかがですか。
  302. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはもう与党ともよく協議をして、地域の医療が損なわれることのないようにと、これが条件です。ですから、今言ったようなことを実現、つまり地域医療をきちんと確保する。それじゃなくても今地域の医療が崩壊しているという声が上がっているわけですから、そういうことを十分配慮しながらやっていきたいと思います。  ただ、片一方で、やはり合理化、効率化しないといけない面もあります。それは社会保険庁絡みの全体の改革の中でRFOということが決まりましたんで、その改革の方向と、そして地域医療を損なわないと、この二つを両立させる道を模索していきたいと思います。
  303. 福島みずほ

    福島みずほ君 総務部長にもお聞きをいたします。  国の政策が地域の医療崩壊を招いているという現実をどのように受け止め、激変緩和のための策は何か、あるいは看護師さんたちが来ない、医師が引き揚げられるという問題があるんですが、地域医療を重大視するという観点から決意をお願いいたします。
  304. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) 先ほど舛添大臣からお話がございましたように、地域の医療の確保と、それから一方で広く社会保険施設について、これは社会保険改革の中でこれから進めていかないといけないということでございますが、先ほども再々お示しのとおり、全部で六十三の病院がそれぞれ地域で果たしている役割、こういうものも今後の検討の中でいろいろ御議論いただきながら整理合理化計画をまとめていきたいと、このように考えております。
  305. 福島みずほ

    福島みずほ君 万々が一、何らかの廃止というのがもしあるとしたときに、その従業員、医療従事者の人たちの雇用の確保という点についてはいかがでしょうか。あるいは、雇用の確保という観点からはむしろ売却等には反対なのですが、いかがでしょうか。
  306. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはハローワークを含めて労働政策としてもきちんとやりますし、売却ということはあっても、それは地域医療を確保し、その受皿がきちんとなるということが前提ですから、私は例えばそういう合理化整理ということが行われたときに、即、例えば全員が解雇されるということにはならないと思います。
  307. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、全員が解雇されるというのは極端な話で、みんながそんなことを思うからこそ、今看護師さんたちが辞めているという現状があるわけです。しかも、民営化されたり売却をされれば、どうしても地域医療の中で大事な救急やあるいはどうしても大事な小児科や、とにかく余り採算部門でない部分が切り捨てられるという大変危険性があります。  ただでさえ病院がなくなっていっている中で、厚労省としては地域の医療を守る、地域に働く医療従事者を守るという決意を、大臣、お願いいたします。
  308. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、医療制度全体の改革、特に地域医療、特に地域格差が医療の問題で非常に大きくなっています。そういう点に今一生懸命手当てをし、この四月からも産科で分娩停止というようなことがないように何とか手を打ったわけですから、そういう全体の政策の中できちんと、重要な医療資源である看護師さん、お医者さん、こういう人たちがしかるべき処遇が与えられるように全力を挙げてまいります。
  309. 福島みずほ

    福島みずほ君 社会保険病院、厚生年金病院、一地域の中で果たしている重要な役割をかんがみて、これは存続という方向検討をお願いいたします。  次に、国立病院についてお聞きをします。  以前訪れました長野の国立病院については、先日、陳情的に質問をいたしましたが、今日もまた国立病院についてお聞きをいたします。  国立南横浜病院なんですが、四月八日、国立病院機構から南横浜病院の今年中の廃止が発表をされました。経営改善のためと、二〇〇四年には六病棟二百八十五床を、二〇〇八年三月には二病棟九十一床に削減するなど縮小方向を進めてきましたが、経営悪化を招いた原因は何だったと考えますか。
  310. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 御指摘の南横浜病院につきましては、この病院の政策医療であります結核医療の実績の著しい減少や地域の医療機能の現状、経営改善の見込みが極めて厳しいこと等を踏まえ、本年四月八日に今年中の廃止が決定されたところでございます。  こうした状況に至った背景には、結核患者が減少するとともに結核病床の平均在院日数の短縮により入院患者が大幅に減少していること、一般医療についても、近隣に大規模の複数の病院があることなどから患者が減少していることがあると聞いております。  なお、南横浜病院の廃止に関して、この病院が担ってきました結核医療については国立病院機構神奈川病院を含めた神奈川県内の結核医療機関との連携を図ることとし、また地域医療、一般医療についても支障を来すことのないよう、地方自治体との協議等を進めていると承知しております。
  311. 福島みずほ

    福島みずほ君 私が全国の国立病院へ行って感ずることは、病床をどんどん減らしてシュリンク、シュリンク、シュリンク、要するにどんどん縮んでいっていて、病床が減っているので経営がますます悪化をすると、しかも耐震設計などでお金を掛けなくちゃいけない。つまり、応援をする方向ではなくてどんどん縮小する方向に国立病院がなっていて、それが経営の悪化をむしろ招いていると。  これは独立行政法人だとしても、元々国立病院、厚労省が国の責任を持ってやるべきところなので、経営についてやはりもっと応援をすべきだったのではないですか。
  312. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 経営判断によるこういう縮小、そして廃止ということになっておりますけれども、この南横浜病院につきましては、何と申しましても先ほど申し上げましたような結核の入院患者数の減少という特別な要因がございました。  この南横浜病院は、昭和十二年以来、結核療養所として発足したものでございまして、結核についてはかなり有名な病院でございましたけれども、最近の治療法の進歩あるいは検査の進歩によりまして、結核患者さん、入院日数ってかなり少なくなってございますので、そういったことを踏まえたものであるということは御理解いただきたいと思います。
  313. 福島みずほ

    福島みずほ君 国立病院機構が標榜する国民に対する適切な医療と安心で質の高い医療を提供する立場ということと矛盾するのではないか。確かに結核が減っていたとしても、やっぱり国立病院として果たす役割というのはあると思います。ですから、この国立南横浜病院の廃止ということの是非再考をお願いしたいというふうに思っております。  今後、百四十六の国立病院の中で廃止に該当する病院はあるのでしょうか。
  314. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 現在百四十六ある国立病院のうちで、従来からの方針で、もちろん地元合意も得ておりますけれども、統合によって新しい病院になる、そういう形での廃止が、これが二か所ございます。一つは、札幌南病院が平成二十一年度に西札幌病院と統合して新しい病院になる、これはかなり近代的な高度な病院になります。それから、同じように香川小児病院が平成二十三年度に善通寺病院に統合されて新しい近代的な病院に変わります。このほかでは、先ほど申し上げましたような南横浜病院のような経営判断による廃止というものを予定している病院はございません。
  315. 福島みずほ

    福島みずほ君 先日、宮崎の国立病院の人にも話を聞きました。国立病院は全国の筋ジストロフィーの病床の八割、重症心身障害児・者病床の約五割を担っていると。つまり、民間が正直大変というか、非常に困難と言ったら申し訳ないかもしれませんが、という方たちをやはりきちっと診ているという現状があるわけで、精神疾患の人たちしかり、あるいはいろんな伝染病についてしかりということで、是非、南横浜病院もそうなんですが、今、南横浜病院以外に廃止の予定はないということなんですが、国立病院の良さを、民間が採算取れるか取れないかだけでやっているところを、国立病院は筋ジストロフィーの患者さんを八割引き受けているという現状にかんがみて、やはりもっと手当てを考えてほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  316. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 御指摘のような神経難病の患者さんとか精神疾患とか、それから結核もそうですけれども、これは国立病院が今までも力を入れてきましたし、それから一般病院がなかなか手の出しにくかった分野でございまして、これは政策医療として引き続き力を入れていく分野だと思っておりますし、そのために一般会計からの繰入れもいただいておりますので、そういったことを踏まえて、必要な医療は必要な医療として確保していきたいと思っております。
  317. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は実は地方出身なので、地方における国立や公的病院、自治体病院や厚生年金病院などの果たしている役割というのは、本当に地方の総合病院って限られていますので、大事だというふうに思っています。  大臣是非、病院が本当に地域からなくなるとみんな困るので、やはり国立病院や厚生年金病院、社会保険病院の病院としての重要性に対する認識と決意をお聞かせください。
  318. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私も各地、患者として訪れたり、また視察をしたりして、いろんな地域で今おっしゃったような社会保険病院、厚生年金病院、そういうのが、国立病院を含めて、中核的な役割を担っているというのはよく承知をしております。そういう意味で、政策的にきちんと手当てをし、そして必要なものは地域医療を損なわないように、これはそういう配慮をしていくというのは必要です。  ただ、もう一方、全く別の側面からいうと、民間がやっている経営努力的なことも、しかし、これを国立だからやらないでいいということにはなりません。そういう意味での経営の合理化や改革というのもやっぱりやってもらわないといけないので、そういう二つを両立させる政策というのをこれは心掛けていきたいと思います。
  319. 福島みずほ

    福島みずほ君 次に、医療費適正化計画についてお聞きをします。  平成十八年六月に医療制度改革関連法案が制定をされました。衆参強行採決で、私も強行採決のこの現場にいたことをつい最近のように思い出します。この医療制度の改革関連法の中に後期高齢者医療制度や療養病床の廃止やそれから医療費適正化計画、全部盛り込まれていたわけですが、御存じ、国が作るだけでなく、各都道府県にもこの医療費適正化計画を策定せよということが言われております。  現在、公表されているのが十九都道府県ということで私はいただきました。読んでみて、やっぱり思ったとおりこれはひどいというふうに思っています。というのは、たまたま手元にあるのが北海道医療費適正化計画で、今年の三月に作られたものですが、北海道は広いです。例えば医療の効率的な提供の推進に関する達成目標というふうにしていて、北海道は、例えば平均在院日数が長い、療養病床の病床数が多いということから、ここまで例えば言っているわけですね。平成十八年の病院報告における本道、まあ北海道の道ですが、平均在院日数三十七・一日と、同報告における最も短い都道府県、長野県の平均在院日数二十五・〇日との差の三分の一を短縮し、三十三・〇日としますと。  つまり、国が適正化やれ、適正化やれと言って、適正化計画を各都道府県に策定させた。北海道などは入院日数が長いから、一番短い長野県の間を取って短縮させますというふうにもう書いているわけですよね。今三十七日を三十三日、四日間短縮しますと。でも、人間は生きているわけで、国ががんがん適正化計画やって、県も適正化計画、努力目標、何か学力テストにおける成績みたいな感じですが、何日に短縮しますと勝手にぶち上げているわけですね。現場で生きている人間は、これはたまらない。北海道の努力目標に合わせて退院させられるという結果になるわけです。  これは本末転倒でしょう。努力目標のために命が犠牲になるというのは全くおかしいというふうに思いますが、この適正化計画をがんがん進めるのはやめてもらいたい。あるいは、都道府県の計画策定は法律上要求されておりますが、このような努力目標を設定することは根本的に間違っていると思いますが、いかがでしょうか。
  320. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 医療費適正化計画についてのお尋ねでございますけれども、これ自体は住民のQOL向上を目指して、生活習慣病対策あるいは長期入院の短縮という事業など、様々な取組を計画的に進めることによって結果として医療費の適正化を目指すものでございます。  長期入院の是正につきましては、これは高コストでかつQOLの低い急性期の病棟から、なるべくその方の状況に応じた、慢性期なら慢性期に移っていただく、在宅に移っていただく、あるいは地域ケア整備構想を言っておりますけど、介護保険の受皿をつくる。こういった形でむしろQOLが高くて医療費が必ずしも掛からない、そういったところに患者の流れを良くするということで、その結果として医療費削減が達成されるであろうと、こういう前提で言っているものでございますので、無理をして患者を追い出すというような、そういうことを前提にしているわけではありません。  それからもう一つ状況について申し上げますと、実は策定済みは既に四十三都道府県において策定済みでございます。昨日お求めに応じてお渡ししたのは、正式決定が済んでおって、かつ製本、公表しているものと、こういうものをお届けしたわけでありますが、既に四十三都道府県で策定済みとなってございます。  私どもとしては、策定中の県、残り四県になるわけでありますけれども、この計画の策定が行われるように必要な助言を行うなど、引き続き支援を行っていきたいと考えております。
  321. 福島みずほ

    福島みずほ君 私たちは、この医療費適正化計画という名の医療費削減、何というかしら、切捨て政策に反対をしてきました。医療費の、どうやってコストを削減するかとか無駄なお金を掛けないようにしよう、これなら分かります。しかし、北海道の適正化計画は、勝手に入院日数を、在院日数を三十七・一日から長野県に合わせる、差の三分の一を短縮するために三十三・〇日とします、努力目標を勝手に決めているんですね。こんなの無理ですよ。この努力目標を達成するためにぱちぱち電卓はじいて、追い出される入院患者は極めて気の毒だというふうに思っています。  厚労省は、最近、出来の悪い受験生のように数値目標ばかり出すのはもうやめていただきたい。二千二百億円削減しかり、百八十日のリハビリ切捨てしかり、五分間の診察によって診療報酬をこれで見ると、じゃ四分三十秒はどうなるか、三分はどうなるかと思います。勝手にこういうのを付けて入院日数を何日にしますというのを県が出すようなところまで追い込んでいくという今の厚労省は、現場を見ずに霞が関からばんばんようかん切るみたいに切っていく政策で、百害あって一利なしということを申し上げ、私の質問を終わります。
  322. 岩本司

    委員長岩本司君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十五分散会