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2008-03-27 第169回国会 参議院 厚生労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十八日     辞任         補欠選任      加賀谷 健君     水岡 俊一君      中村 哲治君     大石 尚子君  三月十九日     辞任         補欠選任      大石 尚子君     中村 哲治君      水岡 俊一君     津田弥太郎君  三月二十四日     辞任         補欠選任      中村 哲治君     簗瀬  進君  三月二十五日     辞任         補欠選任      大河原雅子君     植松恵美子君      簗瀬  進君     中村 哲治君  三月二十六日     辞任         補欠選任      植松恵美子君     大河原雅子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本  司君     理 事                 家西  悟君                 谷  博之君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 渡辺 孝男君     委 員                 足立 信也君                 大河原雅子君                 風間 直樹君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 中村 哲治君                 森 ゆうこ君                 石井 準一君                 石井みどり君                 岸  宏一君                 島尻安伊子君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 山本 博司君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    副大臣        厚生労働大臣  岸  宏一君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      西川 正郎君        警察庁長官官房        審議官      井上 美昭君        消防庁審議官   寺村  映君        外務大臣官房審        議官       小田 克起君        外務大臣官房参        事官       伊原 純一君        財務省主計局次        長        真砂  靖君        文部科学大臣官        房審議官     土屋 定之君        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省健康        局長       西山 正徳君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局長     太田 俊明君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       大谷 泰夫君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省老健        局長       阿曽沼慎司君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        社会保険庁運営        部長       石井 博史君        国土交通省航空        局技術部長    谷  寧久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成二十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成二十年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成二十年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (厚生労働省所管)     ─────────────
  2. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十八日、加賀谷健君が委員辞任され、その補欠として津田弥太郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩本司

    委員長岩本司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省健康局長西山正徳君外十六名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩本司

    委員長岩本司君) 昨二十六日、予算委員会から、本日一日間、平成二十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生労働省所管について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算説明につきましては既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 櫻井充

    櫻井充君 おはようございます。厚生労働委員会が開かれると本当にいいなと思います。できれば、問題が山積しておりますので、積極的に委員会を開いていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず最初年金の問題について質問させていただきたいと思いますが、幸か不幸か分かりませんが、私のところにもねんきん特別便が参りました。数年前になりますが、五年半の未納の期間があって、私、特別委員長を解任されましたが、まあ解任というか自分責任を取って辞めました。民主党のルールと全然関係のない、要するに大学病院の勤務している時代の五年半の未納の時期がありまして、ちょうど選挙の前にぶつかって相当悪者のようにたたかれた記憶がございますが、特別便がやってまいりました。  まだ行っておりません、済みません、三月の三十一日までなので予算委員会が終わったら行こうかなと、そう思っておりますが、ちょっと問題がありまして、それは何かというと、平日だけなんですね。土日が第二土曜日とあともう一日程度しかなくて、これ本気でやっているのかどうかよく分からないんです。  要するに、舛添大臣、たしか三月いっぱいでこの問題を解決するというお話をされていたはずであって、三月いっぱいに解決するとすれば三月の土日は全部開けるぐらいの心意気でやらないと解決しないんじゃないだろうかと、そう思いますけれども、このこと一つ取って、いかに社保庁やる気がないのかということを表しているんじゃないのかなと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  7. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今のところ、第二土曜日についてはこれ開いていて、じゃほかの土日はどうかというと、実はコンピューターオンラインシステムの次に向けての、四月から新たな便を送らないといけないですので、やる気の問題ではなくて、オンラインシステムをどう稼働させどう補修、点検をしという、そういう苦しい稼働スケジュールの中でやっていて、どうしても土日にその作業をやらざるを得ないということが基本的なこの理由でありますけれども、できるだけこれを稼働させるという努力をしておりまして、特にこの最後の週末、二十九、三十になって、櫻井委員是非そこでいらっしゃりたいという気持ちはよく分かるんですが、これは四月からサービスを開始しないといけないののシステム切替えというようなことがあって、まさにその補修ということが理由であるんで、ちょっとそれを御理解いただいて、その上でできるだけの努力はしたいと思います。  ちょっと技術的なことをもし私の説明で不十分であれば政府委員の方に答えさせます。
  8. 櫻井充

    櫻井充君 いつも話をお伺いすると、今回のこのことだけではなくて、コンピューターシステムの問題、システムの問題ということになるわけですね、大臣。何の問題取っても全部、この間までの、これは突合というのか統合というのか、ちょっと言葉いろいろ変わるからよく分かりませんが、この問題一つ取っても要するにコンピューターシステムの問題なんだということなんですね。  しかし、土日こんなに何で休まなきゃいけないのかということは私はなかなか理解できないんですよ。第二土曜日とそれから三月の九日の日曜日は開けることができて、あとはほかのところは開けることができないという、ここだって開けられる土曜日、開けられる日曜日があるのであれば、基本的に言えばもう少し、本当に広く呼びかけるのであればもっともっと可能なんじゃないのかなと、そう思いますけれども、その点についていかがですか。
  9. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  今、大臣の方からも私ども社会保険オンラインシステムマシンスケジュールについてお話を申し上げたところでございますけれども、補足的に申し上げますと、日々その被保険者あるいは年金加入者方々から大量のお届け等がなされておりまして、それを日々そのシステムの方に織り込んでいかなければいけないと、そういうような作業をするために、実は平日も夜間そういう作業をしてございます。夜間におけるそうした作業というものをできるだけ圧縮するというようなことで、実は従来よりも長めに夜間も八時までの御相談にあずかるというような形で平日対応もさせていただいております。  それから、休日の重要性というものも私どもそれなりに承知はしているわけでございますけれども、同じような発想で一日でも多く土曜あるいは日曜日の開庁というものをしたいということで、これまでもマシンスケジュールかなりぎりぎり見直し見直しを掛けまして休日分の対応なんかもしておるわけでございますけれども、大変恐縮でございますが、ちょうどこの年度末の時期でございますけれども、四月から行うことになっております全員向けての特別便ですね、これの送付に関するプログラムのいろいろな調整というものもこの休日を使ってやらなければいけないぐらいのちょっと状況でございまして、何とぞその点は御了解をいただきたいと思います。  四月以降の、しかしながら対応でございますけれども、改めて見直しをしていきたいというふうに思っております。
  10. 櫻井充

    櫻井充君 コンピューター土日お休みしないと駄目なんですか。まず一つ。  それから、もう一つは、五千万件の処理を三月末までにやるという約束をしたわけですから、大量にこういう処理がされるということは前提答弁されているんじゃないですか。それを今になって、こんなに大量に来ているからできませんとか言うことそのものがおかしいんです。  約束は五千万件を三月までにやると言ったんだから、それは、日々にどのぐらい来るのかということはこれ計算した上で発言されているはずですね。となれば、それに向けてちゃんと人なりなんなりを配置するというのは、これは当然のことだと思いますよ。それを大量に来たからできませんというのはおかしくないですか、大臣
  11. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、三月までにこのコンピューター上での名寄せをやると。その結果、千三十万人の方に今特別便を既にお送りしているところであります。  それで、コンピューターの作動、稼働、このことは今説明したとおりですけれども、しかし窓口対応は平日夜の七時までやる、それから電話での御相談は八時までやるということで、今そういう意味での対応をしていますし、それからこのコールセンターの人員も増やしていくということでございますので、そういう意味での努力は十分いたしておりますし、ねんきん特別便を送ったことによる反応がどうなるということを想定しないでやっているわけではございませんので、是非、例えば勤めに行っていて、サラリーマンの方でどうしても勤めが終わらないと電話できないと、そういう方は八時までやっていますので、是非それを御利用いただいて、そしてこれは、特別便を三月までに受け取った方々は三月以内に御連絡してくれなきゃ駄目ということではなくて、四月になってもお手すきのときにやっていただく。  それから、どうしても仕事都合土日でないと御連絡できない、行けないという方は、四月のまたこの第二土曜日に開けますし、それから、今後はできるだけ、一回だけじゃなくて週末もう少し開けることができないかどうか、開庁できないか、それを今検討しているところでございますので、是非御理解いただければと思います。
  12. 櫻井充

    櫻井充君 今コンピューターの件の答弁がなかったんですが、もう一つは、いいです、いいです、もう聞いてもしようがないので。いや、聞いてもしようがないんですよ。生産的、何というか、今後こういうことだっていうことで御答弁いただけるんじゃなくて、ただの言い訳聞いてもしようがないんです。  それから、さっき何と言ったかというと、休日の重要性取りあえずだったかな、取りあえずか何か形容詞が付いていましたが、その手の認識なんだと思っていますから。いや、首振っているけど、そうですから。  大臣、今四月以降というお話されましたが、これ三月に決着付ける約束でしょう。そうすると、四月以降ということになると、それは違うんじゃないですか、筋が。私は、三月中に発送すればそれで済みということではなくて、三月にまず一つ線を区切っているというのは、そこの時点で明らかにするということではなかったんですか。
  13. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、それは何度も御説明していますように、昨年七月五日の政府・与党の決定というのは、五千万件、これをコンピューター上で三月中に突き合わせを、名寄せをしてみると。その結果、約千二百万件、人の数で千三十万人について明確になったと、それでねんきん特別便をお送りする。それから、この四月から十月までは、名寄せに引っかからなかったその他の加入者受給者、これ全体で全部一億人おりますけど、この方に全員にお送りすると、そういうスケジュール図どおりにこれはやっておりまして、だから、三月で名寄せすればそれで終わったということではなくて、その名寄せの結果、またそれをフォローしていくと、こういう作業が今後も続いていくということであります。そういう工程表に従って仕事を、作業を進めていると、そういうことでございます。
  14. 櫻井充

    櫻井充君 基礎年金番号の件についても、ちょっと年次忘れましたが、我が党の若林秀樹委員の質問に対して、たしか十八年度だったか、そこまでに終わらせますと言ったはずなんですよ。それもまだ完全に終わっていないんです。いまだに終わっておりません。  そうすると、現在は、何とこの間は答弁されたかというと、基礎年金番号が全部だれのものかということがはっきりしなくてもやれるからいいんだとか、そういうふうにもうどんどんどんどん答弁が変わっていくわけですよ。やると言ってやっていない。特に基礎年金番号というのが基本になるはずなのに、それすら終わっていないんですから。ですから、できない約束は僕は余りしない方がいいんじゃないのかなと、そう思います。  この件は後、森さんも質問されるそうなので、もう一点だけ年金記録に関して、舛添大臣のお名前でこういう文書が来るわけです。この度の年金記録をめぐる問題について、心よりおわび申し上げますと書いてあるんですが、だれが何が悪くておわびされているのか全く分からないんですよ。  これは、要するに、社会保険庁が職務怠慢といいますか、ちゃんと仕事をしていない、そしてそのために本来は受給できる人たちが受給できなくなっていると、そういうことについて本当に皆さんに迷惑を掛けたので申し訳ないとか、そこなら分かるんですよ。何がその心よりおわび申し上げますなのか、だれの責任でどういうことになっているかなんて全く分かりませんよ、これは。こういう文書を送ってくることが、自分たち責任を逃れている、まあ取りあえず謝っておけばいいのかなという、そういう感じでしか我々は受け取れないし、これは私だけではないんです、私の、ほかの人がこの特別便をもらって、それで僕はもう一回読み直したんです。その方から、一般の方から言われました。  もう一つ申し上げておきますが、一般の方は、このことをもらったとしても十分理解できない、つまり、宙に浮いた年金とは一体何なのかということを十分理解していないんだと言うんです。我々はここで議論しているからどういうことか分かりますよ、この紙見たってすぐ分かりますが、そうでない人たちがまずいっぱいいるわけです。  もう一度繰り返しますが、この文章書き方そのものに私は問題があると思っています。まずちゃんと社会保険庁が悪かった、職務怠慢であった、十分な管理ができていなかったと、そのことについて明確にすべきですよ。そして謝罪をすべきです、国民皆さんにね。  その点について、大臣、いかがですか。
  15. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは公の記者会見の場でも私、今委員がおっしゃったことは常に何度も申し上げておりまして、使命感欠如責任感欠如、こういうことをしっかりと反省した上で新しい組織に立て直さないといけない。そして、その大前提として、この社会保険庁責任感それから使命感欠如した仕事をした結果について、これはきちんと一人一人の記録を再確立するように最大限努力すると、そういうことをずっと申し上げているんで、これ文書の表現を非常に今言ったように分かりにくいという御指摘でありますけれども、私はそういう意味をそこに込めて書いたつもりでございます。
  16. 櫻井充

    櫻井充君 役所の言葉って分かりにくいんですよね。この間、予算委員会委員派遣の報告も読ませていただきましたが、最初にこういうことでどうでしょうと調査室から作ってきた文章は本当に分かりにくい言葉だったんで、景気が悪いならちゃんと悪いと書いてくれと。それで、全部書き直ししてもらいました。ですから、分からないと思いますよ、これは、一般人たちは、どういうことなのか。ですから、できれば次送るときには、もう少しちゃんと社保庁が悪かったということぐらい入れていただかないと納得しないんじゃないかなと、そう思います。  その上で、社保庁が、保険者といったらいいのかどうか分かりませんが、結果的にはきちんと管理していないわけですね。管理していないところが、前も質問いたしましたが、なぜ裁定権が発生するんでしょうか。つまり、行政権だから裁定できるんだというのが、これは厚生年金回顧録を読んで、随分法制局とやり合ったところを見ていますが、ただしこの行政権の発動は、まず社会保険庁というのは保険者としてまず機能しなきゃいけないということが一つ。それからもう一つは、行政であるということが一つ。  そこで行政権があるから裁定権がこちらの社会保険庁にあるんだというのがどうも理論のようなんですが、いずれにしても、裁定するからには、自分たちが持っている資料が正しくなければ、正しくなければ裁定権は僕は発生しないんだと思っているんです。それを社保庁の方が、いまだにきちんと、何というんですか統合というのか突合というのかよく分からないけど、そういったものができ上がらない中で裁定権だけを行使できるというのは私はおかしいと思いますが、その点についていかがですか。
  17. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員がおっしゃったように、この裁定の基になる記録管理、これをやるのが社会保険庁長官社会保険庁仕事である、したがって当然記録管理を適正にやっていかないといけない、その適正な記録管理に基づいて裁定をすると、こういう仕組みになっているわけですから、今全力を挙げてその努力を行っておりますんで、適正なこの正しい記録管理をする、その上できちんとした裁定をやるということ、努力をしたいと思います。
  18. 櫻井充

    櫻井充君 それは決意宣言であって、今まで何十年もきちんとした記録管理をしていないんです。この何十年間は全く正しい記録管理をしていないんです。もっと言えば、昭和十八年に始まって以降、実際きちんとした記録管理はなされていないんです。それはなぜかというと、昭和三十二年以前の記録を一回切り捨てているからです。この当時の理由は、戦争中に記録が焼けたとか、それからいろんな形で移動したので消失してしまったとか、そのためにどうしたのかというと、三十二年以前の記録を一回切り捨てているはずです。つまりは、昭和十八年から始まったこの制度はいつもずっと記録管理は十分でなかったんです。昭和三十九年だったかと思いますけれども、この記録管理に問題があるからという、これ通知も出されているはずですね。  そうすると、昭和十八年から何十年間も記録がきちんと管理されていない中で、なぜ裁定権がずっと行使されるんですか。これおかしくないですか。今後の話じゃないですよ、これ、大臣。今までのことについておかしいんじゃないかということを申し上げているんです。
  19. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) しかし、現行法律日本国家法律の体系においては社会保険庁長官裁定をする。しかし、委員がおっしゃるように、その前提はきちんとした記録管理であるわけですから、記録管理をきちんとしていくという努力をすることによって現行法の求めているところに近づいて完璧を期すということを努力するしかありません。それは現行法でなっているんですね。例えば今度新しいシステム日本年金機構をつくりますけど、それは今度は記録管理裁定権厚生労働大臣に移ります。そういう法律仕組みになっているわけでありますから、行政責任者としては法律に基づいてきちんとそれをやる。  しかし、今おっしゃったような問題点については私も認識をしておりますから、それについては今後更に完璧なものをすると、そういう趣旨でございます。
  20. 櫻井充

    櫻井充君 答弁になっていないと思います。  私が申し上げているのは、今までの記録管理の不備があった中で裁定権を行使しているのがおかしいと申し上げているんです。法律上は確かにそうなっています。その法律上、草稿を作ったのは行政権限だということだったんですね。あの当時の法制局の真田さんという方は、厚生年金強制加入なので、要するに働いているということが分かればその時点で権利が発生するんだと、法制局は随分そういうふうに強く主張したわけなんですよ。ところが、それに対して、こういった払った払わないということがいずれ起こるであろうと、そのためには、ここのところで裁定権自分たちが持つようにしなきゃいけないという思いで、行政権限だと言って押し切って決めたんです、ここは。ですが、制度をそういうふうに自分たち都合のいいように決めて、結果的には国民皆さんに迷惑を掛けているわけですよ。  ですが、もう一つ、先ほど大臣がおっしゃったように、この裁定権は、年金記録をきちんとやったことを前提として行政権限が僕は発生していてあの法律上のとおりになるんだろうと思うんです。その前提がないままに、ここまでずっとその裁定権を持ち続けてきていて誤った裁定をし続けてきた。これ、誤った裁定をし続けてきているんですよ。そのことに問題があるんじゃないですかということを私は申し上げているんです。
  21. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、まず経緯は、今おっしゃったことがどうかというのは私はつまびらかに検証しておりませんけれども、しかし、国民の代表が国会で法律を決めて、そこにおいて裁定主義というのは決めているわけですから、それは我々はそれに従わないといけない。そして、今のような裁定主義でやるのかどうなのかということについて、それは国民的な議論をして変えることもあるし、それは諸外国についても、もちろんいろんな例がありますけれども、私は、私の理解だと、先進国は裁定主義の方が多いというように思います。  そして、今おっしゃるのは、確かにいろんなこれまでの、先ほど来私が申し上げているように、不祥事があったり、責任感使命感ないことがあったことはしっかり反省しないといけないです。しかし、それが、だから裁定権を持っていることがおかしいかどうかという原理的な問題は法律上の問題であるわけですから、誤った記録をきちんと正しくしていくというこの努力をやることと今言った裁定権を持つかどうかというのは私は違うと思う。  ただ、おっしゃる問題意識はよく理解して、そのために一日も早く社会保険庁長官がきちんと裁定して、ああ、これの裁定なら我々は従っていいと、そういう日が一日も早く来るように私は今全力を挙げる、それが私の使命だと思っております。
  22. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、裁定権を持つということは法律上で定められていると。裁定権を行使できるかどうかということはまた別ですね。権利を持っていてもその権利を行使できるかどうかというのは、これは全く別物です。ですから、それはなぜかというと、例えば納税者なら納税者からしてみれば、その義務を負っていてその義務を行使しなければ権利を得られないことだってあるはずなんですね。  ですから、そういう点からすると、裁定権はいいですよ、法律上定めていますから。裁定権を行使できるというのは、義務を果たしてからですよ。義務は何かというと、適切な年金管理をする、記録管理をするということですよ。その年金記録管理が不十分であった中で裁定権が行使できるということは僕はおかしいと思いますけれども、その点についていかがですか。今後のことではありません、裁定権の行使に対して、これまでの裁定権の行使に関しては、年金記録管理が不十分であったゆえに私は行使できるような権限を持ち合わせないんじゃないのかなというふうに思いますけれども、いかがですか。
  23. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、これは法体系の問題でいうと、権利があれば権利を行使するというのは当然であるわけですけれども、ただそのときに、委員の問題意識はよく分かりますが、国民が、権利を持った行政権がその権利を行使したときにそれを、これは正しい、これは私たちは受け入れていいと、そう認めるかどうかは、これは道義的なレベルの話でありますから、そこは私は権利の行使と権利の所有ということは表裏一体だと、日本の法体系ではそういうふうになっているというふうに理解しております。
  24. 櫻井充

    櫻井充君 集団的自衛権は、これはたしか権利として持っているはずですが、我が国のルールとしてこれは行使しないということになっているはずですね。つまり、権利はあっても、行使できるか行使できないかというのはこれはまた別なんだと思っているんです。ですから、今の御答弁は私は違うと思いますね。  もう一度申し上げますが、権利は法律上確かに定められているんです。ですが、この権利を行使できるかどうかは前提があるんですよ。前提があるんです。だって、大臣、考えてくださいよ。我々が、例えば十分持ってない、五年半未納でした、私も。ですが、まあ分かりません、これからどうなってくるのか、よく分かりませんよ。しかし、この間のままこうやって過ごしていったら、私は五年半未納だということになって年金を受給することになるんでしょう、受けることになるんでしょう。  ですが、そこの裁定権は、いや、あのときにこういうことがあったんじゃないかといって、まあ見付かればいいですよ、見付からなかった場合には、結局は、不備な年金記録管理者のために損をするのは国民なんですよ。決して利益は得られないんです。損をするのは皆国民なんですよ。その裁定権を行使して、国民に不利益を今までずうっと、ずうっとですよ、ずうっと国民はみんな不利益を被ってきたんですよ。裁定権を行使した人たちの私は責任が問われて当然だと思いますね。  大臣、その点いかがですか。
  25. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これまでの社会保険庁の一連の不祥事については、これは長官以下、もう退職していますから国家公務員法上のいろいろな規定が準用できないにしろ、給与の自主返納という形できちんと対応をさせてきている。そういう意味での責任の取り方はしているというふうに思います。  私はこれから、今、櫻井委員が御指摘のような問題が二度と起こらないように、きちんとそれは、国民の側が裁定の時期になったら、私の記録はこうです、社会保険庁の持っている記録はこうです、そしてそれはそごを来さない、そしてこれで完全でありますという記録に基づいてきちんと正しい額をお支払いすると、そういうことを、その体制を今つくろうとして全力を挙げているわけですから、どうか、そこの今後の体制をきちんとすると、そういう形で私は私の責任を果たしたいと思っていますが、先ほど申し上げましたように、過去については反省しないといけないことは山積している、そういう認識で、その反省の上に立ってきちんとした仕事をしたいと思っております。
  26. 櫻井充

    櫻井充君 大臣は、先ほど法律は国会でお決めになったと、そうおっしゃいました。であったとすると、国会で決めた法律に対して正しく運用されているのかどうかということについてもこれは国会がきちんと調べるんだと、当然のことだと思いますけれども、その点についてはいかがですか。
  27. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、日本の国家のシステム日本国憲法に基づいて三権分立ということになっていますから、三つの権力がそれぞれチェック・アンド・バランスを果たしていくと、それがこの日本国憲法の体制であります。その具体的なことについては国会法以下細かい規定がありますので、すべて法律に従って対応したいと思います。
  28. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、裁定権の行使が正しかったのかどうかについて私は御本人たちから直接話をお伺いしたいと。これは大臣が国会でというお話をされたんですから、その言葉も受けて、歴代の社会保険庁の長官にまず来ていただいて、裁定権の行使が正しかったのかどうか、これは問わしていただきたいと思います。  委員長、よろしくお願いします。
  29. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  30. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、済みません、用意していたのが幾つかあるので、今度は介護保険の制度に移っていきたいと思いますが。  現在の介護を取り巻く問題、相当あると思っています。その持続可能、持続可能といって、予算の話だけよくされます。特にしてくるのが経済財政諮問会議と財務省。この諸悪の根源の経済財政諮問会議をたたきつぶさない限り、これ、舛添大臣、相当大変なんだと思っているんです。  今日は経済財政諮問会議というか内閣府呼んでおりますから、内閣府にまずお伺いしたいと思いますが、介護の現場で働いている人たちの報酬が一体どのぐらいだったら適切だとお考えでしょうか。
  31. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) 私ども、医療、介護を含めまして社会保障の分野の議論をさせていただいておりますのは、決して社会保障本来の機能を損なってでも財政が健全であればいいと、そういう考え方にのっとってやっているわけでございません。(発言する者あり)
  32. 岩本司

    委員長岩本司君) 発言をお続けください。
  33. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) そういう社会保障の機能を発揮するためにも、まさに持続的な可能な社会保障制度の在り方という観点から議論を進めさせていただいております。
  34. 櫻井充

    櫻井充君 答えてないじゃないか。介護の現場で給料が幾らぐらいになったらいいのかと聞いているんだよ。
  35. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  36. 岩本司

    委員長岩本司君) 起こしてください。
  37. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) 済みません、御質問のございました介護の分野で働いている方々でございますが、例えばホームヘルパーで働いておられる方、男性であれば、毎月の現金給与額であれば二十三万円強のお支払を受けておられるというふうに認識しております。
  38. 櫻井充

    櫻井充君 私が聞いているのはそういうことではありません。介護で働いている人たちがどのぐらいその報酬を得るのが適切だというふうに考えているのかということです。つまり、そのことを前提として社会保障制度を考えていただかないと成り立たないんですよ。  報酬はどの程度が適切だと見込んでいるんですか。
  39. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) 介護の分野でお働きになっておられる方々を見ますと、女性の労働者の比率が高い、また勤続年数が短いということがございまして、決まって支給する給与額を見ましても、全産業と比較すればこれは低い分野にあるというふうに承知しております。
  40. 櫻井充

    櫻井充君 幾らぐらいが適切ですか。
  41. 岩本司

    委員長岩本司君) 西川審議官、マイク、ちゃんと口に当ててお願いします。
  42. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) 失礼いたしました。  御質問のようなどの程度が適切かということは、これはまさに事業の中で決められるものだというふうに思っておりますけれども、私どもとしては、全産業として比較すれば低いということは、これは承知しております。
  43. 櫻井充

    櫻井充君 全産業として低いと、それから企業だというお話をされますが、これの要するに商品価格を決めるのは、全部国が決めているんですよ。国が価格を全部決めているんです。収入はすべて国で決められるんですよ。その介護の点数を引き上げてもらえれば、これはそこで働いている人たちの手取りは当然増えるんです。抑えれば、当たり前だけど収入は減るんですよ。経済財政諮問会議の中で八代委員が何と言っているかというと、診療報酬の引下げで病院の収入は減っていると、はっきり言っていますからね、彼は。  ですから、そういうことが現実起こっているわけですよ。コントロールできるのは、国がすべてコントロールできるんです。これは、企業間の努力でなんて、そうそうそんな生易しい問題じゃありませんよ。企業間の努力で何とかなるのであれば、全産業から見たときに平均よりも低い収入にはならないんですよ。  もう一度お伺いしますが、介護で働いている人たちの給与は幾らぐらいを見込んで、それでは、幾らぐらいを見込んでいるから、ああやって二千二百億のシーリング掛けたりいろんなこと、いろんな提案してきていますよ。どのぐらいが適切だと思って、どのぐらいの給与だったら持続可能だというふうに考えているんですか。
  44. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) 私ども、財政、社会保障の議論をしておりますときに、事業が行われ、具体的に払われる賃金が幾らが適切かということを直接扱っているものではございませんが、そうした社会保障を持続的な可能な制度にするためには具体的に効率的なプログラムを策定していただきたいと、そういうことをお願いしているところでございます。
  45. 岩本司

    委員長岩本司君) 西川審議官、質問にきちんと答えていただけますでしょうか。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  46. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。
  47. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) お答えいたします。  具体的にどのような給与の水準が適切かと、そういうことを具体的に念頭で置いておるわけではございません。これはまさに事業の中でどういうふうに労使の中で払われるかということをお決めになっているものだと思っております。  また、その背後にございます介護の点数ということについては、具体的に給付と負担の中で、介護保険の中でどのようなものが適当かということを勘案して決められているものだと承知しております。
  48. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、そういうことを全く考えないと、今考えていないという答弁ですね、それでよろしいんですね。
  49. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) 具体的にどのような賃金水準が適正かということを明示的に考慮しているということはございません。
  50. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、賃金が、今は大体離職率二〇%ぐらいの産業ですよ、これがどうして持続可能な制度になっているとお考えですか。
  51. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) 介護の中の具体的な給与の水準は現場で決められていると思っておりますが、その背後にございますその介護の具体的な点数がどのようなものがいいかということは、まさに給付と負担の中で社会保障制度の中で具体的に決められているものだというふうに考えております。
  52. 櫻井充

    櫻井充君 社会保障給付のところで、じゃなぜ社会保障のところで伸びに対して二千二百億のシーリングを掛けるのですか。つまり、あなた方がそういうことをしているから現場で苦労しているんですよ。上がらないの、あなた方のせいじゃないですか、違いますか。
  53. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) 社会保障、まさにこれは持続可能な姿でなければならないということでありまして、財政健全のためにそれをやっているということではなくて、一定の一律削減ですとか金額の規模だけにこだわった改革であってはならないと考えております。現場の実態を踏まえた対策でなければならないという議員の御指摘については理解しております。
  54. 櫻井充

    櫻井充君 現場のことに関してどのように理解しているんですか。つまり、もう一回聞くけれども、これで最終通告だからね、これで動かなくなるよ、ちゃんと答えなきゃ。  舛添大臣はこの間の予算委員会で、もう社会保障は限界だ、社会保障システムそのもの自体がもう絞れるだけ絞って大変なんだと、そう答弁されているんですよ。これが厚生労働省の声ですよ。それを、要するに、厚生労働省としてこういうことをやっていきたいと思ったってできないようにしているのが経済財政諮問会議じゃないですか、諸悪の根源ですよ。  あなた方にとっての、じゃもう一度お伺いしましょう。持続可能とは一体どういうことですか。働き手がいなくなったらどうなるんですか。その点についてどう考えているのか。
  55. 岩本司

    委員長岩本司君) 西川審議官、明確にお願いします。
  56. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) まさにこれから高齢化を迎えるに当たって、財政、社会保障も含めて持続可能な姿にするということは非常に大事な課題だと思っております。そのため、私どもとしても単に一律削減や規模を削減するだけといった、そういう歳出改革であってはならない、まさに現場の実態を踏まえた対策でなければならないということを承知していると考えております。  こうした観点から、まさに現場であります厚生労働省とも連携して、医療・介護サービスの質向上・効率プログラムというものを策定していただいて実施を進めておるところでございます。こうした努力を進めてめり張りを利かせていくということが重要だと、このように考えております。
  57. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  58. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。  西川審議官、明確に御答弁をよろしくお願いいたします。
  59. 西川正郎

    政府参考人(西川正郎君) 歳出改革の分野につきましては、高齢化を乗り切る財政、社会保障にするということで骨太二〇〇六においてその大きな枠組みが決まっており、政府としてこれは閣議決定しているものでございます。昨年の骨太においても、骨太二〇〇六を踏まえた歳出改革を将来のためにもきっちり進めていくんだと、こういうふうに閣議決定しているところでございます。  具体的にこの歳出改革のどの分野をどのような姿でやっていくかということは、これは厚生労働省とも御協議して具体的な姿として予算になっているというふうに理解しております。
  60. 櫻井充

    櫻井充君 私は財政的なことを聞いているんじゃないんですよ。今の財政的なことの、要するにたがをはめることによって現場で働く人がいなくなるでしょうということを聞いているの。例えば公共事業費なら公共事業費の単価ってどうやって決められるかというと、そこで働いている人たちが日当幾らということから、まずそれも設定されていくわけですよ。この制度は国が動かしている制度ですからね。国が、国がですよ、ある種のそこでの働いている人たちの給与設定をした上で、ここの施設の利益が幾らになって、その上で介護保険全体としてどのぐらいになるんだということを決めないと持続可能にならないんですよ。そういう観点で私はやるべきではないんですかということを問いかけているんです。まあいいでしょう。  舛添大臣ね、僕は、こういうようなことでずっとシーリング掛けられ続けたら、厚生労働省としてやりたいことだって僕は全然やれないんじゃないのかなと、そう感じているんですね。大臣としてどうお考えですか。
  61. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今の介護労働者の現状が非常に厳しいというのは私は十分認識しておりまして、もういろんな要因分析もしましたけれども、まずは現状をしっかり調査してそれを国民の前に示すということが第一だろうと思っていますので、概況調査をこの四月中にまとめます。これは四千八百事業所を対象にしておりまして、それから秋までにはもっと細かい詳細の調査、二万三千七百件をやります。それから、これは介護労働者の実態調査を例年やっていますので、こういうものを踏まえて、私は平成二十一年の改定にはこの介護労働者に行く報酬の設定、これは我々が考える適切だという水準に持っていきたい。  ただ、もちろんそのときに介護保険料、これをむやみに上げることによってなるというのは国民の負担になりますから、介護保険料の設定どうするかというのを当然念頭に置きながら、しかし私は、私が考える適切な報酬ということをこの二十一年の改定に盛り込みたいと、そういう意味で全力を挙げてまいりたいと思います。  それがまず第一であって、持続可能も必要ですけれども、現場で働く人がいなくなると元も子もないということは十分認識しております。
  62. 櫻井充

    櫻井充君 ここ大事なことなんですよ。要するに、社会保障が国家財政の重荷だということをずっと考え続けているわけですよ、経済財政諮問会議はね。頭悪過ぎ。  何が大事かと言ったら、産業になるんだと。ここで雇用を吸収していくんだと。二百五十万で働いている人が四百万の給料になったら、内需は拡大していくわけですよ。そうなれば税収だって上がってくるし、そういうとらえ方をしてくるかどうかであって、最初から社会保障に対する支出が財政上悪くなるんだという認識しか持ってないから今みたいなことになるんだろうなと、そう思っています。  イギリスは全額税方式で医療をやっていますが、医療費はブレア政権になって倍になりました。対GDP比の借金は全く増えておりません。つまり、日本のように医療や介護が財政上の足を引っ張る悪者だというふうにとらえて全く増やしてこない、今でも低いのに増やしてきていない。しかも、非効率的な部分もあるでしょうという話をよく大田大臣はされるけれども、どうせこれはあしたやるからいいですが、対GDP比で見たときに、アメリカは一五%ですよ、医療費。日本は八%でしかない。なぜその国が非効率的だと言われなきゃいけないのか、私には全く理解できません。そういう人たちが骨太の方針を作っているから、だからこの国はゆがんでいくし、社会保障制度そのものが僕は崩壊していくんだろうなと、そう思います。  済みません、介護のところでもうちょっと深くやりたかったんですが、時間がないので、現場の話をもう一点だけさせておいてもらいたいと思います。これは介護ではなくて医療の現場です。  私はまだ月二回、心療内科の医者として診療しております。産婦人科は今まであったから、崩壊した崩壊したと言われていますが、心療内科というのはほとんど育っておりません。その最大の理由は何かというと、私は今三十分ごとにしか患者さん診ておりませんが、三十分カウンセリングをやって保険点数八十点です。八十点ですよ。これでどうやって生活していけというのか、これが私には理解できないんですね。  ここのところの点数を引き上げてもらえない限り、僕は心療内科というのはもう成り立たないんだろうと思っているんです。そうじゃないと、結局は五分話を聞いて薬を出すだけ。薬を出したって何も変わりはしませんよ、はっきり言っておきますが。悩み抱えている人たちのその悩みをどう解決していくのかということが大事なことであって、薬を出したって、それは一時的にぼおっとするかもしれないけれども、本質的な解決になんか全くならないわけですよ。八十点です、八十点。  このことについて、大臣、どう思われますか。
  63. 岩本司

    委員長岩本司君) 大臣でよろしいですよね。  舛添大臣、よろしくお願いいたします。
  64. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは心療内科だけではなくて、すべての診療科その他について診療報酬点数をどう決めるかというのが非常に大きな問題だと思いますので、この専門家の皆さん方の診療報酬の決定ということを私は受けて動いているわけですけれども、今の率直な感想ということであれば、三十分で八十点というのはいかにも安いなという率直な感想でありますが、その専門的な見地は保険局長の方からお答えさせます。
  65. 櫻井充

    櫻井充君 いや、時間がないので、済みません。  私が申し上げたいのは、例えば今学校の先生が、今日本当はこれもやりたかったんですが、時間がなかったのでやめましたけれども、今ストレスで四千五百人の方が休職されているんですね。休職されないで精神的な悩みを抱えている方はもっといっぱいいらっしゃると思うんです。こういう先生方がいっぱいいる中で子供たちが本当に健全に育てられるのかどうか。ちょっとこれは学校の先生に大変申し訳ないんですが。  つまり、これだけみんな苦労している社会なんですよ。じゃ、その人たちに対してカウンセリングなどそういったことをやっていくということはすごく重要なことだと思いますが、しかし今の保険点数上ではとても食べていけないので、心療内科医にはならない、若しくはなっても、どうしても薬を出さざるを得ないという、そういう状況にあるわけですよ。  これは学校の先生、今一例に出しましたが、そうではなくて、今、全労働者の三分の二の人たちが相当な悩み、ストレスを抱えている、これは内閣府の調査にございます。そして、労働時間が長い人、睡眠時間が短い人、通勤時間が長い人、こういった人たちが相当なストレスを抱えてきていることも分かってきています。このストレス社会の中で、治療をできる体制が実はでき上がってきていないんです。これも私は医療費を抑制した結果だと思っているんですよ。本来付けなければいけないところに保険点数が付けられない。ましてや、心療内科というのは新しい分野ですから、なかなか今までのところの、何というんでしょうか、それなりに地位を獲得した診療科の保険点数までに引き上げてくるというのはすごく大変なことなんだろうなと、そう思うんです。  しかし、病気の種類が変わってきていますから、大きく変わってきていますから、そういう点でいうと、この分野を伸ばしていかないと僕は社会にとって大変なことになるんじゃないのかなと、そう思っているんですけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  66. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私は労働大臣として労働の現場を見ていますけれども、非常にやっぱりこのストレス、そういうことに伴う事故、いろいろございます。今学校の先生の例出されましたけれども、これは本当に非常に重要な問題だと思います。  今日の議論も踏まえました上で、もし心療内科というようなので学会のようなものがありましたら、診療報酬改定のときに各学会からの御要望をいただいた上で検討するような仕組みになっていますので、今日も踏まえた上で、学会の心療内科の専門家の先生方の方で是非今のような御意見と御要望を出していただいて、これは必ず、そういう御意見いただけば、来年の診療報酬改定できちんと反映させるように努力をしてまいります。
  67. 櫻井充

    櫻井充君 鴨下環境大臣が心療内科の先生でございますから、まず鴨下先生に聞いていただければ、相当大変だということがお分かりいただけるんじゃないかと思います。  これも本当に医療費抑制策の中でどうしようもないことなんだろうと思うんですね、私は。ですから、医療費抑制それから介護の費用抑制という政策を方向転換していかなきゃいけないんじゃないのかなと、そう思います。  もう一点だけ、保険点数のことに関して。  今回、勤務医対策として、いわゆる医療秘書を抱えていると点数を付けていただけるようになりましたが、これも厚生省の説明によると、余りに中途半端なんですね。つまり、保険点数見合いだと幾らぐらいになるのかというと、給料が二百万円程度しか保証できないというのが、私のところに説明に来た人はですよ、そう申しておりました。今どき二百万で果たして生活ができるのか。二百万円以下の人たちをワーキングプアと呼んでいるわけであって、こういう仕事をつくったとしても、またそのワーキングプアの中に加えていくんであれば、もう僕はなり手がないんじゃないかと。なり手がないということは、こういう政策は打ちました、だけど効果がありませんでしたにつながっていくんじゃないのかなと、そう思っていますが、その点についていかがですか。
  68. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 診療報酬の改定で、これは今のメディカルクラークのみならず勤務医につきましても、私は先般記者会見で申しましたように、診療機関、病院の方にその手当は行くんですけれども、そこから先、勤務医まで行かない。それから、メディカルクラーク、この二百万というのは私は補助率だというふうに理解しておりますので、そうすると、例えば四百万というしかるべき金額をきちんと医療機関がメディカルクラークさんに払っていただく、勤務医に払っていただく。だから、現場の、今度新しい制度ですけれども、勤務医の皆さんと話していると、いや大臣、病院にまで来るのはいいけれども自分のところまで、その給料にまで反映されないんで何とかしてくれという非常に声が大きいんですね。  ですから、メディカルクラークについても、我々はきちんとやれということで今度やったわけですから、是非各病院の理事長さん、経営者さん、是非その我々の意図を体現していただくように、現場できちんと反映していただくようにと、そういうふうに要請をしたいというように思います。
  69. 櫻井充

    櫻井充君 もう時間になりましたので、私が思うには、結果的にはこのメディカルクラークのところも診療報酬点数がどうしても抑えられているから、ここが限界なんですよ。それから、そうでなければ、本来僕は補助金出しちゃった方がいいと思っているんです。メディカルクラークならメディカルクラークと保険点数で担保するんじゃなくて、勤務医対策費として、例えばそういう人を置いたら五百万なら五百万と、直接渡してしまった方がよほど簡単なんだろうなと、そう思います。  ただ、とにかく、こういう政策にしても、何回も申し上げますが、介護の分野にしても、本来国が雇用を埋めるような政策なんです、ここのところは。そうすると、国が雇用を生むべき政策のところで実は十分な雇用政策になっていないんです、この給料では安過ぎて。ですから、社会にとって僕は大きな問題があって、そこのところを、社会主義かもしれないけれども、とにかく国がきちんとした形で担保していくということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  70. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 どうぞよろしくお願いいたします。  私のところにも、私のところというのはちょっと正確ではありません、我が家にもねんきん特別便が参りました。この問題については後ほど質問をさせていただきたいと思いますが、まず、児童虐待について伺います。  平成十八年十月二十六日にもこの委員会で当時の柳澤厚生労働大臣に対して、この児童虐待の問題に関して質問をしております。国会での大臣答弁というのはいかほどの重みを持つんでしょうか。私は、今日また同じ内容で質問しなければならないということで、非常に残念に思います。  先般発生いたしました、三月十五日に母親が逮捕されましたが、埼玉県で起きました二歳の幼児を放置して衰弱死させたと、餓死させたという事案につきまして、報道を見ますと、だれもこの子供を目で見て確認していないんです。なぜ目視が行われなかったのか、御説明をいただきたいと思います。
  71. 大谷泰夫

    政府参考人(大谷泰夫君) 今回のようにお子さんの命が失われるという痛ましい事件は、これは本当にあってはならないことでありまして、非常に残念なことと考えております。まずもって亡くなられたお子さんの御冥福をお祈りしたいと思います。  児童虐待の対応につきましては、ただいまの御質問でもありましたように、十八年の十月に生じました京都府の長岡京市における死亡事例を踏まえまして、当時の大臣答弁もありましたが、そういった流れの中で児童相談所運営指針というものを改正しまして、児童の安全確認について、一つは、児童相談所の職員又は児童相談所が依頼した者によって児童を直接目視するということを基本とするということ、それから二つ目として、虐待通告を受理した後四十八時間以内にこれを行うということが望ましいと、こういった旨を明確化したところでございました。  今回の事例について、現在確認中でありますけれども、埼玉県からは、昨年の十月に児童が入院した病院からネグレクトの疑いで通告があった後、病院におきまして児童相談所職員の目視により児童の安全確認がいったんは行われたというふうに聞いております。しかしながら、その後、児童相談所において家庭訪問による母親や児童との面会等を何度も試みてまいりました。電話での話は七回ぐらいできたようでありますが、訪問を重ねても最終的には面会に至らなかったということで今回の事件発生に至ったと聞いておりまして、継続的な児童の安全の確認等の面で不十分な面があったのではないかと、そういった可能性があるというふうに考えております。  この事例につきましては、児童相談所の対応等の問題点について、今後、埼玉県において検証が行われるわけでありますが、その中で整理されると聞いております。当省としても、その結果を踏まえて国としての検証を行い、さらに必要な対応を行うことを考えております。
  72. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 だから、おととしも同じ答弁をいただいているんです。  訪問する、訪問してきちんと確認をするということがなかなか困難だから法改正をして、司法の支援、それから警察の支援も受けて、そういうことができるように法改正をしたんですよ、児童虐待防止法。なぜそれを生かさないんでしょうか。なぜそれができないんでしょうか。そういうことをきちんと行うというふうに大臣が御答弁をされているんですよ。  なぜ今回も、虐待をしたその親に問題があるのはもちろんですが、しかし、児童相談所、それを管轄する厚生労働児童家庭局、何のためにいるんですか。仕事、きちんとやっていただきたい。大臣、どうですか。
  73. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員の御指摘の問題、これはきちんと厚生労働省としても対応しないといけないし、現場に対してしかるべき指導監督、そして二度とこういう悲惨なことが起こらないように今後とも全力を尽くしてまいります。
  74. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 具体的に、児相所長会議等があると思います。緊急に招集して、大臣の方から直々に訓辞をしていただきたい。それは是非お願いしたいと思います。
  75. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 早急にしかるべき措置をとりたいと思います。
  76. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 警察庁にも伺おうと思ったんですけれども、ちょっと一言、なるべく短くお願いします。
  77. 井上美昭

    政府参考人(井上美昭君) 児童が保護者から遺棄されて死に至るといった悲惨な事件はあってはならないことでありまして、今回このような事件が発生したことは誠に遺憾なことであると感じておるところでございます。  警察におきましても、埼玉県警においてこの事案の検証を行うという報告を受けておりますので、その報告を受けて、反省すべき点は反省をするという態度で今後に生かしていきたいと、かように考えておるところでございます。
  78. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう少し具体的な答弁をいただけないんでしょうか。  警察はビラを近所に配って、警察も通報を受けたんですよね。それで、近所にビラを配ったりするなどして、その子供がどこにいるのか探そうとしたけれども分からなかった。児童相談所に問い合わせるとか、本来ならば児童相談所の方から警察に連携を要請するべきなんですけれども、そういう事例があったのならば児童相談所に何かそういう案件はないかとか、そういうことをやる知恵というのはないんですか。
  79. 井上美昭

    政府参考人(井上美昭君) 当該警察署におきましては、地域住民からの子供の泣き声に関する通報などに基づきましてパトロールを実施をし、二度家庭も訪問をしたところであります。ひ孫の夜泣きで困っておりますと、虐待はないといった本件被疑者の祖母、これは殺害児童の祖父母になりますけれども、そういう話を聞きまして児童虐待が行われているというまでの認識に至らず、児童の安全を直接確認するまでには至らなかったという報告を埼玉県警察から受けておるところでございます。
  80. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 だから、その報告はうのみにしないでいただきたい。警察官職務執行法に基づく積極的な立入りを行う方針をもう二年前に打ち出して通達をなされているではないですか。それがきちんと行われていないじゃないかというべきじゃないんですか。もう一言だけお願いします。
  81. 井上美昭

    政府参考人(井上美昭君) 先ほど申しましたように、今後、埼玉県警察において本件の問題点等あるかないか含めて検証してまいりたいという報告を受けております。その報告を受けた上で反省すべきものは反省する、あるいは今後に生かすべきものは生かしていくということで臨んでまいりたいと、かように思っておるところでございます。
  82. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 虐待を受けている子供たちは応援してくれる人がいないんですよ。病気を持っている子供たちはそれでも親御さんが何とかその子供を何とかしようと思って応援団がいるんです。とにかく真剣に取り組んでいただきたい。  それでは、年金の問題に移ります。  我が家にもねんきん特別便が着きました。夫のところに参りました。これが家庭内何とかというんでしょうか、おまえたちがしっかりしないからこんなことになっているんだという、もう怒っているんですよ。これを見て、もう分からない、どこが問題なんだ、記録を見てもどこが抜けているんだ、分からないじゃないか、こういうふうに怒られるものですから、私の方が丁寧に説明をさせていただきました。非常に怒っています。  そして、先ほど櫻井さんからもお話ありましたように、とても仕事が忙しくて社会保険庁に出向いたり、保険事務所に出向いたり、それから電話を掛けて、つながらない電話を何度も何度も掛けて確認する時間がないというふうに言って本当に怒られています。だから、三月までにやると言ったのは一体何なんだと本当に言われましたよ。  それで、これ質問しても堂々巡りなんでちょっと確認したいんですけれども、昨日の衆議院厚生労働委員会、まだ議事録を確認しておりませんけれども、脱退手当金に関しての質問もあったかと思います。それから今、皆様のお手元にも、もう何度も見ていらっしゃると思いますが、資料をお配りさせていただいておりますが、この十四日に公表されました未統合記録の全体像、これの分類について社会保険庁はもう一回やり直したんですよね。分類し直した。分類し直した数字、解明済みというのが何件で、そうじゃないのが何件なのか、これ昨日の委員会でおっしゃったようですけれども、もう一度確認したいと思います。
  83. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  まず最初に、今言及なさいましたこの三月十四日に公表いたしました新たな全体像についての数字でございますけれども、これ自体は私ども解明作業を進めてまいっておりまして、その作業の言わば結果をそのまま要するに反映させたものということでございまして、これ自体、変更したというような認識にはなってございません。  先生の方から今ございましたお話というのは、むしろ大変恐縮でございますけれども、民主党の先生方の方から御要望があった、一定の要するに区分に基づく整理、それに沿って要するにその数字を出してもらいたいという御要請があったので、それにできるだけ近づけてということでお示しをしたものということでございます。そういうような経緯になっているということをまず御承知おきいただきたいというふうに思います。  それで……
  84. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  85. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。
  86. 石井博史

    政府参考人石井博史君) 失礼いたしました。  それで、そういうような経緯でお求めに応じてお示ししたその数字でございますけれども、六つからの要するに区分になる形でございまして、一番は、統合済みの記録ということで約四百十七万件でございます。  それから二つ目は、今後新たな給付に結び付かない記録と、こういう区分が示されたわけでございますけれども、これに当たるものとしては二つ。一つは、死亡一時金を受給している記録ということで約六十万件。それから、もう一つが脱退手当金等の受給により新たな受給に結び付かないと考えられる記録が約五百八十八万件。  それから三つ目でございます、三項目めでございますけれども、今後新たな給付に結び付くことは皆無ではないけれども可能性は低い記録ということで、内容は二つでございまして、死亡の届出がされている記録が約百九十四万件。それから、もう一つでございますが、死亡の届出がされている記録又は死亡一時金を受給している記録と同一人の可能性が高い記録及び国内最高齢超の記録ということで百四十七万件。  そして、四項目めでございますけれども、今後解明を進める記録等ということで、二つから成っておりまして、一つ目が今後解明を進める記録等二千十九万件、それから氏名等の調査を継続している記録約六万件。  そして、五番目でございますけれども、五千万件中、複数の年金手帳記号番号を保有していると考えられる者の記録、重複分のみ計上ということで、これが四百九十二万件。  そして、六番目の項目として、名寄せにより基礎年金番号記録と結び付く可能性があり、三月までにねんきん特別便送付対象となる記録千百七十二万件。合計で五千九十五万件という、そういう区分でございます。
  87. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 長々と言わないでいただきたい、分からなくなりますから、数字がいろいろあって。  要するに、新たに死亡届が出されている記録などをもう一回、解明済みではなくて未解明という分類をし直したということですね。端的にお答えください。
  88. 石井博史

    政府参考人石井博史君) そういう要するにその整理をしたというわけではございません。お求めに応じてこういう形で区分をお示しいたしましたけれども、私どもは、解決あるいは未解決と、そういう言葉自体の要するに意味内容がいま一つ十分把握できないものですから、従来どおり、私どもとしては解明ができているかどうかという観点からの整理をしているということでございます。
  89. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 解明済みと言っているのは社会保険庁の方でしょう。この間いただいたこのペーパーにだって、突き合わせ等で解明済みって、統合済み、死亡脱退手当金受給等ということで、当初いただいた資料ではもう解明済みになっていたんですよ。でも、いろいろ我々からの指摘に対して、いや、そうじゃないと。死亡届、死亡一時金等は、もらっていない人もいる、遺族年金の受給申請、確認していませんので、そういう問題があるので、受給権者がいるだろうということで、それは解明済みから外したんじゃないですか。それをはっきりしてくださいよ。
  90. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは津田弥太郎委員が先般お求めになって、そのときに統合されたもの、統合されていないものというような、四つぐらいに分けて、そのときも一応説明しましたけれども、それにどういうようにお答えするかということで、これは分類の仕方でありまして、五千万件をコンピューター上で名寄せをしなさい、それで名寄せをした結果どういうことであったかというのは、名寄せの結果、解明されたものが約三千万件、そしてまだ解明されていないものが、コンピューター上でですよ、二千万件あると。そして、その三千万件の内訳についてこういうことであるということが解明された。その中に、例えば今、森ゆうこ委員の出していただいた我々の三月十四日公表した資料で、例えば死亡が判明した者の記録、死亡が判明したということは解明されたんです。  ただ、例えば死亡一時金を受給している記録、死亡の届けがなされ、死亡の届けがなされている記録というのはそこにありますけれども、これが百九十四万件ですか、あるんですが、じゃ、死亡の届出をしたんだけれども、遺族の方がそのときに必要な、これは当然それをおやりくださいという、死亡届のときには市町村でちゃんと指示があり一連の書類をもらいますけれども年金関係につきもうそれはほったらかしておいてあったというような場合には、ひょっとしたらそういうケースがあればそれは完璧になってない、そういう可能性はあるけれども、極めてこれは可能性は低い。だから、そこまでを数えているかどうか。  ここで解明かどうかということを申し上げたのは、名寄せの結果解明できたものが今言った項目で三千万あって、名寄せの結果解明できない二千万件あって、そして千百七十万件解明されたうちの千三十万件は特別便を送っていると、そういうことですから、優先順位を付けていく。それは人的ミスがありますから、きょう今日だって入力ミスやっていることがある可能性あるわけです。  しかし、これは非常に可能性が少ないから、一日も早く皆さん方の年金を取り戻すという作業をやるためには優先順位の高いところからどんどんどんどんやっていくということでありますので、それで私は昨日の衆議院の厚労委員会でも申し上げましたけれども、解決した、未解決だという言葉は使っておりません。  そして、津田委員がおっしゃったように、統合ということは、裁定してもうお金がもらえる、年金きちんともらえるようになって、それが四百十七万件です。しかし、今千三十万人に送ってますから、今からちゃんと手続していただければその数がどんどん増えていくと、こういうことで、そういう分類の仕方をしたというのは今私が説明申し上げたとおりであります。  私はそれの方が、むしろ解決したとか未解決であるというような問題を使うより、正確にコンピューター上でやってここまで解明できた、ここはまだできてない、じゃ次は住基台帳に基づいてここまでやった、そしてここまで解明できて、こういうことを少なくとも一月に一遍はきちっと国民説明していって、そして一歩一歩この大きな目標に向かって努力をしていくと、そういう所存でございます。
  91. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まあ水掛け論になっているんですけれども、今仕分の問題が大事なんですよ。こうやっていただいているんですよ、社会保険庁から。それで、解明済みというふうに分類しているわけですよ。それで、今解明できなかったものということが二千万件というふうに分類されてますけれども、こういうふうに仕分けしてあること、それはまあ優先順位はいいですけれども、こういうことにしてある。そして、分からなかったやつはその後こういうふうにやりますというふうに、こういう矢印になっているわけですよ。今後のそれに対する対応についても、この仕分の仕方は影響してくるんですよ。  死亡一時金の話それから死亡届の話は、そうはいっても、仕分はまだ言い張っていらっしゃいますが、そうはいっても一応可能性を認められました。しかし、私はここですごくこの間から、毎週火曜日に朝八時からやっている民主党の年金問題の部会でこだわっておりますけれども、いわゆる脱退手当金、これ何で解明済みに入れちゃうんですか。おかしいですよ。大臣御存じですよね、第三者委員会で、二件、この脱退手当金に関して初めての裁定がなされました。これは見てどう思われますか。この脱退手当金をもらっているからといって、これはもう解明する必要のない記録というふうに分類していいんですか。
  92. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  未統合記録の全体像という資料でございますけれども、これは昨年七月五日の政府・与党の方針、これに明記されているものでございまして、具体的には……
  93. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 余計な説明はいいですよ、時間ないから。
  94. 石井博史

    政府参考人石井博史君) はい。当初、五千万件の中身がどのような記録なのか、その属性が非常に不分明だったというようなことから、それぞれどういう属性のものなのか、これを解析して、そして分類するようにというようなことがその方針に明記されているわけでございます。  私ども作業はそれにのっとって行ってきて、これはまさにその結果でございまして、解決あるいは未解決という要するに整理よりも、むしろどのような記録、属性のもの、内容の属性のものがどのくらいあるのかと、そういう観点から整理したものと、こういうことでございます。
  95. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 だから、言葉の問題。じゃ、そんなことを言うんだったら、こういう説明資料で解明済みとかという言葉を使わなきゃいいじゃないですか。解明済みというふうに分類してあるわけでしょう。  しかも、脱退手当金の受給等により新たな受給に結び付かないと考えられる記録、本当にそうなんですか。第三者委員会裁定した件、どうですか、この事案百番。大臣、直接御覧になりましたでしょうか。脱退手当金をもらっているからその期間はもうないと、資格がないということでもらっていないということになっているわけですけれども、これ見ると、脱退手当金が本当に本人に行っているのか、コンピューター上の記録だけでは分からないんじゃないですか。
  96. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど来何度も申し上げていますように、コンピューター上での名寄せをやって、こういう中身でありますということは解明した。  しかし、その中にも、じゃ現実にどうであるかと。今のこれ、あっせんしたときに二件ばかり、あっせん件数が第三者委員会に出ていますので、こういうケースは皆無ではないと思います。だから、それについても引き続き、まさに第三者委員会というのはラストリゾートとしてそこにあるわけですから、そういうことに申し出ていただく、そして解明していく。こういうあらゆる努力をして、着実に一人一人の年金記録を取り戻していきたい。  だから、そういうことも含めて、政府全体として第三者委員会も活用して一日も早くこういう問題の解明をしていきたいと思っております。
  97. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 脱退手当金の受給等により新たな受給に結び付かないというふうに分類しちゃっているんですよ。脱退手当金をもらったという記録があればこれはもう新たな記録に結び付かないというふうに分類していることが問題なんですよ。  実際、第三者委員会で新たな裁定が行われているではないですか。これなんて、本当にこれ怖いなと思いましたよ。残念ながら、第三者委員会ではこうなった理由についてまでは結論は付けておりませんが、どう考えても、この方は、退職してから二年後に、二年二か月後の昭和四十六年三月二十九日に脱退手当金を請求してもらったことになっているんですが、その脱退手当金を支給したことを表す脱という表示がないというふうになっているわけですよ。これは、脱という表示がなくて脱退手当金を受け取ることができる人というのは、外部にはいないんじゃないですか。どう考えてもこれは内部で、このお金が出ていたとすれば、これは明らかに横領されたということじゃないんですか、社会保険庁に。
  98. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは中身をよく精査してみないと分かりませんけれども、先ほどの元々の問題について言えば、コンピューター上で名寄せと、普通は脱退手当金をもらったと書いてあればそういうことだというのは、もうそこは解明したわけです。  しかしながら、それでもなお、人間のやることですから入力ミスがあったり、今委員が御指摘のように、これは精査してみないと、証拠がどれだけあるかということもありますけれども、それは不正であったかもしれません。そういうケースはあり得る、可能性はあると思いますけれども、しかし、それはそれで、第三者委員会含めてきちんと対応するシステム政府全体で今つくって全力を挙げてやっているわけですから、それで、そこは御理解いただくとともに、毎日のように新しい問題が起こってきております、極端に言えば。ああ、こういうことは全く想定していなかったなと、こういう問題が起こってきている。  そのために、私の下に特別チームを直属でつくらせて、そして社会保険庁の中の資料も、これ守秘義務全部掛けてありますから、中に入り込んで今精査をしている。そして、作業委員会でもそういう同じような作業をやっている。そして、一日も早く国民皆さんの御期待に沿えるように努力をしてまいりたいと、そういうふうに思って毎日努力をしているところでございます。
  99. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その毎日の努力も、私たちが毎週火曜日朝八時からいろいろ問題点を指摘して、そして情報を出せと要求して、それでもすぐ出さないんですよ。もう本当にゲームやっているんじゃないんですから。そういう発言が皆さんから出る、そういう状況の中でやっているんですよ。  そして、脱退手当金、横領の可能性もあり得るというふうにおっしゃいましたけど、実際過去にあったわけでしょう、大臣。横領の件数の中で、社会保険庁職員が横領した中で、脱退手当金、これを横領した、脱退手当金を使って、この制度を使って横領したという件もありましたし、それから社会保険審査会の中でも脱退手当金について再度裁定をし直している件も既にございます。ですから、脱退手当金を受け取った方が、もう今後新たな受給に結び付かないと考えられて、解明済み。いいですか、これは私の勝手に言っているんじゃないですよ、社会保険庁の資料に基づいて言っているんですよ。解明済みというところに分類されて、そして今後のお一人お一人へのアプローチということが明記されていないんです。こういうことが私は問題だというふうに思います。  そして、もう一つ言わせていただければ、無年金者に対する対応がまだ何もやっていないんです、無年金者。これだけ消えた年金がある、これだけのことが分かってきた。消えた年金があるせいで、受給権に達しないで無年金になっている人がいるはずです。その数を聞いても答えてくれません。無年金者に対する対応はまだ何もやっておりません。予定には書いてあります。そんなことでいいんでしょうか。大臣お答えください。
  100. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 無年金者の方への対応、これは予定できちんと書いておりまして、実は、どういう手で無年金者の方々に呼びかけるかと。これを今検討した結果、介護保険料の普通徴収をやっている方の中に一番多いんじゃないかということで、平成二十年度の介護保険料納入告知書などを送付するときに、そこに年金記録の確認を呼びかけるこのチラシを同封するとともに、今そのチラシの同封について全国の市町村にお願いをしているところです。  ちなみに約四百五万人、普通徴収者がございます。そして、今協力いただける市町村が千八百三市町村、まだ回答がないのが十五市町村ということで、かなり市町村の御協力もいただけるということですから、こういう努力を通じて無年金者の方々への呼びかけを更に強めてまいりたいと思います。
  101. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それで、第三者委員会に対する暴力団の介入については昨日御報告があったと思うんですけど、暴力団の対策は考えているんですか。
  102. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、御承知のように、総務省においてきちんと対応していただく、総務省の下の第三者委員会でございますから、私の方からも総務大臣にはきちんとそれを申し上げております。  昨日の衆議院厚生労働委員会の総務省からの答弁によりますと、威嚇、恫喝、脅迫、金銭の不当な請求などが数十件発生しているということでありますから、こういうことであってはいけないんで、これは国家公安委員長にもお願いをしております。所管の警察署においてきちんと連絡を取って対応していただくようにと、そういう措置をとって、あくまでも、こういう最後のラストリゾートとしての第三者委員会にそういう方が来られて、言わば制度の基本を崩すようなことがなってはいけないし、それがモラルハザードにつながってはいけないと思いますので、厚生労働大臣としても、国家公安委員長及び総務大臣と連携を取りながらこの問題はきちんと対応してまいります。
  103. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 モラルハザードは社会保険庁が起こしたんですよ。  それで、なぜ暴力団に付け入るすきを与えているのか。これは、きちんと今の状況を厚生労働省、社会保険庁が開示しない、情報を小出しにする、言われると訂正する。大臣にも確かな本当の真実の情報は伝わっていないと思います。そういうことで、本当に必要な対策が遅れている。  こういうことも想定してきちんと対策しなきゃいけないんですよ、明確なルールをつくって。明確なルールをつくった上で、もう完全に消えた年金もあるわけですから、それはお認めになりますよね、完全に消えた年金もあるわけですから、どうやって明確なルールをつくって国民年金を回復するかと。こういうスタンスに立って仕事をしていないから暴力団に付け入るすきを与えるんじゃないですか、大臣
  104. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私たちの仕事ぶりが悪いから暴力団に付け入るすきがあると、それは直接はつながらないと思います。私は私なりに全力を挙げて、作業委員会も特別チームも直属でつくって、そしてその問題点を摘出してやっています。  社会保険庁に問題があったことは当然であります。ですから、その反省の上に立って努力をしていると。そういう中において、第三者委員会に対して、そういう威嚇とか恫喝、脅迫、金銭の不当な請求というようなことが、行う国民があるということは私は誠に遺憾であると、そういうふうに思っております。
  105. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 反省の上に立ってとおっしゃっていますけれども、もう毎週火曜日の朝はつらいんです。社会保険庁皆さんもつらいと思います。反省の上に立っていない、とにかく情報を出さない。情報を出させることにもうどれだけの労力を尽くすかということですよね。そして、私たちが火曜日の朝八時に要求してさんざん言って約束させた資料を何とその次の週の月曜日の夕方の、ねえ、衛藤さん、自民党の最近つくった部会にまず報告してそこで検閲を受けると。こんなひどいことが行われているんですよ、大臣。こういうことはやめさせていただきたい。しっかりと反省の上に立ってというふうにおっしゃっているんだったら、きちんと資料を出させて真実を明らかにして、暴力団になんか付け入るすきを与えないでしっかりと解明すると約束してください。
  106. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは各政党の部会や研究会に対して、これは求められた資料はできるだけ出すというその基本方針は貫きたいと思いますが、自民党と民主党の間でどういうやり取りが部会間であるか私は関知するところではございません。  しかし、全力を挙げてきちんとした形で国民の皆様方に年金を取り戻す、そのために私は私なりに全力を挙げている、そして今後ともそれを続けていくということを明言しておきたいと思います。
  107. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 舛添さんだったらもうちょっとしっかり社保庁に言いますとかなんとかという答弁いただけるかと思ったんですが、残念です。  それで、時間がなくなりますので医療の問題に移りたいと思います。  それで、皆さんのところに資料をお配りしてあるかと思いますが、ちょっと時間がなくなりましたので、まず端的に、後期高齢者医療制度について伺いたいんですが、いろいろ言われております。資格証明書をこの後期高齢者医療制度において発行するというふうになっておりますし、昨日朝の我々の厚生労働部会でも厚生労働省の方からそのように説明がありました。  これやめるべきじゃないですか、大臣
  108. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、いろんな事情があって保険料を払えない方がおられる。そうすると、短期のこの方は資格証明を持っている、一年になるとまたそれの資格証明。  そして、これはいろんな意味がありまして、一つは、それを出すことを契機に、まず困った方があればとにかく相談にいらしてくださいと、いつでも窓口を開けて相談いたしますんで。それで、いろんなお助けするための措置があります。例えば、生活保護を受けるような方々はそれはもう問題じゃない。それから、問題によっては払わなくていい。それから、例えば事業が失敗して倒産したとか、大変な大黒柱を失うような大きな不幸が起こったというようなことがあったときにはきちんとそれに対応できるシステムがあります。ですから、資格証明書の発行ということを契機に役所に来てください、市役所に来てください、窓口で対応いたしますと。そういうことが一つ。  それで、簡単に資格を失わせるんじゃなくて、この方は資格がある、しかし今はこういう状況でありますということで、ちゃんと保険の資格はある、その中で今のような事情で受けられないんだということもありますから、何かこれによって、病院に行くのを阻害させるという、そういうことではございません。  今申し上げましたように、できるだけきめの細かい手当てをすると。そういう意味での資格証明書の発行でございますので、どうかその本来の趣旨を御理解いただければと思います。
  109. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 大臣はここでそう答弁されても、現場ではそういう対応になっていないという多くの訴えがあるから申し上げているわけです。現行の国民健康保険の資格証明書についてもそういう問題があるから、そのままそれが移行するのではないかと。  実際に、今度の後期高齢者医療制度では年金から天引きするんですよ。さっきの年金の話からすると許せないことですが。年金から天引きするんですね。年金から天引きされる人はこの資格証明書発行の可能性はありません、天引きですから。天引きされない人にこの資格証明書発行の可能性があるわけです。では、そういう人はどういう人なのか。ごく一部、高額所得者もいらっしゃいますよね。ですけれども、この後期高齢者に移られる方の中で、国保の方がほとんどだと思うんですけれども。  滞納世帯数等の推移というのをお配りしました。これはすごい数だと思うんですが、昨日の厚生労働省の説明だと、いわゆる高額所得、要するに、払えるのに払わない人をターゲットにしているのだという御説明がありました。でも、そういう人って少ないんじゃないんですか、どうでしょうか。
  110. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 一概にどういう方々が資格証明書を受けられているかということは統計ございませんけれども、ただ、仕組みといたしまして、まさに大臣申し上げましたとおり、機械的にまず資格証明書を出すことはありませんし、その前に短期証を出しまして納付相談をしているわけでありますので、そこできちんとした対応をして、特別の事情のある方につきましては、それは資格証を出すということではない対応を取っていると思いますし、取っていないところがあるとすれば、それはきちんと徹底をしたいと思っております。
  111. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 国保世帯、今滞納世帯数で資格証明書を受けているこの資料をお出ししましたけれども、別に国保世帯の所得分布というものもいただきました。これによりますと、国保世帯の所得分布、いわゆる年収二百万円以下の方、これが七五・四%、これは私が勝手に計算したやつですけれどもね。ほとんどの方がいわゆる年収二百万円以下の低所得の方なんですよ。こういう方たちが結局その資格証明書の対象になっているんじゃないですか。  大臣、お願いしたいんですけれども、先ほど大臣もっともらしいことをおっしゃったけれども、現場はそうは動かないんですよ。高額所得者でお金があるのに保険料を払わない、そういう人たちはしっかりどんどん実名公表して、払えということで、そういう人たちに対してはしっかり取り締まればいいではないですか。  後期高齢者医療制度にこの資格証明書の発行をやるべきではないと思いますが、端的にお答えください。
  112. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私が今申し上げましたように、少しでもきめ細やかな対応ができるように是非相談に来ていただきたい。そして、もちろん委員がおっしゃるように、やはりこの資格証明書を持って、自分は払っていないんだと、そういうことを証明しながら窓口に、病院にかかるのかねと、これは非常に私は心理的な御負担になるというのはよく分かります。したがって、是非その前に、そういう資格証明書を出さざるを得ないような、お金持ち云々は置いておいてですよ、本当に困っている方々、これはいろんなお助けする手があるわけですから是非来ていただきたいし、我々はもっときめの細かい対応をすると。  私の方からも、そういう実態を踏まえてもっときめの細かい対応をするべきだということは、これは指示を出しますが、しかし、それ自体がこの資格証明書発行そのものをやめるかやめないかということとは直接かかわらないと思いますから、私は、現行の制度の下においてもきちんとした対応ができると、そういうように思います。
  113. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その前に年金何とかしてくださいという感じですね。昨日も、この訴えをしてくださった方から聞いたお話ですけれども年金がもらえると思って行ったけれども、資格期間満たなかったと。それで、年金もない、本当に苦しい状況の中で保険料が払えない。資格証明書もらって、資格証明書もらうと十割払わなきゃいけないわけですから、窓口で。そんなお金ないわけですよ。それで診療が遅れて亡くなっている方というのが三十人以上いるという報道も昨日ございました。そういう現実をしっかりと見ていただきたいんです。やめるべきだというふうに思います。  そして、もう二点続けて、ちょっと時間がないので端的に確認させていただきたいんですが、後期高齢者医療制度について、本当にフリーアクセスは確保されますでしょうか。それから、今多い方の中では六十数回ですか、救急搬送拒否された方がいらっしゃるという事例が先日発表されましたが、後期高齢者ということで救急の依頼があった、問い合わせがあったときに排除される可能性も出てくるんじゃないでしょうか、そういう可能性はないですか。
  114. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) まず、フリーアクセスについてのお尋ねがございました。これは恐らく今回の改定におきまして新たに創設した後期高齢者診療料についてのお尋ねだと思いますけれども、これにつきましては、まずこの後期高齢者御自身が選択した医療機関におきまして漸次的かつ継続的な取組というのを評価するわけでございます。  後期高齢者にとりましては、希望すれば他の医療機関に変更することも、これは制限はございません。また、専門的な診療が必要となった場合におきましても、他の医療機関を受診することを制限することはございません。したがいまして、自分で選んだ医療機関を受診することができるということでございますので、フリーアクセスの制限はしていないわけでございます。  それからもう一つ、後期高齢者の救急医療についてのお尋ねがございましたけれども、これは診療報酬上、後期高齢者と七十四歳以下、救急医療に関する評価は同じでございますので、御懸念は当たらないものと、このように考えております。
  115. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう少し突っ込みたいところなんですが、あともう少し質問したいことがあるので次へ行きますが、救急医療情報システム未整備の県がまだ三か所ほどございます。これ、なぜ進まないんでしょうか。  そして、関連してですけれども、たらい回しということが絶えない状況についての責任をどのように大臣は受け止められていらっしゃるでしょうか。また、解決のための具体策について、端的にお示しいただきたいと思います。
  116. 外口崇

    政府参考人外口崇君) まず、救急医療情報システム未整備の三県でございますけれども、山形県、島根県、沖縄県でございます。これら三県では、各地域において救急搬送の受入れを行う医療機関がある程度限られておりますので、現状では消防機関が個別に電話等による照会を行って対応しているところでございます。
  117. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、総務省、消防庁とも連携を取りながら緊急体制を確保していくということで、例えば受入れ医療機関の調整をしてもらう医療コーディネーター、こういうことを置く、それから情報の更新を確実にする、そのようなことも含めて、今年度の予算案にも百億円の予算を計上しているところでありまして、これは関係省庁と連携を取りながら全力を挙げて取り組んでまいります。
  118. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 病院、特に勤務医の過重な労働、それから訴訟の増加等々、いろんな問題点が指摘されているわけですけれども、やはりお医者さんとコメディカルスタッフの役割分担ということをもっと進めなければいけないというふうに思いますが、これについて、私は保助看法等の改正、南野先生に今じっと、ぐっとにらまれましたけれども、保助看法等を改正して、もっとコメディカルスタッフができる仕事を増やすというか役割を明確にしていく。それから、更なる医薬分業を進めて、例えば病院の薬剤等の業務を外注するというようなことを含めて、特に病院内での医師とコメディカルスタッフとを、そういう役割分担を進めるべきと考えますが、これについてはいかがでしょうか。
  119. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) そういう問題につきましても、先般、私の下に今、安心と希望の医療ビジョンという研究会を設けて、この前は看護師の代表の方、助産師の代表の方、そしてお医者の代表の方に来ていただいて、今の役割分担についても議論をしました。  それからもう一つ、産科について言うと、これは助産師の活用ということをもっときちんとやることによって産科医の負担を減らす、それから勤務医全体についても、お医者さんじゃない関連の職種の方々がきちんとサポートして役割分担してくださることが勤務医の過剰な労働軽減につながるというふうに思いますので、今のこの森委員の問題提起を私は受けている形で今作業を進めているところであります。
  120. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それで、今大臣の方から御答弁があったので、助産師の活用の体制、活用するというふうにおっしゃったんですけれども、嘱託医の決定について前もこの委員会で大分問題になりました。今年は、新しい、更に加えて嘱託医、それから嘱託医療機関ということでこれを決める、そしてちゃんと報告することになっているんですけれども、これはまだ間に合っていませんよね。どうなっていますか。
  121. 岩本司

    委員長岩本司君) 外口医政局長、簡潔にお願いします。
  122. 外口崇

    政府参考人外口崇君) はい。規制の対象となるのは全国二百八十四か所でございます。三月七日現在で嘱託医等の確保が完了していない助産所、二十七か所ございましたが、現時点でこのうち二十か所については確保の見通しが立っているとの報告を受けております。あと七か所について、今都道府県と協力して支援を今全力で行っているところでございます。
  123. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、これは四月一日から始まるんですよね。そして、嘱託医師については、何というか、猶予期間もあったと思うんですけれども、これどうするんですか。これ決まらなかったところはもう分娩できないということでしょうか、どうなんでしょうか。ただでさえお産やめますというショッキングなニュースも出たところですけれども、どうなっているでしょうか。
  124. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 残りの七か所のうちの今日現在の状況でございますけれども、うち三か所については、これは転居、引っ越しされる方、それから御高齢のために分娩業務を休止されることを検討されているということを聞いております。ただ、残りの四か所については、これは分娩継続できる可能性がありますので、今私どもも個別に医療機関へのお願い等、お願いしているところでございます。
  125. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう時間がありませんので、最後に一点だけ確認させてください。  診療報酬改定の中で、私はジェネリックの推進についてだけは少しは、ずっと問題にしてきたものですから、評価しているんですけれども、ところで、今回は対応、何というんでしょうか、代替処方について積極的にもう、この薬じゃなきゃ駄目なんだというお医者さんのチェックがないもの以外は全部ジェネリックができるわけですよね、大体ね。  それで、確認なんですが、薬局の在庫というのはみんなそろっているんですか、例えばジェネリック。それが確保されないとこれ進まないと思いますが、それだけ確認させてください。
  126. 外口崇

    政府参考人外口崇君) この度の診療報酬改定において、処方医が後発医薬品に変更することに差し支えがあると判断した場合に署名を行いますけれども、それ以外の場合、後発医薬品ということになるわけでございます。それが円滑にできるように、今、薬局関係者等含めて円滑な安定供給に向けて今取組をされているところでございまして、私どももそれを応援していきたいと考えております。
  127. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 終わります。
  128. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  本日は、原爆症の認定基準の見直しについてお伺いをしたいと思います。  三月十七日に、疾病・障害認定審査会の原子爆弾被爆者医療分科会におきまして新しい審査の方針が決定をいたしました。これは、昨年八月以来、被爆者の早期救済を図るために与党の原爆被爆者対策に関するプロジェクトチームの一員として取り組み、広島や愛媛や香川などの大勢の被爆者の皆様にもお会いをし切実な声をお聞きをした者の一人として、大変意義深いものと考えております。しかし、被爆者の立場からは、これでは切り捨てられるのではないかとの危惧の声もございます。そこで、本日は見直しの内容について確認をしたいと思います。  まず初めに、今回の新しい審査の方針について主な概要を御説明いただくとともに、これによって具体的に年間で何人認定される人が増えるとお考えになるのか、お答えいただきたいと思います。  また、平成二十年度予算の中で原爆被爆者の援護に関する予算の概要についてお聞きをしたいと思います。
  129. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) お答え申し上げます。  この新しい審査の方針につきましては、今先生御指摘のとおりでございまして、昨年でありますけれども、安倍前総理の発言を受けて、私ども専門家に集まっていただきまして検討をいたしました。また、与党のPTの提言もございまして、これらを踏まえまして原爆被爆者医療分科会において決定をしたものであります。四月からこの方針に基づいて審査を行いたいと考えています。  具体的には、まず一点目でありますけれども、爆心地から約三・五キロ以内で直接被爆した者、あるいは原爆投下より約百時間以内に約二キロ以内に入市した者等の一定の範囲の者が、がんですとか白血病、それから副甲状腺機能亢進症、放射線白内障、それから放射線起因性が認められる心筋梗塞について申請した場合には、格段に反対すべき事由がない限り、積極的に認定をしたいというように考えております。また、それ以外の方々についても、様々な要因を総合的に勘案して、個別にその起因性を総合的に判断して認定を行いたいと。  予算関係でありますけれども、原爆被爆者援護対策予算については、平成二十年度予算案におきまして約一千五百三十六億円を計上しております。このうち医療特別手当、現在の認定に関する手当でございますけれども、これまでの十倍になります年間約千八百人が新たに原爆症の認定となる見込みで、予算案としては七十九億円を計上しているところでございます。
  130. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  約十倍の千八百名に増えるということでございますけれども、これまでなぜ認定者がなかなか増えなかったかといえば、爆心地から距離を基にしての被爆者が浴びた放射線量などを推定をしてがんや白血病などの発症リスクを算出する方法である原因確率を基にした基準を採用していたからでございました。しかし今回、これを、原因確率を改めていますけれども、なぜ改めたのか、理由説明していただきたいと思います。また、改めたということは、これまでの考え方が誤っていたのではないか、また反省すべき点があったのではないか、こういう御指摘もございますけれども、どのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。
  131. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) お答え申し上げます。  この原爆症の問題でありますけれども、いわゆる法律に定められた要件であります放射線起因性、放射線に起因しているというようなことを判断するにつきましては非常に難しい問題でございます。原因確率という手法は、既存の集団的データを基に統計学的手法、すなわち確率論を用いて放射線起因性の寄与率、確からしさを計算していくというような手法でございまして、国際的にも一定の評価を得ております。  ただ、今般、原因確率をめぐる様々な批判もございました。また、被爆者の高齢化も進んでおります。こういうことに配慮いたしまして、また与党PTの御提言等を踏まえまして、より簡便な手法、すなわち爆心地からの距離及び時間を基に判断する、より簡便な手法に切り替えていったらどうかというようなことでございます。
  132. 山本博司

    ○山本博司君 この点につきましては、与党PTにおいても、これまでの裁判の例とか世論を踏まえて現実的な救済が早急に行われるということを検討してまいりました。今回の見直しを一応評価をしたいと考えております。  それでは、今回、与党PTの取りまとめを踏まえて新しい審査の方針が決定したことを基本的に舛添大臣はどのようにとらえているのか、御見解をお聞きしたいと思います。
  133. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、安倍総理の御発言を受けまして、厚生労働省の中にも専門家の委員会を設ける、それから与党のPTの皆さん方も精力的に御検討くださったわけですから。やはり御高齢の方が増えているということで、迅速かつ積極的に前向きにこれは認定を行っていく、そういう方針をきちんと打ち立ててそれを実行に移すわけですから、そういう意味で被爆者の援護法の精神にのっとっているというように感じておりますので、積極的に認定を図っていきたいと思います。
  134. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  次に、新しい審査の方針では積極的に認定する範囲を定めていますけれども、この範囲に該当する場合以外の申請についてもその起因性を総合的に判断すると、こうしております。この場合、いわゆる個別救済の範囲をどのように考えているのか、お示しをいただきたいと思います。
  135. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 新基準におきましては、積極的に認定を行う範囲の者以外の申請につきましても個別総合的に判断を行うというようなことで明記されております。すべての申請につきまして様々な要素を勘案して審査を行っていきたいと。個別救済についてはどれだけの者が認定されるかということについては、実際に審査を行ってみないと分からない点がございます。  いずれにしましても、新基準に基づきまして来年度以降速やかに審査を行い、適切に認定を行っていきたいというふうに考えております。
  136. 山本博司

    ○山本博司君 また、これまでの司法判断、これによって、裁判所が原爆症と認めた被爆者が新基準でも積極的に認定する範囲に入っていないために、個別の判断の中で排除される可能性もあります。また、今後の裁判においても新基準で却下されるケースが認定されるようなことになれば、ダブルスタンダードになる可能性も指摘をされております。そのような司法の判断との不整合に対しましてどのように大臣対応していく考えか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  137. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは実は非常に難しい問題ですが、地方裁判所レベルで、大阪、広島、名古屋、仙台、東京、熊本と、判決が既に出ております。全部、その基準というか、裁判所の判断というのは、何を基準にどういうふうに判決を下したかというのはこれはまちまちで、そこから一つの明確な基準を酌み取ることはできません。したがって、しかも、裁判所が第一審で下した判決のときにはこの認定の新しい基準はできておりません。  したがって、今まずやるべきことは、新しく決まった認定基準で来年度、四月から積極的に認定をしていくということをこれはまずやらないといけない。そういう意味では、司法の判断と今回の認定基準は直接的なリンクは全くない形でできたわけですから、認定基準は認定基準として、新しい基準でもってきちっと認定をしていく。  さらに、たしか五月に今度は高裁レベルの判決が出ます。そうしたら、じゃ、その高裁レベルが判決するときに今度の認定基準を勘案して判断するのかしないのか。それも、これは三権分立ですから、司法の判断によるわけです。だから、これはあらかじめ予見することはできません。しかし、その判断が下されたときには、それはそれを参考にして、行政の方もどう考えるかということはやらないといけないと思いますが、今取りあえずやることは、新しい認定基準に基づいて、司法の判断とはリンクさせない形で、きちんと積極的にできるだけ多くの人を救うという観点から認定をしていくべきだと、こういうふうに考えております。
  138. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  少なくとも、司法が認定をした範囲は確実に救済をされるような運用の中での配慮が大事だと考えております。大臣、この点大変重要な点でございますので、しっかり対応をしていただきたいと思います。  さらに、与党PTの取りまとめでは、がん及び白血病に関しては放射線起因性が極めて高いことから、すべてのケースにおいて最大限の配慮を行うものとすると、このように記載をしておりましたけれども、しかし、新しい審査の方針には、がん、白血病については時間や距離の制限を設けております。全員救済を目指した与党PTの考え方を今後どのように具現化するおつもりか、お示しをいただきたいと思います。
  139. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) がんと白血病につきましては、これまでの科学的知見に照らしましても、他の疾患と比べて放射線との関連が医学的にもあるいは国際的にも明らかだというふうに考えております。また、これまでの認定例でもがん及び白血病は数多く認定されてきているところであります。  与党PTに記載されていました最大限に配慮というような言葉でありますけれども、これらの疾患については格段の反証のない限り積極的に認定すべきものと、このような理解で進めていきたいというふうに考えております。
  140. 山本博司

    ○山本博司君 与党PTの提言の全員救済という考え方を踏まえて対応是非していただきたいと思います。  次に、認定審査の体制についてお伺いをいたします。  毎年約千八百名近い認定をするのには認定審査の迅速化が重要でございます。今後、審査体制をどのように強化するお考えなのか、また分科会の委員の人選をどのように行うつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。
  141. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) これまでの審査におきましては、一つの分科会ですべての申請を処理してまいりました。やはりこれは時間的にも非常に掛かりますので、一つ目としまして、分科会の下に四つの部会を設けたいと。積極的認定の範囲にある疾病の審査を行うこととし、併せて委員の増員を図りたいと考えております。  それから二点目でありますけれども、事務局において、これまでの分科会の審査に照らしおおむね原爆症の認定を受けることができると考えられる者につきましては、原則分科会、部会に諮ることなく認定処理を行いたいというふうに考えております。このことについては、先般の原爆の分科会において了承をいただいたところでございます。  こうした見直しによりまして、これまでの待機者の審査及び今後の申請者の増加にも対応していくことができるものと考えていまして、早急に体制整備を進めてまいりたいと考えております。  また、二点目のお尋ねでありますけれども、分科会の委員につきましては、真に被爆者の実態を理解する者と、こういった方を加えるべきだというような御意見がございました。これを踏まえまして、現在の委員に加えて、広島、長崎において被爆者医療の経験を持つ医師などを加えたいというようなことで現在調整を進めているところでございます。
  142. 山本博司

    ○山本博司君 与党PTの取りまとめの中でも、この医療分科会に関しましては、今の在り方を改めて、真に被爆者の実態を理解する者を加えて、十分客観的かつ事実に即した審議を行うことができるような審議体制とすると、このように提言をしてございます。この趣旨を十分お酌み取りいただいてお願いをしたいと思っております。  次に、今後の見直しに関しまして何点か御質問したいと思います。  五月以降には札幌地裁、仙台高裁、大阪高裁で判決が予定されておりますし、先ほどもございましたけれども、四月からこの新しい方針を運用したとしても裁判は継続される可能性が高くなっております。これまでの司法判断を踏まえて、国が控訴を取り下げたり和解することも選択肢の一つではないかと考えますけれども、今後、被爆者団体とか原告弁護団の方々との協議をどのように取り組むお考えか、お聞きをしたいと思います。
  143. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 被爆者団体の方々とは、二月十八日に第一回、これは私も出席いたしました。その後、三月五日に第二回、それから三月十四日に第三回の協議を行っております。    〔委員長退席、理事家西悟君着席〕  今後も、必要に応じまして協議を続けさせていただきたいということを通じまして、団体の方々の御意見を聴取してまいりたいというふうに考えております。
  144. 山本博司

    ○山本博司君 見直しの点でもう一点。  この新しい審査の方針では、随時必要な見直しを行うと、このようにしてございますけれども、どのようにとらえているのか、具体的にどういった場合に見直しの検討に入るのか、お聞かせいただきたいと思います。
  145. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) この見直しにつきましては、昨年十二月の与党PT、直近の科学的知見、専門家の意見等を踏まえ、その後一年ごとに必要に応じ見直しを行うという提言がなされました。医療分科会の先生方とお話を申し上げまして、新しい科学的知見の集積等の状況を踏まえて随時必要な見直しを行うものとされたところでございます。  したがいまして、今後、医療分科会におきまして、疾病と放射線に関する科学的知見、これは内外を問わないわけでありますけれども、そういったものの集積状況を見ながら必要に応じて方針の見直しの検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
  146. 山本博司

    ○山本博司君 最後に、大臣にお伺いをしたいと思います。  この原爆症認定問題だけでなく、在外被爆者が被爆者健康手帳を来日しなくても申請、交付できるようにする課題など、原爆被爆者を取り巻く課題は山積をしております。昨年の十月十七日にも、韓国、アメリカ、ブラジルなどの在外被爆者の皆様と署名と要請を持って大臣のところにもお伺いをしたと思います。  戦後六十年以上が経過をして被爆者の平均年齢は七十五歳に近づいており、これ以上後回しにすることは許されません。被爆者救済の理念に立って一刻も早い手厚い対策を講じていくべきと考えます。原爆被爆者問題の抜本的な解決に向けての舛添大臣の決意をお伺いをしたいと思います。
  147. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 原爆症の認定につきましては、これは先ほど来御答弁申し上げていますように、新しい基準に基づいて迅速に対応してまいる。  それから、海外の被爆者の皆さん方、これは今委員御指摘の、私も直接お会いいたしました。今までは日本に来ないと被爆者手帳をもらえない、それ来ないでいいようにするということで、今国会に法律案が出されておりまして、この審議を早めていただきまして、この成立の暁にはきちんとそういうことも対応して、今まさにおっしゃったように御高齢の方が増えておりますから、一日も早い解決に全面的に取り組んでまいります。
  148. 山本博司

    ○山本博司君 以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  149. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  平成二十年度総予算委嘱審査関係で質問をさせていただきます。  まず最初に、救急医療に関して質問をいたします。  去る三月二十一日に、救急医療情報システム改善を含む消防庁の有識者懇談会の中間報告がなされました。その概要について消防庁にお伺いをいたします。
  150. 寺村映

    政府参考人(寺村映君) お答え申し上げます。  消防庁が昨年十二月に設置いたしました消防機関と医療機関の連携に関する作業部会、この中間報告におきましては、救急医療情報システムにおけるリアルタイムな情報更新を確保するための改善、表示項目の細分化や病態に即した受入れ可能情報項目を加えるなど表示項目の改善、県境を越えた広域連携、周産期医療情報システムとの連携など、救急医療情報システムの改善策について提言が行われたところであります。またあわせて、配置が予定されております救急患者受入れコーディネーターと消防機関との連携体制、あるいは救急搬送受入れ医療体制の確保に向けた検証協議の場として、都道府県メディカルコントロール協議会の活用などについて提言されたところでございます。
  151. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 この中間報告で救急医療情報システムの表示項目の改善も提言されておりますけれども、この内容についてお伺いをいたします。これ消防庁でございますね。
  152. 寺村映

    政府参考人(寺村映君) 政令指定都市などの消防本部からは、表示項目について、集中医療室に関する情報等の追加、あるいは病態ごとの検索機能の追加等について要望があったところでございます。  これを踏まえまして中間報告におきましては、これらを受け、表示項目の細分化や病態に即した受入れ可能情報項目の追加など、表示項目の改善が必要とされたところでございます。また、改善に際しましては、救急現場に即したものであることが必要でありますので、地域ごとの医療機関、消防機関の協議を踏まえて改善を行うよう提言されたところでございます。  今後とも、情報更新のリアルタイム化と併せまして、必要なシステムの改善について、厚生労働省と連携を取りながら進めてまいりたいと思っております。
  153. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 このような中間報告があったわけでありますけれども、この中間報告の救急医療情報システムの改善、そのほかに、先ほどもお話がありました医療機関と消防機関との情報伝達の在り方、あるいはコーディネーターの役割、それからメディカルコントロール、救急車の適正利用などにも触れられているということでありまして、この中間報告を受けて、厚生労働省そしてまた消防庁、どのように今後対応されるのか、この点をお伺いをしたいと思います。
  154. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この中間報告、私も読みましたけれども、そこに書いてあることで、例えば緊急搬送受入れ医療体制の確保につきましては、まず正確な情報を迅速に伝える、そのことが大事でありますし、それからやっぱり受け入れる機関の調整するコーディネーター、これの配置も必要なわけでありまして、こういうことに対する体制をきちんと取りました。それから、いわゆるメディカルコントロール体制でございますけれども、これは三月二十四日に総務省とともに、都道府県担当課長会議におきまして、緊急患者の円滑な受入れのためメディカルコントロール体制の充実を図るよう要請をいたしたところでございます。  来年度予算案に約百億円を盛り込んだほか、診療報酬の改定においても緊急医療に係る評価を充実するというようなことで、関係各省庁とも連携を取りながら、緊急患者の受入れ体制を確実なものにするように努力をしてまいります。
  155. 寺村映

    政府参考人(寺村映君) 先ほど大臣からも御答弁ございましたように、三月二十四日の都道府県等メディカルコントロール協議会担当課長会議、この場で中間報告の提言されたことを示したところでございます。    〔理事家西悟君退席、委員長着席〕  中身といたしましては、救急医療情報システムのリアルタイム化、こういった正確な情報の更新、あるいは救急患者受入れコーディネーターの権限とか業務内容の明確化、あるいはメディカルコントロール協議会を活用した救急搬送、受入れ医療体制に係る検証協議の推進等について要請をいたしたところでございます。  いずれにしましても、救急医療体制の充実強化は国民の最大の関心事でございますので、消防庁といたしましては、厚生労働省と連携を図りながら、円滑な救急搬送、受入れ体制が構築できるよう、最大限努力してまいる所存でございます。
  156. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 リアルタイムでの救急情報を医療機関と消防の救急隊で共有するということは大変重要でありまして、その情報の中身についてもしっかり整えていただきたいということで、そういう予算も設けられているということでありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  それから、コーディネーターの役割は大変重要でありますので、この責任等も課題になっているということでありますので、これも有効にコーディネーターが働けるような環境づくり、頑張っていただきたいと思います。  それで、もう一つでありますけれども、消防庁は去る三月二十一日に救急業務の高度化推進検討会に対しまして救急出動時のトリアージを含む報告書案を提出し、大筋で了承いただいたということでありますけれども、この救急出動時のトリアージの検討状況について消防庁にお伺いをしたいと思います。
  157. 寺村映

    政府参考人(寺村映君) 平成十八年中の救急出動件数、約五百二十四万件でございます。この十年間で約一・五倍に増加しております。それに対しまして、救急隊の数は十年間で約一〇%の増でございますので、救急隊の現場到着所要時間は遅延傾向にございます。六分から六・六分というふうに遅延しております。今後も、高齢化とか独居化が進みますので、更なる救急出動件数の増加が予想されます。そうしますと、救命効果の低下などが懸念されているところでございます。  消防庁におきましては、今年度、救急患者のトリアージにつきまして、緊急度、重症度が高い傷病者を低く判定するアンダートリアージ、これを極力少なくするように検討を進めてきたところでございます。あるいはトリアージの運用上の法的な問題点につきましても検討を進めてまいりました。これらの結果を先日開催されました救急業務高度化推進検討会で報告したところでございますけれども、今後は、消防本部におけます更なる検証作業などを通じまして実際の運用に向けた取組を進めてまいる所存でございます。
  158. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 アンダートリアージにならないように適切に運用されれば、やはり限られた資源というか、救急隊の方々、救急車でございますので、適切に利用されるように計らっていただきたいと、そのように思います。  それから、私も脳卒中の治療等に携わっておりましたけれども、脳卒中学会等による病院前救護のガイドラインが策定されておるわけでございます。  この急性期の脳卒中患者の迅速、的確な治療、搬送による救命率あるいはADLの向上というものが大変重要でありますので、救急隊員によるこのガイドラインの活用が重要になってまいります。  このガイドラインの普及、活用に関しまして、どのように消防庁として取り組まれているのか、この点をお伺いをしたいと思います。
  159. 寺村映

    政府参考人(寺村映君) 平成十九年七月に日本臨床救急医学会、日本救急医学会及び日本神経救急学会が共同いたしまして、脳卒中に対する病院前救護の体系化、標準化を図った脳卒中病院前救護ガイドラインを策定されたものと承知しております。  消防庁といたしましては、十九年の九月に開催いたしました全国メディカルコントロール協議会連絡会におきまして情報提供するとともに、都道府県あるいは地域のメディカルコントロール協議会、各消防本部に対して、地域の救急医療体制とか医療事情に応じまして対応を検討するよう周知を図ったところでございます。今後とも、いろいろな機会をとらえまして周知の徹底を図っていきたいというふうに考えております。
  160. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 TPAを使った急性期脳梗塞の治療というのは大変重要でありまして、これは時間との勝負でありますので、こういうガイドラインを使いながら適切に使用されるように、普及をよろしくお願いいたします。  次に、産科医療の確保について質問をさせていただきます。  産科医療機関の減少、そしてまた助産師の不足等が大きな問題になっております。厚生労働省は産科医療機関の実態調査を行ったわけでありますが、そして、三月二十五日にその結果とそれを踏まえた対応について公表をいたしました。その概要について、また、特に秋田県とか福島県、課題が多いわけでありますけれども、この対応について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  161. 外口崇

    政府参考人外口崇君) まず、御指摘の調査の結果の概要でございますけれども、本年一月以降、分娩の休止又は制限が予定されている医療機関が全国で七十七か所ありましたが、これを精査いたしましたところ、このうち七十か所は、産科医療機関の集約化に伴う休止や近隣の医療機関でおおむね対応可能なものなど、地域全体で対応できると考えられる事案でございました。  他方、都道府県や医療機関独自では対応が困難で、地域の産科医療を確保するために別途支援が必要なものが七医療機関ありました。そのため、文部科学省、防衛省などと連携して産科医の派遣等を行う方針を一昨日に決定し、地域においてお産の継続などが可能となるよう取り組んでいるところでございます。  お尋ねの秋田県につきましては、休止又は制限予定の医療機関が九か所ありましたけれども、秋田県とともに精査いたしましたところ、これらについては、集約化に伴うものや近隣の医療機関での対応可能なものなど、地域全体でおおむね対応可能ということでありました。  また、福島県については、休止予定の医療機関が二か所ありましたが、福島県によりますと、一か所については集約化に伴う休止であり、地域全体で対応可能な事案であると。もう一つの県立南会津病院については、国としても支援が必要であるとの認識の下に、関係省庁等と連携いたしまして、四月から近隣の医療機関の協力で妊婦健診を継続、さらに、防衛省及び県外の民間の拠点病院の協力も得て、後期研修医の近隣医療機関へのいわゆる玉突き派遣を実施するように決めたところでございます。
  162. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 産科医の大変負担が大きいわけで、特に勤務医は本当に緊張しながら、事故がないように、そしてまた、限られた少ない人数で頑張っておるわけでございまして、しかも、集中化と中核化ということでありますので、どうしても医療機関減ってしまうところありますので、緊急の対応としてしっかりこういう対応をしていただきたいと思います。  次に、産科医の負担を軽減する意味でも、また正常分娩の場合に地域で出産の場を確保するために、助産師の確保対策並びに養成対策が重要でありますので、平成二十年度予算案の対応を含めまして、この点を厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  163. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 地域において安心、安全なお産ができる体制を確保するために、産科医との適切な役割分担、連携の下で正常お産を扱うことができる助産師の確保や養成は大変重要でございます。  助産師の確保については、未就業者や、助産師資格を所持しながら看護師等で就業している者などの、いわゆる潜在的な助産師に対して臨床実務研修を行い、再就業を支援する事業を行うなどの助産師確保対策を引き続き推進してまいります。  また、助産師の養成については、従来より助産師養成所に対する運営費の補助を行っておりますが、平成二十年度予算案においては、その補助内容の充実を行うとともに、助産師養成所の開校を促進する事業を拡充することとしており、さらに、平成十七年四月と十八年十二月の二回にわたり、助産師養成所及び看護系大学を所管する文部科学省に対しまして社会人入学枠の設置や定数確保の要請を行うなど、養成力強化の施策を講じたところであります。  また、助産師さんの活躍についての普及啓発も大事でございますので、去る三月二十日には、「院内助産所・助産師外来を進めよう」―先駆事例に学ぶ―シンポジウムも開催したところでございます。  様々な取組を通じまして、助産師の活躍する分野が広がり、助産師の養成が一層進むことを目指してまいりたいと思います。
  164. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、国民の健康づくりに関して質問をさせていただきます。  時間が余りないので一問割愛をさせていただきますが、国民の健康づくりの意欲を喚起するというような意味も含めまして、政府の方は健やか生活習慣国民運動を推進することにしておりますが、先日、健やか生活習慣フェスタというのが開催されたということでありますが、その状況と、今後のこのような行事の開催予定等について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  165. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 平成二十年度からでありますけれども、生活習慣病を予防するために健やか生活習慣国民運動を展開しております。  これに先立つイベントとしまして、三月十五、十六日に東京都内で健やか生活習慣フェスタを開催いたしました。多くの関係団体の協力を得まして、健康づくりに関する講演や運動等を体験する場を設けました。二日間で約一万二千人の方に来場いただきました。  今後とも、一つの方策としてイベントの開催についても検討してまいりたいと考えております。
  166. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やはり健康づくりに関しては世界一の長寿国となった日本でも関心はあるんですが、具体的にどのような健康づくりをしていくのか。いろんな情報があればそれを活用できるわけでありますけれども、今後、健やか生活習慣国民運動全国協議会というのが設置されて様々な運動を展開していく予定と伺っておりますが、どのような活動を行っていくのか、岸厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  167. 岸宏一

    ○副大臣(岸宏一君) ただいま局長からもお話ございましたように、平成二十年度からはこの運動を新たに、適度な運動、適切な食生活、禁煙を焦点とした国民運動として健やか生活習慣国民運動を展開することとしており、この運動を推進するために全国協議会を平成二十年六月ごろに立ち上げると、こういう予定でございます。  このメンバーでございますけれども、実は準備会を開催を既に二度ほどやっております。準備会議でございます。その構成員は、議長に高久史麿自治医科大学の学長さんをお願いし、健康づくりのために活躍されておる各NPOや健康保険の連合体あるいは幼稚園、栄養士の会、看護の会、いろんな、全国知事会、こういった方々をメンバーとする予定でございまして、六月に立ち上げる、そして一層この実を上げたいと、こう思っております。
  168. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。
  169. 岩本司

    委員長岩本司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  170. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十年度一般関係予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生労働省所管を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  171. 石井みどり

    石井みどり君 自由民主党・無所属の会の石井みどりでございます。  今、国民の関心は、いかに安心で安全な生活が送れるかというところでございますが、厚生労働省の所管業務は大変多岐にわたって、連日舛添大臣は本当に御奮闘でございます。まずそのことに敬意を表したいと存じます。  今、お手元に資料を出させていただいておりますが、この資料の1―①で、皆さん本当に合計特殊出生率が一・五を切ったときのショックとか、もう既に慣れてしまった状況でございます。私もベビーブーマーなので、もう本当にこの出生率の低下、これは大変な今後の日本社会を考える上で大きな問題だと思いますが、その一つで、今女性が安心してお産ができない、お産ができる施設が大変少なくなってきているということがございます。  午前中の渡辺委員の産科医療の確保という質疑にも重なるかと思いますが、私は実は山口県岩国市生まれなので、山口県の産科の状況もいろいろと地元から聞かせていただいております。資料1―②でお示しをしておりますが、午前中やはり東北の方の渡辺委員から御指摘ございましたが、山口県でも非常に産科の医師数も減っておりますし、そして分娩取扱いの施設数も減っております。  まさに首都圏にいたりして実家に帰ってお産がしたいと思ってもそれがままならない、夫婦二人では非常に生活も難しい、できるだけ実家に助けていただきたいと思ってもそれすら困難な状況になりつつあります。この資料では平成十年をそれぞれ一〇〇としておりますが、非常に大きく山口県の特に診療所が落ち込んでいることがうかがえるかと思います。  先ほどの午前中の渡辺委員の御質問に対してのお答えでは、厚生労働省が二十五日に発表された産科医療調査機関でも全国的にも七十七の医療機関が分娩の取扱いを休止又は制限することになったということでございます。まあこの産科の医師が病院を退職したり、診療所の廃止ということに関しては様々な理由があろうかと思います。  後ほど、その大きな理由一つは福島県立大野病院事件なので、そのことはまた後ほど御質問させていただきますが、本当にこの少子高齢社会と言われて久しいわけですが、やはり日本の社会の持続的な発展ということを考えたときのこの少子化対策としてのというよりも、やっぱり本当に女の人が幾ら産みたくても産めないというこういう産科医療の確保について、厚生労働大臣舛添大臣の御所見をお聞かせいただければと存じます。
  172. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、実家に帰って赤ちゃんを産みたいというお話をなさいましたけど、一月の十九日に国民対話のために飯田市に行きまして、長野県飯田市立病院を見ました。ここは里帰り出産というのをやっていたんですね。ただ、もうお医者さんいなくなるからこの四月から無理だと、そういう話も聞きました。    〔委員長退席、理事蓮舫君着席〕  それまでもずっとこの産科医療の問題、私は取り組んでまいりましたけど、何としてもこの四月にそういう理由で分娩中止というようなことにならないようにしようということで、それで直ちに調査を命じて七十七と。  ただ、七十七のうちの七十までは地域の連帯で何とかできる、七つはこれはどうしても国の支援が必要だということで、四つまで手当てできました。あと残りの三つですけど、二つはこれ夏までにやればいいんで、これは今やります。一つは、実はできてたんですけど、ちょっとお医者さんの都合で完璧なものにならなかったということで、これは今とにかく応急手当て、もう今これ止めないと駄目だというんで緊急措置を今とった。  ただ、私はこれで問題が解決したとは思えないんで、いろいろな様々な構造的な問題があると思いますから、この日本の医療体制全体の大改革、その中の一つとしてこれを位置付けて、今の訴訟リスクの問題があったり、勤務医の過剰な労働の問題、これは午前中にも議論をしました。そういう問題があったり、それから女性医師が増えているという問題がある。これは産科のみならず、小児科にしても外科にしても同じような問題を抱えております。そしてまた、助産師との連携をどうするか。  まさに国民的な課題として解決したいと思っていますが、今私が全力を挙げてやったのは、とにかく四月から閉鎖するというところが一つもないように、これだけは、防衛省、つまり防衛省のお医者さんを回してもらう、それから文部科学省、例えば長野県の飯田市立病院それから伊那中央病院、これは信州大学から派遣していただく、こういう各省庁との連携もいただきながら、取りあえずの緊急措置をしたと。  しかし、これは本当に大きな問題ですから、出生率のこともお触れになりましたし、そしてまた山口県の診療所、激減していますね、この数を見ますと。こういう状況を見ると、やはりもう一つは地域のネットワーク。まず自分のかかりつけ医がいる。七割ぐらいは、これはもう南野先生が御専門ですが、七割ぐらいは正常分娩だと思うんです。こういう方に助産師の方々活用していただいて、本当に難しい帝王切開であるとか、福島県の例のように前置胎盤の癒着の問題、こういうようなときにこそ本当に専門医がオペレーションをできるようにと、そういうことをしっかりと今後とも取り組んでまいりたいと思います。
  173. 石井みどり

    石井みどり君 ありがとうございます。  実は山口県の産科の先生からいろいろお聞かせいただいたんですが、今地域の連携で七十病院は何とか手当てができるというお話でしたが、山口県の中でもそれぞれ体力差のある医療機関があって、スタッフも確保できた、そしてベッドも少し増やしてその地域のニーズにこたえたいという、そういう産科医もいらっしゃいます。  ただ、地域のベッド数というのは医療計画で定められておりますので、その施設基準を上回っている地域で産科のベッドを増やすということが従前は認められていなかった。こういうふうに、実は昨日、官報が出たそうでございますが、地域で更にそのニーズにこたえれる、そしてやる気もある産科の医療機関に対して柔軟な対応、体制が取れるかどうかというところの御所見をお聞かせいただければと存じます。
  174. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 地域でやる気のある産科医療機関に対してどうするかということでございますけれども、御指摘のように昨日、省令改正をいたしまして、医療計画の基準を上回っているところでもこの施策を緩和するようにいたしました。  具体的には、現在、地域のベッド数が基準を上回っている場合、新たなベッドを設けることは原則として規制されるが、産科については、新生児集中治療室、NICU及び母体胎児集中治療室、MFICUを増やす場合に限って許可をしておりました。この特例制度の対象をこの四月一日から周産期疾患及び地域において必要とされる周産期医療へと緩和することといたしました。これによりまして産科医療機関の増床にも柔軟に対応できると考えており、今後とも産科医療の確保に努めてまいりたいと思います。
  175. 石井みどり

    石井みどり君 早急に御対応いただいてありがとうございます。  先ほど申し上げた、やはり一つ、大変大きなリスクを負う産科の減少というところの原因の一つであろうと思う福島県立大野病院事件、これはもう既に何度も本委員会でも足立委員、そして西島委員、御質問をされておられます。そして、舛添大臣も本委員会だけでなく予算委員会等でもお答えになっておられますので重複する部分があろうかと思いますが、実は三月二十二日に論告といいますか求刑が出ました。この中身がもう本当に愕然とするというか、立場が違えばここまでとらえ方が違うのかという気がいたしました。もう本当にびっくりするのは、求刑内容は禁錮一年、罰金十万円でございますが、そのとらえ方が私どもが聞かされているというか、産科の先生方からこのケースに関して通常どう考えるかということと懸け離れた中身でございました。もう本当にびっくりいたしました。  もうこのことは随分大臣もお答えになっていて、この事案に関しては大変お詳しいのでくどくど申し上げることはありませんが、本当に前置胎盤と聞くと、やはり皆さん、これは大変なリスクがあるというふうに普通産科医は考えると。ただ、その中で癒着胎盤があるなんていうのは、臨床経験が長い産科医でも十年に一例あるかどうかだというような極めて、〇・一%程度の頻度だというふうに私はお聞きしました。本当にレアケースだというふうに聞きましたが、ただ、これは公判中のことなのでなかなかお答えにくいかと思いますが、しかも、本当にこの業務上過失致死罪が成立するところに対して確率も二四%というような、そういうデータに基づいた求刑になっています。  この公判を傍聴したわけではありませんが、大体月一ペースの割合で公判がされたと。その内容は非常に高度な学術論争であったというような、そういうことも聞き及んでおりますが、もう本当に、私たちが前置胎盤ということで一番思い浮かべるのは、こういうところに引き合いに出して失礼かも分かりませんが、秋篠宮紀子様が前置胎盤ということで、わざわざ宮内庁病院でなく愛育病院で、しかも数週間前から入院をして出産に臨まれたという、やはりこの事件の私は影響かなと、非常にそういうふうに思ったわけでありますが、判決といいますか求刑が出たわけですが、詳しくはお立場上言えないと思いますが、どういう御感想をお持ちになったのか、大臣、ちょっとお聞かせいただければと思います。
  176. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 公判中の案件ですから厚生労働大臣としてこの件について細かくコメントができませんけれども、ただ、私自身はこの福島県立大野病院の件というのはずっと興味を持って検討を大臣になる前からやってきました。そこにおられますけれども、足立委員なんかと、足立委員はお医者さんですからいろいろ私にお医者さんの立場で教えてくださるんで、一緒に御議論をして、どういう対応がいいだろうかと。その中で、これは西島委員とも議論したことありますけれども、医師法二十一条、これをどういうふうに解釈すればいいんだろうかという問題も一つございます。  それから、例えばお医者さんがオペをやる。オペやるときに、今すぐオペやらないとこれは命助からないと思った。しかし、じゃ輸血チームの体制できていたのかと、麻酔のお医者さんはどこまでいましたかと。そうすると、チーム全体、システム全体の問題であって、個々のお医者さんの問題なのかということもございます。  そういう意味で、私は安易に刑事訴追ということがあっていいんだろうかと。その前に、やっぱり事故原因をきちんと究明するようなシステムをつくるべきであると。そして、それは医療提供側、つまりお医者さんや看護師さんから見たのみならず、患者さん、それから例えばいわゆる医療事故の被害者の家族、こういう方々から見た観点も入れて、そしてまずここできちんと原因を究明すると。  そういうことがないと、大変この医学界に衝撃をもたらした、先般の論告求刑でも禁錮一年、そしてたしか罰金十万円でしたか、こういう、禁錮ですからね、禁錮一年という、こういう求刑がなされたということは、私は医学界が非常にショックを持って受け取られたというふうに聞いております。  したがいまして、こういう問題を踏まえて、どうすればこの原因が究明でき、そしてまた、医療提供者側も、それを受ける患者、その家族、その側も満足できるようなことを、医師法二十一条の見直しを含めて検討すべき時期に来ているなというふうに思っております。
  177. 石井みどり

    石井みどり君 大臣の御見解がそうなので少しほっといたしましたが、ただ、本当に、詳しくはまだ取り寄せて読んでおりませんけれども、癒着のところの認識についても、私なんかは骨癒着というのが私の専門ではあるんで、これも本当に大変なんですけれども、癒着によって非常に、子宮の全摘に至ったわけですけれども、その全摘に至るというのは、本当にさっきも申し上げましたけど、もうレアケースである、そして事前の確定診断が難しいというふうに聞きました。そのために画像診断として超音波とかMRIをするけれども、それでもやはり確定診断というのは難しい、補助的にそれが使われるだけだと。  それでも、この業務上過失致死罪が成立するに当たっての検事の言い分が実に微に入り細にわたり、その医療行為そのものが非常に指弾をされるというか、もう直ちにその剥離をやめて全摘にすればよかったと。しかし、果たして、このドクターは、最善を尽くされてもこのことを予見できなかった、そして悪意を持ってやったわけでも何でもない。それでもやはり、十分に危険性を予測できたのであるから、即座に胎盤剥離を中止して子宮摘出手術を行うという注意義務を怠ったということでの業務上過失致死罪の成立ということですので、そのために今、厚生労働省の方で御検討の、この前、昨年の十月に診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案の第二次試案が出ておりますが、これに関して現在の、設置されておりますけれども、検討状況をちょっとお聞かせいただければと思います。
  178. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その詳細は医政局長に今説明させますけど、その前に、ちょっと一つ私言い忘れたことがございまして、根本的には、メスを持って人の体に傷つけることが合法的に認められている仕事なんですね、お医者さんというのは。そういう中に業務上過失傷害とか致死とかいう刑法体系がどうなじんでくるんだろうか、こういう法的な問題もきちんとクリアしないといけないし、そうすると例えば我々が車を運転していても事故を起こせば業務上過失傷害、過失致死ということになり得る、そういうケースとこれはお医者さんが違うんですよということをきちんと国民の前に説明することが必要だと思います。    〔理事蓮舫君退席、委員長着席〕  それから、やはり無過失補償制度、これをきちんと位置付ける、ノーフォールトということですけれども、つまり、患者さんが亡くなる、例えば妊婦の場合だとお母さんが亡くなって子供さんだけ取り残される、じゃこの子の将来をどうして見てあげるんだろうかと、こういうことについての無過失補償制度、これは第一歩をスタートしました。これと新救命制度をどういう形で有機的に連携させるか、それはいつだったか足立委員もこの委員会で御所見をお述べになりましたけれども、そういう問題もすべて含めて今この新救命制度を議論しているというところで、詳細にわたりましてはただいま医政局長の方から説明させます。
  179. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 厚生労働省では、原因究明、再発防止を目的として、医学的な観点から医療死亡事故の調査を行う中立的な委員会を設置することを想定した試案を昨年十月に公表するなど、医療死亡事故の原因究明及び再発防止策の検討を行う国の組織の在り方についての検討を行っております。この委員会の設置につきましては、医療関係者からは賛成の御意見がある一方で、刑事手続との関係等について懸念を示す御意見がございます。一方で、患者さんや御遺族の立場の方からは早期の設置を望む声が強いなど、様々な御意見をいただいておるところでございます。  厚生労働省としては、それらの意見に対する現時点での考え方を示すために第三次試案を早急に提示する予定で現在準備を進めているところでございます。
  180. 石井みどり

    石井みどり君 第三次試案はまだ出てきておりませんが、ただ、第二次試案を拝見しての御質問をさせていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事蓮舫君着席〕  今御遺族の方から中立な立場でというような委員会の設置というような、そういう御発言だったかと思いますが、ただ、この構成を見ますと、この中に遺族代表が入る、当該事案ではないけれども遺族代表が入るという設定になっておりますが、大事なことは、やはりだれが何をしたとかじゃなくて、なぜ起こったか。  やはり先ほど大臣システムエラーということが出ました。今の医療というのは非常に高度で複雑性を持っています。そして、なおかつ不確実であるということ。工学的なところも進歩していますし、そうすると単なるテクニカルエラーではないという、そういうまさにリスクマネジメントのシステムとしてとらえなきゃいけない。そのなぜ起こったかというところを原因究明を調査する委員会になぜ遺族代表が入るのか、これはどうしても私は、客観的な調査とはなり得ない、これはどうしてもおかしい、事故原因究明の調査委員会としては異常としか言いようがないという気がいたします。  やはりほかの例えば航空機事故とかそういうような委員会に一切専門家しか入らない。まさに、今よく医学はサイエンスとかアートだという両方の面があると言われますけれども、まさに自然科学の一分野でありますから、サイエンティフィックな究明ということが、そのことがやはり遺族の感情をも和らげていく。真相を知る、事実を知るということに対して、そこで当該事案ではなくても遺族が入るというところはどうしても私はやはり感情的なものが入らざるを得ないんではないかという気がいたしておりますが、利害関係がある遺族が委員として入るということは私には理解できませんが、その辺りはどうお考えでしょうか。
  181. 外口崇

    政府参考人外口崇君) もちろんこの委員会は専門的立場からの検討を行いますので、医療の専門家、これは病理学や法医学も含めた専門家でございますけれども、そういった方たちを中心として、もちろん法律関係者は必要でございます。  それから、遺族を代表するという、もちろんその当該事案の御遺族ではありませんけれども、やはり最近のこういった中立的な委員会の透明性、中立性を確保するためには、少なくとも、有識者と申しますか、医療を受ける立場を代表する方を入れておいた方が逆にその専門家の意見というものが透明性、それからほかの人たちへの納得をより求められるんではないかとか、そういった考えがありますので、そういったことで医療を受ける立場を代表する人たちにはやはりある程度入っていただいた方がいいんじゃないかというのが今の検討している内容の大勢でございます。
  182. 石井みどり

    石井みどり君 もちろん透明性を確保するという趣旨は理解できますけれども、しかし原告が参加するようなものだと思います、やはり。どうしても実態としては裁判に近いものになるような気がしてならないんですね。やっぱりどうしても私は遺族感情というものが左右されるんじゃないかという気がしてならないんですね。趣旨は分かりますけれども、もし医療のサプライサイドだけでなくてディマンドサイドもというんであれば、違う立場の方がディマンドサイドとして代表できる方が委員としてお入りになるのが妥当なんではないんでしょうか。
  183. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 具体的に、じゃ、どういった方が対象で、どういった方はこの対象からはちょっと控えていただくかということについては、これから詳細に詰めていくことになります。
  184. 石井みどり

    石井みどり君 これに関しては是非、今から詳細を詰められるんであれば、是非御考慮いただきたいと思います。やはり本当に真実というか、その中にまさに原告が入るようなものですから、公正な判定ができるかという疑問はどうしても残ってしまいますので、そこはお願いをしたいと思います。    〔理事蓮舫君退席、委員長着席〕  それと、やはり同じような懸念なんですが、これに関しては、先ほどやはりシステムエラーということを大臣おっしゃいましたけれども、そうであれば、ほとんどの医療事故の、ほとんどといってもいいけれども、やはりシステムエラーが原因ということが言えるかと思います。そうすると、その医療従事者の責任だけを糾弾するというか、その処罰を中心とした行政処分につながるこの委員会でありますね、ましてや行政処分だけではなく、刑事訴追にもこれを利用するという。こういうものは個人の過失だけで起こるものではないんであれば、ここの部分に関しても私としては少し議論を深める必要があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  185. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その前に、今の患者の代表ということなんですけれども、これは実は、この事故原因究明委員会を設置するということの前の段階として、こういうことも実は行ったのは、お医者さん、医療提供者側とも随分話をしました、特に産科医の方々。今、石井委員がおっしゃるようなことをすべておっしゃる。しかし、じゃ今度は患者の側から見たらどうかと。  私は今、実を言うと、患者とお医者さん、この間の信頼関係をいかに再構築するかということが最大の課題だと思っています。私が今のような意見、つまりお医者さんの意見を聞いて患者側に臨むと、大臣はお医者の味方ばかりするのか、我々の立場を全く考えていないじゃないか、私はこれだけひどいことを病院にやられた、こんなひどい先生にやられた、それでうちの父親は亡くなったんだと、こういうことをおっしゃる方がおられるわけです。ですから、ああ、なるほどな、そういうふうにそこまで不信感を持っておられるのかと。例えば、全くお医者さんが説明しない。もちろん謝罪もしない、これでいいんですかと。  そこで、その両者をつなぐものとしてメディエーター、調停者のようなものを置く制度というのを、これを私は考えたいなと思っておると、しかも、それは全く無知な人ではなくて、ある程度、例えばある病院に勤めていて、その病院のこともよく知っていて、医学の知識もあると。そうすると、結局、医者が直接患者に説明するのを逃げるためにそういうのをあなたたちは置くんですかと、こういう意見が出てくるわけです。  ですから、私は、やっぱりそれぞれの見解を持った方々の意見を謙虚に聞いて、どちら側から見ても公平で、見えるようなものをつくらないといけない。  そこで、例えば、ある事案の被害者をそのまま連れてくるんではなくて、今私が申し上げた医療側に対して物申したいという方々国民の側にはおられると思うんです。そういう方にもメンバーに入っていただいて、これは詳細は今から詰めますけれども、だから、原告の立場にある人ということよりも、いわゆる、やはり医療提供者が、悪い言葉で言えばですよ、タコつぼに入っちゃって自分たちの世界で外が見えていないこともあるかもしれない。そのときに、外からの目もそこに入れておくということが必要でしょうし、今度は医学の知識のない国民から見たら、いや、例えば産科の帝王切開という分野についてはこういう医学的所見があってこういうものがあるんですよと、これをきちんと説明できる、その事案に関係ないお医者さんであるべきなんでしょうけど、そういう方もおられる、そしてまた法律の専門家もおられる、こういう方で構成をして、そして何が真実なのかという意味での究明をきちんとやりたいというふうに思っておりますので。  石井委員の、ある意味で医療提供者側におられたわけです、だからその御意見も非常によく分かりますけど、片一方で患者側からのそういう意見も私は受けておりますので、そういう意味で、より広く、いろんな方々に参画していただいての形を取りたいなと思っています。  それから二番目の問題ですけれども、個々のお医者さんの責任追及を例えば行政処分という形でやるのがいいのかどうなのか、やっぱりシステム全体をむしろ取り上げた方がいいだろうと私は思っていますから、直接、それは例えばですよ、そういうことはあってはならないし、ないと思いますけど、二日酔いで意識ももうろうとしているのにオペやったと、これは問題ありますよ。こういうことは処分せざるを得ない。だけど、そうじゃないときに、やっぱりシステム全体の方にこれ注目すべきであって、軽々に個人のお医者に対して処分を下すということは私は厚生労働大臣としては慎むべきであると、そういう考えでおります。
  186. 石井みどり

    石井みどり君 今、大臣から患者さんの立場、ディマンドサイドの気持ちというのを、それは、私たちでも医療を受ける側になるわけですからそれは分かるんですが、ただ、今の患者さんが、随分患者さんの意識が変わってきているというところもあると思うんですね。  それと、最近気になるのは、余りテレビを見ないんですけど、新聞のテレビ欄を見ると、神の手とかなんとかって、本当に日本に一人か二人、その分野で、そういう方々のもう本当に特殊と言ってもいいほどの高度専門なそういう医療で、あたかも一〇〇%救えるかのごとくの番組がある。  しかし、決して普通の医療はそうでない。そして、医療というのはやはり非常にリスクがある。それから、一〇〇%というのはまさに神の領域だと思うんですね。だから、そのことを通常でもやはりきちんと説明をして、こういうリスクがありますよと、ただし、この手術をする場合、これをしなければどういうことが起こるというようなことをちゃんと説明をして、そして同意をして、納得をしていただいて入るわけですよね。  だけど、それでも、以前であれば、本当に誠意を尽くして、一生懸命やって助けていただいたと感謝をされていたようなケースが、最近は医者がミスったんじゃないかとか、何とかがあったんじゃないかと言って、頭を下げるどころか食って掛かるとか、そういう非常に不幸なことだと思うんですね。さっき大臣おっしゃった、確かに医療側の説明不足ということも、これは診療報酬にも問題があると思いますが、非常に今忙しくて疲弊していて説明する余裕も時間もないということもある。そして、相互にお互いが不信を持ってしまうという、そういう不幸な結果につながるという事例たくさんあるだろうと思うんですけれども。  それでもやはり、私はやはり患者さんが変わってきてしまった。そのことが、本当に今までこれを天命だと思って、天職だと思ってもう本当に献身的に働いてきた医師が、やっぱりこれはもうこれ以上こんなことではやっていられないというようなそういう状況もあるのは事実であります。  だから、どこまでそこを本当に、患者さんのもちろん気持ちも分かりますけれども、事この原因究明であるわけですから、一番大事なのはやはり、客観性とか公平性とかそういうところを担保するわけですから、そのところを十分お考えいただきたいと思います。  それから、医療メディエーターというのは、これはやはり、不幸にして家族を亡くしたそういう遺族であっても、その死が再発防止につながったりあるいは医学の発展につながるのであればやはりそこは救われるわけですから、そういう存在は医療者にも、患者さん、遺族側にも必要なことだと思います。その辺りを是非御検討いただきたいと思います。  それと、医療事故の場合、過失が競合していることが多いと思うんですけれども、医師が必要以上に罰せられているという実態があるのではないかと私は思っております。先ほどの、大臣は刑事訴追の話を少しおっしゃられたんですけれども、そこがこの医療事故再発防止のことと被害者救済だけじゃなくて、犯罪捜査の正に捜査機関の前駆体としての役割を負うのではないか、犯罪捜査の端緒となるのではないかという気がしてなりません。  それともう一つ、非常にマスコミの問題もあろうかと思います。委員会の判断がまさにもう結果のごとく、まさに裁判の判決のごとくに報道してしまって、そしてテレビ、新聞等へリークしてしまうというような、そういう私は懸念も持っています。マスコミに関しては大臣非常にお詳しいので、私はそういう懸念も持たざるを得ないと思うんですが、いかがでございましょうか。
  187. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは報道の在り方にもかかわってくるし、いろんな意味でセンセーショナリズムとかポピュリズムということは、専門的な委員会の検討課題としてはそういうものがない方が冷静にできるというふうに思います。  捜査機関に対しての通知というのは、私は極めて例外中の例外でなければいけないというふうに思っております。そして、今のところ重大な過失や故意というようなことをその例外に当たるという形で恐らく第三次試案では示すということになると思いますけれども、じゃ何が重大な過失なんですかという今度定義の問題になります。重大な過失というのは、結果として死亡した、亡くなったから重大ということではなくて、通常の医療行為から著しく逸脱した行為を行ったということが重大な過失というふうに当面はこの定義をあえてすればするということですけれども、やはり先ほど来、これはもう本質的な、お医者さんという職業が単純にほかの職業と同じように業務上過失致死傷のようなことに適用できるかどうか、これは刑法体系の問題でもあります。  ですから、私は、死因究明の委員会がもう安易に捜査機関に通知するということではなくて、それは例外中の例外でなければいけないというふうに基本的には認識を持っていますけれども、これはもう少し議論を詰めないといけない。  それで、まさにそういう話をすると、今度、患者サイドからは、本当は信頼関係がきちんとお医者さんの間にあればいいんですけれども、不信感に固まっている人は、逆にもっと強い最後の担保というか、なければ、ああ、自分たちは何やっても訴追されないんだな、もう何やっても行政処分も受けないんだなと。ますますお医者さんは何するか分かんないと。だから、最後はきっちりと担保してくれるものが、つまり国家権力であっても警察であっても厚生労働省であってもいいから、きちんとそういうものが後ろにいてくれないと困るという意見もまたあるんですね。  ですから、そういうことを少し議論を深めて、一番いい形に持っていければと思っております。
  188. 石井みどり

    石井みどり君 法体系に関しては、やはり諸外国の実情とか、それからやはり医療現場の声を十分お聞き及びいただきたいと思います。もう本当に、まさに自分の生活も犠牲にし、そして本当にこれが天職だと思ってやってきた方々が本当に逃げ出していっています。そのことが一番不幸です。  そして、早急に第三次試案が出るということですけれども、この二次試案の刑事手続のところを見ますと、「事例によっては、」とありますけれども、「委員会の調査報告書は、刑事手続で使用されることもあり得る。」と書いてありますが、私にはこれはどうしても、あり得るのではなくて、これは刑事訴訟に使うとしか読めないんですね。だから、さっき大臣お答えいただいたような、そういうところをよくよく更に議論を深めていただいてこれはお取り組みいただきたいというふうに思っております。  では、時間もあれなので、次に行かせていただきます。  資料の2を出させていただいておりますが、続いてレセプトオンライン請求義務化について御質問をしたいと思いますが、これは既に小池委員の方も御質問をされておられると思いますが、私は少し切り口を変えて御質問をしようと思っております。  資料2を出させていただいているんですが、ちょっとこれ本当に申し訳ないのが、ちょっとデータが古そうに見えるんですけれども、ただ、最近の実情もほとんど傾向として変わらないということでこれを出させていただいております。  山口県生まれ広島育ちなので、広島県のものなんですが、なぜこれなのかといいますと、実はこの時点では八十六市町村ありましたが、広島県は平成の大合併で非常にドラスチックに二十三市町になったというところなので、過疎地域が見えてこなくなった、過疎地域の医師不足、そして医師の実態が見えてこなくなったということがあるので、傾向が同じなので御覧いただければと思いますが、実は中山間以外あるいは中山間地域あるいは過疎公示の市町は、本当に高齢の医師によって辛うじて成り立っているところが多いんですね。これでも出ていますけれども、七十代、八十代でも現役で本当にその地域の医療をもう踏ん張って踏ん張って守っておられる高齢の医師が多い。患者さんも高齢だけれども、提供、サプライサイドの医師も高齢だという実態を私は昨年日本全国を回ったときに本当に間近に見ました。  びっくりするのが、この辺にどこどこの医院があるはずだ、どこどこ歯科医院があるはずだと思っても、そういう地域ですから看板もないんですね。何度も何度もぐるぐる回って、やっと何々医院駐車場というのがあって初めて分かって、そしてお邪魔をすると、ほとんど設備投資をもうされないんであろうと思うんですけれども、かなり昔の、私が生まれ育った病院のような木造の本当に古い、行ってみますと、待合室に畳が置いてあったりこたつがあったり、かなりそれでもお年寄りが皆さんいらっしゃるんですね。歯科医院でもそうでしたけれども、本当に同じような状況で、そして先生がのんびり一日何人かの患者さんを診ているという状況です。ああ、このお年寄りの先生が医院を閉めたらこの人たちはどうするんだろうとそのお邪魔したときにつくづく思いました。  そのときにやはり思ったのが、既にレセプトオンライン請求義務化という、もう平成二十三年から一律になっていくということでございますが、こういうお年寄りの先生方は多分レセプトの枚数も少ない。電子化することによって、オンライン化することによってメリットがあるだろうというようなことをよくおっしゃるんですが、決してメリットないんですね、手書きで十分なんですね。でも、こういう先生方は、特に歯科の先生方は、もうとてもそういう設備投資するだけの財力もない、それであればもうやめるというようなそういう方が本当に多いんですね。  これは、やっぱりまさにこのシステム、できるところはどんどんされたらいいんですね、システム導入できて、それによって経営が合理化できたり、メリットがあるところはされればいいんですけれども、診療を継続できなくなる医療機関は、まさに医療機関を切り捨てるだけでなく、その地域の医療も、歯科医療も切り捨てるんだということを十分御理解いただきたいと思うんですね。  私はやはりできるところがすればいい、まさに手を挙げていただければいいのではないかと思っておりますけれども、この中山間地域、過疎地域の医療を担っている高齢の医師、歯科医師を切り捨てることによって地域の医療、歯科医療を切り捨てるということをどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  189. 岩本司

    委員長岩本司君) どなたですか。どなたがよろしいんですか。
  190. 石井みどり

    石井みどり君 できましたら大臣に。
  191. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一般的にレセプトのオンライン化という、私は、これは日本としては少しでも医療体制を整備するためにやるべきであるというふうに、一般的にですよ、考えております。  というのは、肝炎の訴訟の問題をやったときに、カルテがない。それで皆さんの御協力賜ってああいう形で和解が成立した。だけれども、それはカルテやその他の記録が残っている方は証明できますけれども、残っていない方もたくさんおられる。これで今、総合的な肝炎対策でそれへ対応していますけれども、そのときに、もしこういうレセプトというのをオンライン化して、それは量だって電子データですから倉庫が要るような量になりませんから、びしっと何年も取っておくということになれば、かなり今のような問題にも対応できる。  韓国がたしかオンライン化進めるのが早くて、カルテがないからこの方がC型肝炎であるというようなことが証明できないということが極めて少ないということなので、私はもうそういうこともありますから、オンライン化をすることによっていろんなメリットがある。それは、今のは非常に過疎地のお話をなさっていますけれども、それは一日に百人も来るようなところだと、それはもうあれですね、いろんな意味で効率良くなるし、お医者さんが本来の仕事にかかわることができるようになります。  ですから、例えばその過疎地の場合だと、これは例えば費用はだれが出すんだという話になりますけれども、御本人がやらなくても事務の代行ができるというようなこともありますから。私は何とか、その過渡的な措置について言うと、それは今もおっしゃったように、もうオンライン化するなら私はやめてしまうよという方がおられれば、それは何とかしないといけないですけれども、全体的な流れとしては間違っていないんじゃないかなと。ただ、きめの細かい対応が必要だと思いますから、そこはいろいろ検討はしたいと思います。
  192. 石井みどり

    石井みどり君 その医療機関がなくなったら、本当に、家族がいればいいですが、家族の車に乗せてもらってどこか町の医療機関に行かなきゃいけない、こういう方々を、まさに医療の限界集落であるわけですから、本当に切り捨てないよう、過疎地に行っても人は生きているんです、人は住んでいるんです。そのことを、そして人が生きている限り医療が必要であり、歯科医療も必要なわけですから、そこを踏まえて是非このレセプトオンライン化にもお取り組みいただきたいと思います。  それでは時間も限られてきましたので、少し切り口を変えて、もうあと十分で実は本日、歯科医師国家試験が発表されると思います。  今、お手元に資料番号3でお示しをしておりますが、医師不足の一方で歯科医師に関しては需給のバランスが過剰ということで崩れています。これに対して、ここで是非、歯科から医科への御提案ということでございますが、医学部と歯学部がある大学、これを3の①でお示しをしております。医師の養成というのは、非常にその設備も人材もコストも時間も掛かるという大変なことでございますので、簡単にはいかない。しかし、今これほど医療の確保、産科だけでなく様々叫ばれているときに、喫緊の課題でございますので、どうやったら一番現実的に早急に確保できるかというカンフル剤的に、私はやはり、医学部の方へ歯学部の定員を差し上げる、あるいは歯学部から編転入ができる、そういうことができれば少しはカンフル剤として、大学の定員そのものは変わらないわけです。今非常に定員、学生の入学金、授業料によって経営が成り立っているわけですから、総枠を減らせという、定員を減らせというのではない、付け替えをしたらどうだろうかということを御提案したいんですけれども、これに関してどのように文部科学省はお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  193. 土屋定之

    政府参考人(土屋定之君) 御説明申し上げます。  医学部と歯学部の定員の取扱いでございますが、基本的には医師と歯科医師のそれぞれの職域あるいはその養成体制又は需給見通しなどを踏まえて対応すべきものと私ども考えてございます。これまで医学部と歯学部の定員につきましては、閣議決定でございますとかあるいは需給見通しを踏まえてその削減であるとかあるいは抑制に努めてきたところでございますが、医師につきましては、地域や特定の診療科における偏在の状況の中で関係省庁が連携して医師確保対策の検討を行い、地域等に必要な医師を確保するための医学部の定員増に取り組んでいるところでございます。  他方で、歯学部につきましては、現状、更なる定員削減が求められておるというところでございまして、先生御指摘の歯学部の定員を医学部定員に振り替えることにつきましては、これについては分野間の共通性に課題があるというふうにも聞いており、医師不足と歯科医師過剰への対応につきましては、それぞれの職域あるいは養成体制、カリキュラムなどの違いを踏まえながら、関係省庁と連携しまして、それぞれ検討を進めていくことが必要であるというふうに考えてございます。
  194. 石井みどり

    石井みどり君 今の教育は知りませんが、私たちの時代はいわゆる教養と呼ばれたところから、学部に上がったらそれぞれが専門教育になっていくわけですから、少し今おっしゃったようなことが当たるかも分かりませんが、それこそ今、ただし専門教育をかなり下に下ろしているというか、教養に下ろしているということがあるかも分かりませんが、やはりほかの学部とかほかの学士の方よりも非常に共通して学ぶ科目も多いわけですから、私は一番現実性があるんではないかと思っていますので、できるだけ柔軟な対応をしていただければというふうに思いますので、是非御検討ください。そのことが新聞の投書なんかにも出ておりました。医師の方からの投書が出ていたりしたんですね。それぐらい今勤務医の数が少なくなっていて、本当に疲弊していますので、医師の方からそういう声も出ておりましたので、是非そういう教育のところを、養成のところをお考えいただきたいと思います。  続いて、やはり需給に関してなんですが、3の②と3の③でお示しをしております。これで、このあともう五分で発表になりますけれども、歯科医師国家試験の合格者数の推移を見ますと、非常にここ十年で合格者数自体を絞り込んでいっている。多分、ここにおられる医師の方々が国家試験を受けられているときは、国家試験に落ちたら博物館行きだというような時代だったと思うんですね。私もそうでした。本当に、ほとんど一〇〇%ぐらいがライセンスを取れるという時代でしたので、時代が変わったと言われればそれまでなんですけれども。  私はやはり、資格試験ですので、合格率を絞ることによって数を、この出口ですね、いわゆる国家試験で出口で絞るというのはまさに残酷な話だと思うんですね。国試浪人をつくるだけですね。そうすると、予備校みたいなところがもうかるんじゃないんですか。泣くのは親と本人ですね。    〔委員長退席、理事谷博之君着席〕  随分歯学部の学生の方にもお会いしました。非常に国家試験に対して、私たちあんなに学生のときからおびえていなかったなというぐらい、地雷があるんですよねとか、本当に心配をしています。あくまでも資格試験なので、私は合格者で絞るのは問題で、むしろ、3の③のところで入学の定員のところが出ていますが、これに関しては、この十年間で四%しか減っていないんですね。二千七百十八人が二千五百九十七人になったという、むしろここを絞ることの方が私は妥当なのではないかと思うんですけれども。  以前、小坂大臣が文部科学大臣、そして川崎衆議院議員が厚生労働大臣のときに、両方が協力をして歯科医師の養成数についての削減に取り組むというような確認があったかと思いますが、この辺りを、出口で絞るのではなく、入口、入学の定員で私は絞っていくべきです。もちろん、途中で適性試験とか、向いていない方は途中でどんどんほかの道へ行かれることを勧めるべきだと思うんですけれども、最後の最後になって、六年間きちんと学んで、さあここの数のコントロールのために合格率を左右するというのは、私は考え方としてはおかしいのではないかと思いますけれども、これは厚生労働省あるいは文部科学省はどのようにお考えでしょうか。
  195. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 歯科医師の新規参入につきましては、これは御案内のように、昭和六十一年の将来の歯科医師需給に関する検討委員会の意見を受けまして、平成六年までに歯学部入学定員のおおむね二〇%削減が達成されたところでございますが、平成十年度に、同様の検討会において更に一〇%程度の新規参入歯科医師数の削減が提言されたところでございます。  その後も歯科医師過剰との意見が強くありましたので、平成十八年八月に、文部科学大臣厚生労働大臣の間で、歯学部入学定員削減と歯科医師国家試験の合格基準の引上げにより歯科医師の養成数を削減する旨の確認書が取り交わされたところであります。  厚生労働省としては、国民により安全で安心な歯科医療を提供できるよう、引き続き歯科医師の資質向上の観点から国家試験を実施してまいりたいと考えております。
  196. 石井みどり

    石井みどり君 一〇〇%近く合格していたときも、そんなに資質が低下していたとは思えないんですが、今のおっしゃりようですと、資質を向上させるために合格率を絞るというような、そういうおっしゃりようは少し違うのではないかという気がいたします。  これは、確認書が出ておりますので少し見直していただきたいというふうに思っておりますが、もう時間も限られてきましたので、続いて、少しその需給のところを、また視点を少し変えまして、つい先日、これは二十五日ですね、三月二十五日に、自民党のところにも随分旗が立っていたので、ああ、お見えになっているんだなと思いましたけれども、ベトナムからグエン・ティエン・ニャン、バイスプレジデントというか副首相兼教育訓練大臣がお見えになったみたいですが、これは今後、日本政府との間で博士養成計画というのが進められるというふうに聞いておりますが、二〇二〇年まで二万人の修士以上のドクターを養成するということで、そのうち約千人が日本で受け入れて学生の方を育成するというふうに聞いております。  これは、当然外務省と文部科学省とが連携をして進められるわけですが、実はこれに着目をしましたのは、広島県にJAVDOといって、私たちジャブドと言っているんですけれども、広島大学の歯学部の出身の方を中心にしていろんな大学が、多国籍軍といいますか、いろんな大学の歯科医師が入って、そして歯科衛生士も入れて、そしてマスコミの方も、もうここ十年毎年ベトナムへ医療支援に行っています。ストリートチルドレンだったりスラムの子であったり、そして随分いろんな市民の方からも不要なもの、いろんなものを提供していただいて、持っていくお金の方が掛かるという状況なんですが、そういう子供たちとかあるいは中学生、高校生なんかの治療をしたりしています。非常にベトナムの歯科保健医療事情というのはまだまだ遅れているところがあります。  やはり私たちができること、アジアの国に対してできること、日本が培ってきた経験、そして成功体験、そういうようなものをやはり伝えられるんじゃないか。そういう意味で、特に大学院ということですので、博士以上ということですので、その国の指導的な歯科保健医療の立場になられる方であろうというふうに予測できるわけですね。  だから、そういうところで、是非この博士育成計画の中に歯科保健医療の専門家の育成をお願いをしたいと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
  197. 伊原純一

    政府参考人(伊原純一君) 今、ベトナムには大学それから短大の講師というのが四万八千人いらっしゃるそうですけれども、その中で博士号の取得者は一二%の六千人にすぎないと。そういうことですので、今委員お話にございましたベトナムの博士育成計画というのは、ベトナムの高等教育の発展のためには大変有意義な計画であるというふうに私どもも評価しております。それで、この計画を通じて今ベトナム政府日本への留学生を増加させたいということですので、私どもとしてもこれを積極的に支援していきたいというふうに考えております。  このベトナムの博士育成計画で今後どういった分野の学生を日本に派遣していくか、これはベトナムとこれから相談して決まっていくということであろうと思いますけれども、今の委員の御指摘も踏まえまして、歯科も含む医療分野の重要性についてベトナム側にも十分指摘していきたいというふうに思っております。
  198. 石井みどり

    石井みどり君 もうあと限られましたので、最後の質問をさせていただきます。  来月、TICADⅣが開催されるというふうに聞いておりますけれども、対アフリカの支援に関して、特にサブサハラ・アフリカを中心にして、私の関心はやはり保健医療にあるわけですが、これこそ日本が世界に誇る、本当にあの戦後の焦土の中からこれほどの国家建設ができた、再建ができたというのは、非常に保健医療政策が私は成功であったというふうに言っていいと思うんですね。つい先般もWHOからも高い評価を受けたと思うんです。低コストで質の高い保健医療が提供できているという。そうであれば、このアフリカ支援に関して、保健医療分野の特に人材育成の支援に関して、口腔保健を含む保健医療従事者というのを是非我が国に受け入れて、そして研修を終えて帰っていただく。ウミガメ作戦ですね。  今アフリカですか、旧宗主国というのはヨーロッパとかが多いわけですけれども、そういうところに留学させるというのを非常に嫌うんですね、アフリカ諸国は。結局、医療人材を取られるということで非常に嫌っています。日本の場合は、国家試験、資格の問題がありますので、その部分は安心してお帰しする。まさに今中国で進んでいるウミガメ作戦だと思うんですけれども、そういうことで、このアフリカの各国の保健医療、公衆衛生の特に政策を担うような、そういう人材育成の仕組みが私は大事であると思っていますので、そのことを御検討いただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  199. 谷博之

    ○理事(谷博之君) 小田審議官、時間が来ておりますから、簡潔に御答弁ください。
  200. 小田克起

    政府参考人(小田克起君) アフリカにおきます保健医療分野における人材育成は、国際社会が一致団結して取り組むべき重要な課題だと考えております。  我が国におきまして開発途上国の人材育成を担っておりますのはJICAでございます。こちらの研修員の受入れ制度におきましては、単に研修員個人の能力向上のみを目的としておるわけではございませんで、帰国後、それぞれの出身国において、先生御指摘の保健医療、公衆衛生行政やその分野の政策の改善にも結び付けるということを目的としております。ですから、例えば看護教育の分野であれば、病院の看護部長といった保健分野の中核人材を私どもの方で受け入れて研修員として研修をし、戻っていただくということをしております。  これまでもアフリカからは、例えば今先生御指摘の歯学分野でも例年二、三人の方を受け入れております。こうした……
  201. 谷博之

    ○理事(谷博之君) 簡潔にお願いいたします。
  202. 小田克起

    政府参考人(小田克起君) はい。こうした研修制度を利用してアフリカにおける保健医療分野の人材育成に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
  203. 石井みどり

    石井みどり君 ありがとうございました。
  204. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  トヨタ自動車で二〇〇二年に起こった当時三十歳の内野健一さんの過労死の問題について最初質問します。  これは昨年十一月に名古屋地裁の判決がありまして、トヨタの社内で自主的に行われていたQCサークル、自主的に行われているというふうにされていたQCサークルなどの小集団活動を労働時間というふうに判断したわけですね。私、十二月にこの委員会で取り上げて、これは控訴すべきじゃないと大臣にただしました。その後、国は控訴せず、判決は確定をしております。  さらに、名古屋地裁判決の判断に沿って豊田労基署が平均賃金を計算して遺族年金と一時金の支給を行っております。これは判決を国が受け入れて、それに沿った行政を進めたという意義は大きいと思いますし、私は大臣の決断を高く評価したいというふうに思っています。こういうことを言うのは余り珍しいんですけれども、これは率直に評価をしたいというふうに思っております。  裁判の中で国は、こういう小集団活動、創意くふう提案、QCサークル、EX会などを業務と評価すべきでないと、労働時間から除外すべきだという主張をしていたんですが、名古屋地裁はこれを退けたわけですね。  局長、お伺いしますが、判決では小集団活動についてどういうものを労働時間と判断する判決になっているんでしょうか。
  205. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 御指摘の判決につきましては、被災者の労働時間を管理、認定する権限を有する上司の業務命令下で行われる小集団活動について、労災認定上は労働時間性を肯定することが相当とされたものでございます。  その小集団活動につきましては、業務として認めた活動といたしまして、創意くふう提案とかあるいはQCサークル活動でありますとか、交通安全活動あるいはエキスパート会の実施・運営に必要な準備行為というような、被災者の労働時間を管理、認定する権限を有する上司の業務命令下で行われる業務内容ということでございまして、認められなかったものが、エキスパート会における懇親会等の行事への参加でありますとか組合活動である職場委員会の活動というようなものでございます。
  206. 小池晃

    ○小池晃君 いや、ちょっと判決、違うと思うんですね。命令下でなくても、上司が在社して、上司に管理されて、上司にその勤務状況を管理されて、その命令で業務に従事する可能性があった時間帯に行われていたものについては労働時間と、業務と判断したんじゃないですか。きちっと正確に言ってくださいよ。そういうことですね。イエスかノーかで結構です。
  207. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今申し上げました創意くふう提案などの小集団活動は、上司である者に管理され、その命令で従事する可能性があったことから、労災認定上は、本来の業務の手待ち時間として労働時間性を肯定することが相当というふうに言っております。
  208. 小池晃

    ○小池晃君 だから直接に業務命令というんじゃなくても、同時に在社していて、勤務状況を管理されていて、その命令によって業務に従事する可能性があったものについては、これは業務と判断して労働時間に認定したわけですよね。  裁判所は過労死の判断基準は一か月分ですから、この死亡直前一月の労働について労働時間を認定いたしました。一方、労災保険を支給するに当たっては、これは死亡前三か月の労働時間を認定して平均賃金を算定する必要があるわけです。  この内野さんの事件について豊田労基署は、名古屋地裁の判断に従って、この三か月間の労働時間、平均賃金を算定したということですね。これもイエスかノーかで結構です。
  209. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 御指摘の点については、もう既に報道されておりますように、その判決の内容を踏まえたものでございます。
  210. 小池晃

    ○小池晃君 大臣、労基署が算定したのは、これは労働基準法十二条に規定する平均賃金で、すなわち、これは労災行政だけじゃなくて労働行政の根幹にかかわる問題であります。賃金、労働時間にかかわる問題です。  この判決に基づいて、今後の労働行政というのは、上司が在社をして、その業務命令に従事する可能性がある時間に行われたQCサークルなどの小集団活動については、これは労働時間と判断した名古屋地裁の判決に沿って今後の行政は行われるべきだというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  211. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、先ほど来判決を引用なさっているように、指揮命令下にあって業務命令が下されたと考えられる可能性があるときは労働時間として算定すると、その基本的な原則を今後とも貫きたいと。つまり、判決の趣旨に沿って今後とも労働基準行政を行っていきたいと思います。
  212. 小池晃

    ○小池晃君 いや、今後ともと言われるとちょっと引っかかっちゃうんですよ。今までそうじゃなかったわけですね。こういうQCサークルについては、これは時間外労働にはならないというふうに指導してきた経過があって、今、トヨタで何を言われているか。  これはトヨタの人事部が出している内部文書があるんですよ。そこでは何と言っているかというと、今回の判決は国と遺族との労災認定に関する判決であり、自主活動に対する勤務取扱いについて従来の国のルールが変更されるかどうか現時点では不明だと。そのため当社の自主活動の活動時間の取扱いを変更する必要があるかどうかは不明であると言っているんですよ。こういう態度を取っているんですよ。  だから、私、はっきり言うべきだと。大臣、やはりこれだけ判決確定したのに何の反省もないわけで、国がやっぱり明確な姿勢を取らないから企業もなめているんじゃないかというふうに言わざるを得ない。  これ、トヨタのQCサークルというのは、社内報を見ますと、国内で四万四千人、海外で四万六千人やっていると。これ国際問題にもなると思いますよ、私。やっぱり、この自主活動を装っているこういう業務命令下にある可能性のある小集団活動というのは、私ははっきり言って隠れたサービス残業だと。やっぱり労働行政には、名古屋地裁判決の判断基準に沿って、厳格に対応していくことが必要だというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
  213. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな制裁を加えられたりってすることがなくて、全く強制の要素がなくて自由に参加するというのが、これは就業時間外の自由な活動ですけど、今申し上げてきたように、管理下にあって業務命令とみなされる可能性があるということは、当然そこに制裁その他の措置が裏にあるということを意味しますから、それについては判決の趣旨に沿った形できちんと労働行政を行うべきだというふうに思います。
  214. 小池晃

    ○小池晃君 そういうメッセージをしっかりやっぱり企業にも伝えていただきたいというふうに思います。  それから、この事件では、労基署が算定した時間外労働時間は三か月で二百五十四時間五十五分、労基署の当初算定と比較してこれ百五十時間余り時間外労働増えて、相当な部分が不払残業になっておりますが、現在までトヨタはこれ支払っておりません。これは言うまでもなく、賃金不払は刑事罰付きの重大な企業犯罪であります。本件は、これは厚生労働省が不払残業の存在を明確に認識し認定している、そういう事案でもあると思うんですね。  私は、厚生労働省はこれをしっかり払うようにトヨタに指導すべきではないかと思うんですが、いかがですか。
  215. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。  一般的に申し上げれば、労働基準法上の労働時間の取扱いにつきましては、その名称にとらわれず、実態を判断いたしまして使用者の指揮監督下に行われているというそういう実態が認められれば、これは労働時間に該当するということであります。そうした実態のない場合は労働時間として認めることはできないというふうに考えております。  なお、労働時間に該当する場合でありましても、労働基準法上時効となっている場合などには労働基準監督官としては割増し賃金の支払を指導することはできないというふうに考えております。
  216. 小池晃

    ○小池晃君 時効だからっていってね、逃れるということがあっていいんですか。  大臣、人一人過労死で亡くなっているというのに、今日までトヨタは民事上、刑事上、行政上何の責任も問われていないわけですよ。しかも不払残業、これ明確になっているのに払ってもいないんですね。大臣予算委員会でも企業の社会的責任が問われる時代だとおっしゃっていますよね。そういう中で、こういうことが、まあ法的にはこれは労働基準法で時効だといっても、私は許されるのかと。これはやっぱり毅然として道義的な責任、社会的責任というのを企業に求めていくべきじゃないですか。いかがでしょうか。大臣に。
  217. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 労働基準行政というのは、この労働基準法にのっとって法に従ってきちんとやらないといけないですから、一般的に言えば法律に二年の時効というのが書いてあるということですから、これは法的な措置はとれません。  しかし、今委員がおっしゃったように、この一つの重い判決が出た、それを受け止めて企業としてどう対応するかということは、これはそれぞれの各企業の自発的な判断によるところでありますけれども、働く人たちの権利をきちっと守る、そういうことをきちんとやっている企業がこれから社会的責任をきちんと果たしている企業として国民に受け入れられると、そういうふうに私は考えております。
  218. 小池晃

    ○小池晃君 そういうやはりきちっとした指導をしていただきたいし、私、これで時効がここであるというのはちょっとこれ、法律の不備ではないかというふうにも指摘をしたいというふうに思います。  それから、偽装請負の問題をお聞きします。  公務の職場でもこれ横行しているわけですが、職安局長に、偽装請負の定義について、ちょっと時間ないんで簡単に、これ形式上は請負契約だけれども、発注者からの指揮命令関係がある場合は、これは実質労働者派遣に該当するので、労働者派遣契約を締結しないまま労働者派遣を行った、これが偽装請負になるということでよろしいですね。
  219. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 偽装請負の定義でございますけれども、今お話しございましたように、請負、業務委託と称して労働者派遣契約を締結しないまま労働者派遣を行うことでありまして、労働者派遣法に違反するということでございます。
  220. 小池晃

    ○小池晃君 つまり、請負契約の下で指揮命令できない、やったとすれば偽装請負になるわけであります。  資料をお配りいたしました。これは国土交通省の説明資料なんですが、これは国土交通省が航空機の運航に係る業務の委託の運用指針というのを二〇〇二年に決めておりまして、その中で旅客機の乗員の一部を外部委託できるようにいたしまして、今回その指針を四月一日から一部改定しようとしているその説明です。  国土交通省にお聞きします。  この資料によれば、機長などの運航乗務員からチーフパーサー始めとする客室乗務員に対して連絡・連携すると書いてあるんですが、これは指揮命令に当たるのではないですか。
  221. 谷寧久

    政府参考人(谷寧久君) 航空機の機長には、航空法に基づきまして、機内で職務を行う者に対しまして指揮監督権限が与えられております。運航の安全を確保する観点からこの権限を行使するということがこの連絡・連携で表されている行為でございます。
  222. 小池晃

    ○小池晃君 ということは、指揮命令をするということですね、これは航空法七十三条にある。  ですから、同じ機内で運航乗務員の指揮監督、指揮命令下にある客室乗務員がこれが別会社に業務委託するというのは、これ、労働者派遣法違反の偽装請負になるんじゃないですか、国土交通省答えてください。
  223. 谷寧久

    政府参考人(谷寧久君) 私ども、この通達の中で委託という言葉を使っておりますけれども、この用語につきましては、第三者に業務をゆだねるという意味で使用しておりまして、その受託者と委託者との間の契約形態について特に限定をしておるものではございません。したがいまして、受委託の契約形態については、もちろん請負もあろうかと思いますけれども、準委任あるいは派遣などの様々な形態が考えられるというふうに思っております。
  224. 小池晃

    ○小池晃君 いや、ここで言っているのは派遣じゃないでしょう。これは請負ですよ。準委任といったって、それだって請負だという、その場合でも偽装請負になるというふうに言われていますよね。  厚生労働省にお聞きしますが、これ国土交通省が出しているこの指針というのは、まさにこれは労働者派遣法に照らせば偽装請負のスキームになっているんじゃないですか。
  225. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) このスキームで、客室乗務員の業務委託を行う場合におきましては、委託元から労働者に指揮命令を行う必要があればこれは労働者派遣の形態で業務委託を行う必要があると思います。  今お話がございましたように、派遣以外の形態で委託元から労働者に対して指揮命令を行うものであれば偽装請負に該当する可能性が高いものと考えます。
  226. 小池晃

    ○小池晃君 だから、大臣、これ偽装請負になるんですよ、はっきりこれは。一企業がやろうとしているんじゃないんですよ。厚生労働省のすぐそばの国土交通省で偽装請負をやりなさいというこれ方針出しているということになるんですよ、大臣ね。  私、これは国土交通大臣に対して、これは労働法制から見て重大な問題があるということをちゃんと指摘すべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  227. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 偽装請負に該当する可能性はこの法律の案文をそのまま読めばその可能性は極めて高いと思います。  こういう問題についてどう対応するか、これはまた国土交通大臣ともこういう問題があるよということは指摘をしておきたいと思います。    〔理事谷博之君退席、委員長着席〕
  228. 小池晃

    ○小池晃君 これは規制改革会議が言い出しているんですよ。本当にやっぱり人の命を預かる客室乗務員と運航乗務員が別会社の飛行機なんかに乗ったら本当に命が守られるのかと。私、こういうやり方は本当に労働行政の立場からもしっかり物を言うべきだというふうに申し上げておきたいと思います。  最後、生活保護の問題をお聞きしたいんですが、通院移送費の問題で、北海道の滝川市の不正受給事件をきっかけに通院移送費の支給基準の見直しが突然浮上いたしました。これ暴力団関係者による詐欺で犯罪であります。許し難い事件です。行政もかかわっていた。  これを口実に通院移送費の支給基準改悪するということは私おかしいと思うんですね。通院医療機関を原則福祉事務所管内に限るといっているんですけれども、治療の必要からやむを得ずこれ離れた医療機関にかかるというケースはこれはあるわけです。言うまでもなく、生活保護制度というのは、憲法二十五条で定められた健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するものでありまして、やはり通院移送費の打切りで必要な受診ができなくなる、そんなことになれば私は生活保護制度の役割は果たせなくなると思うんですね。  大臣、ああいう滝川市の本当に許し難い例は、これは絶対許しちゃいけないと思うんです。そういったものを認めろなんというつもりは全くありません。しかし、圧倒的多数の生活保護の利用者というのは、必要な最小限度の額をこれは請求しているわけですよ。やっぱりああいうとんでもない犯罪を口実にしてこういう人たちの権利まで奪われてしまうということはあってはならないと思うんですが、大臣、いかがですか。
  229. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今の滝川の事例については、これはもう厳格に対応して、二度とこういうことを起こしちゃいけないと、そういうことで基準の見直しということをやりましたけれども、しかし、今おっしゃったように、生活保護の方々が必要な医療を受けられないような事態は、これは絶対起こさない、そういう方針で例外的な移送費についてもきちんと定めております。  例えば、へき地などで交通費がどうしても高額になるとか、それから身体障害者なのでこれは電車やバスなどは利用できないと、そういう場合もありますし、それから検診命令によって受診する、それから医師の往診がどうしても必要だと、こういうことについてはきちんと対応して、この生活保護の方々が必要な医療を受けられないというような事態は起こさないと、そういう立場で臨みたいと思います。
  230. 小池晃

    ○小池晃君 今大臣がおっしゃったような基準は国民健康保険上の基準であって、やっぱり生活保護制度というのはこれは最後のセーフティーネットなわけですから、もっと広くこれは救っていかないと私は駄目だと思うんですよ。やっぱりそういう限られた例じゃなくて、やはり治療上の必要で通院しなきゃいけないような場合の通院移送費というのはちゃんと認めるということをやっぱり続けるべきじゃないですか、いかがですか。
  231. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今大臣から御答弁申し上げました例は、国民健康保険の基準よりも更に被保護者の方に配慮した例外的な基準ということで申し上げたものでございますので、国民健康保険の例よりも更に配慮した基準できちんとやりたいということを大臣から御答弁したものでございますので、御安心いただきたいと思います。
  232. 小池晃

    ○小池晃君 いや、これ、やり方自体も、支給基準見直し示されたの今月三日なんですね。それで、パブリックコメントもなしで、四月一日には局長通知が出されるというのは、これは余りに拙速ではないかなと。一月に実態調査をやっているんですが、その結果もまだ集計中だというふうに聞いております。  私は、この支給基準の見直しというのは、いったんこれはストップをして、この全国実態調査の調査まとめて、それを公表して、しっかり国民的な議論もやって意見も聞いてやっていくべきで、こんな一月足らずの間に通してしまうというやり方は、これはやめるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  233. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今の通院移送費については百三十万件の方が年間生活保護で使っておられますけれども、例えば各県ごとに見ましても数十倍の利用度の格差があるというようなことがございます。  今回、基準を厳しくしたと、そういうことではなくて、移送費に必要な最小限度の額は生活保護で見るという基準があったわけでございますが、そこを変えるわけではなく、ただ、こういうふうに全国的に格差があるのは、統一基準がはっきりしていないので実施自治体も混乱しているということから、今回、滝川の事件も踏まえまして基準を明確にしたということでございます。  実態調査もしておりますけれども、その調査の結果に基づいて、もし必要な措置があるようでございましたら、またそこの点については御報告しながらきちんとやってまいりたいと思っております。
  234. 小池晃

    ○小池晃君 必要な受診まで妨げられるようなことは絶対にあってはならないので、この通院移送費の見直しについては、私はストップさせる、そのことを申し上げたいというふうに思います。  質問を終わります。
  235. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず初めに、原爆症認定についてお聞きをいたします。  三月十七日、原爆症認定の新しい審査方針が示されました。現在、全国で原爆症認定についての裁判が起きております。その原告の中の三分の一程度しか救済されないのではないかという声が上がっています。被爆した人たちの中に分断や差別をもたらしてはならないと。また、今回の新しい審査方針にはこれまで積み重ねられた判決の内容が反映されておらず、はるかに判決内容より後退したものとなっています。今日はこの観点から厚生労働省にお聞きをします。  これまで全国の裁判所で示された判決の見解と精神を受け止め個別のケースに当たるべきであり、被爆者救済の観点から早期の解決を図るべきです。この考え方は、裁判所のみならず、被爆者、与党プロジェクトチーム、野党、すべての望む考え方であり、被爆者援護法の理念でもあると考えます。  大臣の見解はいかがですか。
  236. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員がおっしゃっていただいたように、被爆者援護法の精神にのっとって与党のPTの提言もいただいたわけでありますから、迅速に、そしてこの迅速にというのは、被爆をなさった方々がもう相当御高齢になっておられる、私も皆さん方にお会いいたしましたので、その意味で迅速、そして一人でも多くの方を救うんだと、そういう積極的観点から今回の認定基準を決めたと、そういうことでございます。
  237. 福島みずほ

    福島みずほ君 新しい審査の方針には、原因確率を改めとあります。これまでの原爆症認定に関する審査の方針に問題があったと認識しているということでよろしいですね。
  238. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 問題があったというよりも、そういう言い方よりも、むしろこれまでの原因確率論というのは一つの科学的な知見を重視した判定基準であるわけですけれども、今回、それに距離とか時間、どれだけの爆心地から何キロと、時間と、こういうものを入れたものでありまして、そういう意味で、前のに誤りがあったからということよりも、より積極的にいろんな要因を入れて迅速かつ前向きに皆さん方を救済すると、そういうことで決めた判断だというふうに思います。
  239. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回の審査の方針が前よりも広がっているということは、今度の審査方針でですね、ということは私にも理解ができます。しかし、問題は、せっかく判決などで獲得をしてきたことからはるかに後退をしていて、救済をする人間が限定がされているということです。  例えば東京地裁の判決では、科学的知見にも一定の限界が存するのであるから、科学的根拠の存在を余りに厳密に求めることは被爆者の救済を目的とする法の趣旨に沿わないと指摘をしています。別の観点で、別のところでいいますと、例えば最高裁松谷判決は、原爆症の起因性の判断に当たって、自然科学的な厳格な証明を求めていない、最高裁判決は、当該申請者の被爆直後の急性症状や被爆後の体調の変化などの間接事実の積み上げによって、経験則によって通常時の判断基準で起因性を判断するとしています。  それに比べて、今度の審査方針は余りに限定しているのではないでしょうか。
  240. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) これまでの判断でございますけれども、原因確率という手法を用いて行っていました。これは、もう申すまでもなく、既存の集団的データを基に確率論を採用したということで、放射線起因性の寄与率、確からしさを計算するものでありまして、国際的にも一定の評価を得ているものであります。したがって、この部分が裁判所等でも科学的過ぎたのではないかというようなことでありました。  したがって、今大臣お話ありましたように、被爆者の高齢化等を踏まえまして、より簡便な手法に切り替えるというようなことで、爆心地からの距離それから時間というようなものについて判断していこうというふうに切り替えたいということでございます。
  241. 福島みずほ

    福島みずほ君 放射線起因性の判断において、被爆地点が爆心地より約三・五キロ以内である者とありますが、明確に三・五キロメートルとなぜ区切ることができるんでしょうか。その根拠は何でしょうか。
  242. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) これについても専門家の間でいろいろ議論がございました。専門家の検討会の報告書におきましてこのように記載されています。自然界から浴びる放射線にも満たない被爆でない限り原爆症の対象とすべきであるというようなことであります。この自然界から浴びる放射線にも満たない被爆の距離がおおむね三・五キロというようなことで判断しております。
  243. 福島みずほ

    福島みずほ君 ちょっと全く理解ができないんですね。  例えば、いろんな方たちの証言やいろんなものを見ますと、例えばある方の、これは原告団長の訴えなんですが、一番最初に亡くなった人は四キロの地点でセミ捕りをしていたときに被爆した同窓の友人であると、被爆から十年目だったけれども、死因は白血病であると。私より二歳年上の女性は、四・一キロの自宅で被爆をして、看病をした上で肺がんで亡くなったと。爆心地から十キロも離れた小学校校庭で被爆した五歳年上の知人は、黒い雨を浴び、黒いすすも大変よく吸ったというふうに言っています。平成六年に肺がんで右肺を三分の一切除、三年の平成九年に左胸も三分の一切除。黒い雨、映画もありますけれども、かなり広範囲に黒い雨が降って、みんなが黒いすすを吸ったと。本当にようかん切るみたいに三・五キロって切られないじゃないですか。  御存じ裁判所では、厳密に厳密に科学的知見で、国際水準でというのではなく、多くの積み重ねの中で、こんな限定なんかやっていないんですよ。三・五キロとなぜ区切るんですか。
  244. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) ちょっと答弁、不足しましたけれども、三・五キロ以内の方あるいは入市して百時間の方、この方たちに関しては積極的に認定しましょうと。積極的認定の判断は、格段の反証のない限り認定しましょうということであります。  今先生がおっしゃられた四・一キロ、四・〇キロ等につきましては、これは総合的な判断をこれもしましょうということで、必ずしもその認定じゃないということではないわけです。あるいは、フォールアウトについてはまた別の線量評価という方式がございますので、それに基づいて判断していこうと、こういうことでございます。
  245. 福島みずほ

    福島みずほ君 それは違うと思うんですね。  新しい審査の方針の、これによりますと、積極的に認定する範囲、一、被爆地点が爆心地より約三・五キロメートル以内である者。確かに、入市をしたというほかの例外規定はありますけれども、基本的にはっきりと、三・五キロ以内である者を積極的に認定する、あとは例外的というか、いろいろな諸般の事情になるので、厚労省が今回の新しい審査の方針で、まず三・五キロということで区切っているということは明快ではないですか。  じゃ、私の質問は、なぜ三・五キロでまず基準を設けるのか。いかがですか。
  246. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 先ほど来申し上げていますように、自然界の放射能の限度、一ミリシーベルト程度でございますけれども、これが爆心地から三・五キロというふうなところで、その中にある方については積極的に認定していきましょうと。それを越える方に関しましては、いろんな状況を判断して、総合的に判断してくださいと、このような基準です。
  247. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、今の話を聞くと、一応三・五キロとあるけどそれ以外も非常に広く認定するというふうに聞こえますが、新しい審査の方針ですと、積極的に認定する範囲、一、二、三とありますが、二、三に関してはまたいろいろ要件がありますよね。そして、二、一に該当する場合以外の申請についてとありますけれども、厚労省が今回新しい審査の方針で三・五キロ以内ということを一つの基準に設けていることは事実じゃないですか。自然界でどうのこうのといっても、現実に被害はやっぱり起きているし、少なくとも裁判所がこういうふうな認定はしていないわけですよね。  じゃ、逆にお聞きします。裁判所は三・五キロで原則的に認め、それ以外はまた別の考慮をするというふうに明快に言ってはいないでしょう。
  248. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 今お持ちの資料を御覧いただければお分かりだと思いますけれども、三・五キロを越えた方々に関しましては、申請者に係る被曝線量あるいは既往歴、環境因子、生活歴等を総合的に勘案するというようなことでございます。  裁判所は三・五キロという線引きをしていないと、これは事実でございます。
  249. 福島みずほ

    福島みずほ君 ですから私が申し上げているわけです。総合的考慮というと聞こえはいいけれども、やはり実際申請をすると三・五キロということで切れてしまうんじゃないか、被爆者の皆さんはそこにやっぱり不安を持っているわけです。  じゃ、逆にお聞きしますが、総合的に判断するときの判断基準が不明確だと考えますが、判断基準についての方針、基準を明らかにしてください。
  250. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) そのお手元の資料にもありますように、三・五キロを越えた場合には様々な状況がございます。被曝線量あるいは既往歴、環境因子、先ほど申し上げましたようなことを総合的に審査委員会方々が、委員が判断していただくと、このような方針で審査をしていただくことになります。
  251. 福島みずほ

    福島みずほ君 裁判所は三・五キロメートル、多くの裁判例があり、裁判所で長く原告、被告と争って、証拠を出し、認定してやってきたわけですね。その裁判所は三・五キロで区切れと、今答弁あったとおり、言っていないんですよ。だから、私の質問は、なぜ三・五キロで、基準で一応切るのか。それ以外は総合的考慮だというけれども、総合的考慮の明確な基準は私には分からないですよ。
  252. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) ですから、再三申し上げていますように、三・五キロという距離は、私たちが日ごろ浴びている放射線量のレベル、一つのレベルですね、それを超えた方々についても総合的に判断していこうということですから、従来から比べると格段に認定の範囲が広がるだろうというふうに考えております。
  253. 福島みずほ

    福島みずほ君 裁判所でその三・五キロで区切るなんということは全く採用されていないわけです。  今回、大臣、明らかにやっぱり広がっていることは私は認めるんですよ。しかし、さっき、冒頭大臣がおっしゃったように、被爆者の皆さんもう高齢になっていらっしゃるので、その点でいえばやっぱり救済をきちっとやるべきで、私は、せめて裁判所で獲得した程度はやってほしいというふうに思っております。  次に御質問いたします。  積極的認定対象疾患に五つの疾病が挙げられております。しかし、肝機能障害や甲状腺機能低下症は入っておりません。裁判所は、甲状腺機能低下症を例えば放射線起因性があるとして原爆症認定をしています。裁判所と違う判断をなぜ審査方針として設けたんでしょうか。
  254. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) この問題も、検討会あるいは与党PTで様々な議論ございました。現時点では、特に肝機能障害それから甲状腺機能低下症につきましては、いわゆる放射線起因性についての判断が分かれているという状況でございます。  したがって、誤解があっちゃいけないんですけれども、積極的認定、いわゆるがんとか白血病とか白内障ですとか、そういった方々を積極的に認定しましょうというふうな範疇とはちょっと違いますけれども、肝機能障害だとか甲状腺機能低下症についても、先ほど申し上げたようなことで、総合的に判断して審査をしていくというふうなことで考えてございます。
  255. 福島みずほ

    福島みずほ君 大臣、裁判所では、例えば甲状腺機能低下症を放射線起因性があると言っているわけですよ。裁判って、間違うこともあるけれども、長い積み重ねの中で判決が出るわけですよね。であるにもかかわらず、審査方針からは漏れていると。三・五キロという裁判所では認定されていない基準も設けていると。  私は、戦後六十四年目ですか、戦後六十年以上たって、そして被爆者手帳を持っている人が自分のことについて総合的に立証するといっても、これ物すごく大変なことですよね。だとすれば、一つ、裁判所が認定している限度は認定するように審査方針をすること。二つ目は、例えば被爆者手帳を持っている人ががんや白血病になったら、むしろ挙証責任は国の側に、むしろこれは原爆ではないということを例えば立証するとか、それぐらい、疑わしきは、疑わしきはというか、政府がやっぱりそれは負うというようなことも必要だと考えますが、いかがですか。
  256. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その点、私この問題についてずっと取り組んできて、例えば与党のPTの方々からこういう基準でどうかといったときに、いや、その基準だったらむしろ裁判で認められている方が切り捨てられますよと、こういうことについても指摘をしてきた。  先ほど山本委員がいみじくも御指摘くださった、司法の判断と新しい基準とのそごをどうするかという問題になると思います。私は、一人でも多くの方を積極的に救いたいと。したがって、三・五キロとか一定の疾病を掲げたのは、この方々はもう、すぐ認めますよと。しかし、例えば三・五キロからちょっと外れたと、今の甲状腺の機能障害のような問題があったときには、それは今までどおり裁判という場で個別的に、総合的に判断していく道を開きますよと。  しかし、問題は、過去の判決の基準が全部裁判所によって違います。それが一つ。それから、五月ですか、一つ高等裁判所の判決が出ます。私は、その高裁の判決が、例えば今度の新基準を入れた形で裁判官が御判断なさるのかどうなのか、そのことも含めて見た上で、積極的に一人でも多くの方を救いたいと、そういう気持ちで認定したいという気持ちでこの問題に対処していきたいと思います。
  257. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、今日、判決よりも後退しているということを質問してきました。高裁判決が出て、今回の方針を超える基準が示された場合、大臣審査方針を見直しますね。
  258. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) そういうことも含めて高裁判決をこれは少し待ちたいと思います。  しかし、基本的なことは、どんどん御高齢になっていかれておりますので、一日も早く一人でも多くの方を積極的に救済したいと。そういう意味で、どういう基準にするか、今は取りあえず新しい基準があります。これやると今までの十倍の千八百人を救うことができる。まずそこから手始めにやっていって、更なる手を打つことを十分検討したいと思います。
  259. 福島みずほ

    福島みずほ君 被爆者の問題は、在外被爆者と二世、三世の問題もあります。二世、三世の問題については、健康診断に関してはがん検診が入っておりません。是非入れていただきたい。どうですか。
  260. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) そのことも検討したいと思います。
  261. 福島みずほ

    福島みずほ君 検討したいということは、前向きということでよろしいですか。
  262. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一人でも多くの方をお救いする、そのためにどういう手が打てるか、そういう観点から検討いたします。
  263. 福島みずほ

    福島みずほ君 力強い前向き答弁と受け止めます。また、審査方針については是非見直すよう強く要請をいたします。  次に、お産のことについてお聞きをいたします。社民党は産声の聞こえる街づくりプロジェクトチームを作り、岩手県、秋田県に行き、先日、東京の病院に行き、今度長野に一泊二日で行ってまいります。  産婦人科、医者が足りないということについて厚生労働省が対策を打ち出されました。出していただいたことはいいんですが、余りにちょぼちょぼ過ぎる。つまり、桃栗三年柿八年、産婦人科と医者十年ではありませんが、一年間に五人ずつ一県で増やすなんていっても焼け石に水というふうにも思います。もっと抜本的に予算を付けるとか医者を増やす、いかがですか。
  264. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 産科医師不足の問題は喫緊の課題でございます。  それで、対策としては、これは短期、中期、長期、それぞれの施策が必要だと思っています。それから、それぞれについても制度上の措置、予算上の措置、診療報酬上の措置、こういったものを組み合わせていく必要があると思っています。  現在、制度上の措置としましては、医療計画の策定を始めとして今御指摘の医学部定員の暫定的な増加でありますとか、それから周産期医療にかかわる病床規制の緩和ですとか、こういった施策を今次々と出しております。  予算上の措置につきましては、二十年度予算でも産科医療機関への支援ですとか周産期医療ネットワークの整備ですとか、それから文科省の方で大学の産科医の養成に対する支援とか、そういったものを組み合わせております。  診療報酬上の措置については、ハイリスク妊婦にかかわる入院管理の評価とか医療連携の評価、そういった一つ一つは小さく見えるかもしれませんけれども、こういったことをきめ細かく組み合わせて短期、中期、長期、進めていきたいと考えております。
  265. 福島みずほ

    福島みずほ君 舛添大臣はお産の問題について大変理解があって、非常に施策を出してくださっていると思っています。  私は、産婦人科を増やすことと助産師さんの活用、助産師さんも院内助産所の促進だとか助産所の応援、あるいは医師法十九条を見直すか、もっと産婦人科とのネットワークをつくる、助産師さんの例えば教育を充実して権限を拡大するかという点などについてはいかがでしょうか。  いや、大臣の方がいいです、大臣お願いします。
  266. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) そういう問題についても先般、私の下にあります希望と安心の医療ビジョンでこれは助産師の方、看護師の方を入れました。どういう役割分担をするか。私は、移せる機能はこれは助産師さんに移す、こういうこともやりたい、それから院内助産師の活用ということも含めてやりたいと思いますので、委員を始め皆さん方の御提言で、これは安心して皆さんが赤ちゃんを産めると、そういう体制に役立つものは積極的に取り入れていきたいと思います。
  267. 福島みずほ

    福島みずほ君 健診の問題について質問し、随分進展があったことを感謝をしています。健診の補助に関して今都道府県、市町村、厚生労働省が言ったことで随分動いてきていることを実感しています。  助産師さんが無料健診の補助券を使えないというのがあったんですが、厚生労働省は通達をかつて出してくださっています。仙台市は何かできないと言っていたのができるようになったり、今変わっているんですが、是非その無料健診の問題に関して助産師さんも使えるようにということで、大臣の決意を一言お願いします。
  268. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはもう通達も出して十分使えますから、助産師さんを活用しないようなことは、こんな有効な資源があるんですから是非これは活用していただきたいと。今後ともまたいろんな場所でそのことは申し上げたいと思います。
  269. 福島みずほ

    福島みずほ君 以上です。ありがとうございました。
  270. 岩本司

    委員長岩本司君) 以上をもちまして、平成二十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生労働省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十分散会