運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-05-16 第169回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月十六日(金曜日)    午前十一時四十分開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任         近藤 正道君     又市 征治君  五月十三日     辞任         補欠選任         武内 則男君     梅村  聡君      牧野たかお君     中山 恭子君  五月十四日     辞任         補欠選任         中山 恭子君     牧野たかお君  五月十五日     辞任         補欠選任         牧山ひろえ君     植松恵美子君  五月十六日     辞任         補欠選任         植松恵美子君     牧山ひろえ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 敏夫君     理 事                 神本美恵子君                 藤本 祐司君                 柳澤 光美君                 浅野 勝人君                 中村 博彦君                 荒木 清寛君     委 員                 植松恵美子君                 梅村  聡君                 大久保 勉君                 加藤 敏幸君                 風間 直樹君                 金子 恵美君                 川崎  稔君                 行田 邦子君                 外山  斎君                 舟山 康江君                 牧山ひろえ君                 愛知 治郎君                 石井みどり君                 塚田 一郎君                 西島 英利君                 野村 哲郎君                 牧野たかお君                 松村 祥史君                 丸山 和也君                 遠山 清彦君                 浜田 昌良君                 仁比 聡平君                 又市 征治君    国務大臣        財務大臣     額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        渡辺 喜美君    副大臣        内閣府副大臣   山本 明彦君        財務大臣    遠藤 乙彦君        国土交通大臣  平井たくや君         ─────        会計検査院長   伏屋 和彦君         ─────    事務局側        事務総長     小幡 幹雄君        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事務局長     濱坂 豊澄君    裁判官訴追委員会事務局側        事務局長     白井  始君    国立国会図書館側        副館長      吉永 元信君    政府参考人        内閣審議官        兼行政改革推進        本部事務局次長  青木 一郎君        金融庁総務企画        局長       三國谷勝範君        金融庁監督局長  西原 政雄君        証券取引等監視        委員会事務局長  内藤 純一君        総務大臣官房審        議官       宮島 守男君        財務大臣官房参        事官       山崎 穰一君        財務省主計局次        長        香川 俊介君        財務省理財局長  勝 栄二郎君        国税庁課税部長  荒井 英夫君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中村 吉夫君        厚生労働省政策        統括官      薄井 康紀君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君        会計検査院事務        総局第三局長   真島 審一君        会計検査院事務        総局第五局長   高山 丈二君    参考人        国民生活金融公        庫総裁      薄井 信明君        国際協力銀行総        裁        田波 耕治君        日本政策投資銀        行総裁      室伏  稔君        日本政策投資銀        行理事      多賀 啓二君        日本銀行企画局        長        雨宮 正佳君        日本銀行文書局        長        谷村龍太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十八年度一般会計歳入歳出決算平成十八  年度特別会計歳入歳出決算平成十八年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十八年度政府  関係機関決算書(第百六十八回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十八年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百六十八回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十八年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百六十八回国会内閣提出)(継続案件)  (国会会計検査院財務省金融庁国民生  活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力銀  行の部)     ─────────────
  2. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二日、近藤正道君が委員辞任され、その補欠として又市征治君が選任されました。  また、去る十三日、武内則男君が委員辞任され、その補欠として梅村聡君が選任されました。  また、昨十五日、牧山ひろえ君が委員辞任され、その補欠として植松恵美子君が選任されました。     ─────────────
  3. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 平成十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、国会会計検査院財務省金融庁国民生活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力銀行決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 速記を始めてください。     ─────────────
  7. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 委員長、ありがとうございます。民主党加藤敏幸でございます。  本日は、金融庁並びに日本政策投資銀行中心に御質問をしたいというふうに思います。  まず、株のインサイダー取引規制について御質問を申し上げます。  四月二十二日に、野村証券社員インサイダー取引によって金融商品取引法違反容疑で逮捕されました。今年に入ってから、NHK記者によるインサイダー取引事件そして新日本監査法人公認会計士による同等の事件という、こういうことが起こりまして、市場の担い手が自ら不正行為を働くという事件が立て続けに起こっております。我が国金融市場が、国内はもちろん国際的な地位を向上させると、そういう意味でも大変信頼性の確立ということにとってゆゆしき問題であると、こういうふうなことであります。  このインサイダー取引事件が発生するたびに、当該関係する企業コンプライアンス徹底とか社員教育徹底とか、こういうようなことをいろいろ確約をしてきておられますけれども、しかし、このインサイダー取引事件がなかなか後を絶たないという状況の中で、東京証券取引所大阪証券取引所などでは不正行為摘発する体制強化に取り組まれているんではないかと、こういうふうに思っておりますけれども、しかし、取引はすべて電子データとして残るわけですから、ある意味摘発システムというものが万全であるならば、刑事罰を加えられるし課徴金制度もあるし、大変不名誉な罪でありますから、言ってみれば、分からないだろうという憶測の下に犯罪が成立するというので行われるということでございますので、私は、やっぱりすべてはばれると、こういうふうなシステムをつくるべきではないかと、こう思っています。  そこで、現在摘発システムの中核となっているオンライン摘発システムなどが真に機能しているのかどうか、改良の余地があるのかどうかということをお伺いをしたいということと併せて、摘発の抜け道として指摘されています海外の口座を使った巧妙なインサイダー取引に対して、今後どのように国際的な協力体制等を築いていくのか、この辺の取組方針伺いたいと思います。  金融庁の方にお願いします。
  9. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) マーケットでイカサマが行われているというイメージを国民が持ってしまうことは大変に困ることでございます。証券市場においては、投資家が安心して参加できるようインサイダー取引の防止や取引公正性透明性が確保されることが大事でございます。取引所においては、市場開設者として自主規制機能を発揮して売買審査を適切に行ってもらうことが求められています。  各証券取引所において、まず売買審査部門における増員、インサイダー取引担当者の設置、体制強化充実を図ってきております。また、株価や売買高の動向、それから売買手口に不自然な点があるかないかということを分析をし問題がある銘柄を抽出するシステムを拡充する、委員が先ほどおっしゃったバージョンアップを行うという、売買審査機能強化に向けた取組を進めてきているところでございます。  東証売買審査部の人数は現在五十五名、インサイダー取引に係る専担者は二十名でございます。また、東証においては二〇〇一年七月から売買審査システムを導入をいたしました。二〇〇九年に機能を拡充した新システムを導入するとともに、証券会社規制当局情報交換を直接行うコンプライアンスWANを稼働させる予定になっているところでございます。
  10. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ということで、証券取引所監視体制強化ということで、私は、これはやはり日本において金融市場を育てていくと。これは非常に大切なことであるし、ここ数年来、時の総理大臣を含めて金融大臣も、もう預貯金偏重型の金融資産の持ち方というのは、少し株式だとかそちらの方に資産を移していくということも必要だということの中で、やっぱりこの市場健全性、それからやはりイタチごっこで、犯罪を犯す者と取り締まる者との関係というのはイタチごっこ関係もあるんですけれども、やっぱり強力な監視体制と。やる以上はもう明確に、こそこそとではなくて堂々と取引をやってそれは参加をしていくということが大切であるので、もっと言えば、つまらぬことでお金をもうけることで人生を失うと、そういうふうなことのやっぱりアラームを国全体に私は投げていただきたいと。それから、プロファイルという手法がありますけれども、やっぱりこういう手口の研究とかそれから海外との関係も含めて更に強化お願いをしたいと。  今日はほかの案件が多いのでこの程度にとどめますけれども、是非金融大臣中心によろしくお願いをしたいというふうに思います。  さて、今日は少し時間を取って少し御質問申し上げたいのは、新銀行東京経営問題でございます。  これは三月二十八日、都議会が東京都から四百億円の追加出資を決めた。その前、マスコミ等も含めましていろいろと議論があったということでございますけれども、大変残念なことに、この新銀行東京経営再建ということについては、いろんな専門家の意見を聴いてもこれは楽観視できないと、これが一般的になっているというふうに思います。  そしてまた、この新銀行東京経営問題については設立時からいろいろと議論があったというふうに言われておりますけれども、最初は設立目的中小企業支援策と大変すばらしい思いではあったと思いますけれども、無担保無保証融資という融資モデルを前面に出して開業されたわけでありますけれども、しかし、このビジネスモデルは、ある意味で大変大きなリスクを伴うということは当初から言われたということでありました。まず設立認可の段階にやっぱり一つ大きな課題があったんではないかと。  このことに加えまして、金融庁としてこの三年間一度も検査に入られなかったという事実経過があります。  大臣は三月十四日の参議院予算委員会において、同僚議員である津田議員質問に対し補強性の原則ということを持ち出されまして、いわく「銀行はそれぞれ自己責任金融機関内部管理をやっていただきます。また、会計監査人による厳正な外部監査というものが行われております。昔は護送船団方式といいまして、はしの上げ下ろしまで金融当局がいろいろ統制をしてきた。しかし、今は事後チェック型のシステムでございます。まずは内部自助努力をやっていただく、そしてそれを補強する、市場による規律を補強するという意味金融検査が位置付けられているわけでございます。金融機関の自主的な内部管理体制改善に向けた取組が行われているような場合には、まずはそれをやっていただくということでございます。」と答弁されておりますけれども、まさに内部管理体制がめちゃくちゃであったから今日の事態になったのではないかと私は思っております。  検査をされなかった理由を改めて御説明いただきたいと、こう思います。
  11. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 新しく設立されました銀行検査に入る平均的な年月というものを調べてみますと、大体、金融監督庁スタート以降の数字でございますが、三年一か月でございます。ちなみに、民主党財務金融部門会議提出をいたしました金融庁資料、これは九〇年代以降の新設銀行に係る初回検査までの期間でございますが、これは開業後四年九か月というのが平均値でございます。かつては現在ほどの人員もいなかったせいで、このような長い期間になっていたものと思われます。したがって、新銀行東京のみが、とりわけ長い間開業検査実施しなかったというわけでは全くございません。  新銀行東京につきましては、検査の告知をいたしまして本日より立入検査に入っております。ですから、大体平均というところで検査に入ったということでございます。  一般論として申し上げれば、金融検査実施に当たっては、検査業務全体を効率的、効果的に行う観点から、各金融機関経営状況金融機関自身が自主的に取り組んでいる業務改善実施状況などを総合的に勘案した上で、実効性の高い検査が適時に行われるよう検査実施時期などを決定しているところでございます。
  12. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 意図的に検査をやらなかったわけではないんだと、平均的な年数からいって妥当なんだという答弁だと思いますけれども、今大臣新設銀行と、こういうお言葉を、一般的に新銀行東京だけのことを言っておられないお言葉遣いだったと思うんですけれども、設立時にこれは検査やっていましたか、この銀行について。
  13. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 御指摘のように、新銀行東京については、平成十六年四月一日、東京都がBNPパリバ信託銀行を買収し、設立後一年間の準備期間を経て、平成十七年四月一日に本格開業となったものでございます。この新銀行東京の前身のBNPパリバ信託銀行とは異なる業務を行うことになったわけでございます。このため、金融庁としても、開業までの準備期間の一年間、準備状況ヒアリングなどを行うという対応をしてきたところであります。
  14. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ヒアリング対応をしたわけであって、じゃそれは検査とかなんとかいう難しい言葉使わぬでも、設立スタート時点において、金融庁として適切な銀行スタートだと、そういう判断をされたということですね。
  15. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 検査実施に当たっては、各金融機関経営状況外部監査結果を受けて取り組むわけでございます。実質的な業務の転換に伴う事実上の開業等の事情があれば、それも考慮の一要素として総合的に判断をしているところでございます。  新銀行東京については、平成十六年四月一日買収、設立後一年間の準備期間を経て翌十七年四月一日に本格開業ということでございまして、開業までのこの一年間の間に準備状況等ヒアリングを行っております。
  16. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 やり取りが完全にかみ合うということになるのかどうかというのは、これは私ども参議院決算委員会重視ということでやってきているんですけれども、どう考えたって、新設時はこれはパリバを引き継いだんだと。三年間、いや、これは新設銀行だから少し時間があるんだと、こういうことで今取りあえず金融庁答弁されておるわけですよ。  しかし、これから先、更に明らかになっていくということですから今日ですべて議論が終わるわけじゃないんですけれども、この新銀行東京にかかわる報道、これを見たときに、国民、有権者がどういう思いでこの報道を見るかということですよ。我が国金融がまさに破綻をしようというときに、最終的には国民負担金融システムを支えたわけでしょう。そのときに、金融監督行政というのはどうあるべきだ、こういう議論を相当やってきたわけですよ。  その中で、最終的にはひどいことになったら税金何兆円もの金をぶち込まないかぬ、そういうふうな状況を避けるためにも、金融庁自身国民は期待するところがあったわけですよ。しかし、なぜこの新銀行東京だけが、そういう過去の経験に、国民経済全体が経験をもってちゃんとやらないかぬというときにこういう生ぬるい措置対応だったのかと。  これは、金融庁の細かな手続論を言うとるわけじゃないんですよ。政治家渡辺大臣に、そういうことでよかったんですかと。ここで謝れとか、そういうことではないんですよ。しかし、これから先、国民信頼を受け止めて、世界じゅうに今金融問題が起こっていますけれども、我が国は貴重な経験の下でこれから先ちゃんとやっていくというときに、この新銀行東京措置我が国金融行政にとって大変な傷にならへんのかと、こういう心配事で言っておるわけですよ。行政立場で言えないことは、国会の場で政治家立場で言って政策方針を変えていくというのがこの国の仕組みじゃないんですか。  私は、大臣がディフェンスだけの答弁でやるなら、まあこれはこれでいいですよ。次にまた何回でもチャンスはある。  だから、そこのところで、例えば、今お手元に資料がありますけれども、これは東京都のホームページ広報東京都五月号ですね。「株式会社 新銀行東京への追加出資について」という、これは調査委員会から出されていますけれども、この欄を見てください。旧経営陣の非常識な経営かじ取りにより、多額の不良債権が発生し、経営が悪化しましたと。東京都がこれをホームページにして、旧経営陣が全部でたらめなことをやったんだ、東京都も被害者なんだと、こういうホームページなんですよ。これについても、大臣、どういう今御感想をお持ちか、是非お話をいただきたいと思います。
  17. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 東京都の広報において、今御指摘のような中身の記載があることは私も存じております。  東京都の対応について金融当局としてのコメントは控えますが、一般的に、株主がガバナンスの観点から、すなわち経営管理を考えて適切な役割を果たしていくことは極めて重要なことでございます。  東京都においては、新銀行東京に関する監視並びに支援強化を図っていこうということで、本年四月に都庁内に専門の部署を設置して担当幹部を置いたわけであります。これに関して石原都知事は、これまでの反省を生かし、監視組織を構築するなど万全を期して新銀行再建に当たると表明をしたわけです。新銀行東京が更なる経営改善努力を進めていくことが重要であります。  金融庁としても、従来からその経営改善努力を促してきたところでありまして、今後の経営改善努力についても引き続きウオッチをしてまいりますし、また監督上、適切に対処してまいります。
  18. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今日は大臣としてもなかなかお話しできない面もあるというふうに思います。今後、金融庁の厳格な検査というふうなことをこれはお願いをしたいし、そういうふうな決意もあるのだろうというふうに思います。  ともあれ、単なる株主ということではなくて、ほとんど、国策というんですか、都のいわゆる政策を前提として設立したあるいは継承した銀行運営について、私はもっともっと深甚なる関心を持って、その運営と結末、またそのことの責任を明らかにしていかないと、私は、そう簡単にこの事態についての国民の理解は得られないというふうに、今日はこの感想ということで申し述べたいと思います。  さて、こういう話を話題にすると普通の国民でもやや怒りが込み上げてくると、こういう状態でございますけれども、今日は、消費者金融過払いの問題についても少し金融庁にお伺いをしたいというふうに思います。  消費者金融業者が、利息制限法所定金利に基づく計算では既に完済となっているにもかかわらず過払い状態になっている人々に対して、いまだに返済請求を行い続け、返済金目的で金員を受領している実態があると、これは、私はそう思っていますし、そういう指摘関係する人々から受けております。  このことは、貸金業法のみなし弁済規定の諸要件を満たしていれば法に違反するものではないが、実際に弁護士が委任を受け、消費者金融委任通知を送り、取引履歴の開示を求め、開示された取引履歴を基に利息制限法所定金利による再計算を行うと、ほとんどはみなし弁済規定要件を備えておらず過払いになっているというケースが多く見られるということでございます。  一般的に、現行法令下では、利息制限法最高限を超える利息損害金を実際に支払った場合、超過部分元本の支払に充当され、それによって計算元本完済となったときには、その後に支払った過払い金の返還を請求することができるようになっています。しかし、業者によっては、顧客がこのシステムを知らないこと、あるいはあえて申し出ないことをいいことにして、債権が既に消滅しているにもかかわらず、いまだに債務が残っているとして返済請求を続けている者もいると、これはこういう実態があると。  監督機関としての金融庁は、消費者金融各社過払いになっているのを知っていながら請求を続けているというこの実態をどのように把握されているのか、お答えを願いたいと思います。
  19. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 御案内のとおり、昨年十二月十九日に施行された改正貸金業法では、貸付金利上限が法律の完全施行時、つまり十二月十九日から二年半以内に利息制限法上限金利二〇%以下に引き下げられる旨規定をいたしております。また、消費者金融大手各社では、改正貸金業法を先取りをする形で、新規の貸付金利を二〇%以下に引き下げる動きが足下では見られるわけでございます。したがって、委員が御指摘のような状況は次第に改善、解消に向かっていくのではないかということが考えられます。  いわゆるグレーゾーン金利の部分に相当する過払い金の支払が有効な弁済とみなされるかどうかは、これは言うまでもありませんけれども、借り手と貸し手の間の民事上の権利関係の問題でございます。最終的には司法判断によって確定をするものでございまして、この点において金融庁がちょっかいを出すというのは困難な部分があろうかと思います。
  20. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 では大臣、例えば消費者金融機関に対して、すべての顧客の取引について利息制限法所定金利に基づく計算による管理を徹底させ、計算の結果を顧客に通知させると、こういう程度の指導はできないものか。この辺はどうですか。
  21. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 過払い金返還請求は、今申し上げましたように、借り手と貸し手の間の民事上の権利関係の問題であります。貸金業者に対して過払い額の通知を行わせて一律に返還せよということを求めるのは、法律に基づく当局の権限を超えております。これは困難であるということを御理解をいただきたいと思います。  一方、過払い金返還請求の前提となる取引履歴の取扱いについては、昨年十二月十九日に施行されました改正貸金業法において、取引履歴を記録した帳簿の保存義務がこれまでの三年から十年に延びる、債務者等から帳簿の閲覧又は謄写を求められた場合には貸金業者がこれに応じなければならない、そういう義務があるということが新たに規定されております。  当局といたしましては、貸金業者が債務者からの帳簿の閲覧、コピー請求を拒否した場合、あるいは虚偽の開示を行った場合など法令違反行為が認められた場合には、こうした法令の規定にのっとり、厳正かつ適切に対応してまいります。
  22. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 では大臣平成十八年十二月十二日に参議院財政金融委員会で附帯決議が行われておりますけれども、これは質問通告はしていないんですけれどもね、議論の上で起こってくることについての話ですから質問申し上げますけれども、その中に「利息制限法上限金利を超える金利に関する過払い金の返還が多重債務問題の解決に果たす役割にかんがみ、過払い金の返還が適切に債務者に行われるようにし、また、過払い金の支払総額を適切に債務者に通知するなどして、債務者の生活再建に資するよう、取組を進めること。」と、これは参議院の当該委員会でやっているわけですけれども、このことについてはどう思われますか。
  23. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) もう既に、昨年十二月十九日に改正貸金業法の施行済みの部分がございます。そこにおいて、帳簿の保存義務を三年から十年に延ばしたわけであります。また、閲覧、コピーの要求に対して、業者はそれに応じなければいけないという義務も課したわけでございます。  したがって、こういった新たな規定に貸金業者が違反をした場合、拒否をした場合とか虚偽の開示を行った場合、これに対してはまさに法令違反行為として厳正に対応することになるわけでございます。
  24. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 議論は余りはかばかしくかみ合ってはいないんですけれども。  一言申し上げますと、今日の新聞報道でも、福田総理は消費者庁をつくろうと。これはなかなかいいことなんですよ。私は、二十数年前から政策推進労組会議の活動の中で、労働者には労働省があると、十全に機能しているかどうかの評価は別ですね、農林水産業者には農林水産省がある、業界にはそれぞれやっぱりあるわけですよ、消費者にはない。だから、消費者行政を一括する消費者庁というものは必要だというのは当時から議論があった。それをとらまえられていると。  しかしこれ、消費者金融と言われている消費者金融に関する金融庁の、今の大臣答弁に表れている態度は、まさに消費者保護という基本的な精神、取引において業者と消費者との力関係のこの差、そのことに着目をして消費者という立場を支えようというこの精神についての思いがないじゃないですか。ないからどうとかこうとはもう言いませんけれどもね。  だから、私は、そういうふうなことならまさに消費者庁というのをつくるべきであって、消費者金融に関するお仕事は金融庁に適切ではないんではないかという思いを持つわけなんですよ。  したがって、今日は私は大臣を応援するつもりで、前は、公務員制度のときなんかいい議論ができたじゃないですか、覚えていますか。そういう大臣なんだから、もう少し一歩、二歩、私は、総理がやろうとしていることを支えるような方向でやってくださいよ、やれないんだったら私たちにやらしてくださいよと、こう言いたくなると、そういうことであります。  これはもう答弁の準備の方の問題もありますからこれ以上はやりませんけれども、是非、そういうふうなことも渡辺大臣には受け止めていただきたいということでとどめます。  さて最後に、日本政策投資銀行の民営化準備についてでございますけれども、時間の関係があってなかなか思いは届かないんですけれども、日本政策投資銀行の民営化に関しましては、昨年の民営化法案の審議において様々な課題が指摘されて、私はなかなかいい議論ができているんではないかと。ただ、その審議の中で、なぜ民営化しなきゃならないの、民営化したときに本当のメリットって何なのというところはなかなか難しい問題があったと思うんです。答弁されているときの総裁も御苦労されておったということであります。  そこで、まず第一に、民営化のステップとして、あのときに国会答弁された内容について順調に準備が進んでいるのかどうかについて、まずお話をお伺いしたいと思います。
  25. 室伏稔

    参考人(室伏稔君) 日本政策投資銀行総裁の室伏稔でございます。ただいまの加藤先生の御質問にお答え申し上げます。  私は昨年の十月に弊行の総裁に就任させていただきまして、約半年が経過いたしました。この間、一月には株式会社日本政策投資銀行ビジネスモデルのコンセプトを発表させていただきまして、弊行の業務の方向性をお示しさせていただきました。  現在、十月一日の民営化に向けまして具体的なビジネスプランを取りまとめているところでございますが、先生がただいま御指摘になりました点は、大変重要な課題として私どもは認識しております。  まず、資金調達コストにつきましては、調達の中心となる社債に加え、民間金融機関からの借入など、多様化を進めていくことによりまして低減化を図ってまいります。また、現在検討中のビジネスプランを着実に実践いたしまして、実績を重ねることによりまして皆様からの信頼を確立していくことが更なる資金調達の安定化に結び付くものと考えております。  民営化後、収益機会を的確に確保することは大変重要であり、私どもは他の金融機関にはない投融資一体型のビジネスを進めてまいります。その一方で、リスクを適切にコントロールするため、リスク管理体制の充実は言うまでもなく、さらには透明性のあるガバナンス体制の構築が必要と考えております。株式会社としての組織づくりに当たりまして、役職員に鋭意その点を検討させているところでございます。  今後は、御指摘いただいた点に加えまして、皆様からの御意見、御指導等をいただきながら更に検討作業を進め、適宜適切なタイミングをとらえて対外発表をさせていただきたいと考えております。  以上申し上げましたとおり、ビジネスモデルの構築、管理体制の見直しなど、民営化の準備が順調に進んでいることを御報告させていただきます。
  26. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ありがとうございます。順調に準備が進んでいるということは、まさに慶賀に堪えません。  ただ、私は、この問題というのは何でもかんでも民営化という流れの中で政策投資銀行という銀行が持っている特徴が本当に生かせるのか、なかなか私は難しい宿題を国会として押し付けたんではないかと、こういう感想を持っています。  例えば、原子力発電に対するファイナンスというのは十年、二十年、三十年、後始末を含めますと五十年という長期にわたる事業なんです。今、日本にメガバンクがありますけれども、その十年、二十年、三十年、五十年というレンジで仕事をやってきたメガバンクってないんですよ、と私は思いますね。  そういうような意味で、そういう国のインフラ、中長期という視点で大変ノウハウ、そういう人材を持ってきたこの銀行の持つリソーシーズというものを大切にしながら、しかし民営化という立場を与えていると。  そういうふうなことで大変御苦労もあろうかと思いますけれども、それを乗り越えて努力をされているということでありますので、特に十月一日以降民営化されますので、それに向けての事業計画的な思い、また人材活用、特徴を生かすと、そういう点で思いがありましたら、お話を聞きたいと思います。
  27. 室伏稔

    参考人(室伏稔君) それについては、関係役員の多賀がお答え申し上げます。
  28. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) いいですか。
  29. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 はい。
  30. 多賀啓二

    参考人(多賀啓二君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、私どもはずっと政策金融機関としてやってきた機関でございますので、これを今非常にオーバーバンクと言われている世の中の中で民営化するというのは、そんなにたやすいことではないだろうというのは十分認識をしております。  今先生のおっしゃった御質問というのは、いわゆる公のマインドと実際の民間的なプロフィットマインド、これをどうやって両立するんだと、多分こういう御趣旨だと思いますので、それに沿ってお答えをいたしますと、私ども、そういうことで新たに新しい民間金融機関として世の中に出ていくためには、やはり今ある金融機関との差別化というのがポイントでございまして、このために、先ほど室伏が申しましたように、投融資一体というビジネスモデルを取っているわけでございますが、更に重要なのは、やはり世の中からのレピュテーションといいますか、これが大事でございまして、これがまさに我々のビジネスのインフラになると思っております。  そういう観点でいえば、やはり政策金融機関として培ってきた公共的なマインドといいますか、これは忘れずに、ただ、当然民間金融機関でございますから利益も考えなきゃいけないんですけれども、その両立というのを、まあナローパスではございますけれどもきちんと図っていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。  それから、もう一つおっしゃいました人材の面でも、やはり我々の強みをどうやって生かしていくかということでいいますと、産業調査にかかわる調査機能でございますとか、あるいはマクロ経済の動向でございますとか市場動向とか、こういったいわゆる調査機能の根幹というのは、これから私どもが投融資一体のビジネスをやる上でこれはやはり不可欠でございますので、そういうことをやっていく上で必要な人材の供給というか対応というか、そういう点についてはきっちりやっていきたいと、こういうふうに思っているところでございます。
  31. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 大変な御苦労があるというふうに思いますけれども、これから私は精いっぱい頑張っていただき、また問題があれば率直に国会の方にも投げかけていただきたいというふうなことを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  32. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 午後零時五十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後零時五十分開会
  33. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度決算外二件を議題とし、国会会計検査院財務省金融庁国民生活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力銀行決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  34. 川崎稔

    ○川崎稔君 民主党・新緑風会・国民新・日本の川崎稔です。本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、額賀大臣渡辺大臣には御出席をいただきまして、ありがとうございます。  まず最初に、財政投融資特別会計の関係でお伺いをしたいんですが、その前に、この五月一日から、大変残念なことにガソリン税の暫定税率分、この増税を政府は強行されたわけでありますが、こうした中で政府の町村官房長官が、十日でしたか、道路特定財源、これを一般財源化した場合の税率について、その場合は別の理屈を立ててガソリンから税金をいただくと、税率をそのままいただくのは税の理屈からいっても無理かもしれないと、温暖化対策上、今の税金より高くいただくかもしれないということで、ガソリン税の税率を引き上げる可能性に言及したという報道がございました。  この発言に対して、額賀大臣感想伺いたいと思います。
  35. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いや、私、新聞をそんなに細かく読んでないので気が付いておりませんが、また直接聞いたわけでもありません。真意がどういうことになっているのか分かっておりませんけれども、もう政府といたしましては、この道路特定財源につきましては、この秋の税制抜本改正時に道路特定財源制度としては廃止をして、来年度から一般財源化をするということにしておりまして、これは、今後暫定税率の水準をどういうふうにしていくのか、あるいはどういうふうに使っていくのか、あるいはこれまでのユーザーの皆さん方にどういう理解を得ていくのか、そういうことについて今後議論をしていくことにしておりまして、今決まっているわけではありません。これから政府・与党としても議論をしていくし、最終的には与野党の間で議論をして良い形をつくっていかなければならないと、そういうふうに思っております。
  36. 川崎稔

    ○川崎稔君 今感想をいただいたわけですが、いずれにしても、今回のその官房長官の発言、これを聞きますと、今回のゴールデンウイークにガソリンスタンドに並んだドライバーの皆さんの気持ち、これを分かっているのか、あるいは衆議院の補欠選挙で一票一票に生活の思いを託した有権者の気持ちが分かっているのか、そういう意味政府・与党と民意とのずれというものを感じざるを得ないわけであります。  私がなぜこういったことを申し上げるかといいますと、ガソリン税のいわゆる増税、これを強行する前にまずやはりやるべきことというのは、税金の無駄遣いを一掃する、あるいは今保有している資産、これを不要なものはできるだけ処分するといったことが先ではないかということで、そういう意味で冒頭にこういうことを伺わせていただきました。  これからの質問は、そういう考えで質問をさせていただきたいと思います。  財政投融資特別会計の積立金、この活用余地ということで伺いたいんですが、実は本年四月九日のこの本委員会で私の方から、特別会計の剰余金あるいは積立金の更なる活用という観点で額賀大臣質問させていただきました。政府は特別会計改革として、特別会計の会計あるいはその勘定の数を減らすといったこと、あるいはその剰余金、今回ですと一・九兆円を一般会計に繰り入れるといった措置を講じておられますが、特に今年度の予算では、財政投融資特別会計、この積立金を取り崩して国債整理基金の特別会計に繰り入れるという措置を講じておられます。  そこで、この件について改めて伺うわけですが、大臣の方は、この問題、本委員会だけじゃなくて財政金融委員会の方でも再三我が党の委員の皆さんからも質問ありまして、この点について金利変動リスクの問題とかいろんな点をただしてきたわけでありますが、本当にその金利変動リスクということを考えたときにこれだけ多額の金利変動準備金が要るのかどうか。大臣は、埋蔵金というものはないと、あるいは金利変動準備金というのは必要なんだということで答弁を繰り返されておられますが、財務省の方に、この考え方変わりはないのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
  37. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 金利変動準備金の基本的考え方ということでございますけれども、まず財政投融資、大変、委員は御専門家で釈迦に説法で恐縮なんですが、国債で調達しました資金を用いて政策的に必要な長期の貸付けを利ざやを取らずに行っておりまして、国の様々な分野の施策を金融的手法で実施しているものでございます。また、制度的に一般会計からの繰入れ規定がないわけで、独立採算で運営することが前提となっております。  こういった枠組みの下で、近年、歴史的な低金利が続く中にありまして、過去の高い金利の長期貸付けが残っているため利益が発生をしておりますけれども、ただ今後の金利変動、当然予想されますので、そういったことに伴う損失に備えまして、利益を金利変動準備金として積み立てているということがまずございます。  その上で、国債整理基金への繰入れ措置の概要等につきまして簡単に申し上げますと、財政融資資金の金利変動リスクにつきましては、二十年度以降、これは相当程度減少するというふうに財務省としては認識をしております。  その理由としては二つございまして、一つは、十九年度で郵貯、年金の預託払戻しが終了いたしまして、財投債発行額が大幅に減少するということがあります。それからもう一つは、長期の財投債、三十年債、二十年債の発行という、この長期化ということがありまして、この二つの理由によって、二十年度以降、相当程度金利変動リスクは減少していくものというふうに予想をしております。  こういったことから、金利変動準備金の水準がどの程度あるべきかということは当然問題意識を持っておりまして、今後の収支状況につきましてモンテカルロ・シミュレーションという形でこれを専門的にやってみたところ、財政投融資特別会計の財務健全性を確保する観点から、金利変動準備金の準備率の上限を千分の五十ということが適当であるという結論に達したわけであります。  そういうことが財政制度審議会財政投融資分科会において提言されたわけでありまして、これに基づきまして、二十年度に、金利変動準備金の準備率の上限を、今まで千分の百でありましたけれども、これを千分の五十に引き下げまして、金利変動準備金のうち九・八兆円を国債整理基金特別会計に繰り入れまして、国債残高の圧縮に充てることとしたところであります。  これによりましてどんなメリットがあったかといいますと、幾つかあるんですが、国債残高の圧縮に併せまして将来の利払い費等もこれで軽減されるわけでありまして、まず財政健全化に寄与するということがあります。続いて、資産・債務改革、いわゆるスリム化ですね。また、特会改革で積立金の有効活用ということにも貢献いたしますし、さらに国債の買入れ消却の増額を通じまして、今後国債の安定消化のための環境の整備が図られるということになると考えております。
  38. 川崎稔

    ○川崎稔君 ありがとうございます。  今のお話ですと、金利リスクの減少ということが、一つには財投債の減少、いわゆるボリュームが減少したということ、あるいは財投債の三十年債、二十年債といった形で多岐にわたっているということを理由に挙げておられますが、元々我が党の方では、この金利変動準備金については財投債の発行という形で相当程度金利リスクというのはコントロールできるはずだということを再三にわたって申し上げておりまして、そういう意味では今おっしゃったことは一つは当たっていて、もう一つはボリュームが減っているからということなんですが、これはリスクという意味においては変わらないわけで、そういう意味ではその準備率を変えるという話とは別の話になってくるわけですね。  今、総資産に対する積立率の上限、いわゆる準備率、これを従来千分の百だったものを今年度から千分の五十に引き下げたということなんですが、実は十八年度決算、十八年度末時点で既に千分の五十三だったんですね。  要するに千分の五十三だったものが千分の九十ぐらいまで積み上がっていって、それを今回また千分の五十に戻しましょうというふうな形になっているわけで、これは別に金利リスクが小さくなったからというわけではなくて、この準備金がそれだけ積み上がったからそれを吐き出しますということになっているんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  39. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 今、千分の百と申し上げましたのは上限ということでありまして、決して実態ではありません。上限が、今まで運用上の上限を千分の百としておったわけで、その上限を今回千分の五十に下げたということでございまして、そういった意味で御理解をいただきたいと思っております。
  40. 川崎稔

    ○川崎稔君 それは承知しておりまして、私が申し上げた数字も、どちらかというと実績です。要するに、総資産に対する準備率、割合としてどうなっているかということで、十八年度末千分の五十三だったものがその後千分の七十ぐらいになって、で、千分の九十ぐらいになっているはずです。それが今回、上限を千分の五十に下げることによってその分を吐き出すという形になっているわけですので、この点を金利リスクが小さくなったからという理屈ではなかなか説明はできないんじゃないでしょうかということを御指摘しているわけであります。  ちょっとそこで、日本銀行の方に質問をさせていただきたいんですが、日銀の方では対政府取引について毎月公表をされておられます。今お手元にお配りした資料、これは日本銀行の財政融資資金及び国債整理基金に対して売り現先、対政府売り現先ということで残高の推移を示したものですが、この長期国債の売り現先、この点について、取引意味合いについて御説明をいただきたいんですが。
  41. 雨宮正佳

    参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。  ただいま御質問いただきました長期国債の売り現先でございますが、これは日本銀行が財政融資資金の短期の資金運用に応じる取引でございます。具体的には、私どもが保有しております利付国債を財政融資資金に対して売却いたしまして、これをあらかじめ定めた一定期間後に買い戻すという取引、売り現先取引でございます。  ただいま、あらかじめ定めた一定期間というふうに申し上げましたけれども、この期間、言い換えれば、私どもからしますと売却期間でございますけれども、最近ではおおむね一か月から二か月というような格好になってございます。  以上でございます。
  42. 川崎稔

    ○川崎稔君 ありがとうございます。  要するに、この対政府売り現先、長期国債、利付債を使ったものということであれば、政府がいわゆる手元資金のうち差し当たりすぐに使用する予定のない資金を短期で運用するということ、要するに日銀相手に長期国債を売り戻し条件付で買うということだというふうに理解をしたわけですが、今のお話ですと、大体期間は一、二か月ということでよろしいわけでしょうか。もう一度確認をさせてください。
  43. 雨宮正佳

    参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。  時期により変動ございますが、最近ではおおむね一か月から二か月程度となってございます。
  44. 川崎稔

    ○川崎稔君 長いものですと、恐らく一年未満だったら長いものもあるのかなというふうに想像をしているわけですが、年度末越えも可能でしょうか。
  45. 雨宮正佳

    参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。  可能でございます。
  46. 川崎稔

    ○川崎稔君 ありがとうございます。  実は、このお配りした表で、左側が対財政融資資金の政府と日銀との間の売り現先の残高ですが、御覧いただくとお分かりのとおり、大体、これ毎月末の残高が示されております。二〇〇五年、二〇〇六年辺りは十兆円以上の残高で推移しておりますし、最近でもかなり高い数字でそのまま続いているわけですが、これ、ちょっと通告はしていないんですが、財務省の方にちょっとお伺いして、答えていただければということなんですが、この売り現先、季節性があるようにも見えるんですね。毎年度一月から三月にかけて残高が増えて、新年度に入ると減少するというパターンのようにもちょっと見えるんですが、この点、こういった季節性はありますでしょうか。
  47. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。  先生のこの資料に基づきますと、二〇〇八年三月、七兆三千億ということになっています。これを御覧になっていただきますと、その前の四月以降、非常に幅の変動が大きいものがございます。例えば、六月ですと二兆六千億円。  それで、この変動はなぜ起きるかということでございますけれども、財政投融資資金から見ますと、資金が流出する要因としましては、一つは新規貸付け、この新規貸付けは、地方への貸付けにつきましてはよく四月と五月に集中的に行われます。もう一つは、預託の払戻し、これは預託した人のニーズに応じて払い戻します。もう一つは、財投債の償還でございます。それで、償還は年に四回行われていますので、それによってまた凸凹があると思っています。他方、資金を調達する方としましては、一つは財投債の発行でございます。これは毎月やっています。あとは、既存の貸付けの回収でございます。これは、貸し付けております側の事情等も考慮して決まるものでございます。したがいまして、しかもこの規模は非常に巨大でございますので、それぞれ、その意味で一定の手元流動性がどうしても必要だということで、しかも月ごとにその変動が結構大きいものがございます。  ただし、もう一つ御覧になっていただきますと、この現先の残高でございますけれども、十七年度末は十二兆ございまして、十八年度末は九・六兆、それで十九年度末は七・三兆円でございます。徐々に減少しております。これは、貸付残高の残高でございますけれども、やはり減少することに伴いましてそれだけ減少する方向だと考えております。
  48. 川崎稔

    ○川崎稔君 ありがとうございます。  かなり詳しく答えていただいたんですが、実は季節性があるのかなというふうに思いながら、一方で、例えばこの財政融資資金の収支じりとかいろんな数字を見たんですけれども、その収支じりとか支払と受取の差額とかその辺を見てみたんですが、明確な季節性がないなと実はちょっと思いまして、そこはこの場では特に触れませんが。  ただ、いずれにしても、年度末に売り現先の残高が増えるということになれば、毎年度決算をされて、貸借対照表、いわゆるバランスシート上でいえば、一時的に数字でいえば、政府の財政融資資金のバランスシート上は国債が一時的に増えて現金がその分減るという形になりますね。そういうことで気になって見ておったんですが、今参考人の方からお話ございましたように、十七年度末、十八年度末、十九年度末、それぞれ残高というのは、約十二兆円だったものが九兆約六千億、そして十九年度末が七兆三千億ぐらいということで若干減ってはおります。  ただ、私、気になっておりますのは、十八年度というのは一遍この財政融資特会、取り崩しているんですね。約十二兆円取り崩して、当時は金利変動準備金というのは約二十三・七兆円あったものを半分取り崩しているわけですが、この現先の余資運用で見れば二兆円ぐらいしか大体年度末対比では減っていないということでありまして、私は、とにかくいずれにいたしましても、この特会について今後もできるだけ圧縮に努めていただきたいと、活用していただきたいということをこの場ではお願いして、次の質問に移りたいというふうに思っております。  二番目の質問なんですが、国立印刷局などの独立行政法人の問題について質問をさせていただきたいと思います。  まず、財務省にお伺いしたいんですが、国立印刷局、これは国から承継した資産、たしか十五年四月に独法化されたと思うんですが、その保有資産について現状どのようになっているでしょうか。
  49. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) お答えいたします。  今御指摘のように、国立印刷局は平成十五年四月に独法化した際に、印刷局特別会計におきまして保有していた資産を承継をいたしたわけであります。これらの資産につきましては、一部、東京都の都市計画上の要請などを受けまして資産の売却を行っておりますけれども、その見合いの金融資産につきましては引き続き国立印刷局が保有しているところでございます。  独立行政法人化に当たりましての資産の承継につきましては、平成十年の法律であります中央省庁等改革基本法におきまして、政府は造幣事業及び印刷事業において、その経営形態の在り方を検討するものとするとされたことから、有識者より構成されます造幣・印刷事業の経営形態に関する懇談会において検討が行われました。平成十一年三月の同懇談会の報告書におきまして、独立行政法人とする場合にも、現在行っている業務資産等を基本的に包含する形で業務を法定することが必要であるとされまして、印刷局は独立採算による運営を基本としておりまして、また通貨の製造という極めて重要な業務を確実かつ安定的に実施する必要があることから、当時、印刷局特別会計で保有しておりました資産が独立行政法人に基本的に承継をされたわけであります。  以上のように、国立印刷局の資産の承継は適正なものであったと考えております。  一方、独立行政法人制度の導入後七年が経過をいたしまして、独立行政法人全体の在り方につきまして見直しが行われる中で、昨年末の独立行政法人整理合理化計画におきましては、独立行政法人の運営の在り方及びそれを踏まえた保有資産の見直しについて定められたところでありまして、財務省といたしましても、その内容を踏まえ、国立印刷局の保有資産の見直しに取り組んでまいりたいと考えております。
  50. 川崎稔

    ○川崎稔君 本当に丁寧に説明をしていただきまして、ありがとうございます。  今伺った保有資産、これは十八年度決算会計検査院の方から意見が付されているわけですが、この意見、要するに土地の譲渡収入等についての意見だったと思うんですが、この点について財務省の方ではどう受け止めておられますか。
  51. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) 昨年十二月ですけれども、独立行政法人整理合理化計画というものが閣議決定されました。そこにおきましては、独立行政法人の保有資産全般にわたりまして見直しが行われまして、そこで政府全体の取組方針が示されました。また、あわせまして、各独立行政法人ごとに具体的な今後講ずべき個別の措置の内容が示されたわけでございます。  現在の独立行政法人通則法におきましては、資産の売却収入があった場合に、売却益の一部しか国庫納付できません。それはなぜかといいますと、その簿価部分、これは返納できない仕組みとなっておりまして、すなわちその減資の規定がございません。したがいまして、今回、整理合理化計画の内容を踏まえまして、簿価部分も含めまして国庫返納を可能とするような独立行政法人通則法改正案、これを現在、国会に、今国会提出いたしております。
  52. 川崎稔

    ○川崎稔君 一般論として、全体の話としてはそういう話になると思うんですが、そういう意味では、今回、印刷局さんの方はかなり、例えば都心の虎ノ門とか大手町辺りに広大な不動産を所有しておられたのがスタート時点での姿でありますけれども、印刷局の方に関して資産の売却の見通しについてはどう見ておられますか。
  53. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) 先ほど申し上げましたように、昨年末の閣議決定されました独立行政法人整理合理化計画におきまして、印刷局について申し上げますと、保養所の廃止、職員宿舎の廃止、集約化、また先生がおっしゃいましたように、大手町敷地の処分等が行うこととなっております。  今申し上げましたように、現在の独立行政法人通則法、これにつきましては簿価部分を返納できないという仕組みでございますので、その簿価部分も含めた国庫返納を可能とするような独立行政法人通則法改正案が今国会提出されておりますので、財務省としましては、このような政府全体の取組を踏まえまして、整理合理化計画に沿った保有資産の処分を適切に処理してまいりたいと思っております。
  54. 川崎稔

    ○川崎稔君 ありがとうございます。  独立行政法人通則法の改正の問題がありますので、なかなか先については一般的な答弁しかできない部分もあると思うんですが、そういう資産の処分以外に、いわゆるこれまでの業務運営の効率化を通じて国庫納付ということを計画をされておられると思います。  たしかこれが、印刷局の場合ですと中期の目標計画は十五年から十九年、この終了後に約百億程度の国庫納付を見込んでいるという資料があったかと思うんですが、この辺りの見通し、それと、例えば印刷局以外の独立行政法人、造幣局等もあると思いますが、財務省所管の独立行政法人の国庫納付の見通しについてちょっとお聞かせください。
  55. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) まず、印刷局について申し上げます。  まず、国立印刷局につきましては、関連する法令によりまして中期目標期間、五年間ですけれども、先生おっしゃいましたように、十九年度末の積立金の額から退職金等を控除した額の二分の一を乗じた額を国庫に納付するということになっております。  平成十九年度につきましては、現在、決算に向けまして作業を行っておりますけれども、平成十九年度を最終年度とする第一期中期目標期間の国庫納付の額については、確定的なことは申し上げられないんですけれども、十八年度までの実績などから推定しますと、国庫納付の額は百億円は超えるものと考えております。
  56. 山崎穰一

    政府参考人(山崎穰一君) そのほかの法人でございますが、財務省が所管している独立行政法人は国立印刷局のほか、酒類総合研究所、造幣局、通関情報処理センター、日本万国博覧会記念機構の四法人がございます。  積立金につきましては中期目標期間終了時に国庫に納付する仕組みとなっておりますが、昨年度末に中期目標期間が終了したところは、このうち造幣局及び日本万国博覧会記念機構の二法人でございます。これらにつきましては、現在、決算に向けた作業中でございますので確定的なことは申し上げられませんが、十八年度までの実績などから推定いたしますと、造幣局で五十億円超、日本万国博覧会記念機構で二億円程度の国庫納付が見込まれるところでございます。
  57. 川崎稔

    ○川崎稔君 ありがとうございます。  いずれにいたしましても、とにかく政府としては、増税等を行う前にこういったスリム化といったことについて是非積極的にやっていただきたいんですが。  この問題に関して財務大臣に最後にちょっと所見を伺いたいんですが、国全体の資産・債務改革という視点から、今後の保有資産に係る財務省取組方針といったものをお聞かせいただければ幸いです。
  58. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これらの、今まで御説明がありましたように、印刷局や造幣局の保有資産の見直しについては今粛々と行っているわけでございまして、さらに、独立行政法人の今後の運営の在り方を踏まえまして、不要となった資産の国庫返納を可能とする独立行政法人通則法の改正法案が今国会に提案をされているわけでありますから、しっかりと財務省としてもこの資産のスリム化に向けて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  59. 川崎稔

    ○川崎稔君 是非、その点についてはよろしくお願いしたいというふうに思っております。  次の、三点目の質問に移りたいんですが、新銀行東京をめぐる件について渡辺大臣にお伺いをしたいというふうに思っております。  東京都は四百億円の増資を実施いたしましたけれども、この点について加藤委員の方から既に質問がありましたので、私はその関連ということで二点ほどお伺いをしたいというふうに思っております。  一つは、実は新銀行東京経営状態について、少なくとも公表されている決算だけを見ていても、決してこれは経営状態というのはよろしくないんじゃないかということは十分予想できたわけでありますが、それに対して、例えばこれまで金融庁さんにいろんな形でヒアリングをさせていただいていても、どこか問題を過小評価されているのか、それとも何事もないようなそぶりをされているのか、どうもいま一つ危機感というのが感じられないなというふうに思っていたんですが、その点で大臣の会見、これを改めて見て、例えば平成十九年十一月の会見でですが、このようにコメントされているんですね。  個別銀行についてコメントいたしませんが、新銀行東京においては、六月に公表した新中期経営計画をベースに不良債権の抑制や経費削減に努めていると聞いています。引き続き新銀行東京経営改善努力についてモニタリングは行ってまいります。一般論でございますけれども、ビジネスモデルがうまくいかないというところは業績も芳しくないというだけのことなのでしょうというふうにおっしゃっています。余りにもコメントとしては楽観的に過ぎると思うんですが、大臣はこの当時、同行の問題の深刻さ、どの程度認識されておられたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  60. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 個別の金融機関経営問題については、それぞれの金融機関がまずは自主的な適切な取組を行っていただくことが基本であります。金融庁は、こうした取組を促す立場にございます。経営改善に既に取り組んでいる金融機関については、その状況のモニタリングに努めるというのが基本的な姿勢であります。  新銀行東京においては、平成十九年の二月から三月に日銀の考査が入っております。当然のことながら、必要に応じて金融庁は日銀と連携をするわけでございます。この考査の後に、平成十九年六月に先ほど御指摘になられました中期経営計画が策定をされたわけでございます。新銀行東京においては、中間決算を発表した当時、先ほどの私の会見はその発表の直前ぐらいだったんでしょうか、決算を発表した当時、新銀行東京においては、この六月に策定した中期経営計画を踏まえ、経費削減や融資拡大路線からの転換といった取組を進めているところだったと認識をしております。
  61. 川崎稔

    ○川崎稔君 今の答弁伺うと、日銀の考査等も連携しつつということですから、十分認識はされておられたんだろうと思いますが、そこで事実関係だけちょっと一点確認をさせてください。  今、この新銀行東京経営状況に関する調査報告書、これをめぐって東京都が全文の公開を拒否しているということで、東京地裁辺りにその非開示取消しの訴えが起こされたりしておりますが、この報告書全文、これは都でも持っていないと。少なくとも報道によりますと、報告書全文は見せてもらっただけで保有していないとコメントをされているわけですね。  ちなみに、この報告書、金融庁ではそのものを既に入手されておられるんでしょうか。入手されているとしたらいつ入手されたのか、事実関係だけ手短にお願いします。
  62. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。  私どもの方では、新銀行東京調査委員会の調査報告書、この概要というのは拝見させていただいております。これは当然のことながら公表されておりますので、それについては承知いたしております。  今御指摘の報告書そのものはどうかというお話でございますが、これについては、今御指摘のとおり、非公表のものでございます。したがいまして、こういった非公表の文書をその個別の金融機関との間でどういうやり取りの状況になっているかと、こういうことにつきましては、これまでもコメントは差し控えさせていただいております。
  63. 川崎稔

    ○川崎稔君 この調査報告書そのものを入手しているかどうかについてコメントを仮にしていたとしても支障はないんではないかというふうにも思ってしまうんですが、分かりました。今少なくとも、入手をしているかしてないかはコメントできないということですね。分かりました。  いずれにしても、新銀行東京の今回の経営悪化で四百億円の増資、これは東京都民に新たな負担を押し付けたわけですが、実は国庫の方にも思わぬしわ寄せがあったんではないかということを指摘させていただきたいと思います。  日銀の方でかねてより保有資産の見直しを進めておられまして、その一環として、練馬区の石神井公園の横に広大な運動場があるわけですけれども、それを処分する方向だったと聞いております。本年二月の十三日に練馬区に売却するということが決定したということが公表されていますが、この間の経緯について日銀の方に確認をしたいと思います。
  64. 谷村龍太郎

    参考人谷村龍太郎君) お答えいたします。  石神井運動場につきましては、平成十一年に売却方針を公表いたしまして、それ以降、主に東京都への売却を念頭に都と話合いを続けてまいりましたが、私どもでは折に触れて練馬区ともお話をしてきた経緯がございます。そうした中で今般、練馬区より、石神井運動場は都市計画の石神井公園の区域内にあり、天然記念物の沼沢群落がある三宝寺池の湧水の重要な涵養地であるということでございまして、公園として整備するために購入したいという申出があったことから、練馬区との間で具体的な協議を開始することとしたものでございます。  以上でございます。
  65. 川崎稔

    ○川崎稔君 ちなみに、この運動場の固定資産評価額はどれぐらいでしょうか。
  66. 谷村龍太郎

    参考人谷村龍太郎君) お答え申し上げます。  直近の土地建物の固定資産税評価額ということで申し上げますと、約七十四億円となっております。  以上でございます。
  67. 川崎稔

    ○川崎稔君 そういう意味では、少なくとも、一概には言えませんけれども、売却価格を想像しますと相当大きい資産だろうというふうに思うわけですが、これについては、処分の方針を決めて、実際に今回相手先が決まるまでかなり長期を要しているわけですね。  今のお話ですと、東京都と協議をしていたということなんですが、すぐに処分をできなかったというのは、やはり東京都との協議が長引いていたというふうに理解してよろしいでしょうか。
  68. 谷村龍太郎

    参考人谷村龍太郎君) 御指摘のとおりでございまして、石神井運動場につきましては緑地公園指定というようなことになっておりますもので、そういう前提で交渉をさせていただいていたということでございます。
  69. 川崎稔

    ○川崎稔君 この運動場、東京都も例えば購入主体となり得たんでしょうか。
  70. 谷村龍太郎

    参考人谷村龍太郎君) 私どもとしては、先ほども申し上げましたとおり、東京都ないし練馬区というようなことでお話をさせていただいてきたということでございます。
  71. 川崎稔

    ○川崎稔君 ある意味で、この保有資産処分のケース、都内のかなり大型な案件ですけれども、それだけに、売却が早期に実現すればそれだけ日銀の国庫納付ということを通じて国民にも還元されたわけですが、それだけ東京都との協議、これがどういう理由で長引いたのか、これは東京都の方でないと分からないわけですけれども、少なくとも、ちょうどこういう新銀行東京の増資の問題とほとんどタイミングを同じくして、東京都ではなく練馬区の方が買うことになったということでありますので、これも一つの新銀行東京問題のしわ寄せではないかということを指摘を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  72. 風間直樹

    ○風間直樹君 今般、道路特定財源が来年度から一般化されるという閣議決定がなされました。これに伴いまして無駄の排除が期待をされるわけでございます。  今回の暫定税率の復活につきましても、国民世論の反対というのは非常に強かったわけですが、その背景には、今国会で道路問題の質疑を行う中で明らかになった様々な無駄遣いの問題、これがあったと思います。したがいまして、国民の中には、この一般財源化に伴って来年度予算においては無駄を排除していく、こういう過程が生まれてくるという期待があるものと考えております。  そこで、今日は、財務省の来年度以降の予算編成における国交省に関する予算査定方針、そしてその具体的方法を額賀大臣にお伺いしたいと思います。  まず、事実関係を確認させていただきます。この五月十三日、道路特定財源等に関する基本方針という名の閣議決定がなされました。一部を読み上げます。   道路特定財源等については、以下の基本方針のとおりとする。  一、道路関連公益法人や道路整備関係の特別会計関連支出の無駄を徹底的に排除する。    政府全体で、行政と密接な関係にある公益法人について、六月末までに集中点検を実施し、支出の無駄を徹底的に是正する。  二、道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止し二十一年度から一般財源化する。  この閣議決定を受けまして、五月十六日、道路関係閣僚会議が開催されました。本日の新聞でそれが報道されております。産経新聞の報道を例に取って一部御紹介させていただきます。揮発油税などの課税根拠や財源の使途、税率の扱い、道路関連予算の無駄の排除などが検討されたと。そして、福田総理のコメントが出ているんですが、首相は、国民の理解が得られる具体的成果を得られるよう検討を深めていく必要がある、無駄な予算の根絶はすべての改革の大前提であり、無駄ゼロに向けた見直しを敢行する必要があると述べ、作業を加速するように強く指示したと、このように報じられております。  そこで、額賀大臣、こうした総理の掛け声に伴います無駄の排除、来年度からの概算要求の査定段階、といいましてもこの夏からもう始まるわけですが、この段階でこれがどのように行われるかを伺いたいと思います。まず、方針についてはいかがでしょうか。
  73. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) お答えをいたします。  現下の大変厳しい財政状況の下で、骨太方針二〇〇六で示された歳出歳入一体改革の中で、道路予算を含む公共事業予算につきましては平成二十三年度までの間に三ないし一%削減を図るということになっております。  道路予算につきましても、この方針の下、毎年度の予算編成におきまして、真に必要な道路整備を見極め、予算の縮減を図ってきたところでございまして、ピーク時であります十年度から見ますと四割減に今なっているところでございます。  なお、特定財源か一般財源かにかかわらず無駄遣いはあってはならないわけでありまして、一円たりとも無駄があってはならないことは当然でございまして、国民一般に疑念を抱かれるような支出はあってはならないわけでありまして、今後とも、閣議決定等、道路特定財源等に関する基本方針等を踏まえつつ、毎年度の予算編成過程や予算執行調査を通じて道路歳出を厳しく精査をしていく必要があると考えております。  特に予算編成は事前のチェックであり、予算執行調査は事後のチェックになりますけれども、例えば予算執行調査につきましては、今年になりましてから抜本的にこれを体制拡充いたしておりまして、従来六人のチームだった、今回三十五人のチームで一気にやることになっておりまして、定員が増えたわけではありませんので兼任で対応しておりますけれども、格段の強化をして、今後、道路歳出も含め厳しく精査をしていく必要があると考えております。
  74. 風間直樹

    ○風間直樹君 この概算要求の査定ですね、例年十月から十二月に行われるということでございますが、この段階で道路事業そのものの評価をより適切に行う、こういう工夫が一層求められるんだろうと思います。今年のこの概算要求の査定からはより査定を厳格に行うと、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
  75. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そのとおりであります。
  76. 風間直樹

    ○風間直樹君 現在、特定財源の下で公益法人等の形を取り、約五十の企業、団体が道路特定財源にぶら下がっていると、こういうふうに言われております。その中で、例えば今国会における審議の中で様々な無駄が指摘されてきました。公益法人や団体が行う活動の無駄、例えば道路に関する案内を行うという名目で各地に設置をされているみちカフェと言われる施設、ほとんど稼働してない、稼働率が低い。あるいは「みちぶしん」と言われる、まあ道路事業の必要性をお芝居で全国に展開していくと、こういう事業。さらに、本委員会の大久保勉委員から再三にわたって指摘が出ております膨大な金額のタクシーチケットをこの特定財源から使用していると。昨日は、国交省に行かれて更に厳しく追及をされたという報道が夜のニュースでございました。  これら今紹介したような部分、あるいは特定財源にぶら下がっている公益法人等、こうした部分は査定で厳しく指摘をし、削減をしていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  77. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) そのとおりでございまして、極力厳しい査定を行っていきたいと考えております。
  78. 風間直樹

    ○風間直樹君 そこで、ちょっと具体的にお尋ねをしたいんですが、実はこの査定の具体的な方法ですとか、どのように行われているかという実態は、ふだん国民はこの査定の時期にテレビのニュースでその冒頭の場面、頭撮りだけを見ていると、実際の中身についてはほとんど分からないと、我々国会議員も同様であります。  そこで、この道路事業に関する査定というのはこれまでどのように行われてきたんだろうかという疑問を私は持っているんですね。例えば国交省から概算要求が来る、その中に様々な道路にかかわる予算の要求があると、それぞれの道路の建設にかかわる費用、そういった部分の効率性あるいは費用対コストの問題、こういったものも含めて財務省では概算要求の段階で査定をしていらっしゃるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  79. 香川俊介

    政府参考人(香川俊介君) 概算要求で国土交通省から要求をいただきまして、十二月までの予算編成過程で様々な議論を行います。今おっしゃいましたように、それぞれの路線のBバイCの話でありますとか、同じ効果を得るのにもっと安い経費でできないかとか、そのようなこと。それから、過去にさかのぼってどういう経緯でこういう要求になってきているのかというようなことどもを四か月ぐらい掛けて議論させていただきまして、年末に政府案をまとめるということでございます。  その後、予算はそういう大きな数字が固まるわけですけれども、通常ですと三月の終わりに実施計画というものの協議を受けます。これはより具体的に、もう少し細かな具体的な箇所を張り付けたお話を伺いまして、それで四月の初めから、直轄は国で、補助事業は補助金の交付をして全国的にそういう道路の執行がされると。執行の過程で、さらに契約ということになります。契約については国土交通省の責任においてやっていただいているわけですけれども、より競争性、透明性の高い契約で、まあ契約段階で更にコストが落とせることがあれば落としていただきたいというようなことを申し上げまして、予算の案の段階それから執行の段階に至るまで、できるだけ無駄のないようにということで国土交通省とは議論させていただいております。
  80. 風間直樹

    ○風間直樹君 分かりました。  道路事業、道路建設の部分については、かなりぎりぎりの査定をされているんだなという様子が伝わってまいりました。  ところで、予算査定の段階でされるのか、あるいは執行調査の段階でされるのかはちょっと分かりませんが、先ほど私が述べました、例えばみちカフェや「みちぶしん」あるいはタクシーチケットの問題、こういう部分での無駄の指摘というのは、査定でされるのかあるいは予算執行調査でされるのか、どちらでしょうか。
  81. 香川俊介

    政府参考人(香川俊介君) 予算執行調査をサンプル的にやらせていただきまして大体のことをつかんだ上で、それが全体のことなのかどうかというような議論をして査定に反映させると。執行調査から査定にというようなフィードバックで経費の無駄を省くという作業をしております。
  82. 風間直樹

    ○風間直樹君 二つお尋ねしたいと思います。  まず、執行調査の時期は例年いつごろ行っていらっしゃるかということ。そしてもう一つは、みちカフェや「みちぶしん」あるいはタクシーチケットの膨大な金額にわたる使用と、こういったことは、これまで執行調査の中で財務省から国交省に、これはどうなのかと、無駄ではないのかと、こういう指摘をされたことがあるのかどうか。  この二点、お尋ねします。
  83. 香川俊介

    政府参考人(香川俊介君) 今回、いろんな問題が明らかになりましたが、こういう広報関係の具体的なことについて今まで私ども、より主査のレベルで議論をしていたかもしれませんけれども、ミュージカルの話などというのはちょっと私は存じ上げませんでした。  そういう意味で、隅から隅まで全部に目が届いていたわけではないと思いますけれども、報道でありますとか、それからいろんな指摘を受けて、あれはどうなんですかと、どうしても必要な経費だったんでしょうかというようなことで、また査定に反映させていくというプロセスになっております。
  84. 風間直樹

    ○風間直樹君 時期はいかがですか。
  85. 香川俊介

    政府参考人(香川俊介君) 執行調査は……
  86. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 答弁者は挙手をして、指名を受けてから答弁してください。香川次長。
  87. 香川俊介

    政府参考人(香川俊介君) 執行調査は、年度が明けて四月、五月、六月ぐらいに着手いたしております。それから、秋口にも行います。七月に人事異動がございますので、新しい体制でもまたやっております。
  88. 風間直樹

    ○風間直樹君 そうしますと、この執行調査は、人数も三十五人に増やされたということですが、これまでは六人という人数だったわけですから、なかなか人数的な、物理的な制限もあると。また、サンプル調査だと思いますので、そういう意味では取りこぼしも出てくると、こういうことだろうと思います。  これ、特定財源から支出されていた、特に、なかなかその具体的な使途が分からないということも確かにあったんだろうと思うんですが、一般財源化されるとなりますと、やはりこういった部分を予算査定の段階で、概算要求の査定の段階でより踏み込んでいくことが可能になるんだろうと思うんですね。これ、今年からになりますが、この点も概算要求査定の段階で着手されるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  89. 香川俊介

    政府参考人(香川俊介君) おしかりを受けるかもしれませんが、特定財源であろうと一般財源であろうと厳しくやらなきゃいけないということで、我々、特定財源であるからといって目が届かなかったつもりではおらなかったんです、それが十分じゃなかったという批判を受けているわけですけれども。したがって、特定財源だから少し甘いとかということは今までも意識の上ではなかったわけで、今後とも、一般財源になるということでございますけれども、そういう、まあ一般財源になったから厳しくやるというわけじゃございませんけれども、引き続き無駄のないように厳しい姿勢で経費の中身を見ていきたいというようには思っております。
  90. 風間直樹

    ○風間直樹君 今日は大久保委員がいらっしゃいますのでチケットの例をちょっと挙げますが、昨日の夜の報道ステーションで、国交省の関東整備局ですか、地方整備局に民主党の議員が足を運ばれて、これは事前にアポを取って行かれたというふうに聞いておりますけれども、タクシーチケットの半券ないしその使用の根拠を出してほしいというところで随分押し問答があったわけでございます。これなどは国民から見ておりますと、一体何をやっているんだと、我々の税金じゃないかと、しかも今般大変な問題になったガソリン税からそもそも出ているんじゃないかと、こういう意識を持たれて当然なわけですけれども。  大臣にお伺いしたいと思うんですが、大臣、こういう問題が今年前半大変浮かび上がって、そしてそれを受けて福田総理も、徹底的に無駄を排除しようと、こういう呼びかけを道路関係の閣僚会議でされていると。それを受けて、今年の夏からの概算要求の査定で、やはりより厳しい対応財務省に求められるのは当然だと思うんですね。大臣、その辺の御決意はいかがでございましょうか。
  91. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の風間委員がおっしゃっていることを聞いておりまして、また、これまでのこれは衆参の委員会の質疑でそういう道路財源をめぐる様々な無駄な使い方が明らかになってきたわけでございまして、これは民主党を始め国会の厳しい追及の下に事実が明らかになってきたわけでございまして、これは非常に国民にとっても、また我々にとっても、今後の正しい予算の使い方、予算の執行の在り方を目指す上で極めて有意義であるというふうに思っておりますし、今後、無駄を省いていく、無駄をゼロにしていくために、福田総理もきつく各省庁に言っておりますように、特に公益法人における無駄遣い、あるいはまた随意契約における無駄遣い、あるいはまた効率化、そういったことについては徹底的に対応して国民の皆さん方の信頼を回復していきたいというふうに思っております。    〔委員長退席、理事神本美恵子君着席〕  また、役所においても、「みちぶしん」という話を僕、聞いたとき、我々は小さいころは道路予算もないわけでありますから、地域の、地域住民の皆さん方が総出で出まして道の草取りをしたり、あるいはまた梅雨どきの傷んだ道を修復したり、これは奉仕の精神でやっていったわけです。まさに、公共の精神にあふれてそういう公共の事業というのは展開されていった。それは地域住民に浸透していったわけであります。そういうものがやっぱり役所の間で侵食されていくということは言語道断のことであると思っておりますので、我々はしっかりと役所の間でもその公的な公共の精神というものを取り戻して、しっかりと透明性を持って合理的に効率的に予算が執行されるように全力を尽くしたいというふうに思っております。
  92. 風間直樹

    ○風間直樹君 この概算要求の査定をする財務省にも厳しい姿勢が求められますが、一方、概算要求を出す方の国交省にも同様の厳しい感覚を持って不要なものは削っていただく必要があるんだろうと思います。  今日は、国交省から平井副大臣に御出席をいただいております。以前ニュースで、平井副大臣が車に乗っていらっしゃるときでしょうか、カメラが乗り込んで一般財源化に関するインタビューをされているところを見ました。平井副大臣は、御自身は一般財源化には賛成だと、こういうコメントをされていらっしゃいまして、私はこの方は改革派なんだなという意を強くした次第でございますが。  平井副大臣、いかがでしょう。今議論を聞いていただきまして、やはりこういう様々な指摘をされた無駄、概算要求の段階で、まず国交省も削るべきものはこういうものは削っていただくと、そして、やっぱりしっかり骨とそれから血と肉とこの三つのみが付いた予算、無駄肉は一切付いていない、こういう予算を財務省に概算要求していただく、こういうことが必要だと思いますが、御認識を伺います。
  93. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 御指摘のとおり、やっぱり無駄はなくしていかなきゃいけないというふうに思います。  これ、高度成長期から今まで、長い歴史の中で昔の感覚を引きずったまま仕事をしていた部分があるんではないかと思うんです。ですから、国土交通省の常識が世間の相場観からも乖離してしまったと、そういうような状況が今回たくさんいろいろな問題を指摘された理由だと思います。ですから、法律的には違法ではなくても、やっぱり無駄というゾーンに入る支出が多いと我々は思いました。  今回、本当に民主党の先生方、大久保先生を始め皆様方に大変細かくチェックをしていただき、御指摘をいただき、また公明党さん、自民党さんのPTでも大変厳しい御指摘をいただきながら、我々はそのいろいろな問題をキャッチャーとして今回受けて、国土交通省の中で改革チームを立ち上げて、いろいろな問題を取りまとめました改革案を取りまとめました。  しかしながら、これはやっぱり、最終取りまとめというふうな言葉にはなっておりますが、私はスタートラインに立ったんだなというふうに思います。時代が変わったという認識に立ってこれからあらゆる支出をゼロから見直していくということが、これは非常に重要なことだと考えております。
  94. 風間直樹

    ○風間直樹君 平井副大臣、今日例に挙げましたみちカフェ、「みちぶしん」、あるいは膨大な金額のタクシーチケットの使用と、この中には既に廃止された事業もあるやに聞いておりますが、やはり来年度の概算要求では、今国会指摘をされた様々なこうした無駄、やはり副大臣の指導の下で厳しくチェックをし、そして省いていただく必要があると思います。  いかがでしょう。例えば膨大な金額のタクシーチケット、特定財源から今まで出ておりました。一般財源に移行します。やはり許されない問題だと思います。こうした問題、来年度の概算要求で厳しくチェックし、削減していくと。御決意を伺います。
  95. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 一般財源であっても特定財源であっても、やっぱり無駄は徹底的に排除しなければならないと思います。  私、このタクシーチケットの問題に関しては、もう冬柴大臣の方から使用規定等を厳しく設けていただきまして、それに応じて使用するということになっていますが、それ以前に、そんなタクシーチケットを使わなきゃいけない仕事のやり方自体がやっぱり異常だと思うんです。ですから、その業務のやり方を今徹底的に精査をさせていただいていて、なぜそのような事態になるのかと、そういう根本的な問題からこの問題に取り組んでいきたいと考えております。
  96. 風間直樹

    ○風間直樹君 この予算編成の在り方について、今月号、二〇〇八年六月号の文芸春秋に大変興味深い指摘がございます。自民党の麻生太郎議員と与謝野馨議員の対談でございますが、この中でこういうことが述べられています。  まず麻生さんですが、今年度予算はこの国会でもみくちゃにされました、その反省に立ってこの際、来年度予算はこの夏の概算要求の段階から、民主党のシャドーキャビネット、まあ民主党の場合ネクストキャビネット、次の内閣と言っておりますが、ここと政府と我が自民党の部会で協議して仕上げていくのがいいのではないかと。これに対して与謝野さんが、民主党が乗ってくれば十分できます、自民党側には拒否感はないと、こういうふうに応じていらっしゃいます。  これ、私は非常に検討に値するアイデアではないかと思うんですが、今述べましたような無駄を徹底的に省いていくと、これを含めた幾つかの原則をお互いに確認した上で共同で予算編成に当たるということは十分に可能ではないかと私自身は考えております。  大臣、こうした提言について大臣はどんなふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  97. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今度の道路財源をめぐる問題の処理の仕方としては、この秋に道路特定財源を廃止をして、来年度から一般財源化を図って徹底的に無駄を省くということが前提になっております。政府としても、今日から第一回目の関係閣僚会議を開きましていろいろと意見交換をしております。与党としても、来年度、この秋に向かってどういうふうに対応していくかを考えていきたいということでございます。  政府・与党としても一つの考え方を整理してまいりたいと思っておりますから、今度は、与野党の間でしっかりと国会の場でよく意見交換をし、すり合わせをして国民の期待にこたえていく必要があると。それは、衆参両院でそれぞれが多数を持っておりますので、お互いに国民に対しては責任を果たしていくことが大事であるというふうに思っておりますので、是非、与野党の間で協議機関をセットして、この道路財源を含めて様々な政治課題について協議をして、しっかりとこの二十一世紀の前半の日本の国の政治が停滞をすることがないようにしたい、していただきたい、心から念願をしております。風間委員もそういうお考えのようでありますから、大変心強く思っております。
  98. 風間直樹

    ○風間直樹君 この共同の予算編成という部分については余り直接的な御答弁はいただけなかったんですが、私も大臣と同じ認識でございまして、やはり諸外国と比べた場合、現在の日本政府あるいは政治の決断、決定というのはどうしても遅くなりがちだなと思っております。それは決していいことだとは思いません。そこで、この国会運営の中でもより迅速な決断を下せるような仕組みをつくっていくことが与野党の協議の中で必要だろうと思っております。  それでは、財務省に対する質問はこれで終わらせていただきます。関係大臣、副大臣の皆さん、ありがとうございました。  次に、参議院の事務局に対して質問をさせていただきたいと思います。参議院事務局等の改革について今日はお尋ねをいたします。  国会改革の流れの一環として、参議院の自動車運転手の外部委託ということが現在進められております。平成十九年四月一日より外部委託三名の運転手、平成二十年四月より二名の運転手を追加し、現在五名の運転手について民間委託を行っております。これは、いわゆる議員の公用車ではなくて、参議院事務局の皆さんが使用される車の運転手というふうに聞いております。両年とも日本道路興運株式会社というところが落札をしておりますが、この入札の経緯そして落札価格についてお尋ねをまずいたします。
  99. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) お答えいたします。  まず、平成十九年度におきます自動車運行管理業務の委託につきましては、平成十九年、昨年三月十六日に四社が参加いたしまして一般競争入札を行いましたが、いずれの社も予定価格の範囲を超えておりまして再度入札を行ったわけでございますが、再び予定価格の範囲内での入札はなく、不調となったところでございます。結果、会計法令の規定に従いまして、最後まで応札いたしました日本道路興運株式会社と協議を行ったところ、同社より予定価格の範囲内の見積書が提出されましたため、同社と随意契約を締結いたしました。なお、契約価格は消費税込みで千六百五万二千四百円でございます。  また、平成二十年度につきましては、本年二月二十九日に四社が参加いたしまして一般競争入札を行いましたところ、日本道路興運株式会社が予定価格の範囲内で最低価格で落札したため、同社と契約を締結いたした次第でございます。契約価格は消費税込みで二千六百五十五万二百七十六円でございます。  なお、先生お尋ねの当該入札に係ります各年の予定価格及び落札率につきましては、恐縮でございますけれども、来年度以降の入札に支障を与えるおそれがございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
  100. 風間直樹

    ○風間直樹君 この落札率と予定入札価格、事前に資料をちょうだいしております。  今日なぜこの問題を取り上げたかといいますと、この日本道路興運株式会社がこれまで様々な問題を指摘されている。その会社が参議院の自動車運転の外部委託を受けたと。ちょっと一般的に見ると、どうなんだろう、何か問題ないんだろうかと、こういう危惧がございますので今日取り上げたわけでございます。  どういう問題かといいますと、平成十六年六月一日の参議院国土交通委員会、ここで一つ取り上げられるんですが、民主党の谷委員が、国土交通省と日本道路興運株式会社の関係について質問をされました。平成十五年度に国交省からこの会社へ十八名が天下りをしていると、そのうちの三分の二の方が国交省で自動車の運転をしていた方だと、そのままこの会社の車両管理員として就いていると、こういう経緯が取り上げられたわけであります。  さらに、安倍政権当時でしょうか、当時の細田博之官房長官がこの会社に運転手給与の肩代わりを受けていたと、こういう指摘がなされました。合計金額が三千百四十三万円。実は、この細田議員以外にも三名の現職、元職の国会議員が千数百万から二千四百万円余りの肩代わりを受けていたという事実があります。加えて、この会社から特定の政治家に個人献金をしている、あるいはパーティー券を購入していると、こういう実態が次々と浮かび上がったわけであります。  さらに、二〇〇四年の一月に発覚をしたところですが、二〇〇三年三月期までの七年間にわたって、この会社が約二億八千万円の所得隠しを行っていたと、こういう事実が発覚をしております。  こういういろんな事実を聞くと、おいおい大丈夫かと、参議院事務局はそんな会社に外部委託をしてこれは危うくないのかと、こういう危惧が浮かぶわけでございますが、事務総長、こういう事実はこれまで承知をされていらっしゃいましたでしょうか。お尋ねをいたします。
  101. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) お答えいたします。  お話の谷先生の御質問、当然に承知いたしております。また、細田元官房長官の報道等についても承知はいたしておるところでございます。  ただ、昨年以降の入札契約の過程で、その報道等も含めてすべて認識しておったかということになりますと、正直言いまして認識はございませんでした。  ちなみに、今回の先生の御質問を踏まえまして、同社にいわゆる国土交通省出身者がいるのかということについて問い合わせましたところ、現在の時点で、全社員のうち国土交通省出身者は三名在籍しているという確認はいたしたところでございます。
  102. 風間直樹

    ○風間直樹君 事前にこの問題に関するやり取りを事務局とさせていただいた中で私感じたんですが、まあ恐らく事務局の方も何か悪い意図を持ってここに契約を落としたということはないんだろうと思うわけです。ただ、現在の予算決算及び会計令の中で、当然この法規に従ってこうした契約、外部委託を進める、入札を行う責務が参議院事務局にはあるわけでございますが、この法規上こういう形にせざるを得なかったという部分も多分あるんだろうと思うんですね。  事務総長、ちょっとその点を御説明いただけますでしょうか。
  103. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) おっしゃるとおり、会計法令上、なかなか今先生がおっしゃったような事実だけで入札に制約を加えるということは難しいということも事実でございます。  なお、当然のことでございますけれども、同社への委託に関しましては、他の入札に応じました業者も含めまして、本院が調達する自動車運行管理業務が適切に執行されますように、一般競争入札を執行するに当たりましては、事前に参加希望者から自動車運行管理業務の実績それから乗務員への安全運転に係る教育研修を行っていることなどなどを証明する書類を提出させているところでございます。  もちろん、同社につきましても当該資料提出しておりまして、その内容は適切であったという認定をいたしております。そのようなことから、本業務を委託することについては適切な業者であったという判断をしたところでございます。
  104. 風間直樹

    ○風間直樹君 この十九年度の入札ですね、最初四社が参加をされたと。ところが、この予定入札価格に比べて随分高い金額だったから入札を繰り返したと。三回目まで繰り返したところで辞退するところが何社か出て、最終的には一社が最後まで、四回目の入札まで応札をされたと、こういう経緯だと伺っております。  結局、最後まで入札をしたのが日本道路興運なわけですけれども、その後、この会社と随意契約という形で契約を結ばれたわけですね。この部分が先ほど申しましたように会計令上致し方ないと、つまり、現在の法制度にのっとってこうした外部委託をしようとすれば、これはこういう結果にならざるを得ないと、こういう御説明を事務局から事前にいただきましたが、その部分をちょっと詳しくお述べいただきたいんですが、どなたか担当の方、お願いできますでしょうか。
  105. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) 申し訳ございません。  ちょっと根拠法を今見ておりますけれども、先生のおっしゃるとおりの手続を取るということが妥当であるということでございます。
  106. 風間直樹

    ○風間直樹君 かいつまんで私の方から申しますと、最終的にこちらが予定していた価格、これを下回る業者が出てこなかった場合には、一番低い、安い金額で応札した業者と契約をしなくてはいけないと、こういう規則が会計令上あるわけですね。  ここに一つの今の法制度上の矛盾が私はあると考えるんですけれども、世間的には政治資金規正法に照らして様々な問題を指摘されている、あるいは所得隠しまで報じられている、こういう企業が応札をしてきたときに、会計令にのっとって入札を行おうとすればそこにどうしても落とすということになると。これは、ちょっと世間の常識から見て現在の会計令がふさわしくない部分があるんじゃないかなと、こういうことに恐らくなるんだろうと思います。  総長、これ、平成十八年の六月十四日の議院運営委員会の理事会で外部委託を決めるという決定がなされたと聞いております。この入札を行った結果、最終的にここに契約が決まりましたという報告は議運の委員長にはしていらっしゃいましたでしょうか。もし、していらっしゃらない場合、その理由も併せてお尋ねしたいと思います。
  107. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) お答えいたします。  先生御指摘のように、平成十八年六月十四日の議院運営委員会理事会におきまして民間委託については御決定があったと。それに基づきまして事務的な入札契約を進めております。そういう前提でございますので、本件の入札の結果についても御報告はしておりません。これも含めまして、入札の結果について従来から御報告はしていないというところでございます。  事務全般について、特に御下命なりがない場合には、一般的な事務の執行に関するものについては報告していないということしか申し上げられません。
  108. 風間直樹

    ○風間直樹君 分かりました。  この問題は、多分私は法制度上のエアポケットだろうというふうに現時点では認識をしております。  先ほど私がお尋ねした部分、今ちょっと私から述べますが、会計令の九十九条の二にこのように規定されています。「契約担当官等は、競争に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がないときは、随意契約によることができる。この場合においては、契約保証金及び履行期限を除くほか、最初競争に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。」と、つまり、このケースの場合、参議院事務局があらかじめ予定をした価格、これを変えられないと。ですから、それをのんでくれる会社に外部委託をゆだねるほかないということですね。そこでは、この会社が過去にどういう問題を指摘されていたかということは、少なくともこの会計令上は考慮されていないと、こういう認識で総長よろしいでしょうか。
  109. 神本美恵子

    ○理事(神本美恵子君) 小幡事務総長、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
  110. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) 結果的にそういうことが言えるかと思います。私どもとして判断する余地はない、現行制度上と、ということでございます。
  111. 風間直樹

    ○風間直樹君 それでは最後に、こうした法制度上の言わば欠陥とも言えるものがございますので、これは同僚議員の皆様に今日指摘をさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  112. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎でございます。  本日は、財務省金融庁に御質問をさせていただきたいというふうに思います。  冒頭でありますけれども、ミャンマーのサイクロン被害、また中国四川省を中心とした大変な大きな地震で、いずれも数万人規模の死傷者の方が出ているということであります。心よりお見舞いを申し上げるとともに、是非政府としても引き続きこの災害に対しての御支援を行っていただきたいというふうに思っております。昨日のニュースで、各国に先駆けて日本の救援隊の皆さんが中国の方に到着をされて救援に向かわれたという知らせを聞いております。是非政府挙げて、引き続きこうした災害への復旧復興のお手伝いいただけるようにまずはお願いをさせていただきたいというふうに思います。  まず初めに、四月二十一日の決算委員会において私が質問をさせていただきました道路特定財源の暫定税率失効に関する影響について補足の質問をさせていただきます。  あの時点では暫定税率が失効状況にあったということで、その財源不足をどのように補うのかという質問に対して遠藤副大臣からは、暫定税率失効については、失効期間がどの程度になるかによって大きく状況が変わることから、現時点ではどのように対応するか申し上げることはできないけれども、一日も早い成立を図り、減収額を小さくすることが重要であるというような御答弁をいただいております。その後、御承知のとおり、道路関連の歳入法案、国会において可決をされたということであります。  当初、四月一か月でも、自治体分でも約六百億円、国の不足を合わせると一千八百億円と言われる道路関連歳入が不足をするというふうにお話を伺っております。  こうした経過を踏まえて、この失効による減収がどの程度なのか、こうしたものが確定をしているのか、あるいはこれについて財源不足をどのように補っていくのか、例えば建設国債を発行するような必要が生じているのか、その点も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  113. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 先般の決算委員会で先生の御質問にお答えをいたしましたが、その後、四月三十日に採決をいたしまして、ちょうど一か月間、この暫定税率は失効したわけでございます。  そこで、約千八百億の減収と言われております。これはあくまで推計でございまして、実際の数字はまだ集計されておりませんのでまだ申し上げる段階ではありませんけれども、揮発油税法上、四月の揮発油税額の申告期限、五月末とされておりまして、申告書の提出を受けた各税務署の審査処理に基づきまして全国分の集計を行いまして、四月分の全国の集計が判明するのはその後になるわけであります。例年ですと七月ごろになりますので、多分そのころにならないと、まあできるだけ努力をしますが、多分そのころにならないと確定的な数字は分からないということでございます。  その上で、国、地方の減収に係る今後の対応につきましては、年度を通じた税収の動向とか予算の執行状況などを見極めながら検討していく必要があると考えております。先般の閣議決定では、地方の減収について、各地方団体の財政運営に支障が生じないよう、国の責任において適切な財源措置を講じるとしており、これはもう当然適切に対処するわけでありますけれども、いずれにせよ国の財政、今極めて厳しいのは御承知のとおりでございまして、財政健全化が大きな課題となっている中で安易に公債発行できる状況じゃないということは御理解を賜りたいと思っております。  ただ、いずれにしましても、国として責任を持って措置をすることは既に閣議決定しておりますので、状況を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  114. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 是非、今おっしゃっていただきました国の責任においてきちっとこの不足分は穴埋めをしていただけると、もうこれは地方自治体がこのことを約束していただいたことを信頼をしておりますので、いずれの形になっても是非それはきちっとお約束を守っていただきたい。地方は本当にやっと一か月遅れで道路関係の公共事業ですとか、やっとこれからスタートを切れる状況になって、本当にこれからだということでありますので、その点についても十分フォローをしていただきたいというふうに思います。  続きまして、外国為替資金特別会計について御質問をさせていただきます。  新聞等の報道によりますと、日本の外貨準備高が二月末に初めて一兆ドルを突破したというふうに言われております。外貨準備は外国への支払の備えという点では重要でありますけれども、元手となる資金を政府短期証券で調達しているため、国の債務がその分拡大をすることになり、財政健全化に逆行するという意見もあります。そうした意味で、この外貨資産が多額に上っているために、現状ですとドルが安くなっている、そうした為替リスクが非常に大きくなっている点が注意を指摘されております。  会計検査院検査報告においても、外貨証券等の残高が多額となっているため、為替の動向によっては外国為替等に係る評価損益が大きく変動し得ることから、積立てあるいは要積立額の状況については今後とも注視する必要があるというような指摘もなされています。  そうした観点を踏まえて、引き続きやはり為替動向であればドル安円高というような状況が今続いているわけですから、こうした状況を踏まえて円換算での評価損が今どのような状況になっているのか、外貨準備高あるいは外為特会の積立金残高、評価損益の現状について御説明をいただきたいと思います。
  115. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、塚田委員がおっしゃるとおりでございまして、我が国の外貨準備高は本年四月末時点で一兆三十八億ドル、約百四兆円となっておるわけでございます。また、外為特会の積立金は円高による保有外貨資産の評価損を補うこと等を目的としておりまして、現時点では十八年度決算の運用益からの積立てを合わせまして十七・五兆円となっております。  しかし、おっしゃるように、最近の円高によりまして現時点では外貨資産の評価損は十四・五兆円程度となっておるわけでございます。一円の円高で〇・八兆円から〇・九兆円の評価損が発生することになっております。
  116. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 今お話を伺いますと、もう非常にちょっとした為替の動向でこの積立ての数字も損であっという間に吹き飛んでしまうような状況にあるのかなというふうに認識をされます。そうした状況の中で、やはりこの外貨準備高が過剰ではないかという点、為替の安定に対して為替の介入等に備えるということの必要性もあるんだと思いますけれども、現状のままこれを放置をしておけばどんどん膨らむ一方だというふうに考えられます。  そうした意味で、外国為替の、この外為特会の外貨資産を適正的に管理するための取組を、例えば資産が圧縮できるような方法論があるのか、そうしたことの議論も必要ではないかというふうに思います。これ、外貨資産が圧縮できれば、見合いとなる円建ての負債についても当然減少していくことができるということであります。  そうした点を踏まえて、現在の外貨準備高の規模、これをどのように評価をされているのか、外貨資産の抑制、圧縮等の可能性、また、現在の規模を今後どのように見直していくのか、その点について財務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  117. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 塚田委員がおっしゃるとおりでございまして、今、外為特会で保有する外貨準備というのは、その目的というのは通貨の安定を実現するために持っているわけでございまして、円安時における外貨売り、円買いの為替介入に備えたものでございます。  外貨準備の適正な規模については様々な意見があるんでありますけれども、まあ一致した意見というものはないと見ております。実際に為替市場というのは、もう委員も御承知のとおり、最近は一日当たりの取引高が全世界で三・二兆ドル、四百兆円弱という巨額な資金が動いているわけでございまして、取引量も増加傾向にあることから、外貨準備は十分に保有しておく必要があるというふうに思っているわけでございます。  それから、外貨資産のことについてもお触れになりましたけれども、あるいはまたFB残高を抑制するとか、どういうことを考えているのかということでございますけれども、一概に外貨を市場で売却するということは、為替相場に影響を与えるということもありまして十分注意していかなければならないというふうに思っております。  しかし最近、政府といたしましては、政府あるいは公的部門での両替コスト削減や資金調達の効率化の観点から、昨年の四月より政府の行うドル建ての外国送金について外為特会が両替に応じたりしております。また、今般、国際協力銀行が行うドル建て融資について外為特会が両替に応じることを可能にしておるわけでございます。  外為特会は、ドルと引換えに円を受け取りそれをFBの償還に充てることになるため、こうした取組によって、委員のおっしゃるように、外貨資産及びFB残高の抑制にもつながっていくことになるので、そういうことを今試みているということでございます。
  118. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  今のドル需要に対して両替等を行うというお話なんですが、具体的な数字等がもしお示しいただけるんであれば、ちょっと御参考までにお聞かせいただきたいんですが。
  119. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 外国送金については、毎年三千億円から五千億円程度が外為特会との両替の対象になると見込んでおります。  それから、財政融資資金から調達した円貨を元に国際協力銀行が行うドル建て融資は二十年度計画で年間五千億円程度であり、そのうちの一部を外為特会で両替の対象にしたいというふうに思っております。
  120. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  いずれにしても、機会があればこうしたドル資産の圧縮も、市場に影響があっては困るという側面もあると思いますが、行っていただきたいというふうに思います。これは円安になることも、もちろん為替の相場ですからあります。しかし、今の動向を見ていると、やはりドル安という為替の動向が続く可能性が高いのかなというふうに思うわけであります。  この外国為替資金の特別会計の構造としては、外貨建てですからドルであればドルの金利、この金利と調達をしている日本の円の金利、この金利差があればその部分は利益に恐らくなる、決算でいえば余剰金になるというふうに理解をしております。もう一つが、為替の動向によってこの差益が生じたり差損が生じる、評価損、損が出るということです。  いずれのケースを考えても、今は若干アゲンストなのかなという認識であります。というのは、アメリカもやはりサブプライムの問題等がありまして、金利についてはやはり低めに今誘導されてきているかなと。そうすると、日米の金利差も縮小傾向にある。また、これがある意味では為替の円高ドル安の圧力にもなっているということで、いずれの要因についても、やはり今のこの大きくなってきてしまった外貨準備高に対しては非常に要注意な環境下にあるというふうに思いますので、是非大臣には引き続き、その点を注視をしてウオッチをしていっていただきたいということをお願いをさせていただきます。  続きまして、金融庁関連で中小企業金融についての御質問をさせていただきたいというふうに思います。  中小企業の景況感については、燃料や原材料価格の高騰が続く一方で国内の需要は低迷する、こうした状況で、非常に今も厳しい景気環境、経営環境にあるということは皆様御認識のとおりであります。そういう中で資金繰り動向がどうかというと、これもやはりいろんなデータを見ても、中小企業は資金繰りが非常に厳しくなっているという数値が示されております。日銀の月次報告等でも、大企業に比べれば中小企業は資金調達のニーズが満たされていないというような傾向が示されているわけであります。  こうした状況の中で、いわゆる年度末に向けて、本年二月には中小企業対策として関係閣僚による会合申入れが行われまして中小企業対策を講じることになりました。この中で金融庁は、中小企業への資金需要への十分な配慮と中小企業の資金繰り円滑化のための対応を各金融関係団体等に対して直接要請をするというふうになっていたわけでありますが、その点の対応についてどのようになされているのか、御説明いただきたいと思います。
  121. 山本明彦

    ○副大臣(山本明彦君) 塚田委員指摘のとおり、二月の二十日、関係閣僚の申合せで年度末に向けた中小企業対策の申合せがございました。それを受けまして、二月二十一日、年度末金融の円滑化に関する意見交換会を開催をさせていただきました。これ、関係大臣にも御出席いただきました。相手方は全国銀行協会、全国地方銀行協会、信託協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、全国労働金庫協会、それぞれ代表の方に御出席いただきまして、年度末の、今委員からお話ございました、中小企業は資金繰りが大変であるので、是非御協力方お願いしたいと、こういったお願いをさせていただきました。そしてまた、同じ日に、同日、文書によりましても、各金融関係団体に対しまして、金融検査マニュアルの中小企業編でありますけれども、この趣旨を周知徹底していただきたい、中小企業に対する資金供給の円滑化を是非お願いしたいと、こういった要請をさせていただいております。  今後とも、各般の施策に取り組んでまいりたいと思います。
  122. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  年度末に対しての対応をこういう形で行っていただいているわけでありますけれども、そうした年度末の対応にとどまらず、やはり構造的にこうした今、資金繰りが厳しい、場合によっては貸し渋りになっているんじゃないかという声も地元を回っていると中小企業の皆さんから大変にお寄せをいただくことが多くなってきています。政策金融のいろいろな組織変更等もあり、こうしたこともやはり今後注視をしていっていただきたいと思っています。  やはり、中小企業に対する円滑な金融銀行の、特に地方の銀行の大変大きな役割だというふうに考えております。その意味で、やはり地域を熟知した、メガバンクは今本当に少数精鋭になってしまいましたので、なかなかそういう地域まで小回りが利かない点もあるかもしれませんから、地域の金融機関がリーダーシップを取って中小企業金融円滑化に取り組んでいただきたい。  そんな意味で、地域再生や企業再生に向けた金融庁取組姿勢について御説明を願いたいと思います。
  123. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 地域密着型金融の中で、地域再生に向けた取組は極めて重要でございます。債務の株式化、デット・エクイティー・スワップとか、債務の資本的劣後ローン化、デット・デット・スワップなどと言っておりますが、そうした試み、あるいは中小企業再生支援協議会を通じた再生の取組企業再生ファンドへの出資等々を通じて着実に実績は上がってきておるものと考えております。  地域の特性に応じた事業再生や中小企業金融の円滑化に資する取組を成功事例集としてまとめたものを、三月三十一日に公表をいたしました。この中には、例えば業況不振にあった複数の旅館の一体的な事業再生を通じて温泉街の面的な再生を目指したケースや、地元の名所が世界遺産候補となったことを踏まえて、地元中小企業の観光客受入れ体制整備関連の融資商品を創設をして観光振興による地域の活性化を目指したケースなど、面的な再生、地域再生、地域活性化につながる多様なサービスを提供しているところも数多く出てきていることを紹介をさせていただいております。  加えて、中小企業の資本強化も大事なことであります。日本は、中小企業のみならず法人企業のバランスシート構造が大変過少資本と過剰債務の構造になっているんですね。したがって、資本的性質を有する劣後ローンなどを資本として融資先の企業の債務者区分を査定できるよう金融検査マニュアルに記載をして、もう既にその運用を開始をしたところであります。  企業の事業再生の取組にプラスになりますように銀行グループなどが議決権保有制限の例外措置がとれるよう改正法案の提出、今国会において今衆議院段階で御審議をいただいているところでもございます。そのほか、地域の中小、中規模企業の事業再生支援をするとともに、それに関連する地域の面的再生に向けた取組を行うために、地域力再生機構を創設するための法案も今衆議院内閣委員会で御審議をいただいているところであります。  金融庁としては、民間金融機関による中小企業に対する金融の円滑化、地域再生、事業再生に向けたこれらの取組を促す努力をしてまいりたいと考えます。
  124. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 具体的な例も引いていただきまして、いろいろありがとうございます。御説明をいただきました。  個々の成功事例、大変にいいケースは出てきているんだと思うんですが、ただ、マクロの貸出しの動向の数字を見ると、必ずしもそうは言えないということがあります。  一例を申し上げますと、政府系の国民生活金融公庫、中小企業金融、まあこれは統合されますけれども、ここ三年ぐらいの貸出実績、十六年から推移を見ますと、これいずれも減少をしております。数字で申しますと、国民生活金融公庫が二兆七千三百八十一億円から二兆一千六百八十七億円、中小企業公庫が一兆六千三百五十三億円から一兆二百八十九億円という数字であります。これは、政府金融機関の中小企業の貸出実績が減少しているという数字がこうやって見えると、もしかすると政府金融機関の統廃合等が影響しているのではないかなという懸念も我々としては持ってしまうわけであります。  その点を踏まえて、実際に今後、この十月には新しく株式会社日本政策金融公庫となるわけですけれども、引き続き政府金融としての中小企業向けの資金調達をきちっと行っていただけるのか、この辺を財務省の見解をお伺いしたいと思います。
  125. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 確かに、塚田先生御指摘のように、貸付残高、ストックとしての数字は確かにずっと下がってきているということは事実でございます。  これは様々な理由があるかと思っておりまして、一つは中小企業の資金需要自体が伸び悩んでいるということもありますし、また過去の債務の返済が増えているということもあって、必ずしも新規の貸付けのフローが落ち込んできているということはないという面もあるかと思っております。  例えば、政府金融機関の中小企業向けの貸出し、新規の、直近の貸付フローで見ますと、国民公庫につきましては平成十九年前半ごろから増加に転じておりますし、また中小公庫、商工中金につきましても昨年秋以降おおむね横ばいという形になっておりまして、必ずしも落ち込んでいると、新規のフローで落ち込んでいるということはないということだと思っております。  いずれにしましても、現行の国民生活金融公庫及び中小企業金融公庫が担ってきた中小零細企業の資金調達支援機能は、両公庫と統合して本年十月に発足します日本政策金融公庫にもしっかりと承継される機能でございまして、同公庫において、民業補完を旨としつつ中小企業者の資金需要に対して的確な対応が行われていくものと考えておりまして、株式会社化したからといってもこれはあくまで一〇〇%政府の持分でありまして、そういった意味では適切な対応が行われるものと考えております。
  126. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 是非よろしくお願いしたいと思います。官から民へというこれ流れも必要ですけれども、やっぱり中小企業政策金融を求めているという実態があるわけでして、その点を引き続きよろしくお願いをしたいと思います。  それに関連して、これがまた、もう一つ、民間の金融機関が、中小企業向けの貸出動向もここしばらくの数値を見てみたんですけれども、これもそんなに伸びていない、むしろ減少傾向にあるんですね。そうすると、政府系の金融機関の貸出しも減ってきている。それを吸収できるかといえば、民間の中小企業向け貸出しも増えていないという状況になると、ますます民間のいわゆる中小企業の皆さんは資金繰りが厳しくなるというふうなことを感じても当然ではないかなと。例えば、そういうことはないかもしれませんが、株式会社化に伴って融資がストップをされているような話も出てきたりしているわけです。  金融庁にお伺いをしたいんですけれども、民間の金融機関の貸出動向も含めて、今後とも中小企業金融をどのように支援をしていただけるのか、その点について御説明いただきたいと思います。
  127. 山本明彦

    ○副大臣(山本明彦君) 塚田委員指摘の点でありますけれども、国内銀行の中小企業向け貸出残高を見ますと、民間の銀行ですけれども、日銀の統計によりますと、十九年の八月まではプラスだったんですけれども、十九年の九月以降は連続して前年同月比がマイナスになってきております。  あと、日銀短観の貸出態度判断、中小企業から見た銀行の貸出態度判断DIでありますけれども、これは十六年の六月からずっとプラスです。ずっとプラスです。ただし、十八年の三月まではプラスが増加してきておりましたけれども、十六年の六月がプラス二ポイントでありまして、十八年の三月がプラス一二ポイントまでずっと上がってきました。しかし、その後はプラスでも減少してきまして、直近の二十年三月ではプラス五ポイントまで下がってきておるということで、やはり貸出態度が少し厳しくなってきておるのかな、そういう数値は出てきております。この中小企業に対する金融の円滑化というのは民間銀行にとりまして最も重要な責務だというふうに私ども感じております。  金融庁としてどうしたことをしているかということでありますけど、先ほど大臣からもいろいろお話がございましたけれども、先ほど御質問のあの二月の年度末に向けた中小企業対策に続きまして、このときは全国の銀行関係の代表の方に集まっていただきました。しかし、やはりこれだけでは徹底できないということもありまして、各財務局ごとにその地域の金融機関に集まっていただいて、中小企業向けの金融の円滑化についてお願いをさしていただいております。  昨日、私も南九州の方ですけれども、南九州管内へ行きました。民間の金融機関政府金融機関の代表の方に全部集まっていただきまして、いろいろとお話をさしていただきました。お願いをさしていただきました。これもやはり役所だけの仕事ではいかぬということもありまして、私どもが出向いて、少しでも我々の気持ちを酌んでいただきたい、こういったことで出席をさしていただきまして皆さん方にお願いをさしていただきましたが。  ABLでもそうでありますし、先ほどのDDS等でもそうでありますが、取組はしていただいてはおるようであります。ただ、いろんな難しい点もあるようでありますけれども、何とかそこら辺を、たまたま南九州関係は都銀のシェアは大変少なくて一けたしかありません。出席された方、全銀協の方も地銀の方でありますから、九割以上を皆さん方が占めておられますので、是非皆さん方が中小企業を救うことによって、中小企業金融をお助けすることによって中小企業が助かるんだということで、是非皆さん方の双肩に掛かっておるということでしっかりとお願いをさせてきていただいたところであります。そのようなことで、中小企業向けの金融について我々は取り組ませていただいております。
  128. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 是非よろしくお願いしたいと思います。  リスクを管理をしていただくということの要素も重要なんですけれども、やっぱりリスクを取っていただかないと融資はできないわけですから、その辺のバランスを金融庁としてもきちっとした形でウオッチをしていっていただきたいということをお願いをさせていただきます。  ちょっと時間が来たんですけれども、一問だけ最後にサブプライムローンについて御質問をさせていただきます。  今日の新聞の一面に、みずほフィナンシャルグループ利益半減という記事が出ておりました。これは、みずほフィナンシャルグループの決算で、グループ全体で六千四百五十億円の大幅な減益を余儀なくされたということです。その主たる要因は米国の低所得者向けのローン、いわゆるサブプライムローンというような内容であります。これは実際にこうした影響が金融機関等にも出ているということのまさに表れでありまして、こうしたことも踏まえて、このサブプライムローンの影響が国内の金融機関にどのような影響が出ているのか、こういったことが今もお話ししたような銀行からの貸出動向等に影響が及んでいないのか、金融システム全般を含めてどのような判断をされているのか、その点を御質問したいと思いますので、よろしくお願いします。
  129. 神本美恵子

    ○理事(神本美恵子君) 渡辺大臣、時間来ておりますので、短くお願いします。
  130. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 資本が足りなくなった金融機関は、当然これは資本増強を自らやっていただくことが大事であります。  全体的に日本のサブプライムの損失あるいはその他の証券化商品の損失は海外、欧米の巨大複合金融機関に比べて相対的に少ない数字になっております。したがって、資本が足りなくてリスクが取れない貸出しを圧縮しなければならないという状況にはなっていない状況だと認識をいたしております。
  131. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 どうもありがとうございました。引き続き、金融は非常にこれからもいろんな動向がございますので、注視をしてやっていっていただきたいということをお願いして終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  132. 牧野たかお

    牧野たかお君 自民党の牧野たかおでございます。私は、平成十八年度の決算検査報告に基づいて質問をさせていただきます。  まず、先ほど民主党の川崎委員が御質問されましたけれども、国立印刷局の資金が国庫へ納付されていなかったということについて質問をしたいと思います。  まず伺いたいのは、この国立印刷局が独立行政法人に移行した際に四千百七十七億円という巨額な資産が移されたわけでありますけれども、本当にこれほどの巨額な資産を移行時にそのまま承継する必要があったのでしょうかどうか、伺います。
  133. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) お答えをいたします。  国立印刷局は平成十五年の四月に独立行政法人化いたしまして、印刷局特別会計において保有していた資産を承継をしたわけでございます。  資産の承継に当たりましては、中央省庁等改革基本法におきまして、政府は、造幣事業及び印刷事業において、その経営形態の在り方を検討するものとするとされたことから、有識者より構成されます造幣・印刷事業の経営形態に関する懇談会において検討が行われたわけでございます。  平成十一年三月の同懇談会の報告書におきまして、独立行政法人とする場合にも、現在行っている業務資産等を基本的に包含する形で業務を法定することが必要であるとされまして、それを受けて国立印刷局は独立採算による運営を基本としながら通貨の製造という極めて重要な業務を確実かつ安定的に実施する必要がありますことから、当時、印刷局特別会計で保有していた資産が独立行政法人に基本的に承継をされたわけでございます。  以上のように、国立印刷局の資産の承継は適正なものであったと考えております。  一方、独立行政法人制度の導入後七年が経過をいたしまして、独立行政法人全体の在り方につきまして見直しが行われる中で、昨年末の独立行政法人整理合理化計画におきまして、独立行政法人の運営の在り方及びそれを踏まえた保有資産の見直しについて定められたことから、財務省といたしましても、その内容を踏まえ、国立印刷局の保有資産の見直しに取り組んでいきたいと考えているところでございます。
  134. 牧野たかお

    牧野たかお君 御見解は分かりました。  それでは総務省に伺いたいと思いますけれども、政府は、独立行政法人が保有する資産の売却代金などについてその全額を国庫へ納付できるように、独立行政法人通則法の改正案を今国会提出されております。この国立印刷局を始め、各独立行政法人が国から承継した資産が過大であったかどうか聞きたいんですけれども、まずその百一の当時の独立行政法人の資産の総額は一体幾らになるんでしょうか。
  135. 宮島守男

    政府参考人(宮島守男君) 独立行政法人の平成十八年度の貸借対照表に記載されている資産につきまして集計しましたところ、総額は約二百三十五兆円であると承知しております。
  136. 牧野たかお

    牧野たかお君 二百三十五兆円といいますと本当に巨額な資産だと思いますけれども、本当に移行時にそれだけの資産が国から独立行政法人に承継する必要があったんでしょうか。
  137. 宮島守男

    政府参考人(宮島守男君) 独立行政法人は、その通則法におきまして、業務を確実に実施するために必要な財産的基礎を有しなければならないとされているところでございます。各独立行政法人の発足時には、必要な財政基盤が適切に整備されてきていると考えているところでございます。  独立行政法人の保有資産のうち金融資産につきましては、その多くが奨学金のように借入金で調達しているものや年金積立金のように掛金等を運用しているもので、負債と見合いになっているところでございます。また、土地、建物等の実物資産につきましては、そのほとんどが各種施設や事務事業のため現に使用されているものであり、全体として過大となっているものではないと理解しております。  しかしながら、独立行政法人制度の発足から既に七年が経過し、昨年末の独立行政法人整理合理化計画の策定に当たりまして独立行政法人の事務事業の徹底的な見直しを行う中で、経済財政諮問会議専門調査会におきまして、土地、建物等の実物資産につきまして専門的見地からの検討が行われた結果、実物資産の一部に保有する必要がなくなったと認められるものが生じていることが明らかになっているところでございます。このような不要な資産につきましては、先ほど御指摘がありましたように、独立行政法人通則法の一部改正案を今国会提出しているところでございます。  今後とも、不断に必要な見直しを行っていく必要があると考えております。
  138. 牧野たかお

    牧野たかお君 先ほどおっしゃったのは二百三十四兆円でしたっけ、この数字は多分、年金の基金の部分が入っているんじゃないかと思いますけれども、私が事前にちょっと聞いたところ、これは自民党の資料ですけれども、十七年度末で百三の独立行政法人で百十八兆、多分これに、百兆円ぐらいが年金の運用基金だという話を聞いたことがありますので、それを足した数じゃないかと思いますけれども、その年金の部分は取りあえず除くにして、私が思うのは、要はそういう運用をして行政法人の目的として使うところは分かるんですけれども、本来の業務がそういう年金の運用とか何かとは関係ないような独立行政法人が本当に百十八兆円もの資産がなければ運用が、運用というか、独立行政法人としての仕事ができないというのは、私は何かちょっとぴんとこないんですけれども、それはどうなんでしょうか。
  139. 宮島守男

    政府参考人(宮島守男君) 繰り返しになって恐縮でございますが、先生御指摘のとおり、百兆ぐらいは年金の運用で十八年度に加わっているものでございます。  それから、残りの百兆ぐらいが過大ではないかという御指摘でございますが、繰り返しの答弁になって申し訳ございませんが、そういうふうな観点から、今般の独立行政法人整理合理化計画の策定に当たりまして専門家の意見等も聴きながら必要な見直しを行ったところでありまして、その見直しを、結果をきちっと実行していかなければならないと考えているところでございます。
  140. 牧野たかお

    牧野たかお君 まあ、これ以上聞いても恐らく理解できるまた御答弁ないでしょうから次に行きますけれども、今のお答え、年金の運用の基金は除いて言うと百十八兆円か百二十兆円ぐらいだと思いますけれども、これはあくまでも自民党の資料ですので、正しい数字かどうかは難しいところがございますが。    〔理事神本美恵子君退席、委員長着席〕  行革推進本部に伺いたいんですけれども、独立行政法人の整理を今整理合理化計画をしているわけですが、その中で、独立行政法人の資産のうち売却対象とされた資産の総額は六千九十五億円となっております、一覧表もいただきましたけれども。実は、百二十兆円が独立行政法人の年金基金を除いた資産だとすると、実は〇・五%にしかこの額は当たらないわけでありますけれども、何か私は何か少ないなというか、これしか売却対象にならないのかなというふうに思ったんですけれども、この数字は、まあ御努力をされた上での数字でしょうけれども、果たして本当にこれ以上売却対象になる資産というのはないんでしょうか。
  141. 青木一郎

    政府参考人(青木一郎君) お答え申し上げます。  独立行政法人の保有する資産につきましては、昨年の独立行政法人の見直しの中で、不要となった実物資産は売却あるいは国庫返納を行うという観点から徹底的な見直しを行いました結果、昨年十二月に閣議決定をいたしました独立行政法人整理合理化計画に基づいて、簿価で六千億円を超える保有資産の売却等を行うこととしたところでございます。なお、これまで資産の売却収入のうち売却益の一部しか国庫返納をされない仕組みになっておりましたが、これを改め、簿価部分も含めてすべて国庫返納し財政貢献できるよう、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案を今国会提出をいたしました。  独立行政法人が業務を確実に実施国民に必要なサービスを提供するためには、一定の資産保有は必要であると考えております。しかしながら、今回の六千億円超の資産処分をもって完結するのではなく、独立行政法人の資産について今後とも保有の必要性について不断に見直しを行い、その見直し状況について監事監査、あるいは評価委員会による事後評価におきまして適切にチェックをしていくということも整理合理化には盛り込んだところでございます。さらに、今般の通則法の改正案では、独立行政法人に対し新たに不要資産の処分義務を課すことといたしました。  いずれにいたしましても、独立行政法人につきましては、無駄を徹底して排除し財政に貢献していくよう改革を進めてまいりたいと考えております。
  142. 牧野たかお

    牧野たかお君 そういう方向でこれからも努力をしていただきたいと思います。  それに関連して、今度財務省の方に伺いたいと思いますけれども、最近、財務省では国債及び借入金、いわゆる国の借金の今年三月末時点での全体額を公表しました。それによりますと、国債がおよそ六百八十四兆円、借入金が五十七兆円、政府短期証券が百八兆円の合わせて八百四十九兆円となっております。  この膨大な国の借金の圧縮が急務なのは私は当然だと思っておりますが、その考えに沿っていけば、国の資産の今ある資産の圧縮分は、私は国の債務償還の原資に充てるべきではないかと考えておりますけれども、これまでの資産の圧縮分を国の債務の償還の原資に充てている実績というのはどんなふうになっているんでしょうか。
  143. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 牧野委員のおっしゃるとおりでございまして、我が国の長期債務残高は今先進国の中で最悪の水準となっておりまして、その圧縮が急務となっているわけでございます。こうした状況から、政府としては、基本方針二〇〇六に基づきまして最大限の資産圧縮を進めまして、債務残高の縮減に図っていきたいというふうに思っております。結果的に、二〇一五年度末までに国の資産を約百四十兆円規模で圧縮することを目標として、おっしゃるように資産・債務改革を推進をしているところでございます。  今後とも、国の資産の圧縮、有効活用を図って、資産売却等を通じまして国の財政に寄与してまいりたいというふうに思っております。
  144. 牧野たかお

    牧野たかお君 財務大臣の今の御答弁で方針としてはよく分かりましたけれども、現状をちょっともう一度見てみますと、国立印刷局の場合、もう一度戻りますけれども、この会計検査院の報告書にも書いてあるんですが、十八年度末で資産のうち五百億円近くが国債の長期運用に充てているというふうに書いてありますが、国立印刷局の、こういった独立行政法人で、果たして本当にこの五百億円もの国債の運用というのはやらなければいけないのかというか、その国債を運用しなければこの国立印刷局という独立行政法人は運営できないんでしょうか。何か私は必要じゃないんじゃないかなという気がするんですけれども、その点いかがでしょう。
  145. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。  まず、国立印刷局でございますけれども、確かに金融資産としては五百億円の運用がございます。その財源でございますけれども、一つは、国立印刷局の毎年の事業年度の利益の積立てのほか、その保有しています土地ですけれども、これにつきましては、東京都の都市計画上の要請などによりまして、またあるいは業務の効率化などによって不要となりました土地につきまして売却しましたので、その売却収入がその財源の一部になっております。それで、この金融資産でございますけれども、これ国立印刷局から一定のルールに基づきまして、中期目標終了時期に一部国庫納付をされる仕組みとなっております。また、去年十二月に独立行政法人整理合理化計画におきましては、独立行政法人の保有する実物金融資産につきまして積極的に見直しを行うという方針が固まりました。  そして、もう一つは、先ほども話に出ていましたけれども、現在、独立行政法人通則法の改正が提案されておりまして、資産の売却収入のうち売却の一部しか現在国庫返納できないんですけれども、簿価部分も返納できる仕組みの新しい仕組みの改正法案を今提出しております。  こういうこともありますので、財務省としても、以上を踏まえまして積極的に対処してまいりたいと存じます。
  146. 牧野たかお

    牧野たかお君 分かりました。これからも、なるべくそういう余剰のお金は国へ返納をどんどんしていっていただきたいと思いますが。  独立行政法人全体を所管している総務省に伺いたいんですが、それじゃ独立行政法人全体では国債をどのぐらい保有されているんでしょうか。
  147. 宮島守男

    政府参考人(宮島守男君) 平成十八年度の貸借対照表を基に集計しましたところ、投資有価証券として計上された国債を保有する独立行政法人は四十二法人ございまして、保有額の合計は約四兆八千七百億円となっております。
  148. 牧野たかお

    牧野たかお君 今お答えを聞いてすごいなと思ったのは、実は昨日、私はレクやったんですが、把握していないというふうに総務省お答えされたんですけれども、何で把握していないのと今日聞こうと思いましたけれども、一晩でちゃんと数字が出てくるところがすごいなと思いました。  それだけの国債を運用しているわけですが、これも私は本当に運用しなきゃならないところの機関、独立行政法人は運用すればいいと思っていますが、余剰金を運用しているところが私はあると思いますけれども、そういったところの余剰金は、やはり先ほど申し上げたとおり、今法律の改正を行おうとしていることによってどんどん国に返していただきたいなというふうに思っております。  それでは、もう一つ、これは財務省に、今の話でございますけれども、これから独立行政法人から国へ返納される土地なんかの売却代金また余剰資金の要は返納分でございますけれども、先ほど述べたように、国の債務というのはこれだけ膨れ上がっていると思います。  私は、額の大きさというのは、実際に財政的に重い負担になっているということと、もう一つは、イメージとして、これは一般の方もそうだと思いますけれども、国の借金がもう八百五十兆もあると。それとは別に地方の借金も二百兆ぐらいありますが、実は国は地方の起債の交付税のその後年度措置も約束していますんで、ざっと計算およそすると二百兆円掛ける四〇%ぐらいは、多分八十兆円ぐらいは国が本当は払う私は借金だと思っておりますけれども、そういうのを足していくと、もうすぐ一千兆円になろうとしているというのは、これはすごい。外国から見ても、日本の国内の産業や一般の国民から見ても、この先本当に日本大丈夫かなという一番の私は元凶は、元凶というかその原因は、それだけの数字が、もう膨らんだ数字が見えてきたことじゃないかと思います。  ですので、くどいようですけれども、やっぱり今後、独立行政法人から国へ返納されるお金というのは私は債務の圧縮に使うべきじゃないかなというふうに思っておりますけれども、お考え、大臣、いかがでしょうか。
  149. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) おっしゃるように、独立行政法人特別会計の余剰金については、これは国の借金の返済とか債務残高の圧縮に使わせていただくようにしていくことが大事なことであるというふうに思っております。  元々、今のバブル経済崩壊後の経済構造が、やっぱり国が借金して使わなければだれも使わないという、こういう経済構造自体がまず問題なんであって、もうちょっと企業も国内投資ができるように元気を出してもらわなければならない。本当は、家計のお金を企業が借りて設備投資をして、そういうふうに循環できるような形をどうやってつくっていくか、そういうことを基本的に考えていかなければならないことであるというふうに思っております。
  150. 牧野たかお

    牧野たかお君 それでは、今度は国民生活金融公庫の方に質問を移らせていただきたいと思いますけれども、さっき塚田委員質問をされましたけれども、やっぱり十八年度の決算報告の中で載っておりますけれども、国民生活金融公庫、先ほどのお答えもありましたけれども、これ、数字を見ると、十七年度末が八兆九千八百四十七億円の貸付金残高なんですが、十八年度末は六千四百十二億円も減少していると。その一方で破綻先の債権というのが、千七百五十二億円が十七年度で、十八年度は千八百三十九億円と五%ほど増加しています。このように財務内容が、十七年度と十八年度で比べると国民生活金融公庫財務内容は悪化しているわけですけれども、この悪化の原因はどういうことなんでしょうか。それと、また破綻先の債権の内容はどういったものなのか、まずお伺いしたいと思います。
  151. 薄井信明

    参考人薄井信明君) 破綻先債権の内容をまずお話しいたします。  リスク管理債権の一部ということになりますが、自己査定をした結果、破綻先に区分された融資先でございまして、具体的には、破産、会社更生、民事再生法等の事由によりまして経営破綻に陥っている融資先に対する貸付先でございます。  御指摘のように、公庫の破綻先債権平成十七年度末から十八年度末にかけまして八十七億円増加いたしております。これは前年度に比べまして、一つには経済が悪くなったということだと思いますが、中小企業の倒産が増加したことが反映しているかと思います。もう一つは、国民公庫の特殊性かもしれませんが、国民公庫も金融庁検査を受けるようになっておりまして、その検査を受け、我々は自己査定の精緻化ということをやっていた時期でございます。この自己査定の精緻化によりまして、融資先の状況について厳格な精査を行ったところ、こういう増加が出てきた部分があるということでございます。
  152. 牧野たかお

    牧野たかお君 それと、もう少し長いスパンで見ますと、総貸付残高はその件数、金額ともやはり減少をしている傾向にあります。十八年度と十四年度の比較でいいますと、金額ベースで大体二〇%ぐらい減少しております。特に、通常の小口の事業資金の融資を行う一般貸付け、また無担保と保証人なしで融資を行う経営改善資金というのが毎年減少の一途をずっとたどっております。  この原因、厳しく査定をするようになったんじゃないかというのは塚田さんもおっしゃっていましたけれども、実は私もそう思っていますけれども、原因としてはどういうふうに見られているんでしょうか。
  153. 薄井信明

    参考人薄井信明君) 御指摘のとおり、当公庫の融資実績は近年減少傾向をたどってまいりました。後ほど申し上げますが、本年に入りましてから底を打ってまた伸び始めてはおりますけれども、平成十四年度以降という御指摘で見てみますと、確かに十八年度に向けて減少傾向をたどっております。  この原因を、定量的にはなかなか分析できないんですけれども、定性的に分析してみますと、一つは対象となる小企業の数が減少してきているということが挙げられると思います。一割ぐらい減ってきているんではないかと思います、小企業自体が。  二つ目には、その前の時期は、いわゆるバブルが崩壊し、あるいは金融システムが云々という時期でございましたので、小企業の方々が、企業経営者の方々がといいますか、借入金の圧縮に努めようとすると、なるべく借金しない経営をしようという姿勢に移行されたんではないかなと思っております。先行きについて余り明るい見通しが持てない中で、借金して設備投資をしようという感じではなかったのではないかと思います。  それから三つ目には、それまでの時期には民間金融機関がいわゆる貸し渋りとか貸しはがしということが話題になっていた時期でございまして、この時期になりますと民間金融機関の貸出し姿勢がそのころに比べれば緩和して、民間からも借りられるようになったと。こんなことが重なって、結果としての小企業の資金需要が減ってきたということかと思います。このことは、申込みのレベルで計数を測ってみますと、この申込み自体が落ちてきているということから説明ができるかと思っております。  ただ、最初に申し上げましたように、十九年に入ってから、今年の一月以降は融資が伸び始めております。これを分析しますと、やや景気が悪くなっていて、運転資金を借りないとやっていけないという方が増えてきたのかもしれません。この辺は分析はできておりませんけれども、本年に入って伸びてきておりまして、十九年度に入って伸びてきて、それから二十年度の四月以降もかなり伸びてきているという状況にあります。
  154. 牧野たかお

    牧野たかお君 時間がそろそろなくなりましたので最後に一点だけ申し上げますけれども、国民生活金融公庫というのは本当に身近な公庫でありまして、中小零細業者、零細の業者さんからすれば、本当に身近な金融機関として助けてもらったという意識があると思います。  さっきも出ていましたけど、十月から日本政策金融公庫に統合されますが、やっぱり危惧しているのは、大きくなることによって、今までの機能が要は不十分になるんじゃないかなということをおそれております。  経営目標の一つに、資料では、リスクテーク能力を一層高めと書いてあるんですけれども、これ取り方によっては、要はリスクを負わないという意味だったら何か貸出しの審査はすごくこれから厳しくなりそうだなというふうに取るわけですけれども、統合後、とにかく円滑な資金提供をどういうふうにやっていくか、本当にもう時間ですので手短にお答えを願いたいと思います。
  155. 薄井信明

    参考人薄井信明君) リスクテーク能力を一層高めると私ども言ってきておりますが、これは、公庫が担っている使命に沿いまして目利き力を高めて公庫として積極的にリスクを取っていくという意味でございますので、そういう意味では、お客様にとってはプラスになろうかと思っております。  それから、十月には統合いたしますが、法律によりまして区分経理をすることになっておりますので、国民公庫の今の仕事は、少なくとも事業資金に関しては現在と同様にきめ細かくやっていきたいと思っております。
  156. 牧野たかお

    牧野たかお君 終わります。
  157. 西島英利

    ○西島英利君 自由民主党の西島でございます。  本日は、社会保障のことについてまずは質問をさせていただきたいと思います。  厚生労働省に対して質問をさせていただきますけれども、平成十八年度予算の編成等に関する建議の資料平成十六年五月の社会保障の給付の見通しという推計値が出ております。さらに、平成二十年度予算の編成等に関する建議の資料、社会保障の給付の見通し、これは平成十八年五月の厚生労働省の推計値が出ておるところでございます。  これを読んでみますと、平成十六年の推計値では、社会保障の給付が百五十二兆円と、その中で医療費が五十九兆円、介護費が十九兆円となっておりますが、平成十八年五月の推計値では、社会保障費全体が百四十一兆円、医療が四十八兆円で介護が十七兆円となっておりまして、特に医療が十一兆円もこの二年間で推計値が下がっていると。一番最初が、平成六年に厚生労働省が出されたこの推計値はたしか百四十一兆円、二〇二五年の医療費でございますけれども、百四十一兆円だったというふうに思うんですが、こういうふうな、本当に正しい推計値がこういう形で出されているんだろうかという疑念を持たざるを得ないと思うんですね。  なぜかといいますと、今まさにこの推計値を使って来年の予算はこうあるべしという建議書が財政制度等審議会等から出るわけでございますので、推計値の持つその意味というのは非常に重要だというふうに思いますので、この下がった原因、理由は何かあるのかどうか、お教えいただきたいと思います。
  158. 薄井康紀

    政府参考人薄井康紀君) お答え申し上げます。  平成十六年と平成十八年、委員指摘のように、社会保障の給付と負担の見通しというものをやってございます。その推計の中で、二〇二五年の社会保障給付費の見通しにつきましては御指摘のような差が生じているわけでございますが、その理由でございますけれども、平成十六年から十八年にかけまして、年金、医療、介護と一連の制度改革が行われたわけでございます。平成十六年の推計の方は平成十六年の年金制度改革の要素のみを入れてございまして、十八年の推計は年金、介護、医療の制度改革を全部入れ込んだと、こういうことによる違いと、それから試算時点におきます経済前提の違い、こういったことによりまして先ほどおっしゃられたような数字の相違があると、こういうことでございます。
  159. 西島英利

    ○西島英利君 医療が十一兆円も下がっているというのは、それだけの要因だけでこんなに推計値が変わるものなんでしょうか、もう一度お教えいただきたいと思います。
  160. 薄井康紀

    政府参考人薄井康紀君) 医療給付費の方は、平成十八年の見通し、これは十八年時点ということになりますけれども、制度改革実施前の給付費が五十六兆円、それが四十八兆円と、そこで八兆円ぐらいということがございます。あとは、いわゆる発射台といいましょうか、ベースとなります数字というのを十六年は十六年度予算、それから十八年の方は十八年度の予算と、こういうことを前提として計算した結果こういう数字になっているということでございます。
  161. 西島英利

    ○西島英利君 もうこの質問はこれで終わらせていただきますけれども、推計値が本当に正しいものかどうかというのは非常に重要だと思いますね。  今、これから質問いたしますけれども、平成十八年の予算をつくるときの建議書が財政制度等審議会から出ております。その中で、これだけになるんだからということで様々な抑制策が実はつくられている、この報告書の中に書かれているわけでございます。  その中を読んでいきますと、例えば、来年は恐らく介護保険がターゲットになるだろうというふうに思うんですけれども、この介護の中で見ますと、近年の賃金、物価の動向、事業収入・収益状況等を踏まえ、サービス提供コストを適切に引き下げるとともに云々ということが書いてございます。ところが、特に介護保険の場合は労働集約型産業でございまして、一番大きいのは人件費のはずなんですね。結果的に、その介護報酬を引き下げた結果どういう状況が起きたのかといいますと、御存じのように介護の施設等々で働く方々が次から次に離職をしていく、そして新しく採用しようとしても、とてもそういう人員を確保することができないという状況が起きているわけでございます。  まさしく医療も介護も公的保険の中でやられているわけでございますから、それ以外の部分から収入を得るというのは非常に厳しい状況の中で、本当にこういうような推計値によって、将来こうなるから今からしなきゃいけないんだという、こういう考え方の中で、こういうような介護報酬の引下げ、それから診療報酬の引下げ等々がこういう数字だけで行われていいんだろうかというふうに非常に考えるわけでございます。  さらに、この内容を見てみますと、これは二十年の予算に対する建議書の件でございますが、これを、診療報酬改定のところの内容を見ますと、医療機関等に対し医師等の人件費を始め経費の縮減合理化努力を引き続き求めていく必要があるということで、かなり具体的な内容が書いてあるわけです。特に、開業医の年収は病院勤務医の一・八倍、主に開業医の報酬となっている個人診療所の収支差額も病院勤務医の給与等の約二倍となっているなど大きな格差があると、こう書き込まれております。しかし、これをよくよく検証をしていきますと、例えば診療所の開業医の収支差額、この中からどういうふうな支出があるのかということが全くこれに書き込まれていないわけでございます。  細かいことは申しません、今日はそれがメーンではございませんので。ですから、そういう意味で、まさしくそういう状況の中で、例えば介護の保険あってサービスなしという状況、医療も非常に崩壊に近づくような、そういう状況が起きてきたのではないかなというふうに私自身、実は感じているところでございます。  ところで、この五月の十三日に財政制度等審議会、介護給付の中に、介護給付見直しの影響額の試算というのが示されまして、その翌日にマスコミにも大きく取り上げられまして国民の知るところとなったところでございます。  その資料をちょっと読ませていただきますと、あくまでもこれは機械的な試算ということになっていますが、三つに分けられているんですけれども、一つは、要介護度が軽度の者を介護保険制度の対象外とした場合、幾らの抑制が行われるのか、二兆九百億円と出ておりますけれども。二番目が、要介護度が軽度のものであって、生活援助のみの場合の給付を介護保険制度の対象外とした場合、これは一千百億円の影響。それから三番目が、要介護度が軽度のものの自己負担割合を一割から二割にした場合という形で、これは二千三百億円という形で影響が書かれているわけでございますけれども。  しかし、この介護保険制度をスタートしたときに、一つには、安心して老後が要介護状態になったときにも周囲が支えますよと。もう一つの考え方は、家族が介護していた部分を、要するにこういうサービスによって支援をしていきましょうという考え方でつくられた制度のはずでございます。それの根幹を大きく変えるようなこと、たとえこれ機械的な試算として提出しただけだとおっしゃっても、これ、国民はそういうふうに取るでしょうか。  先日の後期高齢者医療制度が今大変な問題になっているところでございます。あれは決してうば捨て山的な、そういうことをするためにやった制度ではないはずでございますけれども、しかし、大変な誤解の中で、まさしく政府に対してもノーと突き付けられているような今状況が起きている。  そういう状況の中で、たとえこれ、もう一度申し上げます、機械的なと言われても、こういう考え方を出すことによって、これは介護保険の根本的な、根幹的なところを壊す話になっていくんじゃないかなというふうに思うんでございますけれども、このことについて御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
  162. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この点につきましては、西島委員がおっしゃるように、確かにそういう試算が示されたことは事実でございます。  前回のどこかの委員会で西島委員から、財政制度審議会の中で専門家の意見をお聞きになったらどうですかというふうな御提言もありまして、私は早速財政審の中で、お医者さんに来てもらったり、それから介護の問題は市町村がやっておりますから市町村の方にも来ていただいてヒアリングをしたことはあるんです。  その中で、介護の問題について、例えば稲城市長さんが軽度者への給付についていろいろ現場からの視点で問題提起がありまして、今西島委員がおっしゃったような意味のことを申されたわけです。それで、事務的に、機械的に計算をしてみたところ、先ほど言ったような形のデータが出てきたということでございまして、まさにこれは、これがこのまま今後の政策にストレートに生かされていくことではないと。  それから、私は、やっぱり総合的に政策を決定していくときは、確かに金目の問題はありますけれども、金目の問題だけで社会保障制度とか政策の問題をきっちりと決め付けていくことは往々にして間違いが起こる場合があるというふうに思います。そういう意味におきましては、やっぱり、どういう理念で、どういう目的で政策をつくっていくのか、そのときにどういう給付と負担の在り方がいいのか、そういうことを総合的に議論をしていくことが大切であるというふうに思っております。
  163. 西島英利

    ○西島英利君 私も、まさしくそのとおりだろうというふうに思うんですが、こういうふうな資料が公の場に出てきますと大変な誤解を生んでしまうということもありますので、今日質問をさせていただいたというところでございます。  ところで先日、大臣が、大臣がおっしゃったのかどうか分かりませんが、私、テレビで聞いたんですけれども、来年の予算についても、この社会保障費のそのシーリング、やはり二千二百億というお話をなさったように聞いております。  ところで、大臣も御存じだと思うんですけれども、今年の一月二十二日の参議院本会議で我が党の尾辻参議院議員が、社会保障費を削るのはもう限界だと、乾いたタオルを絞っても水は出ないと、是非平成二十一年度の予算ではこの二千二百億円の削減は行わないと約束していただきたいということを申しました。そして、二月の二十六日の衆議院予算委員会で福田総理が、本当の意味における社会保障が成立しなくなってくると、若しくは社会保障の質を下げるということになりますから、おのずと限界はあると思いますと。で、舛添厚生労働大臣は四月七日の参議院予算委員会で、医療制度は国民の安心の最後のとりで、そういう意味では二千二百億円の歳出削減はそろそろ限界に来ているという感じを持っているということを答弁をされております。  そういう中での先日の大臣の二千二百億円のシーリング、やはりこれは維持しなければならないというお話があったわけでございますが、私は立場上それはそれとして理解はできるんですけれども、しかしもう限界に来ていることは間違いないだろうというふうに思いますし、そのときのじゃ二千二百億をどうするのかというのは別の何かお考えをお示しになったようには思いますけれども、しかし来年、介護報酬の改定の年でもございます。やっぱりその仕事に従事されている方々は、今度はまた自分たちかという大変な不安を私は持っておられるだろうというふうに思っております。  そういう意味で、この社会保障はまさしく老後を安心して生活ができると、そのための保障でございますから、やはり高齢者の方々が今一番不安に思っておられること、これに対してどういうふうなお考えを持っていらっしゃるのか、是非お聞かせいただきたいと思います。
  164. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、我々は今、国家政策の柱として、一つは日本の経済を元気にさせなければならない、もう一つは史上最悪のこの借金を抱えた状態を脱出するために財政再建の旗を掲げているわけであります。国民の皆さん方には、やっぱり経済を活性化させた上で、超高齢化社会に対して将来の不安を持っておりますから、この不安をどういうふうに解消していくかが最大の課題であろうというふうに思っております。したがって、政府も今、社会保障国民会議を開いて、これは年金、医療、介護それから社会福祉、総合的に議論をしているところでございます。  それから、財政再建は基本方針二〇〇六に基づいて、これは歳出歳入改革の一体改革を進めてきているわけであります。今、日本の国家運営としてこの基本方針二〇〇六を、どこかの一角を崩していったならば、世界の市場、世界の皆さん方は日本政策をどういうふうに評価をしていくのか、我々はそこのところを考えていかなければならないと思っております。  だから、この二〇〇六の基本方針を国家運営の柱として置く中で歳出歳入改革を図っていかなければならない。歳出面においては、無駄は徹底的に省いていかなければならない。歳出面においては、やっぱり将来の成長に結び付く分野、将来の国民の生活に安全、安心を確保する分野、そういうところにやっぱり集中していかなければならない。そういうことを我々は今課せられていることではないのかというふうに思っております。  もし基本方針二〇〇六を崩していくようなことになれば、日本の国自体の格付は下がっていくと思います。最近、日本の格付が上がってきたのは、この基本方針二〇〇六で日本の国全体が財政再建に取り組むというそういうメッセージが世界に伝わったからであります。  そういう中で、今、西島委員がおっしゃるように、社会保障制度とか、国民の皆さん方にどういうふうに安心を与えていくのか、そしてまた若い世代、現役世代にはどういう希望を与えていくのか、これを私どもは、改革をすることによって政治の責任を果たしていかなければならないというふうに思っております。  幸い、この秋には税制の抜本改革を行って、そして道路財源を一般財源化をするとか、あるいはまた高齢者医療問題も改革というか、見直しを図っていくとか、あるいはまた二〇一一年には国民年金の国庫負担を二分の一にしていくということも国民の皆さん方に約束をしている。そういったものを単発的に一つ一つの政策をやるんではなくて、やっぱり総合的にパッケージとしてこれをきちっと整理をして、国民の皆さん方に将来の社会保障制度の姿はこうなりますよと、その場合の財源はこうですよと、そういうことを議論するのがこれからの政治の課題ではないのかと。  どうぞ西島委員も、この秋に向かって消費税、所得税それから法人税、資産税、そういったことの総合的な議論の中で、国民が求めている政策体系というものをつくっていくことが大事なのではないか。そういうことをお互いに共有していきたいというふうに思っております。
  165. 西島英利

    ○西島英利君 まさしくこの議論は、昨年の参議院選挙が終わった後にする予定であったはずでございますね。それがもう既に一年近く先送りされている。国民に理解を求める、やっぱりそういう議論を早くしていかないことには、限られたパイの中でどうするのかということばかりやっていては、結果的には、先ほどから何回も申し上げましたように、保険あってサービスなしというような状況になって、一度駄目になったものはなかなかこれ元に戻らないわけですね。特に、イギリスがまさしくそれをもう証明しているわけでございまして、介護保険制度も、これは労働集約型産業でございますから、要するに仕事をしていただく人が確保できなければどうしようもないと。この少子化の中で特にそうでございますので、できるだけ速やかにこの税制の抜本改革に取り組んでいただきたいというふうに思っております。  それでは、質問を変えさせていただきますけれども、今回の決算、二〇〇六年の決算の中での特別会計の剰余金について少し触れさせていただきたいと思うんですが、決して私は埋蔵金の話をするつもりは毛頭ございません。剰余金のことについて少し質問をさせていただきたいと思いますけれども、時間がありませんので重立ったことを、ちょっと私の考え述べさせていただいて、最後にまとめて質問を一、二個させていただきたいというふうに思います。  二〇〇六年の特別会計歳入歳出差引き、これ剰余金というふうに考えていいと思うんですが、当初予算では三十二兆四千億円であったわけですね。当初予算で剰余金を出すというのは、これは金利変動とか保険リスクに備える必要があるからでありまして、これは当然のことだろうというふうに思うんですが、ところが決算では剰余金が五十一兆円になっているわけでございます。予算に比べて決算剰余金が十八兆六千億多いわけでございますね。これは、やはり予算を作られるときに決算というものを余り重視されていないためなのではないかなという疑念を持たざるを得ないわけでございます。予算というのは、対前年度の予算に基づいて作られているような気がするんですね。  ここにひとつ資料を見てみますと、二〇〇四年度の決算を見ますと剰余金が六十五兆円出ております。ところが、二〇〇五年度の当初予算は剰余金が三十四兆円です、予算でですね。ところが、二〇〇五年度の決算は、剰余金は六十五兆円出ております。二〇〇六年度を見ますと、やはり当初予算では三十二兆円の剰余金を計上されておりまして、ところが決算では六十六兆円の剰余金が出ているということでございまして、もしその対前々年度のですね、前年度は難しいと思うんですね、すぐには決算出ませんから、対前々年度の決算をきちんと反映されていたんであれば、六十五兆円の剰余金が出ているわけでございますから、二〇〇六年度の当初予算の剰余金はこれぐらいでは、この数字ではないはずでございますね。逆に言えば、これだけの剰余金が、じゃ、どうなっているのかといいますと、これは特別会計の中に積み立てられていっている。これが俗に言う、まあ埋蔵金という言葉がいいのかどうか分かりませんが、そういうような言葉の中で積立金が年々年々増えてきているというような状況が私は起きているんだろうというふうに思うわけでございます。  ですから、そういう意味で、予算を作られるときに、少なくとも対前々年度の状況がどうであったのかということをしっかりと見られた上で私は予算は作られるべきでないかなというふうに思うんですね。もし民間会社であれば、まさしく決算というのが一番の命でございますから、決算の中からいかに無駄を省いていくのかということが非常に民間会社では重要でございますけれども、そうじゃなくて、まさしくこれは機械的だと思うんですけれども、前年度こういう形で予算を組んだから今年もこれで行こうみたいな形での予算編成がなされているのではないかなということを実に感じるところでございます。  これ、もう少しこのお話をさせていただきますと、労働保険特別会計というのがございます。この労働保険特別会計は、労災勘定、労災保険ですね、それから雇用勘定、雇用保険それから徴収勘定から成っておりまして、二〇〇六年度末では労災勘定が七兆八千億、雇用勘定が五兆円の積立金を持っております。特に、雇用勘定の積立金は、二〇〇五年度の三兆五千億から一兆五千億実は増加をしているわけです。どうしてこんなに増加したのかと考えますと、完全失業率が低下をして失業給付費等が対前年度比で九百六十九億円減ったためであるということですが、しかしそれだけではない。この雇用保険料というのは雇用保険三事業というのがありまして、ここの費用も実はここからも支出していると。ところが、これについて天下り云々の問題がありましたので、二〇〇五年の十一月の財政制度等審議会で廃止も含めて見直すべきだというふうな指摘を受けまして、二〇〇六年度には給付費以外の事業費が前年度に比べて九百七十二億円減少したわけでございます。  ですから、削ろうと思えば削れる費用はあるわけでございますが、しかし、ここでその剰余金として出たものがどういう形で使われていったのかといいますと、やはりその中に積み立てられていたり等々があるわけでございます。厚生保険の特別会計でいきますと、二〇〇六年度は決算で三百十九億円の剰余金が出ているわけですね。これはなぜかといいますと、先ほど申し上げたように、前年の予算でその予算を組んでおられますから、剰余金のですね、ですから、そのたびに足りないということで、例えば年金勘定とか健康勘定から繰り入れてきているわけですね。ですから、これだけの剰余金が出ているということでございます。そういう意味で、こういうことをしっかりとしたデータの中で予算を作成していけば、一般会計とか健康保険料とか年金保険料からの繰入れはもっと減らせた可能性があるのではないかというふうに思っております。  そこで、質問を二つさせていただきたいんですが、第一に、やはり過剰な剰余金が出ない仕組みに私はすべきだろうというふうに思っています。ですから、そういう意味では、予算編成時には特別会計にも十分に注目をしていただいて、かつ過去の決算、つまり対前々年度比で結構でございますから、そういうことも重視した中でこの予算はやっぱり組むべきではないかなというふうに思っております。  第二は、剰余金について、できれば原則一般会計に繰り入れていただきたいというふうに思っております。それはなぜかといいますと、先ほどから八百数十兆の借入れが国はあるということでございますから、これは何も必ずしも計画的に返していくのではなくて、できるだけ速やかにそういうものはそちらの方の特別会計の方に繰り入れていただいて、そしてできるだけ速やかに借金を減らしていくということも私は必要ではないかなというふうに思うんですが、これに対して御答弁いただければと思います。
  166. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 先生御指摘のとおり、決算結果を予算に反映する、極めて大事なことだと考えておりまして、財政当局といたしましてもそういうことに努めております。  十八年度決算につきましては、参議院の御要請も踏まえまして早期提出に努め、昨年十一月二十日に国会提出をしたところでございまして、こういった決算を早期提出をして、それに伴って予算編成に資するように前々年度の確定、分析の早期化も可能になっているというふうに理解をいたしております。したがって、平成二十年度特別会計予算につきましても、前々年度の決算の余剰金等の状況も踏まえまして適切な編成に努めたところでございます。  また、剰余金の性格につきまして、特別会計の決算上剰余金の中には、例えば事業の遅延等によりまして年度内に支出が終わらなかったというものもあるわけでありまして、翌年度に繰り越して使わなければならないといったものも含まれておるわけでありまして、引き続き必要な歳出に充てられるものも多く含まれているといったのが現状でございます。  そういった上で、財政当局としても精査を行いまして、いろいろな事務事業に係る歳出を精査をいたしまして平成二十年度予算において約十一・二兆円ということになったわけでありますけれども、これも無駄遣いの排除という観点から改革に取り組んできておりまして、平成十五年度における十四・九兆円から、五年間で約四分の一に当たります三・七兆円の削減が実施をされたということでございまして、これも先生のおっしゃるような決算を予算に反映するというプロセスの一つの効果であると考えておりまして、今後とも引き続き特別会計の歳出につきましては厳しく精査をしていきたいと思っております。  また、先生御指摘の余剰金の処理について、これは原則一般会計に繰り入れるべきじゃないかといった御指摘なんでございますが、これも、余剰金の中には保険料みたいに将来の特別会計の支出に充てる必要があるものもあるわけで、一概にすべて一般会計に繰り入れるということは必ずしも適切でないと考えておりまして、剰余金の性質によりまして、一般会計に繰り入れるもの、あるいは特別会計に残すものと立て分ける必要があるかと思っております。  そういった意味で、平成十九年三月に成立しました特別会計に関する法律におきましては、例えば特別会計の剰余金について、積立金として積み立てる必要のある金額等を控除した残余について、予算で定めるところにより一般会計に繰り入れることができるというルールを作りましたし、また、財政投融資特別会計につきましては、積立金の残高が一定の水準を超える場合に国債整理基金特別会計へ繰り入れることができるという等の規定を準備したところでございます。  いずれにしましても、今後とも特別会計の剰余金等につきましては、各特別会計の状況を勘案しながら可能な限り財政健全化へ活用を図ってまいりたいと思っておりますし、先生の御指摘を踏まえ、極力精査し努力をしていきたいと考えております。
  167. 西島英利

    ○西島英利君 もう時間参りましたのでこれで終わりますけれども、やっぱり私が今質問しましたことについては、是非来年度予算に反映できるようにお願いを申し上げたいと思います。  終わります。     ─────────────
  168. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、植松恵美子君が委員辞任され、その補欠として牧山ひろえ君が選任されました。     ─────────────
  169. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、国民生活金融公庫の貸出態度、あえて私は、貸し渋りがあるのではないか、こういう問題意識で質疑をさせていただきます。  昨年の夏のサブプライムローン問題以降、民間金融機関が非常に貸出しが厳しくなって優良貸出先に選別をすると、こういう中で、政府金融機関が、政府からの要請もあり健闘しておるということは承知をしております。それが、先ほどからありますような、昨年の前半以降、フローでは国金も貸出しを増やしておる、こういうことに現れておるかと思います。  この問題は、やはり中小企業向け貸出しの九割は民間の銀行ですから、この民間の金融機関が本当にこういうときこそリレーションシップバンキングとしての機能を果たさなければ、今のこの中小企業が資金繰りが苦しいという状況改善をしません。したがいまして、このことは私も引き続き財政金融委員会で取り上げていくわけでありますけれども、その上で、あえて国金に対しても私は申し上げたいといいますか、要請をしておきたいんです。  それは、私の地元の事務所あるいは同僚の地方議員のところにも、国金を始め公的金融機関政策金融機関に関する相談というのは多々あるわけでありますけれども、押しなべて今そうした議員が言っていることは、最近なかなか国金も貸してくれなくなったということを言っております。うちの事務所にも、地元事務所にも小規模事業者からの相談が多いわけですから国金の支店を紹介をするというケースが多々ありますけれども、秘書に聞いてみますと、年々この貸出しが厳しくなっていると言っています。昔はそうやって紹介をしますと大体半分ぐらいは貸してくれたものですけれども、今はもう二割ぐらいしか、あとはもう却下されてしまうということです。  もちろん、直接国金の支店に行けば貸してくれるような人は相談に来られませんから、うちに相談があるということは、なかなかそういう厳しい方が来られていることはもうもちろん前提ですけれども、それにしましても年々厳しくなっていって、これはやはりこの十月の日本政策金融公庫への統合を控えて、財政健全化、健全化、財務内容の健全化ということにもう頭がいっているんではないか、そういう感じもいたします。  それで、私の事務所は名古屋にありまして、相談に来る方はもう全員愛知県の方なんですね。ですから、仕事がなくて資金繰りが苦しいという方はいないんです。もうほとんどの方は仕事はあるんです。もうずっと先まで仕事は入っているけれども、なかなか資金繰りが苦しい。  それは、去年の建築基準法の改正によります建築確認が遅滞をしておるですとか、あるいは原油高の問題もありましょうし、あるいは特殊要因としてはこの四月の暫定税率失効に伴う公共事業の見送りということもあります。様々でありますけれども、仕事はみんなあるんですから、何とかもう少しリスクを取って貸してくれればなというふうに、私もいろいろそういう話を聞いておると感じるところが強いものですから、今日は、先ほどの先行委員質問とも重複しますけれども、薄井総裁にお尋ねを、また要請をしたいところでございます。  そこで、公庫における貸付制度は、中小企業向けの普通貸付け、そして生活衛生資金貸付け、恩給担保貸付け、また教育資金貸付けに大別をされるということであります。報告によりますと、十八年度末の貸付残高は二百八十六万三千件、八兆三千三百四十五億円ということでございます。  そこで、国民生活金融公庫が立てている貸付計画に対する総貸付実績の割合で見ますと、これは平成十四年以降、年々下がってきておりまして、この貸付け、この目標の金額に対する実績ベースで八三%、これは件数のあれですね、済みません、金額ベースで八三%、八四%、七四%、七〇%、七〇%ということで減少してきているわけであります。  こういう形で、なかなかそういう目標を達成できないのはなぜか。あるいは、先ほども質疑がありましたけれども、この貸付残高ということを見た場合、年々これが減少している原因は何なのか。先ほど御答弁がありましたので、もう簡単でいいんですけれども、そういう中に、私は、そういう外部の企業の数が減ったとか、銀行が頑張るようになったとか、そういう要因に加え、国金の方もやっぱり厳選といいますか、絞るようになってきたというのがやはりこの原因にあるのではないかと思いますけれども、総裁、いかがでしょうか。
  170. 薄井信明

    参考人薄井信明君) 国民金融公庫の融資のフローあるいはストックが平成十四年から十八年度を見ますと下がってきているという御指摘はそのとおりでございまして、その理由については先ほど御説明したので重ねて申し上げませんが、やはり、経済の状況が全体としては回復基調にあるとはいえ、小企業をめぐる経済状況というのは余り良くない状況が続いております。  したがいまして、申込みに来られる方に対してどう対応するかというときに、返済の可能性ということを考えざるを得ないものですから結果的に落ちてくる。申込みも落ちているし、その中で、貸付けの比率という意味ではそれほど変わっていないんですけれども、絶対値としては落ちてきているということが言えるかと思います。  なるべく私どもは、目利き力というものを使って、財務諸表なりそういう形式的なものだけで判断せずに、その御本人の意欲とかそういうものを考えて御融資したいとは思っておるんですけれども、いろいろなケースがあろうかと思います。その辺は御理解いただきたいと思います。
  171. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、ちょっと別の観点から見ますと、申込みの件数も減っているということですけれども、じゃ、申込みに対してどれだけ貸付けを行っているかという、打率といいますか、先ほど、うちに相談に来るのはもう二割しか貸してくれないと言いましたけれども、全体で見るとそんなことはないんですけれども、中小企業向けの普通貸付けを見ますと、まずマル経融資といいますか、経営改善貸付けですね、これはほとんどが貸付けを行っていると。これは当然、商工会ですとか商工会議所を経由してくるわけですから、その時点でふるいが掛かっていますから、これはよっぽどのことがなければ却下されませんわね、これは当然ですけれども。  そうじゃなくて、通常我々が御紹介するような通常の小口融資であります貸付け、一般貸付け、あるいは若干政策融資的な面で有利な貸付条件になっている特別貸付け、こういうもので見ますと七割しか貸してくれていないという状況ですよね。だから、最後の駆け込み寺ということで行くわけですね。銀行で貸してくれる人はもう来ないわけでして、最後の頼みの、頼りの綱ということで来る方ばかりですのでね。  それで、私も言いましたように、少なくとも愛知県で見ておれば、仕事があるけれどもなかなかお金が回らないという方ばかりですから、七割ということはないのではないかと。もう少し目利き能力を付けて、しかもある程度リスクは覚悟してでも、もう少しそういう申込みに応じていくのが政策金融といいますか、特に国金というのは小口の、百万円以下も含めてそういうお金を借りに来る窓口なんですから、もう少し困っている人に貸してあげられるような対応はできないんでしょうかね。
  172. 薄井信明

    参考人薄井信明君) 御指摘のように、金額ベースで七割という数字が出ておりますが、これは件数でいいますと約八割でございます。その場合は、そのお申込みの金額を少し下げていただいて御融資するということが行われているということをこの数字は反映していると思います。  マル経資金、経営改善資金の場合は、御指摘のように指導員が指導していますと。そこのスクリーンを通っているがゆえに数字は高いんですけれども、一般の貸付けについて見ますとどうしてもいろんなケースが出てくると。この数字の上で八割、二割の数字がどうしてそうなるかということの一つの要因は、受け付けた途端に私ども受付としてカウントするんですけれども、そのお客様自身が、例えば新規開業の方であれば、それほど内容まで詰めないで、そのことも含めて相談したいということで来られるケースがあるんですね。これがほとんどとは申し上げませんけれども、まずは受け付けて、その上で我々対応すると。そうしますと、もう少し事業計画を練ってくださいとか、あるいは地方公共団体に一緒に申し込んでいて、そちらとの関係をどう調整するかと、そういったものもこの落ちていく二割とか三割の中に入っていることも事実でございます。  とはいえ、なるべく目利き力を利かせて御融資すべきだということは御指摘のとおりですので、一方で、金融ですから、御返済がどうしてもこれは無理な計画だなというときにはお断りせざるを得ないとは思いますが、それが大丈夫だろうと思われる方をなるべく見付けて努力していきたいと思っております。
  173. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 国金の経営方針を見ますと、お客様へのサービスを第一に、民間金融機関では対応の厳しい分野で小口融資や創業支援等を行うということが挙げられております。  そこで、今のことも踏まえて、この中小零細企業への円滑な資金供給を更に行っていくためにどういう措置を今後講じるおつもりか、お尋ねいたします。
  174. 薄井信明

    参考人薄井信明君) 今日も御議論いただいておりますように、この十月には統合いたします。それに関してといいますか、統合すると厳しくなるんではないかということも含めて関係者の皆さん御心配されていることは私どもよく承知しておりますので、今まで以上に私ども、小企業の皆様のために役立つような金融をしていくように努めていきたいと思っております。  また、法律によりまして他の公庫の業務との関係は区分経理されますから、私どもは小企業向けの小口融資というものの専門店としてできるだけの対応をしてまいりたいと思っております。
  175. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に財務大臣に、指摘をさせていただきましたけれども、国金も奮闘しているとはいえ、ややそういう貸出しが厳し過ぎるという経営体質があるのではないかという点、また、今後十月に日本政策金融公庫に統合されるわけでありますけれども、そういう中でどういう役割を果たしていかなければいけないのか、こうした点につきまして、監督官庁としての、所管大臣としての見解をお尋ねいたします。
  176. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の御議論を聞いておりましたけれども、国民生活金融公庫が担ってまいりました中小零細企業の資金調達の支援機能というものは政策金融として極めて重要であります。この秋から発足する日本政策金融公庫にも、しっかりと継承をしていってもらいたいというふうに思っております。  国民生活金融公庫においても、こうした考え方の下で、民間金融機関の融資を十分に受けられない小規模企業に対しまして安定的な資金供給の確保に努めていただけるものと思っております。財務省財務大臣としても、そういう円滑な融資機能が働くように指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  177. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 国金の分は終わりましたので、委員長、総裁は、私、退席していただいて結構です。
  178. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) どうぞ。
  179. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、先ほどもございましたけれども、国会における随意契約の見直しにつきまして、まず会計検査院にお尋ねいたします。  これは、参議院からの検査要請を受けまして会計検査院検査をしていただいたわけでございますが、その中で、随意契約とした理由の妥当性に関して検討の余地があった契約が、各省庁全体で六百一件、国会については三十五件、五億六千万円が該当をするということが指摘をされました。  この中で、今日は参議院についてどういう指摘をしたのか、また、十九年次の会計実地検査の結果、その後見直された件数、措置済み件数、あるいは措置未済、措置予定なしの件数につきましても併せて御報告をお願いします。
  180. 高山丈二

    説明員(高山丈二君) お答え申し上げます。  委員質問国会に係る三十五件の随意契約の内訳についてまず申し上げますと、衆議院が十九件、契約金額で三億千二百七十三万円、参議院が十四件、二億千二百八十九万円、国立国会図書館が二件、三千五百八十四万円でございます。  これらの事態について主な内容を申し上げますと、参観者に対する案内等の業務でありますとか、あるいは機械設備の保守点検業務、さらには職員の健康診断業務等について、契約の相手方が知見、技術あるいは信頼性等の面から唯一の者であるとして随意契約を締結しているものであります。  これに対して、本院は、これら三十五件の随意契約につきまして、他の業者でも実施できるということから競争契約が可能であるとしているところでございます。  次に、これら三十五件の契約に係る十九年八月現在における見直しの状況について申し上げますと、衆議院では、十九件のうち競争入札に移行したもの八件、措置未済のもの九件、十八年度限りの契約二件となっております。また、御質問の参議院では、十四件のうち競争入札に移行したもの五件、措置未済のもの八件、十八年度限りのもの一件となっております。さらに、国立国会図書館では、二件のうち競争契約に移行したもの一件、措置未済のもの一件となっております。  本院としては、今後、これらの見直し状況などについて引き続き検査実施しているところでございます。  以上でございます。
  181. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今日は小幡事務総長にもお越しいただきまして恐縮でございます。  そこで、この随意契約の見直しということは、国全体で、これは裁判所まで含めてやっている話でございますけれども、国会に係る契約状況、十八年度実績を見ますと、この契約全体のうち競争性のない随意契約は金額ベースで、参議院は七一%、ちなみに衆議院は七五%、国会図書館は六二%ということですけれども、いずれにしましても、全省庁平均の三六%に比較して極めて高い割合を示しているわけでありまして、これは今の指摘も、検査院の指摘も踏まえて改善をしなければこれはいけないというふうに思います。  これにつきましては、その適正化といいますか、改善に向けてどう参議院として取組をされていくのか、御報告を願います。
  182. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) お答えいたします。  先ほど検査院から御説明がありました点でございますけれども、随意契約、指摘のありましたものは、十八年度において十四件、金額にいたしますと二億一千二百八十九万円でございましたが、先ほど御説明ありましたとおり、十九年度におきまして七件を競争入札に移行しております。また、残る案件につきましても、二十年度におきましてすべて一般あるいは指名競争入札とすることにいたしておりまして、御指摘を踏まえ、見直しを図ってきたところでございます。  また、お話ございました参議院における平成十八年度の契約状況でございますけれども、御指摘のとおり、競争性のない随意契約は金額ベースで七一%を占めてございます。  その主なものを申し上げますと、議案類の印刷あるいはJRパス、航空クーポン券に係る契約等でございまして、これらは契約の性質、目的が競争を許さないことを理由として随意契約としております。これらの契約額は高額なものとなっておりますので、そのことが随意契約の金額ベースの割合が高いものとなっている主な要因であると考えております。  その上で、先生御指摘のとおり、更に契約の見直しを進めなければならないという認識を持っておりまして、具体的には、随意契約によることが真にやむを得ないというものを除きまして、現在随意契約としているものにつきまして可能なものから一般競争入札に移行するということは当然でございますけれども、直ちに一般競争入札に移行することが困難なものにつきましては企画競争を実施するなど、競争性の担保を図ってまいります。また、リース契約など複数年にわたることが前提となる契約に関しましては、国庫債務負担行為を活用するということも検討してまいりたいと思っております。  なお、本年三月でございますが、入札契約の手続等の透明性を確保し、かつ公正な競争を促進するために、外部の有識者から成る参議院契約監視委員会を設置したところでございます。本機関における御議論も踏まえつつ、契約のより一層の適正化に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  183. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非、進めていただきたいと思います。  もう一つだけ具体的に聞いておきますと、今議員室にはパソコンが二台、プリンターが入っておりますけど、これも来年から全部入れ替えて、パソコンももう一台増えるということになっていると承知をしております。  これは、今は随意契約でやっているということですけど、かなりこれは金額になるはずですね。ですから、来年度の入替えについてはそういう競争性のある方法で考えるべきだと思いますけど、これはどうされるんでしょうか。
  184. 小幡幹雄

    事務総長(小幡幹雄君) 御指摘の件につきましても、一般競争入札を行うこととしております。
  185. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 事務総長はもう私、結構でございますので。  最後に渡辺金融大臣に、これも検査院の特定検査対象ということで、住専という、もうかなり前の話のような気がいたしますけれども、まだこれは処理が済んでいないわけですね。  これは言うまでもなく、平成八年の六月、住宅金融専門会社、特定住専の一次損失を一部処理するために公的資金六千八百億円を投入したわけでございます、そのとき我々は大反対をしたということを思い出しますけれども。その後、整理回収機構が特定住専から譲り受けた債権等六兆一千億円の回収を強力に進めました結果、十八年度末に回収益二千六十九億円を大きく上回る二次損失が、十八年度末で九千五百七十三億円が発生をしておるということでございまして、これは、最終的に二次損失というのは二十三年十二月に確定をするということでありますので、このまま行きますと二次損失ということで新たな国民負担もこれは生じるという、そういう蓋然性が高いわけでございます。  そこで、まず大臣に、金融庁にお尋ねをいたしますが、会計検査院によりますと、十八年度末の特定住専からの譲受け債権等の残高は八千百六十九億円となっておると。要するに、回収した分、また貸倒れの処理をした分を除いて八千百六十九億円を残しているわけでありますけど、当然この段階で残っているというのは、回収可能な資産は少ない、このように思料されます。これに対して、整理回収機構の住専勘定では、十八年度末で貸倒引当金を四千四百七十八億円、譲受け債権等の残高の五三・二%を計上しておるということでございます。  これは十八年度末の数字でございますけれども、十九年度の中間期なのか、あるいは年度末なのか分かりませんが、その段階での譲受け債権と、また貸倒引当金の状況がどうなっているのか。そしてまた、この八千百六十九億円についての今後の回収の見通しについてはどういうふうに考えているのか、御説明を願います。
  186. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。  今お尋ねの点につきましては、まだ十九年度末につきましては今、決算確定作業中でございますので、あいにく数字は出ておりませんが、中間期の数字を申し上げますと、平成十九年九月末現在でのまだ残高というのが七千七百五十一億円ございます。これに対して貸倒引当金が四千二百九十四億円でございますので、先ほどの比率で申し上げますと、残高に対しては五五・四%というような比率になろうかと思います。  今後の回収の見込みということでございますが、この辺はなかなか不確定要素が多うございますので、見通しを立てるということについて確固たることは申し上げられませんが、やはり貸倒れ引き当ての率も高うございますので、そういう面では回収、なかなか難しいという面もあろうかと思います。しかしながら、RCCにおきましては国民負担最小限に向けて最大限の努力をしていくというふうに伺っております。
  187. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、この二次損失につきましては民間も、金融機関も半分負担をすると。半分は国民負担になってきてしまうわけでございますけれども、この二次損失を補てんをする民間負担の原資というのは、この住専基金に金融機関が積立てをした基金の運用益から充てておるということでございます。しかし、もう超低金利でございますので、なかなか運用益は出ていないようでありまして、この基金からそうした二次損失に交付をした額は、十八年度では六十七億円にとどまりまして、この累積を、累計で見ますと、十八年度末で三千四百十二億円が、本来その運用益を繰り入れるべきものができていないと、こういう状況でございます。  したがいまして、国民負担とともに、将来この二次損失の二分の一をこの基金の運用益助成金で賄えないということが蓋然性がこれも高いわけでございますけれども、これについてはどのように監督当局として処理といいますか、対応していくんでしょうか。
  188. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。  この運用益、住専基金の運用益をもって、この基金の助成金という形であてがうわけですが、おっしゃられますように、この運用益というのが非常に小さくなってきているということでございます。十九年度の実績が出ておりますので申し上げますと、運用益が百三十四億円ということでございます。運用利回りでいいますと一・四七六%という数字でございますが、これがいわゆる民間負担分に充てられるということになるわけでございます。  しかしながら、これらを入れましてもやはり二次損失の二分の一の相当分を賄えないんではないかと、こういうお尋ねでございます。その場合にどうするかということでございますが、いわゆる住専処理法におきましては預金保険機構の運営委員会、この議決を経た上で、この金融安定化拠出基金、これ自体から助成金を交付するということもできるようなことになっております。そういう意味では、もし仮に将来この運用益だけでは賄い切れないという状況になった場合には、その元本を取崩しということも、法律上は道が残されているのかなというふうに思っております。
  189. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、大臣にお尋ねいたします。  そうした状況で、二次損失についての国民負担が生じかねないということを前提に、会計検査院も特定検査の中でこのように指摘をしております。また、各年度に生じた回収益の額と合わせて各年度に生じた二次損失の額やこれらそれぞれの累計額を財務諸表等で公表するなどして、特定住専の処理に係る情報を国民に対して積極的に提供していく必要がある。そして、預金保険機構、整理回収機構、関係省庁等の関係者は、譲受け債権等に係る最終処理についての検討を適時に行っていくことが望まれる、こういうことを指摘をしておるわけでございます。  したがいまして、最後に大臣に、将来的に国民負担となり得る額を試算、公表する等、こうした検査院の指摘にはしっかりと対応していかなければいけないと思いますけれども、見解をお尋ねいたします。
  190. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 住専処理のロスシェアリングのシステムの中で、先ほど来申し上げておりますように、運用益が非常に小さくなってしまったという現実がございます。  それでは、住専債権は法律上回収期限はいつかといいますと、御案内のとおり、平成二十三年をめどとしております。そういたしますと、現時点で将来的に国民負担となる額の見通しを出すというのは非常に困難ではないかと思います。住専勘定の二次ロスの金額については、国民に対して積極的に情報提供をしていく必要もございます。RCCの十九年度中間決算で預金保険機構及びRCCにおいて公表しているところであります。RCCにおいては、国民負担の最小化に当然寄与していかなければなりません。引き続き、回収に最大限の努力を行っていく必要がございます。  また、御指摘会計検査院決算報告に対しては、金融庁としても検査院の所見を踏まえて今後適時適切に対応してまいります。
  191. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  192. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  まず、要介護認定者の障害者控除についてお尋ねしたいと思うんですけれども、私どもは、家計に対する税や保険料の負担が厳しさを増す中で、障害者手帳がなくても六十五歳以上の高齢者で障害者に準ずると市町村長などが、認定を受けた方は障害者控除を受けることができるというこの制度が受け得る方にきちんと周知をされるように、そして申請がかなうように求めてきたわけでございます。この間、個人通知に取り組む自治体も広がってまいりまして大変喜ばれているところなんですが、対象となり得る方々が申請が現実にできるように、大臣政府としても一層の取組お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  193. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この問題については、おっしゃるとおり、所得税法上、障害者控除の対象となる障害者とは、知的障害者、精神障害者、身体障害者のほか、年齢六十五歳以上の者で、これらの障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者などとされておるわけでございます。市町村長等が行う障害者に準ずるものに該当するかどうかの認定についての周知については、それぞれの市町村で判断をして行っていってくれているものと思っております。  おっしゃるようなことで、国税当局におきましても、従来から確定申告において使用する確定申告の手引とか国税庁のホームページなどにおいて周知をしているところでございます。  今後とも、委員のおっしゃるような方向で周知に努めてまいりたいというふうに思っております。
  194. 仁比聡平

    仁比聡平君 そこで、厚生労働省に改めての確認になるんですけれども、お願いしておきたいんですが、寝たきりでなければ障害者控除を受けられないというようなものではないと、この制度は。いかがでしょう。
  195. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  この障害者に準ずる方の認定につきましては、市町村におきまして、その方の個別の状況に応じて、判断基準に該当するということであれば認定するということで、必ずしも寝たきりでなければならないということではございません。
  196. 仁比聡平

    仁比聡平君 例えば身体障害者に準じる方で考えますと、例えば障害六級というのは一下肢の足関節の機能に著しい障害がある場合というようなことになろうかと思うんですけれども、つまり、寝たきりというような重度の身体的な障害やあるいは認知症というような状況でなくても、この障害者に準ずるものとしてこの認定を受けるということは当然あり得るということだと思います。いかがですか。
  197. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  おっしゃられるとおりでございまして、例えば、お話にございましたけど、障害六級という場合には一下肢の足関節の機能の著しい障害ということが要件になっておりますので、それに該当すれば六級に相当するということで、準じるということで認定がされるということでございます。
  198. 仁比聡平

    仁比聡平君 六十五歳以上の高齢者ということになりますと、介護保険法上の要介護認定を受けていらっしゃる方も多くおありで、制度としては、これは違う別の制度ということですけれども、現象的には重なるところもあるわけでございます。  これまで国会で、厚生労働省から、要介護認定に係る情報をこの障害者控除の認定に当たり参考にして判断をするとか、あるいはその判断の材料の一つになり得るといった御答弁をいただいておりますけれども、これはそのとおりですね。
  199. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  障害者に準ずるものの判断ということにつきましては、市町村におきまして、その方の個別の状態に応じて判断されるべきものであるというふうに考えておりますが、個別の認定の際に市町村が要介護認定に係る情報等を参考として障害者に準ずるものと判断することはあり得るというふうに考えております。
  200. 仁比聡平

    仁比聡平君 そういたしますと、この障害者控除の認定に当たって、私、ちょっと相談を受けたことがあるんですけれども、医師、ドクターの新たな診断がないと受け付けてもらえないというようなことが本当にあるのかという相談を受けたことがあるんですけれども、新たなそういったドクターの診断が不可欠だということには到底ならないと思いますけれども、いかがでしょう。
  201. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答え申し上げます。  障害者控除の適用対象となります障害者に準じるものの認定につきましては、先ほど来御答弁しておりますように、申請者の障害の程度に応じまして市町村が個別に判断すべきものでございます。具体的な認定の方法の例といたしましては、医師の診断のほか、職員による調査や身体障害者、知的障害者の判定を行っている機関による判定など、市町村が適当と考える方法によるべきものであるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、障害の程度が同程度である方については同じ税制上の障害者控除の取扱いとすることが公平でございますので、認定の方法につきまして、市町村においてあらかじめ方法を定めておくということが適当ではないかというふうに考えております。
  202. 仁比聡平

    仁比聡平君 ですから、私が申し上げているのは、その医師の診断、新たに医師の診断をすることを不可欠とするというようなものではないでしょうと、医師の新たな診断がなければ全国どこでもあり得ないという制度の御理解ではないでしょうということです。
  203. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げました医師の診断のほか、職員による調査や身体障害者、知的障害者の判定を行っている機関による判定などという認定方法の例につきましては、平成十四年八月一日付けの事務連絡、老齢者の所得税、地方税上の障害者控除の取扱いについて、というもので示しておりまして、その例に従って市町村の方で適切に方法を定めるということでございます。
  204. 仁比聡平

    仁比聡平君 はっきり答えられないんですけど、医師の診断は不可欠なんですか。
  205. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答え申し上げます。  医師の診断につきましても例示をされておりますが、それ以外に、職員による調査あるいは身体障害者、知的障害者の判定を行っている機関による判定なども例示されておりますので、適切なものをそれぞれの市町村において選択して定めておられるというふうに承知しております。
  206. 仁比聡平

    仁比聡平君 つまり不可欠ではないんですよ。私の度重なる質問にも不可欠だというふうにはもちろんおっしゃらないということで、うなずいていらっしゃいますから、もうこれ以上、何かその答弁メモがそれ以上動かないのであれば仕方がないからもうこれ以上聞きませんけれども。  そうしますと、寝たきりじゃなきゃ駄目だとか、あるいは寝たきりじゃなければならないのでそうでない方の申請は最初から受け付けないとか、窓口に申請に相談に来られた方に新たなドクターの診断が必要ですと言って初めからその申請の相談に応じないとか申請書を渡さないとか、こういった扱いが現場であれば、今の御説明からしますと大変狭い、申請をしようという高齢者にとっては厳しいものになると思いますけれども、御感想はいかがですか。
  207. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) 障害者に準じる方の認定につきましては、先ほど来御答弁しておりますように、市町村において個別の申請に応じて適切に判断されるべきものでございますけれども、申請書類が提出されて、それに基づいて判断されるべきものであろうというふうに思っております。あくまでもその基準に該当すれば認定をされるということでございますので、その基準以外のことについていろいろ条件を付けるというようなことは必ずしも適切ではないというふうに思っております。
  208. 仁比聡平

    仁比聡平君 今おっしゃられるように必ずしも適切ではないということなんですが、これ実際に私の地元の福岡市の方では、どうもこの寝たきりだけが対象だというような扱いがされているのかもしれないなと思われる気配があって、そうしますと、そもそも申請できないし、申請しないというような悪循環が広がっているようで、昨年度、平成十九年度も、ずっと低いんですけれども、百五十八件の方しか認定をされていないと。これ、個人通知が取り組まれているような、そういう自治体の状況伺いますと、何千人といった形で、そういうオーダーで認定が実際にされているようでございまして、今、今日お話を伺っていて、改めてよく市にも聞いてみたいなというふうに思っているところでございます。  この関係質問は以上でございますので、額賀大臣始め財務省そして厚労省の皆さん、御退席いただいても結構でございます。  金融庁に、続きまして、保険をめぐる消費者被害と対策の問題について残りの時間お尋ねしたいと思うんですけれども。  生命保険、損害保険をめぐって不払や保険料の取り過ぎなどの消費者被害やあるいはその苦情、これが急増しているという関係の事実が例えば今週も朝日新聞等々でも報じられておりますし、国民生活センターなどのホームページを拝見をいたしましても、この急増する、激増すると言っていいと思うんですが、相談に随分御奮闘いただいているというところかと思うんですね。  こうした被害や苦情の急増をどのように金融庁として認識をしておられるか、まず渡辺大臣にお尋ねいたします。
  209. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 平成十七年以降、各保険会社で御指摘の保険金の不払、支払漏れ、保険料の取り過ぎといった問題が出てまいりました。  これまで明らかになった不払や支払漏れの大きな要因としては、各保険会社が、入口である保険の募集から出口である保険金支払まで商品の特性を踏まえた適切な管理体制が整備されていないまま商品を開発、販売してきたことが考えられます。  金融庁では、これまでこうした不払等が認められた保険会社に対して、業務改善命令など、保険金支払管理体制の整備など各種の再発防止策の策定、実施を求めてまいりました。迅速かつ適切な顧客対応を求めてまいりました。金融庁における業務改善命令を受けて各保険会社とも、この問題に対する一連の対応の中で保険金支払体制等についての業務改善が進みつつあると認識をいたしております。
  210. 仁比聡平

    仁比聡平君 業務体質の改善が進みつつあるという御認識を今おっしゃったんですけれども、そうすると、昨年度も一昨年度よりも相談が激増していると。例えば、朝日新聞のその記事によりますと、社によっては倍増しているとか、五倍とかいうようなたしか社もあったような思いがありますけれども、そうやって急増している、相談や苦情が。これはどう受け止めているんですか。
  211. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 生保協会とか損保協会などに相談、苦情が増加傾向にあるということは分かっております。一連の保険金不払の問題がございまして、こうしたことが世間の注目を集めたと。契約者の問題認識が高まっているということもその背景の一つであろうかと思います。  一方、保険会社はこうした問題に対して業務改善を進めているところでございます。その一環として、お客様への説明体制や苦情相談体制の充実にも取り組んでいるものと思います。お客様に対して十分な説明を行うことや適切な苦情相談処理を行うことは顧客保護、利用者利便性の向上につながるだけでなく、各保険会社における苦情の的確な把握やその発生原因の分析などを通じて一層の業務改善に資するものだと考えます。
  212. 仁比聡平

    仁比聡平君 何か渡辺大臣らしくない御答弁ぶりだと、何か委員会室みんな思っている感じがするんですけれども、もっとずばっとおっしゃるんじゃないんですか、渡辺大臣、いつもは。何だかどうしてこの問題になると、まあ今日は一連そういう感じもするんですけれども。  相談者といいますか、契約者の方の、国民の側の認識がそういう不正事案があったりするから広がって、それで相談が増えているのではないかという認識を途中で示されたんですけれども、これトラブルがないという方が相談するはずないでしょう。  この相談が激増しているというのは、今の大臣言葉じりをとらえるようで申し訳ないけれども、それならこれまで、これまで泣き寝入りをしてきた方がどれだけ多かったかということのあかしなんじゃないんですか。そこについての認識はあるんですか。つまり、保険をめぐる被害がこれまでだって大変だったんですよ。だけれども、これが今激増する苦情や相談という形で極めて深刻な事態になっていると、消費者被害は後を絶つどころか深刻さを増していると私は思いますけれども、そういった認識はありますか、大臣。何で、何で局長なんですか。大臣でしょう。
  213. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 大臣大臣の認識を聞かれたようですが、渡辺大臣
  214. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) こうした不払等の問題が大変な注目を集めました。金融庁としても、こうした不払等の問題に対して業務改善命令等を通じて改善取組を促してまいりました。各保険会社においても苦情相談の処理に対して最善の努力を尽くすよう当局としても求めてきたところでございます。  そうしたことから、数の上でこうした相談、苦情等が増えたということも言えようかと思います。
  215. 仁比聡平

    仁比聡平君 歯切れが悪いですね、本当に。  少し具体的にお尋ねします。  この保険契約は、法律的には付合契約の典型というふうに言われておりまして、これはつまり、契約の内容が一方当事者によって事前に作成され、その契約内容で契約を締結するかどうかのみをもう一方は選択することしかできないと。つまり、保険会社が作った保険商品、これを消費者はどれがいいかなといって選ぶしかないという、そういう特徴を持っているわけですよね。先ほど、募集から支払までの入口から出口までというふうにおっしゃいましたけれども、その保険契約や、あるいは市場というようなところの環境というのはこういう特徴を持っているわけです。  ちょっと調べておりまして、改めて、ああこういう重大な事件があったなと思ったのは、五年前、平成十五年の五月九日に公正取引委員会が、日本生命のニッセイがん保険EXという商品について、これ商品としては、がんと診断確定された日からしか支払われないのに、あたかも、がんの疑いがあるとお医者さんから言われて入院を指示され、入院中に診断確定がした場合も、入院の一日目にさかのぼって入院給付金が支払われるかのような、そういう表示がされていたということで、排除命令を公正取引委員会からされているんですね、この日に。  このときに公取が、併せて保険商品の新聞広告などでの表示がどうなっているかというのを調査をして、これ報告を詳しくしているんですけれども、例えば責任開始時期だとか、告知が必要かどうかとか、例えば加入時に告知必要はありませんといって大きく新聞記事に書いてあったり、広告に書いたりする広告あるわけですよね。だけれども、実際にはその加入前の病気に基づく保険金をめぐっては、これは大変なトラブルが起こるということになります。そういった数々の不当な不適正な広告がたくさんの会社によってなされているというのが、これ公取のその時点での調査なんですよ。  時間がありませんので端的に聞きますけれども、大臣、この調査が行われて、発表がされて五年間たったんですけれども、その間に昨年十一月の一件のみしか金融庁は保険業法に基づく優良誤認などのこうした不当、不適正を処分していないと。御存じですか。そういった事態をどう思われますか。
  216. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 御指摘の公正取引委員会から排除命令を受けた保険会社に対しては、平成十五年五月十三日に金融庁より業務改善命令を発出いたしております。  それ以降の保険の広告表示に関しての行政処分としては、昨年、平成十九年十一月十六日、生保一社に対して、募集用の資料に誤表記が多数発生した等のことから業務改善命令を発出いたしております。
  217. 仁比聡平

    仁比聡平君 誤表記っておっしゃるけど、ちょっとびっくりしますね。  今生保とおっしゃったのは、金融庁ホームページに出ている発表資料によりますとアリコジャパンですね。元気によくばり保険という保険の広告を一般日刊紙に出しておられるんだが、ここでは、あたかもがんに診断された場合には一時金が支払われるかのような表示がされていたんだけれども、実際には、診断されて治療を目的とした入院中に所定の手術をしたという場合にしか支払われないということなんですね。これが誤表記ですかと。実際、処分の根拠も虚偽のことを告げた、そして誤解させるおそれのあることを表示する行為だというふうに認定しているんですよ。これ、そんな誤記とかいうような話じゃない。  私が深刻だなと思いましたのは、この金融庁のその時点での調査によっても過去五年間において三十一件、そういった不当表示がされて二万八千三百五十三件の契約が行われているんですね、その間に。二十七件、二万六千五百八十八契約については、今申し上げたような法に触れる形になっていると。  しかも、このアリコの会社は、この法令違反を認識していなかったというふうに調査の結果なっているようなんですね。既に五年前にニッセイはそういった処分を受けて、そして多数の会社の問題があるよということを公取から指摘をされながら金融庁が一件しか取り上げていない。で、その一件見ると、法令違反つまり違法性の認識がなかったというわけでしょう。  こんなとんでもない宣伝、募集をやりながら違法性も認識していないと、そんな事態をどうしてほったらかしているんですか。これ、これまでそういう扱いしかこの分野でやってなかったということについてどう考えているのか、これからどうするのか、最後、大臣に聞いて質問を終わりたいと思います。
  218. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 広告を含む募集用の資料の作成に関しては、お客様にとって保険に加入するか否かを判断する極めて重要な材料でございます。当然のことながら、正確で分かりやすい内容になっていなければなりません。  金融庁としては、募集用の資料の適切性が大事であるという観点から、まず保険契約の判断、保険に入るか入らないかという判断に影響を及ぼすことになる重要なものについては誤解させるおそれのある表示を行わないこと、そして、実際の保険商品よりも優良であったり、有利であったり、誤認させるような表示を防止するための体制整備を行うことということを保険会社に求めておるわけでございます。  また、先ほど御指摘になられた昨年十一月の生保一社に対する業務改善命令の発出を契機に、金融庁として各保険会社に、広告を含む募集用の資料について、その作成・審査体制を適切に構築し、分かりやすい適切な表示を確保することを要請をいたしております。
  219. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣がここでその答弁メモをお読みになっても、それだけではこういった事態は、現場の事態市場事態はですよ、これは変わらないじゃないですか。そういった不当、不適正があるというのを実際に摘発して、処分してやめさせるということをきちんと金融庁がおやりにならないということも大きな一つの要因として、この間の大変な被害や苦情が私は激増しているのではないかという思いもございます。  ほかにも通告はたくさんあったんですが、今日はこれで質問を終わって、別の機会に引き続き議論させていただきたいと思います。
  220. 又市征治

    又市征治君 社民党の又市です。  今日はまず、財政融資資金の貸付金の証券化について伺ってまいりたいと思います。  この件は一昨年の法制化の段階から私はもう反対をしてきたんですが、現状どういう状況になっているのか、まずこのことの御説明からお願いしたいと思います。
  221. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) 財政融資貸付金の証券化につきましては、まず基本方針二〇〇六年におきまして財政融資資金貸付残高の圧縮のための一つの方法としまして提案されまして、それで財務省としまして昨年度から取り組んでおります。  具体的に申し上げますと、初回の発行は今年の二月、政府関係機関及び独立行政法人向け貸付金を裏付け資産としまして、償還期間十年の社債型の証券化商品として一千億円発行したわけでございます。それで、二十年度予算におきましては最大五千億円の発行枠を確保しております。
  222. 又市征治

    又市征治君 私は、昨年四月のこの委員会でも当時の尾身財務大臣に、本来国民の税金で形成された財政融資資金という資産を危険なマネー市場に投ずることや、一口が一億円という大口の売買であり、一般国民には全く縁がない、証券業界を利するだけだからということで反対だということを警告を申し上げました。しかし、残念なことに、今お話がありましたように、財務省は一千億円を売り出してしまったわけでありますけれども。  そこで大臣にお伺いしますが、米国のサブプライムローン問題はまさに証券化が生んだ問題で、今米国政府は後始末の追加融資に追われている、こういう状況ですね。証券化の共通点というのは、個別の債権をいったんばらばらにした上でミックスして売り出すということでありますから、この結果、その証券は債権者がだれか特定ができない、転売され、だれがばばをつかまされたのかも分からない、こういう仕組みですね。サブプライム問題は、こういう証券化メカニズムの本質、マネーゲーム性が露呈をして信用不安が連鎖的に金融界全体に拡大したと思うわけですが、この点については、大臣、どのように御認識なさっていますか。
  223. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 財務省といたしましては、今回の財政融資資金貸付金の証券化について、裏付け資産が十二の政府関係機関向けの貸付金でありまして、極めて高い信用力を持っているということで、委員がおっしゃるサブプライムローンを裏付け資産とした商品とは、その裏付け資産の質等の差から全く違うものであると市場の皆さん方は受け取ってくれていると思っております。  いずれにしても、財務省としては、今後とも市場状況をよく見守りながら証券化を実施してまいりたいというふうに思っております。
  224. 又市征治

    又市征治君 サブプライムローンと全く関係ない、性格が違うというふうにおっしゃったんですが、実際に財融の借り手である、例えば夕張市のような自治体や政府関係機関、例えば旧公営企業金融公庫や国民金融公庫だって、今の新自由主義政策の下では政府保証から切り離されて破綻の危機にさらされることがあるわけです。証券保有者はそういう不安を言い立てて政府にリスクの肩代わりを求めてくるということは当然あるわけでありまして、そういう意味で私はサブプライムと余り大差ない、このように思います。  そこで、このことは答弁求めませんが、私が述べたこのリスク面というのは、殊更、何も野党だから我々は言っているんじゃなくて、財政審の小委員長も務められた富田教授を始め専門家の意見でもあるわけですね、これは。また、財務省内部でも反対論があった、こんなふうにお聞きをいたします。財務省答弁、これまでの答弁でいえば、ひたすら金融変動リスクの軽減、この一点張り、こういうことでの答弁ですね。しかし、私、このことについて幾つか具体的にお聞きをした。  例えば、財融は原資が国債なんだから、金利は両建てであり、相殺されるんじゃないですか、こういうふうに反論したら、おおむねこれは肯定をなさる。あるいは、割引して売り出さねばならないから、財融特別会計にコストが発生するんじゃないですかという点についても、これは肯定をなさる。さらに、大量の売出しによって、住宅ローンなど他の証券とバッティングして値崩れするんではないのか、こういう民間の観測についても、財務省としては一定程度これについても肯定をされてきたんじゃないのか。  としますと、もうほとんど無理にこれを証券化する理由というのはないんじゃないのか。どうしてもやらなきゃならぬ理由というのがそんなにあるのかということなんですが、この点どのようにお考えですか。
  225. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。  先生おっしゃいましたように、財政投融資貸付けにつきまして、近年、資金調達の期間と貸付けの期間がほぼ一致してきました。その意味ではデュレーションギャップというのがなくなりつつあると認識しています。ただし、各年度ごとに見ますと、貸付けの償還金、それに伴います財投債の償還金、これは一致しておりません。その意味では、まだ将来、毎年の、いわゆる我々がマチュリティーギャップと申していますけれども、が生じております。  したがいまして、証券化のメリットとしましては、将来のマチュリティーギャップを、そのリスクを軽減するという機能がありまして、ただし、先生おっしゃいましたように無制限にやるというわけではございませんので、メリットの方がコスト、すなわち、おっしゃいましたように、その財投債よりもやっぱり高目のスプレッドが掛かりますので、そのコストを上回るメリットがある場合に発行するということにいたしております。
  226. 又市征治

    又市征治君 そうおっしゃることは分かったんですが、専門家と称する検討会の資料も見させていただきましたが、これ極めてお粗末じゃないですかね。  まず第一に、野村証券の研究結果を無批判に借りてきているわけですけれども、この野村証券、皆さん御案内のとおり、インサイダー取引事件で自粛すべきこれは企業ですよね。何よりも、証券化を引き受けてもうけたい企業なんです、これは。そして、利害当事者ですよ、これは。第二に、この利率の検討したとありますけれども、使った標準偏差というのは何千、何万サンプルの自然現象を扱う手法であって、複雑に動く経済社会現象に使っても当たったためしがない、そういう代物でしょう。この点についてどういう御認識ですか。
  227. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) 先ほど申し上げました二〇〇六基本方針でございますけれども、その基本方針には、証券化のメリットといいますか、その導入に当たりましては民間の専門家の知見の活用が図られるようにと言われておりまして、具体的な証券化のメリットの計測としましては、おっしゃいましたように、野村証券金融工学研究所の知見をある意味では委託、調査を依頼したわけでございます。  ただし、この手法は一般的によく市場で使われているものでございまして、平たく申し上げますと、貸付期間の、二十年なら二十年間の利払い、またその貸付けの金利ですか、それの合計の損益を計算しまして、しかも金利変動によってこの損益額が変動しますので、大体約三千本の金利シナリオを走らせまして、それに基づいてその分布、三千本の分布、信用度九五%でどのぐらいの偏差があるかと、標準と一番極端な九五%のですね、を計算したわけでございます。  それで、今度は、証券化した場合には当然コストが掛かりますので、そこはそのリターンのところが当然低くなります。それで、それによって分布が変わりますので、その分布の違いを比較しまして、それによってメリットがある場合にのみ発行するということにいたしております。
  228. 又市征治

    又市征治君 これは大臣にお伺いしますけれども、検討会の肝心の結論、今もお話がありました、いわゆるメリットがコストを上回る場合ということなんですが、これはどんな場合かと。報告書には、上回る場合があり得るとの暫定的な結論が得られたと、こう書いてあるだけであって、こんなあいまいで不確実な予想を根拠に国民の一千億円、五千億円そして究極は十兆円もマネーゲームに投じていいのかどうか。せめて、もっと中立的な多様な意見というものを聞いて、この五千億円、今年度五千億円投下しようというわけでしょうけれども、この判断より前に厳密なやっぱり検討をやはりやるべきじゃないのか、もうこれでいいんだと、一回検討したからいいんだと、こういうことなのかどうか、大臣、この点はいかがですか。
  229. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、先ほど来から説明しているように、基本方針二〇〇六において、資産・債務改革の一環として、メリットがコストを上回る場合に実施するという形で財政融資資金の貸付金の証券化を図ったわけでございます。その上で、財政融資資金証券化に関する実務検討会等において、野村証券金融研究所から提示を受けたメリットの計測方法をベースとしながら、適切な資産・債務管理の観点から金融リスクの軽減等のメリットとコストを比較検討した上で、証券化に伴うコストによってリターンは減少するものの、金利変動リスクも減少して証券化を実施するメリットが十分見込めるというふうに判断をしたところなのでございます。
  230. 又市征治

    又市征治君 何か大臣、聞いていると基本方針二〇〇六というのは何か財務省の憲法みたいな感じですね、これ。問題は、私が言っているのは、そういうリスクを冒すことだってあり得るわけだから、この点は慎重にも慎重を期して、やはり検討すべきところはしたらどうですかと、こう申し上げているので、ちょっとそれは答弁になっていない。時間の関係もあるからそれ以上つつきませんが、やはりここのところは本当に慎重にやってもらいたい。  原資というのは国債であり、つまり国民資産ですよね。それを国が借りて自治体や政府機関に貸す、財政融資だけでも大変複雑ですよ。それを更に証券化という過剰包装をかぶせて、このえたいの知れないギャンブル商品に仕立て上げて、二千億円の債券を一千億円という半値で転売するなどという危険をあえて冒す必然性というのはないんじゃないのか、このことを私は大変に心配をし、そういう国民の心配というのはあちこちにある、専門家たちもそういう心配があると、こうおっしゃっている。だから、このことを申し上げているわけです。  巨大な機関投資家やハゲタカと言われるようなこんな外資、また利ざやを求めるこの証券業界にもうけさせるだけじゃないのか。危険なギャンブルに手を出して、今日もちょっと出ましたけれども、石原都知事の二の舞にならないように改めてこれは警告を申し上げたい、このように思います。これは答弁は要りません。  次に、会計検査院にお伺いしますが、随意契約の改革問題、これは会計検査院財務省にお伺いしますが、二〇〇六年の六月に我々決算委員会からの要請を受けて、検査要請に基づいて検査院が随意契約について検査結果を発表をされました。  これによりますと、随意契約は予定価格から見た差額が九七・三%だと、競争入札の落札率は八六・三%、つまり一一ポイントも、そういう意味ではこの随意契約というのは高い、こういう格好ですね。つまり、ほとんどが役所の言い値だと、役所が予定した価格どおりになっている、こういうことですよね。また、この随契の理由についても抽出調査をして、その結果疑義を指摘したものが六百一件あったわけですね。それの見直し状況を見ましても、随意契約から競争契約や企画競争に移行したといっても、一者応札あるいは一者応募だったり随意契約のときと同じ相手方というものが相当見受けられた、こういうふうにありますね。  会計検査院から、ここらのところを少し説明をしてください。
  231. 高山丈二

    説明員(高山丈二君) お答えいたします。  昨年十月に参議院に提出いたしました「各府省等が締結している随意契約に関する会計検査の結果について」の報告書の中で、ただいま先生からお話がありましたように、随意契約とした理由の妥当性に関して検討の余地があると認められた契約、これは六百一件でございますけれども、についてその後の見直しの状況も調査して、その結果を記述しております。  すなわち、平成十九年八月一日現在の見直し状況を見ますと、これら六百一件の契約のうち競争契約又は企画競争に移行をしたものが三百八十一件ございますが、このうち約半数の百九十五件が一者応札又は一者応募となっておりました。さらに、これらの百九十五件の契約のうち百六十七件について、その契約先が随意契約当時の契約先と同じでございました。  本院といたしましては、随意契約から競争契約や企画競争に移行したものについて、まさに実質的な競争性が確保されているかを含め、各省庁の随意契約の見直し状況について引き続き検査実施しているところであります。  以上でございます。
  232. 又市征治

    又市征治君 つまり、会計検査院は非常に紳士的に物をおっしゃっていますけど、各府省が企画競争に移したという中には実は偽装があるんじゃないのか、こういう点ですよね。会計検査院も、随意契約に当たって企画競争が実施されている場合もあるが、統一的な実施基準を作成していない省庁もあり、また限定募集、評価項目の未設定など、企画競争の実施方法においても公平性及び透明性、透明度の確保が十分でないものがある、こういうふうに指摘されていますよね。  だから、今申し上げたように、こんな言い方をすると、またいかにも紳士的だと、こう言うんですが、つまり限定募集とは事実上の指名でしょう。また、評価項目の未設定というのは、つまり評価が後出しじゃんけんであって、いわゆる官側と本命業者以外に分からない、こういう状況だということですね。  もう一度、検査院からこの点について補足説明、コメントをお願いしたいと思います。
  233. 高山丈二

    説明員(高山丈二君) 委員指摘のとおり、企画競争についてでございますけれども、企画競争において業者の選定手続が恣意的に行われたとするならば、契約の競争性、公平性さらには透明性が十分確保されなくなると考えられます。そのことから、昨年の検査におきまして、企画競争の実施要領の整備状況、募集方法の状況さらには審査に当たっての評価項目の設定状況等について各省庁の内部部局を対象として検査をいたしました。  その結果、平成十九年四月現在における実施要項の整備状況については、検査の対象とした各省庁の内部部局、これは四十ございますけれども、このうち統一的な要領を作成しているのは約半数の二十一にとどまっておりました。また、募集方法の状況については、参加者を限定して募るいわゆる限定募集の契約が、十八年度十二月末までの内部部局が締結した企画競争契約六千十三件のうち一一・九%ございました。また、審査に当たっての評価項目の設定状況については、評価項目を全く設定していない契約が同じく一一・一%あるなど、公平性、透明性の確保が十分でないものが見受けられる状況となっておりました。  したがいまして、私どもの報告書の所見におきまして、企画競争については、審査員の構成であるとか審査方法等に関して統一的な実施基準を作成し、これに基づいて実施するなどして公平性、透明性の一層の向上を図ることが必要である旨を述べているところでございます。  以上でございます。
  234. 又市征治

    又市征治君 つまり、さっき申し上げたように、企画競争に移しましたよとかと言うけれども、これは随意契約改革の抜け道、偽装になっているということを今御説明なさったわけですね。  そこで財務省にお伺いしますが、以上見たように、企画競争の名の下に実は旧来の随意契約と同じ業者などに事実上独占させる、こういう抜け道がかなり蔓延している。こういう状況、今検査院から御報告があったわけで、これからは、まさにこの企画競争などという名の事実上の随契、これに切り込んでいくということこそ今求められているんだろうと思うんですね。  そこで、内閣府が何か少しやっているみたいなことで言われていますけれども、事実上すべての省庁の契約がどんなふうになっているのか。予算を適切かつ効率的に執行させる職務、職責のある財務省としては、こういう抜け穴、抜け道、どういうふうにやられているかも今も紹介がありましたが、よく分かっているわけでしょうから、どのようにここを防いでいくというか、これを改革していく対策を各府省に示されるのか、財務省の考え方をお伺いしておきたいと思います。
  235. 香川俊介

    政府参考人(香川俊介君) ただいま委員から御指摘がありましたように、競争性のある契約といいながら、やや抜け道的な契約が行われているんではないかということがございまして、先ほど来検査院の方から詳しく御説明ございましたように、随意契約とした理由に妥当性に問題があったもの、あるいは基準とか評価項目について不十分だというような御指摘が昨年の十月にあったところでございます。委員からこれは何度も御指摘ありましたように、事実上特定の一者しか申し込めないような、そういう抜け道があるんじゃないかというような十分でない運用が見られると、これは再三御審議でもされているところでございます。  そういうことで、昨年の十一月に総理の方から御指示がありまして、政府として随意契約の適正化に向けたこれまでの取組をより徹底しようということで、各府省が策定した随意契約見直し計画を適切に点検し、より競争性の高い契約方式へ移行するということを厳正にやろうというような申合せがまずございます。それから、全府省にすべての契約の監視を行う第三者機関を設置し、応札者が一者しかないものなどは重点的に監視するということをやろうということも決めております。また、総務省におきまして、第三者機関の活動状況を含め、各府省の取組が見直しの趣旨に沿って進められているかどうか横断的に監視しようということが申し合わされたところでございまして、こういう見直しの取組を着実にやっていくということで、随意契約の競争性、透明性を担保していくことが重要であろうと思っておりまして、財務省としてもそういう立場で取り組んでまいりたいと、各省にもそういうことを促してまいりたいというように思っております。
  236. 又市征治

    又市征治君 それじゃ、最後に大臣にお伺いしますが、例えば昨年十月から今年二月にかけて、新聞報道でも、ちょっと今ここに幾つか持ってきましたが、六段、七段抜きみたいな見出しで随分と、国交省公募骨抜き、独占発注実績を理由に民間を排除とか、国交省随契の九割が不適切、民間参入を締め出したとか、省益優先し公募骨抜き、道路財源事業すべて随契などというのは、もうたくさん去年のもう十月から今年の二月にかけて出ているわけですよね。  また、特に随契の割合が断トツに高いのは、これは防衛省、これはもう大臣一番お詳しいと思うんですが、防衛省ですね。衆議院の調査で八三%だと、こう言っています。防衛省はすぐに防衛秘密や相手方に競争企業がいないことを理由にするけれども、これは政府を挙げて今随契を改革をやろうと、今も御説明ありましたけれども、そういう中にあって、これじゃ軍部がクーデターを起こしているんじゃないかと、こう言われても致し方ない、こんなことだと思うんですね。  したがって、現在は契約の総元締でもある額賀財務大臣が、随契はこれでいいのか、今挙げた二つの例について改革のやっぱり具体策を是非示してほしいし、その決意のほどもお伺いしたいということでございます。
  237. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の又市委員がおっしゃるように、今国会においては道路問題を中心として様々な無駄の実態が明らかになったりして、我々も大変厳重に受け止めているわけであります。  したがって、福田総理も、非常に気を引き締めて無駄ゼロ作戦を展開しようと、特にこの随意契約あるいは公益法人の無駄については徹底的に解明をして排除していくように努力をしようということにしております。それは今まで財務省から説明があったとおりでございまして、我々も決意を新たにしてしっかりと取り組みたいと。それから、予算の編成の過程、予算の執行調査、そういうことについても契約を中心にしっかりと点検をして、国民の皆さん方の信頼を得るように努力をするつもりであります。
  238. 又市征治

    又市征治君 終わります。
  239. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 他に御発言もないようですから、国会会計検査院財務省金融庁国民生活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力銀行決算についての審査はこの程度といたします。  次回は来る十九日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会