○風間直樹君 今日は甘利経産
大臣と初顔合わせさせていただきます。よろしくお願いいたします。
経産省が行っております実験と、それから地震
発生の相関関係について今日は
お尋ねをさせていただきます。
まず、事実の確認をいたします。
経産省は、現在、二酸化炭素の地中貯留実験、これは英語でカーボンダイオキサイド・キャプチャー・アンド・ストレージと、こういうふうに呼ばれていますので、略称CCSと言われておりますから、この後CCSと言わせていただきますが、このCCS実験を過去五年間、新潟県の長岡市内で行われました。正確には二〇〇三年の七月七日から二〇〇七年の一月十一日まで、長岡市にあります帝国石油の南長岡鉱山、ここはガス田でありますが、この岩野原基地と呼ばれる場所で、地下千百メートルの帯水層と言われる水分を含んだ砂岩層に約一万四百トンのCO2を五年間で注入したと、こういうことでございます。
もう一方の事実でありますが、二〇〇四年の十月二十三日、中越地震が起きました。そしてまた、二〇〇七年の七月十六日、今度は中越沖地震が
発生しました。両方とも相当の震度であったわけでございます。
まず、皆様には、お
手元に配付しました
資料の二ページ目を御覧いただきたいと思いますが、二ページ目の下の段に、この岩野原基地で経産省が行った委託実験ですが、このイメージ図、概念図を載せております。千百メートルの地下深度に最大圧力十九メガパスカル、これは非常に高圧なんですね、でCO2を注入すると。この注入をする上の
部分には不透水層と言われる層がありますが、これは水分等を通さないと思われる岩盤のようなキャップロックであります。これはCO2の排出抑制、地球温暖化抑制のために排出抑制をする、そのための一環として世界的に注目されている技術、これがCCSでありまして、その実証実験を経産省は新潟県の長岡市内で過去五年やったと、こういうことです。
この帯水層と呼ばれる層にCO2を注入する理由ですが、要は、非常に高圧で一定の温度を気体ないし液体に対して掛けますと気体だか液体だか分からないような状態になる、これを超臨界と言っているそうでありまして、この超臨界状態になった炭酸ガス、CO2を水を含んだ地層に目掛けて注入すると。そこの水分にCO2を吸収させることによって地下に閉じ込めると。簡単に言うとこういうことであります。
私も新潟県の住民でございますが、当時はこの地震を、私もまず中越地震は地元で体験いたしました。大変な揺れでした。中越沖地震の際には我々ちょうど選挙中でございまして、私も新潟県にはいなかったんですが、大変な
被害を被ったわけであります。しかし、まさかその経産省のやっている委託実験がこれと何らかのかかわりがあるだろうという可能性には当然考えが及ばなかったわけです。
一方、これまで
日本を含む世界各地で研究された様々な実例を紹介をさせていただきます。
お
手元の配付
資料のまずは三ページ目を御覧いただきたいんですが、アメリカのオハイオ州というところにバッテル研究所というところがございます。この研究所がアメリカの
エネルギー省から委託、
補助金を受けて研究を行っています。すなわち、水を地中に注入した場合、地震を誘発する可能性について調べてくださいと、それを受けて行った
調査なんですが、そこに結論がございます。
地層を選べばCO2地中貯留は可能であろうと。ただし、過去に地震が起きたところでは、地震が起きる、誘発する可能性は極めて高い。特に、超臨界の液体炭酸ガス、CO2ですね、これを注入する場合、中越のような場合、地震を誘発するかもしれないと。こういう報告書をまとめているわけであります。
同時に、その下にあります英文の表ですが、これは、米国内で何らかの液体、水ですとかあるいは廃液、こういったものを地中に埋めた場合に地震が起こったという記録が存在するもののリストです。一番左にありますのが地名と州名。それからその右側にタイプとありますのが、どういった
目的で何を入れたか。その右側が、地下、深さ何メートルの場所に入れたか。そして、その右側が、MPaとありますが、これはどれだけの高圧メガパスカルでその液体を注入したか。そして、一番右側がこれによって誘発された地震のマグニチュード。こういった表であります。
つまり、米国におきましては、既に相当の認識で水を注入した場合に地震を誘発する可能性がある、リスクがあると、こういう認識が持たれているわけであります。
続いて、
日本ではどうかといいますと、配付
資料の四ページ目、最後のページでありますが、二〇〇二年、地学雑誌でありますジャーナル・オブ・ジオグラフィーというものに
日本の研究者による報告が載っております。これは極めて注目するべき論文だと思いますので研究者のお名前を読み上げさせていただきますが、まず京大防災研究所地震予知研究センターの西上欽也さん、水野高志さん、加納靖之さん、名古屋大学大学院理学研究科地震火山観測研究センターの田所敬一さん、東京大学地震研究所の永井悟さん、そして金沢大学大学院自然科学研究科の平松良浩さん。この方々がまとめた研究の内容というのは、本当に水を注入すると地震が起きるのかと、その実証実験を行ったということであります。
実証実験の場所、この研究の対象として彼らが掲載しているのは三か所です。まず、
日本の淡路島の北部にあります野島断層、これは阪神大震災で生じた断層であります。それから、長野県の松代市、ここでは一九七〇年の一月から二月にかけてこの実験が行われています。最後に、ドイツのKTB、これはプロジェクト名でありますが、九四年、行われております。ここを御覧いただければ分かりますように、いずれも一定の量の水を一定の深度に注入した場合、その後四、五日あるいは六、七日、さらにはその後すぐに地震が
発生していると。こういう詳細な研究報告を二〇〇二年にジャーナル・オブ・ジオグラフィーに掲載をされているわけでございます。
注目すべきは、多くの研究に共通をしているんですが、この水ないしは液体を注入した地点からおおむね半径二十キロ付近で地震が
発生していると、こういう報告が大変多く上がっているところでございます。
皆様には配付
資料の一ページ目を御覧いただきたいんですが、これはさきの中越地震と中越沖地震の位置関係を記したものですが、下の図です。真ん中にあるマルが長岡市の岩野原基地、地中貯留の地点であります。
二つの地震の震央をバツ印で書いてありますが、これは、ちょうど半径二十キロの直線で円を引きますと、まさにこの
二つの震央がそこに符合すると。つまり、両地震ともこのCO2の地中貯留地点から二十キロの場所で起きていると、こういうことが判明をしております。
さて、このように様々な研究例あるいは地震の
発生例を見てまいりますと、どうやら地中に何らかの液体を注入した場合、地震
発生のリスクをこれは覚悟しなければならないようだという点に気付くわけでありますが、そこで
お尋ねをいたします。岩野原でのCCS実証実験に際して、経産省、そしてこの実験を経産省から委託して行った財団法人地球環境産業技術研究機構、略してRITEと呼ばれておりますが、このRITEは地震
発生の可能性を
調査したのかどうか、また、したとしたら、その報告書はあるのかどうか、
お尋ねいたします。