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2008-06-05 第169回国会 参議院 経済産業委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山根 隆治君     理 事                 鈴木 陽悦君                 藤末 健三君                 増子 輝彦君                 加納 時男君                 松村 祥史君     委 員                 下田 敦子君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 藤原 正司君                 前田 武志君                 渡辺 秀央君                 荻原 健司君                 塚田 一郎君                 古川 俊治君                 松田 岩夫君                 丸川 珠代君                 松 あきら君                 山本 香苗君                 松下 新平君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    参考人        社団法人全国信        販協会会長    木島 光彦君        楽天株式会社執        行役員渉外室室        長        関  聡司君        東京経済大学現        代法学部教授        弁護士      村 千鶴子君        明治学院大学法        学部准教授    圓山 茂夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。  本日御出席いただいております参考人方々を御紹介申し上げます。  まず、社団法人全国信販協会会長木島光彦参考人でございます。  次に、楽天株式会社執行役員渉外室室長関聡司参考人でございます。  次に、東京経済大学現代法学部教授弁護士千鶴子参考人でございます。  次に、明治学院大学法学部准教授圓山茂夫参考人でございます。  この際、参考人方々委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  参考人の皆様からの忌憚ない御意見を拝聴し、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度木島参考人関参考人村参考人、圓山参考人の順に御意見を述べていただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。また、御発言の際は、挙手していただき、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。  なお、参考人質疑者とも御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず木島参考人にお願いいたします。木島参考人
  3. 木島光彦

    参考人木島光彦君) ただいま御紹介いただきました社団法人全国信販協会会長木島光彦でございます。クレジットカード並びに個品方式クレジットを取り扱う信販会社であります株式会社ジャックスの相談役でございます。  本日は、割賦販売法及び特定商取引法改正につきまして、信販業界立場から意見を述べる機会をいただきまして大変有り難く、御礼申し上げます。  私からは、まず全国信販協会の概要につきまして簡単に御紹介させていただいた後、当協会が実施してまいりました悪質加盟店排除並びに消費者被害未然防止のための自主的取組の内容と効果、そして今後の業界の更なる健全化に向けた決意につきまして、また今回上程されております改正法案に対しましての評価につきましてお話をさせていただきたいと思います。  まず、全国信販協会についてでございますが、お手元に簡単なパンフレットをお配りさせていただきましたので御覧いただきたいと思います。  当協会は、昭和三十三年にクレジットの健全な発展国民消費生活向上に貢献することを目的として設立され、以来、業界自主規制ルール策定消費者啓発、また会員に係る消費者相談業務など、クレジット取引が適正に行われ、消費者信頼を得て、業界が健全に成長するための様々な施策を導入、実施してまいりまして、今年でちょうど五十周年を迎えました。協会設立から今日までの間の消費経済、とりわけ家庭用電気製品や自動車の普及による国民生活向上には、その一翼を担ってきたものと自負しているところでございます。  しかるに、近年、高齢者などの社会的弱者をねらう一部の悪質販売業者などがいわゆる過量販売などの手段としてクレジットを悪用するようになったため、クレジットが悪質な販売勧誘行為を助長しているのではないかと言われるまでに至り、クレジットシステムの中でも特に個品方式クレジットに対する信頼が損なわれつつある状況にございます。  こうした悪質販売業者徹底的に排除し、消費者被害未然に防止するため、当協会といたしましては平成十七年より様々な対策を講じてまいりました。特に、昨年は従来とは違った具体的できめ細かい自主ルールを作り上げ、業界を挙げて取り組んでまいりました。お手元パンフレットをお配りしておりますので御覧いただきたいと思いますが、これらの自主的取組のうち、主な具体例として四つほど御紹介申し上げたいと思います。  まず一つ目として、特定商取引法関係する取引を行う加盟店に対する総点検の実施についてでございますが、これは一つには、悪質訪問販売による住宅リフォーム事案を受けましてのリフォーム業者対象とした徹底的な販売方法点検であります。さらに、一件でもクレームがある特商法適用販売事業者対象とした販売勧誘などに関する徹底的な点検も実施いたしました。  次に、二つ目として、クレジット申込書完全記入徹底についてでございます。特に、特商法適用加盟店呉服販売加盟店に対しましては、記入に不備のある申込書では受付を行わないという対応を徹底いたしました。  そして、三つ目でございますが、商品別与信取扱ガイドライン策定、例えば、布団の購入同居家族人数を限度とすることや、浄水器購入は一世帯一台に限定するなど、特にトラブルが多いとされる八つの商品群に焦点を絞り、徹底した与信管理を行いました。  最後に、四つ目でございますが、高齢者に対する与信取扱基準厳格化についてでございます。これは、生計を年金のみに依存している高齢者方々に対しましては、特商法に該当する販売契約クレジットを原則として取り扱わないことといたしました。  以上のような自主的取組信販業界として継続して行ってまいりました。結果といたしまして、訪問販売取引などに係る高齢者に対する取扱件数につきましては、十九年度におきまして前年対比でおおむね七割の減少となりました。また、住宅リフォーム業者を含めた訪問販売業者等に対する加盟店点検の結果、延べ件数で約一千四百業者との取引停止するに至るなど、その成果は着実に現れてきているものと認識しているところでございます。  なお、お断りしておかなければならないことといたしまして、私ども信販協会会員は約四十社程度にすぎず、クレジット業界全体をカバーできるものではないこと、特に、いわゆる協会会員外、アウトサイダーには規制が及ばないということでございます。  以上、従来行ってまいりました自主的取組についてお話しさせていただきましたが、今後につきましても、今回の改正割賦販売法及び特定商取引法ベストミックスを目指す意味におきまして、自主的な取組を継続的に実施し、悪質加盟店徹底排除消費者被害未然防止に向けて尽力してまいる所存でございます。  また、今回の改正法に盛り込まれました新たな自主規制団体としての認定割賦販売協会の創設に向けましてクレジット業界として既に検討を開始しておりますので、私の知り得る範囲において簡単に御報告申し上げます。  具体的には、クレジットカード個品方式クレジット加盟店情報交換制度など、それぞれの課題ごとにワーキンググループを設置し、クレジット業界全体に行き渡る自主ルールを作り上げるため、改正法が成立し次第、直ちに検討に入るよう準備を進めております。今回の改正では、個別信用購入あっせん業者に対しましてもいわゆる登録制が導入される予定でございますが、クレジットを取り扱う多数の事業者がこの認定割賦販売協会に加盟されることによりまして、自主ルールクレジット業界全体に浸透し、また新たな加盟店情報交換制度強化充実も図られていくものと大いに期待するところであります。  今後、新たな自主規制団体による自主ルール業界全体に浸透し、機能していくことによって、法律規制にはなじまないような部分につきましても消費者保護のための十分な手当てが可能になり、今回の法改正がより一層効果を発揮していくものだと思います。  最後でございますが、今回の法案に対する業界としての評価でありますが、産業構造審議会での議論を踏まえ、悪質販売業者排除消費者被害未然防止のための施策がしっかりと盛り込まれているものと考えます。  今回の法改正は、クレジット事業者、また販売事業者におきましても今後の業務運営に大きな影響を与える抜本的な改正であると認識しておりまして、我々業界といたしましても、消費者信頼を回復し、今後の業務が円滑に対応できるよう、万全の準備を整えていく必要があるものと考えております。  中でも、過剰与信防止に係る支払可能見込額調査につきましては、お客様の機微な情報まで調査しなければならないという場合があるなど、プライバシーの問題にもかかわってくるものと思われます。また、クレジットカード有効期限更新によるカード発行につきましては、何ら問題なく利用されているカードであっても、支払可能見込額を超え、更新できない場合もあるのではないかという懸念もございます。さらに、クレジット会社としては、訪問販売事業者などとの取引に必要以上に慎重にならざるを得ないケースも増えるため、たとえ健全な販売業者であってもクレジット会社との提携が困難なのではないかとの不安の声も聞こえております。  したがいまして、今後の政省令策定におかれましては、本当にクレジットを必要とする人たちが必要なときに利用できなくなるなど、健全なクレジット取引部分にまで影響するようなことがないよう、クレジット実務実態消費者保護消費経済発展のバランスにも特段の御配慮をお願いいただければと思います。  以上で私からの説明は終わります。  本日は大変貴重な機会を与えていただきまして、誠にありがとうございました。
  4. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ありがとうございました。  次に、関参考人にお願いいたします。関参考人
  5. 関聡司

    参考人関聡司君) 楽天の関でございます。本日は、委員会において説明機会をいただき、ありがとうございます。  私の方からは、お配りした資料に基づきまして、当社グループにおきますインターネットビジネス状況、それから広告メール利用状況、さらには今回の改正法案についての当社のコメント、こういったことを説明させていただきたいと思います。  では、二枚ほどおめくりいただきまして、二スライド目でございます。これは、当社グループ幾つかのサービスについてウエブで見られる画面を印刷したものでございます。  当社グループは、インターネット利用しまして消費者向け各種サービス提供するという事業を行っております。例えば、右下にあります、これは楽天市場というものでございますが、これはいわゆるショッピングモールをやっておりまして、下の方にありますように、例えばメンズファッションですとか食品、スイーツですとか、こういった分野ごと通信販売店舗さんが当社に登録いただいて、当社ショッピングモールを通じてお客様インターネット通信販売を行っていると、そういった事業でございます。それから、左の方に行きますと楽天トラベルという形で旅行業もやっておりますし、左上に行きましてインターネットでの証券会社、それから右上に行きますと検索サービスといったことで、いろんなサービス提供しているということでございます。  一つの特徴は、当社グループのまず会員になっていただくということがございまして、それに伴っていろんなサービス提供を受けるという仕組みでございます。特に右下辺りにポイントという単語が幾つかの場所にあるんですが、これはいわゆる企業ポイント提供でございまして、買物をするごとに、例えば基本としては買物の金額の一%をポイントという形でプレゼントされるという形になっております。場合によってはそのポイントが十倍になったりとかというキャンペーンを行っているというようなサービスでございます。  おめくりいただきまして、今申し上げました代表的なサービスのほかに、この図の一番下にありますような通信事業、それから左下にありますような、コンテンツストリーミングと書いてありますが、これは動画の配信事業、それからさらに左側クレジットクレジットカードですね、それからコンシューマーローンといったことにつきましても、インターネットというインフラを通じて提供させていただいているということでございます。  それから、おめくりいただきまして、これは当社グループ楽天会員としての会員人数推移参考のために載せてあるものでございます。データベースの性格で統合の度合いがちょっと異なるものがございまして、二種類の区分けになっておるんですが、大きな枠組みでの会員数ということでいいますと、直近では四千六百万人を超えるような会員様を抱えているというような状態になっております。  それから、またおめくりいただきまして、これは今回の改正とは直接関係ないのかもしれませんが、利用者保護という観点でいろんな施策をやっております。お客様が安心してインターネットを通じていろんな買物あるいはサービス提供を受けられるというようなサービスを附帯的に提供しております。  三つほど並んでおりますが、例えば、ショッピングモール楽天市場におきましては、時々、通信販売店舗さん倒産して、お金を払ったんだけれども荷物が届かないというケースがたまにあるんですが、そういったケースにおきましては、一義的にはその通信販売さんが責任あるんですけれども、楽天の方で利用者に対しては一〇〇%、一定の条件はあるんですが、一〇〇%の補償をさせていただくというサービスになっております。  それから、真ん中の楽天オークションというサービスにおきましては、あんしん取引という形で、匿名エスクローという形のサービスをしております。これは、CツーCの主にサービスにおきまして、相手に自分の名前ですとか住所を教えるのは嫌だというお客様がおりますので、匿名でそういったサービスが受けられると。かつ、荷物が届かない限り最終的にその出品者お金が入らないような、そういう安全の仕組みになっております。  それから、またおめくりいただきまして、六スライド目からは、当社における広告メール送信実態についてちょっと御説明をしたいというふうに思っております。  下の図を見ていただきますと、楽天という主体とそれから出店店舗さん、楽天ショップという主体、それから消費者であるユーザーさんというこの三つ主体がございます。当社の場合、主にこの図は楽天市場というショッピングモールについての説明図なんですが、二系統広告メールがございます。すなわち、楽天自らお客様であるユーザー様にメルマガとして情報提供する広告メール、それからもう一つ出店店舗さんがユーザーさんに情報提供するメルマガ、この二系統がございます。出店店舗が送るメルマガにつきましては、楽天提供するメール送信のプラットフォーム、これを通じて送ることになっております。  それから、おめくりいただきまして、そのメルマガと言われるものはどういうものなのかというのが七スライド目に簡単に書いております。これは、例えばタイムセールですとか、先ほどのポイントが何倍かになりますよといったお得な情報がお知らせということでユーザー提供されるということでございまして、ユーザーさんの方はそういった情報を基に買物をしていくという仕組みになっております。  もう一枚おめくりいただきまして、八スライド目は、これは楽天市場ショッピングモールのある一つ店舗さんの例でございまして、赤い棒グラフはその店舗さんの売上げを示しております。それから、黄色い折れ線グラフの方はメールアドレス数と書いてあるんですが、その数の推移を表しております。このメールアドレス数といいますのは、ちょっと説明を要するんですけれども、楽天に出店したからといっていきなり先ほどの四千六百万人分のアドレスに対して広告メールを送れるというものではございませんで、それぞれの店舗さんが個別に同意を、承諾を得て送れる数を増やしていくという仕組みになっております。  この店舗の場合は二〇〇三年の二月に出店しているんですが、その際には売上げも非常に少ないという状態で、当然まだスタートしたばかりですのでメールアドレスも少ないと。それが各種広告ですとかいろんなキャンペーン利用して承諾を得たメールの数、お客様を増やしていくということをやっていきます。このグラフで分かりますのは、そのメールアドレスの数がどんどんどんどん増えるに従って売上げもそれに従って伸びているということで、これは通信販売事業者にとっては広告メールというのが非常に重要な販促手段だということがこのグラフから見て取れると思います。  先ほどのお得メール以外にも、例えば個別のコミュニケーションということで、例えば店舗側で実際に使ってみた結果はこうですという形でお客様と非常に密なコミュニケーションをするという手段になっております。この店舗さんの場合は直近では数億円というような売上げになっているという話でございます。  それで、店舗側にとっては重要な販促手段なんですが、一方で利用者にとってどうかといいますと、結局利用者側から見ても広告メールを使って賢く非常に利用しているということが見て取れるかと思います。すなわち、その広告メールで得られた情報を使いまして買物を楽しんでいるということで、こういった売上げの増加に結び付いているというふうに見て取ることができるかと思います。  九スライド目でございますが、ここはどのようにして同意を取っているかという画面の例でございます。この画面は、出店店舗におきまして利用者がある商品購入するというその手順の中でこういった画面が表示されまして、この下の方にありますように、どのようなメルマガについて同意をするかということが表示されまして、希望するものについてのみチェックを入れる、あるいは不要のものはチェックを外すという形で承諾を得ているという形になっております。  それから十スライド目でございますけれども、逆にメールがもう要らないといったお客様につきましては、この左側メールというのが実際に送信される広告メールの例でございまして、この個々の広告メールメール画面を開きますと、メールが不要な場合にはこのようにしてこのURLにアクセスしていただいてメール送信停止ができますよという形になっておりまして、それをクリックすると右側の画面が出てきまして、メールアドレスの入力とショップの確認をいただいて、配信停止というボタンを押すとメール送信停止ができると、そういう仕組みになっております。ということで、不要な方には簡単に停止ができると、こういう仕組み提供しております。  それから、おめくりいただきまして十一スライド目でございますけれども、今回の改正法案についての要望等について少し申し上げたいと思います。  まず、特商法改正、特に迷惑メール対策強化につきまして二点ほど申し上げますと、先ほどの説明にもありますように、広告メールそれ自体は消費者にとっても有用な情報提供するものでありまして、非常に活発に利用されているという実態がございます。一方、事業者にとりましては販促の重要なツールだということがございますので、消費者保護というのはもちろん非常に重要ですけれども、併せて健全な事業運営といったことも両立していただくということをお願いしたいと思います。事業者に過度な負担とならないように是非御配慮いただきたいということをお願いしたいと思います。  それから二点目といたしましては、勝手に送り付けてくるいわゆるスパムメール、これは海外から来ることも多いメールだと思いますが、これは、私自身そうなんですが、非常に迷惑であり大きな問題だというふうに思います。今回の改正を機に国内あるいは海外関係機関が連携してこれについて効果的な取締りがなされるといったことを期待しております。  それから二つ目割賦販売法改正につきまして、当社グループ、先ほど御説明しましたようにクレジットカード会社も子会社としてございますので、その立場で申し上げますと、支払可能見込額調査、それからそれに伴うカード等交付等の禁止、こういった規定につきましては、先ほどの木島参考人説明にもございますが、過度の規制が行われてカード利用者が不当に不利益を被るといったことのないように是非お願いしたいと思います。  昨今、特に包括割賦におきましては、それをもって公共料金支払をしているというようなケースもございまして、いきなりその更新ができなくなる、カード更新ができなくなるということは非常に利用者にとっても不利益になると思いますので、是非そういったことのないような制度設計、運用ということをお願いしたいと思います。  私の説明は以上でございます。  本日はありがとうございました。
  6. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ありがとうございました。  次に、村参考人にお願いいたします。村参考人
  7. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) ただいま御紹介いただきました東京経済大学の村と申します。  今日は、お手元意見ということでレジュメを用意をさせていただいておりますので、レジュメに沿いまして要約をする形で意見を申し述べさせていただきたいと思います。  私は、今は大学の教員をしておりますけれども、弁護士でもありまして、消費者事件もたくさん手掛けております。被害を防ぐための消費者啓発ということで消費者向けにいろんなお話をするチャンスもございます。そういうことを踏まえまして、今回の改正のきっかけになりました二点、高齢者などをねらう悪質商法などの被害実態がどういうものかということと、それからもう一つ迷惑メールに関する法律規制、現行のものがどういう状況になっているかと、この二点について中心にお話をさせていただきたいと思います。  まず、最近の消費者契約被害実情なんですけれども、ともかく高齢者被害が増えている、訪問販売被害が増えているという実情がございます。特に深刻なものは、交渉力の弱い高齢者が集中的にねらわれて、訪問販売で非常に大量に高額な契約をさせられるとか、それから次々と大量の契約をさせられる。お金がない場合にはどんどんクレジット契約、これはカードが使われる例というのは珍しくて、個別的な契約、先ほど信販協の方から御指摘がありました、現行でいうと個品割賦購入あっせんと言われるものですけれども、これが利用されることが非常に多いという実態がございます。  そういう事件を受任をいたしまして、わずかな年金しかない人に対してたくさんのクレジットを組む、高額なクレジットを組むということはおかしいのではないかという問題点を指摘いたしますと、多くの場合にクレジット会社から返ってくる回答というのは、年金をどう使おうと本人の勝手である、全額をクレジットの返済に回したいということで申し込んでくる人間にはクレジットを組みますと。持家があるのであれば、売れば払えるわけだから、そういう人は支払能力があるというんですと。それから、次々販売で何十件もクレジット契約をお年寄りなんかが結ばされると、払えませんから、いろんなものを取り崩して、生活を削って返済をするわけですね。ところが、どんどんどんどんその後もクレジットを組まされるわけです。  おかしいのではないかというふうに申し上げますと、クレジット会社から返ってくる見解というのは、先生はホワイトリストというものを御存じないんですかと。たくさんクレジットを組んで全部返済をしているという人は支払能力がどんどん高くなるんですと、こうおっしゃるんですね。おかしいでしょうと、生活削って払っているわけだからおかしいでしょうと言ったら、我々の知らないお金があるのかもしれないわけだから、払い続けているということは支払能力があるからどんどん高い契約を結べるんですと、こういうことを傲然とおっしゃいます。つまり、破産まで、至るまで、全部はがしてしまうまで契約はうちは取ると、こういうことではないかと私は弁護士として事件に携わっているときに感じました。  それから、それは与信の問題なんですけれども、もう一つは、クレジット会社がそういった悪質な加盟店と提携をする、つまり二人三脚で業務をやっているというところに非常に問題があるわけです。これは経済産業省の方ではそれを放置をしていたわけではありませんで、こういった問題が起こり始めた昭和五十年代後半、具体的に言いますと昭和五十七年から悪質加盟店排除のための通達というものを何度も何度も出しております。最初は簡単なものだったものがどんどん個別具体的な細かい通達になってきているわけです。  ところが、訴訟等になりまして、通達で加盟店管理の義務が定められている、どのように加盟店管理をやっているのかと、つまり加盟店にするときの調査加盟店にした後の調査、個別の契約のときの調査はどういうふうにしているのかということを訴訟のときなどに問題にするわけです。そうしますと、クレジット会社から典型的なパターンとして戻ってくる回答というのは二つございまして、一つは、通達は法律ではないので法的義務はない、守らなくてもいいという主張です。それから二つ目は、加盟店管理というのは企業秘密である、企業秘密は法廷であっても明らかにすることはできないということで回答を拒否されるわけですね。そうすると、消費者側の方とすると、クレジット会社がどのような経緯でどのような調査をしてこの契約は大丈夫であるということで進めているのかということが全く分からないという状態になります。  つまり、これは何を意味するかといいますと、悪質な加盟店と提携をして払えるところまで払わせれば、言い方は悪いですけれども、クレジット業界は成り立ってしまうということで、悪質加盟店排除をするインセンティブになっていないということが非常に大きな問題で、今日の事態を引き起こしているのではないかと思います。  そういうことで、多重な契約を結ばされた事件では、二〇〇五年の埼玉県富士見市の悪質住宅リフォームの事件が有名ですが、その後も似たような事件は発生し続けていまして、仙台では自殺した方も出ているというような深刻な事態になっている。ですから、こういうことに対応するべく法律を手直ししなければいけないというのは喫緊な課題になっていたということが言えるということです。  それから、二つ目被害実態で、迷惑メール関係なのですが、迷惑メールにつきましては、現行法ですと消費者承諾なく商業メールが送れます。その代わり、「未承諾広告※」というのを付けて、受信拒絶をしたい場合には返信をすればいいようなアドレスを付けるということが義務付けられているわけです。ところが、圧倒的多数の迷惑メールはこの表示がございません。それから、わずか返信拒絶先のメールアドレスが付いているものに返信拒絶メールを送りますと、そのメールを送ってきた業者以外の業者からの大量の迷惑メールを招き寄せることになります。つまり、このメールアドレスは使われているということが明らかになって、それがどうも流通するのですね。そういう、みんなが見ているということが分かっているところにメールは送ってこそ意味がありますから、返信拒絶メールを送るというのは消費者にすると自殺行為になります。  ですから、消費者啓発では、返信拒絶メールは絶対送ってはならない、法律は守るなという発言をせざるを得ないんですが、消費者の方からは、その法律は一体どういう法律なんですかと、法律守るとかえってひどい目に遭うという法律は理解できない、誠にもっともな指摘なんですけれども、そういう意見が非常に強くなっていたという現状であったわけですね。  さて、そういう実態があるということを踏まえまして、今回の改正法案評価ということになりますけれども、今申し上げたような実情に対応するものとしては、非常に前向きで一〇〇%百点というふうに申し上げるわけにはいきませんけれども、かなりいい改正案であろうというふうに思います。ですから、なるべく速やかに立法化をして施行していただくということが今の現状を踏まえますならば非常に重要なことではないかというふうに考えているわけです。  幾つか、レジュメのすべてをお話しする時間はございませんので論点を絞って評価を御説明したいと思うのですが、レジュメの二ページの第二の評価の三の部分を御覧いただきたいと思います。  今回の高齢者等をねらう悪質訪問販売に関する規制ポイントとして挙げられますのは、過量販売に関する解除制度というのを導入をした部分だということが言えると思います。さらに、非常に重要なことは、個別クレジット契約の場合も、過量販売についてはクレジット契約そのものを解除できるという規制を導入をしているというところが指摘できると思います。  つまり、現行法の割賦販売法ですと支払停止の限度にとどまっています、クレジット会社に対抗できるのは支払停止の限度にとどまっています。ですから、埼玉県富士見市のように次々と悪質住宅リフォーム契約を結ばせて、クレジット契約を結ばせて、高齢者はよく分かりませんから、周りの人が気が付くまでずっと引き落とされっ放しになっているわけですね。その間、クレジット会社は回収をしていきまして、悪質販売業者は、つぶしてと言うべきか、つぶれてと言うべきか、逃げます。そこで大変なことになるわけなんですけれども、クレジット会社は回収したお金まで返す義務はない、問題になった販売業者はつぶれて、いないと。こういうことになりますので、消費者は救われませんし、クレジット会社は回収するところまですればその分だけはもうかる、こういう理屈になってしまうわけですね。結局、これが悪質加盟店排除しないような実態を引き起こしているということが言えると思います。  そういうことですので、過量販売等の被害が起こったときには、訪問販売契約だけではなくてクレジット契約も取り消すことができるというふうになっている点というのは極めて重要なことでありまして、高く評価できるというふうに思います。  それから、レジュメの三ページの四、それから五のところを御覧いただきたいと思います。  先ほど申し上げた悪質商法の背後には、支払能力を超えて信用を供与をする、クレジット契約を締結させるという問題点があるということを指摘申し上げました。私は支払能力がないというふうに業者に主張するわけなんですけれども、業者は、クレジット会社の方は、年金収入の範囲内は支払能力がある、家があれば支払能力があると言うわけですね。でも、家を売って支払えば能力があるということは誠におかしいことであると思いますし、年金で暮らしているときに全部返済に回したらどういうことになるか、これはだれが考えてもよく分かることであります。  ですから、こういった定年退職をした高齢者などの生活が守れますように、わずかな年金と蓄えで営んでいる場合にはそういうものが守れますように、そういう基準で具体的な基準を設けていただくと、これは政令にゆだねられておりますけれども、そこが非常に重要な論点であろうというふうに思います。  それから、迷惑メール規制につきましては、先ほど申し上げたとおりの実情にございますので、事前に消費者から実質的な同意を取って、その上でメールを送るという、現行の規制から逆転させる改正法案というのは非常に意味があるというふうに思っておりますが、具体的に本当に消費者同意を取れているということが確実に確保できるような運営方法をするというところが実効性を持たせるときのポイントになるのではないかというふうに思っております。  それから最後に、今後の課題のところで一つ申し上げておきたいことは、今回は個別的なクレジット契約についてはかなり抜本的な改正がされまして良くなるのではないかと、開業規制等も導入されますし良くなるのではないかと思われるのですが、こうなりますと今度はクレジットカードの方にシフトをしていくおそれがあります。  現状でも、出会い系サイト等のいかがわしいサイトの支払を決済代行業者を通してクレジットカードを使うというものが出ております。こういうものが悪質訪問販売と提携する形に流れていく可能性は十分高いので、その辺りは今後、十分経過観察をしていただいた上で適切な改正がまた必要になるのではないかというふうに思っております。  以上でございます。
  8. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ありがとうございました。  次に、圓山参考人にお願いいたします。圓山参考人
  9. 圓山茂夫

    参考人(圓山茂夫君) 明治学院大学法学部の圓山と申します。  私は、兵庫県庁で消費者行政に二十年間携わりまして、昨年から現職に就いております。本日は、地方自治体の法執行を中心にレジュメに沿って意見を述べたいと思います。  まず、地方自治体の消費者行政の全般についてでございますが、消費者行政は自治事務に分類されて、地方自治体の裁量に任されています。ここから地方自治体の財政難によって予算や人員は削減の一途をたどっております。消費者行政は事業量、職員数の基準がなく、独自事業として行われております。このため、他の部局より一層の削減対象となってきました。なので、例えば消費者行政力の整備水準のような全国共通の目標が必要と考えます。  次に、地方自治体では事務処理特例条例によって都道府県の権限を市町村へ移譲しております。別表一を御覧ください。ここでは縦軸に都道府県、横軸に法律名を取っております。四角は全市町村に移譲しているもの、丸は市に移譲しているもの、三角は一部の市町村に移譲しているものを表しております。消費生活用製品安全法、電気用品安全法、家庭用品品質表示法、計量法などは移譲している都道府県が多いです。岡山県は特定商取引法割賦販売法を移譲しております。この状況は、小さな市町村、つまり少ない職員で多くの仕事を抱えている自治体で執行力があるのかどうか疑問でございますので、見直しが必要だと考えます。  次に、特定商取引法の執行について申し上げます。  国と都道府県の執行状況が別表二に掲げております。これは経済産業省が特定商取引法違反に係る行政処分件数の推移という一覧表にして公表しているものですが、過去に業務停止命令又は指示処分をしたことのない県、右端の合計欄にゼロゼロと書いてある県が十県ある点が指摘されております。特定商取引法の執行には難しさがあることが原因だと考えられます。  その第一は、開業規制がないことです。契約書を見ても、悪質な事業者ほど屋号や偽名や電話代行業者を使っていて実態と異なることが多いです。真の事業者名、経営者、事務所所在地を把握するところから始めなければいけません。第二は、国と都道府県の権限分担の特異性です。特定商取引法の六十八条と施行令十八条に権限分担の規定がございます。  一方、宅建業法や貸金業法など通常の規制法令は、言わば営業所、営業地域、行政庁一致型です。つまり、複数都道府県に営業所がある事業者は国に登録をします。一つの都道府県のみに営業所がある事業者はその都道府県に登録をします。つまり、営業区域と監督官庁の関係が明確です。その監督官庁が処分を執行します。  しかし、特定商取引法は、言わば違法行為地の行政庁型です。そもそも開業規制がなくて、監督官庁が定まっておりません。そのため、違法行為を起こした地の都道府県又は国が処分をする規定というふうになっています。  都道府県では、A県に営業所がある販売業者がX県で違法行為をした場合はX県庁が処分します。A県、B県に営業所がある事業者がY県で違法行為をした場合はY県庁が処分します。処分の効力はそれぞれX県、Y県の域内のみにとどまります。処分を受けた事業者は他の都道府県では自由に営業ができます。むなしさに満ちています。  国が処分する場合は、経済産業局の間で協力体制があると聞いています。A県に営業所がある販売業者がX県で違法行為をした場合はX県を管轄する経済産業局が処分をしますが、A県を管轄する経済産業局に調査を依頼をしているようです。X県を管轄する経済産業局が処分を行えば全国に効力が及びます。  施行令十八条における国と都道府県の権限分担があいまいです。複数の都道府県で違法行為を行っていると分かっておる事業者であっても、都道府県が二以上の都道府県の区域にわたるという理由で要請をしても、経済産業局は引き受けてくださいません。消費者が経済産業局に法六十条の申出をしても、経済産業局から都道府県に移送してこられます。  第三に、特定商取引法を執行する道府県の職員は、おおむね一つの係の二、三人です。その人数で十から二十にわたる多数の法律事務を兼務しております。事務の例を下に掲げております。一方、経済産業局は、特定商取引法専任の取引専門官、係員、指導員などがいらっしゃると聞いております。  第四に、都道府県に特定商取引法を執行する予算がない、又は少ない点です。国は地方交付税の算定基礎に執行経費を算入しておられますが、県は自由に使えるため担当課まで回ってきません。PIO—NETの端末機の設置は消費生活センターのみで、特定商取引法を執行するいわゆる本課には設置されておりません。  第五に、消費者センターのあっせん率の低下により、違反事案の聴き取りが不十分になってきています。苦情件数の増加に消費生活センターの相談担当者の人数が追い付かず、簡単なアドバイスが中心になり、あっせんを行う率は以前の九%台から五%台に低下しております。この結果、違反行為の詳細が記録され、確認されている事案が減少し、執行の基礎となる資料として使いにくくなっています。  この状況に対して提案がございます。  第一は、開業規制登録制を行うべきだということです。登録制事業者実態をつかみ、違法行為をしたら登録取消しを行うことが有効です。  これに対しては行政コスト論の反論がございますが、昨年度、二〇〇七年度の全国の消費生活センターの苦情件数を大ざっぱに見ますと、特定商取引法対象で、少なく見積もって二十八万件の苦情が寄せられています。苦情の解決とPIO—NET入力に一件三時間掛かるとして試算をすると八十四万時間掛かります。常勤の職員が年二千時間勤務として割り算をしますと、自治体では四百二十人分の人件費が掛かっていることになります。  登録制の不採用は、経済産業行政の事務コストを自治体の消費者行政に転嫁していると言わざるを得ません。行政全体で見るとコスト増になり、また消費者被害の増加ももたらしています。苦情処理に掛けている人数の半分でも、例えば二百十人で登録事務と監督事務を行い、その結果、苦情が半減すれば消費者被害も半減するという結果をもたらすと思います。消費生活センターは、特定商取引法の苦情処理の負担が減った分を製品事故などに能力を振り向けられると思います。  第二の提案は、都道府県をまたがる事案の執行を国に一元化することです。  A県に営業所がある販売業者がX県で違法行為をした場合は国が処分する、A県、B県に営業所がある事業者がY県で違法行為をした場合は国が処分する、A県に営業所がある事業者がA県で違法行為をした場合は県内のことですのでA県庁が処分をするという形がいいと思います。X県、Y県の消費生活センターからA県、B県を管轄する経済産業局に違反事案の情報が伝わる仕組みが必要だと思います。  第三に、消費生活センターの体制強化が必要です。  法執行は、苦情受付時の詳細な聴き取り、事業者消費者双方の言い分を聞くあっせんが基礎的な資料になります。これらを実施する消費生活センターの体制強化が必要です。  次に、割賦販売法の執行で予想される問題について申し上げます。  割賦販売法改正後の個別信用購入あっせん業者の監督官庁の決め方は、通常の法令と同様の方法が予想されます。つまり、カードを発行している大手のクレジット業者は、既に総合で国の登録を受けております。中堅の個別信用購入あっせん業者は、複数都道府県に営業所を持っていらっしゃるでしょうから国に登録することになるでしょう。営業所が一つの都道府県にとどまる個別信用購入あっせん業者は都道府県に登録することになるのではないかと思われます。しかし、現在のアウトサイダー業者、つまり悪質な加盟店を抱えている業者は、ほとんど営業所が一都道府県内にとどまるというところにありますので都道府県登録になりそうです。  しかし、通常の法令は、言わば営業所、営業地域、行政庁一致型であるのに対し、割賦販売法については営業所と営業地域の不一致型です。A県のみに営業所があるクレジット業者がA県庁に登録するとしても、加盟店は全国にわたりますので、全国的に違反行為が発生する可能性があります。しかし、監督処分を行うのがA県庁になってしまいます。割賦販売法の執行が最も弱い県に悪質クレジット業者が移転し、全国で営業を展開するおそれがあります。しかし、その監督は自治事務なので、その県の裁量に任されれば違法行為が抑止できない懸念がございます。ここは施行令の決め方となってくるのでございますが、少なくともクレジット業者加盟店が複数都道府県で営業する場合は、国の登録、監督処分とすべきだと考えます。  最後に、四番目でございます。特定商取引法割賦販売法改正で残された課題を申し上げたいと思います。  まず、全般的に今回の改正は、次々販売、不適正与信、過剰与信への対応としては大きく評価いたします。速やかな成立、施行を望みたいと思います。  ただ、残された課題として、第一に、国際クレジットカードシステムを利用した決済代行業者規制が必要と考えます。決済代行業者とは、外国のカード会社の加盟店となって国内の業者に決済手段提供しております。外国を経由することで国内のカード会社の加盟店管理を潜脱しております。  別表三にフローチャートを掲げてございます。国内の消費者との取引がぐるっと外国を回って国際カードシステムで代金請求がなされています。  こういった決済代行業者のホームページでは、住民票と印鑑証明でオーケーなどと提携業者を募集しています。国内ではクレジット会社審査に合格しないような事業者をこのシステムに迎え入れています。海外カード会社の加盟店となって海外カード売上げを計上し、受け取った立替金を提携業者に送金しています。こういった決済代行業者の提携業者には、出会い系サイト、内職商法業者、連鎖販売取引業者、パチスロ攻略法業者などが現れています。この種の苦情は三、四年前から増加しておりますが、チャージバックによる解決が困難な事例が多いです。  今後は一層、割賦販売法改正と不適正与信の禁止によって、クレジット会社加盟店を打ち切られた悪質業者が決済代行業者の提携業者となるという抜け穴となるであろうと思われます。決済代行業者割賦販売法改正案における立替払取次業者に該当します。早急な実態調査とともに、認定割賦販売協会におかれましては、会員に加入させて、指導、勧告をお願いしたく存じます。また、決済代行業者が提携している事業者の不適正与信を禁止する規制が必要であります。  第二に、特定商取引法関連です。  特定商取引法のクーリングオフの使用利益に関する規定が九条五項の改正案として出ております。現行の訪問販売の、クーリングオフをしたときは提供された役務の対価の支払を請求することができないに、商品を使用したときの使用利益を請求することができないが追加されました。これは現在の解釈に沿った確認的な規定です。  しかし、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供業務提供誘引販売取引のクーリングオフ規定は従前のままで、改正されないのは疑問です。訪問販売と同様の法解釈をお願い申し上げたいと思います。  第三に連鎖販売取引規制強化と、第四に業務提供誘引販売取引の中途解約、清算規定の導入がございますが、時間の関係で項目のみにとどめさせていただきます。  今後は、特定商取引法の全般にわたった御改正をお願い申し上げたく存じます。  私の意見は以上です。本日はありがとうございました。
  10. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ありがとうございました。  以上で参考人の皆様の意見陳述は終了いたしました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の進め方でございますが、まず、各会派一名ずつ、大会派順に質疑をしていただき、その後は自由質疑といたします。  なお、質疑の時間が限られておりますので、御答弁はできるだけ簡潔にお願いいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 藤原正司

    ○藤原正司君 民主党の藤原でございます。どうぞよろしくお願いします。  参考人の皆さんには、大変お忙しいところ、ありがとうございます。時間がありませんので、一括して質問だけ先させていただいて、次御答弁いただければと思います。  私はもう年いっていますので、学校を卒業して社会人になったときに、物を買うというのは、金があって物を買う、どうしても金がないときはツケというのがある。それで、個人金融というのはほとんどなくて、質屋さんしかなかった。そうすると、絶えず本人が介在しています。金を借りて払う場合でも、物を買う場合でも、絶えず本人が介在しているわけですが、ただ、与信ということが行われますと、与信するクレジット会社と物を売る会社との間に直接本人が介在しない。非常に分かりにくくなってきたなというのが率直なことでございまして、これを悪用しているのが訪問販売の悪徳商人かなという気がするわけでございます。それで、もう本当に悪いやつはいっぱいおるなという気持ちで聞かせていただきました。  木島参考人にお尋ねしますが、今回、改正の内容の中に適正与信義務というのがございますが、これについての感想といいますか考え方をお聞きしたいのと、もう一つは、信販会社登録制にされました。今日のお話でも、協会に加盟されているのは四十社程度、現実にどの程度網羅されているのか知りませんが、この登録制ということと、今度は全国の割賦販売の協会の数との間にギャップは大幅に改善されるものかどうかということを含めてお尋ねしたいと思います。  次に、関さんには、インターネット通販の関係で、結局は迷惑メールと虚偽広告というのが一番問題になっているんですが、今回の法改正でこれが改善されるというふうに見られるかどうかということでございます。  それから、村さんには、済みません、過量販売の取消し権というのは今回出てきたわけですけれども、この取扱いについて今回の法改正をどう評価されるかということでございます。  それから、圓山参考人につきましては、既払金の返還請求権というのが出ました。これはある程度限定したケースだけに発生するわけですけれども、このことも含めてこの既払金返還請求権の今回できたことに対する評価をお聞きしたいと思います。  以上でございます。
  12. 木島光彦

    参考人木島光彦君) ただいまの御質問、私どもに対しましては二つで、適正与信の問題、何をもって適正与信と言うかということでございますが、与信ということにつきましては、二つの観点から我々与信判断をさせていただいています。一つ支払能力、これは本人の属性ですね、職業とかあるいは先ほどからお話出ています資産の状況、特に家とか、持家であるとかないとか、こういったもの、あるいは家族構成、そういったものから支払能力というのを、それからもう一つ支払観念、二つ目として支払観念というのがありまして、これはお支払ということについてしっかり毎月決められたどおりお支払いしていただけるかどうか、この二つの観点から与信判断をしております。そして、そのためにはいろいろそれに関するデータを収集しまして、いいか悪いか、扱っていいかどうかと、与信を、そういった扱いをしている、そういうところが私どもが実際に日常の業務としてやっているところでございます。  それから、登録制にするという、今まではカードについては総合割賦、割賦あっせん登録業者ということで登録制になっておりました。個品については、やはりいろんな社会問題も起きておりますので、個品についてもやはりいろんな悪質販売業者排除だとかあるいは消費者被害の防止というような観点から個品割賦、個別のクレジット取引を扱う会社についても登録制にしようと。ただ、それについては参入要件もこれから政省令で決まってきますので、こういう登録制にすることによって悪質販売業者なり消費者被害の防止といったものはかなり、かなりというか大幅に減らすことができるものと確信している次第でございます。
  13. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 次に、関参考人にお願いするんでありますけれども、時間の関係がありますので、お一人、以降二分ずつくらいになっておりますので、よろしくお願いいたします。
  14. 関聡司

    参考人関聡司君) 先生の御質問は、迷惑メールと虚偽広告について、今回の改正でどの程度改善できるかという御質問だと思いますが、今回、今まではオプトアウトでメールが送れていたものが事前に同意承諾を得なければ送れなくなるということで、一定のハードルを設けて迷惑メール送信について制限を設けるという改正の趣旨だと思うんですが、いわゆる健全な事業者につきましてはそういったことを遵守してきちっとやっていくことで守られると思うんですが、一方で、本当に問題のある迷惑メールといいますのは、御存じのようにそういったことを無視して無限定に送ってくるもの、あるいは海外から来るものも多いと思うんですが、そういったものについても迷惑メールとしては依然として存在してくるというふうに思われます。これにつきましては、今回の法改正を契機に、関係機関あるいは海外の機関とが連携して効果的に法執行を行って取り締まっていくということも併せて行われることによって一定の効果を期待したいというふうに思っております。  また、最終的には利用者にとっての迷惑性が下がるということが重要だと思いますので、民間におきます例えば迷惑メール相談センターというようなものもございますので、こういった民間の活動といったことも加味して全体としてインターネット上で良好な環境が築けるということが重要かなというふうに思います。
  15. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) 私への御質問は過量販売の解除制度の評価だと思いますが、この過量販売の解除制度につきましては、特定商取引法に解除制度を導入しただけではなく、割賦販売法にも個別のクレジット契約に関する過量販売の解除制度というものを導入したところが極めて高く評価をすることができるというふうに考えます。  ただ、特定商取引法では過量販売について行政処分の制度も設けておりまして、行政処分における過量販売の基準というのは政令で具体的に定めることになっておりますので、この辺りを消費者の生活実態を踏まえた現実的な基準にして、しり抜けにならないようにしていただくというところが今後の大きな課題になってくるかなというふうに思っております。
  16. 圓山茂夫

    参考人(圓山茂夫君) 割賦販売法の既払金返還請求についてのことです。なかなか抵抗が強くて難しいかなと言われていた中で、クレジット契約の取消し権という形を取ってでも既払金の返還ルールが設けられたということは一歩前進だと思います。  ただ、この要件が、特定商取引法対象取引であり、かつ不実告知と事実不告知によって誤認をした場合というふうに縛りが二重になっておりますので、例えば店舗販売で不適正な販売があった場合とか事業者が倒産した場合には既払金の返還ルールが及んでいないというのは残念です。今後はこれらの分野にも既払金の返還ルールが必要だと考えます。
  17. 藤原正司

    ○藤原正司君 ありがとうございました。
  18. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 参考人の皆様方、今日は本当にありがとうございます。  座ったままでお話を伺ってもよろしいでしょうか。失礼いたします。時間がございませんので、質問だけ続けて伺いますので、それぞれにお答えいただければと思います。  まず、木島参考人に伺いますが、今回の改正によって加盟店の峻別をせざるを得なくなると、場合によっては健全な業者排除せざるを得なくなる可能性があるかもしれないというようなことについて言及されておりましたが、健全な業者がちゃんと残っていくためにどういうところに気を付ければいいというふうにお考えになりますか。政府の例えば政省令の決め方であったりルール作りであったりで何かいいお考えがありましたらお聞かせください。  それから、今回の改正の理念というのが、クレジット会社消費者を守るべきだという理念がございますけれども、この点についてどのようにお考えになるか。クレジット会社というか、与信を与える方の会社が消費者を守る立場に立って加盟店をよく見ておきなさいというような理念に基づいておりますけれども、その考え方についてどう思うかというのをお聞かせください。  それから、関参考人に関しましては、返品ルールに関して、返品に応じない業者、代金を返還しない業者に対しては経済産業省の方でも規制を強めるというようなことを考えておりますけれども、これに関して、今考えられている規制、聞いていらっしゃるようでしたらそれで十分かどうかというようなことをお聞かせいただきたいです。  それから、村参考人に関しては、大変改正を高く評価していただいて与党としても有り難いと思う部分あるんですけれども、同じように、先ほどの資料の二ページの三項目めでしたか、返品に関して、やはり悪質な業者、返品に応じない、代金を返還してこないような業者に対して規制を強めるということに関して、今考えられているような指導であるとか行政処分というのがそれで十分かどうか、何かもっとほかに手だてが必要かどうかということをお聞かせいただきたいです。  それから、圓山参考人に関しては、今小さな市町村では執行力がないにもかかわらず非常に様々な執行が任されていると。中でも、アウトサイダーの業者は一都道府県に登録して、やっていることはいろんな府県に散らばっていると。これが理由だから国で処分をした方がいいと、一義的にはそういう理由なんでしょうか。例えば、人手と資金をあてがえば地方の市町村でもできることはやっていけばいいというお考えかどうか。  それから、今、開業登録の話をおっしゃいました。これは、クレジット会社ではなくて加盟店も開業登録、国にした方がいいということですかね。加盟店に関しては、今回の改正クレジット会社が個別にしっかりと審査をしなさいと、よく見なさいということになりますけれども、それでは不十分だということなんでしょうか。  それから、PIO—NETの利用に関して、今非常に人手が足りないので、まずPIO—NET書き込むだけでいっぱいだと、そのPIO—NETで上がってくる情報を見ながら、それをアドバイスに生かすところまではとても手が回らないという状況にあるというふうに伺っていますけれども、これは、PIO—NETの仕組み自体も多少、私が聞いている限りでは、内閣府では二段階にして、登録するところのステージとそれからみんなで閲覧できるステージと二個分けるようなふうにシステムを変えていくというふうに聞いているんですが、それではやはり不十分ですか。人手が増えればカバーできることですか。その辺りをお聞かせください。  以上です。
  19. 木島光彦

    参考人木島光彦君) 二つございまして、健全な業者排除するのかどうかと、あるいはそういう懸念があるのかどうかという御質問が一つ目だったと思いますが、私どもとしても健全な業者まで排除するという考えはございません。  ただ、クーリングオフが多いとかあるいは停止抗弁の申込みが多いとかというのはやはり販売方法に問題がありますので、そういう業者については注意する必要があるということです。また、省令で健全業者への影響がないような配慮も必要だと思います。  それから二つ目で、消費者を保護するのかということなんですが、この改正法につきましては、悪質販売業者排除するということと、これは消費者被害未然防止ということを内容としておりますので、そういう意味では消費者を保護するというか、守るということは言えると思います。強く打ち出されたというふうに考えていいと思います。そういう観点がですね。
  20. 関聡司

    参考人関聡司君) 通信販売における返品ルールについての考え方の御質問だと思いますが、経産省の研究会の報告書等を見ますと、現状、通信販売につきましては訪販とかなり状況が違うということで、返品ルールの明示ということをルール化するというところにとどまっているというふうに理解しております。  これは、訪販のように購入までにそれほど時間を掛けずに判断をするという状況ではございませんで、通信販売の場合は事前に画面をじっくり見て判断ができますし、あるいはレビューというほかの人の買った結果を検索して見ることもできます。また、いろんな販売条件、価格等を検索して比較考量することができますので、元々ネット通販を行う人は一定のネットについてのリテラシーを持っている方だと思いますので、そういった状況を加味して返品ルールの明示化ということが重要だというふうに考えられているというふうに思います。  なお、参考までに当社ショッピングモールにおける状況を申し上げますと、モールに対しましては既に出店時に返品条件を明示するように各店舗に求めているところでございまして、ただ、その返品条件につきましては、店舗さんの販売している商品とかいろんな状況に応じて必ずしも返品に応じることができないというケースもございます。あるいは一定の条件、例えば商品が破損していないとか、汚損していないとかという条件を付けて返品に応じるという店舗さんもございます。それは現状まちまちでございます。以上です。
  21. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) 私に対する御質問は、これは通信販売の場合の返品制度の導入に関する御質問だというふうに理解してよろしいでしょうか。
  22. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 はい。
  23. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) 今回の改正は、通信販売で表示義務付けされている返品制度について表示していない業者が非常に多いということに端を発した改正になっております。表示しないでおいて、消費者が返品しようとすると、うちは返品を認めないということで紛争に発展するというものに対する歯止めということで今回の改正がされたわけなんですけれども、ただ、通信販売につきましては古くから返品制度を原則法律義務化するべきであると、現行の訪問販売のクーリングオフのような形で義務化するべきであるという意見が非常に強く繰り返し出されています。  例えば、ヨーロッパでいいますと、ドイツなどは通信販売にクーリングオフ類似制度を明記しているという国もあるわけですね。したがって、私としては通信販売にも原則として返品制度は導入するべきであると思っております。そういう意味では、今回の改正は取りあえず返品についての表示義務を尽くさない業者に対する手当てという暫定的なもので、将来的には是非返品制度を原則として導入をするというところまで踏み込んでいただければ有り難いというふうに思っております。
  24. 圓山茂夫

    参考人(圓山茂夫君) 三つ御質問があったと思います。  まず、権限移譲の件につきましては、小さな市町村では人手を増やすということはもう不可能だと思います。ですから別表一に掲げてありますような消費生活用製品安全法などの規制については政令市と中核市ぐらいまでは理解できますが、それより小さな市町村というのはなかなか困難だろうと思います。  それから、特定商取引法の権限につきましては、これは本当に都道府県の境を超えて動いていますので、それは都道府県のなかなか難しいところがあるというのが先ほど申したところでございます。  それから、二つ目の開業規制なんですけれども、今回の改正の論議の中で、クレジット業者加盟店を届出制にするというのが構想された時期があったと思いますけれども、それでしたら、クレジットを使わない本当に小さな悪質な事業者というのが漏れてしまいます。ですから、将来的に必要なのは、特定商取引法対象事業者をすべて開業規制を掛けるということが必要だと私は思います。  それから、三つ目のPIO—NETなんですが、内閣府が導入しようとしています二段階方式というのは早く情報を集めるということが目的になっていまして、苦情を受け付けた段階で国民生活センターに送信をして、後日詳しく補充をして送り直すという二段階方式と聞いておりますが、現状では到底人手が足りませんので、後日詳しく補充するということのところが困難ではないかと思います。PIO—NETの専任の担当者というのが各消費者センターに必要だと私は思います。
  25. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。
  26. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。  四人の先生方、今日はお忙しい中お出ましいただきましてありがとうございます。十分という時間なので大変失礼な質問になるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。  まず、私も全部申し上げたいと思います。  まず、木島参考人木島会長は、様々な消費者のための対応をしているということで、今日の朝刊にも「悪質業者排除へ」ということで、信販、カード会社など二百社以上が参加して、悪質商法を放置した会社は自主規制団体への加盟を取り消すなどの罰則も設けるということで、こういうこともしていらっしゃるということでいろんな御努力をしていただいているなというふうに思っております。  それから、関室長は、まさに楽天のいろいろな様々なお取り組みを聞かせていただいて、安全のために、また匿名のために、匿名を希望する方にはきちんと匿名を守ると。これ利用をされて、まさに要りませんよという、やめてくださいというのを出しちゃったらほかから来ちゃうなんて、いろんなことがあるということで、しかもその支払も、きちんと物が、ちゃんとした物が届くまで支払わない、こういうこともしっかり伺わせていただきました。  そして、村先生、本当に高く今回の特商・割販法を御評価いただいてありがとうございます。  私は、今回これが一遍に二つそろってできるということは大きなことだと思います。今までは別々でしたのでやはりいろいろな問題がございました。これが一遍にできる。もちろん、どんな法律であれ、もう法の目をくぐろうとする悪いやつはいろんなことを考えるもので、もちろんこれがベストだとは思いませんけれども、私は今の状況ではかなりいい法律ができたのではないかというふうに思います。  圓山先生も、その中でいろいろな見落とし、これがいろんなところの視点を細かくいただいてありがとうございます。  そこで、私はちょっと御質問は村先生と圓山先生にお伺いをしたいと思います。時間がありませんので、多分ゆっくりとお話しいただけるかなというふうに思いまして。  村先生、国が認めた消費者団体が被害者団体に代わって不当な勧誘、契約を差止め請求ができる消費者団体訴訟制度が消費者契約法で認められて一年がたったわけでございます。その効果と課題も報道もされておりましたけれども、アメリカで九〇年代に盛んに活用されましたクラスアクションロー、これは集団訴訟制度、ちょっと一見似ている制度だと思うんですけれども、このクラスアクションというのは少額で多数被害の救済が可能ということであります。これは事業者の不当な利益を吐き出させることができるというメリットがあるんですけれども、事業者に対して違法行為抑制機能が働くとされております。  しかし、我が国では不当行為の差止め請求しか認められておりませんので、その敗訴のリスクを考えると訴訟に至るケース少ないのかなと思います。もっとも、クラスアクション訴訟もほとんどが和解によって解決されているというのが実態でありますので、同じような効果はあるのかもしれません。  今回の改正割販法では既払金の返還を可能にしておりますけれども、消費者団体がこれを活用して訴訟を起こすケースが出てくるのでしょうか。その辺もお伺いをしたいと思います。  まず、よろしくお願いいたします。
  27. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) 団体訴訟制度についての御質問なんですけれども、まず、この特定商取引法に団体訴訟制度が導入されたのは今回の改正法案の前に成立しております消費者契約法の改正で導入をされたということで、団体訴訟制度が導入されたのは特定商取引法だけなんですね。割賦販売法にも団体訴訟制度を導入をしてもらいたいということで日弁連とか消費者団体は要望をしているんですけれども、今回は割賦販売法にまではそれが拡大していないというところがありまして、これは今後の課題にしていただければ有り難いというふうに思うということが第一点目です。  それから第二点目は、日本の団体訴訟制度というのは、消費者契約法も、それから今回の改正で景品表示法と特定商取引法にも団体訴訟制度を導入されましたけれども、不当な行為の差止めだけなんですね。ですから、将来的な被害は防ぐという効果はありますけれども、被害を被った人の損害を取り戻すとか、それから不当な行為をやってもうけた利得を吐き出させるという効果はございません。ですから、団体訴訟制度にも不当な利得の吐き出しをさせる制度も含めるべきだと。そういうふうにすると不当なことをやっても得にはなりませんので、よりコンプライアンスが進むであろうというふうに思っております。やはり差止めだけでは、ある部分やり得ですよね。やり抜けた部分はもうけになるという部分が残りますので、不徹底部分があるというのが現状と言わざるを得ないと思います。
  28. 松あきら

    ○松あきら君 割販法で既払金の返還を可能にしているんですけれども、訴訟を起こすケースはあると思われますでしょうか。
  29. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) ございます。今までそういう規定がございませんでしたので、訴訟をするときには不法行為等で返せという裁判をやってまいりました。なかなか大変だったんですけれども、それが例えば過量販売の解除とか不当な行為をした場合の取消しという形でストレートで入りましたので、これは役に立ちます。
  30. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。  もう一問、圓山先生にお尋ねをいたします。  秋田県議会では不招請勧誘禁止条例が導入をされるということで、これが成立すれば九年から施行されるという報道がありました。これは、秋田県は特にお年寄りが多いということで、ターゲットにされるということでこういう動きになっていると思うんですけれども、特に訪問販売あるいは電話セールスを行う業界は少し反発をしているようですけれども、先生はこのような地方の動きに対してどのようにお考えでしょうか。もう時間がないので、一点、それだけで済みません。
  31. 圓山茂夫

    参考人(圓山茂夫君) 秋田県議会の報道は見ておりますけれども、大変良い動きだと思います。ただ、すべての都道府県が同じような条例が制定できるとは限りませんので、是非良い先例として、国の方でも例えば特定商取引法の次の改正などに生かしていただければ有り難いと存じます。
  32. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。
  33. 松下新平

    ○松下新平君 無所属の松下新平と申します。本日はどうもありがとうございます。  早速ですけれども、それぞれ参考人の皆さんに一問ずつお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。最初に質問を四点ほど述べますので、その後に御答弁いただきたいと思います。  まず、木島参考人にお伺いいたします。  信販協会の方で自主規制を取り組んでいただきまして、高く評価をさせていただきます。実際、高齢化社会の中でより充実した老後を送りたいという方、そしてクレジットでずっと生活をされた方がこれから増えていくと。その中で、逆にそういったクレジットをうまく活用して生活を送りたいという方の足かせにならないかなと思うんですけれども、この点について、健全なクレジット会社として対策を取られているのかどうかをお伺いしたいと思います。  次に、関参考人にお伺いします。  迷惑メール対策強化についてですけれども、消費者保護と健全な事業運営のバランス、これが重要であると私も思っております。その中で、事業者に過度な負担とならないようにということでお触れになったんですけれども、具体的にどのようなことを心配されているのか、お伺いいたします。  次に、村参考人にお伺いします。  消費者契約被害の話がございました。私も地元でいろいろ相談を受けます。その中で、悪質なクレジット会社、そして悪質な加盟店、この提携ですよね。この形態が根源だと思うんですね。これを隠れみのにして、こういった形態がある限りはいろんなことがまた考え出されて被害がなくならないという心配しているんですけれども、この根本的な形態にメスを入れる方法はないのか、弁護士立場からもお伺いしたいと思っております。  最後になりますけれども、圓山参考人にお伺いいたします。  この改正案成立後にも課題がたくさんあるということで、大変勉強になりました。国際クレジットの話、イタチごっこかなというのも感じましたけれども、実際、私たちが相談を受けて消費生活センターの方に御案内するときに私もちょっと物足りなさも感じたりもします。  そこで、体制の強化ということも触れていらっしゃいますけれども、具体的に何か御示唆があったら教えていただきたいと思っております。
  34. 木島光彦

    参考人木島光彦君) 高齢者の扱いにつきましては、今日お配りしました資料にもございますけれども、私どもとしては自主ルールとして年金のみの生活者は対象としないということに、取扱いをしないというルールを決めております。  ただ、やはり高齢者というのは、先ほどのお話にもありましたように悪質業者からねらわれやすいという状況にもございますので、そこのところは十分注意して対処していかなきゃならぬというふうに思います。  ただ、じゃクレジット使えないのかということになりますと、やはり御家族の同意だとか、あるいは年金以外の副収入がある方等につきましては取扱いをするのはやぶさかじゃないといいますか、やっていくものと思います。
  35. 関聡司

    参考人関聡司君) 今回の法改正によって事業者に過度な負担となるという具体的な事例の説明なんですけれども、今回の法改正によりまして、まず同意承諾の取得が事前に義務付けられるということと記録の保存が義務付けられるという二点がございます。  これにつきましては、例えば、先ほど資料で御説明しましたけれども、同意取得の方法というのは、あれは一例でございまして、その他サービスのいろんな種類によりましていろんな承諾の取り方がまちまちあると思います。それを一律に例えば決められるということになると、あるいは事業者にとってはそれを実施するのが非常に、例えばシステム改修を伴うなど非常に負担になるというおそれがあるかなと思います。  あと、記録の保存、承諾を取ったということの記録の保存が求められているんですけれども、これにつきましても、どういう形でどのレベルの記録が必要なのかということは考え方いろいろあると思います。非常に細かく何時何分にだれそれからどうやって取ったというところから、あるいは一定の疎明ができる程度の記録にとどめればいいという考え方、いろいろあると思います。  これにつきましても、サービス、先ほどと同じくいろいろございますので、一律に決めるのではなくて、事業者の負担にならない程度に、あるいはこの法律の目的である行政執行に必要で十分な範囲で義務付けるという形であれば問題にならないと思うんですが、そういったことに配慮をいただきたいと思います。  あわせて、例えばMアンドA、企業合併とか事業譲渡したときに同意の再取得が必要かどうかという点につきましても、通常の法令の考え方に合わせて、そういったことについては、例えば同意を取り直す必要がないということにする必要があると思いますので、そういった細かい点についていろいろ、今後省令を作る際には議論していただきたいというふうに思います。
  36. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) 私への御質問は、悪質訪問販売業者等と提携をしているクレジット契約に関する基本的な対策として、これで十分かということですね。  今回の改正は、訪問販売業者と提携をしている個別的なクレジット契約に関するものとしてはかなり根本問題に踏み込んだ改正であるというふうに思っています。そういうことですので、規制対象になる個別のクレジット契約を結ぶ業者の問題についてはかなりこれで良くなる、良くせざるを得なくなるのではないかというふうに思っているんですけれども、二点問題点があるといえばあると思うんですね。  一つは、これまで個別的なクレジットについては開業規制がありませんでしたので、登録制度を導入して今回はかなり厳しい規制を課すると。民事ルールも含めて抜本的なものになっておりますので、消費者金融で規制を厳しくしたときのように、やみ金的なものが出てくる可能性が私はあると思っております。ですから、そういうやみ金類似のアンダーグラウンドのものが出てきたときに、現行法では多分厳しく対応できない部分が出てくるんだろうと思いますので、そういうものが出てきたときに速やかにたたいて排除をするということがどれぐらい機動的にできるか、これは課題かなというふうに思っております。  それから二つ目が、今回は、個別クレジット契約について悪質加盟店と提携を結ぶとクレジット会社には全く得にならない、排除をするようにした方がよっぽど得になると、こういう構造なんですけれども、クレジットカードについてはそこまでの改正はしておりません。ですから、クレジットカードに抜けていく部分があるだろうと思いますし、それから決済代行を使って海外クレジットカードなどに流れていく部分もあろうかと思います。その部分は今後どうしていくのかということが非常に重要な課題で、特に海外カードに抜けていくとなると国内の問題だけではありませんので、非常にそこのところは大きな課題を実は抱えているのではないかというふうに思っております。
  37. 圓山茂夫

    参考人(圓山茂夫君) 地域の消費生活センターについてのお尋ねをいただきました。  今消費生活センターは約五百四十か所あると言われていますけれども、数人ないし十人ぐらいの担当者がいるところは数からいえば少なくて、半分以上は非常勤相談員が一名又は二名という体制だと思います。  その中で、特定商取引法割賦販売法などの取引関係は割と研修などもしっかりやられているんですけれども、製品事故とか食品とか表示などはやはり不得意な面も否めないところだと思います。この辺りの幅広い研修が是非必要ですし、それから、体制的にも一人二人ですべてオールラウンドに詳しいということは無理だと思いますので、相談員を正職員化し、技術系の職員を増強して、取引にも技術にも強い、チームとして消費生活センターがワンストップで相談処理をしていくような体制ということに改革をしていく必要があると思っております。
  38. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。
  39. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 以上で各会派の質疑が一巡いたしましたので、これより午後零時十分までを目途に自由質疑を行います。  質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言願います。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  40. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうも参考人の皆様ありがとうございました。  私はちょっと一つだけ関参考人にお聞きしたいことがございまして、今インターネットの世界におきましてはいろんな規制が行われています。今回、割賦法におきましてもインターネット取引についてのある意味規制が行われたと。一方で、青少年保護の観点からインターネットの中身をまたチェックしていこうというような動きもある。そして、また一方で、インターネットの中のプライバシーの情報を管理しようとする規制の動きもあるという形で、私が知っている範囲でも幾つかのインターネットに対する規制というのは動いているんですが、それがみんな個別ばらばら、その部分その部分のパッチワークになっているんじゃないかなというのが非常に危惧されております。  そういう意味で、今回の特商法改正においてインターネットに対する規制が行われるわけでございますけれども、全体像の中でどう位置付けられるかというのが明確でないまま規制が先走るということについて非常に危惧を感じているんですけれども、関参考人の、インターネットに対する規制の在り方全体像の中で考えなきゃいけないんじゃないかという私の考え方についてどう思われるかというのをちょっと教えていただきたいと思います。  以上でございます。
  41. 関聡司

    参考人関聡司君) 実は、先ほど配付した資料の一番最後に、説明はしなかったんですが付けてある資料がございます。  そもそも、インターネット分野におきまして規制を、あるいは規律をどう考えていくかということは非常に重要な問題だというふうに思うんですが、昨今いろいろ議論されている有害情報の問題ですとかその他消費者の保護といったことは非常に重要な話で、当社としてもいろいろ取り組んでいるという状況なんですけれども、一方で、トランズアクションコストが規制をすることによってどうしても上がってしまうということは、逆に経済に対して非常にマイナスになるということもございます。  こういった辺りにつきましては、単に行為規制をするということを厳格にどんどんやるということではなくて、例えば民間におけるいろんな取組も併せて、結果として消費者にとって非常にいい環境が構築できると。それぞれの事業者消費者も、倫理もリテラシーも高くなるといったような施策も併せて行うことで日本としては非常にいい状況になるんではないかと思いますので、やみくもに規制を掛けるという方向を目指さずに、いろんな視点で是非御検討いただきたいというふうに考えております。
  42. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうもありがとうございます。
  43. 松あきら

    ○松あきら君 先ほど二分ほど余ったかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  私は、毎日いろんな報道でもちろん心を痛めているんですけれども、やはり消費者自身も自ら守っていかないと今本当に大変な状況になっているというふうに思います。消費者教育というのは学校で、これも私は本当は幼児教育のときに、やり方は別なんですけれども、ある程度こういうことも教えていくような状況にしなきゃいけないと思っておりますけれども、木島会長には、全国信販協会消費者のための、例えば高齢者も女性もいるわけですけれども、こうした消費者を守るための取組、そしてまた関室長には、御社でのそうした取組、それぞれお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
  44. 木島光彦

    参考人木島光彦君) 確かに、おっしゃられますように、日本の場合、以前から契約という概念に対してちょっと欧米等から比べて希薄だというようなことで、学校教育の中でもこの契約ということについて取り入れていただく、今後もより深く取り入れていただく必要があるんじゃないのかなと思います。  ただ、そうはいいましても、これからのことでございますので、当協会で実施している消費者啓発活動につきましてお話し申し上げたいんですが、クレジット利用に係る消費者啓発のための小冊子というものを年二回発行しております。毎回テーマを変えて作成しておりまして、これを全国の消費生活センター、五百五十か所ございますが、に配布しております。また、消費者向けのセミナーを年に数回開催したり、個別の相談については協会内にも消費者相談窓口を設けて対応しております。さらに、他のクレジット団体と共同で多重債務者防止のためのポスターなど、こういったものを作成しております。また、毎年、大学等の学校、消費者センターなどにこれらのものを配布しているということを協会としてただいま実施している状況でございます。
  45. 関聡司

    参考人関聡司君) 当社といたしましても、消費者が安心にインターネットを通じたサービス提供が受けられるということは非常に重要だと思いまして、そういう観点で啓発活動等いろいろ行っております。  先日、四月の二十三日に、これは有害情報に関する議員立法に関連しまして、それに反対するという表明をするとともに、そのときには事業者五社が連名で安全な利用環境の構築とかそのための教育といったことについていろいろ取り組んでいきますという報告、説明をさせていただきました。  それに関連しまして、当社で行っているものといたしましては、例えば楽天IT学校というのがございまして、これはいろいろな学校からの要請に基づきまして当社の職員を派遣して、基本的にはウエブの作り方とか、ITリテラシーの御説明をさせていただいているんですが、そういった教育の機会に例えば有害情報対策についての御説明をさせていただくといったことについても取り組んでおります。  またあと、最近、サイトの監視会社との提携によりまして、コミュニケーションサイトについて、そのサイトの監視をするとともに、学校からの問い合わせの窓口といったことも設けておりまして、そういったことを通じて消費者あるいは青少年の啓発といったことに取り組んでおります。
  46. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。
  47. 中谷智司

    ○中谷智司君 貴重な御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。民主党の中谷智司と申します。  今回の法改正によって消費者保護消費者利益に結び付ける一方、やはりまじめなクレジット業者さんやあるいは販売業者さんに過度な負担が掛からないようにしなければならないと思っています。先ほど関参考人からはお話がありましたけれども、木島参考人から、クレジット業者さんから見て心配になる点があったらお聞かせをいただきたいと思います。  それと、村参考人とそして圓山参考人にお伺いをいたしたいと思います。この改正案は、消費者方々を守ったり救済をしたりするような内容が盛り込まれていますけれども、私は、この法改正に加えて何よりも大切なのは、消費者方々がこのような内容をきちんと理解をすることが必要だと思います。そのためにこの改正案の内容についてきちんと消費者方々に周知をしていくことが必要だと思いますけれども、こういうふうな取組をしたらいいということがありましたら、是非ともお聞かせください。お願いします。
  48. 木島光彦

    参考人木島光彦君) 先ほどもちょっと御説明の中でお話しいたしましたが、我々懸念しているところにつきましては、支払可能額というものをやはりきっちり調査しなきゃならぬということになりますと、プライバシーにかかわる部分まで問題が出てくる、そういったところもかかわってくると。それから、カードなんかの場合は、切替えというか有効期限がありますので、有効期限が来ましたときにこれを切り替えるときに、支払可能額を超えていた場合に切替えを、正常なお客様であっても切替えカードを発行すべきかどうかというような問題なんかも出てくる。  こういった問題があると思うんですが、いずれにしましても、いろんな影響がないようには、今後政省令でその辺のところは作成されてくると思いますので、消費者保護はもちろんですけれども、問題のないクレジット取引にまで影響がないように特段の御配慮をお願いしたいというふうに思っております。
  49. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) 改正法についてどのように一般の消費者に周知をしたらいいかということなんですけれども、これは非常に難しい問題でして、一昔前に比べますと、お役所、中央省庁でもホームページ等が充実してきて、そこで様々な情報がアップされるというような状況になって情報は取りやすくなってきているんですけれども、これですと、本当にそういうものを知っていただきたい一般の消費者の方のところにまでは行かない、そういうことを積極的に勉強するすべも知らない人が被害に遭っているというのが実情だろうと思います。  そういう人たちに対して情報を届けるという役割を一番多く担っていたのはどこかというと、地方自治体の消費者行政だったんですね。ところが、どんどんこの消費者行政、地方自治体の消費者行政が縮小されてきて、今何が起こっているのかといいますと、そういった消費者情報を伝える啓発の予算も人も削られて、ほとんど予算がゼロ、人もいないというところが増えているんですね。ただ、相談だけはゼロにできないということなんで、限られた予算でどうやって相談をやるのかということで四苦八苦しているというような状態です。  ですから、特にねらわれるような層の方たちに情報を届けるということで一番大切なことは、消費者の暮らしに密着している最小行政単位の自治体、ここの消費者行政をどうやって充実していくかということが実は極めて重要ではないかというふうに私はふだん思っております。ですから、御指摘のように、法律を作れば直ちに消費者は賢くなって何とかするべきだとかというようなことはそれはもうあり得ない、絵にかいたもちになりますから、どのように周知するか。分からないことがあったらともかく地元のここに聞けばいい、そこに行けば親切に教えてもらえると。あるいは、リーフレットを作ったり出前講座をやったり、そういうようなことをどのように充実させていくかということが非常に重要ではないか、暮らしを守るための原点ではないかというふうに私は考えております。
  50. 圓山茂夫

    参考人(圓山茂夫君) 地方自治体の消費生活センターにつきましては、村参考人がおっしゃられたとおりだと思います。  あと、私から二点ばかり申し上げたいと思います。  一つは、消費者教育は重要なんですけれども、クレジット契約の場合、中学校、高等学校で話をしても、実際使っておりませんのでなかなか実感がわかない、教えても覚えるだけになってしまうんじゃないかと思います。大学の教養課程ぐらいでもそうだと思います。  そうなりますと、一番重要なプロセスといいますか方法としては、健全な事業者の方がクレジットを使う消費者と一番接触の機会が多いわけですね。なので、クレジット契約書などにクレジット契約仕組みは今書かれていますけれども、割賦販売法などのポイントを書かれた説明書のようなものを付けられて、クレジット契約はここを注意して、こういうルールがありますということを説明したり交付するようにしていただければ、実際にクレジットを使う場面において理解が進むというふうに考えます。  二つ目ですが、何か脱線したような話になってしまいますが、特定商取引法にしても割賦販売法にしても、条文が込み入っていて読んでも分からないような条文になっているんですね、それなりの理由があるかと思いますが。何か色鉛筆で赤、青とか塗り分けて主語、述語をやらないと意味が分からなくなっております。さらに、割賦販売法は枝番が増えまして、過量販売解除権など三十五条の三の十二とかなどという大変な枝番になっているわけです。ですから、消費者への理解、周知という点では、枝番の整理とか一般消費者が読めば分かる条文の書き方ということを是非お願いしたいなと考えております。
  51. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございました。
  52. 古川俊治

    ○古川俊治君 どうもありがとうございました。  時間もあれなので、関参考人にちょっと伺いたいんですが、資料の九ページですけれども、この迷惑メール規制ということで今回法律ができて、大変、楽天さんの場合優良業者で私もよく使っているんですけれども、ここでこのチェックが全部入っていますよね。本来のオプトインと呼ぶんであれば、実はこれ全部外した方がいいんではないかと、最初から。それが正式なオプトインであって、完全なオプトインとはなかなか言えないんではないかと、私はそう思うんで、これは規制に合っていることはもちろんそうなんですけれども、この点がもし外した場合にビジネス上どうなのかと、率直なところを伺わさせていただきたいと思います。  それから、村参考人にもちょっと同じことをもう一回伺いたいのと、それから、私も弁護士でございまして、いろんな事案に当たってきました。特に多かったのが遺言の関係で、特に判断能力や人格変化というのが御高齢になると来やすいんですね。そうすると、医学上の認定と、実は民法が契約自由それから自己責任という建前ですので、裁判に持っていくとその認定というのは著しく実はずれているんですね。これから少子のいよいよ高齢化社会を迎えていくという我が国になって、司法の場ではちょっと対応ができないということになってくると、やはり立法的に、ある意味で御高齢者の認識能力、そこを自由権を規制しないレベルで何か立法学的な解決が必要じゃないかということを常々思っているんですけれども、この点に関して御意見を伺いたいと思います。
  53. 関聡司

    参考人関聡司君) 私の資料の九ページについての御質問だと思いますが、このチェックを最初から外すという考え方はいわゆるデフォルトオフという話だと思います。どれが正式なオプトインかというのはいろいろ人によって意見があると思うんですけれども、経産省の研究会における議論等では、義務付けというのも議論はされたんですけれども、現状そこまでの必要はないのではないかというふうに最終的には判断されたというふうに思っております。これは、実際に商売を行っている事業者での状況いろいろございますし、大事なのは消費者利用する側が分かりやすいということが重要だというふうに理解されまして、あらかじめデフォルトでオフにしておくということについては必ずしも義務付ける必要はないのではないかというふうに考えております。  ちなみに、オフにした場合の影響についてなんですが、当社状況としては、元々チェックがあらかじめ入っていても、それを外して拒否を示す利用者という方は当然一定割合おります。一方で、このまま、オンにしたまま同意をするという方もおります。その間にはどちらでもいいというふうに考えておられる方もおられるんではないかと思います。その方々がどちらになるかということでビジネス的な影響はあるんではないかというふうに考えております。
  54. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) まず、一つ目のデフォルトオフかデフォルトオンかという問題なんですけれども、この点は、ただいま御指摘いただきましたように、消費者が気が付かないでいたら同意をしたことになってしまうということは大変まずいというふうに思います。ですから、これは経済産業省の審議会のレベルでもここの扱いをどうするかということについて結論を別に出しているわけではなくて、実質的な同意を確保する、実質的な承諾を確保するということは必要という結論になっているんですね。ですから、消費者が積極的に承諾をするということを実質的に確保をするということで実務的な対応をしていただく必要があるだろうと思っております。  それから二つ目に、高齢者の判断力の低下等々について現行法では十分ではないかもしれないという部分についての御指摘なんですけれども、高齢者の問題は生活全般にわたりますから、いろんな問題があるんだろうと思います。遺言なんかの問題もそうなんだろうと思うんですけれども、ただ、いわゆる消費者被害悪質商法被害ということに限って申しますと、高齢者の本当に深刻な被害というのは訪問勧誘とか電話勧誘で起こっているんですね。高齢者の方が自分から求めて出かけていって、骨までしゃぶられるというか、生活破壊まで行くという例は、ゼロとは申しませんけれども、さほど多くはありません。  ですから、高齢者の問題を考えるのであれば、訪問勧誘とか電話勧誘を禁止する。秋田県の条例で今検討されているんですけれども、これが実施されれば高齢者悪質商法被害というのは劇的に減るはずだと思っています。
  55. 古川俊治

    ○古川俊治君 ありがとうございます。
  56. 姫井由美子

    姫井由美子君 今日はありがとうございました。民主党の姫井由美子と申します。  木島さんの方には、信販協会は以前から自主規制ルールあるいは商品ガイドラインを公表するなど業界の信用回復に貢献されているんですけれども、あくまでも自主規制ルールですので、これに違反した、あるいは商品ガイドラインに違反した会員さんたちに対する取締り、取組等々、さらに、この加盟店あるいは会員を増やしていく工夫等、今四十社というふうに言われましたので、さらにこの会員を増やしていく工夫等をお伺いしたいと思います。そして、関さんの方には、ネット業界もこういった信販協会のようなそういう業界としてレベルアップをしていこうというような取組楽天さんは業界ナンバーワンで非常に取組が進んでいるかと思うんですけれども、業界として自律的な規制をする団体等がつくられるような方向性があるのか。それぞれ業界のレベルアップのリーダーシップとして頑張っていただきたいという思いを込めて、二人に聞きたいと思います。  それから、村参考人と圓山参考人には、地方の消費者行政についてなんですけれども、先ほど、一部市町村に割販法と特商法を権限移譲した唯一の岡山県出身ですのでちょっと焦っているんですけれども、先ほど疲弊していく地方の消費者行政を言われました。今、福田内閣の方では、一元化をする消費者庁という話が具体的に、現実的に進んでいますけれども、これが地方の消費者行政に与える影響、あるいは今回の割販法、特商法改正を更に取り組みやすくするために、その消費者庁がどのような効果的な働き、そのためにはどのようなつくり方をしたらいいか等の要望も含めてお伺いしたいと思います。
  57. 木島光彦

    参考人木島光彦君) 二つ御質問があったと思いますが、違反した会員に対してどういう対応をしているかということと、もうちょっと会員を増やしたらどうかと、簡単に言えばそういう御質問だったと思いますけど、会員会社からの個品割賦対策に係る違反事項というのは、事務局への報告は十九年度で五会員ございまして、八件でございます。事務局では、この報告を受けまして、個別の対象会員会社に状況を報告させまして、協会の主導の下、その問題解決に向けて調整を行いました。  それと、四十社のお話でございますが、先ほども私の方の御説明お話ししましたように、今この割賦販売法改正に伴いまして、自主規制団体というのは、いろんなこのクレジットにかかわる団体を統合するような形で、その組成に向けていろんな作業に取りかかっております。それは、今、認定割賦販売協会という形で新たな組織になっていくわけなんですが、現在でも約二百社ほどこの協議会に加盟しているということでございますので、この四十社はいずれ発展的に更に増えていくというふうに御理解いただければと思います。
  58. 関聡司

    参考人関聡司君) ネット業界における業界団体等の自主規制取組についての考え方の御質問だと思うんですが、ネット業界といいましても非常に幅が広いということをまず考える必要がありまして、それのどこを切り口にそういった業界としての固まりをつくるのかということについては必ずしも、いろんな考え方があり、ここがネット業界と言うことは結構難しいかなと思います。既に、例えばネットにおける広告についての関係事業者の集まり、あるいはモバイルの関係事業者の集まりといった団体はありまして、それぞれにおいて活動しております。したがいまして、ネット業界という形での団体を構成するとかということは、ちょっとまだどういう方向に行くべきかということについて当社として明確な考え方はございません。  ただ、業界として必要に応じて関係者が意見交換をできる場があった方がいいと思いますので、例えば、先ほども申し上げました、四月二十三日に行いました五社連名のいろんな考え方の表明、こういったことができる場については、今後も引き続き必要に応じて集まるといったことはあり得るかなと思います。  このときに、自主規制といったものも、えてして過度な自主規制になりがちだということは非常に問題だと思いますので、そういったことにならないような配慮をしつつ、ベストプラクティスをみんなで共有しながらより良い環境を構築するという業界関係者の努力ができるような形にしていくべきではないかなと、このように考えます。
  59. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) 消費者庁との関係でどのように考えるかということですけれども、二つ御意見を申し上げたいと思います。  まず一つ目は、消費者の暮らしの目線ですべてを統一的に見る、監視をするという省庁ができるということは非常に喜ばしいことだというふうに思います。地方自治体でも、国でそういう動きがあるからということで、各分野に縦割りになっていたものをどうやって横断的に見ていくかということについての検討を始めなければというような動きが出ております。そういう意味において、消費者庁の構想というのは、非常に暮らしを守る意味で、地方自治体の行政も含めて意味があることだというふうに思うんですけれども、ただやはり、例えば消費者信用の部分でいいますと、消費者金融は貸金業法、クレジットの問題については割賦販売法というすみ分けの法律になっているわけですね。  クレジットのトラブルについては、消費者金融業者が開業規制のない個品に手を出す、そのときに個品だということをはっきり言わないで、消費者金融で貸付けなんだといって個品に手を出すというところでトラブルが今までたくさん起こっております。これが登録制度が導入されますのでかなり整理をされてくるんだと思うんですけれども、中には、うちは消費者金融だから個品の登録は取らないと言いながら、ぬえ的なことをする業者というのはどうしても出ると思うんですね。そうなりますと、やっぱり貸金業法と割賦販売法のはざまにおっこちる部分が出てしまう、どっちなのか分からないからどちらも動いてくれないというようなことは起こり得ると思います。  ですから、消費者信用の部分について言うと、今回の改正はかなり大きな改正でとても高く評価できるんですけれども、将来的には、やはり消費者庁として統合していくときには統一消費者信用法が要るんだというふうに私は考えております。これがまず一つですね。  それから二つ目は、国のレベルで統一的にできればいいということにはならないので、自治体の消費者行政がちゃんと足腰がないといけませんので、これの充実もセットでお考えいただかないと動かないおそれがあると思います。  以上です。
  60. 圓山茂夫

    参考人(圓山茂夫君) 地方の消費者行政につきましては、ほかの分野では国の省庁が親になって地方も整備してきたわけですが、消費者行政は自治事務ということで放置されていて、疲弊、衰退しているというところがあるところもございます。消費者庁ができるということは言わば親ができるようなものですので、地方への支援ということを期待したいと思います。  それはお金と人と物差しだと思います。お金につきましては、当面、国の財政支援が必要だと思います。人につきましては、地方自治体の定員削減計画というのがございますが、これを消費者行政については一応外していただいて、消費者行政は増やしてもよいという方向性を示していただければ有り難いと思います。物差しにつきましては、ナショナルミニマムである全国共通水準というのが示されれば、そこに向かって地方自治体も努力していくという機運が盛り上がってくると思います。
  61. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。
  62. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 済みません、先ほど時間がなくてちゃんと伺えなかったところがあるので、追加で質問させてください。  木島参考人にお伺いしたいのですが、先ほど、悪質かもしれない業者にはちゃんとヒントがあると、例えばクーリングオフが多いとか、クレームが多いとか。それでは、過去に実績がない新しい業者に関して、業界として、今後、例えば規制が強くなったら腰が引けてしまう、ちょっと慎重に、契約を結ぶのに慎重になってしまうというような面があるのかないのか、今現状どうなっているのか空気を教えていただきたいというのが一つあります。  それから、先ほど関参考人村参考人、返品ルールのことでお伺いしましたけれども、ちょっと説明が悪くて済みませんでした。返品ルールが明示されるということで、暫定的に一歩進むというのは確かにそうなんですが、さらに、代金を返還しないような悪質な業者というのは、ネット上ってすぐ姿を消せる世界ですよね、姿が消せて、消えてしまってしっぽがつかめないというようなことになると消費者が守れないというので、今回は行政処分を、そうした業者への処分を強めようというようなことがあるんですが、行政処分をしたくても相手がいなきゃどうしようもないのであって、そういうネット上にいる悪質な業者のしっぽをつかまえるために行政処分だけで果たして十分なのかと。  関参考人の会社でそういうこと、悪質な業者を、逃げようとする者を例えばトレースできるようなことで御協力をいただいていることはどういうことがあるのかというのと、村参考人には、更に必要な手だてとして何があるとお考えになるかという、そういうことを伺いたかったんです。
  63. 木島光彦

    参考人木島光彦君) 新しく契約をする場合ということになりますと二つの例があると思うんですが、全く新しく事業を始める場合と、それから新たに新しい商品を導入したためにクレジット制度を導入したいという、典型的に二つあると思いますが、新たに会社を設立してということになりますとやはり慎重に対処せざるを得ない。やはりその方の取扱商品とか販売方法だとか、あるいは近隣のうわさだとか、そういったことをやはり調査する必要があるだろうと思います。  それから、既存の会社が新たにクレジット制度を導入するところにつきましては、その会社の何といいますか、内容ということがやっぱり取引をするかどうかの大きな要因になっていくだろうと思います。
  64. 関聡司

    参考人関聡司君) 悪質な業者で代金を返さないようなケースでの対応という御質問でよろしいでしょうか。  当社の場合ですと、ショッピングモールを例に申し上げますと、まず、出店をする際には、申込みがあった時点ですべて出店をさせるということではございませんで、出店審査というのをかなり厳格にやっております。そういった意味で、出店をしている出店店舗楽天ショップにつきましては、それほど悪質なところがあるという認識を持っておりません。むしろビジネス上の、何というんですか、うまくいかなかったということでやむなく倒産してしまうというケースがございますので、こういったものにつきましては、資料で御説明しましたように、安心サービスという形で一〇〇%補償させていただくという対応を楽天としてはしております。  その他、トレースということで、例えば警察からデータの提供等を求められた場合には、それは可能な範囲で対応しているという状況でございます。  よろしいでしょうか。
  65. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 はい。
  66. 村千鶴子

    参考人村千鶴子君) そういった問題を抜本的に解決するためには、前払式の通信販売を禁止をするというのが一番効果的だと思います。後払いあるいは代引きに限る、あるいはエスクローサービス法律上の義務付けをするということが効果的だというふうに思います。  その次の段階としては、楽天さんのように、ショッピングモールの方で不履行があったときにはカバーをするというようなことを法律上の義務付けにするということが次善の策だろうと。  三番目の策としては、現行だと、訪問販売の場合には、返すべきお金を返しませんと行政処分の対象になります。通販の場合にはその規制がありませんので、そういった制度を通販にも導入するというのが第三段階目ぐらいとしては考えられるかと思います。
  67. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。
  68. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 予定の時刻が参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。  参考人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。(拍手)  次回は来る十日火曜日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会