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参考人(
柏木孝夫君)
柏木でございます。ありがとうございます。
一枚物だけ用意してありますので。特に、私
ども大学も、こういうゴチックでめり張りを付けた広報体制ということにしておりまして、これだけ後でお読みいただければ私のメッセージは分かることになっています。
それで、今
エネルギー問題というのは、例えば医療だとか年金だとか、主に国内問題ととらえていますね。ところが、
エネルギー問題というと国内外に共通する極めて重要な政治課題というふうに思っておりまして、その観点から少し
お話をしたいと思っています。
よく、環境派と
エネルギー派に、立法府も分かれているやに聞いておりまして、国際的な
エネルギー問題を、環境問題を考えますと、
エネルギーと環境というのは一体化して解かないと、分離して解いても駄目ですから一体化して解くということが極めて重要だというふうに考えています。
特に、第一約束期間、議定書の第一約束期間がこの四月から始まっていまして、
省エネ、新エネ、原子力、この三つがうまく機能しないと
国民経済にかなり大きな負担を与える可能性があるということをまず頭に置く必要があるだろうと。
最近、今日の日経にも出ていましたけれ
ども、排出権取引どうするんだと、官邸で随分動いているように聞いております。もちろん、こういう国際商品の登場ですから出遅れないようにすることも重要かと思いますけれ
ども、ただ、ファンドマネー、投機マネー等々がやはりこの新しい市場にどんどんと入っていく可能性十分あって、
国民生活との一体化ということを考えるとやっぱり慎重に扱う必要があって、我々、環境問題、地球益というのを出すんですよね。地球益を全面に出して、ただ、やることは国益を懸けて、国情に応じて極めて激しい議論をしているわけですから、そこら辺を国内の立法をあずかる先生方にあってどういうお考えでこれから進めていくのか、極めて大切な課題だと。その
一つがやっぱり
エネルギー問題になって、環境問題から
エネルギー問題を一体化して解くということになってくると思っています。
それで、
省エネルギーというのはそういう意味でだれも反対しない、超党派でこれは反対しない話だと思っています。ただ、
省エネだけでこれから乗り切れると思ったら大間違いで、
省エネルギーは終わりのない、ずっと
政策を続けていくということが重要だと思っています。
特に、第一約束期間の、この間
CO2の排出見通しを我々
経済産業省の中の審議会で提示させていただいたわけですよ。これは
省エネベースで考え、もちろん原子力ありきの
省エネベースで考えた。特に、二〇二〇年というのは私
ども余り触れたくなかったんですね。二〇三〇年、あるいは二〇五〇年クールアースという、
日本の
政府もそういう考え方で来ました。長期の
目標をきちっと定めて、それに対してどういう
政策を打っていくかという、こういう考え方で考えておりましたが。
どうもこの間の、去年の暮れのCOP13、この13で、やはり環境専門の閣僚が、各国のですよ、ドイツしかり、EUがベースだと思いますが、二〇二〇年の総量規制どんとやれという話が国際政治の場で通念となってきた。よって、この
日本で、やはり
省エネだけで二〇二〇年は乗り切れなくて、我々としてはやっぱり原子力の稼働率を上げるとか新設を増やしてと思っていました。ところが、現在原子力の新設というのは、着工しているのは三基しかないんですよ。
長期の戦略が必要ですから、二〇二〇年問題で総量規制をどんとはめられるというのはすごい危険で、これは環境税だとかそういう話になってきますから、税金ぐらい利害の絡むものはありませんからね。そうなったときに、これ
国民生活どうしてくれるんだという話になってくると、先生方の責務というのは極めて大きくなるわけで、そうなったときに、二〇二〇年問題の
CO2問題を我々考えなきゃいけないという話になると、どうも
省エネだけじゃうまくなくて、原子力はまだ先の話で、長期戦ですから、そう簡単にはいかない。
それで、供給サイドにどう手を入れるかという話になってきて、今まさに重要なのは、この
省エネはもうありきで、こういう、例えば今日の
法律の
省エネが
一つ、新エネが
一つですから、この
省エネベースで新エネをうまく取り込む。
省エネというのは
エネルギー原単位の低減になりますね。ですから、なるべくディマンドで抑える、今、
石井先生おっしゃったように、なるべく
省エネ、
エネルギーを少なく、アフォーダブルな暮らしを、クオリティー・オブ・ライフをちゃんとするようにという、こういう照明の方法どうあるべきかと。
省エネというのは大体ディマンドで抑えるということ。それと同時に、今度は供給サイドで、例えば太陽光だとか風力だとかバイオマスだとか、こういう
CO2フリーの
エネルギー供給形態、これとの
組合せによって
エネルギー原単位の低減は
省エネでやって、それとセットするがごとく新エネを
導入して、一体型
ビジネスモデルをどうやって構築してくるか。なかなか新エネというのは割高ですから、そう簡単には入らないわけですよ。太陽光だって今キロワットアワー四十四円ですから、
日本で。
ですから、効率が倍になれば半分になるわけですけれ
ども、今の価格でいえば例えば四十四円掛かるわけです。今ここで我々が買っているのは、国会幾らで買っているか知りませんけれ
ども、二十三円とか四円で買っているはずですね。倍近く払う。そういうものを市場に投入するわけですから、だれかが払わなきゃいけないわけで、それは払うのはみんな嫌ですよ。総論は賛成でも、自分が払うかというと、ほとんど払わなくなるケースが多くて、ですから、そういう意味で、やはり
省エネをすることによってランニングコストを低減する。低減したもので少し割高なものを入れていけば、
CO2削減になり、
国民生活上も非常にゆとりと豊かさがあって、かつ
CO2に関しては低減。こういう
モデルを考えていくための法体制はどうあるべきかということをやはり考えていく必要があるんだろうと思っております。
ですから、私はそういう意味で、グランドデザインというのを、
日本の
エネルギー需給構造、需要と供給、このグランドデザインがどうあるべきかということをやはり考えた上で
政策練っていかないと、行き当たりばったりの
政策じゃ、とてもじゃないけどこのシームレス化した
日本の持続可能な
発展というのはあり得ませんから。
私のこれは個人の考えで、一応大学の教師ですから、科学的な見地に基づいて、雰囲気で物を言わないことにしているんです。私
ども都市のディマンド、例えば
ホテルが何軒あって、病院がどれだけあって、一軒家がこれだけあって、マンションこれだけあってとか、これ全部ディマンド、時々刻々、
電気のディマンド、熱のディマンド、全部入れて最適解というのを科学的に解いていまして。
CO2ミニマムの解といいますと、
省エネ、
CO2ミニマムの解というと、やはりベースに原子力みたいな、あるいは石炭、CCS、あるいはガス化、あるいは天然ガスのコンバイン、ベースの大規模のメガインフラの電源があって、地域地域にやはり分散型の効率のいいものが入ってきて、そこにバイオガスだとかあるいは太陽光だとか風力だとか、こういう分散型電源がうまく両方が機能したところに最適解があるんですよ。二者択一はないんですよ。ですから、例えば原子力
推進だと、新エネ、まあPVなんて要らないとか、どうも
企業ベースになってくるし、今度、新エネ
推進というと、もう原発要らないとかね。
日本は石炭が取れていれば別に石炭使えばいいわけですけど、それは、ない国だからどうするかということを考えないと、二者択一なんという中に答えはありませんから、これは科学的な見地からそう申し上げているわけで。
ですから、大規模ベースの中にどういう、地域地域にいい
エネルギーシステムを入れていくかと。これは地産地消になりますし、あるいは新しい公益性の、公益事業というと何となく割高で、何か悪の温床みたいに思われる傾向が最近出てきましたが、全くそうじゃなくて、公益性がある事業というのは公益性があるわけですから、どこまでが公益で、それをどうやってなるべく合理的なコストでそれを構築していくかということを考えるのが非常に重要だと私は思っていまして、道路も大事ですし、ただ、
エネルギーありきの道路ということになれば非常に私は有効だと思っていまして、いずれにしても、公益性のある
エネルギーインフラの考え方というのは極めて重要になると思っています。
それで、そのためには、今までのように需要は、さっき言ったみたいに、
省エネは
省エネ、供給サイドは効率を上げて発電効率を上げるとか、そういう分かれた分野ではなくて、やはりそれをシームレス化して、需給の構造をどうやって
最適化していくかということが、
日本の
エネルギー環境
政策が世界の中で
モデルケースになり得る数少ない良質な
政策だろうと私は思うわけです。
そうなると、やはり都市
エネルギー全体の
最適化ということを頭に入れないといけないと私は思っています。都市
エネルギー全体の
最適化というと、何を言っているかお分かりにならないといけないんで、例えば一番簡単な例を申し上げますと、今まで
家庭の中で
省エネをやると、これはHEMS、BEMS、今、
石井先生もおっしゃっておりました、ついたり消えたりするのは当たり前だと、自動的に、これはHEMS、BEMSですよね、ホーム
エネルギーマネジメントシステム、あるいはビルディングであればビルディング
エネルギーマネジメントシステム。これは、パソコンが今これだけ普及しているわけですから、もうこの制御はいとも簡単にできるわけで、今少し、
日本の場合にはかなり、リコールの問題とかいろんなことがあると、やっぱり良質なものを入れる傾向があって割高になる。それをもっと一般的に、低価格で持ってくれば一挙に普及すると。この
省エネ効果、やっぱり一五パー、二〇パー行きますからね、非常に大きいですよ。
ただ、こういう
家庭用の
エネルギーの中に、例えばHEMSが入ってくると。そこに車、例えば屋根に太陽電池が付いてくると。これ、新エネ化でも今
経済産業省でも、太陽光発電に関しては大々的にこれから
政策として強めようというお考えあるやに聞いておりまして、太陽光電池が入ってくる。そうなると、いろんなところに、屋根という屋根に例えば太陽電池が入ってきますと、中にバッテリーが必要になるんですよ、これふらふらしますから。大規模集中型電源は、思ったときに発電してないということになればそれは供給しなきゃいけませんから、そうすると、大規模集中型を管理している
事業者からいっても、それを制御できなくなるといけませんから、
家庭の中にバッテリーを入れろという話になりますね。バッテリーは比較的まだ高いんですよ。
そうすると今度、例えば来年ぐらいから
電気自動車、あるいは大手の自動車
会社のプラグインハイブリッド、今のプリウスはストロングハイブリッドね。もっと、だから、ほとんど
電気で動いてエンジンがちょっと載っているというやつはプラグインハイブリッドといいます、これ出すんですね。そうすると、
電力で駆動する自動車ということになりますと、これ比較的
経済ベースがいいんですよ。どういうことかというと、一キロワットアワー大体十キロ走ります、八キロから十キロ。一リッターで普通のガソリンエンジンで例えば十キロだとしたら、百五十円で十キロ。
電力二十四円で十キロ、夜間
電力だったら八円で十キロ。
経済性がありますから、こういう二次
エネルギーで駆動する自動車というのは合理性に富んでいるわけですね。
これが
家庭に入ってくると、
家庭に入っているわけですから、普通、ふだんは車庫の中に車は入っているわけで、この車が二次電池の役をするんです。一石二鳥ですね。そうすると、
電力という形で
家庭用の
エネルギーと運輸
エネルギーが一体化してくる可能性が、これが
省エネ・
資源一体型
ビジネスモデルな格好になってきますね。これを今度、コミュニティーレベルで広げてやる。車がないときには、隣の家に車があれば太陽電池の
電力をこっちの方に融通して、面的利用
エネルギーシステム、これが都市全体に広がっていくことがある意味では都市
エネルギー全体
最適化ということになっていくんだろうと思っております。
そのための基礎は何か。例えば今回の
省エネ法改正では、FCですね、フランチャイズ
チェーンをもう少し網を掛けながら、
省エネやってくださいということをお願いするということになりますと、これが地域地域の拠点インフラになりますね。
一つのコンビニがあって、そこの中でBEMSが入る、HEMSのちょっと大きなBEMSが入ってくる、制御する。これが今、客の多いときと少ないときで、都心部だったらお昼ぐわっとする、都心部じゃないところはすいている、そこでまた融通し合って全体
最適化を図る、こういうことを頭に入れた上で今回の例えば
省エネ法の
改正だとかいうことをやっぱり考えていく必要があるというふうに思っています。
それで、最終的に、あと一分ありますので、もう
一つの揮発油の方は、これは地産地消で、やはり自給率四%の国がどうやって安定して、地域が疲弊しちゃやっぱり良くないと思うんですよ。私は、国土の充実という、あるいは一次
産業が、例えば
エネルギー供給
産業、二次
産業、三次
産業に構造改革をしていくというところにこれは非常に大きな
日本のポテンシャルがあると思っていまして、そういう意味で、バイオマス、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオガス、こういう地産地消の
エネルギー、新
エネルギー、これをどうやって今のこの
日本の社会の中に取り込んでいくかということも併せて重要で、このためのインフラ整備、ブレンドして勝手に入れられちゃうんじゃこれ脱税にもなりますし、これは困りますから、そういう意味で、きちっとした
法整備をしながら地産地消のシステムをきちっと構築できるような法体制を今まさにやることが国内外に共通している。外部に関しては
地球環境問題、国内に関してはその中のセキュリティーの向上、自給率の向上、
経済性の新しい
ビジネスモデルの構築、国土の充実、いろんなことがあると思う。道も引ければ建屋も建つということになりますので、そういうシームレス化したことを頭にお入れになっていただいた上での法体制の整備というのをお願いしたい。
以上です。