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2008-03-27 第169回国会 参議院 経済産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十八日     辞任         補欠選任      轟木 利治君     下田 敦子君  三月十九日     辞任         補欠選任      梅村  聡君     直嶋 正行君  三月二十四日     辞任         補欠選任      姫井由美子君     植松恵美子君  三月二十五日     辞任         補欠選任      植松恵美子君     姫井由美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 秀央君     理 事                 鈴木 陽悦君                 藤原 正司君                 増子 輝彦君                 加納 時男君                 松村 祥史君     委 員                 川合 孝典君                 下田 敦子君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 藤末 健三君                 前田 武志君                 荻原 健司君                 塚田 一郎君                 古川 俊治君                 松田 岩夫君                 丸川 珠代君                 松 あきら君                 山本 香苗君                 松下 新平君    国務大臣        経済産業大臣   甘利  明君    副大臣        法務副大臣    河井 克行君        経済産業大臣  新藤 義孝君        経済産業大臣  中野 正志君        環境大臣    桜井 郁三君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       荻原 健司君        経済産業大臣政        務官       山本 香苗君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       伊藤  仁君        内閣大臣官房        審議官      山崎 史郎君        金融庁総務企画        局参事官     私市 光生君        法務大臣官房審        議官       二階 尚人君        外務大臣官房審        議官       新保 雅俊君        外務大臣官房参        事官       渡邉 正人君        外務大臣官房参        事官       山崎  純君        国税庁課税部長  荒井 英夫君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      勝野 龍平君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        寺坂 信昭君        経済産業大臣官        房審議官     瀬戸比呂志君        経済産業大臣官        房審議官     中富 道隆君        経済産業省産業        技術環境局長   石田  徹君        経済産業省製造        産業局長     細野 哲弘君        経済産業省商務        情報政策局長   岡田 秀一君        資源エネルギー        庁長官      望月 晴文君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      西山 英彦君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     薦田 康久君        特許庁長官    肥塚 雅博君        中小企業庁長官  福水 健文君        環境大臣官房審        議官       谷津龍太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (経済産業行政基本施策に関する件)  (公正取引委員会業務に関する件) ○平成二十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成二十年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成二十年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (内閣府所管公正取引委員会)、経済産業省  所管及び中小企業金融公庫)     ─────────────
  2. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、轟木利治君及び梅村聡君が委員辞任され、その補欠として下田敦子君及び直嶋正行君が選任されました。     ─────────────
  3. 渡辺秀央

  4. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、経済産業行政基本施策に関する件及び公正取引委員会業務に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 増子輝彦

    増子輝彦君 おはようございます。  ようやく経済産業委員会も、大臣所信に対する一般質疑予算委嘱質疑が今日行われることになりました。よかったなと思っております。  大臣福田内閣が発足して半年が過ぎました。当初、安倍投げ出し政権の後を受けての福田内閣、抱き付きだとかあるいはクリンチとかを含めながら民主党との対話を重視をしながら、参議院与野党逆転をしっかりと踏まえての国会運営をしていきたいということで発足をいたしました。国民期待もそれなりに高い支持率スタートをして、大きな私は期待の中でスタートをしたと思っております。しかし、この半年間を顧みれば、思ったほどの国民期待も、どんどんどんどん少なくなってしまって失望感が広がり、国会運営もなかなか、参議院与野党逆転がなされたというこの事実に対して、まだ依然として政府与党は五五年体制のような感覚の中で相変わらずの国会運営を、特に衆議院中心としたところでは行われているのではないかというような私は印象を持っております。  この半年、福田内閣重要閣僚として甘利経済産業大臣は、この日本経済産業あるいは国民生活エネルギーを始めとした様々な国際的なものも含めて重要なポジションを占めているわけでありますけれども甘利大臣から、閣内におられるお一人として、この半年間の福田内閣についての、印象というよりはむしろ福田内閣は今どのような六か月を過ぎて立場にあって、六か月間どのようなことをして実績が上がってきたのか等を含めて、大臣のまず所見をお伺いしたいと思います。
  7. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 安倍内閣が退陣をいたしまして福田内閣ができました。この間の大きな違いというのは、本格的に衆参ねじれ現象、つまり衆議院参議院マジョリティーを構成する政党が違うという中でかじ取りを行うという、本格的にこういう事態に至った中での政局運営という、言わば初めて経験をする事態に直面をしているわけであります。  福田内閣としては、そういう新しい事態の中でどうやって合意形成を図るかということにまさに産み苦しみをしているときであろうというふうに思っております。  衆議院においては自公がマジョリティー参議院においては民主党を始めとする野党マジョリティーであります。マジョリティーを持つということはそれだけ絶大な権限を持つということでありますから、権限を持つということは同時に責任を持つということになるわけであります。衆参権限を持っている構成が異なる中でどうやって二院制の真価を発揮をし、より良き合意形成を図っていくか、これはやはりすべてを構成する政党が知恵を出して、汗をかいて新しい道筋を見付けていくということであろうと思いますし、福田総理自身はそういう中で、まさに産み苦しみの中で光明を見出すための奮闘中であろうというふうに私自身考えております。
  8. 増子輝彦

    増子輝彦君 産み苦しみというものについて、ただ苦しんでいただけでは何も生まれません。これから国会がどのような形でこの衆参与野党逆転をしているという厳粛な事実に基づいてこれから何をしていかなければいけないか。ともすれば、参議院はかつては衆議院のカーボンコピー的な扱いを受けながら無用論まで極端な話出されていたということもあります。しかし、今の参議院というこの院の存在は、そういうものではなくて、むしろ衆議院の行き過ぎた部分を厳しくチェックするという意味では、今、参議院の良識と同時にこの今の参議院の在り方というものについて、国民期待もあると同時に、私たちこの院に所属する議員責任も極めて重いものがあるわけであります。  確かに、今回の様々なこの混乱といいましょうか、残念ながら国会運営もままならないという状況の中で、やはり苦しむというものから次への新しい形をつくっていくための、福田内閣としてこれは政府与党がまず努力をしていくことが先ではないのだろうか。ともすれば、やはり政府与党民主党野党を批判するだけでは私は何も生まれないと思っているんです。  そういう意味で、国民期待というものも深刻に私は受け止めなければいけない。支持率が低下することはこれは勇気を持って信念を通す、それによって国民の批判を受けることもあると思うんです。しかし残念なことは、不支持率が極めて高くなっているということ、どの世論調査を見ても六〇%前後の不支持率が出ているということについて、もっと深刻に福田内閣が私はこれを考えていかなければいけないんではないだろうかというふうに思っているわけです。  そういう意味で、重要閣僚の一人として、今後の福田内閣国会運営を含めて政権運営の中で最も留意をしていかなければいけない点は何か、大臣所見をお伺いいたしたいと思います。
  9. 甘利明

    国務大臣甘利明君) この現実をしっかりと受け止めて打開する、懸案事項を解決するための道筋を探るということであります。  いずれにしても、政権党もそうでありますし、野党もそうだと思うのでありますが、話合いをするという重要性がより高まっているわけであります。最初から一〇〇%の回答がなければテーブルにのらないということであるならば話合い成立をいたしません。  私は、外交交渉通商交渉の中でもよくEPA交渉FTA交渉で感ずるのでありますが、やはりテーブルに着くときにはとても相手の要望はのめないという、満足するものではないという状態からテーブルに着くわけでありまして、そこで距離を詰めていくということが図られるわけであります。最初から双方とも自分にとって百点の回答がなければテーブルにのらないとしたら、FTA交渉EPA交渉は成り立たないわけでありまして、そういう通商交渉経験からしてみて、双方に不満があろうともまずテーブルに着くという努力を、政権党はもちろんでありますけれども、すべての政党認識をすると。そうでないと事態の打開が図れないという状況に今、国会はなっているんだということを認識しなければならないというふうに思っております。
  10. 増子輝彦

    増子輝彦君 そういうお考えの観点から見れば、一つ今回の道路特定財源問題について極めて重要な私は今の大臣のお言葉の中に方向性があるんだと思うんです。お互い百点満点の要求の中で回答は得られないと思うんですね。どこかでもちろん国会という場を通してお互いが譲歩すべきはしながら、あるいは譲り合うところは譲り合いながらいい結論を出していくということは当然のことだと思います。  しかし、政府与党提案をしているという、閣法で提案をしているという様々な法律の中で修正をするというものがもしあるとするならば、やはり政府与党が、相手方が十分その検討に値するような提案というものがなされなければ、私はそのテーブルにも着けないのではないだろうかというふうに思うわけであります。  そういう意味で、今回、道路特定財源の問題について、三月二十一日に自由民主党、公明党の政策責任者が我が党の直嶋政調会長の部屋においでになって実は出されたペーパーを拝見いたしますと、これは全く修正協議に値するものではないんですね。平成二十年度歳入法案について年度内に成立をさせるから始まりまして、結果としてこれはもう修正協議をする以前の問題であって、私ども一つ修正に応じてくれない、あるいはテーブルに着いてくれないというような話をされているそれぞれの責任者の方々は一体何をお考えになっているのかなと、私は大変疑問と同時に不信を募らせているわけであります。  そういう意味でも、是非、与党がしっかりと現状認識をしながら、一〇〇%のお互い満足を得られない中でも国民生活のために、国益のためにしっかりとしたやはり国会運営をしていくことが極めて重要だと私自身も思っておりますので、この点を踏まえながらやっていかなければいけないと思っております。  そういう意味で、さきの臨時国会福田内閣は五十七年ぶり憲法五十九条を実は使って再議決をいたしました。この再議決、五十七年ぶりですが、これがしばしば行われるということが今後あるかどうかは分かりませんが、大臣のお考えとして、この憲法五十九条を使っての三分の二再議決ということが今後度々行われることについて、もし可能性があるとすれば、この三分の二条項を使うということについての大臣所見をお伺いしたいと思います。
  11. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 憲法最高法令でありますから、最高法令に規定されていることについて否定することは最高法令を否定することだと思っております。  ただ、憲法衆参ねじれ状態というのを想定をしてなかったんじゃないかと思うんです。規定上は、衆議院で三分の二を超える議決があれば再議決できると。しかし、考えてみれば、一院が三分の二を持っている支持を得ながら片方の院で過半数を取れないという状況ってあるんですかね。片方の院で過半数を取れないということであるならば片方の院で三分の二を取れないと、片方の院で三分の二を取るなら片方の院で過半数以下になることはあり得ないというのが普通の状況だと思うんですね。ということは、憲法は実は、こういう状況想定していて書いてあるということでありますけれども、実際には衆参ねじれという状況が起こり得るということは想定していなかったんじゃないかというふうに思うんですね。  だとすると、そういう事態に、つまり、衆議院過半数参議院過半数割れ、あるいはその逆の場合に、衆参法案可決通過をしなければ成立をしないという仕組みの中で、どうやってこれを打開するかということはそれぞれの党に課せられた課題だと思うんです。それを我々は新しい道を見出していかなきゃならないという責務があると思うんですね。これは与党だけの責務ではありません。多数党の責務なんですから、衆参の多数党はやっぱり責任を持って、新しい我々が直面している事態に対して、どうやって国民にとってより良き合意が成り立つようなそういう道を模索するかということを考えていかなければならないんだというふうに思っております。
  12. 増子輝彦

    増子輝彦君 想定していなかった、想定外国会現状だということというようなお話がどうも前提に出ているようでありますが、あらゆるものを想定して憲法が必ずしも作られたかどうかは分かりませんが、やはりそれはそれとして、私どもは厳粛にこの現状を受け止めなければいけないと思っております。  特に、三分の二以上を占める多数の与党衆議院に対して、よくこれ言われることですが、民意参議院のこの結果が直近の民意だということになれば、当然ここの民意もまた無視することはできないと思います。このねじれを解消していくということであるならば、当然これは大臣専権事項ではありませんが、ここまで福田内閣が行き詰まってくるということになれば、当然これは、ましてや、安倍内閣民意を受けた、結果辞めた、福田総理がなったけれども、事実上、衆議院は二度民意を受けないままに新しい総理大臣内閣ができているということになれば、早急にこれは民意を問うということは憲政の常道として当然のことだろうというふうに思って私はおります。  そういう意味で、これは大臣の御答弁はいただきませんけれども民意というもののこの判断も私ども議員としてしっかりと受け止めていかなければならないと思います。私自身は、三分の二条項は、これはそう多発するものでもないだろうということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  大臣、昨年来、大臣ともこの委員会で何度かやり取りをさせていただきましたけれども日本経済状況は極めて今深刻な状況になっているということは共通の認識だと思うんです。特に中小企業に対する状況というのは、昨年来私どもはこの委員会の席で質疑を繰り返してきましたけれども、それ以上にますます深刻な状況になっているという現状を私どもお互い共有しなければいけないと思っております。  今年の年初、原油が一バレル百ドルを超えた、あるいは株もどんどんどんどん下がってくる、あるいは円も高くなってきたという、まさに円高株安原油高のこのトリプル要因の中で、今年はますます厳しい現状になるなという認識の中で、私自身自分にも言い聞かせながら、何としてでも、特に中小企業格差のその典型的な地域格差等踏まえて、企業格差の中の中小企業に対する格差というものを一日も早く解決することが政治の責任だろうというふうに思って、私も今活動いたしております。  現在のこの日本経済現状、特に中小企業に対する現状についての大臣の御認識のお考えをお伺いしたいと思います。
  13. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 統計の上では日本経済拡大基調にあるということになっておりますが、足下では足踏み状態に入っているというのは事実だと思いますし、もっと言えば、体感温度でいえば、景気が拡大しているという実感は恐らく多くの人が持っていないと言うのであろうと思います。  原油原材料価格が高騰をしておりまして、この影響をまさにもろに受けているのが中小企業であります。大企業はそこそこ収益現状でも上げていると。しかし、中小企業原油高原材料高影響をもろにかぶって、つまり価格転嫁ができなくなっているということは、収益を圧縮せざるを得ない状況になっているわけであります。そこでいかに成長の果実を均てんしていくかと。これは、中小企業あるいは従業員に対してどう均てんしていくかと、還元していくかということが課題だというふうに思っております。
  14. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣、今日も株が百八十円ぐらい現時点で下がっているようであります。福田内閣が発足したときが一万六千四百三十五円七十四銭だったんですね。昨日が一万二千七百六円六十三銭。福田内閣が発足して、三千七百二十九円十一銭という、この株安という現状になっております。  やっぱり株というのは、その経済状況や様々なものを反映するというふうに言われております。当然原油も、御案内のとおり、もう一バレル百ドルは当たり前の時代になった。私は今年の初めから申し上げていたんですが、一歩後退二歩前進、一時的には下がっても、またその倍近くずつ、少しずつ、下げ幅に対して倍近くの価格が、原油高として推移していくだろうというように実は言い続けてきましたが、まさにそのとおりになっていると。円も九十五円を記録し、今百円ぎりぎりのところで推移をしております。  この三つの要因、今後これらのものを踏まえながら、日本経済福田内閣の下でどういう方向性に進んでいくのかがどうも私には見えません。福田総理は具体的なものをほとんど打ち出さない、あらゆるものについて。その経済戦略福田ビジョンというものが全く私には分からない。そういう意味で、甘利ビジョン的な、これからの日本経済に対するこれだけ厳しい現状の中での方向性というものがどのように導かれていけるのか、そのお考えをお示し願いたいと思います。
  15. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 株安円高であります。一般の方は恐らく不思議に思っているんじゃないかと思うんですね。  株価はその国の経済現状を、あるいは将来、現状及び近未来を反映するとよく言われます。為替はその国の実力を反映するものであるはずであります。円高になって円が強くなっている、それは、じゃ日本経済は強くなっているのかしら、一方で株安になっている、日本経済は弱くなっているのかしらと。弱くなっている指標と強くなっている指標が同時に存在をして、弱くなればなるほど強くなるという不思議な現象が起きているわけであります。  残念ながら、日本経済に限らず世界経済アメリカ経済の動向に引っ張られるということは、あれだけのキャパでありますから致し方がないといえば致し方がないと思います。でありますから、一義的には、アメリカ世界経済への影響を、極力悪影響を与えないように自国経済運営責任を持ってもらいたいと思うのがまず一つであります。  日本はかつて、土地を始めとする、中心とする資産バブルで手痛い目に遭いました。それを見て学習しているはずのアメリカは、不動産、土地を住宅と置き換えただけの同じ現象に今遭っているわけであります。日本が遅きに失したという指摘は当時ありましたけれども、この泥沼を脱した、金融不安を脱したその経緯をしっかりと学習してもらって、より迅速に現在の言わば金融危機とも言える状況対処をしてもらいたいというふうに思っております。  そして、じゃ日本はどうするんだと。アメリカアメリカ対処をし、それに対してEUや日本も、どこまで協調できるかの度合いは別として、協調してアメリカの復活を支援をすると。と同時に、日本独自の経済戦略としてはどう進んでいくのかと。これは私は、経済産業省中心とする成長戦略としては、アジア成長に自ら寄与しつつ、世界成長センターたるアジアと一緒に伸びていくという戦略を立てているわけであります。そのための東アジアEPA構想というものを、つまりASEANプラス6ということを私は就任以来主張しているわけでありますし、で、このASEANプラス6を円滑に進めていくための課題の洗い出し、問題提起処方せんの書き方、これを日本がスポンサーをする東アジアアセアン経済研究センターERIAでシンクタンクとしての問題提起をし、処方せんを書き、それとODA等経済支援ツールを使って実行に移していく、そしてアジアをこれからも世界成長センターたる確固たる地位を築いていくと、それと連動して日本成長していくという絵図、戦略を立てて、就任以来一年半実行してきたわけであります。  アジア経済は、いわゆるデカップリング、アメリカの景気変動とは分離をして成長が可能だという論がありますけれども、しかし、これだけアメリカ経済に与える影響が大きい中では、デカップリングという具合にはなかなかいかないんだと思います。でありますから、アメリカを立て直しつつ、そのために協調しつつ、アジア世界成長センターとしての位置付けを確固たるものにしていくための施策の発動をしていくということが私が考え日本成長戦略であります。  そして、国内版的には、同様に日本の強みを発揮して需要を喚起をする、それはイノベーションによる新規需要の開発であり、つながり力によるコラボレーションとシナジー効果であります。日本のあらゆる経営資源を総動員して、あるいは連携をさせてこのシナジー効果を図りたいというふうに考えております。
  16. 増子輝彦

    増子輝彦君 アメリカ経済頼り、まさに長い間日本はそういう形でやってまいりましたよね。今サブプライムローンを始めとして、なかなかアメリカ経済が深刻であると。これは世界に大きな悪影響を及ぼしている。日本はまだその影響は少ないと言われているけれども、これも実際のところは分かりません。しかし、アメリカのまさに経済頼りというのは、先般の日銀総裁の人事について、本来であれば、日銀の総裁の空席ということが明らかになれば、株は大幅に下がってもいいんですよね。ところが、あのときはアメリカの株が上がったということによって日本の株も逆に上がってしまったということを見ても、日本経済はやはりアメリカ頼りなんだなあという実感を私自身も実は持ちました。  また同時に、今、甘利大臣の国際的な戦略や、あるいは国内的な考え方をお伺いいたしました。しかし、アジアの中でも日本が本当に考えているような形の中でいくかどうかということになれば、これ中国とインドの影響力というものが極めて大きなものになってまいりましたから、大臣が昨年、本当に一生懸命レアメタルの資源外交ということで南アの方にも行ってこられました。大変私は評価しているんです、大臣。そういうものも含めながら、本当に東アジアあるいはアジア全体の中で日本が主導的な立場の中でこの経済成長に向けてやっていけるのかどうか、よほどしっかりしなければいけないんではないかなというような今危惧を持っております。  と同時に、国内的にも需要を喚起するというお話がございましたけれども、この需要が伸びませんよね。九年連続で個人所得がどんどんどんどん減っていってしまうと、相変わらずの低金利の中で預金も、ただこれは不思議なんですが、何か貯蓄率が伸びているということのデータが出ているようですが、いずれにしても、この需要のための可処分所得が一つも増えない、減っているという状況の中で、本当に需要というものが喚起できるのかどうか。  この四月からあらゆる生活物資がほとんどといっていいほど実は値上げラッシュですよね。これに対しても国民はもう生活が苦しい上に更にどっと重荷を背負わされて負担ばかりだと、明るい材料は何もない、一体どうしたらいいんだろうと。それは二極化の中でリッチな方も確かにいるでしょう。まあこれは企業格差も同じですが、個人の格差という点からについても、本当に今深刻な状況であるということを考えればなかなか個人のこの消費も伸びていかないんではないだろうかというような心配をいたしているわけであります。  穀物類についても、バイオの関係でどんどんどんどんこれも上がっていく。この値上げラッシュの中で一体我が国はどういうことを対策として講じていくんでしょうか。  実は、先般もあるお菓子メーカーの数社からお話をちょうだいいたしました。今バターとかそういった乳加工品が品薄になってどんどん値上げになっているというんですね。これお菓子屋さんにとっては大変だと。食品偽造の問題だけではなくて、原材料、小麦粉の問題も含めて、今度はバターや生クリームやそういうものに波及をしてきたと。どうしていくんだろうと、頭を抱えているという現状なんです。これも、実は国内の酪農農家のいわゆる乳の生産は決して落ちていないんです。ただ、加工乳に回すものといわゆる生乳、飲用に回すものとのこの仕分がどうもアンバランスで、加工乳に回すものが少ないと同時に、実は中国とインド、これも従来日本に入ってまいりました安いその良質のバターやチーズや生クリームというのが中国やインドがどんどん買い占めているんだそうです。ですから値段も高騰する。品薄になってくる。どうしたらいいんだろうと、実はもう頭を抱えて店をしまわなければならないかというような状況にも今なってきているという切実な声が実は届いてまいりました。  これらのあらゆる値上げラッシュということについて、経済産業省としても何か対策を今後お考えになるんでしょうか。所見をお伺いしたいと思います。
  17. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 食物原材料に関しては農水省が直接には所管をしておりますが、我が省の所管の資源関連に関して言いますと、これは安定供給をしっかりさせるということ、それからリサイクルを促進をさせるということ、それから備蓄をしっかりするということ、それから代替材料を開発をするということ、これが大本のところでの対策、政策だと思っております。そして、できるだけ日本に入ってくる価格を安定的に低廉にさせていくためのそうした努力をすることと同時に、それでも価格は上がっていきますから、それはもう企業努力で吸収できない部分についてはやっぱり転嫁をスムーズにしてもらうしかないんだと思います。  お菓子屋さんの原材料でいえばそれを生産工程の中で吸収し切れない部分はあると思います。それは商品価格として転嫁をせざるを得ないと、そのための理解をいただく環境を整備することだと思いますし、それが下請企業であるならば元請企業はそれを織り込んだ価格で発注できるようなそういう適正な下請取引というものを構築していかなければならないというふうに思っております。
  18. 増子輝彦

    増子輝彦君 私が今申し上げたのは、単なるお菓子屋さんの問題だけではなくて、日本のあらゆる生活物資を含めた様々な資材、鋼材も含めて値上げラッシュだということの現状の厳しさを申し上げたことでございまして、経済産業省としても、これらの問題を一生懸命考えてほしいなという願いを込めての話でございました。  と同時に、今価格に転嫁という話もございましたが、大臣、それはなかなか転嫁できないんですよ、現実に、商売をされている方は。ましてや、量販店に納入をする、あるいは量販店との取引の中で運賃なんかでもこれだけ燃料代が上がっているときに転嫁なんかできないんですよ。それならどうぞお取引をおやめくださいと言われるのが落ちなんですよ。一口で価格転嫁と言いますが、小売業でも卸業でも製造業でもあらゆる業種、なかなかこれはできないんですね。その辺の認識大臣是非もう一度お持ちになっていただきたいと思うんです。  そういう中で、実は大臣原油高対策、昨年政府の方もまとめられました。自民党さんもまとめられて政府と一体となってやられたことは私ども承知しておりますが、私どももこの緊急原油対策に対してのまとめました。ただ、残念ながら政府が出した原油対策というのはなかなか効果が出ていないんですね。低利の融資だと、これはいつも常套手段なんですけれども、ところがそれぞれの企業はもう返す体力、気力がないんです。借りたものはいずれにしても返さなければいけない。どんなに無利子でも、極端な話ですよ、無利子でも借りたものは返さなければいけない。それができないほど今追い込まれているんです。  たまたま昨日、テレビを夜遅く見ておりましたら、ある運送業者のことが、この油の高い問題で出ておりましたけれども、もう賃金はカット、しかしその経営者は賃金カットをするんではなくて、社員の皆さんに私の方に融資をしてくれという形を取って、社員の皆さんの気持ちを少しでも理解をしてもらいたいという、カットではなくて融資をしてくれという契約書まで何か取り交わして融資の形をやっているんですよ、皆さん、御存じですか、大変な状況なんです。  ですから、なかなか、政府の出した原油対策というのは私はそれほど効果が上がっていないと思うんです。やっぱり、今あらゆる業界あるいは国民生活の中で今一番特効薬として効果があるのはやはりこれは基本的には燃料価格の引下げになってくるんだと思うんです。私たちが出したこの暫定税率廃止、一般財源化は、本質的な大事な目的は地方が自ら自分の判断で自分の力で町づくり、地域づくりをしていくための自主財源を持つという、国に頼るだけではない、交付税や補助金頼りではないという形の中でやっていってほしいということが私たち民主党のこの考えの根本的な本質的な問題であります。それに対して結果としてガソリンが二十五円下がる、あるいは軽油が十七円下がる、それ以外の燃料関係も連動して下がってくるということになっていくわけです。この原油引下げ、いわゆるガソリン二十五円あるいは軽油十七円、この暫定税率が現実として、今のままの国会状況であれば三月三十一日でこのいわゆる暫定税率は切れるということになる可能性が現時点では極めて高いと思うんです。大臣、これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  19. 甘利明

    国務大臣甘利明君) その切れることに関して……
  20. 増子輝彦

    増子輝彦君 暫定税率について、もし切れた場合に各業界団体や国民生活にどのような影響が出てくると思われるか、あるいはこの暫定税率はやはり、前にも大臣とここは少し話したことがあるんですが、この暫定税率は維持すべきものであるかどうかという、この二点をお伺いします。
  21. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 政府の人間としては、これ、こういうような予算を提出していますから、口が裂けてもなくてもいいということは言えないわけでありまして、これは是非維持をしていただきたいと思いますし、そのための努力を、最終的な場面に入っていますけれども努力を今続けていていただいているわけであります。  仮に切れた場合の、仮定の話というのは政府にいる人間としてすべきではないと思いますが、というのは、交渉にバイアスを掛けてしまうということがありますから、言うべきではないと思いますが、経済的な効果とか混乱とかいうことがどういうことが想定されるかと。  一般論としてしか言うことができませんけれども経済効果は、たまたま今朝の新聞、日経新聞に第一生命の経済研究所が試算という記事が載っておりまして、道路がそのまま何らかの形でというか、恐らくそれはもう赤字公債が発行されてということになる、建設公債が発行されてということになるのかどうか、そのまま道路が建設をされ、なおかつその上で暫定分、ガソリン二十五円、軽油十七円がなくなったとしたときの経済効果はプラスのGDP〇・二%引き上げると。しかし、道路ができないとするとマイナス〇・二%になるという試算をしているようであります。いずれにいたしましても、その分の歳入がなくなるわけでありますから、それをどうやってか補てんしなければならないというもう一つ課題が来ることは確かであります。  それから、どういう混乱か。それはもう、ガソリンスタンドでいえば買い控え、それから四月一日になった途端に行列が並ぶと。在庫の確保ができないとか、あるいはスタンドが元請に対する支払に窮するとかいう等々の混乱は生じるんだろうと、一般論で言えばですね、だと思います。
  22. 増子輝彦

    増子輝彦君 今大臣の方から、いみじくもガソリンスタンドに対するいろんな混乱とかいうものが出ましたけれども、実はこのガソリンスタンド、四月一日から暫定税率が廃止になった場合の対応をそれぞれもう既に考えているようであります。少なくとも、私が住んでおります福島県の中で約二十のガソリンスタンドに暫定税率が下がったらどうするのとお聞きしました。全部が直ちに下げるそうです。それはもう国民は、ユーザーはみんな待っていると、我々としてもそれはもうやらなければいけない、システム的にはコンピューターをプログラムをちょっと触れば何の混乱もありませんと。  ただ、在庫の問題があります。これはもう釈迦に説法ですが、製油所から蔵出しで税金が掛かってくるという形の中での問題があるわけでありますが、ただ、これに対して私ども民主党としては、これに対する対策法案を出しております。いわゆる酒税と同じ方式でやっていくことで十分これはやれるということで、過去にそういうケースがありました。  と同時に、やっぱりこれ、揮発油税に、増税になったときに出した法律があるんですね。これは後で藤末議員がやるのかもしれませんが、実は昭和五十四年にこれ一度やって、その後もう一度やっているんですよ。増税した仕組みをそのまま減税の仕組みに戻していくことによって何ら混乱はないんです。これも国税庁長官通達で実はできるんですよ。これを利用すれば全くガソリンスタンドのこの問題はなくなります。  これは、いわゆるガソリンスタンドを製油所とみなすということなんです。増税のときはそれをやったんです。今度は逆に、暫定税率が万が一切れて四月一日からそのような事態になれば、これを適用すれば、これは何らガソリンスタンドに関する混乱はなくなりますから、そこは是非大臣も、与党責任者の一人として、切れたときには速やかにそういう形の中でやるような対策も是非講じていただきたいと思います。  と同時に、大臣、本当はたくさん質問したかったんですが、だんだん時間がなくなってまいりましたが、この経済について、今後緊急に、私ども民主党としても経済総合対策を出すことにいたしました。私ども、直嶋政調会長中心として、私も入りまして、緊急総合経済対策を打ち出すことにいたしております。甘利大臣中心として、政府の方でもこの厳しい中小企業中心とした経済対策、何か出す用意はございますか。  今回のこの通常国会の中で中小企業に対する様々な法案が出されていたこと、私も非常に評価はいたしておりますが、それだけではどうも間に合わない、十分ではない、緊急性はなかなかそこで確保できないというような感じを私はいたしておりますので、緊急に総合経済対策を、このサブプライムローン問題を含め、先ほどの株安原油高円高を含めて、あらゆるものを総合的に考え経済対策を出されるかどうか、そのお考えをお伺いしたいと思います。
  23. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私も福田内閣の一員でありますから、その枠内での行動ということになります。まだ来年度予算成立をしていない、最終の努力をいただいているさなかであります。  その枠内で何ができるかということでありますが、年度末の中小企業向けの資金繰り対策については、既に御承知のとおり種々対応をさせていただいたところであります。あわせて、二十年度予算に関しましても成長力の強化、地域の活性化等に取り組むことになっておりますが、福田総理から三月十一日に指示がありまして、成長力強化への施策について早期の具体化を図るようにという指示がありました。つまり、これは新年度予算の枠内で考えられることの前倒しをできるだけせよという御指示であります。  今、前倒しして実施できる言わば玉を洗い出しているところでありまして、その施策を早期に実施をしたいというふうに思っております。
  24. 増子輝彦

    増子輝彦君 この委員会でも再三、与野党を問わず中小企業中心とした日本経済に対しての共通認識を持ちながら力を合わせてやっていこうということが確認されております。どうぞ大臣、適切な、迅速なやはり経済対策を打ち出しながら、特に小規模零細企業に対しての対策を十分していただきますよう、重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。  質問を変えます。  この当委員会でも私も二度ほど質問をさせていただきました。例の産総研の特許生物寄託センターについて、これは大臣からも、第三者委員会をつくってしっかりと検証しながら再発防止に取り組んでいきたいということを御答弁としてちょうだいをいたしました。その結果どうなりましたでしょうか。簡略に教えていただければ有り難いと思います。
  25. 甘利明

    国務大臣甘利明君) さきの委員会でも先生から御指摘をいただいた点でございます。  昨年十月に私が指示をいたしまして、産総研に設置をされた第三者委員会に関してこの二月の二十九日に最終報告書が取りまとめられたわけであります。この報告書では、まず一点として、微生物を誤って受け入れた原因は、病原性微生物リストと照合しなかったこと等であるということ。二点目として、産総研に隠ぺいの意図はなかったけれども、結果として問題が放置されておって対応が不十分であったということ。三点目として、産総研による元センター長への対応は不適切であったということ。四点目として、産総研のリスク管理体制の強化を図るべきであるということ等がこの最終報告で指摘されているわけであります。  そして、この報告を受けまして、産総研において再発防止策の徹底、関係者の処分、問題点を指摘した元センター長への対応が検討されまして、三月十四日に私に報告がありました。私からは、再発防止策の徹底、元センター長への誠意ある謝罪、国民の信頼回復を図るよう産総研に指示をいたしたわけであります。  経済産業省といたしましては、産総研におきまして適切な対応が取られるように引き続き指導しますとともに、特許庁内に有識者を含む検討委員会を設置しまして、今後の寄託制度の見直しに向けた検討も行ってまいります。
  26. 増子輝彦

    増子輝彦君 どうぞ、私はこの特許生物寄託センター、大変重要な機関だと思っておりますので、その報告を踏まえて、大臣からもお話がありましたような観点らから管理体制など問題再発防止の徹底にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  そこで、今大臣の答弁の中にもございましたけれども、具体的に元センター長に対する対応は何かなされたんでしょうか。お聞かせ願いたいと思います。
  27. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 三月十四日に私から産総研の吉川理事長に対しまして、問題点を指摘した元センター長に対しまして産総研として誠意を持って謝罪するよう指示をいたしました。これを受けまして、三月二十一日に、産総研の副理事長が問題点を指摘をした元センター長、これは御自宅でありますが、を訪問をしまして、元センター長に対する産総研の不適切な対応について謝罪をするとともに、関係者の処分、再発防止策等について説明をしたというふうに報告を受けております。  それから、経済産業省としてでありますが、私の命を受けまして、経済産業省としても、同日、担当審議官が元センター長を訪問しまして、産総研を所管する立場から問題解決に長期間を要したこと等を踏まえまして、元センター長に対しまして私の意を託しておわびをするということをいたしました。経済産業省の今後の対応についても説明をしまして、元センター長から理解を得ることができたと報告を受けているところであります。
  28. 増子輝彦

    増子輝彦君 御苦労さまでございました。  このセンター長に対しては、何か復職的なような具体的な話とか方向性は出ているんでしょうか、それとも謝罪だけで終わるんでしょうか。お聞かせください。
  29. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 今の御質問でございますけれども、今、元センター長はNITEという別の寄託制度を扱っております団体の嘱託をしております。その関係においては特段今変更はないというふうに承知をいたしております。
  30. 増子輝彦

    増子輝彦君 分かりました。  いずれにしても、産総研も特許生物寄託センターもしっかりと気を引き締めて頑張っていただきたいと思います。  時間がなくなりました。エネルギー問題等についてあるいはほかの件については同僚議員が質問されますので、お譲りします。  最後に、実は株式会社地域力再生機構について若干お伺いをしたいと思います。  この法案内閣府から出されることになりました。私ども民主党でも合同の部会で何度かヒアリングをしたり、私ども考え方も実は今集約をいたしているところであります。経済産業部門会議としてもヒアリングをさせていただきました。大変問題があると言っては失礼になりますが、ちょっといろいろ十分今後とも吟味をして精査をしていかなければいけない法案なのかなと今思っております。  そういう意味で、経済産業省としても今、中小企業再生支援協議会を設置をした上で、中小企業基盤整備機構では地域中小企業再生ファンドが用意をされているとか、整理回収機構、地方銀行が出資する民間の地方再生ファンドも多く生まれてきているんですね。今日も、朝だったでしょうか、テレビで、三菱UFJフィナンシャルと三菱商事が合同出資で一千億ぐらいの再建のための会社をつくって積極的に民間の再生に中小企業中心として当たっていきたいと。ほかの金融機関やいろんな関係のところもどんどんどんどん日本のやはり中小企業に対して手を入れていこうということで今進んでいるようであります。  大臣、どうでしょうね。これ、わざわざこういった地域力再生機構などというものをつくらなくても、中小企業庁がしっかり頑張っている、あるいは経済産業省全体としてもやる、あるいは民間の活力も引き出しながらやるということがこれからもどんどん出てくると思うんですが、十分これらで対応できるとお思いになりませんか。
  31. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 恐らく私の当初の心配と増子先生が抱いていらっしゃる心配というのは相通ずるところがあるんだと思います。私自身も諮問会議の席で屋上屋を重ねるようなことにならないようにという注文を付けました。中小企業再生支援協議会が成果を出していて、そのネットワークを強化するために本部機構もつくって相当パワーアップしてくる中で、地域力再生機構をつくる意義ということが国会及び国民にきちんと説明ができるようでないといけないんではないでしょうかということで大分議論をいたしました。すみ分けとコラボレーションといいますか、そういう効果がちゃんと出るようにしてもらいたいということで、これは大分議論をいたしました。  地域力再生機構は、どちらかというと中小企業再生支援協議会がなかなか手が伸ばしづらい三セク、三セクは自治体が絡んだ民間部門でありますし、ともすればガバナンスが弱いんではないかということが指摘されていると。この三セクや面的な再生、規模でいえば中堅クラスを担当するということ。それから、中小企業再生支援協議会は従来どおり中堅規模以下の言わばその名のとおり中小企業を担当していくということ。  それで、この処方せんの書き方も若干違うと思うんですね。中小企業再生支援協議会の方はどちらかといえば内科療法だと思います。この再生機構は若干外科療法が入ってくるということになると思いますから、それぞれ得意な手法、効果的な手法を使ってすみ分けと協力をしていくということになろうかと思います。
  32. 増子輝彦

    増子輝彦君 実は、大臣が危惧されていること、あるいは何度かそういう屋上屋を重ねないような形の中での注意を喚起したということ、全く共通認識なんですね。特に今のすみ分けの形の中で第三セクの問題が出てまいりましたよね。私たち実は民主党で一番今心配していることは、この第三セク救済機構ではないかと、そんな危惧をいたしているんです。  今日はわざわざ山崎審議官にもおいでいただいて、答弁の機会はないんですが、ごめんなさいね。山崎審議官始め大臣や皆さん、いやそんなことはありませんと、中規模企業やそういうものを含めて、第三セクだけではないんですという話をされているんですが、まさに今の大臣の御答弁のとおり、屋上屋を重ねないでいく、当然すみ分けも必要になってくるだろうということになると、いみじくも第三セクを中心としてというような方向性に流れやしないかと。  第三セクは、これはもう皆さん御承知のとおり、なかなかうまくいかないんですよね、失敗例がたくさんある。今、日本には六千近くの第三セクターが残っているんですよ。このうちから、仮に、全体的に二百近くのものを、あるいは場合によっては三百ぐらいのものを抽出して、徹底的にこれを検査をして、再生可能であればということですが、そのうち例えば半分以上が第三セクということになる。果たして、そういう形の中で第三セクを救済することがこの国のためになるのか、地方のためになるのか、日本経済のためにどういうふうになっていくのかということのどうしても私ども疑問といいますか、心配といいますか、危惧をこれ禁じ得ないんですね、ぬぐい去れないんですね。  ですから、ここのところは十分これから、この経済産業委員会の所管ではございませんけれども大臣もこの法案の関係については当然様々な形の中でかかわってこられたと思いますし、経済産業省としても中小企業庁としてもある意味ではかかわってきたと思うんです。十分この点を踏まえながら、この株式会社地域力再生機構については、法案については慎重に徹底的に議論をしていかなければならないんではないだろうかということを申し上げさせていただいて、私の今日の質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。
  33. 下田敦子

    下田敦子君 下田敦子でございます。よろしくお願い申し上げます。  先般、甘利経済産業大臣は、本操業を控える六ケ所再処理工場など核燃サイクルを含む原子力を推進するなど、総合的なエネルギー政策を遂行しますと所信表明されました。  まず、全国の原子力発電所は何基あるか、また、そこから生じる使用済燃料から換算したガラス固化体は今日現在何本保管されておりますか。そのうちフランス、それから、これからまた二十年度、イギリスから今後返還される予定のものは何本ありますか。それからあと、十九年三月十四日、去年でありますが、予算委員会でお答えいただいておりますけれども、その時点から逆算して今日まで何本増えたか、お尋ねをいたしたいと思います。
  34. 甘利明

    国務大臣甘利明君) まず、原発の基数でございますが、既設のものは全国で五十五基ございます。  それから、ガラス固化体に関してですが、我が国におきまして原子力発電所の運転に伴って発生した使用済燃料をガラス固化体に換算をしますと、まず平成十九年末時点で約二万一千三百本となります。そのうち国内で保管されているガラス固化体の数でありますが、平成二十年二月末時点で千六百十四本であります。  それから、イギリスとフランスからのですね、電気事業者によりますと、イギリスからは委託した使用済燃料の再処理に伴うガラス固化体が今後約八百五十本返還される見込みとのことであります。それから、フランスから返還されるガラス固化体につきましては平成七年以降千三百十本が返還をされまして、フランスからは既に終了をしております。  それから、平成十九年三月十四日以降ガラス固化体が何本増えたかという御質問でありますが、海外から返還されたガラス固化体の数は、フランスから返還されたことに伴いまして、昨年の三月時点から現在までに百三十本増加をしております。
  35. 下田敦子

    下田敦子君 この昨年の三月十四日から百三十本増えている、これは全国の五十五基のものは入ってですか、入らないですか。返還された、フランスから。
  36. 甘利明

    国務大臣甘利明君) フランスからの返還分がこうなっているということで、増えている分です。
  37. 下田敦子

    下田敦子君 国内のものはこれに入っているのか、いないのか。
  38. 西山英彦

    政府参考人西山英彦君) 今の大臣の御答弁の若干補足説明をいたしますと、先ほど先生の御質問に対して、全体のこれまで発生した、日本で換算して発生したガラス固化体の本数の中に今大臣が申し上げたフランスからの返還の部分は含まれております、内数として含まれております。
  39. 下田敦子

    下田敦子君 国内が入っているかどうかということなんですが。
  40. 西山英彦

    政府参考人西山英彦君) 国内から全部発生したものでございます。
  41. 下田敦子

    下田敦子君 それじゃ答弁にならない。
  42. 西山英彦

    政府参考人西山英彦君) 入っているということ。
  43. 下田敦子

    下田敦子君 国内の五十五基のものも入っての換算ですか。
  44. 西山英彦

    政府参考人西山英彦君) はい。国内の、そういうことでございます。
  45. 下田敦子

    下田敦子君 はい、分かりました。  これらに関する費用はまた別の日にお尋ねを申し上げることにして、次の質問に入らせていただきます。  現在、第四ステップにおいて、これは日本で初の商業ベースによる再処理事業がスタートするということでテスト段階ですが、ガラス固化体化が順調に行われていなかった、そういう失敗したガラス固化体が何本ありますか、お尋ねします。  また、これらのガラス固化体は、内部の放射能が均一でなくて、濃度の濃い部分やガラスやステンレスの強度が保てるかどうかということが非常に心配されております。いわゆるガラス固化がうまくいかなかったもの、こういうことをどう処理するのかをお尋ねいたします。
  46. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) お答えいたします。  今先生から御指摘ございましたように、この再処理施設のアクティブ試験、第四ステップにおきまして、事業者は平成十九年十一月四日から高レベル廃液を用いましたガラス固化設備の試験を実施いたしまして、これまで五十七体のガラス固化体を製造し、そのほか三体が製造中ということになっておるわけでございます。  この三体の製造中のガラス固化体につきまして詳細を申し上げますと、流し込んだガラスが盛り上がっているというもの、あるいはガラス固化体の容器への充てん量が不足をしていたということでございまして、現在、事業者はそれらを固化セル内で仮置きをして管理を行っているというところでございます。  それで、今後どうするのかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、例えばガラスが盛り上がっているというものにつきましては、やはりその上をカットする等々の、こういうことが今後必要となるわけでございまして、現在、この事業者におきましては、この三体につきましてどのように処置をしていくのかというのを検討しているところでございます。処置方針が固まり次第、適切に加工し、我々といたしましてもやはり検査を行い、ガラス固化体の貯蔵設備におきまして安全に貯蔵、保管がなされるものと考えておるところでございます。
  47. 下田敦子

    下田敦子君 大変恐縮です、先回もお願いいたしましたが、先生という呼称はおやめいただきたい。さきの答弁者も同じです。私はティーチャーでもありませんし、メディカルドクターでもございません。非常に別な、古いものを感じます。  次に、また大臣にお尋ねいたしますが、先般、昨年の予算委員会でお答えいただきましたことでございますが、高レベル放射性廃棄物に含まれる放射性廃棄物の半減期についていろいろお答えくださいました。千年単位、テクネチウム99、プルトニウム239、これらのものは数万年後にウラン鉱石と同程度の放射能レベルまで減衰するとの御答弁をいただきました。  御案内のとおり、ガラス固化体の廃液の中にあっているその放射性物質というのは大変高い熱を出します。私も雪の降る日に荷揚げされたものをちょっと見ましたけれども、温度は表面が二百度にもなり、すぐそばに立っていればたった二十秒で致死量に達すると言われる強力な放射線を出すと言われています。これがある程度収まるまで三十年以上掛かると。それを六ケ所村に中間貯蔵として貯蔵しておく。こうやって電気、昼間でも朝でも電気をつけている私は大変悲しい思いにいつも襲われます。  そこで、先般も確認をさせていただきましたが、青森県を最終処分地にしないということイコール搬出先は青森県内ではないということを明言されておられますけれども、この明言を再度お伺いいたしたいと思います。
  48. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私からも累次、青森県知事にはお伝えしてまいりましたけれども、国と青森県との間でなされている最終処分地に関するお約束については変更はありません。高レベル放射性廃棄物等の処分は、原子力発電や核燃料サイクルを進めていく上で極めて重要な課題であります。処分事業を着実に進めるために、NUMOや電気事業者等とも連携をしつつ、国が前面に立って最大努力をしてまいるところであります。  この青森県とのお約束については今申し上げましたような次第でございまして、これが変更されることはありません。
  49. 下田敦子

    下田敦子君 また、昨年三月までに、高レベル廃棄物最終処分拒否条例というものを制定した自治体がございます。北海道、それから岐阜県の土岐市、高知県の東洋町など十二の自治体に及んでいますが、高レベル最終処分拒否条例を有する自治体と、それを、そうでないということで、そういうものの条例を持たないという自治体において、国はどのように対応されるのでしょうか。
  50. 甘利明

    国務大臣甘利明君) まず、原子力発電や核燃料サイクルなどの原子力の推進に伴って発生する高レベル放射性廃棄物等の処分というのは、原子力の便益を受ける我々国民一人一人が考えなきゃいけない問題でありまして、しかもほうっておけない、必ず解決をしなければならない問題であります。  これまで処分事業に関心を有する地域は現れてはきましたけれども最初調査段階となる文献調査を開始するというところまでに至っていないわけでありまして、昨年十一月には総合資源エネルギー調査会原子力部会放射性廃棄物小委員会におきまして国民全般への広報の充実など強化策を取りまとめたところであります。処分事業を着実に進めるためにNUMOや電気事業者とともに連携をしながら、国が前面に立って国民全般や地域と相互に理解が深められるように努めてまいるところであります。    〔委員長退席、理事藤原正司君着席〕
  51. 下田敦子

    下田敦子君 御質問申し上げましたことにはどうもかみ合わない。私が聞き取れないのでしょうか。  拒否条例を持っている自治体とそうでない自治体についてどういうふうに対応なさるのですかというお尋ねであります。
  52. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 条例を有する自治体とそうでない自治体に対して国がどう対処するのかと。これは、こうだからこう対処する、こっちはこう対処しないという話ではないと思います。  ただ、いずれにしても、もう原発が五十五基動いているのであります。世界中でもう数百基が動いているわけでありまして、原発が動けばその廃棄物は出るわけでありまして、これを見て見ぬふりはできないわけでありますから、今ついている電気の三分の一は原発によって供給をされている。我々国民はこの便益を受けているわけであります。受けている者がこの最終処分の問題に関して真正面から向かい合って、これをどう解決していくかということは全国民的な課題であるというふうに思っております。
  53. 下田敦子

    下田敦子君 大臣のただいまの理論からまいりますと、四十七都道府県すべて、電気を使って消費者である私どもは、それぞれに地下三百メーター掘ってそこに埋設するべきであるというふうな意味にも取れます。条例を、拒否条例を持とうが持つまいが、そこの住んでいる住民の意向は何でもって測るのか。もうすべてここにおります議員が、委員がそれぞれの国表に帰ったときに、それぞれの高レベル廃棄物の埋設地を持たなければいけないという理屈になります。そういうことに対しての今お尋ねをしたわけです。  次に、時間がありませんので、一九九四年、それから九五年、科技庁の方から青森県を最終処分地にしない旨の確約書が出ております。北村正哉知事、これは一九九四年の十一月十九日です。それから、一九九五年の三月十三日、橋本首相と青森県知事、木村知事との合意文書であります。  同様の趣旨を持った経緯でありますが、現三村知事も国の確約書を再度必要としているということを議会で先般答弁しております。近日中に国に要請に来ると、そういうニュースが流れておりまして、甘利大臣はこれを受けられますか。そして、確約書を出される御意思があるのかどうか。また、この確約書の担保はどういう意味を持つのか、担保力を問う声がありますので、これに対してお答えをいただきたいと思います。    〔理事藤原正司君退席、委員長着席〕
  54. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先ほどの質問に関して申し上げますれば、つまるところ、条例の有無にかかわらず地元の意向を無視して選定することはしないということであります。  それから、青森県からもう一度その確約をしてくれと、その際に公文書の形式で発出云々というお話でありますが、青森県の三村知事からの御要請があれば、その内容を踏まえて真摯に具体的な対応をしてまいります。
  55. 下田敦子

    下田敦子君 ただいま御質問申し上げました中での確約書の持つ担保力をお尋ねいたしましたけれども、お答えが聞き取れませんでした。
  56. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 約束はちゃんと守るということであります。
  57. 下田敦子

    下田敦子君 平成十一年の十二月十五日、第百四十六回の国会におきまして、福島瑞穂議員から高レベル放射性廃棄物の処分処理に関する質問主意書が出されております。これに対しまして、平成十二年一月十八日の答弁書第二一号、これは小渕内閣の閣議決定であります。この閣議決定について、大臣の御所見をお伺いいたします。
  58. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 平成十二年一月十八日当時の御指摘の答弁につきましては、現在も変更はありません。
  59. 下田敦子

    下田敦子君 ちょっと聞き取れませんでした。もう一度。
  60. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 聞き取れなかったそうであります。
  61. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 変更はないということであります。
  62. 下田敦子

    下田敦子君 閣議決定というのは大変重いものがあるはずです。単なる確約書をいただいてきたとか、そういう意味ではない、そのことを再度確認をいたしますが、どうですか。
  63. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 極めて重いものだと承知しております。
  64. 下田敦子

    下田敦子君 じゃ、次に移らせていただきます。  六ケ所再処理工場による海への放射線汚染を国民は大変心配しております。今日も消費者の会の皆さんがいらしております。  この度、岩手県沿岸を中心にいたします十四の市町村が放射能海洋放出規制法、これ仮称だそうですが、これの制定を求める意見書を国に提出いたしました。放射能汚染に関する環境アセスメントをなぜ行わないのか、お尋ねいたします。
  65. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) お答えいたします。  この再処理施設の安全審査におきましては、原子力安全委員会が定めました再処理施設安全審査指針に基づきまして、平常時におけます再処理施設から環境への放射性物質の放出等に伴います一般公衆の線量が法令に定めます線量限度を超えないことはもとより、合理的に達成できる限り低いことを評価するということによりまして、再処理施設の安全性を確認しているところでございます。  そして、この評価に当たりましては、今御指摘のございましたような海からの放射性物質、こういうものを考慮いたしまして、海産物等の食物の摂取によります内部被曝であるとかあるいは海水面からの外部被曝だとかこういうものと、そしてあわせて、今度は大気からの外部被曝等々を合算をいたしまして、再処理施設から一般公衆が受ける放射線量の量は年間で約〇・〇二二ミリシーベルトと評価をされたところでございまして、これは先ほど申し上げました法令で定めます線量限度であります年間一ミリシーベルトを十分に下回っているというものでございます。  また、これが確実に担保されているかということで見るために、さらに事業者に対しまして海水あるいは海産物、そして空間線量等の環境モニタリングの実施や施設からの放射性物質の影響等の確認を求めておりまして、原子力安全・保安院に報告させるなどの措置を講じているところでございます。  またさらに、青森県あるいは文部科学省におきましても環境放射線モニタリング等が行われておりまして、安全性に影響を与えるような大きな変動がないかどうか、継続的な監視が行われているところでございます。  特に、先ほど岩手県という話がございましたけれども、文部科学省の方では実はこの核燃料サイクル施設の沖合におきまして、平成三年から海水、そして海産生物あるいは海底土の放射性物質、こういう測定を行っておりますけれども、さらに平成十九年度からはこの区域にさらに岩手県の沖合、これも含めるなど、幅広いモニタリングを行っているというところでございまして、御地元の皆様方に心配がないように万全を期していると、このように考えているところでございます。
  66. 下田敦子

    下田敦子君 原子力安全委員会の定めているところの云々ということと環境アセスメントをこれから行うということとは、意味が違います。それは、普通の環境の問題としても常に行われておりますことをなぜ行わないのかというお尋ねをしておりますが、毎度毎度、ヒアリングのときでもこういう答弁しか返ってきません。  時間がありませんので、中小企業対策まで行くのに、場所を変えてまた次の機会にさせていただきますが、フランスのラアーグ、一般の問題には出てきませんけれども、なぜあのように小児がんが、発生率が高いんですか。これをやはり根本的に論じていかなければならない問題だと思います。  それから次に、原子力発電環境整備機構、略してNUMOと言わせていただきますが、このNUMOによるところの新聞広告、二〇〇六年度、二〇〇七年度の広告活動費及び二〇〇八年度の予算額をお知らせください。
  67. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) NUMOの広報活動費は新聞だけではございませんけれども、二〇〇六年度決算ベースで十三億六千二百万円、二〇〇七年度予算ベースで三十二億五千百万円でございます。
  68. 下田敦子

    下田敦子君 ここに、お手元に今縮小してお届けさせていただきました。理事のお許しを得てこのようにしましたら、我が筆頭理事は、年寄り泣かせだなと、小さくて読めないじゃないかというお話でありますが。  最終処分地をちゃんと造らなければ、この発電のこのシステムは我が国に通らないということ。いわゆる簡単に申しますと、トイレなきマンションを造ってしまって、今日に、最終処分をどうするかという方法を講じないまま、経済界のリードするところによって原子力発電が五十五基に至るまで、今日まで至りました。各それぞれから発生する高レベル廃棄物が、安全協定によるとはいうものの、三十年から五十年預からなきゃいけない青森県。さあ、三十年生きられません。五十年はまして、この中でも、達者でいられる方もあるかもしれませんが、子や孫に対して残すプレゼントです、これは。大変な問題をプレゼントしていくわけでありますが。  この費用について今お尋ねいたしましたけれども、御回答は聞き取れないんですけれども、ちょっと、十三億というのは二〇〇六年のことでございますか。──はい、分かりました。  それじゃ次に、二〇〇八年度、平成二十年の広告活動費をもう一度おっしゃっていただきたい、予算として。
  69. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 失礼しました。少し早口で申し上げたものですから。  二〇〇六年度の決算ベースは、申し上げましたように、十三億六千二百万円、二〇〇七年度は予算ベースで三十二億五千百万円、二〇〇八年度予算ベースでは四十三億八千五百万円でございます。
  70. 下田敦子

    下田敦子君 なぜ、十二億、十三億から跳ね上がって、こういうふうな四十三億に、多額な予算を持たなければならないんですか。それをお尋ねします。
  71. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) このNUMOの広報そのものは、NUMOの、政府予算ではなくてNUMOの自己予算によって行われているものでございますので、私どもとしてはこの増額の理由の詳細は申し上げる立場にはございませんが、この事業がますます現実的なものになっていくに当たって、広報の重要性というものは当然増えていくということでございますので、そのように理解をしているところでございます。
  72. 下田敦子

    下田敦子君 NUMOのお仕事であって、かかわるあれではないということかもしれませんが、管理監督は経産省にあるはずです。ですから、なぜこう増えているかということは最終的に管理もし、見ていかなければなりませんが、これはほんの一部でございます。しかも、昨今、全面広告がたくさん出てくるんです、手を替え品を替えして。  しかも、もう一つここでお尋ねしなければなりませんが、青森県とそれから福島県です。これ、先ほど来御質問されておりましたそれぞれのことで、エネルギーは後になさるというお話でございましたけれども、福島県だけが年間四十回もこういうPRをしているんですね、広報活動。あとの新聞社はほとんど二十回なんです。なぜですか、これは。
  73. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) この広報の形態を見ますと、地方紙におおむね二十回ずつ掲載をされているということでございまして、福島県の場合には二つの地方紙に、その地域の広報の占有度を見ながら二つの地方紙に行われているということでございます。
  74. 下田敦子

    下田敦子君 それは今私が申し上げたことでございまして、なぜですかということをお尋ね申し上げているんです。青森県には各地方紙も、県紙も入れますと主なものは三紙ありますけれども、この二社、二紙にわたって四十回。増子先生のところの福島県も二つ、四十回です。だから、なぜ他の県が全部二十回、二十回なのに、なぜ青森県と福島県だけが四十回なんですかということを聞いているんです。
  75. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 二日間にわたって例えば掲載をされたという場合で、そのときにその県における地方紙のシェアを見て企画されたものと理解をしております。
  76. 下田敦子

    下田敦子君 答弁になっておりません。新聞だけではありません。テレビのコマーシャル、これもまたそれぞれの系列に沿って、青森県には三放送会社がありますけれども、二社にわたっています。非常に多いです。  そこで、時間がありませんので次に入らせていただきますが、私どもは、例えば一か月三百キロワットの電気を使用したとします。約七千円に換算できると思いますが、この中から最終処分費用として負担額が約二十円、率にしますとこれが〇・三%、国民すべてが負担していることになります。ですから、平成三十年までに、最終処分建設地の選定が平成四十年、この後半を目的に最終処分を開始すると現在うたっておられるわけですけれども、毎年約千本、それから総数約四万本の処分を見込んでいるようでありますけれども、NUMOは時間的、経済的にこの計画が実施できますか。また、不測の事態に即したときにはNUMOが業務困難となると思われますが、その担保するものは何ですか。お尋ねしたいと思います。
  77. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今月の十四日に閣議決定をされました特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画におきまして、国は平成四十年代後半を目途として最終処分を開始することとしております。  また、処分事業に係る費用については、法律に基づき電気事業者等が資金を拠出するよう必要な措置がなされているわけであります。処分事業を着実に進めるために、NUMOや電気事業者等とともに連携しつつ、国が前面に立って最大限努力をしてまいります。御指摘の懸念がないように、きちんと対処をしてまいります。  それから、不測の事態により例えばNUMOが業務困難となった場合はどういう措置がとられ、何で担保されるかという御質問であります。  特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律では、天災などによってNUMOが最終処分業務を行うことができなくなった場合には、必要な措置を別に法律で定めることとされております。また、じゃその法律ができるまでの間はどうするんだということだと思いますが、それまでの間は国が業務を行うというふうに規定をされておりまして、事業の継続性の確保に係る国の責任についても法律で明確に定めているところであります。
  78. 下田敦子

    下田敦子君 議論はとても三十分、三十五分では無理なことでありまして、私は最初からこの原子力発電に関してずっとエネルギー行政を見続けてまいりました。県議会そしてまた参議院ということで、国の対応も見続けてまいりましたけれども、何度も申し上げます。最後の最後の処分まできちっと計画が立てられてない中でスタートしてしまったツケが今来ています。NUMOとおっしゃいますけれども、やっぱりこれは甘利大臣そして総理の両肩に懸かっていることでありまして、大変なものを持ち合わせながら電力事業を一生懸命進めなきゃいけないと。  無駄遣い、電気の無駄遣い、これももう一度、エネルギー対策を総合的にとおっしゃるのであれば、やっぱりこの辺もきちんと考え得るべきだと思います。戦時中までは知りません、戦争直後もしょっちゅう停電いたしました。北朝鮮の現在と同じかもしれません。そんなことを考えたときに、持たざる国日本というのは総合的にということは余りにもぜいたく過ぎて、この電気の消費、これに対して何の規制もない。電力会社さんの立場を考えると、少しでも電力が安くたくさん売れなくちゃいけないんだと思いますが、その辺も随分と検討していただかなければならない。  それからもう一つ、NUMOの方々にも、皆様にもお願いです。原子力行政を進めるときに、いつもCO2の地球温暖化に対応するんだということをおっしゃいます。これは違います。原子力というのは他のエネルギー源と違いまして、電気の形にしてからでなければ利用できないものであります。それ自身が出力調整ができません。ですから、常に火力や水力の発電所が同時に要るということは間違いのない事実です。ですから、絶えず新聞、テレビ、CO2対策だということをうたわれるんですが、これは国民の誤謬を招くことになりますので、注意をしていただきたいことだと思います。  さて、次に中小企業対策に移らせていただきます。  先ほど増子先生からも、議員からもお話ありましたように、日本経済の停滞をする一つ要因、改正建築基準法の建築着工減、それからただいまの原油価格上昇、円高株安、先ほどと同じ言葉になりますが、トリプルパンチです。こういう状況の中で、昨年来、経産省、中小企業庁、即対応されまして、大変いろいろな方策を講じられました。  ここでお伺いいたしますが、下半期、本年三月年度末まで、全国の倒産件数それから対前年度比の倒産件数、これを各都道府県別ですが、時間もありませんので上位五番目までお尋ねをしたいと思います。
  79. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 福水中小企業庁長官、時間になっておりますので、簡潔に答弁をしてください。
  80. 福水健文

    政府参考人福水健文君) はい。お答えいたします。  十九年の下半期七千件でございまして、前年同月比六・二%増でございます。三月末まだ来ていませんので、一月で申し上げますと七・七%増、二月で申し上げますと八・七%増ということで、中小企業の倒産は増加傾向に来ておるというところでございます。  それから、地区別に申し上げますと、これは大企業も含んだ数字になりますが、関東が一〇・三%増、近畿が三・六%増、中部地域が八・二%増というふうな状況になってございます。
  81. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 下田君、時間です。
  82. 下田敦子

    下田敦子君 時間がありませんので、要望にとどめたいと思います。大臣にお願いいたします。  私は、青森県の県内を中心に五つの会場で国政報告会、これ絡みのお話をさせていただいておりますが、昨今、私の部屋まで、議員室まで陳情においでになる方が非常に多うございます。何が陳情に事走らせているかというと、幾ら信用保証協会で支援等々の対策を、あるいは事業者相談を用意していただいても、地銀、いわゆる金融機関が貸し渋り、貸しはがしが非常に多くて、冷たくて、全然お話に乗ってもらえないと。何なんだろうということをいろいろ調べました。そうしましたら、やっぱり金融庁が厳し過ぎるんだと、そういう一説のお声もあります。  このことと、それから信用保証協会法の改正をこのたび私どもは受けておりますが、個人保証の撤廃を進めていくのに、大変この辺はよく用意していただいたことだと思いますが、十分に御留意をいただいて、速やかにお願いしたいということ。  それから、五十二の全国の信用保証協会があるようでありますが、これの一元化管理が非常に遅れている。何とかかんとかに、山口系の暴力団の資金源になっていたとか、こういうふうなことがなぜ出てきたんだろう、今のこの時期にと思います。ですから、こういう保証協会にかかわる不正利用が非常に取りざたされています。もっと困っている、もっとせっぱ詰まった人たちがいらっしゃるわけですので、書類上だけでの審査は即やめていただきたいと。現地に足を運んで実態はどういうことなのか、行ってみたらそういう事務所も事業所も会社も何もない、そういうところに保証していたというふうな、こんなお役所仕事でございます。  何とか大臣、これを受け止めていただきたい。倒産で大変な思いをしている方々がこの三月末までどれほど出るか。この三月末から六月末まで延ばしていただいたことに私は感謝いたしておりますが、現実こういう状況です。  以上です。  どうもありがとうございました。
  83. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 御苦労さまでした。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ─────・─────    午後零時四十分開会
  84. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、経済産業行政基本施策に関する件及び公正取引委員会業務に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 加納時男

    ○加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。  大臣は、所信表明の中で、福田内閣としての経済成長戦略の具体策作りに取り組むと述べられまして、その中で、三月十八日の経済財政諮問会議でこれに関して大臣が書類を提出しておられます。それはアジア経済環境共同体構想であります。本日午前中、増子理事からの質疑の中で大臣はこれに触れられまして、この構想は、アジア世界との連携、それからまたアジアの発展に貢献すること、さらにアジアとともに成長する日本であると、こういうようなねらいを語られました。そのとおりだと思っています。  そこで、質問がありますのは、このアジア共同体構想というのは非常に実現に向かって障壁が大きいと思うんですが、どのようにこれを乗り越えていかれるか。よく我々はEUとかNAFTAを例に取って議論します。そういったときに、彼らが成功したのは、非常に均質な文化といいますか、所得水準ですとかあるいは経済の発展段階、あるいは教育レベル、それから技術の水準、それから言語、それから宗教、キリスト教ということですけど、それから文化、こういった面で非常に共通点がある、その中でのお互いの協調関係というのからうまくいったのかなとも思います。  そこで見ますと、今申し上げた点はアジア東アジアは特に非常に多様であります。多様であるから難しいとよく言われていますが、逆に言うと、多様であるからそれを生かした相互補完だとか相乗効果、今日も午前中に大臣はコラボレーションとシナジーという言葉を使われましたけれども、まさに私は大事な点を言っておられると思います。  そこで、よく言われている困難をどのようにして乗り越えてアジアの共同体を目指すのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  86. 甘利明

    国務大臣甘利明君) アジアというのは世界成長センターと言われています。その成長センターアジア日本も位置しているということは、アメリカにもEUにもまねができない有利な点であります。  そこで、アジア成長に寄与して、そして一緒に成長していくという戦略を立てたわけでありますが、その際、アジアには幾つかの制約要因があります。例えば、環境エネルギー制約について、日本の省エネ技術を導入していけば成長環境を両立できるという処方せんも書けるわけであります。あるいは、それ以前に物流網を始めとするインフラの整備がまだまだ未整備であるし、国と国とをまたいで行く際の制度整備、ソフトの整備も必要だと思っております。EUやNAFTAと比較すると、いわゆる均質性というのがEUやNAFTAの方が多いから、それだけ越えるべきハードルも多いんではないかという御指摘だったと思います。  今、日本がASEANと東アジアに対してこの地域のシンクタンクとしての機能を持つ、通称で言いますとERIAというものを提案をしております、東アジアアセアン経済研究センター東アジア地域というのは、具体的に申し上げますと、ASEAN十か国、それからこれを取り囲む日本、韓国、中国、インド、オーストラリア、ニュージーランドを指すわけでありますが、この東アジア地域の言わばセンター・オブ・エクセレンス、各国にある経済研究センターの中心存在となるようなシンクタンクをつくるということが了承されているわけであります。  なぜこれをつくるかといいますと、ただいま先生御指摘のとおり、この地域には地域間格差経済格差、いろんな格差、いろんな差異があるわけであります。それに対してどう経済統合を図っていくかの問題分析、処方せん提示をするということが大事でありますから、そしてその処方せんが具体的に実現していくような日本としての協力、ODAその他を使った協力を通じてよりスムーズに言わば経済統合が進んでいくということにするということでありまして、東アジア地域の包括的な経済連携の姿、これはCEPEAと呼んでおりますけれどもERIAを中核としてCEPEAを実現していくという構想でございます。アジアの多様性を生かしつつ経済統合を推進をしていくというプランであります。
  87. 加納時男

    ○加納時男君 よく分かりました。  今朝の日本経済新聞を読んでいましたら、そこに甘利大臣の写真がどんと載っておりましてすぐ目が行きましたら、今のおっしゃったERIAについてのことでございました。  ERIA、すなわち東アジアアセアン経済研究センターをつくろうということで、これつくることが決まったわけでありますが、恐らく今年の五月ぐらいにジャカルタに仮の事務所というか暫定事務所が置かれると、二、三十人の研究員でスタートすると聞いております。  こういった中で、今まさに大臣が言われたことなんですけれどもアジアにある非常に、多様性がマイナス要因ではなくして、むしろそれをプラス要因に変えていく。そのためには、だけど、いろんなことを乗り越えなきゃならない。  例えばインフラでありますけれども、既に成功した東西経済回廊というのがございますが、これなんかも非常に私はすばらしいものだと思うんです。これによって、これまでバンコク—ハノイ間の物流に二週間掛かっていたのが、わずか今度は三日で行かれると。大変にこれはアジア成長にとって私はすばらしいアイデアだったし、これが実現したわけでありますから、このように考えていくと、難しいというところは必ず多くのオポチュニティーといいますか機会があるんだというふうに考えていくと。今の国会を言っているわけじゃないんですけれども、難しい難しいと言って天を仰いでいてもしようがないんでありまして、難しい中から新しいものを生み出していくというのが我々の知恵ではないかと思っているわけでございます。  脱線しないようにまた元へ戻りますけれども。そういうことでいきますと、今大臣がまさに言われたこのCEPEAも含めまして、アジアの連携そして経済格差の是正、貧困の解消、物流の整備、エネルギー効率の改善、そして原子力の平和、安全な利用など日本の出番がたくさんあると思いますので、是非ともこの方向で頑張っていただきたいと思うわけであります。  これに関係しまして、資源外交について伺いたいと思っております。  大臣は所信の中で、資源に乏しい我が国にとってエネルギーの安定供給確保は非常に重要である、そのために資源外交を積極的に展開するというふうに明言しておられます。  この方向は非常に正しいと思っています。今まさに原油価格の高騰で日本が非常に大きな影響を受けております。そしてまた、これから、新興国とあえて言いたいと思うんですけれども、中国やインドを始めとする非常に発展途上にあった国が急速に成長を加速してきている。そのためのこれからのエネルギー資源の需要も高まってくることは明確であります。  加えて、資源ナショナリズムの高まりがあり、石油や天然ガスについては、特に世界の資源の八〇%が国有企業あるいは政府によって所有されている。我々は、これはNOC、ナショナル・オイル・カンパニーなんて呼んでいますけれども、このNOCのシェアが八割に及んでいる中において、日本は、資源は民間の努力でやってもらいたいと、政府は一歩後へ引きますよと、石油公団も解体したわけであります。そういう方針でやってきたのは基本的には間違ってないけれども、しかし、相手が政府であり、政府系機関であるときに、日本政府の出番も私は十分にあると。  それはよく、これは私の言葉ですけれども、五J二Nと言ってますけれども、Jの付く五つのもの、ジェトロ、JBIC、JICA、JOGMEC、JOGMECというのは石油天然ガス・金属鉱物資源機構というなかなか覚えにくい長い名前なんでJOGMECと言っておりますが、それにジャパニーズエンバシー、ここまで入れるとJが付くのが五つ。それから二Nと言っていますのはNEDOとNEXI、NEXIというのは貿易保険であります。こういったようなものを積極的に活用するべきであるということを私は自民党のエネルギー戦略合同部会の事務局長として提言をしました。  これは実は、その前のエネルギー政策基本法からずっと出てきている話でございますが、こういった方向で資源外交を積極化していかなきゃいけないと思いますけれども、具体的には、トップによる資源外交、これも甘利大臣、非常に先頭に立ってやってこられました。これらを進めていくときの配慮事項といいますか、どういう課題があり、どう取り組んでいかれるのか、大臣経験を踏まえた御覚悟を伺いたいと思います。
  88. 甘利明

    国務大臣甘利明君) おっしゃるように、資源の調達自身は民間企業がやってくる、政府が直接買い付けをするというわけではありません。ですから、民間が主体なのはそのとおりであります。そして、政府の役割というのはこれをしっかり補完していかなきゃいけないと思います。  資源が有限なものであるという認識が広まるにつれて、資源保有国の資源管理に関して国家がかかわってくる度合いが強くなってきました。資源管理が進む、いわゆる純粋な市場機能というのが大分制約をされてきているわけでありますから、民間企業が出ていくだけでコンペティターと戦って十分な力を発揮することができづらくなる環境ができつつあるわけであります。そこは、後ろ盾としての政府及び政府関係機関がタイアップをするということが極めて重要でありまして、資源外交を一年半やってきましたけれども、海外に出るたびにその思いを強くする次第であります。  そこで、政府としてやるべきことというのは、資源国との関係強化を図っていくということでありますし、そのために首脳や閣僚が相手国のカウンターパートとの信頼関係をしっかり構築をしていくということは環境整備の上で何より必要なことであります。その上で、民間を補佐する政府系の機関、ただいまお話がありましたJOGMECであるとかNEXIであるとか、あるいはJBICであるとか、そうした政府系の機関が民間の仕事を補佐して環境整備をしていくということであります。  具体的にその環境整備も随時行ってきておるわけでありますが、昨年四月からは、JOGMECによる出資及び債務保証の負担割合の上限、これが五〇%でありましたけれども、それを七五%に引き上げると。加えて、資源権益の確保のための開発投資や資金供給を支援するために、資源エネルギー総合保険というものを創設をした次第であります。そして、この保険については、保険料が最大七五%引き下げられていますし、本年一月にはこの引受枠というのを従来の三千億から一兆円に拡大をしたところであります。  それから、資源確保指針というものを策定をしたわけでありますが、それに従って、JBIC、JOGMEC、ジェトロ、NEXI等の関係機関の施策や政府開発援助というのを活用しつつ、資源産出国の実情に応じた柔軟な対応によりまして、戦略的に総合的な関係構築を図っていくということでございます。
  89. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございます。  特に、大臣が触れられた去年の四月からのJOGMECの探鉱出資、債務保証の上限の大幅な引上げ、それからまた今年一月からの保険引受枠の一兆円への拡大とか、次々と手を打っておられることは非常に私は的確な方向だと思って、強く支持したいと思っています。  先ほど大臣は、政府の首脳、閣僚等によるトップ資源外交が大事だとおっしゃいました。それに加えて、もちろんではありますが、フランスなどもよくやっております経済人を同行してやるというのを甘利大臣は率先してなさってこられました。私はこれ非常にすばらしいことだと思っていますし、今まで日本にそれが欠けていたわけであります。どんどんフランスに持っていかれちゃうわけであります。フランスは、もう企業のトップを連れて大統領が中国でも行ってトップ外交をやる、それでどんどんその横で契約が成り立つということでございますが、日本もついにここに踏み込むことができたというのは、私は大変大きな功績だと思っています。  今後の方向として、例えば資源国のニーズにこたえるということも非常に大事だと思っています。というのは、彼らは上流部門への、探鉱とか開発、これをやりたいわけでありますし、そのためのパートナーとして加わってほしいとか、あるいは石油、天然ガスでいえば下流部門への進出を意図している、ただ一次資源を売ればいいというだけじゃなくて、付加価値を付けて売りたい。カザフスタンの場合ですと、ウランという石ころをただ売るんじゃなくて、それを加工して燃料として価値を高めていきたい、これに協力してほしいとかいろんな話がありますし、国によっては観光だとか教育だとか、いろんな科学技術協力とか、ニーズがございます。  一方、日本には大変な強みがあると思うんですけれども、こういったものを生かしていくということもあるんじゃないだろうかと。日本の持っている技術力、プラントの建設力、製造業の緻密さ、精錬さ、省エネルギー技術、様々なものがありますが、何といってもマネジメント力というのも日本の得意なところだと思っています。こういったところを是非生かしていただきたいと思っています。  一つ大臣に伺いたいのは、今後の資源外交の課題は何だろうかということであります。  私どもは、司令塔の機能が必要だとか、メジャー級のプレーヤーが必要だとか、ODAの活用だとか、政府企業間の連携が大事だと、これは実は私が言っているんじゃなくて、甘利大臣エネルギー政策小委員長を務められたときにまとめたものに実はあって、私どももこれを政府に、官邸にも要求をしてきたわけでございますが、これを受ける立場として、執行する立場としての大臣として、この資源外交の今後の課題は何だとお考えでしょうか。
  90. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 資源確保というのは、言わばその国を挙げての総合力だと思っております。総合力を発揮していくための司令塔が必要であります。  海外に出まして資源確保あるいはその探査のための政府間協力の作業をしていますと、他国の政府のプレゼンスが極めて強く感じられるわけであります。まさに官民総掛かりで資源確保に乗り出してくるという感じをひしひしと感じまして、それまで日本が民間の努力で頼むと言っていた時代には、相当これは孤軍奮闘の様を呈していたんだろうなということを肌身に感じるわけであります。  と同時に、我々が出ていきますと、日本もようやく本腰が入ってきたなという感じを相手国も受け取るわけでありますし、民間だけだとどうしてもいま一つ信用していいものか悪いものか、つまり、投資されるその投資資金が大きいわけでありますし、プロジェクトが大きいわけでありますから、その後ろ盾として国がしっかりと関与しているかどうかということは先方の国にとっての極めて大きな関心事項になるわけであります。でありますから、首脳や担当閣僚が強いリーダーシップを発揮をして自らが先頭に立つという資源外交を展開をしていくということが不可欠だと思います。  もちろん、私自身もそういう思いでカザフスタンやサウジや南アやボツワナやUAEに行って具体的な契約の成果を上げてきたわけでありますが、その際、やっぱり民間企業からも、本当に政府が後ろ盾となってくれて我々も勇気百倍という反応を受けるわけであります。  今後とも経済界とも連携をしつつ、先ほどお話がありましたような技術協力、人材育成協力、相互の投資の促進、それから場合によっては政府開発援助ですね、これを活用しつつ、資源確保指針を踏まえて、関係機関、省庁とも連携をして、政府関係機関、民間、しっかりコラボレートして、資源、エネルギーの安定供給確保に向けて努力をしてまいります。
  91. 加納時男

    ○加納時男君 その方向で是非お願いいたしたいと思っております。  私の最後の質問になりますけれども、地球温暖化対策としてのエネルギー政策についてお考えを伺いたいと思います。  実は先般、幕張で三月十四日から十六日まで、G20と我々言っておりますけれども、気候変動等に関する第四回の閣僚級対話があって、甘利大臣は鴨下環境大臣とともにこの会議の共同議長を務められました。十六日までこれがあって、十七日に予算委員会質疑がありました。私は、直後だったんですけれども、その所感を大臣に伺いました。  その中で、ちょっと記憶しているところでは、三つほどポイントがあって、一つは、先進国と途上国との間の率直な意見交換ができて、一つ、グレンイーグルズ対話と言っているシリーズの最終回を飾るにふさわしいものであったというのが第一点。第二点は、途上国と先進国の間でまだ若干溝があるというか、意見の若干違いがあって、途上国の方は途上国の義務付けに対して大変な警戒感を持っている。しかし、総論として地球全体の環境を良くしようというところは合意ができているんだけど、先進国がまずやってもらいたい、先進国がお金を出してもらいたい、途上国は義務付けは困るというようなことがあって、非常にそこの調整に御苦労なさったと思います。三点目は、初めて日本からこういう、この会議ではセクター別のアプローチが正式に提案をされ、そして関心を集めたというふうに私は理解したんですけど、今日はその中のセクター別アプローチについて伺いたいと思います。これは一体どのようなものでしょうか。
  92. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) お尋ねのセクター別アプローチにつきましては、一月のダボスで総理からも表明されたわけでありますけれども、いわゆる国別総量目標設定に当たりまして、エネルギー効率等をセクター別に割り出しまして、それを今後活用される技術をベースにいたしました削減可能量を積み上げていくというやり方であります。  このアプローチによりまして、いわゆる公平な目標設定というものが可能になりますとともに、途上国が懸念という話がありましたけれども、途上国にとりましても、導入すべき技術が明らかになって、削減していく道筋というものが見えやすくなるといった点から、技術移転というものが促進されるものだと考えております。
  93. 加納時男

    ○加納時男君 そこで、これを積み上げていきますね。積み上げていって、その国の生産活動量に言わば基礎となる、基準となる、我々ベンチマークなんて言っていますけど、基準となる効率を掛けると、生産量とかCO2の排出総量、いろんなものが出てくるわけですね。それをベースにしながら諸外国とも議論をして、そしてその国の排出の一つの目標を作ろう、あるいは削減の目標を作ろうというのが国別排出量のイメージかなと思います。  そうだとしますと、これは、すべての主要排出国が参画するという日本が譲れない原則を満たしつつ、我々は、頭からトップダウンでもってキャップを掛ける、排出量の頭を押さえつける、あとはお金で取引するというやり方はおかしいと盛んに言ってきたわけですけれども、我々が批判してきた、EUが自分たちに都合のいいものを、九〇年をベースにして何%減らすという、あの言わば非合理的、非科学的な国別の目標じゃなくて、まさに積み上げていって、技術開発を促進して、その技術開発によってその国々の事情にも応じた目標を立てていくということであれば、途上国との間で我々が約束している、共通だが差異のある責任、コモン・バット・ディファレンシエーテッド・レスポンシビリティーズというのが元の言葉ですけれども、これと私は合うのではないかなと思うんですけれども、これが大変なこれから実は洞爺湖に向けての論点になってくるかと思いますけれども、この辺については大臣はどのようにお考えでしょうか。
  94. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 来年のCOP15に向けて新しい枠組みをつくる際に絶対に譲れないのは全員参加、主要排出国は全員参加、これが入らなければ何をつくっても意味がないと。それから、入る際に、共通だが差異ある責任をどう確保するかということ、その際に大事なのは公平性をどう担保できる基準、基準といいますか手法を持てるかどうかということだと思うんですね。その点でセクター別ボトムアップアプローチというのは極めて有効だと思います。  途上国にもいろんな意見はあります、確かに。今まで有利だった点が不利になっちゃうんじゃないかとか、あるいはいきなり同じような義務を課せられないかとか、全部これに取って代わっちゃうんじゃないだろうかという懸念とか心配事はあって、それを表明する向きはありますけれども、これが有効だということについては否定はみんなしていないんですね、否定はできない、これは有効な手段であると。  そこで、共通だが差異ある責任ということに関してどう担保していくのか。共通はセクターごとにベンチマークを設定してそれで効率的な技術を導入していくとどれくらい改善されるか、それを積み上げるとどのくらいの量のCO2が減るかというのは、これは共通に測れることであります。  要は、差異をどう付けるかということでありますが、これはいろいろ工夫の余地があると思います。達成年度を先進国に厳しく途上国に余裕を持ってとか、あるいは達成基準について差異を設けるだとか、いろんな差異の設け方というのはいかようにもできるんだと思います。一つの共通のやり方の下に達成に向けての差異を付けるという手法については極めて適切なやり方が取れるアプローチの仕方だというふうに思っております。
  95. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  この件は、既にIEAでも非常に関心を持って取り上げてくれておりますし、それからまたAPPと言っていますけれどもアジア太平洋パートナーシップ、中国も参加してアメリカも参加している非常に私は望ましい組合せだと思っていますけれども、このAPPでも現実に業種別や何かで分けてやっています。  こういったことをしっかりやっていくということは大事なことだと思うし、よく中国中国と言いますけれども、先般も中国に行ってまいりましたけれども、十二月に、これは甘利大臣がたしか御出席だったと思いますけれども、日中ハイレベル経済対話の中で、このセクター別アプローチについてその実効的な枠組みが大事だと、実効性があるものをつくっていくことが大事ということで合意したというかコミュニケに載っているのを私は記憶しています。たしか間違いないと思いますけれども。  こういったことも踏まえまして、なおこれらの推進について積極的に進めていただければ大変有り難いと思います。最後は希望になりましたけれども、今日の御答弁、非常に重要な内容を含んでおられます。二つの原則、すべての主要参加国の参加は譲れない、そして共通だが差異ある責任はその中で生かせるのだ。今日は達成年度だとか基準の幅というようなことも言われたと思いますけれども、私はもう一つはコミットメントとボランティアというのがあると思います。先進国はコミットメントをする、コミットする、コミットするというのはもう必ずやるという約束をするわけです。そして、第三者のベリフィケーションと言っていますけれども検証する、それだけで間違っていないということを明確にする、厳しい義務を負う、ただし罰金とか何かはちょっと別の話。  もう一つ、先進国の方は自主的な目標をつくるということで少し差を付けられるかなとも思います。(発言する者あり)ごめんなさい、途上国ですね。途上国はそういうボランティアの方に分けるというのもあるだろうとも思います。これについては更にこれからも議論が続くと思いますので、よろしくお願いしまして、私の質問はここまでにさせていただきます。  ありがとうございました。
  96. 松村祥史

    ○松村祥史君 自由民主党の松村祥史でございます。今日は、大臣の所信に対する質疑ということで、短い時間でございますが、幾つか質問をさせていただきたいと思います。  今日は、地域経済、地域戦略アジアとの連携という観点から少し質問させていただきたいなと思っておりますが、昨年の所信の中でも私大臣アジア戦略についてお尋ねをした記憶がございました。その成果というのは着実に進んでいるものと今、加納先生との議論の中でも聞かせていただきましたし、この一年すばらしい御活躍をされていると深く敬意を表しているところでございます。  我が国経済というのはここ数年少々伸び悩んではおると理解をしております。しかしながら、その中で非常にいい話といいますか、将来展望の持てる話というのがやはり輸出入にあろうかと思っております。  そもそも我が国は資源のない国でございまして、貿易立国として海外で資源を買い付けて、そして国内で製品にし、それを輸出することによって外貨を稼ぎ、国内需要を高めてきたと。そこが若干落ち込んで、今後これからどうするんだという議論の中でここ数年持ち直してきたと。  一九九〇年代、これはやはり金額ベースにしますと、輸出が五十兆前後、それから輸入が四十兆前後で推移をしていたのではないかなと、こう理解をしておりますが、二十一世紀になりまして、元年から少々増加に転じたと記憶をしております。特に、日本貿易会の今年出されました調査によりますと、今年度は、〇八年度はおよそ輸出が九十兆台にまで伸びるんではないか、また輸入が七十五兆ほど伸びるんではないかと、非常に希望の持てる話でございます。こんな中で、このアジア戦略というのは非常に大きな位置付けになってまいりますし、先ほどのアジア共同体構想の中での我が国の位置付け、そしてこの飛躍的伸びを示したのはやはり自動車関連産業の活躍によること大であろうと思っております。  そのことと、他方で国内需要を見てみますと、やはり地域経済というのは疲弊をしていると。企業、業種、地域によってばらつきがあると。これはここにいらっしゃる皆さん御承知のとおりでございます。このことをどう結び付けていくかという観点を少しお話を聞かせていただきたいなと思うんですが。  今国会の中で、大臣におかれましては農商工連携という法案を整備されまして、地域の活力を取り戻そうと。この法案以前のことを考えますと、それぞれの企業が立地しやすいような条件を整備しようということで企業立地促進法も昨年整備いただいた。そして、なおかつ個々の企業の推進もということで地域資源活用促進法。ありとあらゆることをブレークダウンして私今やっていただいているものと思って理解をしております。そして、なおかつ農商工連携。これは地域に行きますと当たり前のことではありますが、このことを、農業を所管する農林水産省とそれから経産省、これが枠を超えて支援を行い、企業としての成り立ちや支援をやっていこうというのは大きなきっかけになったと私思っております。  そういう意味では、今後どういう方向性でもって地域経済を高めていくためのこの農商工連携の活用、役割、目的、そしてなおかつそれが今後こういう輸出を目指して頑張る企業、そしてアジア戦略、こういった観点でどのように結び付けをやっていくのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  97. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私の地元は都市農業というところであるんですが、ずっと経済産業畑を歩いてきましたけれども、都市農業についてもかなり実は自分なりに関与しているところがあるんでありまして、私が農林大臣になったら是非こういうことをやりたいということが前からあったんであります。余計なおせっかいかもしれないけれども、農業に関して我々が提言できることをしてみたいということで、よその役所のエリアのことではありましたけれども提案をさせていただいた次第なんであります。  それは、日本の農産品というのはもっと自信を持っていいと思っていたわけです、今までずっと。これほど品質管理をシビアにやっている農産品というのはないんじゃないかと。品質の高さ、もちろんその味覚のすばらしさ、他に比類がないと。しかも、極めて、ここまでやるかというぐらい安全にうるさいわけであります。びっくりするぐらい安全で、びっくりするぐらい品質が高くて、まあびっくりするぐらい高いと言う人もいますけれども。この日本の農産品の強みというのをもっと武器にできないだろうかということを思っていたわけであります。  ですから、こうやって安全に作っているということを消費者に見えるようにすると。これはIT機器を使えばできるんであります。QRコードに情報を入れてもいいですし、ICチップでデータを入れてもいいですし、トレーサビリティーを図って、だれがどう作って、こんなに自然環境にいい環境で作りましたということを消費者が見えるようにすると。これは農業に産業的思考を投入するわけですね、ICチップなんというのは工業的手法でありますから。あるいはIT機器全般を使ってというのはまさに農工連携であります。  あわせて、売っていく際に、企業だとしたら、企業が作ったものは、作りましたから、はい、ここまでが私の仕事でおしまいということはしないはずであります。農業も製造業も同じ物づくりなんですね。ところが、製造業は作った後からまた勝負をするわけです。市場に仕掛けをしていく。マーケティングをし、ブランド戦略で違い化を図りと。  だけど、片方の作るものは、作った時点でもう終わって、もうおれの仕事終わりと。そうじゃないんじゃないのと。もっと高くたって売れる市場はあるんですから、そこに仕掛けをしていくということが大事じゃないかと。これは売る方と生産する方のコラボレーションでありますし、さっき言ったIT化というのは製造技術とのコラボレーションでありますから、一次、二次、三次が連携してやっていくと。いい物を作ったんだからこれでもうおれの仕事終わりと、あと、売れなきゃしようがないというんじゃ駄目なんじゃないのかなと。そういう仕掛けしてみたかったわけでありまして、それでこういう提案を、まあ余計なお世話かもしれませんが、したわけでありまして、これに農水省がいいアイデアだから協力しようということで、極めて歴史上、極めて経済産業省と農水省の関係は良くなってきているんでありますが、そういう仕掛けでやったわけであります。  両方合わせて二百億の農商工連携関連予算がありますので、これを具体的に我が方からは企業経営的視点でのアドバイスをしていくと、農水省からは農林水産物を作っていく職人芸の世界からのアドバイスをしていって、両々相まって、多少は高くても良くて安全なものは売れるという形をつくっていきたいというふうに思っております。
  98. 松村祥史

    ○松村祥史君 大臣、御謙遜で、余計なお世話とおっしゃいましたが、とんでもございません。やはり地域経済つくっていくには現場現場があるわけですから、そういう意味では大変な御決意で農林水産省と連携を組んでいただいたと、また強力なリーダーシップを取っていただいたものと確信をしております。今後、この法案はまた委員会で精査になってまいりますが、是非周知をしまして、こういう企業をやっぱり創出していくこと、大事だと思っております。是非先頭に立って御尽力いただきますようにお願いをしたいなと思っております。  また、今のその農商工連携が政策ツールであるならば、それぞれのそういう個体の経営体をどう支援するかという部分では、これまたブレークダウンしていろいろと新しいことをやっていただいたと。特に、これも予算委員会でいろいろ議論させていただいて、しつこいぐらいのお話になるんですが、中小企業にとっては悲願であった事業承継、これはやっぱり大きかったなと思います。この話は暮れからずっといろんな方々とお話をしますが、やはり公共投資で引っ張ってきた地域経済、それが元年を基に、政策転換とは言わないまでも、税や金融対策によって中小企業の応援に転じたと、こう感じていらっしゃる中小企業の方々が多いんですね。その中で、事業承継、これは悲願であったものが本当に達成ができたと大変喜んでいらっしゃいます。この法案が私、今年の国会に出てまいりまして喜んでおる一人でもございます。是非、そういう意味では大臣の意気込みを少しお聞かせいただければ有り難いと思います。
  99. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 中小企業にとって記念すべき年になるんだと思います。この事業承継税制、恐らく今日この委員会に所属していらっしゃる委員の皆さん方全員の共通の思い、悲願だったと思いますし、これは与党野党を問わず総力戦でなし得た成果だと思います。一昔前ならこんなことはできるはずがないと、よくこんな話が通ったなという思いでありまして、これを是非実のある形にして、日本中小企業経済の牽引をする底力としてこれからも発展をしていってもらいたいと思うわけであります。  これに関連して税制の改正、これ以降の話で遡及してくる部分、それからもう既に成立をした税制とこれから間近に控えている税制等々相まって、さらには中小企業の経営を補完していく金融政策、もう既に取りかかっているもの、それからこれから今国会で実現をしていただくもの、例えば売掛債権の早期現金化とかあるいは予約保証の制度等、担保や個人保証に過度に依存しないような金融体制の構築等々、これから並行してやっていくべき課題がたくさんあるわけでありますが、中小企業政策に関しては与野党を超えた共通な政策課題だと思っておりますし、それを一刻も早く実現することによって日本経済の元気のもとであります中小企業がしっかりと自立していけるように引き続き努力をしていきたいというふうに思っております。
  100. 松村祥史

    ○松村祥史君 大臣、たくさんの皆さんの御支援のたまものだとおっしゃいましたけれども、確かにそのことは事実でございましょう。しかし、時代の節目の中で、そこに大臣として強力なリーダーシップを執っていただいたことは事実でございますから、本当に感謝を申し上げたいと。  それに併せて申し上げたいのは、今後の課題として、やはり世界市場で戦う企業にとっては今後法人税というのは、これは諸外国に比べますと大変大きな問題でございます。一様に論じることはできませんが、是非こういったものも、諸外国並みの法人税制というのは今後検討課題であると思っておりますので、是非御要望に代えさせていただきたいなと思っております。  次に、金融についてお尋ねをしたいと思いますが、午前中にもまだ貸し渋り、貸しはがしが非常にこの状態だとあるんじゃないかというようなお話が委員の方からお話がございました。私も何人かの方々からまだまだ厳しいよと、こんなお話を聞きます。  我が党においては、先月でございますか、年度末に向けた議論をいたしまして、総理にお願いもいたしました。しかしながら、総理の強力なリーダーシップの下、年度末用の金融対策を打たれたと聞いておりますが、詳しくお尋ねをしたいと思います。
  101. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、中小企業の今金融の状況というのは非常に厳しいと、二極化しているというふうに我々思っておりますが、特に冷えの厳しい地域におきましては、なかなか厳しい状況が続いている、そんなふうに認識しております。このため、このセーフティーネット融資とか保証、これをやっておりまして、既往債務についての返済条件の緩和、いわゆるリスケでございますが、こういうふうな資金繰りについてやっているところでございます。  年度末対策につきましては、特にセーフティーネット保証につきまして、二月二十九日に、原油・建築関連ということで八十三業種につきまして六月末まで新規追加、延長を含めまして業種指定をしております。それから、四月一日から従来の七十六業種を六月までの対象業種にこれも指定いたしたいというふうに思っていまして、合計で百五十九種の産業につきまして六月末まで対応していけるんじゃないかというふうに思っているところでございます。
  102. 松村祥史

    ○松村祥史君 詳しく御説明をいただきましてありがとうございました。しかしながら、状況は余り良くないところもございます。引き続き御指導をいただきたいと思います。  ただ、理解をしていることが一つございまして、やはりこの金融政策についても、ここ数年大変ブレークダウンして政策を細かく打っていただいているものと理解をしております。と申しますのは、マル経にしても、今年度はそもそも五百五十万の限定的な借り方であったものを一千万まで、枠に拡大もいただいたし、その中で環衛と言われる旅館や理美容、クリーニング、本来なかなかここに借りることができなかった方々の拡大も業種を問わずと、ありとあらゆる手を組んでいただいていると思っております。しかし、地方の経済を見ますと、やはり公共投資に依存するところが多く、またその中での公共工事というのはどんどん減っております。そういう意味では非常に厳しい実情があると思って理解をしております。  そういう意味では、中企庁の長官にも是非御理解いただきたいのが、やはり金融庁のいろんな指導が厳し過ぎて地銀のやはりハードルが上がっているというのも事実であろうと思います。そういう意味では、是非恒久的に回復の一途をたどるまで指導をしていただくように心付けていただきたいと思っております。  何か御意見がありましたら聞かせていただきたいと思います。
  103. 福水健文

    政府参考人福水健文君) 先ほどお答え申し上げましたセーフティーネット融資、これは緊急時ということで逐次やってございますが、議員御指摘の四月一日から、特にマル経融資については、従来五百五十万と四百五十万という二つの枠でやっておったわけですが、思い切って一本化するとか業種も増やしていこう、あるいは借入期間も一年延長していこうというような、そういう恒久的な対策も行っているところでございます。  それから、先ほど大臣申し上げましたように、手形利用の減少について、売掛債権を何とか早く現金化するような、そういう仕組みをつくっていこうじゃないかというふうなことで、金融関連の三法をこの国会にも御提出させていただいております。さらには、予約保証制度をつくっていこうとか、新年度に向けて今いろんなことを検討しておりますので、セーフティーネットの緊急対策とこういう恒久的な対策、併せてきめ細かく対応していきたいというふうに思っています。  金融庁につきましては、ここ数日、毎日のように相手の局長と、できることはないかと、もう少し一緒になって中小企業の方あるいは銀行の方に対応する方策がないんだろうかというようなことを検討しているところでございまして、御指摘ありましたような方向で、是非、地域の金融機関が地域の産業を育てていけるような、そういう体制にできればということで努力していきたいと思っております。
  104. 松村祥史

    ○松村祥史君 引き続き、今の答弁よく分かりましたので、御指導いただきますようによろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  105. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  イギリスの経済誌エコノミストの二月号の表紙は、JAPAN、このJAPANの文字にiを加えてJAPAiN、日本の苦痛あるいは苦痛に満ちた日本とでも訳すのでしょうか、経済の低迷に苦しむ日本という特集を組んでいるわけであります。そして、その題字の下には、なぜあなたは世界で二番目に大きな経済を心配しなければならないのかという、こういう見出しがありまして、本文では日本現状に懸念を示す分析をしております。この分析が、この特集の分析が正しいかどうか、これは別にいたしまして、私がこの日本語訳を見ますと、個人的な見解でございますけれども、ふむふむ、なるほど、そうか、あるいはそうだなあと思うところも随所に見られるわけであります。かなり政治家に対しても厳しい言葉があります。何も決められない政治家ということで、これは政府あるいは与党だけではなくて、野党にも厳しく苦言を呈しているわけであります。ともかくとして、残念ながら海外から見た日本のイメージというのは停滞して期待のできない国というふうに映っているのではないかと思います。  日本の株が下落している理由、アメリカと比べても日本の下落率が高いと、こう言われていますけれども、サブプライムローンの張本人である例えばアメリカよりも高い。なぜか。  私が申し上げるまでもありませんけれども、マクロ面では日本成長力に対する期待の低さ。それから二番目としては、外需依存度が高いために為替変動に対して弱い、こういうイメージがあるということですね。それから三番目は、まさに今現状状況であります政局の不安、政局のイメージ、これがあるわけであります。  そして、もちろん、ミクロの面ではROE、自己資本純利益率の低さ、これは自動車は別として、日本のそれ以外の企業の利益率というのは非常に低いんですね。例えばこれは二〇〇六年の数字ですけれども日本は八・一%、アメリカは一八・一%。MアンドAの低さというのはこれはもう皆様よくそのとおりだと思われると思いますけれども、これも二〇〇六年の数字でありますけれども日本は六・二%、アメリカは二六・四%と、こういうわけであります。  この中期的要因では、日本の金融市場のローカル化ということで、残念ながら、九一年には外国企業上場数、百二十七社ありましたけれども、現在は何社かというと二十五社になっております。いろいろな理由があるんですけれども日本の株というのは何も日本人だけが買っているわけではない。外国人投資家が実は六割であります。この海外の投資家が今申し上げましたことのような理由で、もう日本の株をどんどん売ってしまっているという現状があるわけでございます。日本は稼げない市場というふうに海外の投資家が思っているのかなと、あるいは投資したい場所としての魅力を失いつつあると、あるいは人口減少社会に入っている、経済も伸びないであろうと、こういう見方もあります。  そして、そうするとどうなるかといいますと、各企業がもう日本ではなかなか伸びないぞということで、海外に出ていく企業がやはり多くなってきている。例えば、外需依存型の日本経済を支える大手の企業は特に既に海外に生産拠点を移している事実があるわけでございますけれども、トヨタ自動車をいいますと、車両販売台数の七三・三%を海外で販売しているんです。そして、グループ営業利益の三四・九%を海外でもう得ちゃっているんですね。これすごい、三分の一は海外で利益を得ているということであります。  しかし、なぜ日本にこの利益を持ってこられないのかという大きな問題があるわけでございます。残念ながら、あんまり読みたくないんですけれども、私どもは労働分配率のことを申し上げておりまして、賃金を上げなきゃいけない、あるいは下請会社、孫請会社の賃金も上がってない、この現実があって、何とかこれをしたいという思いでいるんですけれども、こんなことを書かれていますね。企業は記録的な利益を計上しながら、これは大企業ですけれどもね、賃上げの形で払い出さずに現金をため込んでいるのだと、雇用は増えても賃金水準が上がっていないとかですね。あるいは、政治家は企業が内部留保を増やすことに苦言を呈し、もっと賃金を上げるように迫っていると。だが、企業が慎重なのは、政治家が無能で予測不可能なこととも無縁ではないと。こんなことも書かれておりまして、私はこれ別に全部合っているとは申しませんけれども、じくじたる思いもいたしているわけであります。  そして、今このように、例えば、今申し上げましたようなことで、じゃ賃金を上げてくださいよと言っても、企業としては、向こうで、海外で利益が上がっている分を日本に持ってこれない、なぜならば日本の法人税率が高い、だから持ってこれないんだという理由もあるんですね。だから、全く理由がないわけではないと私は思うんです。  でも、単に法人税を下げてくださいよと言っても、これはまあなかなかそう簡単ではないであろうと思います。二〇〇〇年には四二%からですね、法人税率が、二〇〇七年に四〇・七%にしました、去年ですね、したところでありますので、なかなか簡単にはいかないでしょうけれど、でも、EUの平均でも去年の数字で見ますと二八・一%、OECD平均は二七・七%、アジアの平均でも二七・二%と、こういう数字が出ていますと、まあそれも本当にそうだろうなと、企業もやっぱりそういうふうに言いたくなる気持ちも分かるわけであります。  私は、こういうことも考えられるんじゃないかなと。海外で得たそうした所得、利益に対する控除というものを考えていく必要があるんじゃないか。海外の子会社での利益には課税しないとかすれば、そうした利益がもっと日本に入ってきて、これが還元されるんじゃないかなと、浅知恵でございましょうか、しかし私はそういうふうに思う次第でございますけれども大臣、いかがでございましょうか。
  106. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 鋭い御指摘と、極めて何というんでしょうか、機微にわたる話であります。  日本の海外子会社が海外に蓄積をしている利益は、十兆円とも言われているわけであります。もちろん海外で投資をしますから、それ用の内部留保という部分は当然あろうかと思いますが、それにしても、それだけ本当に海外で必要かというと、そこまでは必要ないんじゃないかと。日本に持ってくる場合は、例えば法人税に一〇%の格差があったとすると、十兆円持ってくれば一兆円、五兆円でも五千億と、それだけが負担が掛かるわけであります。  活用する手がどうにかないだろうかというのは、実は私も考えているところでありますが、相手がある話でございますし、主税、税務当局は、当然ルールに従って相手で納税した金額を引いた残りの日本の納税額は払ってもらいますよと。これ、移転する場合、配当か何かでやるんですかね、親会社にね、その場合には掛かるわけですよね、今のルールでいうと。だったら外国に置いておく方がいいという話になっちゃうんでありまして、先生の御指摘は、私も実は少し考えているところでありまして、何かいい方法、活用方法がないかなと思案中でございます。
  107. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  本来は、大臣も思っていらしても、これを決めるのはもちろん経済産業省ではありませんので、大臣がお答えしにくいのはよく分かっているんですけれども、やはり前向きに考えていてくださったと、せっかく企業が利益を得ていてもそれを日本に持ってこれない、そして日本の中で還元できないというのは私は非常に残念だと思いますので、今お答えくださった、実は考えているというお言葉は、私は非常に力強いお言葉だというふうに思っておりまして、感謝を申し上げております。是非、前向きに役所挙げて取り組んで、主税を動かしていただきたいというふうに思う次第でございます。  先ほども加納先生が、七月の洞爺湖サミット、G20、甘利大臣は共同議長として大変な御尽力をくださいまして、大役を果たされて、お疲れさまでございました。  総理は、今年一月末のダボス会議で、低炭素社会へ向けてエコイノベーションを実現を目指すクールアース推進構想を示して、五年で三兆円を投入するということを表明されたわけでございます。温暖化対策に対して、太陽光発電などの自然エネルギー分野での期待は、これは高いわけであります。  ドイツは、電力に占める自然エネルギーの比率、二〇三〇年に四五%にすると、こう言っておりますし、米国も二〇二〇年には一五%としているそうです。翻って日本は、二〇一四年に一・六三%という低い目標で、ううん、これは非常に残念だなというふうに私は思うんですけれども、太陽光発電では設置費用の補助を打ち切ったために発電量で二〇〇五年にドイツに抜かれるに至ったと、こう聞いております。これも残念なんですけれども、もちろん太陽光発電の場合はパネルの粗大ごみ化とかいろんな問題があると思うんですけれど。  しかし私は、ドイツはすばらしいと、こうよく言われますけれど、私はすばらしいと思っていないんですね。なぜならば、国内で原発をやめますよと言っておきながら、一基ぐらいしかまだやめていなくて、外国から、特にフランスですけれど、原子力発電所の電力をがんがん買っているという。自分の国では造らないよ、あるいはごまかすよと、だけどよその国ではどんどん造ってないしょで買っちゃいましょうというのは、私はこれ、いかがなものかなと、これで表面だけ見てすばらしいというのは早計ではないかと私は思う次第であります。(発言する者あり)ありがとうございます。いろいろな方からそうだというお声をいただきまして、議事録にも載っかるかななんというふうに思うわけでございます。  まあそれはちょっとともかくといたしまして、新しい技術、この技術開発、実は新聞で、バイオ燃料年二十万キロリットル、これ食品でない植物からのバイオ燃料のことが書かれておりまして、産学官で一五年をめどに、国内量産目標、一リットル当たり四十円でできる。  私も副大臣のときは、サトウキビ、宮古島などに参りまして、バイオエタノールのためにお願いをいたしますというふうに沖縄にも参りました経緯もございますが、やはりこれは百四十円、一リットル当たりという、値段も違う。あるいは、こうした植物、食品とエネルギーに使う、食料も非常に大事でありまして、悩ましい、こういうところでやっぱり食品でない植物から安いお金で作れるということはすばらしいことではある、大事なことだというふうに私も思っているわけでございます。  そういう新しい新技術が採用されやすくするために、私はやっぱりこれは様々な規制緩和あるいは税制の支援など、その手厚い取組をしていかなければ伸びていかないんではないかなというふうに考える次第でございますけれども、これに対して御答弁いただきたいと思います。
  108. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  今委員御指摘の地球温暖化問題、気候変動問題に対応して、我が国政府が美しい星クールアース50ということで提案をいたしましたけれども、二〇五〇年に半減させるという目標を出したんですが、このこと自身は既存の技術では達成できないというのが私ども考え方でございまして、既存技術の延長線上にない革新的な技術開発が不可欠だということで計画を立てたわけでございます。  この中で、様々な技術の中から二十一の技術、先進的な原子力発電、革新的な製鉄プロセス、それから電気自動車あるいはバイオなどの自動車用次世代燃料などの技術を二十一選びまして、選んだだけではなくて、これを二〇三〇年ぐらいまでに実用化するためのロードマップを作って、それに官民一体となって技術開発をする大投資をしようということで計画を作ったわけでございます。これは、我が国が世界をリードすべく、先進国の責務であろうということでその推進をしているところでございます。  その中において、やはり政府の役割というのは、もちろん基礎的な技術開発に対して資金を拠出する、財政資金を投入する。それから、ある段階へ来た場合には普及促進のために融資あるいは税制などを活用するということを全般、万般活用してやっとそういうことが達成できることになるかということでございますので、以後その具体的な政策についてはこの技術発展とともに考えていきたいというふうに思っておるところであります。
  109. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  その二十一の技術も発表していただいたということで、様々にお考えいただいて、そうした新しい技術そして新しいエネルギーの推進に是非力を入れていただきたいというふうに申し上げる次第でございます。  次に、リコール社告について、私は昨年の十一月の当委員会で消安法の中で製品事故の発生に向けて自社の製品の欠陥や回収を告げる新聞広告が余りも分かりにくいと、もうぐちゃぐちゃぐちゃと細かい字で書いてあって一瞬何が書いてあるのか分からないような、これは駄目だというふうに申し上げました。  そこで、JIS規格においてもリコール社告制度の整理案がまとまったということでございますので、ちょっと確認をさせていただこうかなというふうに思うわけでございます。ある程度細かな規定を設定されたというふうに思いますけれども、どのようなことになっているのか、それからまた、分かりやすい社告、マークなどを決めるとかそういうこともお願いしたんですけれども、これについていかがでございましょうか。お教えいただきたいと思います。
  110. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、製品回収などのリコールの社告を消費者にとって分かりやすいものにするということはリコールを効果的に進めていく上で大変重要なものと認識をしてございます。このため、事業者がリコールを行う際の指針となります新たなリコールハンドブックを昨年十一月に作成、公表いたしまして、関係の業界団体あるいは自治体等に広く配付をしてきております。このリコールハンドブックの取りまとめに当たりましては、消費者代表の方々の御意見も交えて作成をしたわけでございますけれども、社告の掲載の際には、例えばその危険性というのは一体何なのか、発火するのかあるいは破裂する、そういう危険性があるのかどうかとか、あるいは何をすればいいのか、取りあえずその使用を中止するのかどうかとか、あるいはリコールによって製品を交換するのか回収するのか引き取るのか、そういった大切な点が分かりやすく、それから写真あるいはイラスト、そういったものを使いまして、望ましい例はこういう形のものなんだと、告知すべき必要事項など、そういったものも提示をしているわけでございます。  同様の観点から、社告の記載内容の標準化を図ることにしてございまして、これは消費者代表の方々からの御指摘もあったわけでございますけれども日本工業規格JISをこの六月中を目途にJIS制定、公示すべく今作業を進めているところでございます。
  111. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。  実はちょっと時間を配分間違えておりまして、もう四十九分で終わりでございまして、たくさんまだあるんですが、申し訳ございません、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  112. 松下新平

    ○松下新平君 お疲れさまです。  無所属の松下新平です。  早速、甘利大臣の所信に対する質疑、各論でありますけれども、行ってまいりたいと思っております。  まず最初に、今通常国会、年度末の最大の争点になりました道路特定財源、暫定税率、この取り扱いについて今日の昼のニュースでも報道されておりましたけれども、今日を入れて期限まであと五日と、なかなか年度内の採決は難しいと。したがって、ガソリンがいったん下がると、そして政府与党は六十日たって衆議院による三分の二の再議決ということの方針も、報道ですけれども、打ち出されたようであります。  通常、税制改正に関しましては、周知・準備期間が設定されるわけでありますが、今回のケースですと、もう既に買い控えが始まっておりますけれども、三月末前後そして四月末前後に混乱を生じるという事態になっております。  そこで、経済産業省として、国民あるいは中小企業の混乱に対する対策、先ほど午前中では想定の話にはなかなか答えにくいという御答弁もございましたけれども、現実問題として大変国民の皆さん心配されておりますので、その点の御所見をお願いしたいと思っております。  また、与野党テーブルに着く着かないという議論もございましたけれども、政治はやっぱり結果責任であります。日銀総裁の空席もそうですし、今回の国民の混乱もそうですが、この政治の結果責任を重く受け止めて考えていかなければならないと思っております。  経済産業省としての対策について大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  113. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先ほどのニュースで官房長官は、まだ努力中であって、与野党合意に至る努力はあきらめてはいないという話でありましたので、是非ぎりぎりまで歩み寄りの努力を続けてもらいたいと思っておりますし、それを祈るような気持ちで見詰めているというのが今の思いであります。  そういった意味で、余り先回りして、私が駄目な場合を想定して、それに対してこう対処していきますと言うのは適切ではないと思いますので、答弁は控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、いかなる事態になった場合でも、その時点の混乱を最小限に抑えていくための可能な限りの努力はするというのは我々の責務でありますから、いかなる場合においても国民経済に与える影響が極小化していくように、マイナスの影響が極小化していくように最大の努力はしてまいります。
  114. 松下新平

    ○松下新平君 私も年度内に結論を出すべきだという観点から考えております。  関係業界の方は対策を打ち出されているということですけれども、このように周知・準備期間がなく国民生活に多大な影響を与えているということを考えますと、先ほどの憲法想定云々の話ではありませんけれども、与野党胸襟を開いて国民生活に混乱を来さないようにしっかり議論を尽くしていただきたいと思いますし、私の立場からも、その姿勢で臨みたいと思っております。ありがとうございました。  続きまして、大臣の所信の中で、各論になりますけれども福田内閣としての新たな経済成長戦略の芽となる施策、三本の柱の中の第一番目であります地域・中小企業の潜在力発揮による成長の底上げ。そこで、目玉と言っても過言でないと思いますけれども、私からも、農商工連携について、私の地元からも大変期待が大きいものですから、このことについて大臣からいま一度御答弁をいただきたいと思っております。  先ほど松村委員からの御質問の中で御答弁ありました。改めて思いますのは、地方ではもう総合行政というのは行われているわけでありますけれども、国のレベルではなかなか省壁があって進まなかったと。そこで、大臣が政治主導でこういったものに切り込まれるということが大変期待も大きいし、今までのいわゆる省庁同士が連携するのとは違った期待も寄せられているわけですけれども、いま一度、大臣から政治主導のこの農商工連携について御答弁をお願いいたしたいと思います。
  115. 甘利明

    国務大臣甘利明君) さきの国会で、地域振興のための地域資源法であるとか、あるいは企業立地新法というのを提案をし、御賛同いただきました。  地域に企業を立地させる、産業を立地させるということは大事なんでありますが、そこに本来ある産業を元気にさせるということも同じぐらい大事でありまして、地方にとって、地域にとって、そこに昔からある一番大きな産業というのは農林水産業だと思いまして、これを元気にする手だてを我々の方でも提供できないだろうかという思いでありました。その際に、一次産業、二次産業、三次産業を連携をさせてシナジー効果を発揮できないだろうかという思いでこれを提案をしたわけであります。  ちょっと警戒されてしまっては困るんですが、経済産業大臣たる私が提案したものでありますから、FTA、EPA交渉の打開する材料のために使っているんじゃないかと思われると、これはまさに邪推でありまして、純粋に、地域を元気にするために、地域振興策の一つとしてそこに元々ある一番の基幹産業たる一次産業を元気にしたいという思いでありました。  実は私全国を回りまして、農業を産業的視点で取り組んでいる人って結構成功しているんです。そういう成功体験を私見ているものでありますから、できるじゃないかと。それで、そんなに難しいことじゃないんだろうと。で、成功している人は、企業に勤めてきた人が企業を辞めて、おやじに跡を、農業をやれと言われて戻ってきているものですから、企業感覚から農業に入ってきて、何でこんなことができないんだろう、何でこんなことやっていないんだろうという素朴な疑問から企業経営手法を農業に持ち込んでいるんですね。企業だったら当然こういうことをやるはずなのにどうして農業ってやっていないのかなという素朴な疑問から、IT経営を始め、それで市場開拓をし、ブランド力を付けて市場にブランド戦略で売り込んでということをやっているんですね。  だから、それはできるはずだという確信を持って提案をしていったわけでありまして、当初は少し、また何かたくらんでいるのかというような警戒もあったやに聞いておりますけれども、真意を理解していただいて、これなら積極的に、面白いじゃないかということで、極めて良好な連携が今取れているというふうに思っております。
  116. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございます。  たくらみではなくて、先ほどの答弁で、農林大臣になったときという御答弁もありましたので、是非、国益という観点から大きな視点で取り組んでいただきたいと思います。また、これは法案審議のときにより深く議論をさせていただきたいと思います。  以上で終わります。
  117. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 両件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  118. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 昨日、予算委員会から、本日一日間、平成二十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち公正取引委員会経済産業省所管及び中小企業金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     ─────────────
  119. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会内閣官房内閣参事官伊藤仁君、法務大臣官房審議官二階尚人君、外務大臣官房審議官新保雅俊君、外務大臣官房参事官渡邉正人君、外務大臣官房参事官山崎純君、国税庁課税部長荒井英夫君、文部科学大臣官房審議官布村幸彦君、経済産業大臣官房地域経済産業審議官勝野龍平君、経済産業大臣官房審議官瀬戸比呂志君、経済産業大臣官房審議官中富道隆君、経済産業省産業技術環境局長石田徹君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、資源エネルギー庁長官望月晴文君、特許庁長官肥塚雅博君、中小企業庁長官福水健文君及び環境大臣官房審議官谷津龍太郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  121. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 審査を委嘱されました予算について、まず甘利経済産業大臣から説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣
  122. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 平成二十年度の経済産業省関係予算等について御説明申し上げます。  今、日本経済は、戦後最長の景気回復を続けてはおりますが、一方で、中小企業や一部の業種、地域については回復状況に遅れが見られ、また、株価や原油価格の変動、海外経済の動向が景気に与える影響について十分な注視が必要であります。また、人口減少、国際競争の激化、厳しいエネルギー環境制約など、構造的で早急な対応を迫られる課題を抱えております。  こうした課題に対応するため、平成二十年度予算は、厳しい財政制約の下、以下の柱を中心に、めり張りのある予算編成を行っております。これらには、福田内閣としての新たな経済成長戦略の芽となる施策を盛り込んでおります。  第一の柱は、地域・中小企業の潜在力発揮による成長の底上げであります。  地域や企業規模によって業況にばらつきが見られる中、成長の果実が地域や中小企業に広く行き渡るようにすることが不可欠です。大企業中小企業、都市と地方、製造業と農林水産業やサービス業のつながり力の強化のためにも、農林水産業と商工業との連携を支援するとともに、団塊世代の大企業人材を地域中小企業につなぐ新現役チャレンジプランの推進や、ITを活用した中小企業の経営力向上支援、地域力連携拠点の整備、事業承継への支援を行います。また、地域の技術力を結集、融合したイノベーションの創出や産学連携による人材育成にも取り組みます。さらに、中小企業の資金調達の円滑化や、下請適正取引等の推進、事業再生支援の強化に取り組みます。  建築着工の遅れや原油高等の影響を受ける中小企業に対して、セーフティーネット貸付制度などの金融制度による支援に全力を尽くしてまいります。  第二の柱は、安全、安心の確立と高信頼性産業の創出であります。  新たな経済成長戦略の柱として、安全、安心、信頼といった日本の持つ強みを更に突出させ、イノベーションの加速を図ってまいりますが、こうした観点からも、来年度予算においては、次世代環境航空機や次世代軽水炉、医療機器といった高信頼性産業群の創出に向け、研究開発に取り組んでまいります。加えて、知的財産制度の国際調和の推進や国際標準化の推進等に取り組みます。  また、国民の安全、安心の確保については、製品安全情報の分析や悪質商法に対する消費者保護の体制の強化、原子力発電所等の安全対策を強化してまいります。  第三の柱は、地球環境成長の両立に向けた我が国のリーダーシップの発揮であります。  本年は地球温暖化対策のかぎとなる年です。京都議定書の目標達成に向け、中小企業等の温室効果ガス排出削減支援、省エネルギーや新エネルギー、原子力等の一層の促進を図ります。  また、北海道洞爺湖サミットなどを通じて、京都議定書後の新たな枠組みを、すべての主要排出国が参加する実効あるものとするよう我が国が主導的役割を発揮し、国際的な議論をリードするとともに、二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガス排出量を半減させるとの長期目標を達成するための革新的技術開発に取り組みます。  対外政策については、WTOドーハ・ラウンドの年内妥結や東アジア包括的経済連携構想の実現に向けた取組を推進します。また、アジアの英知を結集する東アジアアセアン経済研究センターの本格的立ち上げを支援し、アジア経済環境共同体構想の実現を目指します。米国、EUを含めた大市場国、投資先国とのEPAについても将来の課題として検討し、可能な国・地域から準備を進めます。さらには、模倣品・海賊版拡散防止条約構想の早期実現に向けた取組も推進します。  資源・エネルギー戦略的展開にも積極的に取り組んでまいります。資源の少ない我が国にとって、エネルギーの安定供給確保は国民生活に直結する重大な問題です。資源外交の戦略的展開やレアメタル等の鉱物資源の安定供給確保、省エネ・新エネ対策の一層の推進に取り組みます。加えて、地元を始めとする国民の理解を得つつ、安全確保を大前提に、核燃料サイクルを含む原子力を推進するなど、総合的なエネルギー政策を遂行します。  以上の施策を中心に、平成二十年度の経済産業政策の実施に向け、当省予算として、一般会計で総額一兆二百五十八億円を計上しております。このうち、中小企業対策費は対前年三・五%増となる千三百四億円、科学技術振興費は対前年一・一%増となる千四百七十七億円を計上しております。  特別会計につきましては、エネルギー対策特別会計に七千二百十六億円、貿易再保険特別会計に二千百二十一億円、特許特別会計に千二百二十八億円を計上しております。  なお、経済産業省平成二十年度予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますので、説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  123. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 次に、竹島公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。竹島公正取引委員会委員長
  124. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 平成二十年度における公正取引委員会関係予算につきまして、その概略を御説明申し上げます。  内閣府所管平成二十年度における一般会計歳出予算のうち、公正取引委員会予算額は八十六億八千二百万円となっております。これは、前年度予算額に比べますと、総額で二億六千六百万円、三・二%の増額となっております。うち、人件費は二億四千五百万円の増となっております。人件費の中には、違反事件の審査部門を中心とした四十一人の増員のための経費が含まれております。また、物件費は二千万円の増となっております。  以下、その内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる独占禁止法の施行経費等として八十五億一千百万円を計上しております。これは、独占禁止法違反事件に対する迅速かつ実効性のある法運用、競争環境の積極的な創造等、競争政策を積極的に推進するための経費であります。  第二に、下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法の施行経費として九千万円を計上しております。これは、下請法の厳正な運用と啓発普及活動を積極的に行い、下請取引の適正化を推進するための経費であります。  第三に、不当景品類及び不当表示防止法の施行経費として八千百万円を計上しております。これは、景品表示行政を積極的に推進し、公正な競争を維持促進することにより、消費者利益の確保を図るための経費であります。  以上、平成二十年度における公正取引委員会予算につきまして、その概要を御説明申し上げました。  何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  125. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 以上で説明の聴取は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  126. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会・国民新・日本の藤末健三でございます。  先ほど松議員からJAPAiNという話がございまして、私もあれを読まさせていただきました。エコノミストの中身を見ますと、一番印象に残りましたのは、この十年間の日本経済的な停滞というのは政治家の責任であると、で、歴代首相の写真が載っているんですね。  確かに今、混乱という話がございますけれども、私は、やはり今我が国に求められているのは何かというと、政治が責任を持って変えることではないかというふうに思っています。  私はやはり、今民主党でいろいろな活動をさせていただいていますけれども、今変えなければ恐らく我が国の方向を変えることはできないんではないかと。混乱は生じるかもしれませんけれども、変えなきゃいけないというのが私の思いでございますので、何とかして一歩として、道路しか使えない財源をほかのものに使えるようにする、歳出を変える、そして暫定税率をなくし、歳入を変える、そして国を変える一歩ということをやっていきたいと思い、今いろいろ仕事をさせていただいています。  私は、またそのJAPAiNという話につきましては、もう一つございますのは、政治の責任もありますけれども、私はやはり国家公務員の方の責任もあると思います。それは何かと申しますと、余りにも政治家の言うことに従い過ぎるのではないかということでございます。実際に私が今、国交省の問題、いろいろなものをやっていますと、我々民主党の方に余り資料が出ないという状況でございまして、余り十分な対応をいただいていない。  国家公務員の方々は国家公務員法で身分が保障されているわけですから、やはり何党がどの政権を持つということを別にして超然として国益のために仕事をしていただくということを是非やっていただかなければ、我が国の政治、そして政府は成熟しないんじゃないかと思っております。互いに責任があるのではないかというふうに思っております。  私は、経済産業省予算の方に話を移らさせていただきますと、細かい予算の内訳はさておきながら、今やはり経済産業政策を大きく転換するべき時期に来ているのではないかと思っております。一つは、経済産業政策も非常にいろいろ工夫はしていただいてはおりますけれども、昔と余り変わらない枠組みの下、進められているのではないかというふうに見えます。そして、もう一つございますのは、エネルギー環境の政策、それもやはり既存の枠組みの拡大という形に見えてしまうと思っています。  現在、産業政策につきましては、地域はもう疲弊している、多くの方々から御意見がございましたが、地域は疲弊し、中小企業もどんどんどんどん数が減り、先月の中小企業、特に零細企業の倒産件数を見ますと、一千万円以下の借金で倒産した小規模の企業の数は何と前年比四〇%増し、三九・七%増しとなっています。急激に増えている。そして、原油の値段が上がり、そして原材料費が上がり、材料費の高騰を価格に転嫁できない中小企業の数は九割という状況。ほとんどが原材料の高騰を価格に転嫁できないという状況の下にどんどんどんどん苦しい思いをしているという状況でございまして、本当に中小企業政策が今のままでいいのかどうか、そして地域政策が今のままでいいかどうかということは今大きく転換するときに来ているのではないかということを問題意識として申し上げたいと思います。  また、エネルギー環境問題につきましては、これだけ石油の値段が上がり、もう三年間で三倍四倍と、これからまだ上がると言われている状況の下、原油価格の上昇率だけを見ますと一九七三年のオイルショックよりも大きいという状況でございます。そしてまた、今地球環境問題で我が国がサミットの議長国となっている中、私は、石油ショックのときにムーンライトプロジェクトやサンシャインプロジェクトといった新しいプロジェクトをつくり、新しく省エネ法も一気に改正してしまったというような、大規模な政策の転換を図る最大のチャンスではないかと思っております。ですから、ちょうど野球でいうと、ど真ん中にボールが来たのに何か打てなかったような感じではないかということを危惧しております。  まず、経済産業政策について御質問をする前に、お手元に資料をちょっと配らさせていただいております。これは多くの議員から指摘がございましたけれども、今、大企業が非常に大きな利益を上げているにもかかわらず、まず一つ中小企業には利益が落ちていないということ、そしてもう一つ、労働者に利益が落ちていないということ、それは何かということを自分なりに考えてみた資料でございます。  まず、一ページ目の上の方にございますのは、これはアメリカのデータです。これはアメリカで八〇年代、九〇年代において上場した企業が自社株買い、どれだけの株を買い戻したかということをデータで見たものでございます。例えば二〇〇六年になりますと六百ビリオンUSダラーでございますので、約六十兆円の株を自社に買い戻したというデータです。これはなぜ自社の株を買い戻すかといいますと、自分の会社の株価を上げるためでございます。じゃ、なぜ自分の会社の株価を上げなきゃいけないか。それは経営者が株主から評価されるためという形です。実際にアメリカの経営者の多くはストックオプションといって株価連動の報酬でございますので、株価を上げればそれだけ経営者の報酬は高くなるという仕組みになっていますので、何があっても株価を上げていく。で、起きたのが何かと申しますと、リストラというか雇用者の数をどんどんどんどん減らし、正規雇用者の数を減らし、それで上がった利益で株を買い戻す、そして株価を上げて自分たちの給料を増やすというのが、アメリカが九〇年代から起きた現象です。  では、日本がどうかという話を申し上げますと、一ページの下にございますのは我が国における自社株の取得の額でございます。これは平成十七年までしかございませんけれども、もう六兆円、七兆円を超しているという状況でございます。これからどんどんどんどん増えるだろうと言われておりまして、日本企業でさえも株価を上げるために自社の株を買い戻すということに走っているというデータ。  二ページ目の上を見ていただきますと、何かと申しますと、これは配当ですね。株価の維持するために配当にどれだけ日本企業が向いているかというデータでございまして、少し古いデータしかございませんが、二〇〇五年度東証一部上場の配当総額は前年比三三%増の約五兆七千億円ということでございます。また、自社株買いもどんどん増えているということで、日本企業もだんだんだんだんと株主のために株価を上げるという方向に動いているということが御理解いただけると思います。  実際に、この二ページ目の下は何かと申しますと、これはアメリカの上場企業のトップ、CEOの報酬が一般社員の平均給料の何倍の収入を得ているかというものでございまして、二〇〇一年を見ると何と五百倍になっていると。ですから、アメリカ企業のトップは一般社員の五百人分の給与をもらっているというのがデータでございます。日本の方をちょっと調べてみましたら、大体日本は十倍から二十倍ということだったんですが、推定値としてここ五年間で数倍に跳ね上がっているというデータもございまして、だんだんだんだんとこのアメリカ型を追い掛けているんじゃないかと。  あと、三ページ目でございますが、これは労働分配率がこの二〇〇〇年に入ってから落ちているというデータが上にございます。七五%ぐらいあったものが六五%ほどまで落ちていると。一方で大企業は利益をどんどんどんどん高進しているという状況。  そして、下がこれは中小企業、資本金別の利益率の推移でございまして、資本金が一億円以上の企業はだんだんだんだんと経常利益率が上がっているものの、資本金が一千万円未満の企業は利益率が落ちているというデータでございまして、大企業が、何が起きているかと申しますと、まず企業の経営者が株価を上げるために利益を作らなきゃいけないと。その利益はどこから出ているかと申しますと、中小企業、下請なんかの企業から吸い上げているものと、もう一つは、本来であれば労働者に行くものが、労働分配率を落とし、正規雇用じゃなく非正規雇用の人たちを増やし、利益を上げていると。その利益は自社株買いや又は配当という形で資本家の方に行っているというのがこのデータでございます。  この話はなぜこう思ったかと申しますと、事務次官が一月にお話をされていまして、私は講演の内容を読ませていただきまして、私は自分と同じことを考えておられるなと思いました。短期的に投資をする株主が企業の動向を決めてしまうという形が本当にいいかどうかということをこれから議論しなきゃいけないんではないかということでございます。  私が大臣に是非お願いしたいのは何かと申しますと、今、この十年ぐらいでアメリカを追う形でどんどんどんどん会社法を改正し、MアンドAも制度も変えていき、そして株の制度も変えていきということで、制度をアメリカに合わせて変えてきたわけでございますけれども、私は今、株主に偏重したこの会社のシステムをやはり変えるべきじゃないかと思っています。  一つは、やはり会社というのは社員のためにあると。そしてまた、系列というわけではございませんが、関係する中小企業のために会社はあるんだというような仕組みを今こそつくるべきではないかと思っておりますが、大臣のちょっと御所見をお聞かせいただければと思います。
  127. 甘利明

    国務大臣甘利明君) この次官発言に関しましては、いろいろと波紋を呼んでおりまして、昨日は大分けしからぬということで私も監督不行き届きという、絞られまして、今日は大変共感するというお話でありました。同じ党からの指摘でございまして、それはいかにこの問題がいろいろなことをはらんでいるか、あらまほしき姿というものについての模索が続いているかを象徴するんだというふうに思っております。  私自身は、次官の発言はちょっといろいろ強調したり面白くしたりする部分についてはちょっと不適切な発言だったと思います。そういうところを全部外して、要旨で言いますと適切なことを申し述べていると思います。クローズドの講演だったがためにちょっと面白くしようという思いが先走って、言わない方がいいことまで言ったという点があるかなというふうに思っております。  御案内のとおり、ステークホルダーというのは、株主であり、従業員であり、そして取引先であり、地域社会であり、いろんな要素があるわけであります。それらは対立する要素ではなくて、共存する要素で、運命共同体の要素だと思うんですね。  アメリカは、対立構図で、株主にたくさん還元するためにそれ以外が犠牲になるとか、あるいは株主の御機嫌を取って、経営者の給与を上げるためにそれ以外が犠牲になるとか、そういう議論がかなりあるんですが、本当に続いてきた会社というのはどうなんだろうかということで、エクセレントカンパニー、百年前後続いているアメリカの優良企業を視察をさせました。そうしたところが、私が抱いていたアメリカ企業、典型的なアメリカ企業と随分違うという感じがいたしました。それは、取引先を大切にし、従業員を大切にし、地域に貢献できる企業でありたいと、それをもって株主に貢献するということが社是で書いてあるんですね。それは何かというと、当然株主はリスクを取って自分のお金を出しているんですね。会社がつぶれたら自分の出資はパアになるわけでありますから、リスクは高いと。だから、株主にはちゃんと還元をしなければならないと。しかし、そうするには従業員がモチベーションを持って頑張ってくれないと駄目だし、いい取引先がないと駄目だし、地域社会に誇ってもらえるような企業じゃなかったら存続はしないと。そういうのがないと配当できませんからという関係ですから、対立構図じゃなくて共存構図なんだと彼らは言うわけですね。それは私は我が意を得たりという思いがいたしました。  でありますから、本当に優良企業で長く存続している企業というのは、日本アメリカも基本的な考え方は同じなんだなと。ステークホルダー、複数の構成員が運命共同体として相互に利益を分かち合うといって初めて優秀な企業として存続していくんだという思いを新たにした次第であります。
  128. 藤末健三

    ○藤末健三君 私も同じ気持ちでございまして、やはり継続してきちんと成長できる、サステーナブルというか持続的に成長できる企業をやっぱり作っていただくのが産業政策ではないかと私は思っております。  それで、私が一つやっぱり大臣にお願いしたいのは、恐らくほっておいても私できないと思うんですよ。このまま放置しておいて、自然淘汰できちんとした企業が生き残るからいいんだよという議論もあるかもしれないですけど、私は違うと思っていまして、実はアメリカのハーバード大学のビジネススクールの研究チームと一度話をしたことがあるんですけれどもアメリカでさえも今のアメリカの株主を偏重した会社の仕組みはおかしいんじゃないかという議論がもう研究が始まっているという話をしております。  ですから、そういうところと連携もしていただいたり、またちょうど昨日、ドイツの研究者とアメリカの研究者とお話をしてびっくりしたのは、アメリカでもグローバリゼーションというのは正しいかどうかで議論しているんだとおっしゃっているんですよ。私たち日本人にとってグローバリゼーションというのは、アメリカの制度を持ってくることがグローバリゼーションと言っているんだよと言ったら、向こうもびっくりしていたんですけれども世界的にやはり今、この今の資本主義システムでいいのかどうかというもう議論がドイツでも起きているし、アメリカでも起きているという状況でございますので、是非経済産業省が力を入れて新しい会社制度の在り方を分析していただきたいと思います。  私は、次官の話をちょっと引用すると、今何が問題かと申しますと、やっぱり株式市場が非常にもう低迷しているという状況で、特に新興市場は機能していないと思います。私が幾つかちょっと調べてみますと、例えば海外では長期株主の優遇、長期間保有している株主は優遇税制で優遇しますよとか、短期的に売買する場合は課税を掛けるとか、あとアメリカですとESOPという、エンプロイー・ストック・オーナーシップ・プランというのがあって、従業員が自社の株を買って確定拠出型年金として株を保有すれば税制的な優遇措置を提供するということで、社員が株式を、自社の株を持つようなことを優遇する措置もございますので、そういういろんな複合的な制度を是非分析していただきたいと思うんですが、いかがでございますでしょうか。
  129. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) だれ。
  130. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣にお願いします。
  131. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 上場する企業、これは経営と資本は分離しているわけでありますし、資本家はお金を出して経営を委託をすると、そして従業員はいい製品を作り、いいサービスを提供することをもってその利益が還元されると。これらあらまほしき姿についてそれぞれ日米ともに模索しつつ、健全な市場経済が発展していくような努力に取り組んでいるところでございます。  経済産業省としても、実は今この点についていろいろとアメリカの研究所等とも意見交換をしながら、あらまほしき姿について模索中であります。このことをいずれレポートにまとめようというふうに考えておりますし、先生御自身アメリカでいろいろお聞きになったという話も私も伺っております。もろもろしっかりと受け止めながら、あらまほしき姿の構築をしていきたいというふうに思っております。
  132. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いいたします。  私は、やっぱり日本型システムというのが一九八〇年代にすばらしいということでもてはやされて、九〇年代にもう構造的に変えなきゃいけないと、グローバルスタンダードに合わすということで動いてきたわけでございますが、やはり日本人の文化とかやっぱり体質みたいなものに合った組織のルールというのを是非見付けていただきたいと思っております。  また、四ページ目の下の方でございますが、この国会の冒頭におきまして大田大臣が、日本経済はもはや一流じゃないということをおっしゃっております。私も非常に気に掛けておりまして、一人当たりのGDPがどういうふうに推移したかということを韓国との比較表を作らさせていただいています。日本の一人当たりのGDPを見ますと、二〇〇〇年に三万八千ドルだったもの、順位でいくと、世界で三位だったものが、二〇〇六年には三万四千二百五十二ドルということで約四千ドル落ち、かつ国際順位は十八位、先進国の中では最低というレベルにまでなってしまったわけでございます。  一方、韓国を見ますと、二〇〇〇年に約一万八百ドル、一人当たりのGDPが一万八百ドルだったものが二〇〇六年に一万八千三百八十七ドルになったというふうに非常に伸びているということです。  私が申し上げたいのは、この経済成長戦略大綱、これは非常にきちんと幅広くまとめていただいていまして、これから是非やっていただきたいと思うんですが、この中にある経済成長率の仮定というのが二・二%成長しましょうと、実質で。で、十年間やりましょうということを書かれているんですけれども、それは非常に低いんではないかなというのが私の疑問でございます。  例えば、韓国で今回新しい大統領、李明博大統領がおっしゃっていたのがセブン・フォー・セブン、七四七政策というのがございまして、七%の経済成長をし、一人当たりのGDPを四万ドルにし、経済規模を世界で七位にしようと、七四七という政策を出されておられまして、かつそれに合わせて今新しい政府は政策を作っているという状況です。  これを比較しますと、何かというと、韓国が七%で成長し続けた場合、我が国が二・二%で成長したと仮定すると、十年ぐらいで抜かれてしまうということでございます、一人当たりGDPが。韓国に抜かれるのはけしからぬという話をするわけではありませんが、何を言いたいかと申しますと、その二・二%というのは意思がないんじゃないかなという。これだけの経済成長をしなきゃいけないという目標があって二・二%になっているんではなく、今人口は減ります、資本は減ります、そしてイノベーションもそんなに起きませんよということで積み上げていって二・二%で二・二%って書いている形に見えます、私は。ではなく、やはりもう冒頭から四とか五とか、あるべきGDPの目標を決めていただき、それに沿って、例えば、労働力が足りないんであれば高齢者の労働力を使い、そして女性の労働力を使い、そして海外から何人入れるとか、そういう計画を立てるべきじゃないかと私は思うんですけれども、その点、大臣いかがでございますか。まず、ゴールセットが必要じゃないかということです。
  133. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 二・二というのは国全体のGDPの実質成長であります。  国全体の成長想定をする場合に、成長の三要素のうちの少なくとも労働力人口というのは明らかに減っていくわけであります。短期的には、全人口が減っても就業人口を増やしていくと、つまり女性や高齢者や職を持たない若者を労働市場に投入していくという手当てはあります。ありますが、絶対量がどんどん減っていくということになりますと、やはり生産性を相当上げていかないと、全体GDPはなかなか確保ができないと。  ただ、それとは別に、今御指摘の一人当たりというのは、パーキャピタについては人口減、全体のGDPとはまた別の話でありますから、一人当たりGDPはかなり高い野心を持って、目標を持って頑張るということは私は必要だというふうに個人的には思っております。  全体の数が五百兆からなかなか伸びていかないというのはともかくとしても、一人当たりが二〇〇〇年から比べると減っているということはちょっと悲しい話であります。かつて、九四年が第二位だったはずでありますが、今十八位であります。  いろいろ説明とか言い訳はあるんであります。今上位に行っているのは人口小国ですから、資源が一つ当たるといきなりパーキャピタが上に上がっちゃうとかですね、中には水産国でありながら上の方にいるのは、魚がたくさん捕れたらいきなり上に行くのかみたいな話があります。  日本の場合はキャパが大きいですから、一人当たりに割っていくとなかなか持ち上げるのが大変だということがあります、ありますが、そういう話とかそれから為替の変動の話を差っ引いたとしても、ちょっと下がり過ぎじゃないのということなんですね。アメリカは今でもパーキャピタで八番かそこらだったと思いますから、日本の倍の人口がありながら一けたを保っているということであります。  でありますから、一人当たりGDPについては相当頑張って順位を引き上げていくという決意は私は必要だというふうに思っております。その総計が国別のGDPになるわけでありますから。
  134. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、私はこの経済成長戦略大綱をまとめていただいたのは本当に大きな努力を払われていると思います。農業問題、医療問題という他省庁のものまで進出して作っていただいたというのはすばらしいと思います。  ただ、私が本当に大臣に申し上げたいのは、政権におられる大臣に申し上げたいのは、もっと高い目標をまず作っていただいた方がいいんじゃないかと思うんですよ。本当に、私は日本人の力、日本の国の力はまだまだあると思っています。  例えば、研究開発費の問題でいきますと、日本はGDP比の研究開発費はイギリスやドイツやフランスやアメリカより高いということをよく言われますけれども、フィンランドと比べると低いんですね。激しく低いです、これは例えば。また、教育の投資。教育の投資も経済規模でいきますとフィンランドやデンマークの半分になっているという状況になっています。  ですから、個別の積み上げで変えていくというのも私は必要だと思うんですけれども、もっとマクロで変えていくということを私は経済産業省の方々には是非分析していただきたいと思います、それは。今、それを作って示していただかなければ。恐らくこの、JAPAiNに書いてあるのは、やっぱり大きなデシジョン、意思決定がなされていないということに対する批判でございます。  ただ、大きな意思決定をするためには、その意思決定をするためのチョイス、オプションが幾つかないと、選択肢が幾つかなければならないわけですけれども、今はこの役所の方々も選択肢をつくっていないという状況でございますので、是非、この二・二%というものではなく、五パーとか六パーぐらいの目標を立てていただき、そしてそれを達成するためには、例えば教育予算を倍増する、研究開発費を倍増するとか、いろんな大胆な発想が僕はあり得るんではないかと思っておりますが、その点ちょっと、大臣いかがでございますか。
  135. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 研究開発が将来を切り開く可能性というのは、日本は随所にあると思うんですね。  例えば、産総研に行きますと、あそこは幾つもの分野の研究開発がかなり進んでいます。太陽光のパネルなんていうのはエネルギー効率四割ぐらいを目指して、今最高は二二パーぐらいですけれども、四〇パーを目指したものが実用化されようとしています。あるいは、恐らく世界的な革命になるんであろうと思われるスピントロニクス、磁気と電気の融合で、そうしますと、コンピューターのディスプレーとかあるいはCPUのエネルギー消費というのはほとんどもう圧倒的に下がるエネルギー革命が起きるわけですね。そういう研究も進んでいるわけであります。  ただ、あの産総研の予算というのは、国が六百億、民間が四百億、たしか一千億かそこら、たかだか一千億です。ですから、予算配分を思い切って変えて、将来の稼ぎ頭となるようなところについては思い切って予算と人材を投入するということを私はやるべきだというふうに思っております。そういうものを通じて高い数字を目指す余地というのは幾らでもあると思います。  それから、やっぱり日本が何がいけないのかなと思うのは、市場がそこそこあっちゃうということじゃないですかね。一億二千万の市場があって、この日本の中で勝負していて、そこそこみんな食えていけちゃうんですね。  恐らく、さっきフィンランドのお話がありましたけれども、あそこのノキアは日本全部の携帯を合わせたよりもシェアが高いと思うんですけれども、フィンランドの市場で勝負していたらとても食っていけないと。だから、外に打って出るという覚悟を決めるんですね。韓国だってそうだと思うんですね。あの市場で幾らシェアを取ったって食べていけないと、だから世界を目指すと。  日本日本の市場でそこそこ食べていけちゃうと。国内市場がアメリカみたいにうんとあれば、そこの中で勝負していればもうデファクトを取れちゃうぐらいの力になりますけれども日本で幾ら頑張ったって世界のデファクトは取れないわけですから、中途半端な市場だから覚悟が決まらないんだと思うんですね。だから、携帯も第二世代のときに出遅れたというのは、世界で勝負しなきゃ生きていけないという企業日本で食っていける企業じゃ、世界標準を取る意気込みが違うと思うんですね。  そこは、もうこれからは外へ出て勝負するという気構えを持って、度胸を決めて、経済全体が腹をくくっていくということが必要になるんじゃないかと思います。
  136. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に是非、私も同感でございまして、是非その構想の下に新しい産業政策をつくっていただきたいと思います。  私は一番今気になっていますのは、実名を挙げてはまずいですけれども、総合電機メーカーがこの十年間ほとんど成長していないんですね。ITの産業というのは世界的にも二けたでずっと成長しているのに、なぜ日本企業だけが、総合電機メーカーはほとんど横ばいなんですよ。それがなぜ起きたのか。  一つの答えは、やはりおっしゃるように、国内に閉じこもっておられたというのはあると思います。ただ、もう一つは、余りあれなんですけれども、政策的にやはり僕は追い出すような政策もやらなきゃいけないと思うんですよね、私が思いますのに。先ほど松議員からも話がございましたけれども、今は何が問題かと申しますと、海外に行った企業が国内にお金を持ってこれませんと。本当は国内で研究開発を持ってはいたいんだけれども、持ってこれないものだから海外でどんどんどんどん投資してしまうと。逆に海外に出ても余りメリットがないように見えますから、国内でもうけている企業は海外に出なくなっちゃっているという現象が実際には起きています、私が見ていますと。  やはりここは制度の壁がありますので変えていただきたいし、また甘利大臣が本当に進めていただいていますEPA、経済連携協定などももう思い切って進めていただければと思います。  今回、新しい政策として農商工連携というものをつくっていただきまして、これは本当に大きな一歩だと思います。私も、今までの国会の審議の中で是非農業政策を今まで踏み込んでいただきたいということをお願いさせていただき、実際に動き出したのが本当にうれしいと思うんですが、私、この農業政策について経済産業省の方々がやっぱり乗り込むに当たりまして、先ほどFTA、EPAを進めるために農業政策に乗り込んだんじゃないということを大臣おっしゃったんですが、私は、EPAを進めるために農業政策をやるんだというふうに僕はおっしゃっていただいた方がいいと思うんですよ。    〔委員長退席、理事藤原正司君着席〕  あと、EPAの、自由貿易協定の議論でちょっと申し上げたいと思いますけれども、韓国が今アメリカとの交渉で合意し、そしてヨーロッパ・ユニオン、EUとの議論を始めているという状況でございます。私の方で調べてみますと、韓国の交渉のスピードは日本の二倍になっています、二〇〇三年以降。それは何かと申しますと、大きくは三つあると思います。一つは、外交通商部というところにFTA担当の局をつくって一元化したということ。そして、研究機関を設けて分析をしてロードマップを作りました。いつまでに何をするかという順番と期限も決めて全体の工程表を作っています、きれいに。それがあります。それと三つ目、大きいのは、やはり農業政策を大きく転換したというところじゃないかと思います。  韓国がFTAをアメリカと結ぶに当たって何をやったかというと、数兆円規模の農業政策、あえて言えば補助金をつくり、日本経済規模でいくと多分あれは七、八兆円ぐらいの規模になると思います、私は。そこまでやってFTAを進めるということをやったということを私は日本もやはり分析すべきじゃないかと思います。  この農商工の連携も非常に大きな一歩ではあると思いますが、私は、本当にFTAを我が国がもっと自由に結び、我が国の企業が海外にもっと戦っていけるという環境を整えるためには、抜本的な農業の改革を今やらなければ間に合わないのではないかと。今専業農家の方々は六割以上が六十五歳以上になっておられ、後継者がいない。どんどんどんどん耕されない田んぼが増えていく。田んぼは三年間耕せないともう復活できませんから、恐らく我々の農業資産は恐ろしい勢いで今減りつつあると思うんですよ。ですから、私はこれを一歩に、抜本的な農業政策をFTAの観点から、経済産業省から打ち出していただいてはどうかと思うんですが、いかがでございますか、大臣。ちょっと厳しいことを申し上げますが、お願いします。
  137. 甘利明

    国務大臣甘利明君) かなり微妙な話でありまして、日本の農業というのは減反政策というのがありまして、需要に合わせて生産を調整していって食べていけるようにすると。産業政策上で言うと、生産力を縮小しながら帳じりを合わせるというのは普通は取らない。生産財をフル稼働していいものを供給していくと。ですから、農地を減反でどんどん縮小させるんじゃなくて、農地をフル稼働してどう成り立たせていくかという視点から考えなきゃいけないと思うんですね、これは私の個人的な考え方、私は農林大臣じゃありませんから。生産財をフル稼働して成り立つような施策をどう考えるか。  そうじゃなくたって日本も自給率は四〇パーを切っているんだし、世界は人口爆発で食い物が足りなくなっていくわけですから、これから先ですね。しかも、バイオ燃料と食料との競合なんということまで今心配されている時代ですから、食料は足りなくなってくるわけであります。足りなくなってくる、地球規模で足りなくなってくるのに、日本の中では生産をどんどんどんどん抑えてきているという不思議なことをやっているわけでありますから、別な切り口でどう農業を振興していくかということが大事なんじゃないかと思っているわけでありまして、それとそのFTA、EPAをどう整合性を取っていくかということも一つ課題だと思います。それは、私は、海外の市場で、ニッチな市場でも、価格の競争じゃなくて高品質で高安全性を消費者が理解する層に打って出るということが大事で、それはまさに一次産業と二次、三次が連携を取ってコラボレートしてやっていくべきものだというふうに思っております。
  138. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、甘利大臣にお願いがありますのは、経済産業省で抜本的な農業政策を作っていただき、そして農林大臣に移っていただくということをやっていただくと、日本の、変わっていくんではないかというふうに思います。それぐらいやはり農業政策は変えていかなきゃいけないんではないかというふうに思います。時間がないんじゃないかということです。  続きまして、せっかく資料を作りましたので、一番最後の五ページ目のちょっと資料だけ御説明させていただきたいと思います。  これは何かと申しますと、地域クラスターモデルの進化ということでございまして、ビジネスエコシステムという概念がアメリカにございます。これは一九九〇年代にコンサルタント会社の方が提案したものでございますが、何かと申しますと、古くは工業団地なんかを造っていろんな工場を立地するような地域政策からだんだんだんだん変わって、あとクラスター、今経済産業省がなされていますクラスター、それからビジネスエコシステムという概念に変わってきたという話です。  ビジネスエコシステムは何かと申しますと、一つの生態系、森みたいなものを地域につくっていこうという概念です。ですから、大きな木もあれば小さな木もあるし、草もあるし、花も咲いているということで、全体を見ながら政策を作ろうという概念でございまして、何を申し上げたいかといいますと、これは申し上げて終わらさせていただきますけれども、例えば地域イノベーション協創プログラムとかいろいろ新しい制度、例えばIT、中小企業のITでASPとかをなされるとかいろんなプロジェクトがございますけれども一つやっぱりあるのは、地域政策と中小企業政策が恐らく一体化していないんじゃないかなというのが私の個人的な意見です。  ですから、例えばこのビジネスエコシステムですと、北九州に自動車のエコシステムをつくろうとした場合には、例えば大学の方に自動車関係の学科をつくって人をつくってくださいよという話をしたり、あとそこの地域の特に自動車部品の中小企業なんかをネットワークで結んで在庫管理から発注まで全部できるようにしましょうとか、あと別のコミュニティーをつくって人が議論をして新しい製品の開発時間を短くしようとか、そういう一つの地域の概念の中でいろんなことを組み合わせてやっていく。  だから、今の政策は、枯れそうな草が、木があったら水をあげて肥料をあげますよという形に見えるんですよ。ですから、全体的にどうかということをやっぱり考える地域政策、そして中小企業政策も組み込んだものがこれから必要になるんではないかということをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  これで経済産業政策については終わらさせていただきますが、次にエネルギー環境政策についてお話をさせていただきたいと思います。  このエネルギー環境政策については、一番私は今確認させていただきたいのは、先ほど松下委員からも話はございましたけれども、揮発油の暫定税率が三月三十一日で終わるという可能性が出てきたという話でございまして、この問題、経済産業省の所管でありますガソリンスタンドに大きな影響を与えるんではないかと言われておりますが、国税庁の方にお聞きしたいんですけれども、今回の揮発油税が三月三十一日で消えるようなことがあり、消えて、そしてそのために税の還付とかいろんな対応をされた前例があるか、似たような前例があるかどうかをちょっと答えていただけませんでしょうか。お願いします。
  139. 荒井英夫

    政府参考人(荒井英夫君) お答えいたします。  揮発油税のお話ではございませんけれども、酒税の減税が行われた場合に、流通業者では、在庫している課税済みの酒類につきまして製造場に戻入れを行えば、酒税法の第三十条の規定に基づきまして、実質的な税負担の調整が可能でありまして、輸入品については、国内の製造場に存在しないことから、みなし製造場に関する法的手当てを行うことで国内産と同様の税負担調整を可能にしているところでございます。  このように、法的には課税済みの酒類が実際に製造場に戻し入れられることを前提としているところではございますが、平成九年度の酒税減税の際には、酒類業者及び酒類業組合の協力の下、現品の移動を伴わない伝票処理によりまして特例的な取扱いを行ったところでございます。  国税庁としましては、このような仕組みは酒類製造場の業者及び流通業者、さらには酒類業組合の十分な理解と準備が不可欠なことから、平成九年度の酒税改正に際しましては、三月の改正法の公布後、酒類業組合等とも十分な意見交換を行いながら検討を行いまして、七月上旬に通達を公表しまして、十月の法施行までの間に周知活動を行ったところでございます。
  140. 藤末健三

    ○藤末健三君 これと同じ、お酒のみなし、戻しと同じことがガソリンでもできるということですよね、確認ですけれども。  私がお聞きしたいのは、よく新聞などに混乱が起きるとかいうことが書いてありますけれども、我々民主党はこれに対応する法案も出しておりますし、またいろんな業界団体の方ともお話をさせていただいているんですけれども、国税庁として、混乱が起きるかどうかということについてどういうふうに見込まれているかを教えていただけますでしょうか。
  141. 荒井英夫

    政府参考人(荒井英夫君) お答えいたします。  政府といたしましては、今般、揮発油税等の税率水準の維持を含む税制改正法案国会に提出し、御審議いただいているところでございまして、揮発油税等の暫定税率の失効という仮定のお話にはお答えできないことは御理解いただきたいと思います。  いずれにしても、国税庁といたしましては、法律に基づき、内国税の適正公平な課税の実現について引き続き努力してまいりたいと考えております。
  142. 藤末健三

    ○藤末健三君 仮定の話にお答えできないということは余りにも国家公務員として無責任じゃないかというふうに思うんですよね。あらゆる場合を想定していただき、国家公務員の方々は活動していただく必要があると思うんですけれども、いかがでございますか。  例えば、国家公務員法は、国民全体の奉仕者として公益の利益のために働かなきゃいけないですということも書いてありますし、また、これは財務省の設置法の中の国税庁の任務を見ますと、税制の適正な徴収の、あと課税の実現、きちんとした運用を、適正な運用を図らなきゃいけないというふうに書いてあるわけですけれども、適正な運用をきちんとやるということをここで宣言していただきたいんですが、いかがでございますか。
  143. 荒井英夫

    政府参考人(荒井英夫君) お答えいたします。  繰り返しになりますけれども政府としては、揮発油税等の暫定税率失効という仮定のお話にはお答えできないことは御理解いただきたいと思います。  なお、国税庁は、法律に基づきまして、内国税の適正公平な課税の実現を図ることを任務としておりまして、国会に御提出いただいている法案の内容について意見を申し上げる立場にないことも御理解いただきたいと思います。  いずれにしましても、先ほど申し上げましたとおり、国税庁といたしましては、法律に基づき、内国税の適正公平な課税の実現について引き続き努力していきたいと考えております。
  144. 藤末健三

    ○藤末健三君 先ほど、甘利経済産業大臣は松下議員の質問にお答えいただき、可能な限りもうすべての努力をなされるというふうにお答えいただいたんですけれども、国税庁の方も同じことをおっしゃることはできませんか。可能な限り最大限の努力を行うということで回答をいただきたいんですけれども。お願いします。
  145. 荒井英夫

    政府参考人(荒井英夫君) お答えいたします。  国税庁といたしましては、法律に基づきまして、内国税の適正公平な課税の実現につきましては、引き続き最大限の努力をしていきたいと考えております。
  146. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非最大限の努力をやっていただきたいと思います。その際には、是非経済産業省の方々も、ガソリンスタンドの方々が混乱のないようにきちんと対応していただきたいと思いますけれども、もしよろしければ経済産業省の方、お答えいただけないでしょうか。よろしいですか。じゃ、まあ結構です、それは。先ほどもうお答えいただきましたから、結構でございます。  とにかく、今回のこの問題につきましては、国税庁の方々にお願いしたいのは、やはりガソリンスタンドの方々が非常に不安に思っておられますので、本当に国税庁としての責務をきちんと果たすということを広くお伝えいただきたいと思います。  では次に、エネルギーの問題につきましてお話をさせていただきたいと思います。  冒頭に、今回、今石油がすごく高騰し、かつまた地球環境問題を議論するサミットにおいて議長国になったということでございます。  経済産業省の方から、エネルギーの中長期の見通し、需給見通しということで、今後、五十兆円ぐらいの投資が必要であると、十年間やらなきゃいけないということを出していただいたわけでございますけれども、私は、一つお願いがございますのは、新エネルギーの導入や、また省エネの強力な推進のためにいろんなコストが必要だということは分かるわけでございますけれども政府がどれだけのものをこれやらなきゃいけないかということをもう少し明示していただいてはどうかというふうに考えます。  例えば、国交省が出された道路の整備計画においては、どの道路をいつ造るかということを、十年間で五十九兆円、細かく作られているわけでございます。その負担も、何がどうなっているかというのも書かれておりまして、あれは私は評価はしませんけれどもエネルギー環境問題についてもある程度の政府の役割を踏まえたロードマップを作るべきではないかと思うんですが、その点いかがでございますか。経済産業省のどなたでも結構ですから、お答えいただければと思います。
  147. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 新エネに関してでしょう。
  148. 藤末健三

    ○藤末健三君 新エネ、はい、新エネのところです。
  149. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 新エネルギーの導入は、地球環境考える、あるいは安定供給の確保の点からの多様化という観点から極めて重要であります。ただ、もちろん重要だと言っているだけじゃ進みませんで、コストの問題とか、太陽光、風力であれば出力の不安定という問題がありますから、こういう課題を解決をしていかなければならないわけであります。これには技術開発であるとか、あるいは設備導入補助であるとか、あるいは御指摘があるRPS法で一定割合を電力会社に引き取らせるということ等、各種政策が相まってこの推進が進んでいくわけであります。  で、このうちRPS法については従来の三倍弱に当たる導入目標を掲げて取り組んでいっているわけであります。まだまだ少ないという御指摘をいただいていることはよく承知をいたしております。  それから、大規模太陽光発電を設置するということを私も宣言をしておりますが、こうしたことを含めた太陽光発電社会へのロードマップもしっかりかいて、着実に太陽光を始めとする新エネが推進されていくように取り組んでいく所存であります。
  150. 藤末健三

    ○藤末健三君 この地球環境問題の対策の中で私は原子力発電は安全性を考えた上でやれば非常に大きな効果があるんではないかと思います。原子力発電所を一つ造れば大体日本のCO2排出が〇・五落ちるという計算もございますんでやるべきだと思うんですが、今回この洞爺湖サミットにおいて原子力発電が地球環境問題に貢献できるということをある程度書き込むべきではないかなと私は個人的には思っております。我が国の原子力技術は非常にもう世界でもトップクラスでございますんで、この温暖化対策とともに核拡散防止にこの原子力をもって貢献するということをサミットにおいて示すべきだと思いますが、その点について御回答をお願いいたします。
  151. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおり原子力というのは経済成長環境を両立させるエネルギーだと思いますし、百三十五万キロクラスを二基、平均的な火力と置き換えますと一%CO2が下がる。今、日本の京都議定書による責務というのが九〇年比マイナス六パーでありますから、原子力発電所二基で一パー分ということを考えるといかにその能力が高いかということは容易に理解できるわけであります。ただし、これには大前提がありまして、安全、安心に万全の体制を期すということでありますし、平和利用という視点からIAEAの保障措置をしっかりと受けつつ世界的に推進をするということになるわけであります。  洞爺湖サミットまでの間に私が主宰するG8エネルギー大臣会合等あるわけでありますし、そういう場を通じて原子力の地球環境に貢献する有用性というものについてしっかり説明をしていきたいと思っておりますし、その議論を是非洞爺湖サミット、G8サミットにつなげていきたいというふうに思っております。
  152. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非よろしくお願いしたいと思います。  これは外務省の方にもお聞きしたいんですけれども、まずサミットに向けて原子力をどういうふうに持っていくかという話と、もう一つございますのは、第三回海外経済協力会議におきましてODAの利用として石油資源、エネルギー外交を行うと、原子力も含めて書いておられるわけですけれども、サミットに向けてどのように活動されるかということと、もう一つこのODA、資源外交にODAを使うということについての見解を教えていただければと思います。  なぜかと申しますと、この予算案の中を見ますと、資源外交として一つの項目が立ってございますけれども、ODAが書いていないということがございますので、外務省の方お答えいただけますでしょうか、お願いします。
  153. 新保雅俊

    政府参考人(新保雅俊君) 先生の前半の御質問に対してお答えいたします。  北海道洞爺湖サミットにおきましては、環境、気候変動問題が主要な議題の一つとなる見込みであります。外務省といたしましても、原子力発電が気候変動問題への対処に貢献するものと認識しておりまして、核不拡散、原子力安全及び核セキュリティー、すなわちセーフガード、セーフティー、セキュリティーの三つのSを確保した上で原子力発電を導入する必要性が高まっていると考えています。  我が国自身、この三つのSを確保した上で原子力発電を始めとする原子力の平和利用を実施してきておりまして、三つのSを確保するための原子力外交を積極的に展開しております。  G8プロセスは他のG8諸国との協議を経て進めていくものであり、最終的にどのような論点が取り上げられることになるのかについて現段階では予断はできませんが、我が国といたしましては、こうした我が国の認識がサミットに反映されるよう努力しているところであります。
  154. 渡邉正人

    政府参考人(渡邉正人君) 資源、エネルギー確保のためのODAの活用についてお答えいたします。  資源、エネルギーに乏しい日本にとりまして、その確保は重要な外交課題一つでございます。資源、エネルギーの確保のためには、資源国の政治的安定の確保や投資環境の整備など幅広い施策を進めることが重要です。あわせて、資源国との長期にわたる安定的な二国間関係の構築も重要でございます。一昨年八月の海外経済協力会議におきましても、ODAを活用して資源国との関係強化や資源開発のための環境整備を図っていくことなどが確認されました。  以上のような観点を踏まえまして、例えば資源国の人づくりやインフラ整備の支援などを行っております。我が国の原油輸入先第一位のサウジアラビアに対しましては、サウジアラビア人の雇用拡大政策を支援するための日サウジ自動車技術高等研修所の設立支援と、職業訓練や技術教育開発・訓練センターの研修能力向上などの技術協力を行っております。  また、民間企業によります資源開発投資とODAとの連携は、途上国の開発に役立ちますと同時に、民間企業の活動の円滑化にもつながります。例えば、ODAにより、鉱山周辺の学校、病院建設、浄水場整備などのコミュニティー開発支援や、港湾、道路などのインフラ整備などを行い、投資環境を整備することが有効と考えておりまして、在外公館に対しましても積極的な取組を指示しております。  今後とも、国際社会におきます責務を果たしつつ、我が国の経済的繁栄の確保に寄与するとの観点から、資源、エネルギー確保につきましてODAを戦略的に活用していく考えでございます。
  155. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、このエネルギー・資源外交を外務省と経済産業省は連携して力強く進めていっていただきたいと思います。  また、先ほどサミットに向けまして原子力の位置付けをきちんとしていただきたいという話を申し上げましたが、あわせて、水の話を是非サミットに向けて打ち込んでいただきたいと思います。  なぜかと申しますと、いろんな、昨年、私はWEFというワールド・エコノミック・フォーラムに出ましたら、やはり水がこれからの大きな問題だと。地球環境問題とともに水と食料という話を聞いておりまして、実際に日本に帰ってきて調べてみますと、水を所管している役所というのはもういろいろ分かれております。飲料水だとたしか農水省とか、下水は国交省とか、産業水は経産省と、どこの役所が水を所管しているか分からないような状況でございまして、やはりこの水という問題、例えば年間で水が飲めなくて亡くなる子供が大体二百万人と言いますし、また前の世銀の副総裁が、二十世紀は石油をめぐる紛争だったけれども、二十一世紀は水をめぐる紛争が起きるのではないかということも言っておりますので、是非ともこの水の位置付けを経済産業大臣からサミットできちんと打ち出し、かつ我が国の水産業の育成のロードマップと申しますか、方策をちょっと編み出していただきたいと思うんですが、その点いかがでございましょうか。
  156. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 温暖化問題は空気の話だと思いますが、空気と同等に水が極めて重要な課題になってくると思います。中国等でも地下水の汚染の問題や河川の汚濁の問題が極めて深刻になってきているわけであります。一方で、砂漠化の中で水の確保が難しいという国も次第に多くなってきているわけであります。  そこで、日本では水を浄化するための膜の技術というのが極めて進んでいるわけであります。その技術を通じて使用した水の再利用、浄化あるいは海水の淡水化等に役立てていくということであります。また、水に関するビジネスというのは、そうした機材、部品の供給だけではなくてプラント自体の建設から運用や補修まで将来的には大きな市場拡大が想定をされるわけであります。でありますから、経済産業省としては、今持っている膜技術というものの性能を更に向上をさせて、地球規模の問題に対して貢献をしていきたいというふうに思っておりますし、それを取り巻く産業の振興にも取り組んでいきたいというふうに思っております。
  157. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非経済産業省が音頭を取って水の産業というものを定立して、かつ育てていただきたいと思います。やはりヨーロッパなどが今頑張っていますので、国際標準を取るとかいろんな政府の活動が必要だと思いますので、お願いしたいと思います。  最後に、甘利大臣にお答えいただきたいというか決意をお聞きしたいんですが、東アジアアセアン経済研究センターが設立されました。私もこれ非常にやっぱり甘利大臣の御貢献が大きいと思いますし、今後十年、二十年たったら、これはすばらしいものを造ったと私は評価されると思います。今後のこのERIAに対する大臣の思いを是非聞かせていただきたいと思います。お願いいたします。
  158. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ERIAの構想がASEANで支持され、インドネシアに、これは暫定的に、取り合いになっていましたから、設置をするということが決まったわけであります。これは意外と世の中的には知られていませんけれども、実は日本にとって、アジアにとっても歴史上の一幕になるはずなんであります。言ってみれば、例えばEUが経済統合されたと。そのEUの政策を全部議論し、課題を分析し、解決策を提示するセンターというものをどこかが造ったとしたら、それはすごいプレゼンスになるわけであります。それのアジア版を日本がやったということなわけであります。  アジア地域の発展をするためには、国情がいろいろ違うし、格差がうんとあるし、そのまま同じような政策で進めるということはできません。ですから、国ごとの課題とかあるいはエリアごとの課題というのを分析をして、それに対する処方せんをちゃんと書いていかなきゃならないんでありまして、それをやるところなんであります。これを日本がスポンサーになって造るということであります。極めて歓迎をされていて、設置場所の取り合いになりました。これは日本がスポンサーで造って運営にも重要に関与していくわけでありますから、東アジアに関する日本のプレゼンスが一気に高くなるということを意味しているわけでありますから、この意味付けはやがていかに重要なものであったかというのは歴史が証明することになろうかと思っております。
  159. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうもありがとうございました。
  160. 中谷智司

    ○中谷智司君 皆さん、こんにちは。民主党の中谷智司です。  甘利大臣を始め経済産業省の皆様、そして委員の皆様、お疲れさまでございます。大変お疲れだとは思いますが、元気に質疑をしてまいりたいと思っております。  今、原油、鉄鉱石などの資源高が大きな問題になっています。まず最初に、このことについて御質問をさせていただきます。  原油価格の高騰は、言うまでもなく、私たちの生活にとって非常に大きな影響を与えています。増子理事や先ほど藤末委員もこれに触れられましたけれども、WTIの原油価格は今月、一時一バレル百十一ドルちょうどまで上がりました。私たちが今まで経験したことのない異常な高値になっています。  そこで、甘利大臣にお伺いをしたいと思います。  このことについてはたくさんの方々から御質問があったと思いますけれども、根本の大切な問題だと思うので改めて御質問させていただきますけれども原油価格高騰の原因についてどのように認識をされていますか。また、原油価格を抑制するために国際原油市場に対して経済産業省としてどのような取組をされていますか。
  161. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 原油価格の高騰原因というのは幾つかあると思います。一つには、実需自身がそう余裕、余力を持っていない。予備力といいますか、そこが少しずつタイトになってきているという実需要因。それから、もちろんカントリーリスクがあります。産油国で政情不安になりますと生産が不安定になるというカントリーリスクがあります。加えて、それらを背景として、投機、投資資金が先物に向かうと。そうすると、先物で高い価格を付けるとそれが実体取引価格に反映してくるという要素があるわけでありまして、それらが関連して原油が高騰していくということだというふうに思います。  そこで、どうしていくのかということでありますけれども、産油国が大増産をしてくれれば生産がだぶついてすぐ下がるんでありますけれども、そう簡単に言うことを聞いてくれないんでありまして、万たびこの話をしております。つい数日前も、サウジの石油副大臣とのバイの話合いでこの話に触れました。しかし、彼らは、今供給がショートしているということはあり得ないと、十分に供給力はあるんだと、我々の責任ではないですということを言うわけであります。  しかし、需給の余力が次第にタイトになっているのは事実であるし、そこは生産増を考えてもらいたいという話は万たびしているところでありますし、日本一国が幾ら頑張ってもどうしようもないんで、消費国の会議をいろんな機会に開いて認識を共有をして、どう働きかけるかの相談もしてまいりました。個別ルートを通じてそれぞれが矢継ぎ早に働きかけようということで、イギリスやアメリカとも認識を共有して同様の行動を取っているわけであります。現に、アメリカエネルギー長官が産油国各国を回ってきているわけであります。  しかし、なかなかOPEC総会等で増産の決定がなされません。私は、産油国に対して、原油の異常高騰が原因で世界経済が停滞するようなことになったら産油国にとってもいいことじゃないですよという話をしてきました。そうしましたら、間が悪くサブプライム問題が起きまして、アメリカ発の金融不安定要因、まあ不安とまでは言いませんけれども経済下振れ現象が起きてきたわけであります。そうしますと、産油国は今度は何を警戒するかというと、世界経済が停滞している中で増産を発表をしたら油価が失速するということを逆に警戒を始めたわけであります。これは、一九九七年に金融不安が起きました。そのタイミングで増産を発表をしたら油価が十八ドルから何か半分ぐらいになっちゃって、自分たちは破産しそうになったという話をする国がありました。ですから、高い油価が原因で経済が停滞するぞと、それはあなた方にとって良くないよと言ったときに、アメリカ発の経済の下振れ懸念が起こってしまって、逆に非常に間が悪いことになってしまったということがあります。  もう一方、産油国の石油担当大臣が私に必ず言うことは、これはファンドの責任だと、それはソブリンファンドもあるんじゃないのと言うんですけれども、ファンド、金融筋が先物に行っていたずらに油価を引き上げていると言うんであります。  私の指示で、日本がお金を出してIEAに、金融の動きと油価の関係というのを専門家に今議論をさせました。これを近々、議論の結果というのを発表させようと思っております。それが投機資金の行動に冷静さを促すということに資すればというふうに思っているのでありますけれども、いろんな努力をしているのでありますが、なかなか思うような効果を発揮してくれないというのが現状であります。
  162. 中谷智司

    ○中谷智司君 大臣、様々なお取り組みをしてくださって本当に感謝を申し上げます。  確かに、この原油高騰については様々な要因が絡み合っていて、それで高騰をしています。もちろん国際原油市場への取組がそのまま価格抑制につながらないかもしれませんけれども、その取組が一つの方法であることは間違いありませんので、是非ともこの取組を続けていただきたいと思います。そして、これ以上原油価格の高騰が続いていけば、世界経済成長の鈍化にもつながると思いますし、先ほど甘利大臣がおっしゃられていたように、これは輸出入をされるそれぞれの国でやはり不利益を被ることになると思いますので、全世界が力を合わせてこの原油高騰については取り組んでいかなければならないと私も思っております。  この原油価格高騰が日本経済に与える影響、特に中小企業や家計に与える影響についての認識はいかがでしょうか。先ほど藤末委員が、中小企業の倒産が増えていると、これはもう全体的なお話をされていましたけれども、この原油高に関する倒産についてはいかがでしょうか。
  163. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 中小企業倒産件数全体を見ますと、十八年が前年比一〇二%、つまり前年比でいうと二%増えていると。十九年が前年比でいうと六・二%増えているというわけであります。倒産件数が増えているということは、この油価の高騰、それから建築基準法絡みのことが影響していると思います。ただ、これによる、純粋にこの油価の高騰による、あるいは建築基準法に関する倒産がどのくらいあるのかということは、これ自身の統計が取れていないようでありますが、倒産件数が高くなっていることに関与していることは間違いないというふうに思っております。  いろいろセーフティーネット保証・融資の対象業種を拡大をしておりまして、なるべく関係業種を取り込んで超低利融資あるいは保証が対象となるように取り組んできているところでありますが、今後とも対象業種の組み込みについては柔軟に対応していきたいと思っております。
  164. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  私の地元徳島では、ずっとごあいさつ回りをさせていただいていますと、この原油高の問題と、そして先ほど甘利大臣がおっしゃられた建築基準法改正の混乱によることによって本当にもう仕事が大変になっている、仕事を回していくことができない、あしたの仕事、そしてあさっての仕事も大変だ、そういうふうな厳しい状況をたくさん聞きます。  そして、帝国データバンクによりますと、原油高による倒産は、二〇〇五年が三十一件、二〇〇六が九十九件、そして二〇〇七年には百四十二件という調査結果が出ています。倒産に追い込まれる企業が急増していることがこの数値から分かっていただけると思います。  この問題は、もちろん中小企業あるいは零細企業、本当に大変な状況にありますけれども、見方を変えると、私たち一般消費者にとっても本当に大きな影響を及ぼしています。朝、増子理事がいろいろな角度からお話をされていましたけれども、これはガソリンや軽油の価格上昇が、もちろんこれは大きな問題になっているんですけれども、それだけではなくて、電力やガス料金に加えて、しょうゆやチーズ、マーガリン、牛乳やビールなどの食品まで値上げになっています。そして、今年一月の消費者物価指数は前年同月比〇・八%上昇しています。私たち一般消費者にとっても大きな影響が出ています。この一般消費者に対しての対策は講じられているでしょうか。
  165. 伊藤仁

    政府参考人(伊藤仁君) お答えさせていただきます。  昨年の十二月二十五日に、政府原油高騰・下請中小企業に関する関係閣僚会議で取りまとめました対策の中では、中小企業対策や各業種別の対策に加えまして、例えば寒冷地における生活困窮者などに対する、地方公共団体が灯油購入費の助成を行う場合に特別交付税措置を講ずることとしておりますし、また地方における生活の足として不可欠な離島航路とか地方バスの路線の支援策を講ずるということで、特に国民生活の中でこの原油高騰で特に影響が大きいと考えられる部分についての対策は盛り込んでいるところでございます。  今後、引き続き、原油価格、石油価格などの動向に十分把握いたしまして、国民生活への影響については十分注視してまいりたいというふうに考えております。
  166. 中谷智司

    ○中谷智司君 一般消費者についての対策についてはまだまだ講じられていないように思います。確かに、一部の寒冷地あるいは離島の方々も大変困られておりまして、こういう方々に対しての対策というのは確かに打たれているんですけれども、今私が地元でお会いする方々、特に最近は主婦の方々から、スーパーに行ったときのそれぞれの食品の値段だとか価格が上がってきていて、本当に家計が苦しくなっている、そういうふうなお話も聞いておりますので、そこら辺に対する対策もこれからは是非講じていっていただきたいと思います。  この原油高に加えて、今は本当に資源高、もういろいろなものが値段が上がってきています。鉄鉱石など他の資源も高騰をしています。鉄鉱石は六五%もの大きな値上げになります。鉄鋼大手が値上がり分を鋼材価格に転嫁していけば、産業界全体で一兆円規模のコスト増になると言われています。今、私ども日本経済を引っ張っているのは、鉄鋼や自動車といった輸出型の製造業であると言われています。鉄鉱石の価格が上がることによって、この輸出型製造業に大きな打撃を与えることになり、これからの日本経済も大変厳しい状況になるんじゃないかと私は懸念しているんですけれども、それに対して大臣の見解を伺わせてください。
  167. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 石油はともかく、鉱物資源というのは、たしかついこの間までは、どちらかといえば買手市場だったはずなんであります。しかし、今や石油に引きずられる形であらゆる鉱物資源も売手市場になってしまいまして、一方的に価格の通告を受けて、その価格で引き取らざるを得ないというような状況も生じているようであります。これは、資源外交を通じて私もいろいろと交渉しているんでありますけれども、安定的にということはともかく、安くということになかなか交渉力が発揮ができないわけでありまして、調達先の多様、多元化とか、それ以外の政策としてはリサイクルを推進をしていく、あるいは代替材料の開発をしていくということを通じて安定供給に資するようなものにする、あるいは価格交渉力に資するようなものにするということであろうというふうに思っております。  それから、中小企業がいろいろな影響を受ける、大企業はともかく中小企業影響は体力がないだけに甚大であるということに関しては、下請取引の適正化ということに今ずっと取り組んできているところでございまして、資材あるいは燃料価格の高騰を製品価格にできるだけ転嫁できるように、より良い下請取引の姿についてガイドラインをつくり、ベストプラクティスを共有をするというような作業をしているところであります。もちろん、金融に関して相談窓口を設けまして、セーフティーネット貸付け・保証について万全の体制を取っているところであります。  今後とも現場の状況をしっかりと把握をしながら、機敏な政策対応をしていきたいというふうに思っております。
  168. 中谷智司

    ○中谷智司君 この資源高に関しては本当にここ最近大変な高騰をしておりまして、私どものこの日本の国にとっても大変重要な問題であると思います。引き続き対策を講じていただきたいと思います。  そして、もちろんこれ、レアメタルも高騰をしています。レアアースは五年前と比較をして六・一倍、タングステンは四・二倍、プラチナは二・五倍となっています。  甘利大臣はこのレアメタル確保に積極的に取り組まれていますが、このレアアースやタングステン、プラチナなど、少数の資源国に集中しているレアメタルの確保は進んでおられますか。
  169. 甘利明

    国務大臣甘利明君) このレアメタルはまた存在する国が極めて偏在をしているということで、本当に安定調達上は厄介であります。レアアースは中国が相当シェアを持っているのでありますが、日本と中国でレアアースに関する協議会というのを持っていますけれども、なかなかこの協議会を開かない、幾ら要請しても開かないということで、政治的に強く要請をしているところであります。  偏在している中でも調達先を多様化、多元化していくということで、資源外交をずっと執り行っているところであります。そういうレアメタルの産出国というのは途上国が結構あるものでありますから、そこの資源の探査、開発の協力、あるいは周辺企業の育成も含めて、いろいろなツールを使いながら交渉を進めてきておりまして、成果も上がりつつあります。そうやって調達先を複数化していくということと併せて、先ほども一部申し上げましたけれども、備蓄、それからリサイクル、それから代替材料開発、当初の探鉱開発と併せて、この四つをうまいコンビネーションで進めていくことによって安定確保を図っていく所存であります。
  170. 中谷智司

    ○中谷智司君 このレアメタルなんですけれども、例えばこれハイブリッド自動車などに不可欠な素材である、先ほど甘利大臣が言われたレアアースは、中国に九七%、タングステンは中国に八五%、プラチナは南アフリカに七一%を依存しています。少数の資源国に集中しているレアメタルは、特にきちんとした対応をしていかないと、私たちの生活に大きな影響を及ぼす可能性がありますので、是非とも引き続き取組をお願いいたします。  続いて、エネルギーに関する質問をさせていただきます。様々な新エネルギーや省エネルギー技術の導入支援を展開をしていますが、CO2排出量半減を見据えたときに、エネルギーの種類や技術の面で総花的になっていてめり張りがないように思います。先ほども藤末委員がこれに関連するような質問をされていましたけれども大臣は二〇五〇年に向けたエネルギー利用、供給に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。
  171. 甘利明

    国務大臣甘利明君) クールアース50で安倍総理の時代に、二〇五〇年に世界全体のCO2を半減するということを宣言しているわけであります。二〇五〇年に半分にする、なぜ半分かというと、今地球上で出している分と吸収する分でいえば、出している分が吸収する分の二倍でありますから、半分にすれば出る、吸収がちょうどバランスするという意味なんだと思います。  ただ、半分にするわけでありますから、相当なことをやらなければ駄目と。簡単に言いますと、二〇五〇年までの真ん中までは既存の技術をどんどん投入をしていく、省エネ技術を最大限投入していってそれを共有すると。それから、二〇五〇年までの半分、二〇二五年から三〇年辺りからは、今の技術の延長線上にない革新的なものを開発して普及をそれまでに間に合わせると。ですから、第一エンジンを点火して、二〇二五年、三〇年辺りからは第二エンジンも追加してツインエンジンでCO2削減を目指すということであります。  その際に、革新的技術を絞り込みました。絞り込んでも二十一あるんですけれども、これは開発可能性がなければいけませんから、二十一に絞って、それでいついつまでに投入していく際にどういうことが必要かということをロードマップで描いて、二十一すべてについてロードマップを作りまして、こういう時系列で開発し、投入していくという絵図をかいたわけであります。  例えば、革新的太陽光発電、もう効率が圧倒的にいいというやつですね、であるとか、ゼロエミッション石炭火力というのは、これはトリプルコンバインドサイクルに、最後に出てきたCO2は地中貯留してしまうということで、CO2ゼロの石炭火力発電とか、あるいは、もちろん先進的な原子力もそうでありますし、電気自動車や水素自動車もそうなんであります。あるいは、鉄鋼の製錬といいますか、今は還元剤にコークスを使っているわけでありますが、これを水素を使ってCO2を圧倒的に減らしてしまうと。HとCO2を結び付けて水にしちゃうというんですかね、ただ、下手をすると、水素ですから、火が付いて爆発する危険性がありますから、この技術開発が難しいそうですが、そういう革新技術を投入していくと。それで、二〇五〇年に世界半減というのを目指していくという絵図をクールアース・エネルギー革新技術計画ということで三月五日に策定をした次第であります。
  172. 中谷智司

    ○中谷智司君 そのエネルギー革新技術計画、私も見せていただきました。そして、その技術を、二十一の技術を選定をして重点的に取り組まれている、これは良いことだと思いますけれども、その中でも改めてめり張りを付けていく必要があるんじゃないかと私は思っています。そして、先ほど甘利大臣がロードマップというお話をされましたけれども、これからも技術革新や普及状況によって重点技術というのはその時々によって変えていく必要もあると思いますので、そういうことも是非ともお考えをいただきたいなと思っております。エネルギーの種類間、技術間の優劣や、CO2排出量半減への貢献度が高い技術に集中的に資源を投下すべきではないでしょうか。  今は複数に分散されている助成制度がありますけれども、これは私は一元化した方が効率がいいんじゃないかと思いますが、それに対する大臣の御見解を伺わせてください。
  173. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 新エネの導入促進、あるいは省エネの推進というのは、ただいま申し上げましたように、この地球温暖化問題の解決、あるいはエネルギー安全保障という点からも重要な対策であります。この推進のために技術開発に加えて導入の支援というのが重要なわけでありまして、政府といたしましては効果の高い新エネあるいは省エネ技術について重点的に導入支援を図っているところであります。  この実施に当たっては、現在、エネルギー種別や技術ごとに、公募した民間団体等に補助を行うことによって実施しているわけであります。こうしたやり方によりまして、これらの民間団体等が有する新エネ・省エネ技術等についての知見を活用して施策効果を最大限発揮するとともに、効率的な予算執行が可能になるというふうに考えているわけであります。  今御指摘の、いかに効果的、効率的に政策効果を上げていくか、予算効率を上げていくかという御指摘でありますけれども経済産業省としても引き続き、いかに効率的に新エネの導入促進、省エネの推進を図っていくかについてしっかりと検討していきたいというふうに思っております。
  174. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございました。  それでは、ちょっと人材確保だとか育成の質問をさせていただきたいと思います。  これからは産業の在り方も変わってまいりますし、強い産業企業をつくっていくには、やはり良い人材を確保する、そして育成をしていくことが必要だと思います。早い段階から勤労の尊さを学んだり、将来に目標を持って育てていくことができるようにするためには、子供たちに対する職業観教育や職業体験授業の推進、こういったものが大切だと考えます。大臣のお考え経済産業省の取組についてお聞かせください。
  175. 甘利明

    国務大臣甘利明君) おっしゃるとおり、いわゆるキャリア教育でありますけれども、これは極めて大切であります。経済産業省では、平成十七年度から小中高校生を対象に、地域の協力の下に、民間の知見等を生かして体系的に職業体験学習を行う、いわゆるキャリア教育でありますが、これを推進をしてまいったところでございます。  これまでの取組を通じまして、受講生は、様々な仕事の存在への認識とか仕事のイメージが向上したとか、あるいは学校の勉強と仕事の関係の認識ができたとか、あるいはコミュニケーション等社会に出て必要とする力に気が付いたとか、そういった成果が確認をされました。  また、自治体や地域企業等々の理解と協力を得まして、自立的な取組を推進する地域が増加をしてきたと。というのは、これ全国二十八地域でモデル地域としまして実施をしてきました。これは時限を切った取組でありますから、その後終わっちゃうのかということになるんですが、そうしましたら、そこの地域で自発的に引き継いで自分たちでやっていくという仕組みがどんどんできてきたというのは極めていいことだというふうに思っておりまして、キャリア教育というのが着実にこの地域に定着をしてきたんだというふうに思っております。  それらを通じて、コーディネーターの重要性というのが認識をされました。つまり、地域の産業界それから学校を結び付ける役ですね。今後は、そのコーディネーターの育成というのに、コーディネーター、その担い手というのを育成しつつ、地域が主導するキャリア教育というのができるように支援に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  176. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  人の教育であるだとかあるいは人材育成というと、今までは文部科学省であったり、あるいは厚生労働省が取り組まれる、そういうことが多かったと思います。しかし、やはり私は、経済だとか産業を監督される経済産業省がこれからの産業のことを考えながら取り組んでいかれる、この姿勢は本当にすばらしいことだと思っています。  そして、私もその取組について一通り目を通させていただきました。例えば産学連携人材育成事業だとか今回新規で取組をされています。二十八億円の予算が組まれました。初めてできたもので本当にすばらしいものだと思いますけれども、私はまだまだ予算が少ないんじゃないかなと思っています。やはりコンクリートに予算をつぎ込むよりも将来のことを考えて人への予算を増やしていく、そのことが重要だと思いますので、ますますこういうことに力を入れていただきたいと思います。  それでは、中小企業のことを少し質問をさせていただきたいと思います。  私が十二月に質問をさせていただいたときに、中小企業の方、とりわけ中小零細企業の方は今日も資金繰りで苦しんでおられる、そういうふうなお話が出ましたけれども、例えば、今厳しい状況の中で、どこでお金を借りていいか、金融の情報が手に入らない。あるいは、市場の情報だとかあるいは他社の成功事例だとか人材確保育成、すべてにおいてどこから情報を取っていいか分からない。それに対して、どんなことでもここの窓口に経営者の方々が相談をすれば回答していただけるような経営相談窓口というものが必要ではないか。私も地元で経営者の方々とお話をさせていただいていますと、そういうものがあればいいなというようなお話を伺って、それを甘利大臣に十二月に質問をさせていただきました。  来年度の予算でこれを組み込んでくださっていますけれども、それについて伺わせていただけますでしょうか。
  177. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘の案件でありますけれども平成二十年度予算、間もなく成立をしていただけると思いますが、この予算におきまして、地域力連携拠点というものを二百か所から三百か所整備をするということになっております。  もうすぐ来年度なのにまだ二百か所なのか三百か所なのか決まらないのかというおしかりを受けると思うんですが、これ公募をしておりまして、一番有効に働くところに設置をしようと思います。ですから、公募が終わって箇所数が確定をするというふうに思います。  この拠点に配置する応援コーディネーターが中核となって支援を行うことになるわけであります。そこでは、例えばITの導入とか、あるいは人材としては大企業の退職者にいいアドバイスをしてもらうと。それから、地域に公設試があります。中小企業は研究開発施設を持ちませんから、いいアイデアがあってもあるいは技術があってもそれを商品化、製品化しようとする場合に試験研究機関がないですから地域の公設試と連携することが必要でありますし、あるいは大学との連携をすることも大事だと思っております。そういうコーディネートを通じて新たな商品やサービスを開発するとか、あるいはアドバイスを受けて販路を開拓するとか、そういうことをやっていくその支援をする拠点にしようと思っております。  また、先ほど来質問が出ておりますけれども、農商工連携等も併せて支援をして、地域の中小企業の活性化ためにきめ細かく取り組んでいきたいというふうに思っております。
  178. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございました。早急に是非とも実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。  もう今は本当にドル安だとか株価の下落、原油高などによって私たちの環境というのは目まぐるしく変わっていっています。もちろんこういうことは統計の数値によっても得ることはできますけれども、是非とも甘利大臣、そして経済産業省の皆様も全国各地のたくさんの方々にお会いをして、そしてそのことを基に政策につなげていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  179. 古川俊治

    ○古川俊治君 自由民主党の古川俊治の方から質問をさせていただきます。  もう既に各議員より御質問がございましたけれども、革新的エネルギー技術開発というのは温暖化対策にとっても、日本のこれからの産業振興にとっても重要な課題だと認識しております。私も、二十一の技術領域分野というのはやや多岐にわたり過ぎるんではないか、これは日本の今の産業政策全般に言えることではないかと思うんですが。私は医療機器開発を専門にしてまいりましたけれども、そこにおきましても、余りに多くの技術に、技術領域が決まっていても各技術がかなり多岐にわたってしまいまして、どの技術においても実は資金がショートしているというような状況をずっと見てまいりました。是非これからの高齢化社会におきましては選択と集中ということで、トップダウンの形で技術を実現に向かって引っ張っていっていただきたいと、そう思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  今の革新的エネルギー技術開発についてお伺い申し上げますけれども、今は二十一の技術領域があると伺いましたが、結局実現するためには何か一つのシステムとして実地に生かせるものが必要なわけでございます。そうすると、例えば今の二酸化炭素の回収・貯留システム、CCSと言われているやつですね、それと、石炭ガス化の複合の実証実験というのはまた別個のプロジェクトで進んでいるという現状がございます。例えば、そのほかにも太陽光発電、今一つの技術としてやっておりますが、あれではなかなか安定化しないということで、この安定化を目指してやっているわけですけれども、一方でこれに燃料電池等を組み合わせることによりまして一つのシステムが開発できないか。  すなわち、技術の組合せという点でどうお考えになっているか、お願い申し上げます。
  180. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先生御指摘のその点については、選択と集中というのは私どもも心掛けなければいけない基本的な考え方だと思っております。  ただ、申し上げますのは、日本全体で総合力を発揮して、今二〇三〇年辺りへ向けての革新的な技術を開発するといったときに、有識者の先生方、吉川先生を座長として有識者会議で御検討いただきましたときに、やはりここに年間、本年度はまだそこまで達しておりませんけれども、一千億程度の国のお金を十年間ぐらい投じて一兆円ぐらいやろうじゃないかと、こういう世界になりますと、十五年、二十年先の技術について、ある程度絞るにしても、かなり日本の選択肢の場合には視野をある程度広げておかなきゃいけないだろうということもございまして、そういう意味では二十一に絞ったということではございます。  ただ、その間に、一つ一つの、例えば高効率の石炭火力発電所とそれからCCS、これが連携していることはもちろんそういうことでございますが、それを得意とする人たちをある程度開発分野へ集中させなければいけないということで、そこの連携を考えながら、ある程度もちろん運営はしていかなければいけないと思いますけれども、要素技術としては二十一の中に分けてしまったということでございます。  それから、蓄電池などについて今御指摘のように、風力だとか太陽光だとか、すべての新エネルギーについて蓄電池がかぎになるということも、これもまた事実でございますので、そこは横ぐしを刺した蓄電池の開発技術というのを、その能力がある人たちにすべて集まっていただいてやっていただくというような発想でもやっていかなきゃいけないと。  いずれにいたしましても、運営については大いに工夫をしながらやっていかなければいけないと思っております。
  181. 古川俊治

    ○古川俊治君 是非その点はよろしくお願い申し上げます。  この技術革新というのは、もう一方で、予算を付ければそれで開発がどんどん進んでいくというわけにはまいりません。当然開発にはリスクを伴うわけでございまして、そうすると、予算を付けた上でやはりソフト面の支援というのが絶対必要だと思っているんですが、この点についてはどういうふうに御配慮をされているでしょうか。
  182. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先生の御指摘のソフト面の支援ということに当たるかどうか、若干、私ども質問の意味が正確に分かっているわけではございませんけれども、今やろうとしておりますことは、ある意味では産官学の総力を挙げてやらなければいけないということでございます。したがって、産官学でやろうとする人たちが共通の課題認識を持ってやらなきゃいけないと。そういう意味で一番大切なのは、ロードマップを共有するということだろうと思っております。  したがって、その有識者会議でそれぞれ二十一選んだものについて、それぞれのロードマップを今回は同時に作りました。ある時点までこういう時間軸の中でこういう要素技術をやりながら全体として整合的にやっていくんだというロードマップというのを有識者の皆様に作っていただきました。これを共有しながらその連携を図っていくというのが、ある種の一つの技術開発計画の中における、ソフトと私ども言っていいかどうか分かりませんけれども、工夫ではないかというふうに思っております。
  183. 古川俊治

    ○古川俊治君 是非その点、そして人員の確保というところもしっかりお願いしたいというように考えております。  環境対策、いろんな問題がまだございますけれども一つ温暖化対策のことで申し上げますと、特に国際エネルギー消費を効率化していくという観点から、今アジアにおける日本のリーダーシップを取るということで省庁も取り組んでいらっしゃるということはよく分かっております。その点、この度、APPに基づくセクター別ボトムアップアプローチということを提言されまして、この点は首相も、そして大臣も御発言されているところでございます。  この日本が提唱しましたこのセクター別アプローチ、これは是非、ポスト京都の枠組みでこれが取り入れられて、日本がリーダーシップを発揮していけるよう御配慮をお願いしたいと思っているんですが、この度、今回の予算で、特に今回のAPPのセクター別アプローチに基づく事業の支援ということに予算を振られているということでございますので、その中で、APPのプロジェクトにおいてセクター別アプローチでどのような結果を期待しているのか、これが本当に途上国及び先進国両方にセクター別アプローチの妥当性というものを印象付ける、そういったものになるのか、その見込み及びその根拠についてお伺いしたいと思っております。
  184. 中野正志

    ○副大臣(中野正志君) 古川委員の御指摘、大変ありがとうございます。もう言うまでもなく、APPは官民のパートナーシップに基づいてセクター別の取組を進めているところであります。  例えば、鉄鋼セクターあるいはセメントセクター、両方においては、我が国産業界の省エネルギーの専門家が中国やインドの工場を訪問して、エネルギー効率改善に資するアドバイスを的確に行っております。また、発電セクターにおいては、本年の二月でありますけれども、インドの石炭火力発電所においてAPP加盟国から八十名の技術者が参加をして、そういった意味での効率改善に資する運転あるいは保守管理、そういったことに意見交換ありまして、情報共有をしっかり取っておいたと、こういうことになります。  今後、国際交渉の場においてこのセクター別アプローチの有効性を説明をし続けてまいりますし、APPにおけるセクターごとの具体的プロジェクトあるいはエネルギー効率指標の検討が、とりわけ中国やインドなど主要排出国における温暖化対策に資することをしっかりと示すことによりまして、このセクター別アプローチの理解を更に深めてまいりたいと思っております。  委員御指摘のように、京都議定書をある意味補完するもの、またポスト京都議定書、このことにも大変大きな役割を果たす、そういう認識でおるところであります。
  185. 古川俊治

    ○古川俊治君 ありがとうございます。  是非、途上国ばかりではなく先進国も同意できるような結果を期待しております。よろしくお願い申し上げます。  このアジア地域等の発展途上地域におきまして、これ我が国で実用化された省エネ技術というものを実践していくという意味では、CDMの枠組みと同じことだと思います。そうすると、できればこの支援とともにCDMのクレジットを取れれば一番いいと思うんですけれども、この点はいかがなんでしょうか。
  186. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 私どもが実施しております国際エネルギー消費効率化などのモデル事業、これは中国とかインドとかそういうところでやっておりますけれども、こういった事業、かなり前からやっていると、実績も相当上がっているわけでございますけれども、その際に、CDMの中に認定されるような事業というものも当然あるわけでございまして、それについては具体的にクレジットの取得事業の対象にするということで取決めも行っておりますし、それから実績も上がっております。  具体的には、例えばベトナムにおけるビール工場の省エネ化モデル事業などの三件について、クレジット取得に係る取決め、それから承認作業というものに取りかかっておりますので、これは取得できるんではないかと思っております。こういったことを続けていきたいと思います。
  187. 古川俊治

    ○古川俊治君 なるべく安く済ませたいということなので、よろしくお願いを申し上げます。  我が国は、もうこれは御承知のことだと思いますけれども、京都メカニズムの活用によって約一億トンの他国の排出枠を取得する計画というものを持っております。既に二〇〇六年度からNEDOを通じましてこの取得事業は行われておりまして、二〇〇六年度は六百三十八・四万トン、そして二〇〇七年度は二百十九・三万トンということで、現在、今八百五十七・七万トンの契約済みということを、私の調査でもそうなっております。  今後、約束期間内にこの一億トンに達するまで、まだ八%程度しか取得していないわけでございますので、これをできるだけ、実を申しますと、トータルの費用を安くしたいというのがもちろん我が国はそうしたいわけですけれども、排出枠の市場価格といいますか、今は相対の契約でやっていると思うんですけど、それでもやはり市場の価格というものに影響されると思いますので、そういった見込み、これをどういう見込みでもって今後契約を進めていくのか、予算の付け方等についてお考えを伺いたいと思っております。
  188. 石田徹

    政府参考人石田徹君) お答え申し上げます。  まさに委員御指摘のように、京都メカニズムの下でのクレジットの取得、我が国は補完的に一億トン、これを取得する予定にしておるわけでございますが、この取得に際しましてやっぱり二つの観点が重要だと思っております。一つは、リスクの低減を図りながら費用対効果を考慮して取得をするということ、もう一つは、地球規模での温暖化防止、途上国の持続可能な開発への支援につながるものであるという、この二つの視点でございます。  政府はこれまで、この第一約束期間以前の二〇〇〇年から活用が認められておりましたいわゆるCDMにつきましては、既に発生するクレジットの取得に努めてきたところでございます。今年からその第一約束期間に入ったということで、他の京都メカニズムの下で認められておりますいわゆる共同実施、JIというもの、あるいはその具体的な環境対策と関連付けられた排出量取引の仕組みでありますグリーン投資スキーム、GISと言っておりますが、これについても活用が可能になってきております。  こうした状況を踏まえまして、今後の京都メカニズムの下でのクレジットの活用につきましては、CDM、JI、GISによるクレジットの価格、あるいはそれぞれの特徴に応じたリスクを十分に考慮しながら、これを組み合わせて実施することで、プロジェクト内容あるいはプロジェクト実施国等の供給源の多様化を図ることによって、極力、費用対効果の高いクレジット取得を努めてまいりたいというふうに考えております。
  189. 古川俊治

    ○古川俊治君 これ、いろんな考え方がありまして、どうしてもその約束期間が終わるころになると当然価格が上がってくるんじゃないかという考え方も一方でありますので、是非その点にも御留意いただきたいと思っております。  もう今お話ございましたけれども、AAUの取得するGISですね、グリーン投資スキームの問題でございますけれども、この場合に、売買した代金が温室効果ガスの削減に用いられている、これをどのようにモニターするのか、その方法についてお伺いしたいと思っております。
  190. 石田徹

    政府参考人石田徹君) ただいまお尋ねのいわゆるGISでございますが、これ、二〇〇八年度のクレジット取得事業からこのGISを通じたいわゆる国別割当て量の余剰枠、今議員もAAUということで言われましたけれども、この取得の予定をいたしております。具体的には、ハンガリーを始めとします中・東欧諸国等とその具体的な条件について交渉を始めているところでございます。  その交渉に当たりましては、まさに委員御指摘のように、いわゆるホットエアの単なる購入というふうにならないようにしていくことが重要であると考えておりまして、GISによるその売買の代金が温室効果ガス削減プロジェクト等、環境対策に用途を限定して活用されることを確保するためにいろいろな努力を行っております。  具体的には、GIS実施国との二国間合意文書でありますとか、実際のクレジットの移転契約書におきましてGISの売買代金の用途や分野を明記するほか、あるいはその合意内容の実効性を確保するために、実際の資金が使用されることとなりますプロジェクトを選定する場合の事前協議でありますとか、さらには、その実施国家からのプロジェクト進捗に関する定期報告等を求めるというようなことを現在考えておるところでございます。
  191. 古川俊治

    ○古川俊治君 ありがとうございました。  我が国の産業振興ということを考えました場合に、これから特に特許制度というものについてしっかりと整えておくべきだというように考えておりますけれども、現在、この特許の面では、我が国の特許業務の本体というべき特許審査の体制は世界で見ても先進的と考えられておりますし、他国に比較して問題は少ないんだろうというように認識しております。特許協力条約に基づく国際出願の数を見ましても、日本からの出願数は堅調に伸びておりまして、現在米国を追い上げていると、そういった状況になっているわけでございます。  しかしながら、その結果として、では日本産業力が向上しているのかというと、なかなか国際競争力というとそういうわけにもいかない。特許制度の目的はまさに産業振興にあるわけでございまして、その場合には十分な機能を果たしていないんではないか、こういうことが言えるんではないかと思います。  真の知的財産立国というためには、安価なアジア製品に押されがちである地域産業、今後これを含めて知的財産というものをもっと戦略的に活用していく、そうした産業構造の転換が図られていかなければいけないというように考えているわけでございます。  この点で、中小企業やベンチャー企業というものは、知的財産権に強い人材の確保というのは非常に難しいと。ですから、せっかく技術を持っていながら知的財産権を取得できない、また仮に取得したとしてもそれをうまく事業に結び付けていけないというような事例がたくさんあるんではないかというように思っております。  この場合、地域から知的財産立国、こういうものを達していくためには財政支援、今回も外国出願に対する支援等を行っているようですけれども、それだけではなくて、効果的に知的財産をどうやって取っていくか、それを具体的な経営戦略にどう生かしていくか、こういった実務的観点から懇切丁寧に助言していく、こういったことが必要だと思っております。  この点、知的財産計画二〇〇七などによれば、中小・ベンチャー企業の知的戦略策定のため都道府県の中小企業支援センターを通じ知財の専門家やコンサルタントを派遣するなどの支援というものをずっと行ってきているということでございますけれども、二〇〇八年度、今年度の予算はこれが全国で百社、都道府県当たりで二社ちょっとなんですね。それで一・二億円。昨年度が一・三億円だというように認識しておりますけれども、こういった対応にとどまっているということでございます。  これは現在までの活用実績が乏しいというようなことなのか、その支援活動の評価をどう行っているのか、この点についてまず教えていただきたいと思います。
  192. 肥塚雅博

    政府参考人(肥塚雅博君) 今お話がございましたように、中小企業における知的財産を活用するためのビジネスプラン作りあるいは知的財産の戦略作りというのが非常に重要だと思っていまして、十六年度から弁理士あるいは技術士、中小企業診断士といった専門家を中小企業に一定期間集中的に派遣してお手伝いをするという制度を設けております。  これまでの実績は、二十三の都道府県などの中小企業支援センターで事業をやっていただきまして、二百五十社以上の知財戦略の策定を支援してきております。知財マップを作って新たな分野へ出るといったようなことをやってきている企業もあるわけですけれども、私ども、今年度、十九年度でございますけれども、これをやっていただいた中小企業支援センター、あるいは支援を受けた中小企業、それから専門家という方々にアンケート調査をしまして、フォローアップ調査をやっております。七〇%以上の方は満足しているという、中小企業ですけれども、言っておられますけれども、他方、課題もございます。  一つは専門家とのマッチングが非常に重要だ、それから知財でございますけれども、都道府県の中小企業支援センターの理解を深めていただくと、知財に対する、というようなこともございます。そういう課題が浮かび上がっておりまして、私ども、これを受けて中小企業支援センター、あるいは中小企業の理解を深めていただく、それからそういうことを通じて事業を実施する中小企業センターがやろうと、それから知財戦略に関心を持つ中小企業を増やしていくという制度についての周知といいますか普及活動をやるということを一つ考えております。  それからもう一点は、そういう課題、フォローアップ調査も踏まえまして、ニーズに合った専門家を派遣するということは当然でございますけれども、これまでの知財の専門家が派遣してうまくいった事例というようなものを集めて、そういうものを広く使っていただくことを通じて、制度に対する理解、それから利用の拡大、それから専門家の方が支援をしているときの質を高めるというようなことをやっていきたいというふうに考えておりまして、そういうことを通じて制度の利用が広がっていくということを期待しているところでございます。
  193. 古川俊治

    ○古川俊治君 是非積極的に経営支援をお願いしたいと思っています。  今も御説明がございましたけれども、特にだんだん専門的してくる領域におきまして的確なインフォメーションを支援をできる、そういった人材がどうしても不足しがちであると。特に、例えば我が国は今国策としてiPS細胞、これ新しい技術ですけれども、これを振興させようとしていますけれども、そこにおきましてもこの細かい再生医療技術というのを理解しながら知的財産の戦略的なマッピングを行っていく、これはもう本当に人材が不足している、これはもう国を挙げて人材を集めていかないとできないことでございます。  そういった意味からも、これから知的財産立国を成功させるに当たって、セクター別といいますかその技術領域ごとに適任者の、長年知財法務ということに慣れた方々、これは企業の中にいると思うんですけれども、そういった方々をうまくデータベース化していかないとなかなか難しいんだろうと。すぐにどの技術だったらどの人というように見付けることが必要だと思っているんですが、こういった点について取組状況はいかがでしょうか。
  194. 肥塚雅博

    政府参考人(肥塚雅博君) 確かに分野によって事情も違います。したがいまして、そういう分野、あるいは研究領域と知財を両方知っている専門家というのは非常に重要だと思っています。  今先生、二点、地域と中小企業というお話ございましたけれども、これ今データベース作りをしていますけれども、特に企業の知財部OBの方々のデータベースを作っているんですけれども、このデータベースを作りますときも、どういう経験をされたのか、どういう分野が得意なのかというようなことをきめ細かくちゃんとデータベースに入れなきゃいかぬというような御指摘も受けていまして、来年度作っていきますけれども、そういうことを心掛けにゃいかぬというふうに思っております。  それからもう一点、研究開発プロジェクトの中でも論文特許と一緒になって競争が行われているわけですけれども、今まで私ども、大学やTLOに知財の専門家というのも派遣してきた事業もやっておりますけれども、これからは重要なプロジェクトのその知財戦略をむしろ策定を支援するというような、プロジェクトを念頭に置いた、専門性に合った知財プロデューサーのような方を派遣していくというようなことも考えられないかというようなことを今考えているところでございます。
  195. 古川俊治

    ○古川俊治君 今後、特にオープンイノベーションということも進んでまいりまして、知財の重みというのはますます増してくるだろうというように考えております。  国際的なネットワーク、これも課題でございますが、そこでの是非リーダーシップを発揮されるとともに、最後の特許体制の勝利といいますか、それは、やはり日本産業、国際競争力が上がってなんだということを御認識の上、特許業務の更なる推進に御尽力いただきたいと思っております。  これで質問を終わらせていただきます。
  196. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 こんにちは。丸川珠代と申します。東京選出参議院議員でございます。  今日は、経済成長という観点から、外国人労働者の問題についてお話を伺いたいと存じます。  御承知のとおり、日本平成十八年を境に人口減少時代に入りました。しかも、ただ減るというのではなくて、高齢化が進んで働き手や担い手が減少する。これは産業にとっては大変深刻な問題です。仮に高齢者や女性の労働市場の参加が進んだとしても、二〇三〇年までに五百万、何もしないと一千万減ってしまうという推計があります。今後ますます、こうしたことを背景にして、外国人労働者を求める産業界の声というのが大きくなってくることが予測されます。  既に、日本には八十万人近い外国人が働いています。このうちのほぼ半分、三十七万人が身分に基づいて在留する人、これはつまり日系人を中心とする定住者、永住者の方たちです。そして、そのほか技能実習生が七万人、大体一割ぐらいですね。そして、アルバイトをしている留学生が十一万人、これは一五%程度ということになります。  この三十七万人の日系人労働者のうちの七割は、派遣や請負の労働者として雇用調整の激しい輸出関連の下請企業で働いています。つまり、求人募集をしても日本人が来てくれないような職種、あるいは地域で雇用のミスマッチを埋めてくれているわけです。つまり、この十年で流入した外国人労働者の多くがそういう形で日本の外需主導の経済成長というものを縁の下で支えてきてくれたということになります。  しかしながら、一方で、同時に発生している多くの彼らをめぐる問題について、あるいはそうした問題から発生する社会的コストをだれが負担するのかという議論はまだほとんど進んでいないように思います。    〔理事藤原正司君退席、委員長着席〕  彼らの多くは日本語が分からずに来日してきます。ということは、医療や福祉、それから教育の面でのサポートというものが必要になります。当然これはコストが発生します。そして、雇用者が彼らの負担を抑えるために社会保険に加入せずに、現住所を把握するというシステムが整っていないために、納税の義務、これを果たしていないという人も中にはいます。つまり、日系人労働者、彼らが権利を行使する、あるいは日本のために義務を果たしてもらう、その両方の体制が全くまだ不十分であるというわけです。  一方で、雇用のミスマッチを埋めてきたもう一つのコアと言ってもいい外国人研修・技能実習制度に関しては、もう既にこれまでに指摘されてきた多くの問題について、経済産業省の研究会でも対応が取りまとめられました。平成二十一年の通常国会までには、そうした研修生、技能実習生についての権利を守る関連法案も提出されることになっております。つまり、日系人労働者についてはまだ手付かずの状態と言ってもいいんではないでしょうか。財政的な負担も今の現状では自治体が背負うことになってしまっています。  その日系人労働者、彼らの中には永住を希望する傾向というのが強まってきています。私たちは、短期で滞在するだけではなくて、移住あるいは移民というような長く住んでもらうような発想に基づいた新たな政策も必要としているのかもしれません。  一方で、大臣がお進めになっていらっしゃる今後のアジアの包括的な経済連携、こういうものがもっと進展していけば当然労働力の移動ということもますます盛んになってくることが予測をされます。外国人が日本で働く環境を整えるということは急務というふうに私は思っております。  そこで、目の前にある問題としてまず大臣にお伺いしたいのですが、身分に基づく在留資格を得ている労働者によって企業が受けた恩恵と責任というものについてどうお考えになりますでしょうか。派遣先や請負先の企業についても併せてお答えをいただければと思います。
  197. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 企業にもたらす恩恵を考えたときの企業の果たすべき責任という点での御質問であります。  経済産業省では、御指摘の観点も踏まえまして、日系の外国人労働者問題及び支援機関についての実態調査を行いました。一部の地域では企業等の外国人労働者に対する日本語教育であるとか、外国人労働者の子供に対する学校への支援等、先進的な取組事例があることが明らかになったわけであります。こうした外国人労働者に対しましての積極的な支援に取り組む事例につきまして、引き続き普及啓蒙活動を通じまして企業の自主的な取組が促進されるよう働きかけを行ってまいりたいと思っております。  恩恵を受ける企業にも是非自発的に前向きな取組をしてもらいたいと思いますし、そういう取組をいい事例として横展開をしていきたいというふうに思っておりますので、これらの取組が一層促進されるように引き続き働きかけを行ってまいりたいと思っております。
  198. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今大臣がおっしゃった企業の取組を促すという形で、それは政府の立場から後押しするということをおっしゃったんだと思うんですが、今触れられた企業責任ということを前提として、企業はどうやってその責任を果たすべきだというふうにお考えになりますか。
  199. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先進的な取組事例としては、外国人労働者に対して日本語教育を実施している企業がある、あるいは外国人労働者の子供に対する学校への支援の事例。ある企業は、協力会社五十数社と一緒にブラジル人学校に対して寄附を実施をしているわけであります。  外国人の子供たちが学校に行かなくなってしまう、それは日本語が分からないから行っても取り残されてしまうと。行かないと事態は余計ひどくなるわけでありますし、そういう子供たちが大人になったときは日本という社会において疎外感を味わうということでありますし、後でいろいろな問題が起きた場合には日本政府は社会的コストが掛かるわけであります。でありますから、企業としてそういう労働者を活用して企業業績を上げている以上、その社会的責務としてそういう事例を各社で共有してもらいたいと思います。  また、行政としても、日本政府自身も当然その一定の責任を負うべきだというふうに考えております。そこで、関係省庁の連絡会議におきまして検討を行って、これは平成十八年の十二月でありますけれども、生活者としての外国人に対する総合的対応策というのを取りまとめたところであります。具体的には、外国人が暮らしやすい地域社会づくりであるとか子弟への教育の充実、外国人の在留管理制度の見直し、外国人労働環境の改善、社会保険の加入促進等が盛り込まれているわけでありまして、これは経産省だけでできることではありませんが、引き続き関係省庁と連携を深めて検討を深め、具体的な取組につなげていきたいというふうに思っております。
  200. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今企業責任、そして行政の責任ということについても触れていただきましたが、当然財政的なバックアップも必要としていることだと思います。  現に永住を求める傾向にある日系人の労働者の方たちが、もし安定した生活を送ってしっかりと納税をしてくれるようになれば、それは経済成長を支える力にもなっていくわけです。人材や人手を求めている産業界の声に耳をしっかりと傾けるということと同時に企業責任、国家の責任についても明確にして、是非国家の戦略と結び付けていただきたいと存じます。  次に、円高影響についてお話をお伺いしたいと存じます。  このところの急激な円高企業収益影響が出ることが非常に懸念をされています。自動車や電気など輸出企業中心にこの三月期、減益の懸念というのが強まっています。一方で、円高というものは輸入材の価格を引き下げる効果もあるわけで、このところの資源高騰の緩和の働きも期待されるのではないかと思うのですが、この円高というのがどの程度原材料高を吸収するものなのかということについてお答えいただけますでしょうか。
  201. 瀬戸比呂志

    政府参考人瀬戸比呂志君) お答え申し上げます。  例えば、原油価格で見ますと、三月十三日にバレル当たり百十ドル台の史上最高値を記録するなど極めて高い水準で推移しております。他方、為替レートを見ますと、三月十七日に一時、十二年ぶりに一ドル九十五円台を付けるなど、足下では円高基調で推移しているわけでございます。  このように、原油高円高基調が同時に見られる結果、例えばでございますが、一月平均の原油価格が一バレル当たり九十二ドルでございますが、昨日は百一ドルを付けております。一〇%上昇しているわけでございますが、他方で円レートを見ますと、一月平均レートが百七円六十銭、それに対しまして昨日の終値が百円十五銭でございます。これを単純計算でございますが円建てで換算をいたしますと、原油価格は一バレル当たり約二%の上昇にとどまるということになるわけでございます。  このように、昨今の原油原材料価格の上昇分のすべてではありませんが、円建て換算で見た場合、円高によって一定程度価格上昇が抑えられているという状況でございます。
  202. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 一定程度抑えられているということですが、もしこの為替レートを実質実効為替レートで見た場合、実はもっと日本は購買力平価が高いのではないか。つまり、円安水準にまだあるのではないかという見方もございます。  その実質実効為替レートを見てみますと、九五年に一ドル七十円台を付けたピークのころで考えると、今の百円は当時のまだ百六十円ぐらいというふうな計算もできるということで、一体この辺りはどうなのか。  政府は、実際には日本産業界はどの程度までの円高ならば耐えていけるというふうにお考えなのか。そのペースと水準というものを教えていただけますでしょうか。
  203. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私は以前、外国メディアの取材に遭いまして、これが引っかけ取材でありました。日本企業現状の為替レートで業績を引き続き上げ得るのかというような話で、そのときに、日本企業の為替の設定は一ドル平均でいえば百六円ぐらいで設定してあるから、当時幾らでしたか、百十円を切ったころでしたかね、企業が業績が失速するかという懸念は当たらないと言いましたら、日本経済担当大臣が為替は幾らぐらいが適当と言ったなんて、そんな言った覚えないんですけれども載りまして、そうしたら某国から、経済大国日本経済閣僚が適切な為替レートに言及するのはいかがなものかとクレームが来まして、為替の具体的な数字についてはコメントしてはいけないということになっておりますが、日本企業の輸出の想定はそういうことなんだそうです。  一般論として申し上げますと、円高あるいは円安等が我が国産業企業に与える影響というのはどうなのかと。昔に比べますと、海外生産比率が高くなっている。つまり、グローバルな生産体制が構築をされているとか、あるいは為替予約にかなり積極的に企業が取り組んでいるということでありますから、私から言えることは、以前ほどには為替の変動に対する影響は受けにくい体質になってはきているというところまでは言っていいんだというふうに思っております。
  204. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。難しい質問ではございましたけれども。  今、東京の株式市場で円高株安という状況になっている。これは、日本企業の多くが、あるいは産業の構造が輸出依存型であるがゆえに失望されているのではないかという見方がありますが、日本企業にはまだまだ底力があるんだということでございましたら、是非アピールをしていただきたいというふうに思います。  そして、もう一方で、企業のコストを今後圧縮していく上でもう一つ見守りたいのが、中小企業への転嫁がどう進んでいくのか、あるいは賃金コストへの対処がどうなっていくのかという点です。  今回、急激な円高によって大きく影響を受けたもう一つが私は春闘ではなかったかと思うのですが、円高が進むまでは、上場企業の経営者の一部には、いよいよこれではもうもたないぞと、このままでは消費を押し上げることができないというムードもあったやに聞いております。しかし、現実には、円高で昨年並みの状況でもよく頑張ったという賃金の改定になってしまいました。  そこで、円高以降の企業の賃上げの意欲というものをどのように御覧になりますでしょうか。  また、一つに、企業が利益を伸ばそうとするために賃金のコストを圧縮するのだけれども、それが結局消費を抑えることにつながってしまい、企業は利益を伸ばすことができないという、合成の誤謬ということが言われておりますが、その合成の誤謬が起きているというふうに認識をされていらっしゃいますでしょうか。
  205. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘いただいてきましたとおり、足下では賃金が伸びずに家計消費が横ばいで推移をすると。そういう中で、我が国の景気回復は足踏み状態にあるわけであります。  一方で、今後経済成長を続けていく中で、雇用が拡大をし、所得が増加をすることによって消費が拡大をし、それが更に企業の売上げの増加につながるという、言わば好循環が生まれるということが期待されているわけであります。それぞれの企業が、株主への利益還元、厳しい国際競争への対応、将来の成長に備えた設備投資の必要性等に直面する中で、中長期的に安定した企業業績を確保していくという観点から、経営者にはこういう好循環を進めるということに思いをはせてもらいたいというふうに今現在考えているところであります。
  206. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 消費の活性化ということでいうならば、賃上げが望まれる声が多いんですけれども、一方で、賃上げというよりも、今、派遣や請負で働いている方たちの正社員化を進めるということによって実は消費の活性化が実現されるのではないかという考え方もあります。  今回、デフレの中でもありながらも景気が拡大する局面において正社員が増えてきたかというと、決して、その伸びよりは非正規社員が増えてくる伸びの方が大きかった。かつ、その平均の所得を見れば、非正規社員の方たちの賃金の平均というのは三百万円程度あるいはそれ以下であるということで、そういう意味で、実は全体で見ると労働分配率が落ちているのではないかという見方もあります。  しかし、企業の立場に身を置いてみますと、人口が減少して高齢化が進んで、余り成長期待できないのではないかと見られている国内の市場に賃金として資金を戻すよりは、成長率が高いところ、例えば海外なのかどこなのかに投資をしたいのではないかということも理解できなくはないのですが、果たして消費の活性化ということを実現するために正社員化を促していくというおつもりがあるのかどうかということについて伺えますでしょうか。
  207. 中野正志

    ○副大臣(中野正志君) 企業の正社員化、これは昨年も大臣も各経済団体にいろいろ要請をいたしましたし、働きかけもいたしました。そういうことなどもあり、また世論の影響もありまして、結構大企業を始めといたしまして正社員化を発表いただく、非正規の社員の方々を正式に何年後に、あるいは何か月後にということで表明をいただく企業が多くなってきたということは大変幸いだと思っております。  やっぱり、非正規の社員の人たち、いろいろ頑張っていただいておりますけれども、正規の社員でないために年収がなかなか思ったほどにはいかないという現実もあります。それぞれの人が財布に一万円札、それなりに多くなるということは、もう個人消費を伸ばす、可処分所得おのずと伸びていくと、それはもう経済全体にとりまして大変いい形になるわけであります。まして、経済全体でいいますと個人消費は約六割を占めるわけでありますから、なおさら大事なことだと思っております。私たち、大臣の言葉を借りれば、家計と企業の所得移転の好循環、これを醸成できると、こう理解をいたしております。  ちなみに、経済産業省といたしましても、まずは経済の持続的な成長を図ることによる雇用全体の拡大に引き続き私たちは努力をいたします。平成二十年度は、産学人材育成パートナーシップということで約十八億円の予算を組ましていただいておりますし、また何よりも若者と地域産業の就職ネットワークの強化を図ることが大事だということで、平成二十年、若者・中小企業ネットワーク事業ということで、約十二億円の予算を投入をいたし、若年層の雇用機会の拡大を支援してまいりたいと、そう思っておるところであります。
  208. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  企業が今国を選ぶ時代ですから、企業の立場というものも、先ほど松村議員からお話がありましたとおり、例えば法人税について検討するなどサポートをしていただきたい。と同時に、国民は国を選べないということでございますので、双方、外側を回っている経済と中を回っている経済がうまく組み合わさって日本経済成長が更に維持されますように御尽力をお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  209. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。もう少しでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  先ほど藤末先生のお話で、OECDの東アジア版を目指すERIA東アジアアセアン経済研究センター設置のお話でございますけれども日本がスポンサーになってイニシアチブを取ってこれを、ERIAを設置した、私はまさに歴史が証明をしてくれる快挙であると、大臣のお話を大変うれしく伺った次第でございます。  ところで、先ほど、私は例のJAPAiNの特集のお話を申し上げましたけど、あそこで忘れられているのは一つだけあるなと。まさに、先ほど出ました底力、日本人は、あの戦後何もないところからここまでの日本を築いた、この底力のある国民性であります。そこは抜けているなと思う次第であります。  しかも、その中で特に、私は、生産力が多少落ちたりとはいえども世界に冠たる高品質の物づくり大国である、これはもう十二分にその実力はあるというふうに思っている次第であります。しかし、それを生かす意味で、事業力のある大企業と開発力のある中小・ベンチャー企業の連携、あるいは基礎研究に取り組める大学、そして地域、社会が連動すること、これが極めて重要ではないかと考える次第でございます。  アメリカではイノベーションを担う人材育成に大変熱心に取り組んでいるそうでありまして、例えば、学生が目的に合わせて大学院を選択できる奨励金、ポータブル・フェローシップというのを五千人分も用意をして、学生イノベーターですね、これを支援をしたり、小中高、大学は別にして、問題解決型学習の推進を通じて創造的思考、イノベーションスキルを啓発するなど工夫をしているわけでございます。また、国防総省の科学技術予算の二〇%を長期研究に振り向けて、基礎研究への取組を行っているということであります。  OECDが、経済指標だけでなくて、定期的に各国の児童の学習到達度について発表しております。各国の教育が、その国の経済的発展や国際競争力を担う人材を輩出できるものかどうかを推測させる物差しにしているのかなというような気もいたすわけでございます。これは、十五歳の年齢で到達度を調べているわけでございますけれども。  その点、我が国は近年、数学や読解力あるいは科学、あらゆる順位が落ちておりまして、少々心配になっております。しかし、先ほど申し上げましたとおり、知恵のネットワークを築くことで新たな力を生むことが期待できるのではないかというふうに思う次第でございます。  大臣も、これは所信でございますけれども、つながり力の強化、強みの突出、こういうこともおっしゃっておられました。今後、我が国の産学の連携をどのように促進をされるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  210. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 大学と産業界の連携につきましては、大学発ベンチャー千社のプランにありますように、大学から大学の知財が具体的なものになって出ていく。あるいは、大学と民間企業が連携をして、大学の研究を実用化、商品化をしていくというコラボレートが進んでいるわけであります。  あわせて、地域経済産業局の取り組んできている政策、私が地域経済産業局はまさにこれにすべてを懸けろと前から、閣僚になる前からずっと言ってきたことですが、それは産業クラスター構想でありまして、地域地域の大学や公設試と民間企業が連携をして地域発の新産業創造、新製品・新サービス創造ということに産学官連携で取り組んでいくスキームであります。  日本は今財政再建のさなかにありますから、湯水のごとく予算を使うわけにはいきませんので、今、日本国内にある資源の連携をさせる、コラボレーションとシナジー効果と言っておりますけれども、そういう日本の資源を、経営資源、研究資源を連携させて効果を上げていくということに中央ベースでも地域産業局ベースでも取り組んでいるところであります。
  211. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  まさに、コラボレーション、シナジー効果ということで、連携が大事というお話をいただきました。私、話しているともうどんどん時間がたっちゃいますので、申し上げたいことはいっぱいあるんですけれども、次に参りたいと思います。  ここからは教育の質問をさせていただきたいと思いまして、文科省に質問させていただきたいというふうに思いますので、どうぞ前の方にいらしてください。時間がありませんので、余り。  昨年十二月にOECDが発表した十五歳の学習到達度調査、PISAの結果でございますけれども、やはり技術立国としての将来の不安をちょっと感じるかなというところもあります。しかし、そうではないぞ、そんなことは関係ないと思っていらっしゃるのかどうか。まず、この結果を受けてどのように考えていらっしゃるのか、もし何かお感じになったとしたらあるいは改善策も考えていらっしゃるのかどうか、その辺をまずお伺いしたいと思います。
  212. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  先生御指摘のOECDのPISAの二〇〇六の調査結果でございます。  この調査自体は、義務教育で習得した知識というものを社会に出て活用する力がどのところまで付いているのかということを国際比較しようという調査でございます。  その調査の結果で、科学リテラシーにつきましては国際的に見てまだ上位にございますけれども、科学への興味、関心の割合が低いなどの課題が出てございます。また、読解力につきましてはOECD諸国の平均と同じような水準に下がっている状況でございますし、数学リテラシーにつきましてはOECD平均と比べてまだ高得点にございますけれども、平均得点は下がってきているという課題がございます。  今回の調査結果から、基礎的、基本的な知識、技能を実生活で活用する力というもの、それから学習に対する興味、関心が低いということを大きな課題として受け止めておりまして、学習指導要領という教育課程の基準の改訂にもそれを反映させようと努めているところでございます。  具体的には、基礎的、基本的な知識、技能を習得させるとともに、これらを活用する学習活動を各教科の場面で設定をする、そのために授業時数の増加を図ること。また、二点目として、すべての学習活動の基盤となる言語、言葉の力を高めるために、国語科を始めとして各教科において学んだことを記録する、それらを人に説明をする、あるいは生徒間同士で討論すると、そういう言語の活動の場面の充実を図ろうとしております。また、理数教育につきましても、特に指導内容の充実ということとともに、特に観察、実験の充実ということにも力を入れたいと考えています。さらには、一人一人の能力に応じた指導の充実というところにも取り組みながら、基礎的、基本的な知識、技能を確実に身に付けさせる、それらを活用する力を育成するということに取り組んでまいりたいと考えております。
  213. 松あきら

    ○松あきら君 今いろいろ御答弁いただきましたけれども、約一〇%程度の授業内容を増やすということかなと思いますけれども、この生きる力を身に付けさせる、非常に大事なことであるというふうに思っております。  しかし、この学力がおっこってきたのがゆとり教育のせいではないかと、こう言われておりますけれども、フィンランドが一位であると。ところが、フィンランドは試験がまずないんです。試験が全然ないと。けれども、それでまさに、先生は大学院卒業の先生ばかり、小学生から。そして、生徒は大体十数人の生徒で、考えさせる、いろんなことを。ですから、見方によっては多少ゆとり教育に近いような教育といっても外れではないかなという感じですね、いわゆる偏差値教育とはもうまさに懸け離れているわけでありますから。  ですから、学力低下の原因はゆとり教育と言えるのかどうかという、ここもなかなか難しいところ。この辺に対してちょっと短く、御答弁いかがでしょうか。
  214. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) そこは先生御指摘のとおりで、ゆとりというのは手段であって、それで時間的なゆとりを活用して一人一人の子供で十分理解できていない子供には基礎的な知識を繰り返し指導して身に付けてもらう、あるいは十分理解できた子供には更に高いところを学んでもらうと。  そういう考慮をして一人一人の能力を伸ばすという発想で取り組んでいくことを今回も目指しておりますので、そのための条件整備につきましても、教員の数を増やすなり教材をきちっと整備するなりという取組は積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  215. 松あきら

    ○松あきら君 先生の働く時間が、日本は授業時間は最も少ないんだそうです、授業そのものが。それ以外の仕事の時間が多いんです。ですから、雑用、実務、あるいは先生やらなきゃならないのは、もちろん授業もそうですけれども、事務。しょっちゅうテストしますから、点数付けるのも大変。それから、生活指導もしなきゃいけない、部活も教えなきゃいけない。もう、いわゆる授業以外の雑務が非常に多いというんですね。例えば、アメリカなどでは教員以外の専門スタッフが四六%もいるわけです。日本は教員以外のスタッフが二四%と非常に少ないんです。  私は、単に教師を増やす云々というよりも、こうした例えば事務の専門職を増やす、あるいは今読書が非常に大事だと言われています、こういう司書の先生方も増やさなきゃいけない。あるいは、例えば総合学習も、私が思いますのに、多分文科省も、最初から総合学習というのはこうあるべきだというのをお考えだったかどうか分かりませんけれども、多分、ここで先生方がいろいろ勉強して、個々に更に子供たちに力を付ける授業をやってくれる、それが総合学習だというふうに考えていらしたんじゃないかなと思うんですけれども、先生方が総合学習で勉強する時間がない。ですから、何か、どこかから何か拾ってきてちょっとやっておけばいいかなとか体験学習にしちゃおうとか。そういうことで、なかなか総合学習も多分文科省の考えていたようなふうにはいかなかったんではないかと私は思うんですね。  今、ボランティアであるとかあるいは社会人の先生、これも大事だと思いますけれども、私は、さっき申し上げましたように、例えば大学院を出た人が今仕事がないというか、准講師とか准教師とかなかなか、みんな詰まっていますから、ないんですね、大学院出た、あるいは博士になっても。ですから、そういう小学校でも大学院を卒業した教師をきちんと採って、いい授業をしてもらうと。あるいは、四十人学級でもいいけれども、それぞれの能力に合わせた個別の人数に分けて授業をすると。そういうために私はしっかりとお金を使うべきだと思うんですけれども、この点についていかがでございましょうか。
  216. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) 御指摘のとおり、教員の多忙化という実態は教員の勤務実態調査からも出てきておりまして、超過勤務の時間が長いこと、あるいはデスクワーク的な時間、事務負担が多いという実態がございます。  そのために、学校としての教職員の体制の整備という大きな課題はございますけれども、まずは、平成二十年度の予算におきましては、一つは教職員定数の改善ということを図っているところでございます。それで、できるだけ学校のマネジメント能力を高める方向に使いながら、学校としての教職員の負担の軽減につなげていきたいということが一つございます。  それから二つ目として、非常勤講師七千人という予算もお願いしておりまして、この点につきましては、外部の方々、大学院のOBの方々あるいは社会人OBの方々に積極的に学校に入ってきていただいて、子供たちの指導面あるいは部活動の指導あるいは不登校への指導など、幅広く学校においてお力を発揮していただきたいと、そういう対応も取りたいと思っております。  もう一つは、学校支援地域本部を全国千八百か所に設置することによりまして、地域の大人の方々に学校教育の内容に入ってきていただいて、学校の支援活動、例えば部活動ですとか学校の環境整備、あるいは総合的な学習の時間も含めまして、地域の大人の方々に学校の教育活動に協力をいただいて子供たちの学びを豊かにするという方向を取りたいと思っております。
  217. 松あきら

    ○松あきら君 千八百か所の支援本部ですか、これ、今私は初めてちょっと知ったんですけれども、非常にいいことではないかなというふうに思います。  ただ、私個人的には、非常勤も大事ですけれど、やっぱり常勤の人を増やすことが本当は肝心ではないかなというふうに思うわけでありますけれども、何分にも予算ということがあってなかなかそういうわけにもいかないんだとは思いますけれども。  今、モンスターペアレンツという言葉がこのごろ出ておりまして、保護者の身勝手な要求や無理難題のためにうつ病になる教師が急増しているという困った問題がありまして、片や給食費は払わないと。それも、ちゃんといろいろな事情でお支払いできない人にはそういう対策があるんです。でも、そういう、申し込んでいただくんじゃなくて、お金はあるんです、ちゃんと。だけど、何で払わなきゃいけないのと、そんなもの国が持つのが当然よとか、あの人も払っていないんだからいいでしょうとか、こういう感じで払わない人がいる。そういうことで先生が授業に専念できない状況になっている。これに対してどういうお考えがおありか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  218. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  最近の学校の実態として先生御指摘のモンスターペアレンツという実態も生じているところでございますが、基本的には、保護者への対応はまず学校、そして教育委員会が保護者あるいは地域住民からの要望をしっかり受け止めると。真摯に対応することが基本であるとは考えてございますが、一方で、理にかなわない要望を行う保護者に対しましては毅然とした態度で臨み、要望にこたえられないことを十分に説明することが求められると。そのためには、教師を孤立させずに、校長先生のリーダーシップでありますとか教育委員会としての窓口になったりする学校に対する支援と、それから器物破損など悪質な場合には警察などの関係機関との連携を図るというような幅広い取組が必要であろうと思っております。
  219. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  フィンランドは読書の国であるそうでございます。国民の約八〇%が日常的に図書館を利用している。一人平均年に十二回図書館を訪れて約二十冊の本を借りると言われておりまして、公共の図書館が充実して本が身近にある環境があるわけでございます。  私も以前、文科に属しておりますときに、子供たちの学校図書館の本の蔵書の予算を付けました。今もこれ引き続いてやっているんだと思うんですけれど、でも、なかなか交付金でございますので、これが例の出産の費用と同じように色が付いていないということで使ってもらえない、こういうことになっておりまして、なかなかお寒いような状況でありました。  これについて、今学校図書館の整備の達成率、短くお願いします。
  220. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  文部科学省では、学校図書館図書標準というものを定めておりまして、その図書標準を達成している学校の割合が平成十七年度末時点で小学校では約四〇%、中学校では三五%という実態でございます。  このために、地方交付税措置によりまして学校図書館図書整備五か年計画というものを定めて、単年度で二百億、総額一千億の五年間計画で整備を進めようとしておりますが、その実態として、都道府県によるばらつき、格差がまだまだ大きいという実態がございますので、都道府県、市町村の取組状況も公表をしながら、格差がないように各学校が適切に図書の整備されるように推進をしてまいりたいと考えております。
  221. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  文科省の答弁がつまらないなと私はさっきから聞いておりまして、うまく言えないんですけれども、私は、実は教育というのは将来の公共事業だと思っているんです。人づくりというのは本当に大事だと。だって、すべて人がやるんですから、経済も金融も環境も何もかも。ですから、私は、この人づくりというものにきちんと将来的な展望を持ってお金を掛けていくということはとても大事であるというふうに思っているんです。  文科省もいろんな思いはおありなんでしょうけれど、何というか、もう少しいろんな発想に富んだ答弁なんかもしていただきたいなと。私も思うことはもういっぱいあるし、応援したいんですけど、何となくいつも形にはまったお答えなので、ちょっとつまらないなという感想でございます。  ともかく、是非私は、これは子供たちの将来のために、日本の将来のためにしっかりと公共事業だという認識を持って取り組んでいきたい、そしてそれも皆様にお願いしたいと思っております。  以上でございます。ありがとうございました。
  222. 松下新平

    ○松下新平君 大変お疲れさまでございます。簡潔にまとめますので、もうしばらくお付き合いお願いいたします。  来年度の経済産業省予算として一般会計で、これは特会繰入れを含む金額ですけれども、一兆円台をキープされております。特に、シーリングによる削減の中で、中小企業対策に前年比三・五%増の一千三百四億円を計上されているということで、大臣も先ほど答弁の中で触れていらっしゃいました体感温、戦後最長の景気回復とは裏腹に厳しい中小企業の実態、そこら辺を配慮いただいたということに敬意を表したいと思います。是非有効にこの予算を活用すべきだと、委員会としても注視してまいりたいと思っております。  今日、農商工連携という話題が午前中から何回かございましたけれども、その議論を踏まえて、私、感じたことを率直に申し上げますと、三年間農水の委員会で私も活動してまいりましたけれども、農水サイドから見るとFTA、EPAはかなり厳しいという状況でした、実際。容易なことじゃないというのが率直な感想でしたけれども、今日の大臣の御答弁の中に、産業的思考でこの農商工連携を考えたときに一つの大きな展開が期待できると。一つのモデルになりますので、是非御期待を申し上げるわけでございます。  農水の中では所得、農業所得の問題ですね、そして食料自給率、これがもう、いろんなきめ細やかな施策はあるんですけれども、なかなかうまくいかない、八方ふさがりの状態なんですけれども甘利大臣のリーダーシップでこの農商工連携がうまくいきますと、農政の方も大変な評価がありまして、困難と言われたFTA、EPAも前向きに進むんじゃないかと思っておりまして、たくらみではなくて結果としてこのEPA、FTAがうまくいくことを大変期待をしております。  今日は十時から昼食を挟んで六時間にわたる審議、お疲れさまでした。来年度、経済産業省、まだまだ厳しい実態もございますけれども、この予算が有効に使われますことを委員の一人として、また執行部としてきちっとまた予算の執行をいただくことをお願い申し上げまして、御答弁は結構でございます、質問に代えさせていただきたいと思います。
  223. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 以上をもちまして、平成二十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち公正取引委員会経済産業省所管及び中小企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会