○藤末健三君
民主党・新緑風会・
国民新・
日本の藤末健三でございます。
先ほど松
議員からJAPAiNという話がございまして、私もあれを読まさせていただきました。エコノミストの中身を見ますと、一番
印象に残りましたのは、この十年間の
日本の
経済的な停滞というのは政治家の
責任であると、で、歴代首相の写真が載っているんですね。
確かに今、混乱という話がございますけれ
ども、私は、やはり今我が国に求められているのは何かというと、政治が
責任を持って変えることではないかというふうに思っています。
私はやはり、今
民主党でいろいろな活動をさせていただいていますけれ
ども、今変えなければ恐らく我が国の方向を変えることはできないんではないかと。混乱は生じるかもしれませんけれ
ども、変えなきゃいけないというのが私の思いでございますので、何とかして一歩として、道路しか使えない財源をほかのものに使えるようにする、歳出を変える、そして暫定税率をなくし、歳入を変える、そして国を変える一歩ということをやっていきたいと思い、今いろいろ仕事をさせていただいています。
私は、またそのJAPAiNという話につきましては、もう
一つございますのは、政治の
責任もありますけれ
ども、私はやはり国家公務員の方の
責任もあると思います。それは何かと申しますと、余りにも政治家の言うことに従い過ぎるのではないかということでございます。実際に私が今、国交省の問題、いろいろなものをやっていますと、我々
民主党の方に余り資料が出ないという
状況でございまして、余り十分な対応をいただいていない。
国家公務員の方々は国家公務員法で身分が保障されているわけですから、やはり何党がどの
政権を持つということを別にして超然として国益のために仕事をしていただくということを是非やっていただかなければ、我が国の政治、そして
政府は成熟しないんじゃないかと思っております。互いに
責任があるのではないかというふうに思っております。
私は、
経済産業省の
予算の方に話を移らさせていただきますと、細かい
予算の内訳はさておきながら、今やはり
経済産業政策を大きく転換するべき時期に来ているのではないかと思っております。
一つは、
経済産業政策も非常にいろいろ工夫はしていただいてはおりますけれ
ども、昔と余り変わらない枠組みの下、進められているのではないかというふうに見えます。そして、もう
一つございますのは、
エネルギー、
環境の政策、それもやはり既存の枠組みの拡大という形に見えてしまうと思っています。
現在、
産業政策につきましては、地域はもう疲弊している、多くの方々から御意見がございましたが、地域は疲弊し、
中小企業もどんどんどんどん数が減り、先月の
中小企業、特に零細
企業の倒産件数を見ますと、一千万円以下の借金で倒産した小規模の
企業の数は何と前年比四〇%増し、三九・七%増しとなっています。急激に増えている。そして、
原油の値段が上がり、そして原材料費が上がり、材料費の高騰を
価格に転嫁できない
中小企業の数は九割という
状況。ほとんどが原材料の高騰を
価格に転嫁できないという
状況の下にどんどんどんどん苦しい思いをしているという
状況でございまして、本当に
中小企業政策が今のままでいいのかどうか、そして地域政策が今のままでいいかどうかということは今大きく転換するときに来ているのではないかということを問題意識として申し上げたいと思います。
また、
エネルギー、
環境問題につきましては、これだけ石油の値段が上がり、もう三年間で三倍四倍と、これからまだ上がると言われている
状況の下、
原油価格の上昇率だけを見ますと一九七三年のオイルショックよりも大きいという
状況でございます。そしてまた、今地球
環境問題で我が国がサミットの議長国となっている中、私は、石油ショックのときにムーンライトプロジェクトやサンシャインプロジェクトといった新しいプロジェクトをつくり、新しく省エネ法も一気に改正してしまったというような、大規模な政策の転換を図る最大のチャンスではないかと思っております。ですから、ちょうど野球でいうと、ど真ん中にボールが来たのに何か打てなかったような感じではないかということを危惧しております。
まず、
経済産業政策について御質問をする前に、お手元に資料をちょっと配らさせていただいております。これは多くの
議員から指摘がございましたけれ
ども、今、大
企業が非常に大きな利益を上げているにもかかわらず、まず
一つは
中小企業には利益が落ちていないということ、そしてもう
一つ、労働者に利益が落ちていないということ、それは何かということを
自分なりに
考えてみた資料でございます。
まず、一ページ目の上の方にございますのは、これは
アメリカのデータです。これは
アメリカで八〇年代、九〇年代において上場した
企業が自社株買い、どれだけの株を買い戻したかということをデータで見たものでございます。例えば二〇〇六年になりますと六百ビリオンUSダラーでございますので、約六十兆円の株を自社に買い戻したというデータです。これはなぜ自社の株を買い戻すかといいますと、
自分の会社の株価を上げるためでございます。じゃ、なぜ
自分の会社の株価を上げなきゃいけないか。それは経営者が株主から評価されるためという形です。実際に
アメリカの経営者の多くはストックオプションといって株価連動の報酬でございますので、株価を上げればそれだけ経営者の報酬は高くなるという仕組みになっていますので、何があっても株価を上げていく。で、起きたのが何かと申しますと、リストラというか雇用者の数をどんどんどんどん減らし、正規雇用者の数を減らし、それで上がった利益で株を買い戻す、そして株価を上げて
自分たちの給料を増やすというのが、
アメリカが九〇年代から起きた
現象です。
では、
日本がどうかという話を申し上げますと、一ページの下にございますのは我が国における自社株の取得の額でございます。これは
平成十七年までしかございませんけれ
ども、もう六兆円、七兆円を超しているという
状況でございます。これからどんどんどんどん増えるだろうと言われておりまして、
日本の
企業でさえも株価を上げるために自社の株を買い戻すということに走っているというデータ。
二ページ目の上を見ていただきますと、何かと申しますと、これは配当ですね。株価の維持するために配当にどれだけ
日本の
企業が向いているかというデータでございまして、少し古いデータしかございませんが、二〇〇五年度東証一部上場の配当総額は前年比三三%増の約五兆七千億円ということでございます。また、自社株買いもどんどん増えているということで、
日本の
企業もだんだんだんだんと株主のために株価を上げるという方向に動いているということが御理解いただけると思います。
実際に、この二ページ目の下は何かと申しますと、これは
アメリカの上場
企業のトップ、CEOの報酬が
一般社員の平均給料の何倍の収入を得ているかというものでございまして、二〇〇一年を見ると何と五百倍になっていると。ですから、
アメリカの
企業のトップは
一般社員の五百人分の給与をもらっているというのがデータでございます。
日本の方をちょっと調べてみましたら、大体
日本は十倍から二十倍ということだったんですが、推定値としてここ五年間で数倍に跳ね上がっているというデータもございまして、だんだんだんだんとこの
アメリカ型を追い掛けているんじゃないかと。
あと、三ページ目でございますが、これは労働分配率がこの二〇〇〇年に入ってから落ちているというデータが上にございます。七五%ぐらいあったものが六五%ほどまで落ちていると。一方で大
企業は利益をどんどんどんどん高進しているという
状況。
そして、下がこれは
中小企業、資本金別の利益率の推移でございまして、資本金が一億円以上の
企業はだんだんだんだんと経常利益率が上がっているものの、資本金が一千万円未満の
企業は利益率が落ちているというデータでございまして、大
企業が、何が起きているかと申しますと、まず
企業の経営者が株価を上げるために利益を作らなきゃいけないと。その利益はどこから出ているかと申しますと、
中小企業、下請なんかの
企業から吸い上げているものと、もう
一つは、本来であれば労働者に行くものが、労働分配率を落とし、正規雇用じゃなく非正規雇用の人たちを増やし、利益を上げていると。その利益は自社株買いや又は配当という形で資本家の方に行っているというのがこのデータでございます。
この話はなぜこう思ったかと申しますと、事務次官が一月にお話をされていまして、私は講演の内容を読ませていただきまして、私は
自分と同じことを
考えておられるなと思いました。短期的に投資をする株主が
企業の動向を決めてしまうという形が本当にいいかどうかということをこれから議論しなきゃいけないんではないかということでございます。
私が
大臣に是非お願いしたいのは何かと申しますと、今、この十年ぐらいで
アメリカを追う形でどんどんどんどん会社法を改正し、MアンドAも制度も変えていき、そして株の制度も変えていきということで、制度を
アメリカに合わせて変えてきたわけでございますけれ
ども、私は今、株主に偏重したこの会社のシステムをやはり変えるべきじゃないかと思っています。
一つは、やはり会社というのは社員のためにあると。そしてまた、系列というわけではございませんが、関係する
中小企業のために会社はあるんだというような仕組みを今こそつくるべきではないかと思っておりますが、
大臣のちょっと御
所見をお聞かせいただければと思います。