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参考人(
渡辺博史君) お答え申し上げます。
最初の
為替市場に対する介入の件でございますけれども、私
自身、介入というのは大きく分けて三つの種類があると思っておりまして、
一つは、例えば九月十一日のようなことが起こった場合に非常に大きくマーケットが揺れたとき、これを
市場参加者に対して
悪影響を与えないためにどうするかという
意味での、ある
意味での救済的な介入。それから二つ目は、そこまでは至りませんけれども、何らかのことをきっかけに非常に大きく揺れてマーケットが不安定になっているというときに、その振幅をなるべく小さくする、俗にスムージングオペレーションと言われているものがありますが、これが二つ目。それから三つ目は、時々主張される方がいるわけですが、水準を設定するための為替介入とあるわけですけれども、私はこの
最後の水準設定のための介入ということは本来の介入の趣旨を外れているというふうに思っているわけであります。
いずれにせよ、どういう水準にいつ決まるかということについては、今や膨大な取引が行われているマーケットに対して、それに対して手を入れるということは非常に危険が伴いますし、それから、いろんなほかの
政策も同じでありますけれども、入っていくときにはいつやめるのかという
覚悟がなければいけないということからいいまして、そういう水準設定については私はやるべきではないと前から思っていたわけでありますが。
ただ、そのスムージングオペレーションのようなことについては、ある日突然急激に円がドルに対して上がるということが起こった場合には、そこにたまたま輸出決済あるいは代金決済がありました人たちに大きな
影響を与えるわけでありますから、そういうことについての
対応というのはあってしかるべきだというふうに思っております。
三年間私がやれなかったことは事実でありますが、実は私の前に、既に三月からやめておりました。私は七月に就任していましたので私がやめたわけではないということでありますけれども、その前段階におきましては、やっぱり
アメリカの
経済の動きとそれから地政学的な中東の動きというのが非常に大きく絡まっておりまして、それがマーケットを揺らしていまして、一番典型的なのは、
アメリカのGDPやあるいは雇用の数字がいいというのが発表されましたが、同じ日にバグダッドで爆弾が爆発したということになるとドルが安くなると。こういうのは
市場参加者に予見が不能なわけでありますから、そういうことについてどう
考えるかという
意味でのスムージングオペレーションはあり得たと思っておりますが、幸いに私が着任してからは
アメリカの
経済も比較的順調でありましたし、日々の動きはありましたけれども、大きく値崩れをするといったような兆候にはなかったということから、幸いにも私は
市場に出ていかなくて済んだというふうに思っているところであります。
それから、二番目の日銀と大蔵省あるいは
財務省との
関係ということでありますが、日銀法の四条の
関係で申し上げれば、整合性を持たなければいけないと。これは、
経済政策全体の中でそれぞれが自らの得意とする部分について議論をしていくわけであります。先ほど
白川候補者からもありましたように、例えば
政策決定会合でも様々な御
意見を持った方の
意見を集約していくということが必要でありますから、政府と
中央銀行との間でも異なった点に立ちまして、それぞれの識見それから
判断を闘わせて、それで最終的な結論を持っていくという
意味での切磋琢磨が必要であると思っています。
ですから、そういう
意味では、ある
組織がある
組織に対して優越する、あるいはある
組織がある
組織に対して従属すると、そういう
関係をつくるのではなくて、それぞれが
自分の得意とする分野あるいは
自分が
責任を持つ分野についてどれだけの識見を持ってお互いに
対応していくかという中で本来の一番いい
経済施策ができるというふうに思っているわけであります。
それから、天下りの件につきましては、定義の問題もありまして、日銀の
総裁、副
総裁というポストが下っていくというふうに私はなかなか
思い難いところがありますけれども、特定の省庁が特定の機関に対して常に何らかのポストを持っているということについて御懸念があるということについては私も理解をしているところでありまして、そういう点についてなるべくオープンな形での人選をするということが必要であるということは私は
考えているところでございます。
私がそれに該当するかどうかということにつきましてはもう
委員各位の御
判断だと
思いますので、それ以上の答弁は差し控えさせていただきます。