運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-03-11 第169回国会 参議院 議院運営委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月十一日(火曜日)    午後二時開会     ─────────────    委員の異動  二月六日     辞任         補欠選任         森 まさこ君     西田 昌司君  三月十日     辞任         補欠選任         青木  愛君     大塚 耕平君      川上 義博君     辻  泰弘君      室井 邦彦君     大久保 勉君  三月十一日     辞任         補欠選任         大久保 勉君     大石 正光君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         西岡 武夫君     理 事                 池口 修次君                 小川 勝也君                 榛葉賀津也君                 岡田 直樹君                 世耕 弘成君                 山下 栄一君     委 員                 大石 正光君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 今野  東君                 佐藤 公治君                 辻  泰弘君                 那谷屋正義君                 直嶋 正行君                 中村 哲治君                 松野 信夫君                 礒崎 陽輔君                 神取  忍君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 長谷川大紋君                 丸川 珠代君                 山内 俊夫君                 義家 弘介君                 山本 博司君    委員以外の議員        議員       仁比 聡平君        議員       渕上 貞雄君         ─────        議長       江田 五月君        副議長      山東 昭子君         ─────    事務局側        事務総長     小幡 幹雄君        事務次長     橋本 雅史君        議事部長     東海林壽秀君        委員部長     諸星 輝道君        記録部長     富山 哲雄君        警務部長     井高 育央君        庶務部長     古賀 保之君        管理部長     中村  剛君        国際部長     高橋 邦夫君    参考人        日本銀行総裁候        補者        日本銀行総裁  武藤 敏郎君        日本銀行総裁        候補者        京都大学公共政        策大学院教授   白川 方明君        日本銀行総裁        候補者        東京大学大学院        経済学研究科教        授        伊藤 隆敏君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本銀行総裁及び同副総裁任命同意に関する  件 ○明日の本会議議事に関する件     ─────────────
  2. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) ただいまから議院運営委員会開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本銀行総裁及び同副総裁任命同意に関する件のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁候補者日本銀行総裁武藤敏郎君、日本銀行総裁候補者京都大学公共政策大学院教授白川方明君及び東京大学大学院経済学研究科教授伊藤隆敏君の出席を求め、所信を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 次に、日本銀行総裁及び同副総裁任命同意に関する件を議題といたします。  候補者から所信を聴取いたします。  まず、武藤敏郎さんからお願いいたします。武藤敏郎さん。
  5. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 武藤でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  本日は、日本銀行政策業務運営につきまして私の所信を述べる機会を賜り、大変光栄に存じます。  私は、五年前の平成十五年三月に日本銀行の副総裁を拝命いたしました。当時、日本経済は、デフレスパイラルに陥りかねない危機的な状況にありましたが、その後この難局を脱し、緩やかながらも息の長い成長軌道をたどっております。その背景には、世界経済の拡大という追い風もございましたが、何より民間の方々の血のにじむような努力によって、企業過剰債務過剰設備など、様々な構造問題が解消した成果であると思います。日本銀行は、量的緩和政策を含めて極めて緩和的な金融環境を整えることで、こうした動きを積極的に支援してまいりました。  しかし、現在、日本経済は、内外共に多くのリスク要因を抱え、極めて重要な局面に立っております。海外では、昨年夏の米国サブプライムローン問題に端を発した国際金融市場の動揺が続いており、米国経済減速傾向を一段と強め、世界経済のダウンサイドリスクが高まっております。一方、原油や穀物など国際商品市況高騰を続けており、多くの国でインフレリスクも存在しております。国内を見ても、改正建築基準法の施行に伴う住宅投資の落ち込みに加えて、エネルギー・原材料高などを背景とする中小企業収益環境の悪化、生活関連物資の値上がりなど、リスク要因が少なくありません。  このように内外情勢が厳しさを増す中にあって、日本経済が更に息の長い成長を続けていくことができるかどうか、日本銀行は難しい政策かじ取りを迫られていると考えております。私は、日本経済には、現在の難局を乗り切り、成長を続けていく基礎的な力が十分あると思っております。ここ数年で企業の体力や金融システム安定性は格段に高まり、経済の体質は強靱になっております。また、日本企業は高い技術力を持ち、グローバルな市場の中で確固たる地位を占めております。私は、日本経済潜在成長力の強さを確信しており、その力を遺憾なく発揮できるように適切な政策運営に努めてまいりたいと存じます。  金融政策運営に当たりましては、内外経済金融情勢に幅広く目を配り、先々をできるだけ正確に見通すことが基本となります。経済の不確実性が特に高い現状では、一つの見通しだけでなく、上下両方向リスク要因をつぶさに点検していくことが大切であります。リスク要因の中には、起こる可能性は必ずしも高くなくとも、いったん生じれば経済に大きな損失を及ぼすものもあります。したがって、政策運営に当たっては常に予断を排し、経済物価情勢分析を多角的かつ徹底的に行った上で、必要な政策は果断に実行していかなければなりません。このような綿密な情勢分析と機動的な政策運営を通じて、長い目で見た物価経済の安定に貢献していきたいと考えております。  また、私は、金融政策運営に当たっては、透明性の向上と国民市場とのコミュニケーションが極めて重要であると認識しております。このような考えの下で、国民皆様信任をいただくよう努め、日本銀行独立性をしっかりと確保してまいりたいと思っております。  また、金融市場金融システムの安定を図っていくことは、日本銀行の重要な役割であります。今般の国際金融市場の混乱の際にも、日本銀行は、金融機関実態把握金融市場への資金供給を迅速に行うとともに、他国の中央銀行に対しても多くのアドバイスを行いました。日本銀行が過去の金融不安の下で磨いてきたノウハウや金融高度化に対応しながら蓄積してきた知識は、日本にとりましても、また世界にとりましても貴重な財産であると思っております。  また、日本銀行は、銀行券の流通や日銀ネットの運行など日本決済システムの中核を担っております。こうした業務が日々円滑に行われるようにしていくことも極めて重要であります。日本銀行がその目的を十分に達成するためには、金融政策運営と並んで、信用秩序維持業務の円滑な遂行、そしてこれらを支える効率的な組織運営など、これらのすべてを有機的に結び付け、中央銀行としての総合力を発揮させることが必要であります。  私は、これまでどのような職にあるときにも、与えられた役割全力を傾けるよう自らを律してまいりました。日本銀行にありましては、何より日本銀行法理念に忠実に、また、ただいま申し述べましたような日本銀行の持つ総合力を十全に引き出し、日本経済に貢献していくことが私の任務であると考えてまいりました。日本経済が極めて重要な局面にある中で、これまでの経験を生かす機会を更に与えていただくこととなれば、全身全霊を尽くして職務に邁進したいと考えております。  御清聴ありがとうございました。
  6. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 次に、白川方明さんにお願いいたします。白川方明さん。
  7. 白川方明

    参考人白川方明君) 白川方明でございます。よろしくお願いいたします。  本日は、所信を述べる機会を与えていただき、光栄に存じます。  私は、平成十八年七月から京都大学公共政策大学院で学生の教育に当たっています。それ以前は、日本銀行に三十四年間勤務し、最後の四年間は理事として、担当した金融政策金融市場決済システム等の面で総裁、副総裁補佐するとともに政策業務執行に当たりました。  日本銀行使命は、日本銀行法に規定されていますように、物価の安定と信用秩序維持を達成することであります。経済が安定的に発展する上でこの二つは必要不可欠の基盤です。それだけに、日本銀行に負託された使命は誠に重大であると認識しています。  仮に副総裁を拝命することになりました場合、副総裁の果たすべき役割ですが、日本銀行在職中に総裁、副総裁仕事の仕方を傍らで見ていたときの経験も踏まえて申し上げますと、副総裁の第一の役割は、総裁をしっかり補佐することであると理解しています。総裁補佐という点では、金融政策だけでなく、中央銀行としての様々な銀行業務執行という面での補佐も重要です。銀行券国民に安心して利用されること、様々な事故や災害が生じても決済が安全に迅速に行われること、金融システムの安定が脅かされるときには最後の貸し手として流動性を供給すること、そのために、考査等を通じて金融機関状況を的確に把握することを始め、日本銀行日本金融システムを支えるために様々な業務実務を行っています。  さらに、これらの仕事と並んで、組織運営の面での補佐責任も大きいと認識しています。組織は人であり、このことは日本銀行についても全く同様であります。この点、日本銀行に長く勤務した経験を生かし、職員の顔を思い浮かべながら、モラールを高め、専門的能力が最大限発揮されるような職場づくり努力するとともに、公的機関として組織運営効率化に取り組む必要があると認識しています。  第二の役割は、政策委員会のメンバーの一員として、委員会での決定に貢献することであります。その際、日本銀行という組織に蓄積されている知識決定判断材料として適切に提供されるように配慮することが私に期待されていると理解しています。  次に、金融政策面課題について簡単に申し述べます。  足下日本経済を見ますと、米国経済の急速な減速建築基準法改正の影響を受けた住宅投資の減少、輸入コスト上昇による企業収益家計所得の圧迫といった景気下押し、ないし不確定要因が増加しています。このような状況の下で、物価安定の下での持続的成長を実現していくことが金融政策課題であります。  言うまでもなく経済の先行きは不確実性に満ちており、それだけに、いつも謙虚な姿勢で幅広く情報収集に努めることが求められています。判断に当たっては、金融政策効果波及のタイムラグは長いこと、金融実体経済の間には複雑な相互依存関係があることから、足下動向だけでなく中長期的なリスクについても十分な目配りをする必要があると考えています。その上で、独立性透明性という、日本銀行政策運営を律する基本原則をしっかり踏まえて判断し行動するように努力いたします。  日本経済金融が大きな変化に直面している中で、私が日本銀行仕事をする機会が与えられることになるとすれば、全身全霊を傾け職務に誠実に取り組みたいと考えております。  御清聴をありがとうございました。
  8. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 次に、伊藤隆敏さんにお願いいたします。伊藤隆敏さん。
  9. 伊藤隆敏

    参考人伊藤隆敏君) 伊藤隆敏です。よろしくお願いいたします。  今回、日本銀行の副総裁に指名され、この場で所信を述べる機会を与えていただき、感謝しております。  まず、日本銀行のあるべき姿、果たすべき役割について、私の考え方を述べさせていただきます。  まず、世界中央銀行の大きな流れの中での日本銀行という見方から、金融政策目標について考えてみたいと思います。  中央銀行の最大の責務物価の安定であることは、多くの国の研究者政策担当者の間で認識が共有されるようになりました。この場合の物価の安定ということでありますが、これは中期的に、つまり数年を平均するような概念で見て、インフレ率が低いけれどもマイナスではない、一定の範囲内に収まっているという意味であると考えております。さらに、中央銀行がそのように物価の安定を図っているというマーケット関係者信任期待が得られるということが極めて重要だと考えております。つまり、物価の安定というときには、実行と期待、この両面が重要であると考えております。  この点から、私は、日本銀行法第二条にあります「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」ということが、非常に適切な表現であると考えております。  次に、日本銀行独立性についてお話ししたいと思います。  日本銀行は、一九九八年に施行されました日本銀行法によりまして法律的な独立性を付与されました。日本銀行は、金融政策を自身の判断に基づいて行うことができるという意味での独立性を与えられているということは、そこで下す判断について、十分に透明で説得的な説明を行う責務があるとともに、結果についての説明責任を問われるということだと理解しております。日本銀行総裁、副総裁は、政府マーケット、ひいては国民全員、さらには海外投資家政策担当者に対して、日本金融政策目的経済状況現状と予想の認識、適切な金融政策手段を説得的に説明することが必要です。  このように、独立である日本銀行は、透明性説明責任をどのように改善するかという課題を負ってきました。この点について、これまで私は金融政策中央銀行制度についての研究者という立場で外から観察してまいりました。日本銀行は、一九九八年四月以来、透明性説明責任について様々な改善を行ってまいりました。十年前に比べると今の体制は大きく前進していると思います。しかし、まだ完成の域には達していないと考えております。詳細な議論は、時間の制約のため省きます。  今後も改善策模索していくことになると思いますが、その議論に積極的に副総裁として参加してより良いものを目指していきたいと考えております。  先ほど説明しましたように、中央銀行の法的な独立性の規定は、ほかの先進国及び多くの新興市場国でも一九九〇年以降相次いで導入されてきました。その理由は、既に述べたとおり、透明性説明責任マーケットとの対話に非常にこれが重要であるという理由があります。ただし、各国ともそれぞれの事情に合わせて金融政策枠組みを考えていることはもちろんでありまして、日本世界金融政策の実践と知見の長所を取り入れつつ、より良い枠組みを探し続けるべきであると考えております。  諸外国では、この透明性説明責任マーケット期待安定化のためにインフレ目標政策を採用するところが多くなりました。例えば、イギリスとスウェーデンでは二%プラスマイナス一、カナダ、ニュージーランドでは一から三%という目標を設定しております。オーストラリアでは景気循環の期間を平均して二から三%としております。  ECBヨーロッパ中央銀行では目標と呼ばずに参照インフレ率と呼んではいますが、これは二%以下、ただし二%に近い数字と表現しておりますので、〇%は排除されていると思います。  アメリカ中央銀行に当たります連邦準備制度及び金融政策重要決定を行う連邦公開市場委員会、FOMCではインフレ目標を掲げていません。しかし、研究者の間では、グリーンスパン議長時代より一—二%、一から二%を目指しているということは市場に浸透しているという評価がされております。  したがって、先進国の中で下限が〇%の国はありません。また、インフレ目標の導入、あるいは導入しない場合の透明性の確保について、各国模索を続けているわけであります。日本も、先ほど御説明したとおり、同様の模索を続けていると考えます。  一点、誤解を招くといけませんのでインフレ目標政策について補足いたします。インフレ目標政策というのは、インフレを引き起こすことを目的にする政策ではありません。インフレ率を低位だがマイナスではない範囲に抑える政策だと理解しております。決して、インフレ率をどんどん引き上げて、例えば五%以上にして何らかの政策効果をねらうということは全く意味しておりません。  次に、日本経済世界経済現状金融政策課題について私の考え方をお話ししたいと思います。  世界経済は、アメリカのサブプライム問題に端を発した信用の収縮、その結果としての生産活動の低下、つまり不況のリスクの高まりという第一のショックと、中国やインドの需要増背景にした石油を代表とする資源関連の価格の高騰という第二のショックに同時に見舞われています。一番恐れられているシナリオは、成長率鈍化一般物価上昇の組合せ、いわゆるスタグフレーションであります。  実は、このような物価上昇を伴う成長率鈍化に対しては、金融政策の対応が非常に難しいことが知られています。インフレを抑えようと金融を引き締めれば成長率を更に鈍化させる。一方、成長率鈍化を防ごうとして金融を緩和するとインフレ率上昇を加速させてしまいます。  日本銀行の副総裁として、この困難な問題に真剣に向き合い、総裁、もう一人の副総裁審議委員と協力しながら最適の金融政策を検討してまいりたいと思います。  最後に、個人的な回顧について簡単に述べることをお許しください。  これまで私は、経済学者として学界で評価されるような論文を書くという努力をする一方で、国際金融の分野では、一九九四年から九七年に国際通貨基金及び一九九九年から二〇〇一年に大蔵省において国際金融政策的実務にかかわる機会を得ました。この経験のおかげで、各国中央銀行財務省国際金融担当の幹部に多くの知己を得ることができました。  〇一年以降、学者生活に戻っても、多くの中央銀行国際コンファレンス学者政策担当者が対話するフォーラムに著者あるいは討論者として招待されてきました。  アメリカECBイギリスを始め多くの国の中央銀行総裁、副総裁金融政策決定委員、さらに、財務大臣財務省国際金融担当次官方々とは、国際会議機会外国出張の際に個人的な面談を通じて定期的に意見交換を行ってきております。  こうした努力の結果、IMFや大蔵省財務官時代ネットワーク維持、拡大することができました。最近十年間は、現実の政策を前提とした理論や実証の研究を進めることができました。図らずも、今回、副総裁に就任することができました際には、この海外に築いたネットワークが大変に仕事をしやすくしてくれることになると思っております。  以上、日本銀行役割日本経済の置かれている状況につきまして私の所信を述べさせていただきました。  物価景気動向の両方をにらみながら、今後の中期的な物価の安定を維持するという目標を考えていかなくてはいけません。今後の金融政策かじ取りは非常に難しいものになると考えております。この責務の一端を担わせていただくならば、全力を尽くして職務を遂行していく所存であります。どうかよろしくお願いいたします。  委員長委員皆様方におかれましては、御清聴ありがとうございました。
  10. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 以上で候補者からの所信の聴取は終了いたしました。  委員会を暫時休憩いたします。    午後二時二十一分休憩      ─────・─────    午後六時四十分開会
  11. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) ただいまから議院運営委員会を再開いたします。  明日の本会議議事に関する件を議題といたします。
  12. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 明十二日午前十時から本会議開会することの動議提出いたします。  宇宙開発委員会委員及び社会保険審査会委員長が今月十三日に任期満了を迎えること、加えて、十九日期限である日銀総裁及び副総裁についても、政府に対し再度御提示を願う可能性もございますので、速やかに本会議を開催するようにお願い申し上げるものです。
  13. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) ただいまの榛葉提出動議賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  14. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 全会一致と認めます。よって、榛葉提出動議は可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十一分散会      ────・────    〔参照〕    議院運営委員懇談会速記録     平成二十年三月十一日(火曜日)     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         西岡 武夫君     理 事                 池口 修次君                 小川 勝也君                 榛葉賀津也君                 岡田 直樹君                 世耕 弘成君                 山下 栄一君     委 員                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 今野  東君                 佐藤 公治君                 辻  泰弘君                 那谷屋正義君                 直嶋 正行君                 中村 哲治君                 松野 信夫君                 礒崎 陽輔君                 神取  忍君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 長谷川大紋君                 丸川 珠代君                 山内 俊夫君                 義家 弘介君                 山本 博司君    委員以外の議員        議員       仁比 聡平君        議員       渕上 貞雄君         ─────        議長       江田 五月君        副議長      山東 昭子君         ─────    事務局側        事務総長     小幡 幹雄君        事務次長     橋本 雅史君        議事部長     東海林壽秀君        委員部長     諸星 輝道君        記録部長     富山 哲雄君        警務部長     井高 育央君        庶務部長     古賀 保之君        管理部長     中村  剛君        国際部長     高橋 邦夫君    参考人        日本銀行総裁候        補者        日本銀行総裁  武藤 敏郎君        日本銀行総裁        候補者        京都大学公共政        策大学院教授   白川 方明君        日本銀行総裁        候補者        東京大学大学院        経済学研究科教        授        伊藤 隆敏君     ─────────────   案件 ○日本銀行総裁及び同副総裁任命同意に関する  件     ─────────────    〔午後二時二十二分開会
  15. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) ただいまから懇談会を開会いたします。  これより候補者に対する質疑を行います。  本日の懇談会の進め方でございますが、まず、大会派順に各会派一名一巡で質疑を行います。その際、発言時間は答弁も含めて約七分程度でお願いいたします。  その後、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行うことといたします。質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。  なお、質疑及び答弁の際は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。直嶋正行君。
  16. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。  私の方から武藤さんに御質問させていただきたいと思います。  時間の制約もございますので、最初に私の方から質問を四問申し上げさせていただきます。その後、順次お答えを賜りますようお願い申し上げたいと思います。  まず最初の質問でございますが、二〇一一年、プライマリーバランス黒字化という政府の財政再建目標についてであります。武藤さんはこの目標をどのように受け止めておられるのか、お伺いします。また、これが政府政策との整合性の面で今後の日銀政策にどのように影響してくると考えておられるのか、お伺いいたします。  二問目でございます。  武藤さんが財務省及び大蔵省の高官をされていたころ、具体的に申し上げますと、主計局次長に就任された平成四年から事務次官を退任された平成十五年までの間に、我が国の国債発行残高が二百八十五兆円強も増加をいたしました。また、事務次官時代に手掛けられた平成十三年から平成十五年の三年間の予算で百兆円強の国債を発行されています。大変多額の国債を発行された時代でありました。一方、日銀の長期国債買入れを見ますと、武藤事務次官時代に定時定額買入れが実行され、月一・二兆円ペースに増額、今日に至っております。  そこで、質問でございますが、当時、事務次官として日銀の長期国債買入れをどのように見ておられたのか、お伺いします。  また、日銀副総裁を五年務められた今、当時の国債増発と日銀による国債買入れについてどのような所見をお持ちであるのか、お伺いしたいと思います。  三問目でございます。  最近の川上インフレ、川下デフレ、つまり原材料の値上がりと最終消費財の価格低迷、つまりインフレとデフレの同時進行と言われる状況をどのように受け止めておられるのか、お伺いします。これに対する金融政策面での対応はどうされるおつもりでしょうか、お伺いします。あくまでもデフレからの脱却を目指していくのか、それともインフレの芽を摘むことに力点を置くのか、所見を伺います。  最後の四点目でございます。  金融経済の肥大化についてお伺いいたします。最近はあらゆるものが金融商品化されております。不動産だけではなくて、天候デリバティブ、排出権取引など、金融化の潮流にございます。一方で、原料、食料、原材料の値上がりのかなりの部分が投機要因とも言われており、金融経済の肥大化が結果的に国民生活を脅かすこととなっています。これは日銀法二条の、物価の安定を図ることにより国民経済の健全な成長に貢献するという理念にも反することではないかと思っております。金融の肥大化をどのように受け止め、また世界市場にどのような発信をしようと考えておられるのか、お伺いをいたします。  私の質問は以上でございます。よろしくお願いいたします。
  17. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) まず、プライマリーバランスの黒字化目標でございますが、財政の健全化を図るということについては金融面からも是非必要なことであるというふうに思っております。財政のサステナビリティーというものに仮に疑義が生じますと、それはいろんな形で国債金利等に影響をし、それがマーケットの不安定な形になっていく可能性があるわけでございまして、財政のバランスを目指すというそのこと自身は大変望ましいことだと思います。  ただ、どのような形でそれをいつまでにやるのか、その実現のための手段は何かということになりますれば、それは財政の問題として御判断なされることであろうと、基本的にはそのように思っております。  それから、財務省に私が在籍していた当時、国債発行が巨額に上ったという話がございました。当時、一九九〇年代バブル崩壊後の日本経済の姿、これを思い浮かべてみますと大変なデフレスパイラルの縁にあったと。企業は三つの過剰、設備の過剰、雇用の過剰、債務の過剰を抱えておりましたし、民間金融機関は大量の不良債権問題を抱えておりました。こういう中で経済が低迷したときに財政としてどうしたらいいか、この財政政策の大きな、何と言いますか課題があったわけでございます。  財政政策につきましては、もちろん当時の政権の御判断が最終的なものを決定するというふうに思っておりますが、私どもとしてはあの当時財政出動が必要ということであるならば、どういう財源の調達が可能なのか、どういう規模がどの程度の効果を持つのかということを分析した結果、今のようなことになったわけでございます。財政出動を余儀なくされた状況があったというふうに思っております。  しかしながら、なかなかこの財政出動が効果を発揮しなかったということがあろうかと思います。それは、巨額な不良債権が民間にあるときには、財政出動で言わば呼び水的な政策を取っても、バランスシートに毀損があるという状況の中ではなかなかこの火が燃え広がらないといいますか、経済の広がりをなかなか持たなかったということだと思います。しかし、ある程度のめどが付いたところで、この国債発行額に三十兆円の枠をはめて国債発行の量の制限をするようにいたしました。ここには健全財政に向けての考え方があったと思います。  一方、日本銀行が長国の借入れ一・二兆円を二〇〇二年に確かに行いましたが、これは今日でも続いておりますけれども、円滑な資金供給という金融調節上の理由でございます。決して財政支援のためにやっているわけではありません。  といいますのは、成長通貨というものを提供するために、やっぱり長期国債の買入れをするというのは、日銀のバランスシートを考えた場合、負債が長期であるならば資産を長期で保有するというのは合理的な選択であります。アメリカのフェデラル・リザーブにおきましても、長国というのはしかるべく、日銀よりもはるかにシェアの高い量を保有しておるわけでございます。  その後、私が副総裁に就任しましてから、この日銀の長国買入れをどうするかという議論があったことがございます。九人の委員が全員これを維持するということでございました。財政の観点からこれを引き続き維持すべきだといった議論をしたことはございません。また、そのようなものではないというふうに初めから考えられた政策であったというふうに思います。  それから、川上インフレ、川下デフレというお話がございました。  確かに、企業物価は三%あるいは四%近く上昇しておりますし、消費者物価はなかなか上昇いたしません。これにはいろいろな理由があろうかと思います。一つ一つ時間の制約があるので詳しく申し上げられませんけれども、厳しい国際競争というものもありましょうし、なかなか一般の国民が川下の物価を引き上げるというようなことに対して受け入れ難い環境がある、企業の方に価格支配力がなかなかないといったようなこともあろうかと思います。  このような状況の中で、中小企業におきましては、確かに、原材料は海外の原油あるいはその他の原材料価格が上昇する割に自分たちの製品の価格に転嫁し難いという状況から、中小企業収益環境はなかなか厳しいものがあるということでありまして、この問題は非常に奥の深い、非常に深刻な問題であるというふうに受け止めております。  今の消費者物価が、一月は〇・八%ということでありますが、そのほとんどは原油価格なり食料品価格の上昇でありました。やはり、需要というものがきちっと付いてこないと、この物価がなかなかプラス領域になってこないということがあろうかと思います。  そのためにはどうしたらいいかということになれば、やはりこの現在の緩和的な金融環境を継続して、今デフレかどうかということに対してはちょっと議論がありますけれども、少なくともデフレスパイラルの縁にあるとは思っておりませんが、緩和的な金融環境維持することによって持続的な経済成長を図っていくというのが重要な金融面の政策かというふうに思います。  金融経済の肥大化というお話がございました。  確かに、あらゆるものが金融商品化される、土地でありましてもREITという形で金融商品化されていくということであります。このことは大変大きな意味を持っておりますけれども、その流れ自身はマーケットの流れであって、私どもは、それを止めるとか、おかしいとか、そういうことを言うこと自身なかなか難しい問題があると思います。  要するに、実態が、そういうものの需要があれば、そういうイノベーションがあれば、そういうものが広がっていく、それがマーケットでもって取引されていくと。ただし、その取引されるマーケットの商品の信用というものはどのように確保するかということについては、まさに今サブプライムローン問題が起こっているような、ここにも大きな問題があると私は思っております。  確かに、肥大化したこの金融商品の構造というものがサブプライムローン問題というものに結び付いて、それが国際金融市場を非常にボラタイルなものにして、結果的に日本経済に対しても悪影響を及ぼしつつあるということは事実だろうと思います。この問題につきましては、相当、今後のアメリカ経済動向世界経済動向国際金融市場というものを分析しながら、必要があれば機動的な政策対応をしていくということで我々としては十分に注意しながら分析をしていきたいと、このように考えております。  すべてにお答えできたかどうかはちょっと分かりませんけれども、時間の関係もありますので、以上でお答えとさせていただきます。
  18. 西岡武夫

  19. 世耕弘成

    世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。  私は一問一答でまいりたいと思いますので、お答えの方は簡明にお願いをしたいと思います。  今回の人選について、メディアでの論調を全部ひっくり返してみました。経済界の皆さん、全員評価をしております。あるいは、アナリスト等マーケット関係者もそれぞれ一定の評価を与えております。それに加えて、マスコミ自身の論調も、今回の人選は非常に手堅い適切なものではないかという評価をしているわけでございます。  メディアの中で反対論を一生懸命探すと、出てくるのは野党の政治家の皆さんの反対論がほとんどそのおおむねでございます。その中でよって立つ根拠は、やはり財金分離上問題であるというのが野党の先生方の論点であります。そして、その中の大きなポイントは、武藤さんの過去の言動とか政策、特に副総裁になられてからの政策というよりは、財務官僚であったという経歴一点のみではないかなという気がいたしております。  財金分離という言葉は、これは基本的には財務省金融庁の政策を仕分けるということが最大のポイントでありまして、日銀総裁人事に私は当てはまるものではないというふうに思っておりますし、財務官僚が中央銀行総裁になった例というのは、これは世界各国、枚挙にいとまがないわけでございます。  ただ、その中で、財金分離論者の立場に、財金分離上心配している人の立場に立って一点懸念を申し上げれば、もしかすると、武藤さんが財務省出身であるがゆえに、日本政府の財政を助けるために日銀の金融政策が使われるんじゃないかと。例えば、政府が予算を組みやすいように長期国債を大量に買い入れ続けるんじゃないか、あるいは金利を低く誘導するんじゃないかという懸念が恐らく反対論者の方はおっしゃっているんだろうと思いますが、この懸念に武藤さんはどういうふうにおこたえになるか、お答えいただきたいと思います。
  20. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 副総裁に就任いたしましてから、私は一〇〇%日本銀行の立場に立って物を考えてまいりました。  例えば、財政支援のために長国を買い入れるとか長期金利を低位に抑えるとかというお話がありましたが、そんなことは私はできないと思いますけれども、仮にそんなことをすれば、必ず経済に混乱が生じて結果的に財政が困ると、そうなるはずだと私は思っております。  したがって、マーケットがどのように見ていくのか、そのマーケット状況というのを非常に尊重する必要がある、マーケットが何を発信しているかということを見る必要があると、それが私の考え方でございます。  私はいろいろなポストを経験してまいりましたけれども、あらゆるポストにおきまして、現にあるポストの職責を果たすために全力を投球してまいりました。その前にいたポストの立場で現にいる仕事をするというようなことは考えてみたこともございません。職業人としてプロフェッショナルであれば多分すべての方がそうなのではないかと、これはお分かりいただけるのではないかというふうに考えております。
  21. 世耕弘成

    世耕弘成君 高い職業倫理が表明されました。ここは信頼をしてまいりたいというふうに思います。  続きまして、現在の経済認識ですけれども、先ほど少し一端が示されておりましたが、もう一度確認をいたします。  今の状況日本経済全体としてデフレと見るのか、インフレと見るのか。政府は、基本的には今、骨太の方針その他を含めてデフレからの脱却というのを大きな目標にしております。この点で政府目標を共有するのかどうか、あるいはその上で政府と連携した金融政策を取っていくおつもりがあるのかどうかをお伺いしたいと思います。
  22. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 日本経済現状について日本銀行政府の間にそごがあるとは全く思っておりません。  かつて、日本経済、私どもが日本銀行に就任するときに日本デフレスパイラルというおそれがありましたが、今現在、デフレスパイラルの縁にあるとは思っておりません。しかし、物価状況を見ますと、なかなかこの物価の姿が本来あるべき姿に至らないというのは事実であります。したがいまして、先ほどちょっと申し上げましたけれども、〇・五%という歴史的に見れば超低金利状態を維持しながら経済の持続的な成長を促していくと、そういうスタンスでございます。
  23. 世耕弘成

    世耕弘成君 もう一点、武藤総裁の経歴上若干専門家の方が懸念を時々表明されるのが、国際分野での御経験が少し少ないんじゃないか。あるいは、最近はいわゆるインナーみたいな形で英語で直接中央銀行総裁同士がコミュニケーションをする中で、武藤さんがそこに果たして付いていけるのか。あるいは、財務省御勤務時代、いわゆる財政分野が長かったわけですけれども、いわゆる金融分野の政策の御経験が少ないんではないかと心配をしている人も若干おります。  これは恐らく私はそんなことはないんだろうと思いますので、それを是非、具体例を挙げてこういう御経験があるということを示していただきたいし、特に今回の人事が評価されているのは、逆にもしそういう面があるのであれば、白川さん、伊藤さんというまさに三本の矢でカバーできることになるんだろうと思いますので、今回の副総裁との連携も含めて今の懸念にお答えをいただきたいと思います。
  24. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) この副総裁としての五年間、国際会議等随分出席いたしました。各国中央銀行総裁、副総裁クラスと意見交換をする機会を持ちました。  私はかつてアメリカ大使館に三年勤務したことがありますけれども、英語という意味でいろいろ御疑念がおありのようですけれども、この両副総裁のようにネーティブスピーカーのような英語はできませんけれども、十分に意思の疎通はできるというふうに思っております。  それから、金融分野の経験につきましては、私は、銀行局に四年間、それから総務審議官として日銀、金融政策の窓口になった三年間、合わせて七年間、財務省の中で金融を担当させていただきました。
  25. 世耕弘成

    世耕弘成君 以上で結構です。
  26. 西岡武夫

  27. 山下栄一

    山下栄一君 今日は御苦労さまでございます。  私も一問一答形式でお願いしたいと思います。  まず、武藤さんは、旧大蔵省財務省、それから日本銀行、両方御経験なわけですけれども、先ほど日銀の独立性の確保ということ、また日銀法の理念を大事にというお話がございましたんですけれども、この日銀の金融政策独立性、自主性、これは非常に重たいなということを感じられた御経験、言い換えれば、あのときはいろいろあったけれども日銀の独立性を貫いたなというふうな御体験といいますか、ございましたらお願いしたいと思います。
  28. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 日本銀行独立性、自主性というのは、これは大変重いものがございます。一言で言えば、金融政策判断をするときには何者にも介入されずに自らの意思で決定していくということであります。  外からいろんな圧力なり介入があるのではないかと。余り具体的に申し上げる、私の五年間の経験では、具体的にこれが介入だったとか、これが圧力だったとかというようなものは、正直なところ私自身は感じたことがございません。  しかし、外部からいろんな意見が、これは独り財政とかそういうことと関係なくいろんな意見があるのは事実でございます。そういうものに対してきちっと説明をし、もちろん謙虚に耳を傾けた上で、しかし判断は自分で行うと、これが私どもの立場でございます。これは、審議委員九人全員そういう気持ちで政策委員会決定を行っているということでございます。
  29. 山下栄一

    山下栄一君 その次は、政策委員会総裁との関係なんですけど、金融政策決定機関が政策委員会執行機関として、日銀を代表する、また業務を総理する総裁がいらっしゃるという執行機関というふうな位置付けをしましたときに、平成九年の新日銀法におきましては、金融政策決定機関である委員会の長は委員の互選で決めると、こう書いてございます。また、別のところでは、政策委員会総裁も含めて役員の職務執行を監督すると、こういう規定もあるわけですけど。  ところが、政策委員会の長は大体総裁という何となく慣例になっているというふうに思うんですけど、そう考えたときに、この日銀法の精神、理念を大事にということを先ほどおっしゃったんですけど、ちょっとこれ、この慣例は見直すべきというか、たまたまそうなってしまうのかも分かりませんけど、見直すべきというふうなことも考えるんですけど、いかがでしょうか。
  30. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 政策委員会議長は互選ということでございます。これは政策委員会の民主的な決定というものを尊重するというのが法の趣旨かと思います。  確かに今、総裁議長に選ばれているということではありますけれども、あくまでもそういう慣例があるわけではございません。慣例というのはちょっと言い過ぎではないかなというふうに思います。ただ、実際選ばれているのは総裁が選ばれている。  その委員会が、総裁を含めた役員を監督するというのはどういうことかというお尋ねかと思います。これは、委員会制度を取る体系が持っています一つの割り切りだと私は理解しております。委員会というものがガバナンスを行うということでありますから、委員会という独立した組織というふうに考えられるわけでございまして、その中にたまたま総裁、副総裁がメンバーとしているということと法体系としては両立し得ると。それが望ましいかどうかとかって、そういうことの立法論になると私もいろいろあるかと思いますけれども、そういうことかと思っております。
  31. 山下栄一

    山下栄一君 次は、日銀総裁が空位になった場合、選ばれないような状況になった場合の国内及び国際的な市場への影響、どのようにお考えかお聞きしたいと思います。
  32. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) なかなかそういうことを想定して考えるということをしていないものですから、どのようにお答えしたらいいのか。  通常はそういうことは前提となっていないと、考えられないということを申し上げるのが今の私の立場からは精いっぱいかなということで御理解を賜りたいと思います。
  33. 山下栄一

    山下栄一君 答えにくい質問をしまして済みませんけど、こんな影響あるということを答えていただけたらなと思ったので質問しました。  最後に、BIS等の国際会議総裁会議等における日本独自の役割、これ、あるとすればどういうふうにお考えになっておられるか。日銀、日本独自の使命役割、特に世界同時不況が懸念される状況もございますので、そういう世界市場に対して日本中央銀行がどのような役割を果たせるかということにつきましてお考えをお聞きしたいと思います。
  34. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) BISの総裁会議と申しますのは、各国総裁が自国の金融情勢経済情勢について報告し合うのが第一。それから、グローバル化した金融市場についての意見を交換するのがもう一つの役割だと思います。  その中で日本がどのような役割を演ずるかということでありますれば、特に日本ということで申し上げれば、この過去十数年にわたって日本経験いたしましたバブル崩壊後の金融市場の混乱及びそれを解決していった状況というものに対する我々のノウハウ、これを一つは折に触れて提供するというのが一つあろうかと思います。現に、サブプライムローン問題というのは一種のバブルの崩壊でございますので、全く日本のバブル崩壊と同列に論ずることはできないと思いますけれども、そういう貢献ができるかなと思います。  それから、BISに正式メンバーとして参加できるアジアの中央銀行総裁日本だけでございます。したがいまして、そういう意味で、アジアの状況というものも世界経済の中に、世界金融市場の中にインプットしていくと、それが重要な役割ではないかなというふうに思っております。
  35. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございました。
  36. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) これより自由質疑に入ります。  質疑のある方は挙手をお願いいたします。  辻泰弘君。
  37. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会・国民新・日本、辻泰弘でございます。  武藤参考人に三点御質問させていただきたいと存じます。  まず第一点は、総裁人事の在り方についてでございます。  武藤さんは昭和四十一年に大蔵省に入省され、平成十五年一月まで現役として在籍されておるわけでございますけれども、その間の日銀総裁の任命は、日銀、大蔵、日銀、大蔵、日銀、大蔵、日銀と、まさに日銀OBと大蔵省OBとの輪番、たすき掛けというべき人事でございました。しかも大蔵省OBはすべて事務次官経験者だったわけでございます。  武藤さんは、輪番、たすき掛けと言われた日銀総裁人事の在り方を大蔵省時代にはどのように見ておられたでしょうか。また、現在、振り返ってどのように評価しておられるでしょうか。  同時に、今回の総裁人事についてはマスコミにおいても、首相は財務省武藤氏コールに包囲された、財務省組織を挙げた動きはすさまじかった、過去四十年間ほぼ続いてきた日銀と旧大蔵省出身者のたすき掛け人事が二十一世紀も続くことになるなどの指摘がなされております。  武藤さんも大蔵省財務省出身で事務次官経験者でいらっしゃいますが、今回の総裁人事が輪番、たすき掛け人事の復活、新たな始まりになるのではないかという懸念にどうお答えになるでしょうか。輪番、たすき掛けでもよいと考えておられるでしょうか。  二問目。財政と金融についてでございます。先ほど議論ございましたけれども、改めてお伺いしたいと存じます。  財政政策の事務方のトップが金融政策のトップに立つことに問題ありとの指摘がありますが、そのような指摘について、武藤さんは的外れと思っておられるでしょうか、理のあることと思っておられるでしょうか。  三問目。小泉改革についてでございます。  武藤さんは、事務次官在任中に小泉内閣の財政再建路線を支え、小泉元総理からの信頼も厚かったとお聞きしております。武藤さんは、小泉政権時の構造改革について、政策運営について、どのように評価しておられるでしょうか。そして、それが今日の日本経済社会に与えた影響について、どのように評価しておられるでしょうか。  以上三点、御質問申し上げます。
  38. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) まず、総裁人事、たすき掛け人事というような見方でございます。  かつてどうであったかということに対して、私自身は全くどういう事情でそうなったかということを存じ上げませんので、形でしか見えておりません。あるいはそういう事実があったのかどうかということで、外形だけで御判断されればそういうことなのかなというふうに思います。  今回、私自身のことについてお尋ねでございますので、私自身のことであるがゆえにちょっとお答えしにくいということは御理解いただきたいと思うのでございますけれども、五年間の私の副総裁経験として、私自身は、先ほども申し上げましたように、日銀マンとして行動したつもりでございます。この五年間の言動を見ていただければお分かりいただけるのではないかというふうに思います。  そういう意味では、内部の昇格人事というような見方もされている方もいるわけでございまして、これが契機に今後たすき掛け人事が復活するというような見方は、私はいささかちょっと理解はできません。今後のことは全く何もそんなふうに決まっているというふうには私は理解しておりません。適材適所で考えていかれるのではないかというふうに思います。  財政と金融の分離ということでございますけれども、これは世耕先生からこの本来の意味というのはもはやお話がありました。財政政策金融政策という意味で、もし財政政策によって金融政策がゆがめられるのではないかということであるとするならば、私が最初にお答えしましたとおり、そのような考え方で行動することはありませんし、それは結局は日本銀行独立性の問題というふうに考えられると思います。  ただ、財政政策金融政策は水と油だというふうには私は思っておりません。国の経済政策として一つの連携をなすものであるというふうに思っております。したがって、経歴上の問題というものが何か特段の意味を持つということではないのではないかと。これは、私自身で適材適所というような言い方を自ら申し上げるのはちょっとどうかと思いますけれども、そういうことで御判断されるべき人が御判断されるということなのではないかということでございます。  それから、小泉首相の改革に対して、確かに私は小泉政権下で次官をやっておりました。小泉総理の政策にいろいろな意味で、これは協力というよりもその指示に基づいて、役人として当然内閣の意向に従うというのは役人の矜持であるというふうに思っております。役人の側が何か政権を動かしているかのごとき解説をする人がおりますけれども、それはもう全く事実でないゆがんだ見方と。面白いかもしれませんけど、現実ではありません。私どもは、それが今の公務員というものが守るべきものだと思っております。  構造改革そのものは、あのとき、一体、長く続いたバブル崩壊後の日本経済の停滞からどのようにしたら脱却することができたのかということがもう国政の最大の課題でありました。  一つには、三つの過剰ということを申し上げましたが、金融機関が巨額な不良債権で苦労していたときにどういうことが必要かということであれば、構造改革あるいは規制緩和によって民間活力を何とか生み出すということがこの構造改革の基本的な考え方であったのではないかというふうに私は理解しております。それはそれなりに、その後、何とかこの五年間ぐらいは順調な、緩やかではありますけれども経済拡大を続けてまいりましたが、それを後押ししたのはあの構造改革ということもあったのではないかというふうに思います。もちろん、所信でも申し上げましたとおり、民間自身の御努力というものが今日あるものだというふうに私は理解しておりますけれども、それを支える役割は演じたのではないか。  今後とも、やはり民間活力をどうやって引き出していくかということは政策基本となっていってもおかしくないのではないかというふうに考えております。
  39. 西岡武夫

  40. 岡田直樹

    岡田直樹君 私は、石川県選出、自由民主党の岡田直樹と申します。本日は大変御苦労さまでございます。  短く三点お尋ねをいたします。  最初に、先ほどから御指摘が続いておりますけれども、一部の方がよく言われる財金分離の問題であります。  もしも、仮に武藤さんが財務省の言いなりに動くような人であるならば、それは自民党の私でもなかなか賛成はし難いのだと思います。しかしながら、武藤さんが財務省出身であるというその前歴だけで日銀総裁の資格がないと言うならば、これは一種の偏見だろうと私は思うのであります。日銀総裁にふさわしいか否かということは、どこの出身かよりも、ひとえにその人の人格識見、そして能力によると思います。冷静沈着に、中立的に、ゆがみのない、曇りのない判断を下せる、そうした人物が武藤さんであろう、そうした適性を備えておられると私は考えております。  そこで、この場ではっきりと、私は決して財務省の言いなりにはならないと、そういうふうに断言をして、誓いを立てていただきたいと思うんです。民主党の皆さんの御心配を払拭していただきたいと思います。  それから、武藤さんをミスター財務省と、こんなふうに言われる方がおられます。武藤さんは今もミスター財務省なんでしょうか。このことをお伺いしたいと思います。  二番目の御質問。武藤さんがこの総裁人事に関して不退転の決意をお持ちかどうか、今の率直な心境をお伺いしたいと思います。  三番目に、最近、また景気がおかしくなってまいりました。日銀総裁となる方は、国民生活の安定とともに、やはり高い経済成長を目指していただきたいと思います。どうか、国の内外に良いメッセージになるような決意を、方針をお聞かせいただきたいと思います。  日本デフレスパイラルの縁は抜け出したと先ほどもおっしゃいましたけれども、まだデフレぎみなのではないか、肺炎は治ったけれどもまだ風邪ぎみなのではないかと、こういうふうに思うわけであります。その割にまだマネーが足りないのではないかという、そういう指摘もございますが、この点をどうお考えかも承りたいと思います。  以上三点、どうか国会に強く訴えて、そして、ひいては国民の心をつかむような、そうしたお答えを、簡潔で結構ですから、よろしくお願いいたします。
  41. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) ミスター財務省というようなお話ありましたけれども、私は財務省にいた時代、そういうふうに呼ばれた記憶はありません。日本銀行に来て副総裁をそろそろ任期満了になるかというころになってミスター財務省というふうに言われるのは、私自身といたしましては何とも違和感のあるお話でございます。ミスター財務省なんて人はいないというふうに言えると思います。  財務省の言いなりにならないということを明言しろということでございますけれども、明言することは簡単なんでございますけれども、多分そういうことで分かったと言ってくれる人はいないのではないかというふうに私は思います。  私が申し上げたいのは二点であります。  一つは、過去五年の副総裁としての言動の中で、財務省寄りの判断をしたというようなことは私はなかったというふうに自負をしておりますけれども、その言動を見ていただきたい、見ていただければ分かるだろうというふうに思います。  それからもう一点は、そういうことをやろうとしても、日銀法は実にうまく作っていただいておりまして、そんなことができないようになっているわけでございます。九人の委員が毎回議論して、一か月後には議事要旨が外へ出ます。何かそんな変なことがあれば必ずそこに載ります。外からチェックできるということであります。それから、政府の代表者は政策委員会に出てきて意見を述べる、それから何か異論があるならば議案の提案も可能でございます。そういうものがあったときには九人の委員がそれを採用するかどうかを議決で決めるということでありますから、かつての日銀法時代、私、実はそこまでは知らないんでございますけれども、裏で何か取引がなされていたんではないかという疑念がよく語られておりますが、この新日銀法の下ではそんな余地はあり得ません。それだけは仕組みとしてよく日銀法を作っていただいたというふうに感謝をしております。  したがいまして、この日銀法の保障しております独立性というものを何も我々守りに回る必要は全くないと思っております。なぜなら、法が保障しているからでございます。  問題はそういうことではなくて、むしろ積極的に日本銀行としてかく思うということを国民に訴えて、その上でなるほどということになれば国民が日銀を信任すると、それが独立性を保障する最大の方途であるというふうに思います。そういうメカニズムがなければ、口で言ったりあるいは個人がどう思うかということによっては実現はおぼつかない問題だというふうに、私はそのように確信しております。
  42. 岡田直樹

    岡田直樹君 ありがとうございました。
  43. 西岡武夫

  44. 山本博司

    山本博司君 公明党の山本博司でございます。  二点だけお聞きをしたいと思います。  一つは地域経済動向ということでございますけれども、今、非常に原油価格とか、また食料品、穀物、物価上昇して、大変地域経済は厳しい状況に置かれていると思います。そうした地域経済動向をどのように現状認識されているのか、またどう対応されようとしているのか、この点を第一点、地域経済動向ということに対してお聞きをしたいと思います。  それから、もう一点目は人材の活用ということでございまして、新総裁になった場合に二人の副総裁方々役割をどう期待をされるのか。また、先ほど白川参考人からも組織は人であるというお話ございました。五千名以上に上るこの大組織をどうマネジメントしていくのか。その人材活用ということに関して二点お聞きをしたいと思います。
  45. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) まず、地域経済動向でございます。  最近、地域間格差といいますか中央と地域の格差といいますか、そういうことがよく言われるようになりました。この過去五年近くの緩やかな経済回復の下で、地域経済も全体として見ると少しずつ回復方向に向かってきたということがまずあったと思います。もちろん、公共事業に多くを依存していた地域などにおいて公共事業削減の悪影響を被っておるところはありますけれども、しかし、それでも全体としては回復の方向に向かっていったというふうに思います。  ここに来ましてちょっとそこに変調が来している可能性があります。今まで回復していたところがちょっと横ばい状態になるといったようなことが起こっております。この点は大変私どもも重視しているところでありまして、私、一つは、我々は地方に支店を持っておりまして様々な情報を吸収することができますので、それを基に地域経済を注意深く分析していくこと、それからもう一つは、九人の政策委員が地方に出かけて懇談会等を開いて、講演会とかあるいは意見の拝聴をしております。そういう形で自らも直接地方の声を伺っているわけでございまして、そういう経路を通じて地域経済動向を注意深く見て、全体の金融政策判断に生かしていくべきであるというふうに思っております。  人材の活用につきましては、私は、白川さんも伊藤さんもある意味では職場の同僚でありました。白川さんは日銀、伊藤さんは大蔵省時代、財務省時代、職場の同僚でありました。これはたまたま偶然なんでございますけれども、人となり、能力、よく存じ上げております。そういう意味では、この三人の長所を生かして協力してやっていきたいというふうに思っております。  日本銀行五千人の組織でありまして、まさに組織は人なり、日本銀行総合力を生かすためにはこれらの人をどうやって生かしていくかということでありますが、私は、基本はやはり業績を一人一人きちっと評価してさしあげる、公平公正に評価するということが基本だと思います。とかく派手な場所にいると目立つということで評価されるんですが、地味な場所でしっかりと支えるという人たちに対しても適正な評価をしていかなきゃいけない。それが結局は組織を活性化する道ではないかというふうに私は思っております。
  46. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 大久保勉君。
  47. 大久保勉

    大久保勉君 民主党の大久保勉です。  武藤参考人に短い質問を四点質問したいと思います。  第一点、日本経済はデフレを脱却したと見ているのか。イエスかノーでお答えください。  第二点、所信金融政策運営に当たって透明性の向上が極めて重要であると発言されましたことに関連して、中央銀行の見る物価指標として何が最適か伺いたいと思います。これまでの日本銀行政策透明性に欠けるという批判がありますので、例えば食料、エネルギーを除く米国型コアCPIの中期的目標を設定して、それに基づいた政策運営を行うことで透明性を高めたらどうですか。伺います。  三点目、道路特定財源の一般財源化は、日本の財政健全化及び長期金利の安定に寄与し、日本銀行政策の自由度を高めるという意見もあります。財務省事務次官も経験された財政問題の専門家の立場で、かつ個人的見解でも結構ですから、道路特定財源の一般財源化に賛成か反対か、簡潔に伺いたいと思います。  最後の質問です。  日本銀行総裁の資質としてあなたが十分に満たしていると思われる点と、今後改善に向けた努力を要すべき点を聞きたいと思います。特に、あなたのウイークポイントに関し、どのように日本銀行組織を使って補っていくか、御意見を伺いたいと思います。  私の質問は以上です。よろしくお願いします。
  48. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 日本経済がデフレであるのかないのかということについて、デフレの定義によるというふうに申し上げざるを得ません。CPI、GDPデフレーターを見ますといまだにかなりのマイナスでございますが、コアCPIを見ると〇・八%のプラスでございます。企業物価を見ますと三%以上のプラスでございます。  我々は、次の第二の御質問に関係してきますけれども、物価というものをどういうふうにして把握していくかということについていろいろな課題があるというふうに私は思っております。何か一つの指標で事足りるということではないのではないかと。いろいろな物価関連の指標を見る必要があります。例えばフローの物価ばかりでなくてストックの物価、すなわち資産価格でありますとか株価でありますとかあるいは為替レートでありますとか、そういうものも見る必要があるかもしれません。そういう総合的な物価観というものが必要なのではないかというふうに思っております。  次に、透明性の向上でございますけれども、透明性の向上は、これは非常に重要なことでありまして、日本銀行金融政策の効果を上げるためにも透明性の向上が必要だと、これは大久保委員、常々御主張されているとおりでございます。  透明性向上策についてはいろいろありますが、それはさておきまして、物価指標を何でとらえるのかということになりますと、いろいろ私は申し上げましたけれども、日本の場合には、今やはりコアのCPIというものを見るのが取りあえずは、その中でどれを見るのかと言われればそういうことかなと思います。ただ、それだけで判断をするのではなくて、いろんな物価指標を見ながら総合判断をしていくということであります。  もちろん、コアというときには生鮮食品を除くわけでございますけれども、長期的に物を考える場合には生鮮食品を除こうと除くまいともうほとんど同じような動きをいたしますので、ヘッドラインのCPIというのも長期的な観点からはよろしいのではないかというふうに思います。  三番目の道路特定財源問題でございますけれども、これはまさにホットイシューでございますので、個人的意見というふうにおっしゃいましたけれども、どっちがいいとかいうのはやはり差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、財政の健全化にどうしたら資するのかという視点は、これは大変重要な視点だろうというふうに思います。先ほどちょっと御質問ありましたけれども、財政の健全化を図っていくことが結局は金融市場の安定につながる、金融にとってもプラスであるということはおっしゃるとおり重要な観点かと思います。  それから、私のウイークポイントがどこかということでございますけれども、もうたくさんあり過ぎてなかなかこれだということを言いにくいわけでございますけれども、幸い両副総裁が大変インターナショナルなセンスをお持ちでございますので、私、どちらかというと財務省にいたということで、インターナショナルなセンスがないのではないかというふうに言われております。そういう点についてカバーしていただければ有り難いというふうに思っております。  あらゆる意味で、大変浅学非才という私でございますけれども、三人力を合わせてやっていけばいい結果を出せるのではないかなというふうに思っております。
  49. 西岡武夫

  50. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ありがとうございます。自由民主党の礒崎陽輔でございます。  私は一括して御質問をいたします。  まず、先ほどから出ておりますけれども、やはり財政・金融分離という言葉が間違って使われているんではないかと思います。他の諸国でも財務省出身者が中央銀行総裁になった例はたくさんありますし、そうした国でこれが財政・金融分離の原則に反するなどといった話を聞いたことは全くないわけであります。  いずれにいたしましても、最近の同意人事案件を見ましたら、何か公務員であったから適当でないような、そういう変な議論がなされております。人の単純な職歴によってその任に就くことが適当であるかどうかということを判断することは、私は一種の差別であると考えます。  戦後、公職追放であるとか様々なパージが行われましたけれども、民主国家の日本において職歴だけを、単純な職歴だけを勘案したパージが行われるべきではないということを私は申し上げておきたいと思います。  それでは、参考人の皆さんに御質問をいたします。  まず、武藤参考人にお伺いをいたします。  武藤参考人の副総裁としてのこれまでの御実績は私たちのよく知るところでございまして、手堅い手腕は多くの皆さんの信頼を得ていると私も考えているところであります。ただ、総裁ということになりますと、日銀の顔として金融のスポークスマンとしての役割を果たさなければならない、そのように考えるんですが、慎重な発言だけでは国際発信力がないと思いますが、スポークスマンとして御自身どういう取組を行っていく考えでしょうか。  それから、物価の安定につきまして、先ほど日銀の大きな役割の一つであるということが、これは当然のことであります。  先ほど伊藤参考人の方からインフレターゲットというふうな話もございました。緩やかな物価上昇がむしろ物価の安定にはいいというそういう考え方もありますが、これらについて、武藤参考人として賛成であるか、あるいは反対であるか、そういった物価が緩やかな上昇をした方がむしろ物価安定にはいいんだという、この考え方に対する評価をちょっとお伺いをいたしたいと思います。  以上、お願いをいたします。
  51. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 日銀の顔としてのスポークスマンとしてどういうふうにやっていくつもりかということかと思います。なかなかパフォーマンスが得意でありませんので不十分かもしれませんけれども、やはり市場とのコミュニケーション、これが非常に日銀にとっては重要なことであります。余り奇をてらうというのは私はどうかと思いますけれども、やはり率直に情報発信して日銀の考えていることをよく理解していただくと、そのためには全力を尽くしてやってまいりたいというふうに思います。  それから、そのときに日銀の物価に対する見方をどういうふうに考えているのかというのが一つの重要なポイントでございます。それなくしてなかなかコミュニケーションができないんではないかということであります。  この問題は、御承知のとおり、量的緩和から脱却するときに新しい金融政策運営枠組みというものをつくりまして、中長期的な物価安定の理解、これはゼロから二%で、まあ一%が中心値という、そういうものでございます。これは確かに不十分な面があるかもしれませんけれども、あの量的緩和脱却のタイミングでのいろんな状況を考えると、我々なりに工夫した一つの物価に関する考え方を一般に表明したものであります。  これを当面維持してきたわけでございますけれども、こういうものはすべて経済の発展段階に応じて理解が変化してくる可能性があります。およそ経済にとって何%の物価が望ましいかというのは余り意味がない、この今の経済にとって何%が望ましいか、何年後の将来はどうなのかということだと思います。そうだとすれば、この物価安定の理解というものも時代の移り変わりといいますか、経済の変化とともに見直して、その状況に適合したものに変えていくという努力が必要であろうというふうに私は思っております。  具体的な中身ということになれば、これはもう新しい体制の下で徹底した議論をしながら一致点を探していくというようなことかと思います。
  52. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ありがとうございました。
  53. 西岡武夫

  54. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  これまでに御質問になられた委員の皆さんの質問の中で回答がちょっと理解し難かった部分について四点、私自身の質問を一点させていただきます。  まず、直嶋委員の一問目でありますが、財政健全化は金融政策の面からも必要だといった趣旨の御発言を武藤さんはされましたけれども、つまり、財政は金融政策に影響をしているということをおっしゃったわけであります。しかし、今後の金融政策をどういうふうに運営するか、どのような影響があるかという具体的なお答えがありませんでしたので、その点についてお答えください。  二つ目でありますが、直嶋委員の三番目の質問に関連して武藤さんは、企業の価格支配力が衰えたことが川下デフレが解決されない原因という趣旨のことをおっしゃった上で、需給面の改善が十分でないので金融緩和的な政策を取るということをおっしゃいました。この二つを総合すると、インフレ志向的な政策運営をするというふうに私には聞こえましたが、そのような理解でよろしいでしょうか。  そして、三点目は、世耕委員の二問目に関連してお伺いをいたします。政府とどのように連携するかという御質問でありましたが、明確なお答えがございませんでした。そこでお伺いしたいのは、日銀法四条、政府との関係に基づく政策的ニーズと、日銀法一条、目的、そして二条の理念に基づく政策の方向性が抵触するような事態に直面した場合に、どのような考えでどのような行動をお取りになるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。  そして、四つ目は、山下委員の二問目の御質問、大変私も感銘いたしました。監督される側の執行機関のトップが監督する側の政策委員会のトップに就任するという構造は、法的には許されていても私はおかしいと思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。  それに関連して、岡田委員の御質問に対して、審議委員はそれぞれ独自の御判断をしておられるので大丈夫だというお答えがありましたが、その大丈夫だという状況を担保するために、もし総裁に就任されましたら、審議委員のスタッフは審議委員自身が外部から連れてくる、日銀の内部のスタッフが言わば根回し的な対応をするという今のそういうもし懸念がある体制がかいま見えたとすれば、外部からスタッフを連れてくるようなことによって改善するお気持ちがあるかどうか、それをお伺いしたいと思います。  最後に一点、私自身の質問をさせていただきます。  中央銀行独立性に関して、目標独立性と手段の独立性の関係をどのように考えるかを、武藤さん御自身のお答えを、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  立て続けに申し上げましたので、もし御不明な点がありましたら、その都度御確認をいただければと思います。
  55. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) この財政健全化と金融政策の関係でございますけれども、私は申し上げたかったのは、財政の健全化というのは、結果として金融にとっても望ましいことなんですと。財政がサステナビリティーがないということが前提になっていきますと、金融政策金融市場というのはなかなか安定的なものになり難いことになるんだということを申し上げたわけでございます。  今後の金融政策につきましては、これは所信でもるる申し上げたつもりでございますけれども、我が国の経済減速、当面減速しておるわけでございますけれども、やがて再び、この調整が終わりますと、経済成長、持続的な成長に向けて回復していくであろうというのが今の我々の基本的な見方でありますけれども、なお海外経済でありますとか国際金融市場でありますとか原材料価格とか、非常に多くのリスク要因を抱えていて、これに対してどのように対応していくかというのは大変今の日本にとって重要な問題であり、日本銀行にとってもかじ取りの難しい状況にあるということでございます。したがいまして、今後、様々なデータを徹底的に分析しながら、丹念な検討を行った上で、必要があれば機動的な政策運営を行っていくというのが私の基本的なスタンスでございます。  インフレ志向的な考え方ではないかという御指摘で、ちょっと私、あるいは言葉足らずだったのかもしれませんけれども、そういうふうに考えておりません。インフレ志向的ということではありませんが、このインフレ率は一体どのぐらいなら望ましいのかという議論があるのは事実でございまして、私どもは、中長期的な物価安定の理解の中で表明したとおり、現在ではそれが今言えることではないかというふうに思っております。  政府との連携につきましては、日本銀行独立性と一対の考え方であろうと思います。金融政策も我が国全体の経済政策の一翼を担うものでございますから、全くばらばらであっていいということではございません。したがいまして、状況につきましては意思の疎通を図って連絡を密にしていくということでありますが、しかし、政策判断するときには、日本銀行日本銀行として自主的に、何物の介入も受けることなく自らの意思で決定していく、実行していく、そういうことだと思います。  政府との連携の中で矛盾、抵触があったらどうなるのかと、これは一般論でお答えするのは非常に難しいわけでございますけれども、私どもは、もし連絡が密にされ、意思の疎通が図られれば、そういう可能性はもう限りなく小さいはずだというのが第一点であります。その上で、それでもなお起こったらどうするのかという御質問があれば、私は、事と次第によりますけれども、日本銀行独立性という観点から物を判断していくのが日本銀行の立場ではないかというふうに思っております。  それから、監督する者が監督される側のというお話がありましたが、かつてそういう立場にいた人が違うところに、まあ財務省のトップであった者は、要するに財務省のトップであった者が金融、そういう意味でございますか。
  56. 大塚耕平

    大塚耕平君 いえ、そういうことではございませんで、新日銀法は、日銀法の条文の中でも、日銀自身が作っている解説書の中でも、出てくる序列というのは、審議委員、正副総裁、理事という順番であります。そして、正副総裁は九人の政策委員会の一部でございまして、かつ執行組織のトップであります。この執行組織、つまり監督される側のトップが……
  57. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) はい、分かりました。
  58. 大塚耕平

    大塚耕平君 議長になるということについてどのようにお考えになっているかということであります。
  59. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) そこの議論は、私の理解では、先ほどちょっと申し上げましたとおり、委員会というものが、そういうボディーが監督者であると、その中に総裁、副総裁という人が入っていると、これ確かにおかしいんじゃないかという議論はあり得るかと思います。立法論としては私はその議論は十分に理解いたします。どちらが望ましいかということはともかくといたしまして、そういう考え方がおありになるのは十分あり得ると。しかし、今の法律体系を解説すれば先ほど申し上げたようなことではないかと、そういう意味でございます。  それから、審議委員のスタッフを外部からというお話がありましたけれども、これはスタッフを外部からという必然性は私は必ずしもないというふうに思います。むしろ効率、審議委員が内部との連携がしにくくなるというのはそれはそれで一つの問題がありますので、審議委員が中の意見に引きずられないように独自の観点を持つべきだというのはおっしゃるとおりだと思います。それは審議委員の自らの努力によって様々な外部からの情報を取ることによって、皆さん見識のある方々でございますので、そういうことで現にやっておられると思います。スタッフとしては中と連絡が取れる者がいるというのが今の体制でありまして、私はこれは、実にそれが望ましいのではないか、むしろそれでいいのではないかというふうに思っております。  それから、目標独立性と手段の独立性というお話がありましたけれども、日銀法においてはそれは書き分けられておりません。私は一部に目標の、これはBOEを前提にお話しされているんだと思いますけれども、目標政府決定して、あとそれを実現する手段だけが中央銀行独立性だというような意見がございますけれども、そこまで今の日銀法は割り切っていないのではないか。  じゃ、どうするんだということについては、まさに連携、意思の疎通を図れということで行われていると。ある意味、仮に目標というものを政府が作るということであるならば、イギリスのように政府がその目標を達成する努力をしていただく必要がある、目標は決めるけど我関せずというわけにはいかないと私は思います。イギリスの場合には公務員給与は、例えばその目標値と同じようなベースアップをするべきだという議論があるぐらい、要するに共有するということであります。だけど、そこまで今の議論が詰められているというふうには私は思っておりませんので、日本日本独自のやり方でそこは解決しているというふうに理解をしております。
  60. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) これで総裁候補に対する自由質疑は終了し、この後は副総裁候補者に対する自由質疑といたします。  辻泰弘君。
  61. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 白川参考人にお伺いをいたしたいと思います。幾つか用意しておりましたけれども、時間の関係上、一点に絞らせていただきたいと存じます。  マスコミ報道によりますと、白川さんは、日銀育ちらしく中央銀行政府からの独立性確保に強い信念を持っていると報ぜられております。また、日銀幹部のコメントとして、白川さんは現役時代には財務省とは意図的に距離を置いていたとの回想談も報ぜられております。  白川さんは中央銀行政府からの独立性確保の必要性についてどのように考えておられるのでしょうか、また日銀と財務省との関係のあるべき姿についてはどのように考えておられるか、率直な御見解をお伺いしたいと思います。  以上です。
  62. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  中央銀行金融政策における独立性というのは、通貨価値の安定を図る上で非常に大切な原則であるというふうに思います。それで、今やこれは先進国、エマージング諸国問わず、各国中央銀行において確立した原則になっております。日本銀行法においてもこの点ははっきり明記されております。そういう意味で、私は独立性というのは非常に大事な原則であるというふうに思います。  と同時に、しかし、この独立性というのは法律的に与えられるということでそれで実現するものではなくて、最終的に、中央銀行が適切な金融政策を行って、経済状況が良くなり、その結果、中央銀行に対する信頼が生まれてくる、その結果として独立性をみんなが、じゃ尊重しようということになってくる、そういう性格のものだと思います。  そういう意味で、中央銀行政策を携わる人間としては、自分たちが最終的に責任を持って決定するんだという強い自覚と責任を持った上で判断し、しかし、その中央銀行判断が決して独善に流れてはいけないというふうに思っています。そのためには、先ほど冒頭の所信表明でも申し上げましたけれども、謙虚にいろんな情報を集めてその上で判断するということが大事だというふうに思います。  中央銀行決定が独善にならないがために、日本銀行法は、これは独立性透明性というのを二つの重要な原則に立てております。そういう意味で、私は、独立性は非常に大事である、その裏腹として透明性も大事であると、その上で中央銀行はしっかり責任を持って政策判断決定する必要があるというふうに考えております。  それから、財務省との関係でありますけれども、私、新聞のあの記事は読みましたけれども、何となく私自身はあの記事に対して自分のことをこれこういうふうに、自分自身はやや違和感がございまして、私自身は、どの組織であれその組織目標日本銀行でありますとこれは、金融政策物価の安定、それから信用秩序維持でございますけれども、その組織に与えられた目的を実現するために最大限の努力をすると。それぞれの組織、またそれぞれそのマンデート、目的が決められておりますけれども、努力をしていく。当然それまでのいろんな経験あるいはそれぞれ担当している仕事の領域が違いますから、そこで違った意見は出てまいります。その意味で、大いに議論はすることが大事であります。  今の日本銀行法では、日本銀行法の第四条でその点はっきりと規定しておりまして、日銀法の第四条は「常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」というふうに規定をしております。私、財務省にも多くの友人がいますけれども、大いに議論をいたしました。しかし、そのことは、距離を置くとか置かないということではなくて、真剣に議論するということであったというふうに自分自身は認識しております。  以上でございます。
  63. 西岡武夫

  64. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 自由民主党の長谷川です。本日は御苦労さまでございます。  白川参考人に御質問をいたします。  白川氏は、日銀きっての理論家として活躍され、金融政策担当理事として武藤氏とともに福井体制を支えてまいりました。この間、低金利政策を続けてきたこと等についての批判がありますが、これをどのように考えますか。これが第一点。  第二点は、白川氏は、福井総裁での下、武藤氏と一緒に働いてこられました。その経験から武藤氏の働きぶりをどのように評価されますか。今質問がございましたが、特に財務省寄りとの懸念に対してどのように考えますか。  この二点につきまして、御質問をいたします。
  65. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えをいたします。  日本経済、過去、特に十年ぐらいですけれども、ほとんどがゼロ金利近くの非常に低い金利が続いてまいりました。内外経済の歴史を見てみますとこれだけ低い金利が長い期間続いたという時期はございませんで、そういう意味ではこれは非常に異例の政策、異例の時期でございました。ただ、これは金利だけが独立して低いということではなくて、この間の日本経済それ自体が非常に異例であったというふうに思います。  振り返ってみますと、ごく最近まで日本経済は不良債権の問題、金融システムの方が大変厳しくて、その下で経済の力も弱いという状況でございました。そういう下で、この経済を立て直すために何が一番必要か、そのまず第一に大事なことは、これは金融システム安定性を何とか維持するということでございました。  過去のデフレの歴史を見てみましても、いわゆるデフレというのは、これはほとんど、これは言葉は適切ではないかもしれませんけれども、実は金融恐慌と背中合わせになっております。そういうふうな金融システムが崩壊するという事態をこれを防ぐというのが日本銀行のなし得る最大の貢献であり、かつ重大な責務でございました。その意味で、かつ、雇用を確保していくというためにはこれは企業部門に元気を出してもらう、そのためには低金利を採用せざるを得なかったということでございます。そうしたことを通じて、経済金融の安定を図っていくという大きな政策目的がございました。  もちろん、現在はまだ日本経済、厳しい局面は残っておりますけれども、しかし数年前までの非常に厳しい時期、つまりデフレスパイラルが懸念される、そういう状況は過ぎ去ったというふうに考えております。  先ほど、金融システム安定性の重要性を申し上げましたけれども、潤沢に流動性を供給していく、あるいは非常に低金利を続けていくということは、金融システム安定性維持していく上でこれは非常に必要なことでございましたけれども、しかし、これは金利は経済の場合は体温でございます。そういう意味で、経済自体が少しずつ力が付いてきますと、その体温に合わせて少しずつ金利は調整するということもこれは必要だというふうに思います。この両者のバランスが非常に難しいわけでありますけれども、しかし、そのバランスを考えながら最終的に金融政策運営していくというふうに、私はそのことが大事だというふうに考えております。  この間の低金利については、大変な痛みということも、私、いろんな方からそういう声もお聞きしましたし、その痛みも感じておりました。しかし一方で、その経済自体、金融自体が崩壊をしてしまうとこれは元も子もないという思いでやっておりました。そういう意味で、最初に申し上げたことと後で申し上げたこの二つのバランスをどうやって取っていくのかというのが課題であったなというふうに振り返っております。  それから、福井総裁武藤総裁、それから岩田副総裁、この体制の下で武藤総裁についてどう思うかというお尋ねで、上司のいる前でその上司のことについて申し上げるのはなかなかあれでございます。  私自身は、評価ということではなくて、私自身の若干の感じを申し上げたいと思うんですけれども、私、一昨年の七月に日本銀行の理事を退任いたしましたけれども、武藤総裁日本銀行に来られてから三年四か月の間、理事として補佐をいたしました。金融政策金融市場決済システムの面で補佐をいたしましたけれども、この三年四か月の間、私、非常に気持ちよく仕事をさせていただいたというのが私の感想であります。  個人的な、お尋ねですので、感想ということで申し上げますと、常に中央銀行として何が最も望ましい政策であるのかということを追求しながら、中央銀行という組織あるいはセントラルバンキングというものがどういうものかということを大変それについて理解されよう、その努力をされて、いろんな行内の幅広い意見に耳を傾けておられたなというのが私の印象でございます。  何かこういうことを申し上げるのは大変僣越でございますけれども、そういうふうに思います。
  66. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 ありがとうございました。頑張ってください。  以上です。
  67. 西岡武夫

  68. 山下栄一

    山下栄一君 伊藤先生に一問だけ質問をさせていただきます。  先ほどの所信の中で、日銀の現状について様々な改善の取組が行われてきた、しかしまだ完成はしていないと、こうおっしゃっておりましたけれども、今後、改革、改善すべき点をお考えの一端をお話し願えればと思います。よろしくお願いします。
  69. 伊藤隆敏

    参考人伊藤隆敏君) 透明性の確保についていまだ完成していないと私は所信の中で述べました。その意味は、やはりマーケット、それから海外投資家等との間で、日銀が何を目指しているのかということについて必ずしもすべて明快になっているというふうには、私、外から見ている研究者として感じておりません。まだ改善の余地があるのではないかということを考えております。  したがいまして、端的に言って、インフレ目標を押し付ける気は全くありませんで、インフレ目標も一つの選択肢であると思いますが、それ以外で改善の方法があるんであろう。例えば、アメリカは最近透明性を向上するためにということで幾つかの施策を導入したわけですが、いろいろな方法で、中央銀行が何を考えているのか、何をやろうとしているのか、どういう判断を持っているのかということについて、改善していく余地というのは私はまだあるというふうに思っております。
  70. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 大久保勉君。
  71. 大久保勉

    大久保勉君 民主党の大久保勉です。伊藤参考人に短く三点質問したいと思います。  まず一点目は、食料、エネルギーを除く米国型コアCPIは引き続きマイナスであります。どうして日本経済はデフレを脱却したと見ているのか、また現状に満足しているのか。  二点目、日本金融システムの健全性に関して現在の認識を伺いたいと思います。米国サブプライムローン問題、地域経済の低迷、巨大な過払い請求金の消費者金融業界や銀行に与える影響などの現状認識とその対策をお聞きしたいと思います。  最後の点ですが、日本金融資本市場の競争力を高めるためにどのような政策が必要であるか。この点に関連し、先進国中央銀行に比べて日本銀行が劣っており改善を要する点があれば指摘し、あなたがそれに対して何をなし得るか教えていただきたいと思います。  以上です。
  72. 伊藤隆敏

    参考人伊藤隆敏君) 三点、御質問にお答えしたいと思います。  デフレに関しては、先ほど武藤参考人からお話があったように、これは定義によると思います。  それで、日本型の生鮮食品を除くというところではプラス〇・八%、したがってこの指標で見る限りデフレは脱却している。ただし、GDPデフレーターで見る、あるいはコアコアで見るということ、日本型のコアコアで見るということではまだ脱却していないということで、これははっきり言って定義によるというふうに思いますが、日本銀行が生鮮食品を除くCPIで主に判断をしているという意味ではデフレは脱却しているということだと思います。これは、しかし定義によるということを強調しておきたいというふうに思います。  金融システムの健全性についてでありますが、幸いにしてサブプライムからの直接的な影響というのは日本は軽微に終わっております。ただし、いろいろな形で、例えば為替レートあるいは株価という意味ですが、いろいろな形で間接的に日本に対しても影響が来ておりますので、そういう意味では日本金融機関の健全性について監視をしていくということは必要であると。これは主に金融庁の役目であると思いますが、日銀もその考査というものを通じて注意をしていくということは当然であるというふうに思います。  特に重要なのは、本来健全であるべきマーケットに対して、サブプライムという問題が確かにあったマーケットから飛び火してくる、コンテージョンと言いますけれども、そのコンテージョンが起きるということは何としても防ぐべきことでありますので、そういう意味流動性の確保あるいは信用の収縮に対しては気を付けていくべきであるというふうに考えております。  過払い問題、それから、そういった日本の固有の問題ということがあるマーケットもありますが、これについても、問題があったところに適切な対処をするということは当然でありますけれども、そこから飛び火するということについては十分にそれを防ぐという手だてを持つべきであるというふうに考えております。  三点目、日本金融資本市場強化のために何が必要かということでありますが、これについては、金融庁それから日本銀行それから財務省というこの金融関係の機関がよく意思疎通をして、日本にとって何が必要なのかということを考えていくという体制が重要であるというふうに考えております。これはイギリスも同じような三者の会合を持っております。アメリカの場合、金融監督体制がばらばらですので必ずしもその三者というふうに定義はできませんけれども、いずれも中央銀行それから金融監督それから財務省というのが基本的に金融資本市場の強化ということについて責任を持って考えている。特に、イギリスでもアメリカでも日本でもそうですけれども、金融市場を強化することによって成長力につなげていこうということについて今非常に強い意識を持っておるというふうに思っております。  以上です。
  73. 大久保勉

    大久保勉君 中央銀行
  74. 伊藤隆敏

    参考人伊藤隆敏君) ああ、中央銀行役割ですか。  中央銀行役割金融資本市場の強化における中央銀行役割という点については、一番重要なのは決済システム安定性を確保するということでありまして、金融資本市場の発展に伴っていろいろなニーズが増えてくるということで、それについてのシステムの安定性を確保していくということは非常に重要だというふうに考えております。  それから、これはもうここ十年の話でありますけれども、中央銀行の営業時間を延ばすことによって各中央銀行間の決済の時差から生じるリスクというのを軽減しようということもやってきておりますので、そういった形で国際間の連携というのも非常に重要になってくるかと思います。
  75. 西岡武夫

  76. 丸川珠代

    丸川珠代君 自由民主党の丸川珠代でございます。本日は、参考人皆様、御苦労さまでございます。  伊藤参考人にお伺いしたいんですけれども、報道の中に意外な人選であるというようなこともございますけれども、経歴を見る限り大変にふさわしい方ではないかと拝見しております。とりわけ、所信表明の中でもおっしゃいました結果への説明責任マーケットと対話を重視するという姿勢、それから透明性の確保に努めという姿勢は、市場の安心や信頼を得るものであると非常に頼もしく感じました。そして、インフレ目標設定の政策に関しても、高いインフレ率を設定して何らかの効果を得るというのではなくて、それを明らかにすることによって透明性を確保し信頼を得るという姿勢だということで、これはあくまで透明性を確保するという上においての目標政策であるというふうに理解をしてよろしいんですよね、と考えておりますが。  ここで一点。一部ですね、白川参考人伊藤参考人両者の間において、そのインフレ率目標設定において議論になるのではないかと、意見の対立があるのではないかという懸念が言われておりますが、この点に関してどのようにお考えでしょうか。そして、もし対立があった場合にはどのように調整をしていかれるおつもりでいらっしゃいますでしょうか。  そして二点目は、所信表明の中でもおっしゃいました成長鈍化物価上昇が一度に起きるというスタグフレーションのリスクについて、伊藤参考人は日銀の中でどのようなアラート、警告を市場に対して発していくおつもりでいらっしゃるのか。  そして三点目は、長らく続いております低金利政策の中で金融政策の幅が狭くなっているということについてはどのようにお考えでしょうか。
  77. 伊藤隆敏

    参考人伊藤隆敏君) 第一点目については、インフレ目標政策の正しい理解ということをいただきましてありがとうございます。  報道にあります白川参考人と私の間の意見の対立があるのではないかということでありますが、これは、私は議論はさせていただきたいと思います。ただ、議論をするということは対立があるということではないというふうに考えております。目指す目標というのは、私は白川さんと私の間でそれほど違いがあるとは考えておりません。問題は、そこに到達するための手段についてどのような手段というのが適切なのか、どのようなフレームワークですね、枠組みが重要なのかという点について多少意見の違いが現在あるのかもしれない、あるいは過去に書いたものの中であるのかもしれない。ただし、これも経済状況が変わってくる中で今、白川さんの考えていることと私の考えていることにどれくらい距離があるのかということについては、最近は議論しておりませんのではっきりとしたことは分からない。ただ、これは機会というか、もし二人そろって就任することができれば、そこで議論を開始して一致点を探っていきたいというふうに考えております。  二番目のスタグフレーションのリスクでありますけれども、これは所信の中でも申したとおり、中央銀行にとっては非常に難しい選択を迫られることでありまして、こうすればいいという答えがあるわけではありません。その状況次第で、どういったショックによって物価が上がっているのか、どういったショックによって生産が下がっているのかと、その要因分解、要因分析を非常に緻密にしないと、そこでどうしたらいいかということが出てこないということになると思います。したがって、前もってインフレ率をここを目指した方がいいとか、あるいは成長にこれだけ気配りした方がいいということを前もって言うことはできない。ただ、そこにトレードオフがあって非常に難しい選択が迫られているんだということについては議論を喚起していきたいというふうに考えております。  低金利政策の中で政策の幅が狭いということは、これはそのとおりであります。ただ、重要なのは、低金利という場合に、確かに名目金利で見ると〇・五%なわけですけれども、これはアメリカと比べた場合に、アメリカは確かに金利は高かった、そこで選択の余地があったわけですけれども、非常に急速に下げることはできたわけですが、逆にインフレ率日本よりも高いわけですから、そういったインフレ率と金利の関係で見た場合に、日本の方が選択が必ずしも狭いということではない。これは名目金利だけではなく、名目金利とインフレ率の関係を見ていくということが非常に重要だと思っております。  以上です。
  78. 丸川珠代

    丸川珠代君 ありがとうございます。
  79. 西岡武夫

  80. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  それでは、白川さんと伊藤さんに簡単に二問ずつお伺いをしたいと思います。  まず、白川さんには、バブル発生が、当時の財政上の制約や財政政策金融政策の関係がその遠因の一つというふうにお考えになっておられるかどうか、これをお伺いしたいと思います。  そして、二点目は、超低金利のメリットとデメリットをどのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。  そして、伊藤さんにも先に御質問をさせていただきます。  伊藤さんの大変多くの著作、文献、ごく一部を拝読させていただいておりますが、財政政策基本的に無効であるという御主張のようでありまして、その御主張に沿うと、マクロ経済政策金融政策中心に行うべきだというふうにお考えになっているのかどうか。そして、その延長線上のお考え方として、インフレターゲティング論や日銀による様々な資産買入れということを主張していらっしゃるという、こういう理解でよろしいでしょうかというのが一点であります。  そして、二点目は、インフレターゲティング、選択肢としては否定しないというふうに先ほどもお答えになりましたが、そういたしますと、先ほどの武藤さんとの発言のそごを今後、もしお二人が正副総裁のコンビを組まれた場合にどう解消するか。  どういう意味かと申し上げますと、武藤さんは、もしインフレターゲティングなどの目標が設定された場合には政府努力をすることが前提だとおっしゃいましたが、伊藤さんのお考えは、財政政策は無効であるというお考えですから、ということは、完全に日銀が丸抱えでマクロ経済政策をやるということになりますが、この矛盾をどのようにお考えになっておられるでしょうか。
  81. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  バブルの遠因のことでございます。  バブルというのは、なぜ発生したのか。今回のアメリカのサブプライムもそうですし、過去のすべてのバブル、そうだと思いますけれども、これ、いろんな要因が絡み合って、人々が異常に強気になってしまうと。後から考えてみると、何であんなふうに強気になったんだろうかと思うほど強気になってしまうという現象だというふうに思います。  じゃ、それではなぜそういう強気が、強い期待が発生したのかということでありますけれども、これもまたいろんな要因が関連していると思います。この一つの要因でバブルが起きたというものでは多分ないと思います。例えば、当時を思い起こしてみますと、ジャパン・アズ・ナンバーワンと非常に日本経済力に対してみんなが自信を持ったということもございました。金融面では、これは現在の低金利がずっと続くという期待があったこと、これも一つバブルを促進する要因であったというふうに私は考えています。  それでは、金融政策に絞って、なぜ今の低金利がずっと続くのかというふうにみんなが思ったかといいますと、一つの理由は、物価上昇率が非常に安定していたと申しますか、消費者物価で申し上げますと、当時はマイナス若しくはゼロ%台という時期が結構続きました。そういう下で金利を上げていくということについて、これはなかなかサポートを得にくかったし、それから最終的に日本銀行自身もそこまで金利を上げろということにやっぱり踏み切れなかったということでございますけれども、そういう意味で、なぜ強気になったかという一つの理由は、そういう物価の下での低金利ということだったと思います。  それでは、財政はどうかというお尋ねですけれども、財政も、そのときの非常に強い好景気の下で税収が上がってくるということがあったという点においては関係はしていると思います。ただ、財政の問題が、これがバブルの原因であったというふうに言うのは多分それはちょっと言い過ぎかなと、強過ぎるかなと。遠因、つまり、すべていろいろ関連していますから、もちろん財政についても関連はしていると思いますけれども、私は一番大きな理由は、やはり人々の異常に、より強い期待金融政策という面でいきますと、先ほどの低金利の持続期待ということが残念ながら生まれてしまったということであったというふうに感じております。  それから、超低金利のメリット、デメリットですけれども、先ほども少し申し上げましたとおり、金利というのはこれ経済活動の体温みたいなものだと思うんです。そういう意味で、政策的に働きかけていくという面と、それから経済の実態に合わせて金利を調整するという両方の側面があると思います。超低金利にしていったという局面では、先ほどのような非常に厳しい経済の下で何とかこの経済を立て直していく、更に突っ込んで悪くなることを防ぐために超低金利にしていったということで、これをメリットというふうに整理すればメリットというふうに考えられます。  一方、デメリットですけれども、これはマクロ経済全体で考えた場合のデメリットでございますけれども、経済の実態が改善していったそういう中で、なおかつずっと低金利を続けるということがありますと、先ほどのバブルも一例でございますけれども、いろんな形で経済にひずみが生まれていく、結果的には長期的な意味での持続的な成長が実現できなくなってくるということになると思います。そういう意味で、マクロ的には、低金利のデメリットとしては、経済の実態が改善した後も低金利が続きやすいということが、これは日本のバブルもそうでしたし、それから最近のアメリカのサブプライムを見てもそうですけれども、そういうことがデメリットという形で整理をできるかなという感じがしております。  あと、個別に見た場合に、もちろん経済は、必ず債権者がいれば債務者がいるということで、もちろんある人が得をすればある人がその限りでは損をするということはありますけれども、その問題は取りあえず抜きにして、まずマクロで見た場合にはそういう整理になってくるというふうに思います。  中央銀行としては最終的には、いろんな痛みを感じつつも、最終的には経済全体を判断して政策運営しないといけないというふうに考えております。
  82. 伊藤隆敏

    参考人伊藤隆敏君) お答えしますが、第一点目については、私の主張というのは、既に債務残高が高い状況において、いわゆる総需要政策、ファインチューニングとしての財政政策には非常に限界がある、極端に言うと無効であるという主張であります。  したがいまして、まずビルトインスタビライザーという自動的に起きる財政の効果については、これはあるだろう。それから、財政政策の中でも、支出項目を乗数の小さいものから大きいものに変えていくという、中身を変えていくということについては効果があるというふうに考えております。  ただ、バブル崩壊の中でよく行われていた、補正予算を中心として、あるいは公共事業、使いやすいものからという形で公共事業で増やすという意味での財政政策は、効果は一時的で債務の増大というものを残してきたと、そういう理解であります。したがって、全部が無効ということではありません。  次に、中央銀行が、その一つのお答えで、ただ、金融政策が丸抱えで何でも資産を買い入れるということをおまえは推奨しているんではないかということでありますが、これは非常に時期を限定した場合の政策提言でありますから、先ほどから話が出ているように、デフレスパイラルの縁にあったという状況の中で何ができるのかというときには、やはり通貨の供給量ですね、いわゆるマネタリーベースを増やしていくということが最大の防御策、デフレスパイラルに陥らない防御策でありまして、そのためにはそれまで買っていなかったような資産も中央銀行が買い始めるということは一つの選択肢であるということで政策提言をさせていただきました。一部日本銀行もそういった政策を取ったと理解しております。  二番目の点でありますが、インフレ目標も選択の一つということを述べたこと自体が武藤さんの主張と直ちにそごを来すというふうには思っておりません。経済状況が変われば中長期的な物価安定の理解というものも見直していく余地も出てくるというふうに私は先ほどのやり取りをお聞きしましたので、これはかなり近い考え方であるというふうに私は理解しております。  それから、政府努力するのかしないのかという点でありますが、これは先ほどの質問の延長線であるかと思います。  目標設定の独立性が、中央銀行が持った方がいいのか財務省が持った方がいいのかということで、先ほどもお話がありましたイギリス型というのは、財務省中央銀行の間でレターを交わして、財務省目標を与えるんだけれども、その与えるときに、財務省はこれだけのことをやるということを一応理解、お互いの間にその理解があるということで、それで財務省中央銀行に与える。  私は確かに、何年か前にこれは目標設定の独立性中央銀行が持っていないのはおかしいんではないかということで、当時は副総裁であったマービン・キングと議論したことがあるのですが、彼いわく、いや、これは財務省目標設定をしてくれるというのは全然そんな独立性を侵すことにはならないんだと、それはなぜかというと、やはりそれは政府目標を共有して政府にできることはやるということを宣言していることにつながるから、これは中央銀行にとって決して悪い話ではないということを彼が言って、ああそうなのかというふうにそこで納得したわけです。  ただ、これはイギリス型でありまして、ほかにスウェーデンとかカナダとか、中央銀行目標設定にもうちょっと強い役割を果たしている中央銀行もありますので、これもやはりその国の実情に合わせて考えていくべきことで、これは今後いろいろな、日本にとってベストな形というのは何かと、そもそもインフレ目標を入れるかどうかということも含めて、日本にとってベストな方法というのは何かというのを模索していきたい、議論していきたいというふうに考えております。
  83. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) ただいまの伊藤さんと白川さんの御発言について、特に武藤さんから御発言ございませんか。なければ……。
  84. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 今の議論と私の申し上げたことと、ちょっと私も表現が不足するところがあるかもしれませんが、基本的には平仄の合った議論だなというふうに思って伺っておりました。  以上でございます。
  85. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もないようですから、これにて候補者に対する質疑を終了いたします。  候補者方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして御意見をお述べいただき誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼申し上げます。  なお、懇談会の速記録は本日の委員会会議録末尾に参照掲載することといたします。  これにて懇談会を終了いたします。    〔午後四時八分終了〕