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2008-06-10 第169回国会 参議院 環境委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任      風間  昶君     山下 栄一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松山 政司君     理 事                 岡崎トミ子君             ツルネン マルテイ君                 中川 雅治君                 橋本 聖子君     委 員                 小川 勝也君                 大石 尚子君                 大石 正光君                 大久保潔重君                 轟木 利治君                 広中和歌子君                 福山 哲郎君                 荒井 広幸君                 神取  忍君                 川口 順子君                 矢野 哲朗君                 加藤 修一君                 山下 栄一君                 市田 忠義君                 川田 龍平君    衆議院議員        環境委員長    小島 敏男君    国務大臣        環境大臣     鴨下 一郎君    副大臣        環境大臣    桜井 郁三君    大臣政務官        環境大臣政務官  並木 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        加藤 堅一君    政府参考人        内閣官房地域活        性化統合事務局        長代理      上西 康文君        内閣大臣官房        審議官      西川 泰藏君        外務大臣官房審        議官       新保 雅俊君        外務大臣官房参        事官       山崎  純君        文部科学省科学        技術学術政策        局次長      川原田信市君        厚生労働大臣官        房統計情報部長  高原 正之君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       鶴田 憲一君        厚生労働省労働        基準局労災補償        部長       石井 淳子君        経済産業省製造        産業局次長    照井 恵光君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院次長    鈴木 正徳君        国土交通大臣官        房審議官     内田  要君        国土交通大臣官        房審議官     小川 富由君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君        環境省総合環境        政策局長     西尾 哲茂君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       石塚 正敏君        環境省地球環境        局長       南川 秀樹君        環境省水・大気        環境局長     竹本 和彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○環境及び公害問題に関する調査  (「福田ビジョン」に関する件)  (石綿被害者救済法改正に関する件)  (サマータイム制度導入に関する件)  (アジア途上国における石綿対策に関する件)  (放射性廃棄物の処理に関する件) ○石綿による健康被害救済に関する法律の一部  を改正する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 松山政司

    委員長松山政司君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、風間昶君が委員を辞任され、その補欠として山下栄一君が選任されました。     ─────────────
  3. 松山政司

    委員長松山政司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房地域活性化統合事務局長代理上西康文君外十六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松山政司

    委員長松山政司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松山政司

    委員長松山政司君) 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 おはようございます。岡崎トミ子でございます。  昨日、温暖化に関するいわゆる福田ビジョンが発表されました。この福田ビジョンにつきましては早くから少しずつ情報ども出ておりまして、相当な内容になるのではないかと期待をしておりました。昨日、実際の内容を見まして、またテレビも拝見いたしましたけれども、正直なところ当惑して、残念な思いをいたしました。鴨下大臣はどういうふうに思われたのでしょうか。  長期目標につきまして、現状から六〇ないし八〇%の削減と言っております。京都議定書はもういいというメッセージと受け取られかねないというふうに思いました。中期目標につきましては、目標設定ゲームに時間を費やす余裕はもはやないと言った上でいろんなことを言っておりますが、結論がよく分かりませんでした。現在比一四%を日本中期目標として訴えようとしているのか、仮に二〇〇五年を基準として一四%だというふうに言っているのか。  九〇年比では、これは四%削減にも満たないということになるわけでありまして、これは一四%だということになりますと、ちょっと私たちも九〇年比では四%に満たないような状況では困るということなんですが。さらに、EUと同程度という削減を言っているんですね。EUは九〇年から削減した上に更に一四%を削減しようとしているのに対して、日本は九〇年比六%以上増加したところからの一四%削減ということですから、ごまかし以外の何物でもありません。環境省も含めて、政府全体の方針としてこれでいいのか、お尋ねいたします。  そして、この中期目標の決め方について長々と説明している部分は、結局のところセクター別アプローチによる積み上げ方式で、国別目標を決めるための理屈を言っているように聞こえるんですが、どうなのか。民主党はこれまで、セクター別アプローチにつきましては一定の評価はしてきておりますが、これでは二五ないし四〇%という数字に届かないのではないかと思います。  このセクター別アプローチは、国別中期目標設定を代替するものではないと繰り返し鴨下大臣は言ってこられましたが、この点についてもきちんと総理に迫っていただきたいというふうに思いますが、この点についてもいかがでしょうか。  技術革新についてですが、二〇五〇年の排出量半減、八〇%削減は、総理は昨日、まだこの世に存在していない温室効果ガスを生み出さない技術革新開発に成功するかどうかがかぎを握っているというふうにおっしゃって、技術開発に向けた具体策なき諸外国に対して、日本開発投資を行っているというふうに胸を張って誇らしげにおっしゃっておられました。  技術開発が不可欠なのは、間違いなく私たちもそういうふうに思いますし、民主党もその重要性は強調してまいりました。しかし、総理発言は、目標設定ゲームに時間を費やす余裕はもはやないというふうに言ったさきの発言と併せまして、意欲的な中長期目標を率先して掲げた諸外国姿勢を軽んじているのではないか、できないものはできないと居直っているのではないか、そんなふうにも聞こえました。  国立環境研究所研究成果と、またIPCCの研究成果は、今ある、あるいは近い将来開発が見越される技術水準で必要な対策というのは可能であるということを示しておりました。技術開発必要性というものを強調し過ぎることはできませんけれども科学が私たちの前に告げた削減目標の達成こそが最優先であるという根本を忘れないように、大臣からもくぎを刺していただきたいというふうに思います。  そして、キャップアンドトレードの問題でありますけれども、このキャップアンドトレードの問題につきましては、排出量取引制度、初めて前向きに打ち出したというふうに受け取られておりますけれども、百歩、千歩譲って、少なくともこれがキャップアンドトレードに向けた動きであることをしっかり大臣にも確認しておきたいというふうに思います。今必要とされているキャップアンドトレードなのかどうかについてお伺いしておきたいと思います。  全体として、これまでせっかく環境省が積み重ねてきたものさえもどこへ行ってしまったのかという気持ちがいたします。基準年の問題、セクター別アプローチの問題、まず必要な削減の達成ありきだという点について、問題提起を踏まえて大臣の所信と決意をお伺いしておきたいと思います。
  7. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 技術的な部分だけお答えさせていただきます。  まず、今回の出ました福田ビジョンでございます。私どもも、実は昨日夕方、初めて拝見をした次第でございます。そういった状況でございますが、余りコメント能力はないのでございますが、率直な私の中身についての感想だけ申し上げますと、数字議論、おっしゃるとおり、九〇年から計算する問題と二〇〇五年から計算する、大分変わってまいります。これにつきましては、どういう数字を使うか、一四という数字を並べるのがいいかどうか、いろいろ判断あろうかと思います。  ただ、これにつきましては、いずれにしましても、環境省としましては、年内には京都議定書AWG基準年議論もございます。そういった議論の中で、何が公平で何が一番その削減意味があるのかという観点から対応したいということでございまして、それ以上のことは現在ございません。  それから、当然ながらその積み上げにつきましては、それを国別総量削減目標一つの手段として使うということでございます。当然ながら、バックキャスティング等によりますトップダウンによる必要量も別途あるわけでございまして、その差を埋めていくということについては、神戸での環境大臣会合のときの結論を変えるものではないというふうに承知をしております。  それから、技術革新につきましては、現在ある技術を駆使することはもちろんでございます。炭素価格を付けるという表現、この昨日の話にございますけれども、そういった作業をする中で、いかに技術が普及しやすくするかということがまず大事でございますし、その上で、当然ながら、将来、二〇五〇年に向けて新たな技術革新が要るということかと思います。  私ども、したがいまして、このキャップアンドトレードにつきましても、炭素価格を付けるということで、一つ踏み込んだ表現があったというふうに考えております。当然ながら、具体的な内容をどうするかについては、これから政府部内で議論をして具体的な進捗を検討していくということになろうかと思います。
  8. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今、局長から答弁をいたしましたけれども、私たちはまず、あの総理お話の中で、G8の環境大臣会合議長総括にのっとっていただいたところがかなりあるというような意味においては、私は大変有り難いというふうに思っております。  加えて、長期目標については、ああいった数字をお示しになったということ、これはかなりの前進だというふうに思いますし、加えて中期目標については、いろいろと御議論ありますけれども、私もかねてから、これは最終的にはCOP15に向けて、国際交渉の中でおのずと国益を踏まえ戦略的に定まっていくというふうなことでありますから、そういう趣旨に沿って申し上げますと、総理お話の中では、COP14までに、言わばセクター別積み上げも含めた様々な意見、こういうものを表明して国際交渉に当たると、こういうようなことについてはそれなりにお考えをお示しになったんだろうなと、こういうふうに思っております。  加えて、排出量取引については、これは総理が公の場でこういうような形に取り組むというようなことは今までなかったわけでございますので、これを一つの我々はよすがにしっかりと、今まで環境省として取り組んでまいりました自主参加型の排出量取引を更にバージョンアップさせたような形で提案もしていきたいと思っておりますし、加えて、できるだけ早期に、この第一約束期間の中においてもいつでも導入できるような形での制度設計について加速してまいりたいというふうに思います。  加えまして、先生から、それぞれ長期中期あるいはキャップアンドトレードについても総理に私の方からもいろいろと話をしろと、こういうような話でございましたので、そういう趣旨を受けまして、更に努力をさせていただきたいと思います。
  9. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 注目をしていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、石綿健康被害救済法改正について伺いたいと思いますが、これは議員立法で今進んでおりまして、今日この後、衆議院から送付されました改正案が採決を行う運びとなりました。課題は残りますけれどもすき間のない救済を目指した救済法がなお大きな課題を残してきたことに対して緊急の対処として議会として取り組めたこと、意義深いことだというふうに思っております。当然まだまだ大きな課題が残っていることを認識しまして取り組むことが不可欠でありまして、今日もそのことを踏まえて質問をしたいと思います。  石綿健康被害の特徴の一つは、潜伏期間の長さであります。診断の難しさと相まって、自分石綿による健康被害を受けてもどこで暴露したのか原因がよく分からなかった、そういうこともありますし、そもそも自分が病気になっても石綿によるものだということにも気付かない、そういうふうなことでそのままになってしまった、そういう場合もこれまで大変多かったというふうに思います。そのことがすき間のない救済を大変難しくしてきたと思います。そのために、どういうところで石綿を使っていたのかなどについても、情報公開は非常に重要であります。  今年の三月に厚生労働省が、ずっと求められてきた石綿暴露作業による労災認定等事業場名公表いたしました。民主党も直ちに声明を出して表明しましたとおり、このこと自体は歓迎いたしますけれども、多くの問題点がございます。  公表されました一覧表は、石綿による健康被害の問題が改めてクローズアップされるきっかけになったような既に公表されている企業が含まれておりませんでした。そして、既に公表された百六十四の事業場につきましては既公表ということで一まとめにして、そして二〇〇五年、二〇〇六年度の新たな労災認定特別遺族給付金支給決定件数合計数公表されただけでありました。  それぞれの事業場の新たな認定件数も当然公表されるべきだったと思いますが、これについて近日中に発表するということでよろしいか確認したいことと、もう一つ、三月に公表されました事業場名一覧、これはまさに事業場名一覧でありまして、それぞれの事業場がどこにあるのか、所在地が書かれておりませんでした。公表された事業場が、自分が昔住んでいたところの近いところで、自分がもしかしたら暴露しているんじゃないかということについて確認したいなという人もいただろうし、昔自分が働いていた、そういう事業場だったのかという、それすら分からないという、その声が非常に多かったという話です。  なぜ公表したのかを考えますと、こういった事業場がどこにあるのか、あったのか、明らかにしなければ意味がないというふうに思いますが、これについても今後追加して公表するのか、お聞きしておきたいと思います。
  10. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、本年三月の二十八日に、石綿による労災認定等事業場名公表をいたしたわけでございますが、その際に、既に公表した事業場につきましては、公表以来、継続して厚生労働省ホームページ掲載をし、広く注意喚起を図っていたことから、改めて公表しなかったわけでございますが、特別遺族給付金等請求を更に促進するという観点から現在、確認作業などを行っておりまして、今先生がおっしゃられました、その後に追加の認定件数も含めまして、近々追加公表する予定でございます。  それから、あわせまして、住所地についてのお尋ねもございました。これも、管轄監督署の名称を記載をしておりますけれども事業所住所については記載をしていなかったところでございます。これは、公表事業場所在地情報につきましては、事業場の廃止あるいは住居表示等の変更が多々ございますことなどから所轄の労働基準監督署で対応する方が的確に対応できるというふうに考えたためでございますが、今後につきましては、住所地も分かる範囲記載をして公表する予定でございます。
  11. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 三月分のことについて今まで発表してきたので改めてしませんでしたということでしたけれども、これは今後発表するということで、一言で答えてください。よろしいんですね、その確認で。
  12. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 三月分に公表したもの。まず、今考えて……
  13. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 二〇〇五年度分について。
  14. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 二〇〇五年度分。  まず、三月二十八日に事業場公表をしたものについての事業所の場所については、もちろん公表する方針でございます。
  15. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それぞれの事業場でどのぐらいの石綿がどういう形で使われたのか、どう作られたのか、これについても情報が必要ではないかと思いますが、その点についてはいかがですか。
  16. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 石綿による疾病の労災認定につきましては、その当該被災労働者が従事をした石綿暴露作業とその期間などを調査をいたしまして、個別に判断を行うものでございます。  事業所が過去にどの程度石綿を使用したかについては労災認定要件ではございませんため、これ把握をいたしておりません。したがいまして、労災認定等事業場一覧表に追加することは困難でございます。
  17. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 政府全体がやっぱりどこか、他の省庁なんかにも聞いてみますと、突き合わせをするとそういうものが出てくるというふうに思うので、厚生労働省だけじゃなくて、例えば国土交通省とか、こう突き合わせというか、そういうことをして出てくるのではないかというふうに思いますし、何のために公表してきたのかということを考えますと、政府全体で取り組むべき必要があるので、今ないので難しいというふうにおっしゃらないで、この後の努力も含めて政府全体で取り組むという姿勢を、努力をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  18. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 石綿使用量につきましては、石綿救済法における特別事業主要件となっておるわけでございまして、その特別事業主を特定する際に用いた情報につきまして、関係行政機関からの協力が得られれば、私ども、その事業所公表リストに盛り込むことを検討したいと考えております。
  19. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いいたします。  厚生労働省では、この事業場名公表を受けまして電話相談を受けたということでございますけれども、その相談内容の対応につきまして不安を感じた皆さんに、こんな質問がありましたよ、こんな相談がありましたよということを一括して、今後の対策のために是非重要な情報ですのでこれも公表していただきたいと思いますが、この点についてはいかがですか。
  20. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 本年三月二十八日に事業場名公表した際に、私ども電話照会窓口の設置をいたしまして、それにつきまして併せて記者発表したわけでございます。三月二十九日土曜日、三十日日曜日のこの二つ、二日間にわたりまして特別態勢をしきまして相談を受け付けましたところ、この両日で二百九十七件の相談がございました。相談内容といたしましては、過去に石綿を取り扱う作業に従事していた労働者の方からの健康相談が多かったわけでございまして、その方々には、医療機関で診察、検診等を受けるようにお勧めしたところでございます。  この公表後に寄せられた相談も踏まえまして、随時、ホームページ掲載内容を見直してまいりたい、当然、ホームページ相談内容につきましても掲載をしたいというふうに考えております。
  21. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 じゃ、またよろしくそれをしていただきたいと思います。お願いいたします。  情報公開というのは、救済の施策がきちんと機能しているかどうかということを検証するためにも必要だというふうに思っておりますが、三月にこの委員会で予算の委嘱審査を行った際にも、私、取り上げました。救済法に基づく特別遺族弔慰金、それから特別葬祭料につきまして、環境保全機構死亡年別表というものを公表しているわけですね。一方で、厚生労働省は、労災補償認定救済法によります労災補償時効救済に基づく特別遺族給付金につきまして同じような情報を出しておりません。厚生労働省答弁は、公表に必要な集計は行っていないが把握が不可能ではない、今後検討はしたいが、認定事業所名公表に向けた作業公表の際の集中的なPRの準備を優先したいということでありましたが、この点についてどうでしょうか。
  22. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) ただいま岡崎先生おっしゃったとおりでございます。そういうふうに検討をするということでお答え申し上げましたし、また優先をしておりました事業所名公表も、これを取りあえず三月二十八日に終えたわけでございます。  現在、本件につきましては集計を行っている最中でございまして、まとまり次第、これ近々まとまる予定でございますが、公表を行うということで考えております。
  23. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。  公表をされるということで、そのことを評価したいと思いますが、把握することが大変難しいのかどうなのかなんですけれども労災認定につきましては、これはいつ公表されるか、労災認定につきましては、どうですか。
  24. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) ただいま御答弁申し上げましたのは特別遺族給付金の方でございます。ただ、労災につきまして、いささか事情が異なる点をまず御理解をいただきたいと存じます。  労災につきましては、前回も御答弁申し上げましたように、この請求権時効範囲内であればその死亡年度にかかわりなく請求に基づいて支給決定を行いますので、その請求事案支給決定されるごとに遡及して各年度件数が変動するということで集計を行っていなかったわけでございます。  ただ、労災保険給付死亡年度別件数の再集計につきましても、可能な範囲集計する方向で現在検討を行っております。可能な範囲でと申し上げましたのは、実は労災認定事案につきましては、平成十八年三月二十七日から施行されております特別遺族給付金の場合と異なり、これ昭和の御代から認定を行ってきておりますので、認定から相当年月を経ているため関係資料がないなどの古い事案につきましては、既に集計することが困難という事情もございます。しかし、そうではございますけれども、可能な範囲死亡年別件数について集計すべく検討しているところでございますが、ちょっと時期につきましては今はまだお話しできる段階にはございません。
  25. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 取り組んでおられるということなんですが、死亡年別のこの表がないと、すき間のない救済というふうに言ったこの法律、そして五年後の見直しということもありますけれども、こういうことが検証できないというふうに思うんですね。是非それを出していただきまして、是非必要不可欠なものだという認識を持っていただいて、お取組をよろしくお願いしたいと思います。  環境省は、今各保健所が持っております人口動態統計の小票を基にしまして、中皮腫で亡くなった方々の御遺族に対して直接連絡をしまして、救済手続を進めるように伝えることを決めたという報道がされておりましたが、この作業はその後どうなっておりますでしょうか。
  26. 石塚正敏

    政府参考人(石塚正敏君) お答えいたします。  特別遺族弔慰金につきましては、これまで新聞、雑誌、ポスター等様々なメディアを活用しまして周知を行ってきたところでございます。  今御指摘いただきました点につきましては、御遺族の方が制度を知る一助となりますよう、救済法施行以前に中皮腫で亡くなられていることが保健所が保管しております死亡小票によって把握できる方の御遺族に対して、広報の一環として、各保健所等が救済制度についてのお知らせを行うというものでございます。  死亡小票の利用に当たりましては、総務省から統計法上の目的外使用の承認を得る必要がありますために現在申請を行っているところでございまして、今年の夏ごろから各自治体において開始できる見込みであるというふうに考えております。
  27. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 厚生労働省はこういう問題についてどうかかわるのかなんですけれども、こうした作業は大変有効だというふうに思いますし、これだけではしかし十分とは言えないという面もあります。必要な情報の収集、整理、分析、公表、必要な方々への周知、連絡を厚生労働省環境省と両省に求めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。うなずいてくださいまして、厚生労働省、ありがとうございます。  厚生労働省は、二〇〇五年度には、企業などが行いました健康診断のデータを都道府県の労働局を通して把握して集計したというふうに聞いておりますが、企業の健診、働きかけというものが認定とか給付につながっているのではないかというふうに思っていまして、企業による健康診断を始め退職者への働きかけ、それをしているかどうか、それから、労災認定特別遺族給付金支給決定件数、その間のことについて調査分析をしてはどうかなというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。この健診をしたことによって、いろいろ広がりを持っていくし、患者の皆さんに対してこのことについてお知らせをして自分がそうだということが分かっていく、大変大事なものだというふうに思いますけれども、その辺の調査分析をしてはどうかと思いますけれども、いかがですか。  なかなか企業との約束において事業場名公表できないとかいろいろあったんですが、その内容については知らせていくことできるというふうに思いますけれども、いかがですか。
  28. 鶴田憲一

    政府参考人(鶴田憲一君) お答えします。  事業所におきましては、労働安全衛生法に基づき、石綿等を製造し又は取り扱う業務に従事する労働者に対しまして、年に二回、石綿健康診断の実施を義務付けられているところであります。こうした健康診断の実施の際でありますとかその他様々な機会を通じて、事業場から労働者に対して離職者に対する健康管理手帳制度や労災補償制度を周知し、これらの制度への申請等につなげることは重要であるというふうに考えております。  厚生労働省といたしましては、これまでも事業主団体等を通じた周知を含めこれらの制度の周知に努めてきたところであり、今後とも石綿関連疾患を早期に発見し的確に労災補償をするため、事業場等に対してもこれらの制度をより一層周知するよう指導してまいりたいというように考えております。  分析につきましては、前回の結果につきましては二〇〇五年八月に、専門家チームにより、リスク評価に基づく健診対象や、アスベスト暴露者に対する健康管理の方法の検討を行うという検討会の資料として提出したもので、引き続きずっと解析する予定は今のところありません。
  29. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありません。そうですか。じゃ、一方的に、調査分析をしていかれるように、今後ともまた私は質問をしていきたいというふうに思っております。今の段階では全然前向きではなかったということでございますね。  いずれにしましても、環境省環境再生保全機構それから厚生労働省、地方公共団体が持っている情報、集めようと思えば集められる情報で活用されていないもの、それから、たくさんの給付を受けられなかった、給付を受けた方に対するアンケートの結果もそうでしょうし、研究会が持っている情報もそうではないかというふうに思いますが、これまでの船員保険の情報、地方・国家公務員や旧国鉄、専売公社それから石綿健康被害の補償、救済に関係のある制度、すべてに関係する情報も併せまして、政府全体が取り組んでいくのに当たってこの石綿健康被害救済のために全体像を把握する必要があると思いますが、環境大臣の御認識を伺っておきたいと思います。
  30. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 先生おっしゃるように、この石綿健康被害については、あらゆる分野、あらゆる情報、こういうものを一体として集約してしっかり取り組むと、こういうようなことが必要なんだろうと思います。  これまでも政府全体の中では、数十回にわたって関係省庁連絡会議、閣僚級のほか実務レベルにおいても開催すると、こういうようなことをやってきたところであります。また、加えまして、環境省でも石綿健康被害状況をできるだけ把握するため、救済制度において認定を受けた方々の暴露歴等を把握する調査を実施しているほか、石綿暴露の可能性のある人たちの所見に関する調査も行っているわけでございます。  これらの調査結果を含めまして、厚生労働省あるいは関係省庁、関係機関と情報交換を努めて連携をしっかりと図って、健康被害の実態の的確な把握、こういうようなことにしっかりと努力をしてまいりたいと思います。
  31. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 是非、全体像把握のために環境大臣の御努力をお願いしたいと思います。  今日、その改正案が採択されまして、この後、改正救済法が施行されますと、救済の対象が拡大することになります。これまで救済を受けたいと思いながら受けられなかった方々のうち、少なくとも今度の改正で対象になる方々には、改正の事実と、そのことによって今度の改正で対象になりますよということを確実に伝えなくてはならないというふうに思います。  まだ改正前ではありますけれども環境省環境再生保全機構、厚生労働省労働基準監督署等は、これまでに相談を受けた方々の中で救済を断念せざるを得なかった方々、今度対象となる方々にどういう体制で周知徹底を行うのか、お聞きしたいと思います。
  32. 石塚正敏

    政府参考人(石塚正敏君) ただいま先生から御指摘いただきました点は、私ども大変重要な案件であるというふうに認識しております。  今回の改正によりまして、石綿健康被害救済法施行後に認定申請を行わないまま亡くなられた方、いわゆる未申請死亡と言われる方でございますが、新たに救済給付の請求が可能となることとなるわけでございます。この制度の受付等を行っております独立行政法人環境再生保全機構におきましては、未申請のまま亡くなられた方の御遺族で相談等を通じて連絡先を把握している方につきましては、施行後速やかに法律改正の事実あるいは請求が可能になった旨を個別に御連絡申し上げることといたしております。また、現行法の下で既に認定されております方やその御遺族につきましては、療養開始日までさかのぼって、これは最大三年間でございますが、療養費等が支給されることとなるわけでございますが、これにつきましても個別に御連絡をする予定でございます。  これに加えまして、申請等の受付の窓口でございます地方環境事務所あるいは全国の保健所におきましても、改正内容について適切な御案内ができるよう対応についても万全を期してまいりたいと考えております。
  33. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 周知徹底よろしくお願いいたします。  環境省の全国調査で、救済法救済対象として認定を受けた被害者の四割がどこでアスベストを吸って暴露したのかよく分からない、そういうことが先週の有識者検討会で報告されております。労働者、そしてその家族でない方々が日常生活の中で暴露してきた、そして被害を受けた、しかし無視できないスケールで、非常に大きい可能性を改めてこの報告では明らかにされた、浮き彫りにされたのではないかというふうに思いますが、大変な結果だというふうに思います。  そこで、被害の多い地域でなぜ被害が多いのかということを分析する必要があると思いますが、この石綿を使った工場からの飛散という要因が大きいということが考えられるわけなんですが、今回この石綿を使った工場との位置関係などについて分析に踏み込んでいないというのはなぜなのか、お知らせください。
  34. 石塚正敏

    政府参考人(石塚正敏君) 御指摘の報告につきましては、健康リスク調査ということで、これまで各自治体の御協力を得ながら実施してきたものでございます。  今回の公表を行った調査のうちで石綿による健康リスク調査は、労働現場と関連している暴露歴が確認できない方の実態やその疾患に関する知見を得るために行ったところでございますが、参考として、暴露歴が確認できた方については、過去の居住歴と主な石綿取扱施設の位置関係を地図上にプロットしまして報告書案に掲載されたところでございます。また、被認定者、これは認定を受けた方の暴露状況調査におきましても、被認定者が過去に最も長く居住しておりました自治体別の集計などを行っているところでございます。  環境省といたしましては、今年度も引き続き、健康リスク調査並びに被認定者の暴露状況調査を継続することとしておりまして、石綿暴露の広がり等を知るために多角的に適切な調査分析を進めてまいりたいと考えております。
  35. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 是非、その工場等からの飛散が原因であるということが非常に大きいのであれば、そのことを早急に突き止めていただきたいというふうに思います。  次に、日常生活で暴露して被害を受けるということであれば、この面からもいよいよ救済法による救済と、それから労災補償の格差の問題に緊急に取り組まなければならないというふうに思っておりますけれども、その点についての御認識はいかがですか。
  36. 石塚正敏

    政府参考人(石塚正敏君) この救済法労災法との違いということになってまいりますけれども石綿健康被害救済法につきましては、潜伏期間が大変長い、あるいは症状が重篤であるということなど石綿健康被害の特殊性にかんがみまして、被害者の方々のお苦しみや負担というものを迅速に救済するための制度でございまして、民事上の賠償責任とは離れた救済を行うという制度でございます。賠償制度ではない、救済制度であるということから、雇用者の責任による賠償制度でございます労災と比較した場合、その給付の項目や給付の水準というものに差が生ずるというのはある意味ではやむを得ないものというふうに認識しております。  ただ、引き続き、石綿健康被害の実態につきまして調査を進めますとともに、救済制度の適切な運用というものに今後とも努めてまいりたいと考えております。
  37. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この点も注目してこれからもいきたいというふうに思っております。  さて、救済を受けた方々の五五%が石綿関連の職歴を持った方たちだったということも明らかになりましたが、これは現在、救済法による救済労災補償による格差というところに確実にとどまっているわけでありまして、本来は労災補償を受けられる方が給付水準などの低い救済法での救済を受けざるを得なかった、そういう懸念が改めて強まってまいりますので、これは制度ができる前から私は心配してずっと言ってきたことでもありました。  環境省厚生労働省と連携しまして、この救済法による救済を受けた方々の中に、本来、労災補償特別遺族給付金を受けるべきであったケースが含まれていないかチェックする必要があると思いますけれども、これまで延長線上の取組であるということであればちょっとこれは難しいので大変心配なんですけれども環境省厚生労働省はこれについてはどのように対応していらっしゃるのか、お聞きしておきます。
  38. 石塚正敏

    政府参考人(石塚正敏君) まず、環境省の方からお答えいたします。  対象者の方々が適切に制度を御利用いただくと、それが利用できますように、この本制度の受付窓口でございます環境再生保全機構、地方環境事務所あるいは各保健所というところにおきましては、労災補償制度や特別遺族給付金に関する資料というものを備え付けまして、窓口に来られた方々に対しては、救済給付等の説明のみならず、労災補償制度あるいは特別遺族給付金についても積極的に情報提供を行っているところでございます。  こうしたことを通じまして、対象者の方々は、例えば労災補償特別遺族給付金を受けることができる可能性があるという方につきましては、救済法による申請のほか労災の申請を併せて行うなど、制度を理解した上で申請が行われているものというように認識をしております。
  39. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) ただいまの点は岡崎先生平成十八年の国会でも御質問があったというふうに承知をいたしているところでございますが、その石綿健康被害救済法の施行に当たって石綿暴露の原因が仕事によるものなのかどうか不明な場合もあるわけでございまして、特別遺族給付金又は労災保険給付請求救済給付の申請を同時に行うことができる旨の周知を環境省とともに私ども行っているところでございます。  今、環境省の方からも御答弁ありましたように、救済給付の窓口におきましても積極的に労災等に係る情報提供を行っていただいておりますし、仮に職業暴露の可能性があるのではないか、このように思われた場合には、この労災の方の請求の指導についても行っていただいているというふうに承知をいたしているところでございます。  もとより、厚生労働省としましても、この石綿労災認定事業所公表のほか、医療機関向けに石綿暴露歴等のチェック表だとか、あるいは石綿暴露把握のための手引、こういう場合も労災認定のケースがございましたと具体的な解説を写真入りで行っているものでございますけれども、そういうものを作成配付をいたしているほか、リーフレット等についても配付をし、周知に努めているところでございます。  今後とも、環境省とも十分連携を図りながら、石綿救済法そして労災についての一層の周知に努めてまいりたいと考えております。
  40. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 質問の時間がなくなってしまいましたが、最後に大臣にお願いなんですけれども、これはもう確実に見直しをしていかなければならないというふうに思っております。まだまだ課題が残されておりますが、見直しに向けまして、患者とか家族とか支援団体と協議をする、その仕組みをつくるべきだというふうに思っておりますが、その点について是非お願いをしたいと思います。
  41. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今回の改正においても、すき間のない救済と、こういうようなことも、それぞれのところからの御意見を伺いながら前に動いたわけでございますので、引き続きそういうような形で様々な御意見をしっかりと聴くと、こういうようなことについては、しかるべきどういうような形がいいのかということも含めて検討させていただきます。
  42. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。
  43. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 自民党の橋本聖子でございます。  今、岡崎理事からも福田ビジョンについての質問がまず最初にありましたけれども、私の方からも最初にその点についてお聞きをしたいというふうに思います。  昨日、総理から記者クラブで地球温暖化対策に関する日本としての新たな指針が発表がありました。いわゆる福田ビジョンとも言える新たな新しい指針であるわけでありますけれども、この焦点となっていた二〇二〇年から三〇年ごろまでの温室効果ガス削減中期目標に関しまして、二〇二〇年までに二〇〇五年比一四%削減が可能との見通しを明らかにしまして、温室効果ガスの国内排出量を二〇五〇年までに六〇から八〇%削減するという長期目標が打ち出されました。世界に誇れるような低炭素社会の実現を目指していく中で、今年七月に開催される洞爺湖、北海道のサミットの議長国として、そしてさらには経済と、また技術の先進国としてより厳しい責任を受け持つべきという決意が示されたというふうに思っているわけですけれども、その実現を担保する方策として国内排出量取引制度の導入検討も盛り込まれたわけであります。  しかしながら、日本政府には国際社会に歩調を合わすためというような、そういう動機があったのかという声もありますけれども、制度導入に向け国民から真の理解を得るためには、今後、温暖化対策の手段として排出量取引制度をどのように活用していくかということと、やはりこれは一番大切なことだと思うんですけれども、何といっても明確なビジョンをしっかりと示すことが必要ではないかなというふうに思いますが、この点につきまして改めて大臣にお伺いしたいと思います。
  44. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 昨日、総理が発表されました「「低炭素社会・日本」をめざして」と、こういうようなことにおきまして、今先生がおっしゃっていた国内排出量取引制度につきましてはこういう記述がございます。CO2に取引価格を付け、市場メカニズムをフルに活用して技術開発削減努力を誘導していくという方法を積極的に活用していく必要があり、さらには、いつまでも制度の問題点を洗い出すのに時間と労力を費やすのではなく、むしろ、より効果的なルールを提案するくらいの積極的な姿勢に転ずるべき、こういうような明確なビジョンが示されたわけであります。  環境省としましては、これ国内排出量取引制度を有効な施策の手法の一つとして認識しておりまして、二〇〇五年からもう既に自主参加型の国内制度を実施して、知見や経験、こういうようなものを蓄積してきたわけでございますし、また、今年の初頭から、国内排出量取引制度検討会を設置して具体的な制度設計の在り方について掘り下げて検討を行って、五月に制度オプション試案を含む中間取りまとめを公表しました。  今後は、総理のビジョンの御趣旨、こういうようなものに沿いまして、我が国の実情に合った国内排出量取引制度の具体的な制度設計、こういうようなことをしっかりと進めてまいりたいというふうに思っておりますが、総理、試行段階で秋ぐらいにというようなお話もありましたので、環境省としても、今申し上げた様々な知見をしっかりと活用して、そして積極的に提案もしてまいりたいと、こういうふうに考えております。  そういうことでございます。
  45. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございます。  やはり、北海道の洞爺湖サミットにおいて、議長国として明確なビジョンをしっかりと示すことによって、国民の理解も得られて、そしてさらには、そういった環境への意識改革もできる大きなチャンスだというふうに思いますので、是非お願いをしたいと思います。  また、排出量取引制度に対してもう一点お伺いしたいんですけれども、排出枠を買えば済むというような、多少、何というんでしょうか、安易な考えで、実質的な省エネ対策がおろそかになるのではないかというような、そういった懸念もありますけれども、この点について局長の方からお話をいただければと思いますが。
  46. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 橋本委員御指摘のとおり、排出権取引というのは単なる売買になってはいけない、やはり実質的な削減にいかにつながるかということが大事だということだと考えます。  昨日の総理のビジョンの中でも、CO2に価格を付けて、技術開発削減努力を誘導していくというくだりがございました。これ、短期的に見れば、やはり炭素価格が幾らになるか、トン当たり削減するのに千円か二千円かとかそういった価格が出てまいりますと、それを見て、費用対効果の高い、言ってみればお得な対策技術の普及ということは進むと思います。また、長期的には、やはり世界全体で、二〇五〇年で、四十年後に五割まで減らす、また日本自身は更に六割以上減らすという目標でございます。当然ながら、その削減コストも上がってまいりますし、やはりそうしますと、厳しい目標に向かって技術開発も促進されるというふうに考えるところでございます。  それから、個々の企業の目から見ますと、排出枠の取引ができるということでありますと、少し長い目で見た投資の計画も立てやすくなると思います。A工場、B工場ございまして、A企業の方は、しばらくまだ工場で製品を作っても作れると、五年後に例えば建て替えて、より効率的な工場にしようとしますと、片やB工場は、まだ使えるけれども今のうちに省エネ工場に全部造り直してしまおうということが例えばございますと、B工場の方があらかじめ大幅な削減を設備投資によって図ると。それで、A工場がそれが分かれば、B工場で当面削減していただければ、その分の権利をお金を払ってB工場から買い取ると。そして、A工場は、三年後なり五年後に自分で設備投資をして省エネ工場に変えていくということもできると思います。  したがいまして、社会全体として、少し長い目で見ながらコストを安くして、なおかつ柔軟にその実質的な削減を図っていくということも制度設計をしっかり行えば可能だと思っております。私どもとしましては、当然、昨日の福田ビジョンにもございましたけれども、排出権取引というのをマネーゲームにはしてはいけないと考えております。いかに柔軟で実質的な削減につながるものにしていくか、そういった観点からの制度設計を十分検討していきたいと考えております。
  47. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございます。  長い目で見ることももちろん当然必要だと思います。ただ、この環境問題というのはやっぱり待ったなしでありますので、すぐやらなければいけないことと同時に、そういった中長期的にそういう環境問題を促していく政策というものをしっかりと明確にしていただければというふうに思いますし、前回の委員会だったと思うんですが、参考人の意見陳述をいただいたんですけれども、名古屋市さんのように、一人一人が、あるいはまた地域がどのぐらいの排出量を削減しているのかというようにしっかりと分かるように、そして取り組んでいきたいというふうに思えるような、そういうようなことを示すことも必要ではないかというふうに思いますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。  昨日の福田ビジョンにおいても、サマータイム制度についての導入に対する期待が述べられていたわけでありますけれども、世界的に見ますと、サマータイムを導入している国というのはヨーロッパ諸国、カナダ、アメリカ、そしてそれぞれの、それらの国々と関係の深いオーストラリアやニュージーランド、メキシコ、キューバ、そしてアジアではロシアやモンゴルも導入国でありますけれども、サマータイム導入の効果として一般的によく言われているのがエネルギーの節約、これはもちろんですが、屋外作業の生産性の向上、また余暇の拡大、そして交通事故や犯罪の防止あるいは減少というようなことが挙げられております。  環境省としましては、サマータイムが実施された際の省エネ効果というものはどのぐらいの試算をしているのかということと、もう一つは、それは我が国のエネルギーの消費全体から見てどのぐらいの割合になるかということを、なかなか、まだ導入されていないわけですし、試算として測るのは大変な、個人差もありますので難しいとは思いますけれども、今、大体どのような試算をされているかをちょっと教えていただきたいと思います。
  48. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 私ども試算をしてみました。これは試算結果、二〇〇五年に行ったものでございます。私ども、原則的には一時間ずれると、生活系がずれるということで、当然ながら、朝の明るい、涼しい時間から起きて一時間早く寝るということを想定して計算をしております。  そうしますと、これ、私どもはじいたのは、その場合のCO2のまず削減効果をはじきました。これが、照明の需要減を中心といたしまして、全体としまして百二十万トンのCO2削減効果があるというふうに見込んだところでございます。  内訳としましては、実際に省エネ効果があるのが百五十一万トン、それから逆に、一時間早く仕事も終わるということで余暇需要が増えるということで、それが逆に増要因としまして約三十二万トンあるというふうな推計をしております。したがいまして、約百二十万トンのCO2が年間にして減少するという試算でございます。  それから、エネルギー消費量にしますと、全体としまして、これが原油換算で六十三万トンでございまして、我が国エネルギー全体の中で見ますと〇・一%の削減になるということでございます。CO2でもやはり同じように約〇・一%の減少になるということが私どもの試算でございます。
  49. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 戦後間もなく、まだ生まれていないので分かりませんけれども日本でもGHQによりましてサマータイムが導入されていたことがありました。このときのサマータイムというのは、国民のコンセンサスを得ることがなく突然実施されたということで、かなり不評だったというふうに聞いております。  この当時の新聞記事を見たんですけれども、本当にコンセンサスが得られていなかったんだなと思うんですが、サマータイムをサンマタイムと、笑い話のような、本当らしいんですが、その時間をサンマを焼く時間なのかというふうに理解をした人がいたという当時の新聞を見たことがあるんですが、それだけ不評だったんだろうなというふうに、理解が得られていなかったんだろうなというふうに思うんですが。  昭和二十七年にGHQの廃止とともにこれが廃止になったわけでありますけれども、不評の原因としては、当時、日本ではまだ第一次産業が全体的に多くて、従事者が多く、元々習慣として日が暮れるまで働くという、これは日本人の、何というんでしょうか、いい習慣というふうに思うんですけれども、そういうようなことがあって、サマータイムの実施によって、またより朝早く、一時間分労働時間が延びたという結果になってしまった点が多かったということなんですけれども、今回も余暇の拡大については疑問視する声もあります。  サラリーマンなどの勤務時間が決められている労働者にとって、結局、朝早くに出勤をして働かされ、終わりにまた日が高いからといって残業させられるんではないかというような、結果的に就業時間が延びるんではないかというような危惧もあるというふうに言われております。また、多くの民間企業や一部官庁では残業が常態化していることもありますので、最も心配といえば、サマータイムに起因する労働時間超過に対して何らかのチェックが構築されなければなかなか難しいんではないかというような声も聞いておりますけれども。  同様に、エネルギーの節約についても様々な意見があります。エネルギーの節約について、欧米諸国と比べて日本はやはり蒸し暑いもんですから、夕方早く仕事が終わってそしてまた家に帰っても、日本人というのは余暇の時間を過ごすことが余り上手な国民ではないというふうに思うんですけれども、結局は家に帰ってエアコンを使う。先ほど局長の方からも、余暇に対して、排出量が増えることが引かれて百二十万トンだったでしょうか、そういうような計算がされているということでありましたけれども、やはりそういった各家庭の冷房費といいますか、そういうようなものが増えて、企業の経費の削減になっても全体としてやはり、先ほど、差引きをしなければいけないような状況になるということですけれども、この点についてもう一度、どこまで今後そのことを環境省として試算できるかということ、そしてまた、そういった余暇の過ごし方というものも同時にこれからは促していかなければいけない部分もあるんではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  50. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) まず、エネルギーの節約に、特に冷暖房、冷房の場合はどれだけなるかということでございます。  私ども、二〇〇五年にはじいた中で増要因は、先ほど申しましたレジャーの活発化に伴う増エネ効果と、それから家庭用の冷房需要が増えるということでございます。したがって、これをもう少し冷房だけに絞って申しますと、一時間早く帰宅したとしまして、企業での冷房需要は減るけれども家庭での冷房需要が増えるということが予想されるわけでございます。計算結果でございますけれども、企業での削減が約十六万四千トン、家庭での増加分が約六万四千トンということでございまして、御指摘のとおり、家庭での増加はいたしますが、差引きで十万トンの減になると思います。  ただ、やはりどうやって早く仕事が終わった場合に余暇を過ごすか、あるいはもう少しさかのぼっていかに仕事をうまく切り上げるか、大変難しい課題だと思います。滋賀県庁で、数年、何年か前に、県庁だけ一時間早くサマータイムを導入しましたら、最初の日に飲み屋に四時に行ったら公務員ばっかりだったといって批判されたということで、やはり結局、朝早く行っても一時間遅く、いわゆる前の五時なら五時、六時なら六時までいるしかなかったというようなこともございます。  やはり、そういった意味で、どうやってその時間をうまく使って、それがエネルギー増加にならないようにするか、これからの大きな課題だと思います。
  51. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 今、滋賀県の例を挙げていただきましたけれども、やはりこれは全体的にやらなければなかなか難しい問題なんだろうなというふうに思います。  国民生活・経済に関する調査会というのがありまして、委員でもあります矢野哲朗先生が会長でありますけれども、この調査報告が、先日、中間報告まとめられました。今期といいますか、この回は、今度、幸福度の高い社会の構築ということをテーマにしてこの委員会議論をされてきたわけですね。幸福度というものを国がどうやって測っていくのかという、今までにこの調査会のテーマとしては初めてではないかなというぐらい、でも大変意味深いといいますか、勉強になる調査会だったわけでありますけれども。  その中に、国民の生活環境と意識について参考人から意見を聞いたりですとか視察に行ったり、そういうことが行われたんですけれども、命を基本に置く社会の構築、地球環境問題と人の心の荒廃、戦後社会の幸福の物語とその揺らぎ等について意見が述べられて、幸福度を評価する指標の必要性、幸福度、幸福量のとらえ方等について質疑が行われて、幸福度の数値化や認識手法等について必要ではないかというような、そういうようなことがこの調査会の中で議論がありました。それぞれ人は自分自身幸福度をどのように測っていくかということでありますけれども、個人差はあるとしても、これからはやはり自然との共生、人間としてこの地球を愛して環境というものをしっかりと考えていくことに対しての幸福度というものをいかに子供たちの時代から育て上げていかなければいけないかという、そういうもう地球規模で人間がこの環境について考えるときが来たんだなということをこの幸福度の高い調査、意識というような会で更に勉強させていただいたわけでありますけれども、そういうようなことも含めまして、このサマータイム、環境への影響というものを省エネの一つになるためにもしっかりとまた環境省としてもバックアップをしていただければというふうに思いますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。  続きまして、環境モデル都市についてお尋ねをしたいというふうに思います。  今日は、地域活性化事務局からもお越しをいただいておりますけれども、今回、特に福田総理が力を入れているということでありますけれども、五月の二十一日が締切りでしたけれども、この環境モデル都市に公募が八十二が提案されたというふうにお聞きしておりますけれども、地元北海道からも七都市が手を挙げ、これは東京都の五都市・地域に比べて一番多いわけなんですけれども、やはりこれは北海道洞爺湖サミットに向けた歓迎機運も高まりながら、北海道としてしっかりとこれからサミットが行われる場所であるということの中で意識が高まっているんではないかというふうに頼もしく思っているところでありますけれども、それぞれの提案が今日公表されていますけれども、工夫を凝らしています。  その中で、特に北海道というのは冷暖房費というものがほかの地域に比べて物すごい多いわけですね。そして、やはりどうしても車社会ということもありますので、二酸化炭素の排出量も全国平均の一・三倍になってしまっているというわけでありますが、特に今回、子供サミットが開催をされる札幌市、これは北の政令指定都市でありますけれども、今回のサミットに向けて子供サミットが行われて環境大臣にもお越しをいただくということなんですが、その場所が雪を使った冷房設備があると、雪氷エネルギーですね。  今まで北国というのは、雪は雪害と言われて悪いものとされていたんですけれども、それがエネルギーとして利用される技術が発展したりですとか、あるいは雪の室、昔ながらの手法ですけれども、雪室を造っておいしいお米やまた野菜にも甘み度を増すですとか、そういうような技術というものが発展しておりますけれども、そういうような中で是非、寒冷地の独特のこのエネルギーを利用した地域というものもモデル都市にしていただければというふうに思うんですが、その点についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 上西康文

    政府参考人上西康文君) お答えを申し上げます。  この環境モデル都市の取組は、低炭素社会への転換に向けて高い目標を掲げて先駆的な取組にチャレンジする都市、地域を選び、環境モデル都市をつくることによりまして社会の仕組みを根本から変えていく道筋を示すことを目的とするということで、お話ございましたように、総理の強いリーダーシップの下にこの作業を進めておるところでございます。  御紹介いただきましたように、五月の二十一日に提案募集を締め切りまして八十二の提案をちょうだいをいたしまして、これは私どもホームページ上で既に公表をしておるところでございます。御覧をいただきますと、政令市、人口三百万人以上の都市から人口二千人の小さな町に至るまで、また地域的にも北海道から沖縄まで様々な地域から意欲的な御提案をちょうだいしたところでございます。  モデル都市の選定に当たりましては、もちろんその温室効果ガスの大幅な削減ということを目標として掲げ、先導的、モデル性に優れていること、それに加えまして、地域に適応した取組であること。そして、その取組が円滑、確実に実施にされ、実現可能性が高いと、さらに都市や地域の新たな活力の創出等に支えられてその取組が持続的に展開されていると、そういった基準、視点に基づいて、来月ごろを目途に選定作業を進めているところでございます。  申し上げましたように、地域に適応した取組ということ、やはりこれ一つ重要な視点でございます。この中にはもちろん、今御指摘のありました寒冷地の特性というような、そういうようなことも入ってくると思いますけれども、それぞれの都市、地域が置かれております固有の条件でありますとか特色を的確に把握をいたしまして、その特色を生かした独自のアイデア、あるいは先ほどお話にあった新しい独自の技術、そういったものが盛り込まれた取組であるということも選定の上で一つの視点になってくるかと考えております。  選定に当たりましては、総理が有識者の参集を求められました温暖化に関する懇談会の下に環境モデル都市あるいは低炭素社会づくりの分科会が設けられております。そちらの委員の方々によるヒアリングを実施して助言をいただきまして、選定の作業を進めていきたいと存じております。
  53. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございます。  環境先進国ドイツでは、自然エネルギーだけを使う自治体をつくりまして脱石油を実現しようという新たな動きも始まっていると聞いております。これは、環境問題といいますのは企業の利害関係ですとか個人のライフスタイルなどが複雑に絡み合うようなところがありますけれども、これからは、そういった意味では科学技術だけで解決できる問題ではありませんけれども、先ほど言っていただきましたように、地域の特性、潜在能力というものを含めて、あるいは主体性や積極性というもの、そういうようなものを引き出すことによって地域の環境問題への取組というものもしっかりとサポートができるような、そういう地域とそしてまた環境省一体となった取組というのが必要になってくると思いますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。  終わります。ありがとうございました。
  54. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  先ほど岡崎委員からも橋本委員からも福田ビジョンに対する質疑があったわけでありますけれども、私はまだ十分読みこなしておりません。個人的にはもう少し踏み込んでしかるべきではないかなというような印象は持っております。  我が党も六月六日に提言を発表しておりまして、五〇年までに温室効果ガスを八〇%削減を視野に入れた長期目標を掲げております。あるいは、二〇二〇年に二五%削減するとの中期目標を設定することと、そういう申入れを福田総理にしたところでございます。また、再生可能エネルギーについては二〇二〇年までに二・五倍と、そういうことについても提言をさせていただいているところでございまして、個人金融資産などを環境金融として活用するということだとか、あるいは為替取引、人道・環境税や国際連帯税などを考えると、そういった新たな資金メカニズムをつくり上げていくことについての検討を開始すべきではないかと、このように提言の中には触れてございます。いずれにしても、しっかりやっていかなければいけないなということで、しっかりの内容をもっと具体的にしていかなければいけないと、このように考えてございます。  それで、まず最初に、環境省にアスベストの関係で、予防的取組方法というのは非常に大事なわけでありましたが、しかしもう因果関係が明確になった段階である以上、これは未然防止をいかに進めていくかということもこれまた非常に大事なことでございます。ただ、今回のこういうことを通してやはり予防的取組方法、ほかの事案についても、事案といいますか、未知のリスクに関してどういうふうに対応するかというのは極めて大事なわけでありまして、平成十八年の四月の二十六日に予防的な取組方法の考え方に関する関係府省連絡会議を設置をしていただきました。この考え方を導入する、あるいはどういうときに発動をするかという、そういった要件について、もう二年たっているわけでありますので、環境省からちょっと答弁をいただきたいと思います。
  55. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) リオ宣言第十五原則に挙げられています予防的な取組方法につきまして、その重要性は言うをまたないわけでございますが、これは第三次環境基本計画の中にその重要性を位置付けました。  先生の御指導もございまして、十八年の四月に関係府省による連絡会議を開きました。その後、この適用要件ども含めましたこの予防的考え方を具体的に当てはめていくときのいろいろな物の考え方、これにつきましては国際的な議論の動向の把握等も行いまして、一定の整理の取りまとめをいたしました。そういうことをいたしましたということで、昨年の十一月には第三次環境基本計画の点検結果を閣議報告いたしておりますが、その中でもそういう、その旨を掲げさせていただいておるところでございます。  これ自体は、それぞれの個々の施策において関係省庁はこの考え方で反映をしていくというものではございますけれども、具体的にそれはどのようになっていくか、あるいはさらに各方面でどのような知見の進展があるかということがございますので、これにつきましては今の御指摘もございます、また本年も環境基本計画の点検を行いますので、その中で関係省庁ともよく連絡を取ってフォローアップをしていくと、そういう考えでございます。
  56. 加藤修一

    加藤修一君 第三次の環境基本計画の中身については、非常に積極的に私は展開しているなと思います。ただ、具体的にまだまだ難しいなというふうな、難しいというのはもっとしっかり展開してほしいなという、そういう意味でありますけれども、やはり今回の件については教訓としてしっかりとらえていかなければならないわけでありますし、あるいは未来のいさめという観点も私はあるようにとらえておりますので、是非そういう未知のリスクに関する予防的な取組方法については環境省主導して頑張っていただきたいと、このように申し上げておきたいと思います。  次、二点目でありますけれども、これは環境省にお願いしたいわけでありますけれども、アジアなど途上国の最近十年間のアスベスト使用状況、これをお願いいたします。
  57. 竹本和彦

    政府参考人(竹本和彦君) お尋ねのございましたアスベストの消費状況、使用状況でございますが、米国の地質調査所が発行しております統計資料によりますと、過去十年間というよりも、統計によりますと一九九五年から二〇〇三年までの情報が手元にございまして、九年間でございますけれども、累積アスベストの使用量、アジア地域におきますアスベスト使用量は約八百五十四万トンということになってございます。国別に申し上げますと、同じく九年間の累積でございますが、中国では三百九十五万トン、また、インドでは百二十六万トンというような数字が出てございます。
  58. 加藤修一

    加藤修一君 日本状況もそうでありますけれども、アスベスト使用の工場周辺住民一八%に胸膜プラークという、これは環境省調査だと思いますけれども、どこで吸ったかはもう分からないという人もいらっしゃるわけですね。今アジアの関係について調査結果を言っていただきましたけれども、恐らく、工場で働いている人、さらにまた、周辺で全く分からなくて吸い込んでいる人も相当数いらっしゃると。将来的には恐らく、日本が十万人という被害想定がされているようでありますけれども、死亡される方がそのぐらい出るという予測もあるようでありますけれども、アジアのことを考えてまいりますと、これはまだまだ実際に使われているわけでありますから、大変なことが想定し得るということで懸念しております、心配しております。  そこで、環境省はクリーンアジア・イニシアティブを推進しているわけでありますけれども、クリーンという意味ではやはりこのアスベストの関係含めてしっかりと対応しなければいけないというふうに考えておりまして、その中にこういう負の遺産についてどう対処をされていくかということも非常に重要であると。あるいは、廃棄寸前のいわゆる中古の船舶を日本から持っていって向こうで解体するということ、これは非常に重金属あるいは環境ホルモン的な疑いのある化学物質を含めて問題になっているというふうに聞いているわけなんですけれども、このクリーンアジア・イニシアティブではどういうふうに扱う予定なのか。あるいはさらに、中古の船舶の関係の解体の件でありますけれども、国際的なガイドラインを作るということも大切でありますし、あるいは関連の条約ということについても、それは議論してしっかりと検討していく問題ではないかなと、このように考えておりますけれども、この辺についてお願いいたします。
  59. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 御指摘のとおり、アジア地域、世界の経済成長の中心ということもございまして、その一方で大変な公害問題が起きております。もちろん、その温暖化のガスの発生という意味でも大変大きな量を出しておるところでございます。  そういった状況の中で、東アジア・サミットの中で、環境問題についてはやはり特掲して扱うことが必要だということで、その東アジア・サミットの前さばき、あるいはフォローアップという役目を兼ねまして、今年からでございますけれども、東アジア環境大臣会議というものが行われることになりました。今年は十一月にハノイで開催することを予定をしているところでございます。  私ども、その中で様々な環境問題を是非具体的に取り扱っていきたいと考えておりまして、クリーンアジア・イニシアティブを打ち出し、その具体化を図っているところでございます。  御指摘の、まず石綿でございますけれども、アジア地域においてはこの石綿の使用、大変多いわけでございます。その使用状況、規制状況、まだよく分かりませんので、それをきちんと調べまして、その上で、これまでの我が国の経験に基づく知見あるいは技術を移転していくということで、是非、アジア地域の対策を推進したいと思っておりますし、会議の中で、あるいはその事務的な会議の中で具体策を出していきたいと思います。  それから、船舶関係でございます。船舶についても、当然その東アジアの地域の中で議論をしていくわけでございますが、これにつきましては、さらにIMOという、国際海事機関においてもその具体的な環境保全上支障のないような船舶の解体というものについての意見交換も行っておりますし、徐々に新しいこのための条約ということの議論もなされておるようでございます。バーゼル条約もあるわけでございまして、そういったIMOの動き、バーゼル条約の動きを見ながら、私ども、東アジア環境大臣会合の場を活用しまして、是非問題の解決を進めていきたいと考えております。
  60. 加藤修一

    加藤修一君 船でありますから、国土交通省も関係すると思いますので、関係省とも強く連携して、今のIMOの関係含めてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  次に、経済産業省にお願いでありますけれども日本のアスベスト関連企業のいわゆる海外進出の現況ですね、それと今後の取組ということについてはどのように考えておりますか。
  61. 照井恵光

    政府参考人(照井恵光君) 先生質問日本企業の海外の石綿の生産状況でございますけれども、社団法人日本石綿協会を通じまして協会加盟の主要企業七社に対して調べたところ、過去、海外で石綿を生産した企業は三社ございました。しかし、現在におきましては、生産を行っている企業はないと聞いております。  経済産業省といたしましては、引き続き適切な情報収集に努めてまいりたいと考えております。
  62. 加藤修一

    加藤修一君 是非、調査をしっかり進めていただきたいと思います。  手元に持っている資料によれば、これは二〇〇一年の話ですから、二〇〇五年に石綿条約に日本が批准しているわけでありまして、二〇〇一年の段階では事業所ベースで日本の企業関係は四十五事業者があるという話で、それで相当石綿を生産して、周辺の諸国に輸出あるいはそこで消費ということになっているわけでありまして、この辺についてどういう議論が今後必要であるかということについても検討する必要があるんではなかろうかと。  先ほど環境省から様々な答弁をいただきました。パートナーシップ、これに関してのパートナーシップをどうつくり上げていくかということが極めて私は大切なことではないかなと思っておりますので、そういう面についてしっかりと検討議論を進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、外務省にお願いでありますけれども環境外交というのは極めて重きを成す時代に入ったなと私は思っておりまして、せんだって皆さん御承知のように、ノルウェーがイニシアティブを取って、環境を直接という話ではありませんが、クラスター爆弾の廃止条約締結、これは非常にうれしいことでありまして、ノルウェーのこの国際社会におけるイニシアティブ、人道的な行動は用意周到さを感じさせる、テーマの発掘あるいは外交課題化している、あるいは戦略的な詰め、あるいは国際NGOとの連携など、取組に関する包括的なアプローチというのは見るべきものがあるんではないかなと。人道的な外交戦略として人間の安全保障を進めているのが日本の大きな部分一つでありますけれども、小国ノルウェーの外交戦略あるいは揺るぎない行動をどう認識、評価するかと、この関係でありますけれども、まず外務省、この辺についてお願いいたします。
  63. 新保雅俊

    政府参考人(新保雅俊君) 先生から御紹介がありましたように、先月三十日、クラスター弾に関するダブリン会議におきまして、すべての関係者による建設的かつ協力的な議論の結果、条約案がコンセンサスで採択されたわけでありまして、日本政府としてはこれを歓迎しているわけであります。  その過程におきまして、オスロ・プロセスを立ち上げ、そして、そのプロセスの過程において各国あるいは国際NGOを始めとする市民社会とも連携し、条約案での作成を指導したノルウェーの外交努力というのは高く評価できるものというふうに考えております。
  64. 加藤修一

    加藤修一君 それで、このアスベストの関係については既に条約があるわけでありますけれども、非常に批准している国は少ないと、私が聞いている範囲ではアジアでは韓国と日本だけであると。これは先ほどからの答弁を考えてまいりますと、あるいは私も懸念していることの内容を考えますと、一日でも早くアジアの諸国が条約加盟ということは、批准するということは非常に進めていく問題である。なるべく、なるべくといいますか、最大限やはり締約国になるようにその環境を醸成する必要があるだろうと。二国間でアスベストの関係についてセミナーを持つとか、あるいはパートナーシップを組むとか、多国間でパートナーシップを組むとか様々な形が当然考えられるわけでありますけれども、最終的にはやはり条約を批准するという形になることが大事だと、それがやはり今や未然防止の段階に入ったこの件についてはしっかりと進めていくことが大事だと思うんですね。  こういう仕組み、環境醸成にかかわる仕組みを進めると、環境醸成というのは要するに批准をする国がどんどん増えていくようにしていかなければいけないという、そういう意味で私は申し上げているわけでありますけれども、外務省、この辺についてはどういうスタンスでありますか。
  65. 山崎純

    政府参考人(山崎純君) お答え申し上げます。  ILOの今議員御指摘の石綿条約をより多くの途上国が締結し、実効的な対策を取ることが望ましいと私ども考えております。  そのような観点から、議員御指摘のとおり、ILO石綿条約の締結を促進するための環境醸成は重要であると考えておりまして、そのための国際的な取組を行っております。  例えば、二〇〇七年十一月、昨年でございますが、にマレーシアにおいて開催されましたWHO、世界保健機構ですが、の職業安全衛生会合に厚生労働省の担当者が参加し、我が国のアスベスト対策を紹介しております。
  66. 加藤修一

    加藤修一君 そのほかの何らかの枠組みは考えていますか。
  67. 山崎純

    政府参考人(山崎純君) 今御紹介いたしました会合のほかにも、我が国はJICAなどを通じましてこの安全衛生面での技術協力の機会等がございます。そういうところを通じての認識を深めていくための努力も図られてございます。
  68. 加藤修一

    加藤修一君 この件については相手国があるということも非常に大きな課題に当然なるわけですけれども、内政干渉とかそういうことが逆に言われそうなんですけれども、最近は環境の問題については内政干渉ということは余り言わないようになってきているようなふうに私は理解しておりまして、そういうことを含めて、今答弁がありましたけれども、もっともっと積極的に進めていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  それでは、ILOでありますので、これはやはり厚生労働省ということに当然なってくる部分もあると思います。労働環境という点から、締約国の拡大化に向けて、これまた環境醸成という意味で、安全対策を旨としている厚生労働省の皆さんはどういうふうに考えているか、お願いいたします。
  69. 鶴田憲一

    政府参考人(鶴田憲一君) お答えします。  石綿条約の締結国は、我が国を含め現在三十二か国でありまして、厚生労働省といたしましても今後多くの国がこの条約を批准することは望ましいというふうに考えております。  このため、先ほども外務省の方から説明がありましたように、国際会議でありますとか国際協力機構、JICAを通じた安全衛生分野の技術協力、そこには途上国の方々も来られておりますので、その方々に対して日本の取組を紹介したり教育指導をするということを行っておりまして、こういうことを通じて石綿対策重要性について国際的に認識が深まるよう努力しているところであります。  今後も、こうした機会を活用し、石綿対策重要性について国際的に認識が深まるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  70. 加藤修一

    加藤修一君 日本のいわゆる現状といいますか、こういう議員立法が作らざるを得なかったとか、あるいは患者さんがこういう形で将来的に、死亡者数も、まあ予測の段階でありますけれども十万人ぐらいの規模になるとか、そういったことについてもそのセミナーで開陳しているとか、そういう情報提供をされているというふうに理解していいんですか、どうでしょうか。
  71. 鶴田憲一

    政府参考人(鶴田憲一君) セミナーの中におきましては、いわゆる労働安全衛生の職業病防止と作業環境コースの中でのアスベストだけに関して見ますと、粉じん、石綿の生体影響でありますとか環境石綿の測定方法、計測ということについての講義等を行っております。安全衛生の分野でありますので、それに関連した講義等を行っております。
  72. 加藤修一

    加藤修一君 ちょっと分かりづらかったわけですけれども、別の機会に。  それでは最後に、アスベストを含む建材とか、あるいは改築の関係でありますけれども、老朽化した建物全部解体する解体業者に対する非飛散性アスベスト建材などの解体に対しての注意は各県で行われているわけなんですけれども、骨組みを残して改築するいわゆる建築工事業者への注意徹底というのは非常に進んでいない、これは現場でいろいろと話を聞いてまいりますと、そういうふうに言われることが多いわけでありますけれども、その点、国土交通省はどういうふうに考えているか。それから、現場で簡便にチェックをするということが非常に大事なわけでありまして、ここも厚生労働省国土交通省、どう考えているのか。  もう時間がございませんので、最後に環境省、無害化についてはどういうふうに取り組んでいるかということですね。  以上でございます。
  73. 内田要

    政府参考人(内田要君) お答え申し上げます。  建設業者への徹底ということでございます。御指摘のように、アスベストの暴露防止対策を的確に行いまして、又は建設労働者等への被害を未然に防止するためにも、建設業者に対する徹底というのを私ども重要というふうに考えております。  関係法令の徹底に加えまして、工事現場において、御指摘のように、非常に分かりやすくないとあれでございますので、写真で、小冊子で「目で見るアスベスト建材」というものを公表いたしましたり、あるいは見積りが適正に行われますように、費用見積りの参考になるような除去費用に関する情報というものを公表して、きめ細かくやってまいりたいと思います。これらの情報につきましても、今年の四月に新しいものを作り、情報を作りまして提供を行ったところでございますが、更に建設業者の皆様への徹底に努めてまいりたいというように考えております。
  74. 鶴田憲一

    政府参考人(鶴田憲一君) 石綿含有スレート材の除去等を含む建築物の解体、改修における石綿暴露対策につきましては、集団指導や個別指導等を必要に応じて行うとともに、石綿障害予防規則等に基づき、事業者が講じなければならない措置について周知を行い、その遵守の徹底を図っているところであります。  また、御指摘の建材中の石綿の簡易測定の確立についてでありますが、現在、厚生労働省では、顕微鏡やエックス線を用いて建材中の石綿の含有の有無について正確に分析できるということが必要であるというふうに考えており、分析官の能力向上を目的とした講習等の事業を行っているところであります。現場での迅速な分析方法が開発された暁には、事前検査への導入等を検討してまいりたいというふうに考えております。  また、各省とも連携しながら、建築物の解体工事における石綿暴露防止対策の一層の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  75. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 特別管理産業廃棄物であります飛散性のアスベストに関しまして、二重袋に入れられ、区分された所定の場所に分散しないようにして管理型最終処分場に埋立て処分されたり溶融されているもののほか、アスベストを含有する廃スレート板などが、今後、建物の解体や改築に伴いまして大量に発生することが予想されております。  これらのアスベストの廃棄物につきましては、直接埋立てのみに依存しない十分な処理体制を確保することが必要というふうに考えております。このため、平成十八年に廃棄物処理法を改正させていただきまして、新たな処理ルートとしまして、溶融等の高度な技術を用いた無害化処理に対する環境大臣認定制度を創設したところであります。  廃棄物処理法は、無害化認定の申請に先立ちまして、無害化の実証実験及び生活環境影響調査の実施を義務付けておりまして、この手続に相応の期間を要するため、現時点での申請はございませんが、これまで八十件以上のアスベスト廃棄物の無害化処理に関する相談を受けてきております。既に実証試験を終了している事業者は八件ございます。生活環境影響調査が終了している事業者も五件ございます。近いうちに申請がなされるのではないかと想定しておりますが、環境省としましては、申請がなされた際には、廃棄物処理法に基づきまして適切な審査を行い、安全で確実なアスベスト廃棄物の無害化処理についてしっかりとやっていきたいというふうに考えております。
  76. 加藤修一

    加藤修一君 周知徹底をよろしくお願いをいたします。  終わります。
  77. 市田忠義

    ○市田忠義君 今日は石綿救済法改正案についてお聞きしたいと思います。  まず初めに確認しますが、改正案では、現行法施行前に死亡した患者の遺族が申請できる特別遺族弔慰金労災請求時効五年を迎えた場合の特別遺族給付金請求期限を三年間延長するということになっています。  この二十八年間で、肺がんで亡くなられた方はおよそ百十五万人、一九九五年から二〇〇六年に中皮腫で亡くなられた方は約九千人おられますが、今回の改正で、どれぐらいの人を対象に、どのようにして、どれぐらいの人が救済されると見込んでいるのか、簡潔にお答えください。
  78. 石塚正敏

    政府参考人(石塚正敏君) お答えいたします。  制度発足前の指定疾病によります死亡者は、特別遺族弔慰金の支給対象者としては、過去の中皮腫による死亡者数、ただいま九千人とおっしゃられましたけれども、当方では約一万人程度と見込んでおります。このほか、石綿による肺がん死亡者が、正確な数字は分かりませんが、存在すると考えております。  このうちで、中皮腫について申し上げますと、特別遺族弔慰金、これ平成二十年の四月末までのデータでございますが、弔慰金が千八百四十件の認定、それから特別遺族給付金につきましては、これは二月末までのデータですが、六百八件の支給決定がなされております。このため、死亡者数一万人との差を見ますと、約七千五百件がまだ未申請ではないかというふうに考えております。しかしながら、この中には労災補償の対象となった方や、あるいはこれから労災補償の対象となられる方、それから請求を行うべき遺族が存在しないケースといったこともありますことから、正確な推計はなかなか難しいというように考えております。  いずれにしましても、死亡小票を活用した周知広報ということを行いますなど、今後とも未請求者の解消に向け、全力で努めてまいる所存でございます。
  79. 市田忠義

    ○市田忠義君 ある市民団体の試算によりますと八割以上が放置されたままで、依然として多くの石綿被害者が残されていると。すべての石綿被害者が救済されるように、被害者の掘り起こしや健康診断、アスベストで従業員が労災認定を受けた事業所公表など、あらゆる手だてを尽くして、被害者が残されることがないように徹底して行うように求めておきたいと思います。  次に、この法の目的に照らして幾つかの問題をお聞きしたいと思います。一つは、認定基準の問題であります。  大阪府の泉南地域、ここは古くから石綿紡績業が発達した日本最大の生産地であります。小さな石綿工場が農地や住居に隣接してたくさん建てられていました。工場の窓は開けっ放しで、大きな扇風機で工場内の白い石綿の粉じんを外に出すと。工場の窓の下にはアスベストがたまっていて、風が吹くと綿毛のようにふわふわと揺れていた。それを毎日吸っていたわけですから、発症しない方が不思議であります。  しかし、肺がんの発症まで時間が掛かるために、遺族が石綿との関連に気付かなかったり、気付いてもお医者さんが十分石綿のことを認識しないで、死亡診断書に石綿との関連を書かない。病院には、保存期間五年ということでカルテやレントゲンの画像が残っていない。医学的な資料が整っていない。加えて、今はその工場や会社もなくなったり、そこで働いていた人でも就労証明や同僚の証言などがなかなか得られない。そのために申請をためらい、労災でも新法でも救済されない人がたくさんおられます。これは中皮腫でも同じですが、私はこれはあってはならないことだと思うんですけれども、こういう事態を大臣はどのように認識されているでしょうか。
  80. 石塚正敏

    政府参考人(石塚正敏君) ただいま御指摘ございました点につきまして、例えば私ども、様々な広報活動を行っております。その中には、やはり医療関係者の御認識というものを十分深めていただく必要性というものも大変重要であると考えておりまして、御指摘のように、カルテがなくなってしまわないうちに何とかこの診断を早くしていただく必要がある。そのためには、例えば呼吸器学会、肺癌学会といったような専門的な、そういった学術集会にも出向きまして、環境保全機構の方から様々なPR、特に医療関係者に対してこの石綿による健康被害というものについての御認識を深めていただくということも大変重要であると考えておりますので、こうした医学関係者への働きかけというものも片や行っております。  一方では、先ほど申しましたように、過去に死亡された方には、保健所を通じます死亡小票に基づく直接この御遺族への通知といったようなこともただいま準備しておるところでございます。様々な手だて、方式を通じまして、今後とも未申請というものを解消すべく努力してまいりたいと考えているところです。
  81. 市田忠義

    ○市田忠義君 本法が施行されておよそ二年になるわけですけれども、肺がん及び中皮腫の認定率はそれぞれどうなっているか、環境省数字だけお答えください。
  82. 石塚正敏

    政府参考人(石塚正敏君) 平成二十年四月末までの療養者による申請と施行前死亡者、御遺族の請求というものを合わせた受付件数は五千五百十八件でございます。この中で既に認定又は不認定の決定がなされた方、四千百六十四名のうちで認定された方は三千四百十二名でございますので、その認定率は八二%でございます。この中で中皮腫との申請があった案件については、認定又は不認定の決定がなされた方、三千二百四十九名でございまして、認定された方は三千二十六名でございますので、その認定率は九三%でございます。一方、肺がんとの申請があった案件について見ますと、認定及び不認定の決定がなされた方は八百五人でございまして、この中で認定された方、三百八十六名でございますから、その認定率は四八%でございます。
  83. 市田忠義

    ○市田忠義君 申請数も非常に少ないんですけれども、特に肺がんの認定率が低いというのが今のお答えでも明白だと思います。  厚生労働省にお聞きします。  これまでの分かる範囲の中皮腫の死亡者数、これは人口動態統計で九五年から二〇〇六年と、労災認定された石綿による中皮腫、これは九五年から二〇〇六年、及び肺がん、これはこれまでの件数で結構ですが、お答えください。
  84. 高原正之

    政府参考人(高原正之君) 人口動態統計を見ますと、平成七年から平成十八年における中皮腫の死亡者の累計は八千九百七十四人でございます。
  85. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) あわせまして、平成年度以降平成十八年度までに石綿による中皮腫として労災保険給付支給決定を行いましたのが千九百二十二件、特別遺族給付金支給決定件数は五百六十九件でございます。
  86. 市田忠義

    ○市田忠義君 肺がんはどうですか。
  87. 高原正之

    政府参考人(高原正之君) 失礼いたしました。  昭和五十四年から平成十八年における肺がんの死亡者の累計は百十五万二千七百六十人でございます。
  88. 市田忠義

    ○市田忠義君 結局、中皮腫で亡くなられた方で何らかの救済を受けた方は、今のお答えですと四千三百三十一人になります。また、国際的な石綿関連疾患の診断基準にヘルシンキ・クライテリアというのがありますが、この基準で同じ量の石綿を同じ期間吸い込んだ場合、肺がん患者は中皮腫患者の二倍程度の数になると、そう推測しているわけですが、それを考えると、肺がんで救済を受けているのが千七百十六人というのは余りにも私は少ないと思うんです。  大臣にお聞きしますが、本法の「目的」に「石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、」という文言があります。この趣旨は言うまでなく、石綿による健康被害というのは暴露から発病までの潜伏期間が極めて長いと、あるいは指定疾病に関し、当時の医師には石綿関連疾患や石綿による健康被害についての認識の欠如あるいは希薄さがあったと。だから、当時において石綿関連疾患という診断を受けることは極めて困難であったという特殊事情が存在することを十分に勘案すべきであるというのがこの法の私は趣旨だというふうに思います。被害者やその家族が後から指定疾病に罹患したことを医学的に一〇〇%証明するということは、そもそもこれは困難であります。  したがって、認定に当たっては、法の趣旨を踏まえて、アスベスト関連作業に従事した経験や居住歴なども含めた総合的な考慮の下で判断すべきだと思いますが、これは大臣の認識をお聞かせください。
  89. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 中皮腫の医学的判定基準については、中皮腫のほとんどが石綿に起因するものと考えられますから、病理検査結果等により中皮腫の診断の、まあ確定診断といいますか、そういうことが担保されれば、石綿を吸入したことにより発症したものと考える、こういうのが妥当であるわけでありますが、肺がんについては、これは先生おっしゃる総合的に例えば暴露歴等も十分に勘案しろと、こういうようなこともそのとおりだというふうには思いますが、ただ、先ほどのお話にもありましたけれども、肺がんで亡くなる方の数はかなり多いと、こういうようなこともあるし、加えて、喫煙始め石綿以外の発症原因が多く存在すると、こういうようなことで、さらにレントゲン所見から見ても肺がんの発生についてのリスクを二倍以上に高める量の石綿暴露があったとみなされると、こういうようなことであれば石綿によるものであると判定することができるわけでありますけれども、原則的に言いますと、なかなか非特異的な部分があると、こういうような趣旨で、この判定基準については中央環境審議会の答申を踏まえて具体的に決められているわけでありますけれども、現在のところではこの認定基準が適切であると、こういうふうに考えているところでございます。
  90. 市田忠義

    ○市田忠義君 これは被害者遺族の本当の切実な願いであるわけですから、この法律の目的自身が石綿による健康被害者をすき間なく救済すると、その趣旨から医学的な判断が十分に整わなくても救済するように一刻も早く見直すべきだということを指摘しておきたいと思います。  あと、時間がありませんのでもう一問、対象疾病の範囲についてであります。  どうして石綿健康被害救済法の対象疾病が中皮腫と肺がんだけなのか。労災で認められている指定疾病の石綿肺やびまん性胸膜肥厚あるいは良性石綿胸水、これがどうして認められないのかという問題ですが、私、大阪の阪南市の岡田さんという五十一歳の女性から直接お話を伺いました。  岡田さんにアスベストの職歴はありません。ただ、両親がアスベスト関連工場で働いて、十二歳まで工場のすぐ隣の住宅に住んでおられた。幼いころはお母さんに連れられて工場の中で過ごして、小中学校時代は石綿工場の前を通って通い、放課後の遊び場も社宅の周りや工場内で、学校の近くにも工場がある、石綿だらけだと。お父さんは肺がんで亡くなり、お母さんも石綿肺です。そして、岡田さんも石綿肺。お母さんは、石綿の怖さを知っていたら工場へは連れていかなかった、石綿の仕事はしなかった、子供に申し訳ないと、こういう思いでいっぱいだそうですけれども。  私、これはお母さんの責任ではないと思うんです。岡田さんの場合、石綿により被害を受けたことはもう明らかで、職業暴露でないから認めないというのは、私、法の不備で、やっぱり石綿被害に環境暴露があることを認めて、本法の対象疾病に石綿肺を加えて救済するのがこういう例からも当然だと思うんですが、これも大臣の認識をお聞きしておきたいと思います。
  91. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 石綿肺につきましては、これ法制定時に中央環境審議会においても御審議をいただいたわけであります。その結果、いろんな理由により今後他の石綿関連疾患とともに更に知見を収集し、その取扱いについて検討していくと、こういうようなことが適当だというふうにされました。  具体的には、典型的な職業病であるじん肺の一つ労災保険制度があるということ。それから、石綿暴露歴の客観情報がなければ石綿以外の原因による肺線維症と区別して診断することがなかなか難しいと。それから、予後や発症までの期間について、中皮腫等のような特殊性がなかなか見られないということ。また、一般環境経由による発症例の報告は、今先生おっしゃっていましたけれども、これまでの報告は十分でないと、こういうようなことで、ただ、環境省では現在、医学的知見やデータの集積あるいは海外の状況把握等を進めるとともに、健康リスク調査により、石綿取扱施設周辺地域における石綿関連疾患の発症状況などを今まさに鋭意調査しているところでございます。  調査についてできるだけ早く結論を得て、その結果を踏まえて救済の在り方について検討を適切に進めてまいりたいと考えます。
  92. 市田忠義

    ○市田忠義君 もう時間が来たので終わりますが、今度の改正は本当に必要最小限度のものであるわけですから、アスベスト被害の本格化、その対策というのはまさにこれからですから、引き続き救済に関する制度全般についての抜本的、総合的見直しをやるべきだということを指摘して、終わります。
  93. 川田龍平

    ○川田龍平君 既にほかの委員の方からも質疑がされました福田ビジョンが昨日発表されましたが、この地球温暖化対策、特に二〇二〇年の中期目標が〇五年比一四%削減、九〇年比で四%にも満たない削減と、バリ会議での二五から四〇%とはほど遠い内容です。これは経済産業省のエネルギー長期見通しで示された原子力発電所推進と国民に省エネ家電強制購入を前提とするものが基になっています。これで日本が国際的リーダーシップを取れるのかどうかは甚だ不安を感じました。  これから質問させていただきます環境基本法と原子力基本法の関係について、原子力エネルギーに未来はあるのか、核燃料サイクル再処理工場にかかわる問題でもあります。そして、六ケ所村再処理工場から排出される大気中、海洋中での放射性物質の濃度規制がなぜ存在しないのかということにもかかわってきます。現在、再処理工場はアクティブ試験の第四段階から第五段階に入るというところですが、このガラス固化技術の未完成によりとても実践段階に進めず、なおかつ再処理工場直下に活断層の存在が明らかになってきています。改めて再処理という核燃料サイクルの是非を問い直す機会となっておりますが、一方で、先日も質問しましたチタン廃棄物のような微量の放射性廃棄物をめぐって問題解決の担当省庁が存在しないという法の不備も明らかになってきています。こうした現状を踏まえて質問させていただきます。  まず、チタン問題につきまして、その後どうなったかについてお伺いしたいと思います。これは、三重県のチタン廃棄物のアイアンクレーについて六月三日の私の質問環境省が答えていただいた内容、それから文部科学省もこのガイドラインを遵守するよう求めていくということをそれぞれ答弁いただきましたが、両省どのように対応しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  94. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 問題のアイアンクレーが放射性廃棄物であることを隠して産業廃棄物等の最終処分場に埋め立てられておりましたことから、これまでも三重県から報告はあったわけでありますが、改めまして、昨日も三重県から、この埋立ての期間平成九年から平成十七年にかけて埋立てをされていたという報告でありましたものが、さらに平成三年から平成十七年にかけてだということがなお分かったというような報告もございました。環境省も、三重県の廃棄物担当部局にその状況を文部科学省の方に報告するようにという助言もしておりまして、同様の内容について文部科学省にも報告されているところであります。  いずれにいたしましても、御指摘の石原産業のアイアンクレーにつきましては、放射性物質及びこれによって汚染されたものに該当するため、廃棄物処理法上の廃棄物には該当せず、また環境省としては、放射性物質による環境汚染防止のための措置を所掌していないことから、文部科学省など関係省庁と連携をいたしまして、廃棄物処理法を所管するという立場から必要な対応を取ってまいりたいというふうに考えております。
  95. 川原田信市

    政府参考人川原田信市君) 御指摘の石原産業株式会社のアイアンクレー問題につきましては、文部科学省の呼びかけで、先月の二十九日に、関係する文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省による第一回の検討会を行っております。また、六月三日、先生が御質問になったときですが、石原産業が公表いたしました五月十四日のコンプライアンス総点検の結果というものがありますけど、これにはないような新たな不正が見付かったということが三重県から発表されました。これは六月三日でございます。文部科学省は、先ほど環境省の御答弁にもございましたように、昨日の六月九日に三重県から直接事情聴取、お聴きをいたしまして、本件についての事実確認を行ってきております。  石原産業株式会社におきますアイアンクレー廃棄問題に関しましては、その重要性にかんがみまして、当時の四省庁が平成三年に定めました対応方針がございますけど、その対応の方針、及び同年、当時の厚生省が各都道府県等に発出されました通知などを踏まえまして、今後どのような対応を取るべきかということを、現在の関係する四省におきまして協力してしっかり検討してまいりたいというふうに思っております。
  96. 川田龍平

    ○川田龍平君 この件に関して、是非、この住民グループからは、先ほどの四省通達を厳守して、特定した廃棄物の回収及び法の整備を求める要望が出されておりますが、この回収の見通しと法の整備についての見解をお伺いしたいと思います。  環境省と文部科学省の方に、この回収の見通しと法の整備について。
  97. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 回収等に関しましては、文部科学省の方が中心に、今四省の関係省庁の会議、調整をされております。環境省としましても、いわゆる廃棄物の最終処分場に処分をされておるということも踏まえまして、できる限りの協力をしてまいりたいというふうに考えております。
  98. 川原田信市

    政府参考人川原田信市君) 御指摘のアイアンクレーの回収につきましては、原子炉等規制法とそれから放射線障害防止法、我が方が所管している法律でありますが、規制対象ではなくて法律に基づく回収等の命令を行う権限を有していないところでありますが、しかしながら、今件の重要性にかんがみまして、先ほど答弁を申し上げましたけど、四省庁が定めました対応方針及び当時、厚生省が都道府県等に発出されました通知というものを踏まえまして、今後どのような対応を取るべきかというのを四省庁でしっかりと考えていきたいというふうに考えています。
  99. 川田龍平

    ○川田龍平君 これは法の不備ではないかと考えますが、それについての答弁をいただいているとちょっと時間がなくなってしまいますので、次に行きますが。  ところで、この問題だけでなく、そもそもこの放射性物質の環境汚染についてはどの法律でどの省が責任を持つべきであるのかというこの基本的な問題について質問させていただきます。  再処理工場から放出されるこの放射性廃棄物のうち、再処理過程で発生するトリチウムは全量が海洋に放出され、海に放出されて、その量は原発の濃度限界値の二千八百倍。さらに、クリプトン85というのは、全量が大気中に放出されて、その量は日本の全部の原発五十五基を合わせたうちの約三万倍の量を年に放出と住民団体から指摘されていますが、この事実は間違いないかどうか、経済産業省、お願いします。
  100. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) お答え申し上げます。  今、先生から御指摘がございましたその二千八百倍、その算定の根拠、これについては私ども承知をしておりません。私ども、原子力施設からの放射性物質の放出につきましては、取り扱う放射性物質の核種がそれぞれの施設ごとに違っておりますので、安全審査におきまして法令で定められた線量限度を超えないことをその施設ごとに確認しているところでございます。私ども、この異なる施設からの放出量については、先ほども申し上げましたように、取り扱う核種の違い等もございますもので、考慮する核種の耐用性の違いなどから単純に比較することはできないというふうに考えております。  なお、再処理工場につきましては、この再処理施設の安全審査時に再処理施設周辺の一般公衆が受けられます線量について、年間約〇・〇二二ミリシーベルトと評価されております。法令におきましては、年間一ミリシーベルトという規制値がございまして、その規制値を大きく下回る値となっていることを確認したところでございます。
  101. 川田龍平

    ○川田龍平君 把握していないということなんですが、海洋中へのこのトリチウムについては、三か月平均で二百五十マイクロシーベルトと規定されています。これが一回ごとではなく三か月平均ということで、結果的に一遍に出すこともできるという全量排出であります。そして、大気中のこのクリプトン85は、自然界のバックグラウンドレベルとして今二ベクレル・パー・立方メートルというのがありますが、クリプトンの測定器の感度が二千ベクレル・パー・立方メートルということで、さらに濃度の限界が十万ベクレル・パー・立方メートルということで、自然界における二ベクレルの五万倍にいかないと、三か月平均で結果的には全量排出しているわけですから、これは、幾ら線量規定があるといっても、緩やか過ぎてざる規制法と言われても仕方がないんじゃないかという状態でありますが、これについてどうお考えでしょうか。
  102. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) お答え申し上げます。  私ども、やはり放射性物質の放出、それに伴います放射線量、これが一体どのように一般公衆の方々に影響を与えるか、これが非常に重要と考えております。  一九九〇年でございますけれども、国際放射線防護委員会、ここから勧告が出されまして、年間一ミリシーベルト以下という規制値を設けたところでございます。私ども、この規制値を十分踏まえまして、この規制値を十分下回る値ならばこの国際放射線防護委員会におきます勧告も十分満たしておりまして、私ども、十分安全性が確認できているというふうに考えているところでございます。
  103. 川田龍平

    ○川田龍平君 先ほどの答弁でもありましたこの〇・〇二二ミリシーベルトというのがいつも経済産業省の方から、だから、それを満たしているから安全だということが言われます。  しかし、この海洋中に放出されるトリチウムの全量の放射能は、シーベルトの単位でいくと、人間一人が一年間に浴びてもよいとされている量は一ミリシーベルトですが、この全量分は三億三千万ミリシーベルトに当たります。要するに、三億三千万人分のシーベルトが計算としては出てくるわけですが、大臣には昨年の質問答弁でも相当な量であるということで認識をいただいています。  そもそもこの〇・〇二二ミリシーベルトの計算方法について、昨年の質問でも、海藻への放射能濃縮係数を計算をするときの係数について、原発では四〇〇〇を使っています。でも、一方、この再処理工場では二〇〇〇の係数を使って計算をしていたり、また、沃素の129の線量換算係数についても、最近の法令では一・一掛ける十のマイナス四乗ミリシーベルト・パー・ベクレルですが、日本原燃が採用しているのは四掛ける十のマイナス五乗ミリシーベルトということで、ミリシーベルト・パー・ベクレルという単位ですが、約三分の一に過小評価をされています。  これらを含め、住民が問題提起しているように、〇・〇二二ミリシーベルトについて計算し直すことが今求められているんですが、それについてはどう思いますか。
  104. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) まず、事実関係から申し上げたいと思います。  ただいま先生から御指摘ございました海藻に関する沃素の濃縮係数、これにつきましては、原子力発電所につきましては昭和五十一年の九月に原子力安全委員会の決定がございます。評価指針と決定がございまして、そこによりまして四〇〇〇という濃縮係数を用いておるところでございます。  また、六ケ所の再処理施設でございますが、これ先生がおっしゃいましたように、濃縮係数は二〇〇〇という値を使用しているところでございます。これ二〇〇〇を使いましたのは、OECD・NEAという、この原子力のOECDの機関がございますけれども、そこから昭和五十五年に出版されました文書におきまして、この環境線量評価に用いる海洋生物の濃縮係数等の文献がございまして、それを基に二〇〇〇という数値を定めたところでございます。安全審査の過程におきまして、私ども、放医研等の専門家からの意見も十分慎重に伺いまして、確認を行いまして、この二〇〇〇という数値が信頼できるということで、この値を用いることを妥当と判断したところでございます。  ちなみに、もう一つだけ事実関係申し上げさせていただきますと、例えばストロンチウム等につきましても、濃縮係数、これは原子力発電所では一〇でございますけれども再処理施設では二〇ということで、この再処理施設の安全審査の過程におきまして、私ども、専門家からの意見を聴きまして慎重に対応させていただいたところでございます。
  105. 川田龍平

    ○川田龍平君 その計算についてはちょっと納得できるものではないんですが、ちょっと時間もありまして次の質問に行かせていただきますが。  環境基本法の内容で、十三条で、「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる。」とあります。この法案策定の九三年には、宮澤当時の首相が、法案第三条と原子力関連法との関係でございますが、法第三条は、環境に関する認識とその保全とその在り方についての基本理念を規定したものであり、その理念は放射性物質による大気汚染などにつきましても当然運用されますと明快な答弁をされています。  この基本姿勢は今も変わらないと考えてよろしいのかを大臣にお伺いしたいと思います。
  106. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 環境基本法の基本理念は、環境に関する認識とその保全の在り方について規定したものでありますから、当時の宮澤総理答弁のとおり、放射性物質による大気の汚染等についても当然その理念は適用されるわけでございます。  現在もその考え方については変わりはないわけでありますが、放射性物質による大気汚染等の防止のための措置については、当時の宮澤総理答弁にもありますように、環境基本法第十三条の規定に基づいて、原子力基本法その他の関係法令によって定めると、こういうようなこととされていることでございます。
  107. 川田龍平

    ○川田龍平君 この関連法令をよく読んでみますと、実はこの公共の安全ということでは述べられているんですが、環境に対する配慮というのは述べられていません。作成された年代が原子力基本法などの方が先に作られておりますので、こうした環境基本法が作られたことによって、こうした環境基本の理念であります第三条の将来世代への配慮、第四条の環境負荷の未然の防止、さらに第五条の地球環境時代のそういった策定というものをしっかりとしていくべきではないかと、特に原子力基本法とその他の関係法律にもやっぱり適用させるべく改正が必要ではなかったのかということが、このアイアンクレーの問題、それから六ケ所の問題における、こうした関係省庁が自分のところではないと言い合っているようなこの法の不備を直していくためには必要かと思いますが、そのことについて、最後に各省庁……
  108. 松山政司

    委員長松山政司君) 時間も過ぎておりますので、おまとめください。
  109. 川田龍平

    ○川田龍平君 済みません。その質問だけを是非、文科省と内閣府、経済産業省の方に、地球環境時代において現段階での改正必要性についてどのように考えているのかをお答えいただければと思います。
  110. 松山政司

    委員長松山政司君) 時間を過ぎておりますので、簡潔に一言ずつお願いいたします。
  111. 西川泰藏

    政府参考人(西川泰藏君) お答え申し上げます。  御質問の原子力基本法、これは原子力の研究開発だとか利用に関する基本方針を定めた基本法、いわゆる基本法でございます。したがいまして、放射線障害の防止措置でございますとか、あるいは原子炉等による災害の防止にかかわるような措置につきましては、この基本法の中にも書いてございますけれども、別の法律で定めることとされておりまして、具体的には、放射線障害防止法でございますとか原子炉等規制法、ここで放射性物質による汚染の防止にかかわる具体的な措置が整備されているところでございます。  このような実態を踏まえて、先ほど先生質問の一九九三年の環境基本法の中に、同法の第十三条に、放射性物質による大気汚染防止のための措置については、原子力基本法その他の関係法律で定めるところによると……
  112. 松山政司

    委員長松山政司君) 簡潔にお願いいたします。
  113. 西川泰藏

    政府参考人(西川泰藏君) はい。そういった条項が設けられたというふうに理解いたしております。
  114. 川原田信市

    政府参考人川原田信市君) 簡潔に申し上げます。  環境基本法の制定以前から、原子力関係につきましては、先ほど申しました原子炉等規制法とか、放射線の同位元素等に関する規制がございまして、原子力基本法の下でその両法に基づいて基準を定めて、災害を防止し、公共の安全を図るというための措置を講じてきておるところであります。  具体的には、環境中に放出された放射性物質が様々な経路を経て人体等に……
  115. 松山政司

    委員長松山政司君) 時間を過ぎております。そろそろお願いいたします。
  116. 川原田信市

    政府参考人川原田信市君) 済みません。影響を評価して、人体等への影響を考慮いたした措置を講じているところでありまして、直ちに原子炉等規制法の改正が必要であるとは考えておりません。
  117. 松山政司

    委員長松山政司君) 本日、時間を過ぎておりますので、この辺で打ち切らさせていただきたいと思います。  本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  118. 松山政司

    委員長松山政司君) 次に、石綿による健康被害救済に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院環境委員長小島敏男君から趣旨説明を聴取いたします。小島敏男君。
  119. 小島敏男

    衆議院議員(小島敏男君) 衆議院環境委員長の小島敏男でございます。  ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  現行の石綿による健康被害救済に関する法律は、平成十八年に、石綿による健康被害の迅速な救済を図るため、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対し、医療費等を支給するための措置を講ずるために制定されたものであります。しかし、認定申請の遅れによる不利益への対応や、特別遺族弔慰金等の請求期限の延長等を求める声が多く聞かれるところであります。  そこで、我々立法府としては、このような深刻な石綿による健康被害救済を求める切実な声に対し、一刻も早く、適切にこたえていくことが急務であります。そうした強い認識から、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対する救済の充実を図る必要があるものと判断し、本案を提出した次第でございます。  次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、被認定者について、医療費及び療養手当を、原則として、療養開始日にさかのぼって支給するものとしております。なお、医療費等の合計額が特別遺族弔慰金の額に満たないときは、その死亡した者の遺族に対し、その差額を救済給付調整金として支給するものとしております。  第二に、指定疾病に関する認定申請をしないで本法施行日以後に死亡した者の遺族に対し、特別遺族弔慰金及び特別葬祭料を支給するものとしております。  第三に、本法施行日の前日までに死亡した労働者等の遺族であって、労災保険法上の遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅したものに対し、特別遺族給付金を支給するものとしております。  第四に、特別遺族弔慰金等及び特別遺族給付金請求期限を延長するものとしております。  第五に、国は、石綿を使用していた事業所調査やその結果の公表並びに本制度の周知を徹底するものとしております。  以上が、本案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  以上です。
  120. 松山政司

    委員長松山政司君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですので、これより直ちに採決に入ります。  石綿による健康被害救済に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  121. 松山政司

    委員長松山政司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 松山政司

    委員長松山政司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会