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2008-05-20 第169回国会 参議院 外交防衛委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十日(火曜日)    午前十時五分開会     ─────────────    委員異動  五月十五日     辞任         補欠選任         近藤 正道君     山内 徳信君  五月十九日     辞任         補欠選任         柳田  稔君     風間 直樹君      木村  仁君     西田 昌司君      佐藤 正久君     鈴木 政二君  五月二十日     辞任         補欠選任         喜納 昌吉君     平山 幸司君      徳永 久志君     松野 信夫君      白  眞勲君     水岡 俊一君      鈴木 政二君     森 まさこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北澤 俊美君     理 事                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 藤田 幸久君                 佐藤 昭郎君                 山本 一太君     委 員                 風間 直樹君                 佐藤 公治君                 平山 幸司君                 牧山ひろえ君                 松野 信夫君                 水岡 俊一君                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 小池 正勝君                 西田 昌司君                 森 まさこ君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        防衛大臣     石破  茂君    副大臣        防衛大臣    江渡 聡徳君    大臣政務官        外務大臣政務官  小池 正勝君        防衛大臣政務官  秋元  司君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣大臣官房        遺棄化学兵器処        理担当室長    西  正典君        総務省総合通信        基盤局国際部長  山川 鉄郎君        法務大臣官房審        議官       三浦  守君        外務大臣官房審        議官       小田 克起君        外務大臣官房審        議官       猪俣 弘司君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務大臣官房参        事官       大江  博君        外務省北米局長  西宮 伸一君        外務省中東アフ        リカ局長     奥田 紀宏君        外務省領事局長  谷崎 泰明君        防衛省防衛参事        官        小川 秀樹君        防衛大臣官房長  中江 公人君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○投資自由化促進及び保護に関する日本国と  カンボジア王国との間の協定締結について承  認を求めるの件(第百六十八回国会内閣提出、  第百六十九回国会衆議院送付) ○投資自由化促進及び保護に関する日本国と  ラオス人民民主共和国との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付  ) ○全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九  十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)  において改正された国際電気通信連合憲章(千  九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全  権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採  択された改正)及び全権委員会議(千九百九十  四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二  千二年マラケシュ)において改正された国際電  気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)  を改正する文書全権委員会議(二千六年アン  タルヤ)において採択された改正)の締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付  ) ○千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協  定の譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修  正及び訂正に関する二千八年一月二十二日に作  成された確認書締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付) ○社会保障に関する日本国オランダ王国との間  の協定締結について承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付) ○社会保障に関する日本国チェコ共和国との間  の協定締結について承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、近藤正道君、佐藤正久君、木村仁君及び柳田稔君が委員辞任され、その補欠として山内徳信君、鈴木政二君、西田昌司君及び風間直樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  投資自由化促進及び保護に関する日本国カンボジア王国との間の協定締結について承認を求めるの件外二件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長西正典君外十四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 投資自由化促進及び保護に関する日本国カンボジア王国との間の協定締結について承認を求めるの件、投資自由化促進及び保護に関する日本国ラオス人民民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  三件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 佐藤公治

    佐藤公治君 民主党の佐藤公治でございます。  今日は高村大臣からいろいろなことを教えていただきたく、お願いを申し上げたいと思いますが、外務省の作られた文章だけじゃなくて、私は本当に高村大臣外交に対する考え方思いを織り交ぜてお話をしていただき、いろいろと教えていただけたら有り難いかと思います。  まず最初に、カンボジアラオス、この二国におけます協定締結に関してお聞きをいたしたいと思いますけれども、そもそもこの二国間協定締結意義意味といったものを高村外務大臣の方からお話を聞かせていただけたら有り難いかと思います。
  7. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ラオス及びカンボジア経済発展のため外国資本受入れを積極的に進めております。特に、日本からの投資促進に強い期待を寄せているわけであります。日本でも両国の低い労働コスト、安定した社会情勢、豊富な天然資源等に着目し、投資を検討する企業が増加しつつあります。こうした中、日本カンボジア投資協定及び日本ラオス投資協定締結することによって投資自由化投資家権利保護及び投資環境整備のための法的枠組みが提供されることになるわけであります。  具体的に言いますと、投資財産保護に加えて投資許可段階での内国民待遇最恵国待遇原則供与投資阻害効果を有する特定措置履行要求原則禁止などの投資自由化に関する規定を置いております。これによって日本両国との間の投資の一層の促進期待される点に両協定意義があると考えているところでございます。
  8. 佐藤公治

    佐藤公治君 今ペーパーを読まれて、まさに外務大臣はそれを一回お読みになって、これでいいんだろうなということでお答えになられたんだと思いますが、私は細かいことを一つ一つ揚げ足を取ってお話をするつもりはございません。  私も、この外交防衛委員会に籍を置かせていただき、今まで外務大臣のいろんな御答弁を聞く中、私は、大臣が今までお話しされていたことも雑誌に掲載されていたことも、いろいろとこの数日間の間にたくさん読ませていただきました。大変にすばらしいこともおっしゃっている。実際、この私たち委員会も目先の法案だけの議論だけで終わらせてしまっている部分があるんですけれども、どうもやはり外務大臣のこういった、今回はラオスカンボジア、前はベトナム、インドネシア等々もあったと思いますけれども、やはりこのメコン地域を含めて、メコン外相会議というものもされた、この地域を含めて、またアジア全体、世界全体に対して外務大臣のまさに戦略的考え方を少しお話を聞かせていただければ有り難いかなと思います。  いろいろな雑誌には、ウイン・ウイン関係とか、時たま相撲業界のことを例えてお話をされたりとか、また、とかくナショナリズムというものをあおりながらパフォーマンス的に外交をやることはいかがなものかとか、いろんなことがおっしゃられている部分があるんですが、まさに外務大臣のその外交姿勢といったもの、所信表明演説にも、ずっと読ませていただいておりますけれども、いま一つ大臣戦略的外交の在り方というのが分かりづらいところがあります。  是非、私の持ち時間は三十分でございますので、全部それを話をしてもいいぐらい私は実は大事なことだと思いますけれども、一つ一つ細かいことで揚げ足を取るつもりはございませんので、どうか、まあできるだけ短めとはいうものの、大臣考え思い戦略的外交姿勢、当然、このメコン地域においては、タイやベトナム、こういった経済圏にも関係をしている部分、そしてミャンマーの軍事政権がいかに政治的にいろいろと影響を及ぼしている部分、と同時に、大臣が大変に日ごろ議員活動の中で力を入れられている日中友好関係における中国という存在、それにはアメリカという基軸を我々が持っている中での外交、この関係を踏まえて、この地域、まあ今回のラオスカンボジアといったことをどう戦略的に考えているのかというのを、お話しできる範囲でお答え願えれば有り難いかと思います。
  9. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) そういうふうに聞いていただければ、それにふさわしい答えをできるだけしたいと思って、努力をしながらお話をさせていただきたいと思います。  日本という国は島国であって、世界の平和と安定がないと日本自身が発展することができない国だと思うんですね、資源にも乏しいし。そして、いろいろありますけれども、物づくりだけじゃありませんけれども、基本的には資源を輸入して、そして加工して売ると、それを一番大きな、それだけじゃありませんけれども、そういうことで、まさに世界が平和であり、安定して、そして繁栄する、そういう中で日本も平和と繁栄を確保できる国、どこの国もそうなんです、どこの国も相互依存でそうなんですけど、特に日本はそういうことだと、こういうふうに思っております。  そして、そういう中で、日本アジアに位置する国でありますから、まさにASEANというのは非常に重要な地位にあるわけであります。私たちそれなりの支援をしてきて、それもあってASEAN各国が発展してきたということもあるわけでありますが、そのCLVというのはASEANの中で更にどちらかといえば後発といいますか、後発でありますが、そこはまた資源がたくさんあり、またいろいろな意味でこれから発展余力を残しているところであって、そして、ASEANの中である意味でいえば格差がある、ASEANの中の格差の中の遅れた部分、そういうところを支援するということは、これからASEANの統合を更に強化するという意味でも役に立つし、いろいろな意味で役に立つと、こういうふうに思っております。  中国も出てきているわけで、ただ、その中国との間で勝った負けたということじゃなくて、中国が出てきてそこへ投資することも、日本が支援する、活用してですね、日本カンボジアラオスCLVといったような国との間のウイン・ウイン関係をつくると同時に、中国中国の戦略的にそこに出てきている、日本も出てきていると。これは、うまくいけば、ある意味ライバル関係にも立つけれども、日本中国が両方そこへ出てくるウイン・ウイン関係にもなり得る関係だと、こういうふうに思っております。  そういう中でこの投資協定することは、日本企業が出ていって安心だという面と、さらに、その出ていった企業が安心だという面と自由に出やすいと、そういうことまで含んだ協定でありますから、是非御理解をいただきたいと、こういうふうに思っております。
  10. 佐藤公治

    佐藤公治君 衆議院の方の外務委員会でも我々の仲間の野田委員からも話があったと思いますけれども、本当に日本外交として上辺は非常にいいことをしているように見え、また皆さん方々のその御努力にも敬意を表する部分がありますが、せっかくメコン地域の方にインフラ整備等もしながら、今一生懸命、国民の税金も使いながらやっている。しかし、それだけしているにもかかわらず、過去の国連における、各国における対応というのは、裏切られたという言い方は失礼かもしれません、言い過ぎかもしれませんけれども、我が国の期待をしているような反応にはなっていただけなかった部分があったかと思います。  そういうことを考えると、せっかくやってもやっても、まあ、ばかを見るという言い方は失礼ですけれども、結局ほかの国々にそれを持っていかれてしまうようなところが感じられるところがあり、それはまさに日本外交がいま一つ腰砕けというか弱く感じる部分があるんですが、その辺は大臣、いかがでしょうか。
  11. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本外交に対する批判というのはいろいろあるし、その批判については謙虚に耳を傾けたいと思っております。  ただ、ごく大きなところから言うと、外交の目的って何だ、それは国益を実現することだ。国益って何だ、これは私が言ってそれほど多くの人が違わないと思いますが、まず日本の平和と独立を維持すること、これが国益だと。平和と独立が維持できたってその中で国民みんなが貧しいというんではそれはいけませんから、豊かな国民生活をつくる、これは外交内政一体となってそういうことをやると。それと同時に、単に物質的に豊かなだけじゃなくて、世界から尊敬される日本、評価される日本、そういうものをつくっていくことが私は国益だと、こう思っておるんです。  じゃ、その国益に照らしてどうかというと、評価すると、第二次大戦後、日本は平和と独立を維持してきました。これはマルかバツか三角といえば、はっきり言ってマルだと思っています。  じゃ、豊かか豊かでないかといったら、一時よりちょっと厳しいね、格差が出ておるねと、いろいろあったって、やっぱり三角じゃなくてマルに入るんじゃないでしょうか、世界の中では。世界の中ではマルに入るんじゃないでしょうか。  そして、それじゃ国際社会の評価はどうか。BBCで、多くの国でアンケート調査をやったと。三年連続トップです。厳密に言うと微差で二位のところもあるんですけれども、トップとして評価しています、二国をトップとしておる。三年続けてですよ。  そうすると、ちょっとある意味で、何か日本は余り世界から評価されていないという常識のうそみたいなのが日本国民の中にあるけれども、BBCというイギリスの公共放送調査をやって、三年連続トップと言っていい、肯定的に評価される国。これは、個々のことを言うと、ここはもっとこうやればよかった、ああやればよかったといろいろあるけれども、全体的に言うと、私は日本人はちょっと自信を喪失し過ぎじゃないか、客観的事実にもう少し目を向けてもっと自信を持ったらいいんじゃないかと、余り自虐的になる必要はないんじゃないかと、こういうふうに思っております。
  12. 佐藤公治

    佐藤公治君 非常な大事なところでございます。とかくパフォーマンスというか、白か黒かというナショナリズムをあおるようなやり方というのがはっきり見えることによって、非常に力強さを感じさせる部分がある、それが本当に結果的にいいのかどうかというのは疑問なところがあり、また最終的にそれは状況に応じて、まさに国益といったことを考えてどう取っていくかということにもなると思いますが、どうもめり張りといったものがまだまだちょっと見えづらい部分がある。ただ、外務大臣のおっしゃられていることをずっと見ておりますと、非常に大事なことなんですけれども、分かりづらい部分がある、理解しづらい部分があるというのが現実的なところなのかなというふうにも思う部分があります。  じゃ、もっと日本人自信を持つべきというお話をいたしましたけれども、大臣、一体全体どうやったらもっともっとみんな日本人自信を持つようになるんでしょうか。
  13. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) より事実を直視するということが大切だと思うんですね。より事実を直視するということが大切なんだと思います。そして、もう少し、長期的に日本は平和と独立を維持してきていますし、それなりに豊か、今ちょっと日の出の勢いだったときから比べれば厳しくなっていますが、今それなりに豊かだし、それから、そういう事実をもう少しみんなが伝えてもいいんじゃないでしょうか、国民に。そういう統計が出たら、そういうのは伝えない、やっぱり何か問題点があることについて批判悪口だけを言うと。私は批判ってあって当然だと思いますよ。それで反省して良くするための批判というのはあって当然だと思いますが、それと同時に、いいところはいいということを同じように伝える努力というのは私たちもしなければいけないし、政府の人間もしなければいけないし、国会のみんなもそれなりにしてもいいんじゃないでしょうか。マスコミもそうあってほしいと。  いいところはいい、悪いところは悪い、批判される側が反省するような批判というのは一番いいので、批判される側が単なる悪口と聞くようなものばかりがはんらんするようだと、ばかりがはんらんしているわけでもないですけれども、そうではなくて、いいものはいい、悪いものは悪いということをずっと国民にみんなが伝えておくということは必要なのではないでしょうかと私は政府の側として勝手にそう思っています。
  14. 佐藤公治

    佐藤公治君 ちょっと外務大臣何かお疲れの御様子で、本来私は、事細かなことも大事なことですけれども、自分もこの国会に出させていただいて、まさに委員会を今まで見させていただく中、やはりもっと政治家としての大事な議論をしていくべきだという考えをずっと持ってきております。その意味では、今、いいものはいい、伝えていく、これは当たり前なことで、具体的にそれをどうしていったらいいんだろうかなというところまで大臣がやはりもっともっと、いろいろとお考えになられているようには思うんですが、今日はちょっとお疲れの御様子なのか分かりませんけれども、ちょっと歯切れが悪い御答弁のように感じがしております。  実はこういう話をたくさんやらせていただけたら有り難い、今後また委員会でこういうような本当に本質的な政治家同士じゃなきゃ議論ができないことを私は大臣にも投げかけていきたいと思いますので、大臣思いをまた大臣の言葉でそうやって語っていただくことが私は大事なんじゃないかというふうに思います。  まさに私たちも主張しておりますけれども、自分さえよければいいというのではない、共生といったお互いが助け合う理念によってこの国は動いていかなきゃいけない、またそれが日本人のやはり生きる道であり哲学であり、私はそういった国にしていきたい。その部分では共通な認識、思いがあるんじゃないかというのはいろんな雑誌を見させていただいて分かりますので、どうかいい意味でのすり合わせをしていきながらやらせていただければ有り難いかと思います。  ちょっと具体的な話に入らせていただきますけれども、この協定ハイレベルとされていることを盛んに外務省方々がおっしゃいますけれども、一体全体何を基準にしてこれがハイレベルと言うのか。また、じゃ逆に言えば、なぜハイレベルなことが今までできなかったんだろうかなということに対して、どうお答えになられますでしょうか。
  15. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 両協定は、従来の投資協定のような既に行われた投資保護ということだけではなくて、新規の投資の際のいわゆる最恵国待遇であるとか内国民待遇であるとか、そういったことを規定しているということが一点であります。  もう一つは、同様のこの投資自由化に関する他の例に比べてみましても、汚職防止努力義務、あるいは国と投資家との間の投資契約遵守義務ということを規定しているという点などにおきまして質が高い、ハイレベルだというふうに我々は考えております。
  16. 佐藤公治

    佐藤公治君 もう一つ質問させていただいたのは、なぜそういったことが今までできづらかったのか、できなかったのかということに関してはいかがですか。
  17. 小原雅博

    政府参考人小原雅博君) お答え申し上げます。  カンボジアラオスとの投資協定でございますが、実はこれ、カンボジアラオスとの間での投資、実は非常に低調でございました。その背景にはいろんな要因があると思われますが、近年、実はこの両国への企業の関心というのが非常に高まってきていると。そういうことも踏まえて、かつ、先方政府もこの投資締結ということに対する熱意というものも高まってきたということがございましたので、そういう状況を踏まえて、我々、両国と交渉を始め、それで今回、先ほど政務官の方からも答弁いたしましたが、極めて高い水準の、つまり保護という側面だけではなくて自由化という側面規定をした意義のある協定締結に至ったという、そういうことでございます。
  18. 佐藤公治

    佐藤公治君 私が聞いたのは、ラオスカンボジアだけじゃなくて、ほかの国々との協定を比べて今回がハイレベルだということをお話をされている部分。じゃ、なぜほかの国々がそのハイレベル協定ができなかったのかということは、各国における事情によって違うことは十分分かっておりますけれども、それを総括してどうなのかということをお聞きしたのでございます。これは、もういいです、答えなくて。  その中で、この実は二国間の協定、この二つの国において問題というのは、もう衆議院の方でも、またいろいろなところで問題が提起されているのは汚職防止規定と、又は留保事項についてというふうに、もう皆さんもお分かりになっていると思います。  度重なる同じ質問はするつもりはないんですけれども、この汚職防止規定に関してなんですけれども、やはりこの汚職防止規定に関しては、今までになく一歩進んだことの規定が入ったとはいうものの、その国においての国内法においてそれがきちっと規定されていないがために表面上の話だけになってしまっているという問題提起もされておりますよね。そういう中で、その汚職防止規定についてお話をいろいろと関係者の方々から聞くと、何言っているんだよと、そんなことをやっていかなければ、ああいう国々、ああいう地域ではやっていかれないというのが現実なんだというようなことの話がある。  つまり、汚職というのは、受け取る側がいるからあげる人が出てくる。また逆に、あげる人がいるから受け取る側が出てくる。それが汚職、供応買収・接待なんていうのはそういうところになってくると思うんですけれども、これは、向こうの国だけじゃなくて、進出していく日本企業にもいろいろとそういった意識の乖離というか問題点もあるんじゃないかというふうにも感じるんですね。  大臣、これは済みません、私は時間がなかったんで全部確認が取れなかったんですが、週刊ダイヤモンド一月二十六日、今年のですね。こういった記事があります。こういった記事はもう御存じかもしれませんが、「外務省がODA事業ごり押し 疑惑の「カンボジア橋梁建設」」なんという記事があります。  ベトナムにおいて橋梁が崩落をいたしました。その調査団も出されたというふうに聞いております。しかし、その報告がきちっと明確にならないまま、またその橋梁の工事が始まっている状況、そういったことが現実的にある。ここのことを簡単に今読ませていただければ、昨年、日本のODAで建設中のベトナムの橋梁が崩落し、多数の死者を出す大惨事となった。その真相究明を棚上げにしたまま、外務省は今度はカンボジアに巨大な橋梁を建てようとしている。しかも、円借款ではなく無償資金協力でだ。その決定プロセスは不透明で、身内からさえ批判の声が上がっている。相変わらずの疑惑まみれのODAの現場を追ったと、こういう記事なんですよ。  これが、事実関係がどうなのかというのは私は確認ができなくてこの委員会に来てしまいましたので、これに関しては今聞くことはございません。しかし、私はこの汚職といったことに関しては、現地におけるまさに法務省さんも協力をしながら国内法を整備をしているというのも聞いておりますが、これに関しては、まさに我が国、向こうも含めて、構造的な問題点がきちっと解決していかなくては、同じような問題がこれから次から次へと起きて、やっていることは表面上立派、現場の人たちも一生懸命やっている。その中間的な部分での構造的問題点、こういったことが言われている、こういった問題点があるのではないかというふうに思いますが、その根本的な部分をいかに解決していくかということ、またそういったことをどう見ていくかということを大臣どうお思いになられますでしょうか。
  19. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 発展途上国の汚職の問題というのは、これは我々も、我々だって汚職が根絶できているわけではないですよね、根絶できているわけではない。ただ、十年前より良くなった、二十年前よりはもっと良くなっている、三十年前よりは良くなっている、だんだんだんだん良くなっていることは、それは間違いないことだと思います。思いますが、それで、そういう発展段階においてあってはならないことがたくさんあるという状況で、この投資協定の中で汚職防止というようなことを入れて、そして、これは日本だけじゃなくて、国際社会全体でそういうことは駄目なんだよと。  構造的とおっしゃいましたが、日本は、構造汚職という言葉を使う人もいますけれども、私はそうではない、個々の人がやるということだけれども、本当にまだ構造汚職みたいなことが、本当の意味の、比喩的な構造汚職じゃなくて、厳密に刑法を適用したらどんぴしゃり汚職になるようなことを構造的にやっているということがかなりあるんだろうと思いますが、そういうことは法整備支援とかあらゆることを通じて、それから実際にODAを出すときとか、そういうことを通じて、日本だけじゃなくて国際社会でお手伝いして良くなっていただくと。自助努力ももちろん大切であります。  こういう個々の問題というのは、日本国民の税金を使ってやることでありますから極めて大切でありますが、もう一つ、全体を見ると、日本のODAがアジア諸国を離陸させて、一九七〇年代はアジアとアフリカの貧困度というのは大体同じぐらいだったのが、明らかにアジアの経済を離陸させるのに役に立ったと、そういう全体的な大きな観点も忘れてはいけない、こういうふうに思っております。
  20. 佐藤公治

    佐藤公治君 私は、当然、制度や意識、構造、こういったものがある。意識ですよね、大臣がおっしゃられたのは。個々における人間の意識、これはいろんな教育とか環境によって変わってくることもありますが、やっぱり政官業の癒着構造というのはこれはどこの国も一緒なのかなと思うと、相手国もさることながら我が国もこの構造的問題点が指摘されている。ここの部分もやはり変えていかなきゃいけない部分だと思います。  具体的な話をたくさんしようと思ったらば、ちょっと時間がなくなってしまっておりますので、また次回にさせていただきたいかと思いますが、ちょっとせっかくですので、もう最後時間がない中、鳥インフルエンザのことだけ聞かせていただければ有り難いと思います。  済みません、防衛省さん、外務省さん共に聞きたいところなんですけれども、時間がないので外務省さんだけになってしまうかもしれません。  実は、鳥インフルエンザにおいては、今大変な問題だということで話をされている。内閣を中心に本部体制といったものができている。そういった中で、これはもう専門的な話をさせていただきますと、どうも皆さん、フェーズ4からしか興味がない、フェーズ1からフェーズ3というのが非常にないがしろにされているように私は現場を調べていると思うところがございます。  例えば、管轄としては農林水産省や厚生労働省、最近環境省というのが入ってきておりますけれども、彼らとの話合いの中で、世界基準といったことと彼らの言っていることがどうも食い違いが多い。その部分では、私は農林水産省又は厚生労働省のお話しされていることはどうも納得できないところがある。  世界的な機関というのが幾つかあるんですけれども、その中でOIEという組織がございます。このOIE組織、これは外務省にも担当官か部局があるというふうに聞いておりますけれども、OIEのここの国際専門官が鳥に対してのワクチン接種といったことは日本は基本的には禁止。しかし、世界のこのOIE含めた彼らの発表というのは、このワクチンをきちっと使っていくことを推し進めるような話をされている部分がございます。そういうことを含めて是非とも、もう時間がなくなっちゃいましたので、どうか農水省と若しくは厚生労働省等々で、このフェーズ1からフェーズ3における状況の話とこの国際機関での話というのがどうもかみ合わない状態になっている、こういったことに対して、外務省はやはり、おれは関係ねえんだというんじゃなくて、より積極的に関与して、いい意味での干渉のし合いによって危機管理体制を整えていくべきだと私は思っております。  そういうことからすると、是非外務省の皆様方には、OIEのこのワクチンを接種することに関して、一回外務省としてもよくこのOIE、国際専門機関の発表されていることをきちっと理解をして、国内における調整を取っていただきたいと思いますので、大臣、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  21. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 国際的にお互いの知見を共有し合うということは極めて大事なことでありますので、外務省としてもお手伝いできるところはお手伝いしていきたいと、こういうふうに思っております。
  22. 佐藤公治

    佐藤公治君 防衛省、済みません、質問ができなくて。また次回たっぷりさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  以上で終わらせていただきます。     ─────────────
  23. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、喜納昌吉君、徳永久志君、白眞勲君及び鈴木政二君が委員辞任され、その補欠として平山幸司君、松野信夫君、水岡俊一君及び森まさこ君が選任をされました。     ─────────────
  24. 風間直樹

    風間直樹君 まず最初に、このカンボジアラオスの両投資協定に関してお尋ねをいたします。  外務省からいただいたこの協定の資料を拝見しますと、投資家に対するメリットが記載されておりまして、その意義がうたわれておりますが、日本投資家にとっての意義あるいは投資対象としてのこの協定締結後の両国の魅力、この辺をちょっと分かりやすくお尋ねしたいと思います。
  25. 小原雅博

    政府参考人小原雅博君) お答え申し上げます。  カンボジア及びラオスでは、昨年の経済成長率がそれぞれ一〇・一%、八%と発表されておりまして、いずれも高い経済成長を遂げております。両国は一層の経済発展のために外国資本受入れを積極的に進めておりまして、特に日本からの投資促進に高い期待を寄せております。日本でも、両国の低い労働コスト、安定した社会情勢、あるいは豊富な天然資源、こういった点に着目して投資を検討する企業が増加しつつあると承知しております。  こうした中で、日本カンボジア投資協定及び日本ラオス投資協定締結することによって、投資自由化投資家権利保護及び投資環境整備のための法的枠組みが提供されることになるわけでございまして、これによりまして、両国が従来から地域内で有している比較優位、これを更に生かして、既に多くの日系企業が進出しておりますタイあるいはベトナムといった周辺国、ここに存在しております親工場から、より労働集約的な工程を両国へと移転する動きが促進され、地域全体としての産業基盤の発展に資することを期待している次第でございます。
  26. 風間直樹

    風間直樹君 今御説明いただきましたように、非常に経済成長率が高いと。恐らく、両国とも政治的にも非常に安定をしているということでございますので、今後、現地の様々な企業の成長率も伸びていくんだろうと。そういうところに投資をする日本投資家にとっても今回の協定締結というのは非常に意義があるんだろうと、今御説明を伺って改めて感じたところでございます。  私が用意しておりましたこの協定に関する質問、先輩の佐藤委員と重複するところが多々ございましたので、この件についてはこの程度にさせていただきます。  次に、今日、私、外交防衛委員会に出張質問でございまして、せっかくの機会をちょうだいいたしましたので、外務大臣防衛大臣と北朝鮮の核保有の問題に関して若干議論を深めさせていただきたいと思います。  常日ごろ、特に昨年のインド洋における給油継続法案の審議の折には、与野党のいわゆる対決法案ということで非常に力の入った議論がこの委員会でも交わされたわけでございますが、今日は、ちょっとそれとは趣を変えまして、日本の安全保障にとってどのような状態を目指すことが望ましいのかという議論をさせていただきたいと思っております。  北朝鮮で最近の気になる動きでございますが、昨年九月六日、シリアに北朝鮮が協力をし建設をされた原子力発電所、これをイスラエルが爆撃し破壊をするという事態が生じました。  ちょっと詳細をここで述べさせていただきますが、この四月二十四日、米国政府が、これまでこの件に関する公表をずっと控えていたわけでございますが、一転して詳細な情報を公表したと。同時に、米国議会の主要なメンバーにこの事態の推移、経緯を知らせたと。その内容は以下のとおりであります。三点あります。  まず一点目。北朝鮮は、シリアの核兵器開発のための支援を九七年から始め、二〇〇一年から原子炉の建設協力を開始した。イスラエルと米国は、この原子炉の存在を二〇〇五年に察知した。三年前ですね。建物の内部の写真から、この原子炉は北朝鮮が寧辺に完成させた軍事用プルトニウム抽出の黒鉛減速ガス冷却炉と全く同じであることが判明した。  二点目。北朝鮮からは寧辺の核施設の幹部技術者がシリアを何回も訪れ、シリアの原子炉の建設を指導していた。この北の技術者がシリアの原子力委員会トップと写っている写真も存在する。シリアの原子炉は明らかに兵器開発目的であり、二〇〇七年夏には完成し、稼働が目前だった。  三点目。シリアの原子炉は、九月六日、イスラエル軍の空爆で修復不能なところまで破壊された。シリア政府は破壊された施設が核兵器用原子炉であることを強く否定したが、九月中旬、原子炉の残骸を壊し、機器を撤去する作業を開始した。この作業は夜間進められ、昼間は上空からの偵察を避けるためにシートをかぶせられた。  こうした情報とともに、米国議会にはブッシュ政権から、シリアの核施設の爆撃前と爆撃後との相違を示すビデオフィルムも提供されたと、こういうことでございます。  外務大臣にお尋ねをしますが、去年九月にイスラエルが爆撃をして、その後約半年間、米国政府はこの詳細を察知していたけれども公表しなかったということでございます。この公表が遅れた理由、公表が半年後になった理由、米国政府から何か聞いていらっしゃるかどうか、お尋ねいたします。
  27. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 御答弁を申し上げます。  四月の二十四日に米国政府は、二〇〇七年九月までシリア政府が秘密の原子炉を建設しており、北朝鮮が支援していたと確信するという発表を行いました。これに関しまして、四月の二十九日の日にブッシュ大統領は、中東における報復や戦闘の危険性が減少した時期が来たと判断されたため本件を発表した旨発言をされたというふうに承知をいたしております。また、本件発表は、北朝鮮、イラン、シリアに対する政策的な意図を有していた旨述べていたというふうに承知しているところでございます。
  28. 風間直樹

    風間直樹君 実は、私個人がアメリカ政府の知人、今この状況に大変詳しい知人に聞いたところでは、実は米国の同盟国からこの件での公表を遅らせるように強い要請があったと、こういう話でございました。私の推測では、この同盟国というのはまさにイスラエルそのものであろうと、こういうふうに考えているところでございます。  実は、今回、このイスラエルによる隣国の原子炉の爆撃というのは初めてではありません。一九八一年の六月だったと記憶をしておりますが、当時イラクにございましたオシラク原子力発電所、ここをやはりイスラエルは爆撃、破壊をしております。実は、このドキュメンタリーが過日NHKのBS1で非常に詳しく放映をされました。「証言でつづる現代史「オシラク・オプション」」、攻撃はどのように決断されたのか、攻撃はどのように世界を変えたのかという題名でありました。  それで、ちょっとその内容をかいつまんで御紹介しますと、八一年、イスラエルのF16戦闘機八機がイラクのバグダッド郊外で完成間近だったオシラク原子炉を空爆した。この攻撃作戦はオシラク・オプションと呼ばれている。当時、イラクのフセイン大統領は、完成した原子炉を使用しての原爆製造をもくろんでおり、イスラエルは核の脅威を強硬手段で排除した。安全保障のためには先制攻撃も辞さないという外交戦略の先例となった作戦であると、こういう紹介がされているところでございます。  両大臣、大変お忙しい方でありますので、この番組を御覧になったのかどうかなと思ったんですが、ちょっとその事実のみお尋ねをいたしますが、御覧になりましたでしょうか、どうでしょうか。
  29. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 見ておりません。
  30. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 同様であります。
  31. 風間直樹

    風間直樹君 私は五月の十七日の再放送を見ました。大変衝撃を受けたわけでございます。ちょっとこの番組でも紹介された経緯をざっと申し上げます。  まず、このオシラク原発がフランスの協力で七〇年代にイラクに建設をされたわけでございます。米国が相当外交努力でこの建設を止めようとしたけれども果たせなかったと。イスラエルもかなりの諜報活動でその破壊工作を試みたようですが果たせなかった。最終的には、イスラエルの当時のベギン首相が苦悩の末、攻撃、破壊を決断した。これがちょっとびっくりしたんですが、当時イスラエル政府は、米国の偵察衛星、これを使用して、その宇宙軌道を変更する権限を持っていたというんですね。どういうことかといいますと、この偵察衛星でイスラエルの国益上非常に重要だと思われる施設の目標、これを選択すると。その施設を衛星で撮影できるように宇宙軌道からの撮影パターンを変更する最終的なアクセスの権限を米国政府の許可の下、保有していたと。これが述べられております。  こうして得られた情報から、この攻撃当日、八機のF16で約千百キロの距離を高度三十メートルで飛行した。目的地では炉心のみを完全に破壊して、イラク空軍機のスクランブルもなく、また高射砲の命中も全くなかったと。八機全部が無事生還をしたわけであります。同時に、イラク政府はイスラエル政府による臨時発表までだれが攻撃したのか一切把握できなかった。これが一連の事実であります。  この中で一つ興味深い事実がございまして、当時NSAの長官でありましたリチャード・アレンが、米国の政府、国務省なんでしょう、からこういう事実があったという緊急の連絡を電話で受けて、すぐにキャンプデービッドにいた当時のレーガン大統領に電話で連絡をしたそうであります。そのときレーガン大統領が何と言ったかというのが本の中で紹介をされているんですが、本は「イラク原子炉攻撃」というタイトルで並木書房から出版されております。  何かねというレーガン大統領の問いに対して、大統領、イスラエルがF16でイラクの原子炉を破壊しましたとアレンが報告した。そのほかには。それだけです、あとは報告を待っているところですと。レーガンさんがここで、やつらがなぜやったと思うかねと、こう質問をして、その答えを待たずに自分で答えたと。やれやれ、少年はいつまでたっても少年だなと。これ原文で言いますとボーイズ・ウイル・ビー・ボーイズと、こういう原文なんですけれども。番組の中ではこれが生で紹介をされておりまして、私はそれを見て大変、当時のレーガンさんのイスラエルに対する姿勢というのは、ある意味好意的といいますか、随分寛容な姿勢だったんだなということを強く感じたわけでございます。  この攻撃自体は世界で初のいわゆるプリエンプティブオプションというか先制攻撃でございまして、米国も当初は政権の閣議で相当混乱をし、イスラエルの行動に対する反発の声が上がったそうであります。しかし、最終的には先制攻撃をしたという事実に対してのみ怒りを表明して事実上制裁を行わなかったと。八一年の九月、攻撃から三か月後には、攻撃によって保留をしていたF16を追加売却し、同時に攻撃から約三か月後にベギン首相がワシントンを公式訪問していると、こういう推移であります。  私が注目をしましたのは、このときにベギン首相が取ったその行動とその決断、さらにその背景にある苦悩の深さであります。  番組の中でこのベギン氏の当時の発言が引用されておりましたけれども、何よりもベギン氏の念頭にあったのは、いかにして第二のホロコーストを避けるか。自分たちのまさに同世代あるいは父親、祖父母の世代がホロコーストで大量虐殺された、その悲劇を再び繰り返してはならないと、核攻撃によって起こしてはならないと、それをいかに避けるかと、それを避けるためにぎりぎりの判断をし攻撃を決断したと、こういうことであります。  当然、先制攻撃ですとかそういった手段を講じるということは、私ども日本人の立場としてはこれは非難をしなければならない、とても許容できる発想ではないと私は考えているところでございますが、ただ、先制攻撃をしたという事実をちょっとわきに置きまして、国家の首脳が自国民の安全を守る上での非常に深い決意と、同時に毎晩眠れぬ日々が続くという意味での苦悩、こういう姿勢、その部分はやはり同じく国政に携わる者として示唆に富むものではないかと思うわけであります。  両大臣にお尋ねをしたいんですが、我が国も現在、北朝鮮がこれは核を保有しているのかしていないのかまだ分かりません。ただ、実験をしたという公表を北朝鮮はしたと。近い将来、保有をする可能性も視野に入ってきていると、こういう状況だと思います。  そうした中で、このイスラエルの先制攻撃という事実は少しわきに置きまして、国家首脳が自国民の生命の保護にこれだけの深い決意を持って当たるというこの姿勢に対して、両大臣、どんな思い、感想をお持ちでいらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  32. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) この件につきましては、我が国は当事国ではありませんから、日本外務省としてコメントするということは差し控えさせていただきたいと思いますが、なお、シリアに対するイスラエルの空爆についてというお話がございましたが、イスラエル政府は空爆の有無を含めてコメントしないという対応を取っているところであります。
  33. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) オシラクの話は今外務政務官から答弁があったとおりで、私から加えて言及することはございません。  ただ、委員御指摘の国家の生存、国民の生存ということについては、ありとあらゆる可能性は常に考えておかねばならないだろうと思います。ある意味イマジネーションの世界だと私は思います。  それと同時に大事なのは、我が国に何ができて何ができないのかということを、法的にあるいは装備の面で、運用面で、だれが政権を取ろうともだれが防衛大臣であろうとも、そのことは常に正確に認識をしておく必要があるだろうと、すべてができるわけじゃありませんから。じゃ、できないことは何なのか、それにどのように対処をするかということについて、それは二十四時間三百六十五日、そのことを考えるのはそれは当然の責務だと私は心得ております。
  34. 風間直樹

    風間直樹君 私も石破大臣の御認識に全く同感でございます。様々な可能性をやはり政府としてあるいは政治として検討することは当然の責務だろうと思います。  そこで、ちょっとお尋ねをしたいんですが、配付資料の一ページ目、表でございます。  平成五年のノドン1号の発射事件を受けて、当時、防衛庁は平成五年末から翌六年にかけて、内部においてこれに対する有効な方策の有無を検討したと、こういう報道が二〇〇五年四月八日の産経新聞に載っております。その結果、陸幕と海幕は能力なしと回答、空幕も攻撃能力はないと回答したと。その前に、どのような攻撃が可能かについて内局に具体的に検討内容を回答していた。  その内容は、北朝鮮沿岸部に近いミサイル基地でミサイル発射が迫っているとの前提状況で、空自のF4要撃戦闘機、F1支援戦闘機が石川県小松基地や鳥取県美保基地から北朝鮮に飛行。目標に関する情報や敵の地上レーダーの攪乱などで米軍の支援を受けながら高高度で接近、低高度でミサイル基地を攻撃、再び高高度で離脱するハイ・ロー・ハイによる作戦シミュレーションだった。そして、敵地まで爆弾を運び爆撃する能力はあるものの、空自の情報収集能力、電子戦能力などでは組織的に有効な攻撃が確実にできるとは言えないとの結論に達したというと。  これは新聞報道からの引用でございますが、同時に、配付資料のその左下、日経新聞の同じ〇五年四月六日の記事では、当時の大野防衛庁長官が、こうした研究をしたという事実は認めた上で、研究内容については、当時の防衛局、統合幕僚会議事務局を中心に実施した、あくまで部内の研究だと、こういうふうに述べられているところでございます。  当時の大野長官が認めていらっしゃいますのでこれ事実だと思うんですけれども、当時から約十年経過しておりまして、日本の保有する能力も様々な面で変化が生じたんだろうと思います。特に、日本が保有する戦闘機なり、支援戦闘機なり、これが当時とは世代交代をしていると。現在では主力はF2と、一応その後継機の候補としてはF22ラプターが検討されていると、米国の意図はまた別にあるようでございますが。この両機を想定した場合、その航続距離、あるいはその搭載可能燃料の見地から、この平成五年当時の防衛庁、現在の防衛省の研究結果というのは若干の修正をされるのか、あるいは修正がないのか、その辺を御答弁いただければ有り難いと思います。
  35. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  これまで御答弁させていただいておりますように、実際にいわゆる先生御指摘のような敵地攻撃といったオペレーションをするとすれば、個々の装備品の性能が上がったとか上がっていないとか、そういう単品単品の議論ではなくて、全体としてこのようなオペレーションができるような装備体系になっているかということでございますけれども、私どもとしては、そういった敵地攻撃を目的とした装備体系というものは整備はしていないということでございますので、現時点におきましても、従来お答えしているような状況は大きくは変わっていないというふうに申し上げられるかと思います。
  36. 風間直樹

    風間直樹君 分かりました。  そうしますと、北朝鮮が将来的に核を保有して日本がその射程に入ると、こういう状況が想定されるわけですが、これらの核攻撃を避ける、若しくは抑止する、その方策として現段階で考え得る手段というのはどういうことになるのかなと、これは国民の中にも不安がある部分だろうと思います。  常識的には、現在政府が進めているMDの様々な実験、このMDというものが想定されるわけですが、ちょっとMDも現段階では完全にこれを防ぐ手段にはなり得ないんだろうと、様々なデータからそのように私は考えております。  そこで、MD以外の手段も検討すべきではないかと率直に思うんですが、これ、現時点で何か考えられるものはございますでしょうか。
  37. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは先生、また時間を取って十分議論をさせていただきたいのですが、私は、一つはやはり核抑止力というのがある、これは厳然たる事実だと思っているのですね。我が国は非核三原則を堅持をしておるわけでありますが、やっぱり合衆国の核抑止力というものが一つある。もう一つはMDです、委員御指摘の。  もう一つは、国民保護というものをきちんと考えるべきだろうと。例えば北欧の国々がなぜ冷戦期にソビエトの核というものから自分の国を守ったかということを考えたときに、建築基準法的な法律によって一定規模以上の建築物にはシェルターの建設を義務付けるというふうになっていた。つまり、核攻撃をしたとしても被害が局限されるということであれば、それはやることに何の意味があるのということになる。MDにしてもそうで、核ミサイルを撃ったとしても、それが相当確率で撃墜されるということになれば、それは得られるもの、失うものということを考えたときに、失うものの方が大きいだろう。  私は、この三つとも、委員おっしゃるように、パーフェクトだというものはどこにもありません。ですけれども、ないよりもはるかにいいというものを重層的に組み合わせるということをもっときちんと考えるべきだろうと私は思っています。そういう議論をきちんとしないまま、核には核で対抗すべきだとか、そういうようなかなり飛躍した議論をする前に、抑止力を、報復的抑止力、懲罰的抑止力と拒否的抑止力を、これをどれだけ重層的に組み合わせ、どれだけ実効性を持たせるかということを考えるべきだと思っております。  今局長から答弁申し上げましたように、策源地攻撃能力ということについて私どもで具体的に検討しておるということはございません。しかし、そのほかにもやるべきことがきちんとあると、そういうことを私は併せて申し上げたいと思っておるのでございます。
  38. 風間直樹

    風間直樹君 石破大臣の御所見は非常に妥当な、同時に責任のある御答弁だと理解をいたします。  最後に、産経新聞の論説の副委員長、中静敬一郎さんという方のコラムを御紹介したいと思います。配付資料の二ページ目、裏側でございます。読ませていただきます。  日本に一時滞在中の戦略地政学者で米海軍技術顧問、北村淳氏が語った話は衝撃だった。  小泉純一郎首相の北朝鮮訪問により、金正日総書記が日本人拉致を認めた二〇〇二年九月十七日のあと、米空軍は日本が報復すると想定して、支援のための作戦行動を取ったというのだから。  その行動は、レーダーに探知されにくく、敵地深く攻撃できるF117ステルス戦闘機がグアム島から韓国・烏山基地に派遣されたことだった。  当時、ホノルルのシンクタンクにいた北村氏は米空軍士官らから派遣の理由をこう説明された。  「多数の日本国民が北朝鮮国家により拉致された以上、日本政府が何らかの報復措置に出る可能性がある。その場合、同盟国の米国が支援するのは必至である。万一の事態を覚悟しての行動だ」  北村氏がこれに対し、「日本政府は絶対にそうした報復措置を行わない」「報復したくてもそれを敢行する戦力を有しない」と語ると、士官らは一様に「信じられない」表情をみせ、「何のために日本はF15戦闘機を保有し、F2対地支援戦闘機を開発しているのか」と不思議がったという。  自国民保護への彼我の国家意思がいかに異なっているかを浮き彫りにしている。  こういう記事であります。  これは二年前のちょうど五月に掲載された記事ですが、私、この記事を読んで大変衝撃を受けました。といいますのは、私自身も新潟県で拉致被害者御家族と県会議員当時から拉致問題の解決に向けて力を合わせてきた一人でございますので、そうした意味でこの記事から強い衝撃を受けたわけであります。  当然、先ほども大臣おっしゃいましたように、我々は日本国憲法の規定にのっとり、その精神にのっとって国の安全保障という責務を果たしていかなければならないと。ただ、一方で、やはり自国民保護に懸ける意思の在り方というのは、随分ここに紹介されているアメリカとは違った状況があるなというのも事実だろうと思います。  念のためお尋ねをするんですが、ここに記されておりますように、当時、日本国政府が何らかの軍事的な報復措置を検討したのかどうか、多分そういうことはないだろうと思うんですが、そのことを一つ。同時に、この記事に対する認識を両大臣からお尋ねをして、質問を終えさせていただきたいと思います。
  39. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) これは大臣お答えになった方がいいんですね。
  40. 風間直樹

    風間直樹君 そうですね。最後は両大臣にお願いできればと思います。
  41. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) じゃ、事実関係。  お答えいたします。  御指摘のような米軍機の移動の有無、あるいはその目的については、米軍の運用にかかわる事項でございますので、私どもの方からお答えを差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、拉致問題に関して北朝鮮に対する軍事的報復というようなことを防衛省において検討した事実はないというふうに考えております。
  42. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 今局長からお答えをしたとおりであります。  ですから、私どものF15というのは、これは要撃機として持っておるわけでございます。あるいはF2も対地攻撃をメーンにしているというよりはむしろ対艦攻撃というものを考えて持っておるものでございます。ですから、F15を持っている、F2を持っている、しかしそれをそういう委員御指摘のような目的のために使わないのは何事であるかということではなくて、私どもはF15であれF2であれ、今の日本防衛政策の体系の中で持っているというものでございます。  これはもう何年か前にも答弁をしたことでございますが、じゃ策源地攻撃はできるのかと。これは自衛権の行使として全くできないわけではないというのは累次の答弁で言っていることですが、しかしそれが法的に可能であったとしても、能力的にどうなのか、そしてそれを選択するべきなのかというのは、それは国家全体で考え議論をせねばならないことでございます。そのことについて防衛省としてああだのこうだのということを申し上げるのは必ずしも適切ではなくて、国家としてどのような選択をすべきなのか。  そして、私も拉致議連の会長をかつて務めておったことがございますが、拉致被害者というものをどうやってきちんと救出をするかということについては委員と同じぐらい意識は共有しておるつもりでございます。そのために何がいいのかということについても、これは軍事オプションのみならず、いろんなことを考えていかねばならぬであろう。それは本当にこの国会の場でも御議論いただかねばならないことであって、私どもとして今、じゃ、そういう能力を持つとか持たないということを具体にこの場でお答えをすることはかなり難しい。  余り御質問に沿ったお答えにならないかもしれませんが、現状としてはそういうことだと私は思います。
  43. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 一般論として言えば、国家の最大の責務といいますか、政府の最大の責務は日本国民の命を守るということが一番重要な責務だと、こういうふうに思っております。  ただ、この具体的な例からいえば、それは法的にいっても軍事能力的にいっても、そして私は、仮に法的、能力的にあったとしても、あのときに政策的にやるという選択肢はなかったと、こう思います。  あのまさに平壌宣言を結んで帰ってきたわけで、それは天人共に許されざる行為をあの国家がやったと、ただしそれだからといって、その解決の仕方として平壌宣言というのを結んでこれからすることを交渉にゆだねたと、その段階で政策的に報復攻撃をするという選択肢はあり得なかったと、そういうふうに思っています。
  44. 風間直樹

    風間直樹君 最後に。念のため、私もF15の利用を推奨しているわけでは決してございません。憲法の精神にのっとってこの拉致問題解決、私も目指していきたいと考えます。  ありがとうございました。
  45. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は、ラオスまたカンボジア投資協定、そしてITUのいわゆる憲章、条約の改正承認でございますけれども、その本題に入ります前に、防衛大臣に少し質問させていただきたいと思っております。というのは、若干防衛省の対応について少し不安を感じたからなんですね。  御存じのように、今週の木曜日に宮崎元伸元山田洋行専務に対する証人喚問がございます。そういう意味で、防衛省といわゆる防衛調達企業関係について、あの守屋事件を奇貨として再発防止策を十分に取っておられるだろうということを私は理解をしていたんですが、何かそう思えないところもあるんですね。  といいますのは、今、山田洋行に防衛省、自衛隊を含めてですが、そのOBが何人行っていますかという話についても、何か自分のところで調べるというよりも山田洋行に聞いて把握されているような感じでございまして、またその七名の方の最終官職はどこですかと聞くと、答えが返ってこないんです。返ってきた答えは何かといいますと、平成十二年以降、自衛隊倫理法という法律ができまして、一定の幹部以上については再就職に際して承認等をかけてその結果を公表するということがありますので、じゃその四人は入っているんですか入っていないんですかと聞きますと、分かりませんというお答えだったんですね。最終的に、昨日の夕方になりまして再就職室長の方がその四人に個別に連絡を取られて、三人の方はいまだおられると、一人はノーコメントだと、さらに残りの三人おられる方については分からないと。  こういう回答を聞いて、そもそも再発を防止するためには、宮崎元専務は元自衛官ですから、そういう元自衛官という人がその防衛省のいろいろな人、現役に対して余りそういう過度なことはやっぱり慎むように、過度でなくても慎むようにという注意があってもしかるべしであるのに、そういう再発防止策が本当に取られているんだろうかと、こういう不安を感じたんですが、大臣の目から見られていかがでしょうか。守屋事件以降、そういう再発防止策は十分に取られるとお感じになっておられるでしょうか。
  46. 江渡聡徳

    ○副大臣(江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  今、委員の方からお話がありましたとおりでございますけれども、防衛省といたしましては、自衛隊法の六十二条等に基づきまして、隊員の離職後二年以内の防衛省と密接な関係にある営利企業への再就職については審査を行うということとしておるわけでございまして、そして、この御指摘の山田洋行へは平成十七年七月以降四名の者が審査を受け承認を得て再就職しているという、そういう状況下でございます。  なお、また具体的にその後どうであるか云々ということなんですけれども、そこに関してはやはりある意味個人情報の関係のことも私はあるのではないのかなというふうに思っておりますし、ただ、我々としてはできるだけお尋ねという形で山田洋行側にも再度お聞かせさせていただいたわけでございますけれども、聞いたわけでございますけれども、その段階においても、平成二十年五月十四日現在、防衛省出身者が七名在籍しているというような形の回答を得たところでございまして、その際、山田洋行側から役職を始めとする個人情報に係る内容についてはお答えを差し控えるというような形であったわけでございまして、それゆえに、現在の在籍の是非についてはあくまでも基本的には同社と個々人との関係であり、防衛省として具体的にそのところを申し上げるという形の立場ではないのではないのかなと、そのように考えております。
  47. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 今、副大臣答弁を申し上げたとおりでございますが、私どもとして、法にのっとって聞けるものはすべて聞いていると認識をいたしております。ただ、これが、法に基づく私どもの立場として聞ける限りのものを聞いておりますが、それ以外の人たち、例えばもう既に辞めちゃった人たちについて、これは私どもとして明らかにしてくださいなという一種のお願いはしておるわけでございます。しかしながら、個人情報に係るものであるということで向こうが答えないと言ってしまうと、これ以上の何らかの権能を持って明らかにさせ得る立場に私どもはおらないところでございます。  是非、委員に御教示をいただきたいのですが、委員の目から見てまだ不十分であるということだと認識をいたしますが、私ども、これ結局、再就職の問題もありますが、次官がそのようなことをしない、別に次官に限りません、私、やはり一番有効なのは、悪いことをしても必ずばれるよという体制を確立することなんだと私自身は認識をしておるわけであります。人間ばれなきゃいいという人はおりますので。そうしますと、やはり監察制度というものをきちんと機能をさせる、いつ監察が来るか分からない、どんなに高い地位の者であっても必ず監察は来るのだという形で、そういう悪行が必ずばれるような仕組みというものに力点を置きたいなというふうに私は思っておるわけであります。  あわせて、再就職の問題は政府全体としてどう考えていくべきなのだろうか。再就職の在り方というのは本当に今のままでいいのか。公務員の在り方の議論もされておりますが、そこも含めて、委員がここを更に改善すべきだという点を御指摘をいただければ、私ども真摯に検討をさせていただきたいと思っております。
  48. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいまの御答弁で、個人情報という問題もあるというお話がございました。個人情報があるので防衛省としても出せないという話は私は理解できるんですが、把握をしていないという状況、これについてはどうかなと思うんですね。  確かに、山田洋行はそう言ったかもしれない。しかし、普通のお役所の場合はやっぱりOBの管理ってやっているんですね。今後、いわゆる公務員法が変わりますので、変わるかもしれませんが、いわゆる六十歳以上六十五歳までどういう、どこにいて、次辞められたらどこをどうするかというような、そういう人事もしているはずだと思うんですよ、多分、防衛省においても。そういう観点から、私は、OBはどこにいるか、どういう状況でいるか、あるいは元気でいるかも含めて把握されているんではないかという前提で聞いたものですから、それは非常に、そういうお答えが、最初に個人情報の問題ですからと言われずに知りませんと言われたのは、非常に隠ぺい体質を感じたわけです。  そしてもう一点、今まさに大臣がおっしゃりましたように、これは何をしてもばれるぞと、監察が非常にされるという体制は私は非常に重要だと思うんですが、それがまた逆に、本当にそれは機能しているのか私は疑問なんですね。  と申しますのは、守屋事件があった後、特別監察もされました。その結果をこの二月に発表なさいました。これについては、いわゆる防衛省内局の幹部職員と自衛隊の幹部職員、両方合わせて四百二十九名ですね、それぞれおられまして、この方々にいろいろな質問をされたわけですね。  その中で、質問の一つにありましたのが、平成十二年という自衛隊倫理法施行後以降、関係業者とゴルフをしたことがあるかという質問がありました。私は、まああるんだろうなと思った。答えは一名だけ、空将補の方だけだったですね。かつ、その質問の中には、自分はしていないけれども同僚がそういう関係業者としていることを知っていたというクエスチョンがあるんですが、このクエスチョンに対する回答を整理した結果が配られている資料には書いていないんですよ。何で書いていないんだと聞いたら、ゼロでしたということなんですが。  何かそういうところに、まず本当にこれ一人なのかということを大臣はどうお考えになりますか。
  49. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) その報告を受けて、本当にそうかねという思いを私は全く持たなかったかといえば、それはうそになるかもしれません。やはり、人のことを、同僚あるいは先輩のことを告げ口という、何か余り国会答弁でふさわしい言葉かどうか分かりませんが、するようなのは嫌だなというのが働くんだと思うんですね。ただ、やはりそういう不正を見逃すということが組織全体を駄目にするのだと、そういうものを見聞した場合には必ず言わねばならぬのだというようなそういう趣旨のことを、これは防衛省全体にもきちんと徹底をさせねばならぬのだろうと思っております。  あわせて、私はずっと思うところがあって、昨年、一昨年、御党の方も御一緒だったと思いますが、ドイツの文民統制というものを研究に行ったことがございます。ドイツの文民統制というのは、我が国と異なりまして議会が統制するという考え方に基づいておるわけで、この上官は気に入らないとか、この自分の処遇は気に入らないとか、そういうもう実に事細かなことに至るまで議会に上がる、そして議会の委員会がそれを一つ一つ審査をするというような形を取っております。こんなことまでやるのということまでやっている。  そこにおいて、文民統制と議会の在り方、私は、例えば参議院の外防がそれをやるのがいいとかそんなことを言っておるわけではございませんが、そういうものがきちんと制度として動く。それは日本人の感覚からして何となくすんなり受け入れにくいところはあるかもしれないけれども、それによってこの国の防衛という組織の規律が維持されるとするならば、いろんな考えが私はあるんだろうと思っております。  監察制度がもっと実効性の上がるものにするために、監察監以下、今もう大変な努力をしておりますが、私どもも、よく委員の御指摘も踏まえながら、監察制度がきちんと機能するためにいろんな方策を講じてまいりたいというふうに思っております。議会の立場から、またこういうことがある、ああいうことがあるということを御教示いただければ、これをまた真摯に私ども検討してまいりたいと考えております。
  50. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今、石破大臣の方から、監察というシステムが有効に機能して、いわゆるそういう防衛企業との癒着問題について発生しない体制に変えていく、非常に重要な問題だと思っています。そういう意味で、私自身はこの二月に行われた特別監察については結果はクエスチョンかなと思っているんですが。  それで、二日後に宮崎証人の喚問があるわけでありますけれども、その際に守屋とは別に、係争中ですから、ほかの自衛隊又は防衛省の幹部との間でゴルフをしたのかと私は質問を聞こうかと思っているんですが、そのときに名前、出た場合、その方は今までの特別監察に従わない、正式に答えなかったことになるわけですね。正式に答えないとそれなりに罰せられるということがやっぱり重要だと思っていまして、そういう人が出た場合には、私は一定の懲戒処分をすべきだと思っていますが、大臣のお考えいかがでしょうか。
  51. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは明日でしたかしら、明後日でしたかしら。
  52. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 明後日。
  53. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 明後日、失礼、証人喚問が行われるというふうに承知をいたしております。そこでどのような議論があるか、私、まだ分かりませんので仮定のことにお答えをしてはいけないのかもしれませんが、そこで事実として明らかになったこと、国会の証人喚問という極めて重い場において明らかになったことについては、当省として法にのっとってきちんとした対応は取らねばならないというふうに思っております。  そこで、そごが出ないというふうに私は今思っておりますけれども、仮に何らかの事実が出て、省として対応すべき場合には、それは法にのっとって厳正に行うのは当然のことだというふうに理解をいたしておるところでございます。
  54. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  私自身も、守屋事件については残念でありますけれども、それを、のど元過ぎれば熱さ忘れるにしてしまってはいけないと思うんですね。平成十年には調達本部の背任事件もありました。平成十八年には防衛施設庁の官製談合事件もありました。そのたびごと組織は変えています。組織は変わっても、やっぱりマインドというか心が、これが変わったかどうかが一番重要なわけですね。これ、二度とやっぱりしてはいけないんだと、我々が国民に対して、公務員として、また自衛隊員として、負っている責務はそこなんだということの頭の切替えがされない限り、また第二の守屋、第三の守屋が出るかもしれないと、こういう気でおりますので、是非、石破大臣のリーダーシップを期待したいと思っております。  防衛省に対する質問は以上でございますので、退席いただいても結構でございます。済みません。  じゃ、本題の方の、少し時間になりましたが、投資協定について質問させていただきたいと思いますが。  今回ラオスカンボジアという国が対象になっているわけでありますけれども、これらの国は豊富な農業資源だけではなくて、ラオスの場合は水資源、金、銅、ボーキサイトという鉱物資源が豊富であります。一方、カンボジアは石油、天然ガス、銅、ボーキサイトというのが豊富でございます。そういう意味では、資源がない我が国にとって、こういう資源を持っている国に対してどのような資源外交を今後展開していくか、また資源外交全体の中でのこの二か国の位置付けについて外務大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  55. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 近年、豊富な資源を有するラオス及びカンボジアに対する日本企業の関心は高まってきております。ラオスにおいては水力発電、カンボジアにおいては石油、天然ガス及びボーキサイトの採掘への進出が見られます。これらの日本企業に対して、我が方大使館等を通じて投資関連情報の提供や窓口の紹介等の支援を行ってきております。  資源、エネルギーに乏しい我が国にとって、その確保は重要な外交課題の一つであります。資源、エネルギーの確保のためにも、資源を有するラオス及びカンボジアとの間で長期にわたって良好な二国間関係を維持するとともに、投資協定締結を通じた投資環境の整備など幅広い施策を進めていく考えでございます。
  56. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  ラオスカンボジアへの海外からの投資状況を見ますと、ラオスに対してはタイ、中国が一位、二位でございまして、三位が我が国でございます。カンボジアに対しては韓国、中国、ロシア、四位が我が国となっているんですが、それで質問なんですが、これは事務局で結構ですけれども、今回締結される日・ラオス、日・カンボジア投資協定は、これらの投資上位国に対して勝っていると考えていいのか、何か足りない部分が残ってしまったのか、残ってしまったのであれば今後の対応についてどのようにするのか、御答弁いただきたいと思います。
  57. 小原雅博

    政府参考人小原雅博君) お答え申し上げます。  ただいま委員の方から御指摘がありましたとおり、ラオス及びカンボジアに対する直接投資額が多い国の中には、日本以外にタイ、中国、韓国等ございますが、ラオスはタイ及び中国との間で投資協定締結しておりまして、またカンボジアは韓国及び中国との間で投資協定締結しております。いずれの協定を見ましても、送金の自由あるいは投資家投資財産が国有化される場合の補償、こういった諸点、つまり投資保護でございますが、こうした投資保護を定めているものでございます。  これに対しまして、今般、我々が締結を目指して今日御審議いただいている日・ラオスあるいは日・カンボジア投資協定でございますが、ラオス及びカンボジア両国が、これらの今申しましたような国々締結した協定において期待されている投資保護に関する措置のみならず、それに加えまして、新規投資自由化に関する規定、すなわち投資許可段階における内国民待遇最恵国待遇の原則付与なども含んだ意義のある水準の高い協定となっております。  ちなみに、今後仮にラオスカンボジアが我が国以外の国々投資家に対して有利な待遇を与える場合には、この両協定最恵国待遇という規定を通じまして我が国の投資家にも同様の待遇が与えられることになりますので、この点も付け加えて申し述べておきます。
  58. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 時間も迫りましたのでこの質問で最後にしたいんですが、済みません、今日、総務省の方も来ていただいたんですが、質問できなくて申し訳ございません。  最後の質問でございますが、ラオスカンボジアとの投資協定でありますけれども、これ投資協定でありまして、いわゆるEPAではないわけですね。つまり、貿易の自由化、FTAというのは合意に至っていないという状況なんですが、それぞれの国に対して日本側のどのような輸出入品目が問題となって、いまだこの両国に対してはFTAができないのか、また、今後それの解決に向けて我が国の取組をどう考えておられるのかについて御答弁いただきたいと思います。
  59. 小原雅博

    政府参考人小原雅博君) 御質問の点でございますが、実は我が国とカンボジアラオスとの間の貿易、これは額的には大きなものでございません。両国から、そういった観点からEPA、いわゆる経済連携協定でございますが、その締結の要請がなかったということでございまして、まずは両国から強い要請がありました投資協定締結を行うこととしたという背景がございます。  特に、カンボジア及びラオスにつきましては、いわゆる後発開発途上国と言われておりまして、こうした諸国のみに適用されています特別特恵の対象、こういった対象でございますので、大多数の品目につきましては原則として無税無枠の我が国への市場アクセスを供与することとしております。  したがいまして、両国が我が国との間で二国間の経済連携協定締結したいという希望を持っているとは認識しておりませんが、この経済連携協定につきましては、実は日・ASEAN包括的経済連携協定という日本ASEANとの間での協定に署名しておりまして、今、発効のための国内法上の手続を両国が進めているということでございまして、この協定の締約国に両国がなりました段階で、実はそれ以降、段階的に関税撤廃、この両国日本との貿易において関税撤廃をしていくということになりますので、そうした観点から、我々としましては、両国間の貿易につきましてもあるいは投資につきましても、今後進展が期待されるということでございます。
  60. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 終わります。
  61. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  三つの案件については賛成であります。案件のうち二つは海外での投資促進にかかわるものでありますが、今日は、海外での政府の事業が食い物にされていたということに関連して、PCI、パシフィックコンサルタンツインターナショナルの件を質問をいたします。  同社は、一つはODA、一つ中国での遺棄化学兵器の処理事業で不正を働いておりました。これは発注者として、やはり国民の税金を預かる者としての責任も問われております。  まず法務省にお聞きいたしますが、五月の十三日に、東京地検の特捜部に逮捕中のPCIの元社長らが特別背任で起訴をされておりますが、この容疑の事実についてお述べいただきたいと思います。
  62. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 御指摘のとおり、東京地検は、平成二十年五月十三日、いわゆるPCIの元代表取締役外一名を起訴しているところでございます。  その公訴事実の概要でありますが、PCI代表取締役外一名におきまして、同社が株式会社遺棄化学兵器処理機構から受託した旧日本遺棄化学兵器処理事業に関するコンサルティング業務の一部を設計会社等四社に再委託するに際しまして、直接四社に再委託せず、パシフィックプログラムマネージメント株式会社、PPMというところでございますが、これを介在させる契約関係を仮装することによりまして、平成十六年九月十日から平成十七年九月十二日までの間、数回にわたりPPMに対する業務委託料名下に、PPMの差益金額を含む合計約二億七千万円をPPM名義の銀行口座に入金をし、PCIに対し、PPMの差益金額合計、約一億二千万円相当の財産上の損害を与えたというものでございます。
  63. 井上哲士

    ○井上哲士君 架空契約で流用したということでありますが、これに加えて五月十三日には、人件費を国に過大請求をしたと、詐欺の疑いでPCIの前社長らが再逮捕されているわけでありまして、極めて悪質なわけですね。同社は、コスタリカなどのODAに関して約一億四千万円の不正経理を行っていたということも摘発をされました。  これ、会計検査院に来ていただいておりますけれども、このPCIに対する検査の概要について御報告いただきたいと思います。
  64. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) 検査結果の概要についての御説明を申し上げます。  会計検査院は、十七年の六月に参議院から、政府開発援助、ODAにおける外務省、国際協力機構、JICA、国際協力銀行、JBICの開発コンサルタント、NPO等への委託契約の状況につきまして検査要請を受けました。これについて検査いたしました結果を十八年九月及び十九年九月に参議院議長に対して報告しているところでございます。  この報告の中で、JICAが株式会社パシフィックコンサルタンツインターナショナル、PCIでございますが、これに発注いたしました委託契約において、PCIが再委託契約書や領収書を偽造するなどをしておりまして、経理処理や精算手続が事実と異なる事態があります。これによるPCIのJICAに対する不正請求額が合計約一億二千万円であったことなどを報告したものでございます。
  65. 井上哲士

    ○井上哲士君 これも偽造を働いて、極めて悪質なわけですね。  そこで外務省にお聞きいたしますが、このODAの不正を行ったPCIに対して、外務省としてはどういう処分、そしてまた二度とこういうことを許さないための指導や改善はどのように行われたのでしょうか。
  66. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 御答弁申し上げます。  外務省といたしましては、このPCIの件につきましては極めて遺憾であるというふうに考えておりまして、具体的には次のような処分を行いました。  まず一つ目、PCI社に対しまして、同種の事案に対するものとしては上限の措置でございます十八か月間という、具体的に言いますと、平成十六年九月から平成十八年三月までの指名停止を行いまして、新規のODAからの排除ということを講じました。  二つ目には、当然のことですけれども、経理処理が適切でなかった金額についてはPCIから返還ということをさしております。  三つ目には、これらの事案で問題となった現地再委託契約手続に関して、JICAが、書類による事前審査は簡略化する一方で、再委託先、契約現場、成果品を直接確認するなどを定めた再発防止策を講じております。  このほか、コンサルタント各社との定期的な協議の機会を通じて、関係者の注意を喚起して再発防止に努めているところでございます。
  67. 井上哲士

    ○井上哲士君 十八か月間の指名停止ということでありますが、十七年度に関しますと年間通して指名停止になっているわけですね。  ところが、いただいた資料を見ますと、PCIは十七年度に、JICAとは十七件、二十四億五千六百六十五万円、それからJBICとは六件、四十三億六千八百二十五万円の契約をしております。これでは処分がしり抜けだと言われても仕方ないと思うんですが、どうしてこういうことになるんでしょうか。
  68. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) JICAにおきましては、複数年度を要する調査については全体を一本の契約とみなして、初年度に企画競争を行い、形式的には契約は年度ごとに行っているわけであります。平成十七年度の契約、御指摘の十七件でありますが、すべて複数年度の二年目以降の契約に該当しているわけであります。  また、JBICにおける平成十七年度の契約は、いずれも指名停止措置がとられる前から調達手続が開始されていたものであります。指名停止期間前から入札手続が開始されていた案件について指名停止をすることは、事業の遅延を招き、契約当事者である被援助国政府との関係でも問題を生じかねないことから、指名停止の対象外としたものであります。  これら進行中の案件については、指名停止措置の対象とすることはODA事業の安定性を損ないかねないことから、慎重な検討が必要だと考えるわけであります。  ちなみに、外務省自らがやる無償資金協力については、十七年度ゼロ件、それから十六年度も指名停止後はもちろんゼロ件と、無償においては確実にやめていると、こういうことでございます。
  69. 井上哲士

    ○井上哲士君 防衛調達にかかわる水増し請求の際も、入札参加禁止が実効性を上げていないじゃないかということを指摘をしたわけでありますが、その後のPCIが中国で様々な不正を行っていることを見ますと、もっと厳しい実効ある処分が私は必要ではないか、こういう複数年次とか、先ほど言われたようなことについても更に踏み込むことが必要なのではないかなと、そうしないと国民の理解が得られないのではないかと思います。  それで、この指名停止処分中に起きたのが今回の遺棄化学兵器処理事業にかかわる不正なわけですね。  この事業はそれまではPCIの共同企業体が直接受注をしておりましたが、このODAの問題が問題になって指名停止処分が行われる前にPCIグループ一〇〇%出資で遺棄化学兵器処理機構がつくられて、そして国からの同事業を随意契約で一括して委託を受ける、その上でこの機構が一部業務をPCIの共同企業体に随意契約で再委託をすると、こういう仕組みが取られました。ですから、形の上ではPCIは直接指名を受けなくても、グループ会社をトンネルにして引き続き従来どおり事業に参加をすると、事実上おとがめなしのような形になっているわけですね。  私は、こういうやり方は国民の理解を得られないし、その後の不正を招いたと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。
  70. 西正典

    政府参考人(西正典君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございました関係内閣府は株式会社遺棄化学兵器処理機構との委託契約、これを平成十六年四月に締結をいたしました。先生御指摘のとおり、PCIがODAの不正経理事案を受けまして外務省の方で指名停止措置をとりましたのが平成十六年九月、内閣府の方は平成十七年に処分を行っておりますが、その際、機構に対しても、PMCとの管理監督を徹底するようにという指示を出しております。  他方、本事業が新たな知見、技術を蓄積しながら進めていくという特殊な事業でありました関係で、機構が有する知見、ノウハウが事業を進めていく上で必要であるということから、内閣府が株式会社遺棄化学兵器処理機構と平成十九年度までの間、契約関係を継続してまいりました。  他方、こうした業務の進め方が特定の民間企業に依存する体質を生んで不透明であるという御批判をちょうだいいたしましたことから、現在は一般競争による業者の選定、内閣府による体制の強化、有識者会議の開催を柱とする執行体制の見直しを行っております。  事業執行の透明性を高めて事業の適切な執行に努めているところでございます。
  71. 井上哲士

    ○井上哲士君 透明性という問題はあるんです。しかし、指摘しているのは、元々これだけの様々な不正を行っていた企業を、非常に便宜を与えるような形でグループで一括、事実上丸投げを受けるという形を言わばおぜん立てをしてしまったと、これがやっぱり今日の事態をつくっているわけですね。  これがどうやって税金を食い物にしたかと。容疑や被疑事実にありますように、一つは、PCIから下請四社に発注する際に、もう一つのグループ会社のPPMに再委託した上で下請をするという形を取って事実上の架空契約でお金を捻出したと。それからもう一つ、逮捕容疑になっていますように、下請会社に外注した分も自社が行ったように偽装した書類を提出をして国から人件費を水増し請求をしたと、こういうものなわけですね。  内閣府はやはり発注者として国民の税金を預かるわけでありますから、本当に一円の不正、無駄もないような執行が求められるわけですね。こういう架空契約、それから水増し請求、こういう実態についてどのように調査をして事実を把握をされているんでしょうか。
  72. 西正典

    政府参考人(西正典君) 私ども、昨年十月の段階で報道が出ました段階からこれまで、契約者、相手方との間の経費執行に関する書類、機構及び再委託先から提出されます各種書類がございますが、そういったものの再精査などを行ってまいりました。  しかしながら、現時点、御指摘のとおり各種報道出ております。そうしたものも踏まえ私ども、本件注意を持って見ておりますが、いずれにしましても捜査中の事案に関することでございますので、今の時点での答弁は差し控えさせていただきたいと思っておりますが、今後とも捜査の推移を慎重に見守り、しかるべき措置をとっていきたいと思っております。
  73. 井上哲士

    ○井上哲士君 水増し請求については、いろんな請求書類があるわけですね。そういう水増し請求がやられていた、言わば下請の人も含めて自社が行ったように偽装していたと。こういう書類の確認など、要するにそういう事実関係について発注者として把握しているのかどうかと。いかがなんでしょうか。
  74. 西正典

    政府参考人(西正典君) 私どもの方では、四半期ごとに業務月報それから請求書、領収書などの詳細な信憑書類が添付された支出状況報告書を受けております。また、採択に関する各種の確認資料も出ております。こういったものについて私どもの方できちんとチェックをしておるのでございますが、御指摘のような形での偽造そのほかに関しましては、今捜査中の事案でございますので答弁を差し控えさせていただきたいと思っております。
  75. 井上哲士

    ○井上哲士君 国民の税金を預かる発注者なんですから、捜査当局は捜査当局としてやるでしょう、しかし、今現にこの事業は進行しています。それ以外にも様々な事業があるわけですね。そういうことで同じことが起きないように、一体どういう事実関係があるかということを把握するって私は当然だと思うんですね。それが、今のような答弁は極めて遺憾であります。衆議院での議論でも、大臣も、実態をしっかり把握した上で対応しなければならないと、こういうふうに言われているわけですね。一体何を把握をされているのかと。  これ荒木容疑者は周辺に、受注額の半分以上がもうけだとか、この事業は金のなる木だということを繰り返し吹聴をしているわけですね。ですから、向こうの言い値の契約になっていたんじゃないか、ですからこういう架空とか虚偽をやってももうけが出る仕組みになっていたんじゃないかと思うわけですね。  様々な不正をチェックできなかったその理由、そして今後どういう改善をお考えでしょうか。
  76. 西正典

    政府参考人(西正典君) その件に関しましては、昨年十二月、担当の岸田国務大臣の方から記者会見などで御報告をさせていただきましたとおり、やはり事業の進め方の透明性に関しての御批判、いろいろちょうだいいたしております。そうした点から、現時点では一般競争による業者の選定、それから内閣府が直接各種契約に当たるという形での事業の管理の強化、あるいはまた知見のある先生方による有識者会議によって執行体制を逐次チェックしていただくという形での透明性を高めるということを考えております。  このような形で事業の透明性を高めることで、今後不正というものが起こることのないよう私ども進めていきたいと思っております。
  77. 井上哲士

    ○井上哲士君 どうも不正をチェックできなかったことに対する反省というものが私には伝わってまいりません。  会計検査院に聞くんですが、この問題も国民の税金が不正に使われている重要な問題でありますが、今後その実態について検査をすべきだと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
  78. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) お答え申し上げます。  会計検査院は、内閣府に対して毎年会計実地検査を実施しておりまして、お尋ねの本件事業につきましては、これまでも国会等における御議論を十分念頭に置きながら会計実地検査を行ってきたところでございますが、今後の検査に当たりましては、ただいまの委員の御指摘にも十分留意いたしまして検査してまいりたいと考えているところでございます。
  79. 井上哲士

    ○井上哲士君 さらに、この事業で得た不正な利益がODAで東南アジアの公務員に渡すリベートとして使われたという疑いが浮上をしております。報道では、そのためにPCIが〇三年以降、香港の現地法人などに年間一億円以上送金していたということも言われているわけでありますが、外務省としてこの問題、このODAのリベートに使われていたんじゃないかということについては、どういう調査をし事実関係を把握されているでしょうか。
  80. 小田克起

    政府参考人(小田克起君) 外務省といたしましては、JICAを通じてPCIからの事情聴取などを行っておりますが、報道にあるような事柄については確認はできておりません。  PCI社につきましては、捜査当局による捜査が行われておりますので、その進展を注視していきたいと、このように考えております。
  81. 井上哲士

    ○井上哲士君 年間一億円以上送金していたという事実であるとか、それからエージェントに対する調査費という名目で拠出をしているとか、そこから先の使い道はともかく、こういう事実については確認されているんでしょうか。
  82. 小田克起

    政府参考人(小田克起君) 確認はしておりません。
  83. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、PCIはこの問題だけにとどまらず、国後島のディーゼル発電所建設工事の入札をめぐる偽計業務妨害事件を始め、この間、家宅捜索も繰り返して行われているわけですね。そして、ODAについて今回の遺棄化学兵器処理事業でも不正を行ったということであります。  極めて会社ぐるみで悪質なことが続いているわけですから、私は、同社の受注してきたこのODA事業ですね、こういう不正がないか、総点検をするべきだと思います。その点、外務省としての御決意をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  84. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) JICA及びJBICは、特にPCI社の不正行為が判明した再委託契約について、これまでもPCI社以外のコンサルタントとの契約についても、受注実績上位の業者等が受注した案件から抽出調査を行っており、適正を欠く事例は見付かっていないと承知をしております。  さらに、再発防止策として、JICAは平成十七年十二月に再委託に係るガイドラインを作成し、平成十八年一月から書類による事前調査は簡略化する一方、再委託先、契約現場、成果品を直接確認することとしました。これらの取組は適正に履行されていると報告されております。  現在までのところ、ODAに関するすべての契約について調査を行うことは困難でありますが、外務省としては、今後ともODA事業における不正防止のための不断の努力を行っていく決意でございます。
  85. 井上哲士

    ○井上哲士君 終わります。
  86. 山内徳信

    山内徳信君 承認を求める三つの案件につきましては賛成することをあらかじめ表明をして、以下の質問をいたします。  最初の質問は、米兵裁判権放棄問題についてであります。  最初に、外務大臣の基本姿勢からお伺いしたいと思います。  日本は、日米関係において、主権国家として、イコールパートナーとして外交を進めてきたとお考えでありますかどうか。
  87. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 主権国家として、イコールパートナーとして外交を進めてまいりました。  日米安全保障条約がそれぞれの義務が違う双務契約になっておりますので、そういうところから発生するいろいろなことがありますけれども、イコールパートナーとして外交を進めてきたわけでございます。
  88. 山内徳信

    山内徳信君 二番目に、アメリカ側の公文書によれば、日米政府日本に駐留する米兵らの事件をめぐり、一九五三年に重要な案件以外日本側は裁判権を放棄するとの密約に合意した。日本側はその後、五三年から五七年までの約五年間に起こった約一万三千件の米兵関連事件で裁判権を放棄したのは九七%、約一万二千六百件になります。日本側が裁判に付したのは約四百件しかありません。改めて、政府答弁として正確な数字でお答えいただきたいと思います。
  89. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) お答えいたします。  お尋ねの一九五三年から五年間のといった過去の関係資料は保有しておりませんので、お尋ねの点については把握していない次第でございます。
  90. 山内徳信

    山内徳信君 政府答弁というのはこういうものですか。アメリカはちゃんと公文書館にそういう資料を保存されているのに、資料を最も大事にするのが行政でしょう。そういう答弁では通りません。
  91. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 本件が過去にも国会の場で質疑があったと承知しておりますが、この数字につきましては、五三年から五年間といった統計はないというふうに答弁していると承知しております。
  92. 山内徳信

    山内徳信君 外務省ね、五万件の年金が消えた話も有名でしょう。(発言する者あり)五千万件ですよ、五千万件。今の話は、外務省にそういう記録はありませんと、そういう話で国民をだます考えですか。外務大臣、どう思いますか。冗談じゃない。
  93. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 年金が消えた話と昔の刑事事件の処理がどうなったかということの話とは、これは全く別の話だと私は思います。  それで、なお、二〇〇七年度において言いますと、我が国が第一次裁判管轄権を有する七百二十二件の米軍関係者による事件のうち、法と証拠に基づき三百五十一件が起訴されたものと承知しております。これは、二〇〇六年における日本全体における起訴の割合、四二・四%を上回るものとなっております。日本で事件が起こって、四八・六%が日本で起訴されているんです。これは一般の刑事事件での起訴率四二・四%を上回るものでありますから、少なくとも現時点でこの点についてイコールパートナーとしてきっちりやっているということは間違いないことであります。
  94. 山内徳信

    山内徳信君 外務省にお尋ねしますが、この外人関係の事件の記録はさかのぼって何年ごろからはありますか。
  95. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 先ほどの御質問との関連かと思いますが、先ほど五三年からの五年間の資料を保有していないとお答え申し上げましたけれども、これは昔、法務省にも確認して、法務省も持っていないといったことから御答弁申し上げた次第でございます。
  96. 山内徳信

    山内徳信君 いや、さかのぼって何年ごろからは資料として残っておるかを今聞いておるんです。
  97. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 法務省に問い合わせてみましたところ、先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたけれども、この種の資料というのは一年分を保管しておるというふうに法務省から回答を得ていまして、その数字を先ほど御紹介した次第でございます。
  98. 山内徳信

    山内徳信君 当時の岸信介首相は裁判権の放棄が外部に漏れたら恥ずべき事態であると、こういうふうに首相はおっしゃっておるんです。外務大臣は恥ずべき事態と認識しますか、しませんか。要するに、このような九七%裁判権を放棄していた時代、五三年から五七年というともう既に独立国家、主権国家になっておるわけですよ。そういうことで、当時の首相はこういうことが外部に漏れたら恥ずべきことである、事態であると、こうおっしゃったんですが、高村外務大臣はどういうふうな認識でいらっしゃいますかとお尋ねしておるんです。
  99. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 岸信介首相がそのようなことを言ったということを私は把握をしておりません。そして、九七%について裁判権を放棄していたということも私は把握をしておりません。ですから、私が把握をしていない事実について私の見解を述べるということはできないことでございます。
  100. 山内徳信

    山内徳信君 これはアメリカ側の公文書からの資料でございます。是非、外務省としてこの事実関係を調べていただきたいと思います。  そこで、この件の最後の質問でございますが、私は、五八年から二〇〇〇年までの米兵関連事件の件数と裁判権を放棄した件数、日本側が裁判に付した件数、大臣からは四八%とかいうお話がございましたが、その資料を作成されて是非外交防衛委員会あてに提出をしていただきたいことを要求をして、次に進めていきたいと思います。よろしゅうございますね。局長、よろしゅうございますね。
  101. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員会でそういう資料を求められるのであれば、外務省が法務省の方にそういうお願いをしてみたいと、こういうふうに思っております。
  102. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 山内委員に申し上げますが、資料の提出委員会として要求するように御発議ですか。
  103. 山内徳信

    山内徳信君 そうです。
  104. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) この件については、後刻理事会で協議をいたします。
  105. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) できれば法務省に直接資料要求していただいた方がいいかなとは思いますが、もし外務省提出しろということであれば、法務省にお願いした上で間接的にするということになると思います。
  106. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 当委員会の所管は外務省防衛省でございますので、ただいまの大臣の発言も踏まえて協議をいたします。
  107. 山内徳信

    山内徳信君 次の問題に移ります。  一九七四年、伊江島の米兵発砲事件の裁判権放棄についての覚書がございますが、その点についてお伺いいたします。  七四年の七月十日、沖縄県の伊江島で発生した米兵による至近距離からの住民狙撃事件であります。  アメリカ側は当初、公務外だったとして裁判権を日本側に渡すと通知してきました。ところが、途中から方針を転換し、裁判権を日本側に逆に要求をしてきております。その理由として、裁判権を行使し損なえば他国との地位協定や米兵の士気にまで影響が及ぶとの懸念から、アメリカ側は公務外を公務中と日本側に要求し、公務中だから日本は手を触れるなというのがアメリカ側の言い分であります。沖縄が日本に復帰して二年後のことであります。結局は、日本政府は米側の要求に屈し、第一次裁判権を放棄いたしました。この姿を当時の沖縄県民や日本国民から見ますと、対米追従、屈辱外交というふうに映ったわけでございます。そして、日米地位協定の不平等性がこういうふうに現れてまいりましたし、したがって、日米地位協定改正ということは、もうこれは国民世論でありますし、時代の要求するところであります。  これは別個また要求してまいりますが、高村外務大臣は裁判権を放棄したことは正しかったというふうにお考えになるのか、それは間違いであったというふうにお考えになられるのか、その基本的な認識を伺っておきたいと思います。
  108. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 御答弁を申し上げます。  いわゆる伊江島事件でございます。一九七四年七月十日に伊江島で発生した米軍人二名が住民に発砲した事件につきましては、同年七月二十九日に米側が公務証明書を発給したために、日本側がこれに反証がある旨を米側に通報し、第一次裁判権の帰属をめぐる問題について、日米合同委員会の分科委員会である刑事裁判管轄権分科委員会において検討を行いました。しかしながら、日米双方の見解の相違を解決することができず、翌七五年四月二十四日に、問題解決を日米両政府間の交渉にゆだねる旨の決定が日米合同委員会より行われました。  その後、日米両政府が協議を重ねた結果、一九七五年五月六日、当該事件の裁判管轄権の帰属に関する日本側の法的立場を維持しつつ、本事件をいつまでも未解決のままにしておくことは加害者の処罰、被害者救済の観点から問題であり、本件の早期決着を図るという実際的な見地から、日本側は裁判権を行使しない旨を米側に通報した次第でありまして、かかる経緯や考え方から、既に当時の国会でも明らかにしているとおりであります。  以上であります。
  109. 山内徳信

    山内徳信君 今答弁のありましたことは私も承知しております。私の質問は、現在の外務大臣として、現在、現時点においてね、こういう裁判権の放棄は正しかったのかということをお伺いしておるんです。いや、大臣に聞いておるのに。どうぞ。
  110. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 当時の国会答弁を見てみましても、裁判権を放棄したのではないんだと。裁判権はあることを前提としつつ、お互いの意見が違っていたわけですから、どちらかが譲らないと、どちらかが最後までこれ処罰されないままにずっと行くわけで、この事件については日本側が裁判権を行使しないことにしたと。裁判権を放棄したんじゃなくて、裁判権を行使しないことにしたと、そういう答弁がなされております。それはそれで、両方の法的見解が違って、それをどちらかが譲らなければいけない場合、この場合は日本側が譲ったと、こういうことでありますから、その一事をもって、どちらかが譲らなければいけないことを、どっちかである、その場合は日本が譲ったということ一事をもってこれはイコールパートナーでないと決め付けることはできないと、こういうふうに思います。  それで、今申し上げたように、国会でも明らかにしていますし、秘密協定でも何でもありません。これ表で、表で明らかにしてそういうふうな処置をしたと、こういうことであります。
  111. 山内徳信

    山内徳信君 私が聞く限り、放棄とか行使しなかったというふうに言葉を使い分けしていらっしゃいますが、少なくともアメリカ側は最初は公務外だと言ったわけです。公務外ならば、当然、第一次裁判権は日本にあるのが当たり前でしょう。それを途中から公務中だったといって裁判権を取り上げていったわけですよ。沖縄にはそんなのが結構あったですよ。移送裁判というのはそれなんですよ。当時は琉球裁判所と言ったんです、そこが判決を出して、アメリカ軍に都合悪ければそれを取り上げて、アメリカ軍が構成している裁判所で裁いていって、判決を逆転の結果を出していったことは何度もあったわけです。  そして、ここで大事なことは、やはり裁判権を行使し損なえば他国との地位協定や米兵の士気にまで影響が及ぶと、こう言っているんです。ですから、日本人の人権よりもアメリカ軍の士気とか他国の地位協定との関係が優先されたということです。そういうふうなことを私はこの場で指摘をしておくわけです。  もっとやはり、日米関係はイコールパートナーとか主権国家、独立国家として、やはりきちっとして日本国民を守るという前提に立って臨んでいただきたいと、こういうふうに思います。  あと何分残っていますかね。あと一分。  それじゃ、問題点だけの指摘になりますが、私は辺野古への新基地建設計画は政府による最大の自然破壊につながるというふうに考えております。したがいまして、北はサミット、自然保護、地球温暖化の問題に取り組んでおる日本が、南の沖縄ではやはり陸域も海域も埋め立てて次々と自然破壊をすることは是非やめていただきたいと思います。  中身に入る時間はありませんが、最後に、環境アセス方法書は、これは所管省は防衛省でございますが、その中に、最初に出てきたアセス方法書にも、その後に出てきた追加アセスの方法書にも全く出てこない。しかし、アメリカの国防省の資料にはちゃんと要求したという事項があるが、日本が、防衛省が出した環境アセス方法書にはその重要な事項が欠落をしておりますが、これは双方が外交交渉の中で秘密にしたのか、あるいは、これ出すと国民に大きな影響を与えるからというふうに秘密にしたのかどうかをお聞きしたかったわけでございますが、今日は指摘だけにしておきます。  時間ですから、終わります。
  112. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、投資自由化促進及び保護に関する日本国カンボジア王国との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  113. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、投資自由化促進及び保護に関する日本国ラオス人民民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  114. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。  次に、全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  115. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  117. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 次に、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する二千八年一月二十二日に作成された確認書締結について承認を求めるの件、社会保障に関する日本国オランダ王国との間の協定締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国チェコ共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。高村外務大臣
  118. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ただいま議題となりました千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する二千八年一月二十二日に作成された確認書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この確認書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に含まれている我が国の譲許表に関し、医薬品関連の関税撤廃の対象産品の見直しに伴う修正等を確認するためのものであります。  我が国がこの確認書締結することは、国際貿易を促進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この確認書締結について御承認を求める次第であります。  次に、社会保障に関する日本国オランダ王国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、オランダ王国との間で生ずる年金制度、医療保険制度等への二重加入等の問題の解決を図るべく、平成十七年十月以来、同国政府との間で協定締結交渉を行ってまいりました。  その結果、本年二月二十一日に、ハーグにおいて、我が方渋谷特命全権大使と先方ドナー社会・雇用大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、日・オランダ間で年金制度、医療保険制度等への強制加入に関する法令の適用の調整を行うこと等について定めるものであります。  この協定締結により、年金制度、医療保険制度等への二重加入等の問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されること等により、両国間の人的交流が円滑化され、ひいては経済交流を含む両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  最後に、社会保障に関する日本国チェコ共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、チェコ共和国との間で生ずる年金制度、医療保険制度等への二重加入等の問題の解決を図るべく、平成十九年六月以来、同国政府との間で協定締結交渉を行ってまいりました。  その結果、本年二月二十一日に、プラハにおいて、我が方熊澤特命全権大使と先方ネチャス副首相兼労働社会大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、日本・チェコ間で年金制度、医療保険制度等への強制加入に関する法令の適用の調整を行うこと等について定めるものであります。  この協定締結により、年金制度、医療保険制度等への二重加入等の問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されること等により、両国間の人的交流が円滑化され、ひいては経済交流を含む両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いをいたします。
  119. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会