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2008-05-13 第169回国会 参議院 外交防衛委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月十三日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月八日     辞任         補欠選任         谷岡 郁子君     喜納 昌吉君      轟木 利治君     徳永 久志君      米長 晴信君     牧山ひろえ君  五月九日     辞任         補欠選任         浜田 昌良君     西田 実仁君  五月十二日     辞任         補欠選任         柳田  稔君     谷岡 郁子君      西田 実仁君     浜田 昌良君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北澤 俊美君     理 事                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 藤田 幸久君                 佐藤 昭郎君                 山本 一太君     委 員                 喜納 昌吉君                 佐藤 公治君                 谷岡 郁子君                 徳永 久志君                 白  眞勲君                 牧山ひろえ君                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 木村  仁君                 小池 正勝君                 佐藤 正久君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君    副大臣        外務大臣    木村  仁君    大臣政務官        外務大臣政務官  小池 正勝君        防衛大臣政務官  寺田  稔君        防衛大臣政務官  秋元  司君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        外務大臣官房長  林  景一君        外務大臣官房審        議官       小田 克起君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務大臣官房広        報文化交流部長  山本 忠通君        外務省北米局長  西宮 伸一君        国土交通省自動        車交通局技術安        全部長      松本 和良君        防衛省地方協力        局長       地引 良幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○経済上の連携に関する日本国とブルネイ・ダル  サラーム国との間の協定締結について承認を  求めるの件(第百六十八回国会内閣提出、第百  六十九回国会衆議院送付) ○刑事に関する共助に関する日本国中華人民共  和国との間の条約の締結について承認を求める  の件(内閣提出衆議院送付) ○経済上の連携に関する日本国インドネシア共  和国との間の協定締結について承認を求める  の件(第百六十八回国会内閣提出、第百六十九  回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会開会をいたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る八日、米長晴信君、谷岡郁子君及び轟木利治君が委員辞任され、その補欠として牧山ひろえ君、喜納昌吉君及び徳永久志君が選任されました。  また、昨日、柳田稔君が委員辞任され、その補欠として谷岡郁子君が選任されました。     ─────────────
  3. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房長林景一君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 牧山ひろえです。本日もよろしくお願いいたします。  さて、質問に先立ちまして、おとといの新聞にも掲載されましたアフリカ向け母子手帳普及させるとの内容につきましてお話をさせていただきたいと思います。  この母子手帳に関しまして、私は、三月二十七日の外交防衛委員会で、そして二十八日のODA特別委員会で、高村大臣に、アフリカ向けのプロジェクトにしてみてはどうでしょうかとの御提案をした経緯がございます。高村大臣も、母子手帳がパレスチナで大きな成果を生んだとの御認識があったかと思います。私としても、是非とも母子手帳TICADⅣが開催される今年に、同会議横浜宣言で積極的に高らかに御提案していただきたいと思います。  高村大臣、この母子手帳アフリカ各地普及させていくという取組について、横浜宣言に盛り込むとのことですが、現時点で決まっておられる内容を概略で構いませんのでお答えいただけますでしょうか。
  7. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 国際社会におきましてアフリカにおける母子保健改善重要性指摘されておりまして、TICADⅣにおいても、最も脆弱な立場にある女性と子供に焦点を当てた母子保健について議論を深めていく考えでございます。  特に、母子手帳健康一般についての母親の知識を高めることによって妊産婦死亡率乳幼児死亡率改善させることができるという点で優れた制度であると認識をしているところでございます。母子手帳は、一方で保健所の設置及びアクセス、保健医療従事者育成といった保健システム向上母親識字率改善と相まってこそ効果が発揮されるものであります。アフリカにおきましては、このような協力を進めつつ、母子保健向上協力していきたいと考えます。  横浜宣言を含むTICADⅣの成果文書具体的内容については、現在、アフリカ諸国共催者を含め関係方面最終調整中でありまして、まだ御紹介するような文言が、こういう文言が入ると言える段階ではないということを御理解いただきたいと思います。
  8. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。母子手帳のような、日本が得意とする、また日本独自のアフリカ支援に大きな期待をしております。  TICADⅣの準備状況については各方面情報をいただいておりますけれども、私が一点気になることが、各国要人受入れ態勢でございます。  聞くところによりますと、各国首脳を乗せた政府専用機羽田空港に乗り入れるとのことですけれども、五十近い政府専用機羽田空港の敷地内に駐機させることができず、外務省がそのやりくりに大変御苦労されているということをお伺いしております。今日は外交防衛委員会ですので特に御答弁は求めませんが、やはりこうした国を挙げての国際会議ですから、日本の空の玄関口である羽田空港においては各国要人を問題なく、滞りなくお迎えできるように、羽田空港国際化、そしてその周辺のインフラ整備について国が責任を持って早期にそういったことを準備するということを申し添えておきたいと思います。  では、本題へと入らせていただきます。  五月六日から十日まで、中国胡錦濤国家主席が来日されました。さて、その中国ですが、昨日、現地時間のお昼過ぎぐらいに四川省を中心とした大きな地震がありました。早期の復興に向けて、日本地震大国として経験があること、例えば救済のノウハウですとか、そういった経験を踏まえて中国地震救済に向けて考えていければと思います。  さて、その中国です。中国胡錦濤国家主席が来日したということですが、五日間という外交日程の長さは中国日本重視外交を示したと考えられますが、私たちが関心を寄せている例えば東シナ海のガス田問題ですとか食の安全の問題など、私たちが懸念する課題の抜本的な解決にまでは至らなかったのではないかというのが率直な意見でございます。  さて、本論に戻りますけれども、高村大臣日中共同声明内容について御質問したいと思います。  日中共同声明の四番目に、中国側は、日本国際連合における地位役割を重視し、日本国際社会で一層大きな建設的役割を果たすことを望んでいるということが記載されております。これは間違いなく日本国連常任理事国入り支援する旨であろうと思いますけれども、大票田である五十三か国のアフリカ支持国連加盟国の三分の二以上が必要とされる採択に大きな影響力を持ちますし、全常任理事国を含む三分の二以上の批准が必要な場合では中国支持も不可欠でございます。日本常任理事国入りはまさに日本外交の悲願でもありますから、再来週開催されるTICADⅣの成功も大変意義深いことであろうと思います。  こうした背景も含めまして、高村大臣、今回の日中共同声明で発出されたこの内容は、日本国連常任理事国入り中国が積極的に支援するとの認識でよろしいのかどうか、是非、御見解、御報告をお願い申し上げます。
  9. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今般の胡錦濤国家主席の訪日は、戦略的互恵関係具体化を通じアジア世界のより良き未来を共につくり上げていくとの日中関係の歩むべき方向性を示したものとして、非常に意義があったものと認識をしているところでございます。  我が国国連安保理常任理事国入りについては、七日の首脳会談において、福田総理から日本立場について中国側理解支持を要請したのに対して、胡主席から、日本国連において積極的な貢献を行っていることを積極的に評価している、日本国連における地位役割を重視しており、日本国際社会において更に大きな建設的役割を果たすことを望んでいる等の発言がありました。この旨は、首脳会談に合わせて発表した「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明にも記載されたところでございます。  これらの表現は、必ずしも中国側による我が国国連安保理常任理事国入りの積極的あるいは明確な支持表明とまでは言えませんけれども、昨年四月に温家宝総理が訪日した際に発表した日中共同プレス発表における表明日本国際社会において更に大きな建設的役割を果たすことを望んでいるよりも一歩かあるいは半歩か前進したものと認識をしているところでございます。  我が国としては、引き続き、中国との間で本件につき緊密な意思疎通を図り、日本立場についての更に明確な支持表明を求めていくとともに、本件を含めた幅広い対話を強化し、アジア世界の安定と発展に共に貢献する戦略的互恵関係を築いていく考えでございます。
  10. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  さて次に、在外公館について質問したいと思います。  主要国外務省職員の数は、アメリカが二万二千人、フランスが一万一千人、そしてイギリスドイツ中国、ロシアなどの七千人規模となっていますが、日本外務省職員数は、最近増加したものの、今年度末の定員が五千六百人にとどまっております。戦後、外務省は大幅な人員縮小状況でスタートした経緯がございますので、各国に比べて外務省存在感が乏しいのは理解できます。  さて、そうした中で外務省は、外交体制強化のために目標として掲げた十年間で定員二千人増員計画を順次進めていますので、それに関連して二点お伺いしたいと思います。  まず、外務省定員純増は昨年度五十一名、今年度が九十九名ですが、そのうち実際に在外公館に配置された、あるいは配置する予定職員は何名でしょうか。任期付採用を除いた数字でお願い申し上げます。  また、十九年度任期付採用として四十名採用されておりますが、青年海外協力隊経験者が二名、NGO活動経験者が二名の採用と、即戦力をうたう採用としてはやや人数が少ないと感じております。実際に採用試験に応募した青年海外協力隊経験者NGO活動経験者の実際の数をそれぞれ御報告いただければと思います。お願いします。
  11. 林景一

    政府参考人林景一君) 本年度増員につきまして、これは本年度の、まさにこの法律も含めまして、法律予算、お認めいただいた上で実際の配置ということが決まってまいりますので、たった今の時点で現実にこれだけの人間が配置されるということをちょっと申し上げるのは難しいわけでございますので、ちょっとそこは御理解いただきたいわけでございます。  もとより、これまでの定員のこの一、二年におきます増強に当たりましては、特に在外公館におきます情報の収集あるいは領事関係サービス業務等につきまして重点を置いて取り組んでおりますし、本省におきましては、経済連携協定なんかの面におきまして要員を張り付けているというのが今の状況でございます。  二点目のお尋ねでございますけれども、私どもとしては、こうした中で、定員増員をお認めいただいている中で、じゃ実員といいますか、実際の採用をどうするかということは非常に重要な問題だと思います。まさに外交官を養成するにはやはり何年も掛かります。しかし、急な今ニーズというものがあるわけでございますので、それにどうこたえていくかということでは、中途採用といった形で即戦力の方々を採用していくということは考えていかなければならないという話だと思いますし、御指摘のありました任期付採用といったことについても積極的に取り組んできているところでございます。  確かに、NGO経験者、本年におきまして二名、青年海外協力隊経験者二名、まだまだ数は少のうございますけれども、少なくとも姿勢としてはこれは積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
  12. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 是非積極的に採用をよろしくお願いいたします。  外務省主要国と同程度の外交力を保持するために職員数を増やさなければならないという事情は理解できますが、せっかく職員数を増やすのであれば、もっと日本の国益に直結するように配慮すべきだと思います。  先日も、この場で高村大臣と、いわゆる魔の三十代問題について議論いたしました。学生を始め、国際協力にかかわる若い人々は高い志を持って海外活動を展開するわけですが、彼らが帰国後に就職難に直面する実情を知り、結局は三十代を節目に国際協力活動から離脱せざるを得なくなるというものです。この魔の三十代問題を解決する切り札こそがまさに外務省職員新規増員の受皿であり、若いころに経験した海外での活動をフルに発揮することができる場であると思うんです。まさに適材適所、これこそが世界各国現地在外公館に必要とされる人材だと私は思います。  大臣外務省増員計画を進める上で、単に試験などによって職員採用をするのではなくて、国際協力活動で実際に経験を積まれた若い人たちを積極的に採用して外務省の機能を強化すべきであると考えますし、同時に、いわゆる正社員として職業の安定を担保した上での人材登用が求められているんだろうと思いますが、この点に関して大臣の方からも御所見をいただければと思います。
  13. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 御指摘のとおり、国際平和協力経済協力に携わった若手邦人経験を生かして引き続き活躍されることは、本人にとってのみならず、国際社会への人的貢献強化し、国際機関意思決定我が国立場考え方を適切に反映させるという観点から、我が国外交にとっても極めて重要であると認識をいたしております。  先ほども御答弁いたしましたように、このような認識の下で、本年度においてはNGO経験者二名、青年海外協力経験者二名を採用したところでございます。また、御指摘のような人材国際機関における採用促進については、従来より、国連等国際機関への勤務を希望する若手日本人対象に、我が国国費負担によりまして国際機関に派遣し、国際機関への就職に必要な経験を積んでもらうジュニア・プロフェッショナル・オフィサー等派遣制度を実施して要員の確保に努めております。  帰国した青年海外協力隊員就職のことでございますが、JICA及び外務省協力をしまして、相談あるいはセミナー、カウンセリング等を行いまして、JICAによる国際協力人材登録制度等様々な支援を行って、国際関係問題に引き続き従事するよう努力をいたしているところであります。  さらに、平和構築分野人材を積極的に育成することが必要と考えますので、平成十九年度より、平和構築の現場で活躍する内外の講師等協力を得て、文民を対象とした平和構築分野人材育成事業等を実施しております。  このようないろんな政策を講じながら、外務省の二千人増員問題とも絡めながら、国際共通課題に対処していく人材を養成、確保してまいりたいと考えております。
  14. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 私もいろいろなところで今伺っているんですけれども、せっかくこの国際協力活動に精通した若者たちが三十代で安定した就職ができないということでその志を断念してしまうということは余りにも残念なので、積極的に、彼らが安定した職場を得られるように、よろしく御検討いただければと思います。  さて、アフリカにおける日本大使館の数なんですけれども、今年度末で二十九ですが、十八年度の調査ではアメリカが四十七、フランスが四十五、中国も四十六です。今後、政府主要国並みの数に在外公館を増やす予定とのことですが、これまでの通例を察すればやはり人材難になる可能性も高く、更に言えば、再来週開催されるTICADⅣで日本アフリカ諸国に積極的な支援表明しても、結局現地拠点がなければせっかくの支援が水の泡になる可能性があると思います。アフリカ現地日本支援が継続的に実行されるよう、アフリカにおける在外公館増強をお願いしたいと思います。  大臣、何かこれに関してコメントがございましたら、よろしくお願いいたします。
  15. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今月末に迫ったTICADⅣでは、近年、平和の定着や民主化の進展、経済の成長で明るい兆しの見られるアフリカ諸国を後押しするために、元気なアフリカを目指しての基本メッセージの下、アフリカ開発支援のために我が国を含む国際社会の知恵と資金を結集したいと考えており、インパクトのある支援策を打ち出すべく鋭意準備を行っているところであります。  その一方、このように対アフリカ外交を積極的に推進していく上で、アフリカにおける我が国大使館の数は主要国に比して劣っているのが現状であるというのは委員指摘のとおりでございます。アフリカ五十三か国中、アメリカが四十八、中国が四十七か国に大使館を置いているのに対し、我が国大使館を置いているのは現時点で二十七か国にすぎないわけであります。  外務省としましては、対アフリカ外交強化する観点から、平成十九年度には三大使館を新設したほか、今年度は二つの大使館を新設する予定でございます。今後も大使館勤務する定員増強も含めて引き続き外交実施体制強化を図っていきたいと思いますので、引き続いて御支援よろしくお願いを申し上げます。
  16. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  いわゆる国家が運営主体となり自国の言語の普及活動海外で行う、そういったスクールの機関が増えております。報道によりますと、中国が展開する孔子学院は全世界に百八十八か所、イギリスのブリティッシュカウンシルは百二十六か所、ドイツのゲーテ・インスティチュートは百一か所です。それぞれの機関では自国の語学の教育を実践し、優秀な学生自国に招聘して有能な人材として活用する取組をしているそうです。  そうした中で、我が国は全世界に三十九か所開設し、今後百か所まで増やしていくという予定だそうですが、その展望をお聞かせいただければと思います。
  17. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国は、諸外国での我が国に対する信頼理解増進外交政策の円滑な推進に資するとの観点から、海外における日本語普及に取り組んでいるところであります。  積極的に日本語普及を図るために、今委員が御指摘になったとおり、昨年度には、既存の交流基金海外事務所現地日本語教育機関連携して、三十一か国の三十九か所を日本語普及拠点位置付けたわけであります。我が国としては、こうした取組により、今後二、三年間で海外日本語普及拠点をまず百か所に増大させる考えでございます。また、今後とも、日本語普及拠点拡充を一層強化していく考えでございます。  日本語普及拠点拡充ということも大事ですが、日本語を学んでもらおうというインセンティブをどう付けていくかということも、あるいは文化の点から、あるいは経済の点から、いろいろ、日本語を学ぶとこういういいことがありますよというインセンティブをどう広げていくかということも併せてやっていきたいと、こう考えております。
  18. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  在外公館の使命として、日本文化現地に広めることも重要であると考えております。  フランスカナダ大使館では自国文化を広める活動を積極的に展開しておりますし、幅広い文化紹介をしていると認識しております。在外公館を核として日本文化普及に向けた取組をすべきだと思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  19. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 我が国は、外国国民の世論に直接働きかける対市民外交、すなわちパブリックディプロマシーを重視しており、我が国の魅力を伝え、我が国に対する共感と信頼増進に資するとの観点から、外国における日本文化紹介に積極的に取り組んでおるところであります。  文化紹介については、官民双方が種々の努力をしておりますけれども、海外公館国際交流基金はその中でも拠点としての役割を担っておりまして、伝統文化からアニメ、漫画等ポップカルチャーまで、我が国が有する豊富なコンテンツを活用して講演、展示事業等を含む日本文化紹介事業各国の特性を踏まえて実施しているところであります。  今後とも、在外公館国際交流基金海外事務所を通じて、また、関係機関、企業、団体、在留邦人とも協力連携を取りながら、日本文化紹介に取り組んでいく考えであります。
  20. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  次に、外務省情報ネットワークについてお伺いしたいと思います。  どの省庁も限られた予算を有効に活用していると思いますけれども、特に外務省海外との通信費がほかの省庁に比べて飛び抜けて多いと思います。  東京霞が関外務省海外在外公館との間の連絡通信手段IT導入する外務省情報ネットワーク平成十八年三月に決定され、順次ITシステムがスタートしていると思いますけれども、直近の報告記事が見当たりません。IT導入による費用対効果と、導入により通信費をどれぐらい節約できたか、その実例を示した上で御報告いただければと思います。
  21. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 在外公館本省との連絡通信手段につきましては、一般電話回線やインターネットとは異なる独自の通信網を整備するということで、平成十八年三月に策定された外務省情報ネットワーク最適化計画に基づきまして、外交秘密をも扱う内部専用のネットワークと外部とも接続可能なネットワークの二系統の再構築を進めているところであります。  新たなネットワークは、平成二十年度本省、二十一年以降は順次海外公館に整備していくところでありまして、費用面では、基本的に独自の通信網を利用した内線IP電話を使用することとしておりますので、これは個別電話料金も発生いたしませんし、テレックスは現在は使用しておりませんが、そういう面で相当の経済効果があるものと考えておりますが、必要であれば事務方から説明申し上げますけれども、まだネットワーク整備中でありまして、費用対効果の明確な御報告は無理かと思います。
  22. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 最後に、コンパクト公館についてお話をお伺いしたいと思います。  日本外交力強化する上で、大使館、領事館と続く拠点を増やすことは良いことだと思いますが、しかし、その反面、一人当たりの仕事量が増え、職員のメンタル面でのケアが必要となろうかと思います。効率的な外交拠点拡充には賛成ですが、メンタル面での配慮が必要だと思いますけれども、こうした懸念される材料もありますから、こうした面にも外務省は配慮すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  23. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) コンパクト公館は、在外公館としての機能は維持しつつも、一定規模の定員数を当面上限とする在外公館のことで、新設でありますけれども、これは在外公館の増設を図る一方で、外務省としても可能な限りの範囲で合理化を進めるとの観点から、十九年度から導入されているのは御承知のとおりでございます。  こういうコンパクト公館で、勢い、厳しい環境で勤務する職員のメンタル面でのケアについて措置が必要であると考えますが、本省に専門医としての資格を持つ医師をメディカルアドバイザーとして置いておりまして、在外公館の医務官とのネットワークを構築する等の措置によりまして、本省及び在外公館からの種々の相談に応ずる体制をつくり、きめ細かい対応ができるよう努めてまいります。  今後も、コンパクト公館の設置に当たっては、公館設置国の現地の情勢、業務の内容及び量などを十分勘案して、執務環境の整備にも努めてまいりたいと考えております。
  24. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございました。  時間となりましたので、終わらせていただきます。
  25. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 おはようございます。民主党の谷岡郁子でございます。  本日は、在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案ということで御質問をさせていただきますが、その前に少し気になることを片付けておきたいと思います。それは、本日、五月十三日付けの産経新聞の記事で取り上げられました寺田防衛政務官のゴールデンウイーク中の出張に関することでございます。  この記事によりますと、四十五分間の防衛政務官としての公務に対して、一時間及び一時間半、二か所における自民党国土交通部会のメンバーとしての視察というものが行われたということで、わずか四十五分の出張に対して百三十四万円、これは同行者二名付きでありますが、その費用が払われたということが、これは税金を使うことに関して問題なのではないかというような記事でございますが、この記事に対して是非、政務官御自身の口から釈明を国民に対してしていただきたいと。また、四十五分云々ということがありますけれども、この会談の成果というようなものをお伝えいただきたいというふうに考えております。
  26. 寺田稔

    大臣政務官(寺田稔君) 防衛大臣政務官の寺田でございます。  私の出張に多大なる御関心を持っていただき、まずもって感謝を申し上げます。  私の今回の出張についてまず御説明をさせていただきますが、去る五月の四日から六日までASEANのリーダー国であるタイを訪問しまして、タイとの防衛交流を行ってまいりました。ハイレベル交流としてはこれは極めて大事な同盟国であり、また信頼醸成措置の一環として訪問しているものでございます。一昨年の一月に防衛庁長官が訪問して以来の訪問ということで、大変私も防衛交流をしたいというふうなことで今回実現をした運びになりました。  具体的には、この五日の午後ですね、五日の午後、ウィナイ国防次官、またスラポン国軍の統合情報部長、またナウィン国防次官付将校、これは陸軍中将でございます、それともう一名、プラディット陸軍大佐、この四名と会談をさせていただきましたほか、前日の四日の夜ですね、四日の夜、在バンコクの日本国大使館付防衛駐在官らと意見交換会並びに勉強会、そしてまた、この五日のお昼にはバンコクの日本国大使の小林大使と安全保障問題等で意見交換をしております。さらに、この会談後の五日の夜ですね、五日の夜、在バンコク日本国大使館付の防衛駐在官らとのこの出張の結果の総括と報告についての打合せといったような公務をこなしたわけでございます。  御指摘のとおり、このタイ国においては、今回のこの防衛の公務のほかに、自由民主党国土交通部会戦略的社会資本整備検討小委員会国際競争力検討チーム主査というのも私、実は党の方で仰せ付かっていまして、公務に全く支障のない範囲で港湾施設の視察も行ったところでございますが、この点についてはあくまでこの上記の公務を阻害をしないというふうなことで、実は私、四日の午後に到着をいたしました。最初の打合せが入るまでの間、港湾施設ですから空港の非常に近傍にございます、空港に到着するや否や、そこの近傍のインランドデポと呼ばれます物流施設を見まして、これは一切公費も使っておりませんし、防衛関係の者を帯同しておりません。私自ら一つの政務としてこなして、先ほど申し上げた夜のこの意見交換会及び打合せ会に臨んだものでございます。  したがって、この公務の日程に一切影響を与えない範囲で行ったものでございまして、今回のこの防衛省によります出張の旅費の支給も妥当なものであるというふうに考えております。  ちなみに、旅費支給の妥当性については、本旅費法を所管をいたします財政当局の方からも了解を得ているところでございます。
  27. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 ありがとうございます。  私が今回ちょっと問題に感じましたのは、防衛省幹部、これがどういうことを意味するのか分かりませんが、この新聞の記事によりますと、防衛省幹部が、費用対効果や税金の使途に関する国民への説明責任からも疑問というようなことが新聞記事に出ていることなんですね。  私は、守屋次官の事件、この間言われてきた防衛省の度重なる言わば不祥事というようなものが国民の関心を呼んできた事情の中で、その防衛省の幹部自身が言わば政務官というお立場の方に対してこういうような発言をされているということで、やはり組織としてのまとまり、また組織としての共通理解情報共有というようなものに問題があるのかなというふうに思わざるを得ないわけですね。  その点につきましては御釈明いただきたいことと、やはり今後の対応について、国民が安心できる状況になるようなお考えについて御説明をお願いしたいと思います。
  28. 寺田稔

    大臣政務官(寺田稔君) 今先生からお尋ねがありました今日の、今朝の報道でございます。私も報道は拝見をさせていただきました。防衛省幹部の発言については私もうかがい知らないわけでございますが、実は今回の防衛交流ですね、これまでの日タイ間の非常に深い関係、相互の艦船交流もしております、人の派遣もしている中で、相当な蓄積ある中で行われた会談でございまして、極めて実りの多い会談でございました。  四名そろっての会談時間は報道にもあるとおり四十五分ということでございますが、その中で、国際平和協力活動推進、あるいはまたASEANの国防大臣会合における我が国のオブザーバー参加の問題、あるいは日タイ間の防衛交流ですね、これは先ほど言った相互艦船の交流あるいは人的交流を含みます。さらに北朝鮮の核問題、いかに北朝鮮をアジアの諸国と連携をして封じ込めていくか。あるいはまたマラッカ海峡の海賊問題ですね、マラッカ海峡の海賊問題、これも御承知のとおり、インドシナ半島を挟んでフィリピンあるいはタイといったような国が、実はタイという国は海上保安庁がない国です。したがって、海軍自らがそうした保安も担っております。我が国が、一日百隻を超える我が国商船隊もマラッカ海峡を通るわけでございまして、この海賊問題、極めて我が国にとっても重要ですというふうなことで、一層の取締り強化もお願いをしました。  したがって、非常に会談自体中身の濃いものでございまして、これは時間云々によっては私は測られないんだろうというふうに思います。また、費用面についても、これはもう相当帯同者も厳選をしておりまして、実は私の秘書官も帯同しておりません。相当厳選メンバーで、本当にこのマターについて主管をしている方のみに行ってもらったということでございます。
  29. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 お考え、よく御説明いただけたと私は思いますが、しかし、そのようなことをやはり防衛省内で、やはり政務官がおやりになっているお仕事に対して幹部が理解しているというような組織の状況が私は必要だと思いますので、今後はそういう意味での組織的な統制、理解というようなことをちゃんとつくっていただきたいと思います。  さて、次の問題へ移りたいというふうに思っております。  実は、私は今回の法律の改正を見せていただきまして、最初出てまいりましたときに、在勤手当云々というようなものが一体、全くどういうものか分かりませんでした。外務省の方からも資料がいただきまして分かってきたことの中でやはり気になりますのが、何となくでございます。ですから、今日はこのことを明らかにしていただきたいと思うんですけれども、何となく大時代的に見えるなというような表現が多いなというふうに思います。  例えば、その在勤手当というふうに言われるものでございますけれども、これは、その額は、在外職員がその体面を維持し、かつその職務と責任に応じてと。まずその体面という問題が出てきてしまうということなんですね。  この体面というものは何なのかと。外務としての仕事をこなす、在外公館でこなすということとどのような大きなかかわりがあるのかと。国際的な国民また世界の人々の移動というものがこれだけ頻繁になって、当たり前になって、そしてもちろん大使館には大使館役割がありますけれども、企業も、また文化的な交流も、様々な交流が当たり前になっている今の時代において、その体面みたいなものが最初に来てしまうということがかなり私には問題に見えたわけです。  それで、在外公館とはという、もう本当基本的なところからこれ読ませていただきました。そうすると、大使館の仕事は接受国、つまり任地国においての本部を代表すること云々ということになりまして、国民を一方的に保護することというふうに書かれているわけです。  国民は、今、企業活動を通じて言わば国益の追求等を政府と一緒に行っている立場だと思います。また、多くのNGOやNPO、また市民たちというものが文化の交流などの推進、また友情を深めるというようなことを大使館と一緒に、政府と一緒にやっているというような状況ではないか。国民が一方的に保護される対象になってしまっていて、国際交流というものを一緒に推進するというような書かれ方が全くされていないということに気が付きました。また、特にNGOやNPOというような人たちの扱いみたいなものがここからは触れられていないということを感じたわけですね。  恐らく、戦後すぐの状況でありましたらこういうことも当たり前だったのかもしれないんですけれども、基本的な在外公館のやるべき仕事、また国民そして現地の方々との言わば付き合いの基本的な姿勢の在り方という問題において、今こういうふうに書かれている状況というのは、そろそろ基本的に見直されるべき時期に来ているのではないかなというふうに思います。  これは、本当はそうなっていて、単に説明、文章だけはそうなっているのかもしれませんけれども、外務大臣在外公館等のその基本姿勢の在り方という問題についてお尋ねを申し上げます。
  30. 林景一

    政府参考人林景一君) 法律文言の技術的な側面にかかわるお話でございますので、ちょっと私から御説明したいと思いますけれども。  確かに、法律文言として、在外職員がその体面を維持し、かつその職務と責任に応じて能率を十分に発揮することができるように云々ということでその在勤手当の、基本手当の額が定められるというようなことが規定としてあることは事実でございます。  ただ、その体面という言葉が古い、発想が古いのではないかというお話でございますけれども、これは、やはり私どもといたしましては、治安状況も含めまして非常に劣悪な環境におきまして、日本を代表してその国益を守るんだと、そういう気概と誇りというものを持って任地における活動、生活というものを適切かつ円滑に行うために必要な勤務、生活の体制を確保すると、そういう趣旨だというふうに思っておりまして、何も国民から遊離した、言わばよく言われますエリート意識みたいなものを持って取り組んでいるということではございません。  先年、いろいろな形での外務省に対する批判もございましたですけれども、そういうことを踏まえまして、今、外務省員の例えば行動規範なんというものを定めておりますが、その中でも、第一の項目として、国民のために、国民とともにといった形で、私もいつも携帯しておりますが、そういうところにも書いておりまして、在外におきます邦人の保護というのが一方的だというお話がございましたですけれども、在外におきましては、それは各国がそれぞれの主権の範囲でいろいろ活動するわけでございますけれども、やはり国民が頼れるもの、最後に頼れる最後のとりでというのは在外公館でございますし、私どもは、そういう国民の最後のよるべきとりでというものによって立つ勤務をやっているんだという気持ちで取り組んでいるわけでございまして、決してそれは国民という目線を離れた形でやってきているというわけではございません。その辺は是非理解いただきたいと思います。
  31. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 今それをお聞きいたしまして安心をいたしました。  しかしながら、一方で、私は、友人、教え子などが一市民の立場として、例えば南部アフリカであったり南アジアであったり中東地域であったりということで、様々な市民活動であったりメセナ的な活動あるいはNGO的な活動、そういうことをやっております。その人たちは、言わば政府のある意味におけるパートナーとして国際協力、国際平和、また人道的な事業といったものをやっているわけですけれども、彼らが在外公館に応援を求める、例えば、現在ではODAの中に草の根交流のための資金というようなものが設けられておりますけれども、それを申請に行ったりしても、なかなか真剣に丁寧に対応してもらえないとか、それから返事が来ないというような形で、我々のことはどう考えているのか、政府だけで国際支援をやっていると思うのかというような形で、大変評判の悪いというようなことをしばしば耳にするわけです。  その意味におきまして、確かに本省としてのお考えはよく分かりますけれども、まだ末端の現地における対応ということでは、きちんと今の二十一世紀的な言わば在外公館に期待するものの在り方というものが浸透していないのではないのかなというふうに思えることがありますが、今後、この点についてどのようにしっかりやっていただけるのかな、そしてパートナーとするべき多くの国際あるいはNGOなどにかかわっている邦人などとの連携というものをどのようにやっていただけるのかなということをお伺いいたしたいと思います。
  32. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) NGOによる国際協力活動は、現地状況に応じたきめの細かい援助や迅速かつ柔軟な緊急人道支援活動の実施という観点から極めて重要と考えておりまして、NGO連携を積極的に推進していきたいと、こう考えているところでございます。  具体的には、NGOの創意を尊重するとの観点から、緊急人道支援や開発事業等についての事業提案を受け資金協力を行っているところでございます。また、日本NGOが多く活躍する開発途上国では、大使館NGO情報交換、連携強化を目的とした対話の場を設け、NGOのニーズや要望にきめ細かく対応するように努めているつもりでございまして、今後ともこうした取組を積極的に実施していく考えでございます。  さらに、開発途上国のNGO等が実施する比較的小規模なプロジェクトに対しても、NGOの創意を尊重するとの観点から、事業提案を受けて資金協力、草の根・人間の安全保障資金を実施しており、草の根レベルの住民に直接効果をもたらすきめ細かい援助を行っているところでございます。  委員おっしゃるように、何も外務官僚、大使館だけが国益を背負って何かやっているわけじゃなくて、いろんな民間の方たちとオールジャパンで日本の国益を推進するためにやっているわけで、我々は税金をいただいてやっているわけでありますからより崇高な使命を感じなければいけないんですが、それが逆に特権意識にならないように、まさにNGO等の方々から後ろ指を指されないようにやっているつもりですが、更に指されるようなところがあるとすれば、そういう言葉にも反省をしながら更に一生懸命やっていきたいと、こういうふうに思います。
  33. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 私のところへはたくさんの苦言が参っておりますので、またそういう個々の問題に対しては別のところで御指摘できる範囲で指摘をしてみたいというふうに思っております。  さて、先ほど申し上げましたように、この法律、基本の構造というのは昭和二十七年、随分古くにできている。もちろん、日本がまだ貧しく、そしてドルとのレートでいえば一ドル三百六十円のレートであった、そういうときに、当時の俸給から考えますと在勤手当というものがかなり必要であったということは本当によく理解ができるんです。そして、しかしながら、今の表現でまだ衣食など、それから体面をというようなことを維持する、昭和二十七年の日本の国力、経済力においては当然であった表現ですが、むしろ先ほどの御指摘のように、今ではテロリストに対する対応などで安全であったりするものを守ることであったり、そのほか、言わば細かく現地を視察するために必要な旅費であったり、あるいは情報収集をするために必要な費用であったりということで、言わば在外公館勤務する者として使わなければいけない経費というものは、従来、昭和二十七年度の衣食というような観点からは大きく変わっているのではないかと。恐らくそういうことに皆さんは費用をお使いになっているんだと思いますけれども、まだとてもぜいたくをしているのではないのかなというように聞こえるような言葉遣いがいまだになされていること。  また、それぞれいろんなものが合わさっていてなっているんだというふうに言われているわけですけれども、レートの低いアフリカで九十何万円、それは非常にひどい状況の中に行かれているようなことであり、危険であったりすることの手当だと恐らく思われるわけですけれども、一方でレートが非常に高いところにおいてはそれほどでなかったり、これが一体どういう基準でやられているのかということがどうも資料だけを見ていると明快ではない。  もう少しこれを整理しまして、危険手当がこうなんだ、それからこういうことにお金が要るのだ、こうなんだ、そしてこうなっていますというような言わば報告があって、それに対して透明度があるという形になるような形にしませんと、あたら国民には外へ行っては何か非常に外交官特権で豪華な生活をしているんじゃないかというような誤解を招くような要因になるのではないかと思われますが、この辺をそろそろ整理していただくということはできないのでありましょうか。
  34. 林景一

    政府参考人林景一君) 在勤手当、特に在勤基本手当と申しますのは、在外職員在外公館において勤務をする、要するに外交官として活動をする、外国にその拠点を置いて外交官として使命を全うするという上で必要な経費、これは公的な活動、官としていろんな今おっしゃいましたような旅費であるとかといったものとは別に、個人たる外交官として出発する、あるいは活動していくというために必要な経費ということで、それに充当するために支給されるということでございます。これは、実際にじゃどういうものが必要かということを任地ごとにいろいろと検討いたしまして、当該国におきます物価や為替相場というものを総合的に勘案しまして決定しておるわけでございます。  今委員指摘のように、いや、それでは、物価や為替の観点からいって高いであろう欧米等は一つあるかもしれないけれども、ほかの中南米やアフリカなんかは物価が安いはずだからもっと低くてもいいじゃないかという御指摘があるわけでございますけれども、実際勤務いたします立場から申しますと、やはり気候、衛生事情、あるいは地理的な問題、あるいは治安情勢等ございまして、やはり基本的な経費の上でも追加的な経費が必要となるというところがあるわけでございます。  実際に、電気が来ることが当然ということではございませんで、停電が頻発するようなところでは、やはり当然、冷蔵庫あるいはエアコンというものを通常のところ以上に使わなければならない。あるいは食材とか衣料品、それは現地で買えば安いものもあるかもしれませんが、それは非常に劣悪なものであるような場合もあるわけでございまして、食材、衣料品等かなりの部分を海外から調達しなきゃいけない。あるいは医薬品というものも調達しなければならない。水が基本であるわけでございますけれども、水道水が飲めないところがむしろ普通でございまして、そういったものについてはミネラルウオーターを調達しなきゃいけない。そういった厳しい勤務環境におきましては余分な経費が掛かるというところで、そういうものを勘案しまして決めておるということでございまして、決してぜいたくをしておるということではございません。  もとより、アフガニスタンとかイラクのように戦乱地みたいなところについては、それは特別な配慮をして手当を積み増すというようなことはしているところではございます。
  35. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 世界中、本当に様々な環境、様々な状況がある中で基準を設けるということは大変難しいことだとは思いますが、そういうものが全部入ってしまって、結果論として幾ら幾らというものが多分経験則的に出てきている。しかし、それは国民の側から見ると非常に不明快であると。そういうことが、こういう部分が幾らであり、こういうものがこうなっているのだということが、また基準としてこういうものが積算されているのだということがもう少しよく見えるように今後工夫をしていただけると有り難いなと思います。  それから次に、子女教育手当というのがあるわけですけれども、子女の教育というものは、言わば扶養をしている者が当然日本にいようがいまいがどこにいてもしなければならない、そして十八歳まで一万八千円が毎月、月額で在外の方には付くということでございます。そして、今、日本では義務教育というのは基本的に十五歳まで。なぜそれは十八歳までなんだろうか。  例えば、生活保護を受けている方、母子家庭の子供が公立学校、高校に入った場合には、その授業料を生活保護で出してもらえます。しかし、私立学校に入ったときには、それは場合によって、間に合わないことが多いんですけれども、ローンを組むことができるようなだけで、私立学校の費用というものも生活保護を受けるべき人が支援されていないというような状況がある。  その中で、在外の公館の勤務員、十八歳まで。これはどうして出るのかなということが私にとってはとても不思議だったんですが、そのことについて御説明をいただけないでしょうか。
  36. 林景一

    政府参考人林景一君) 教育の問題というのは私どもの仕事を遂行していく上では一番大きな悩みでございまして、私どもは職業は自分で選択しておるわけでございますが、子供は必ずしもそういう親の職業を選択したわけではなくて、いろんな任地に付いていかざるを得ないわけでございます。  小中学校ぐらいまでは義務教育があるわけですから、それについていろんな形で、海外に行く場合にある程度の手当を出すということは理解できるが、高校になるとそれは違うではないかというお話でございますけれども、現実の問題といたしましては、親と離れて日本に残って生活するのかということになりますとそういうわけにはいきませんで、現地の高校に行かざるを得ない、それもいろんなところを転々とするということになるわけでございます。  そういう中で、じゃ高校生につきまして今全体的に考えますと、義務教育では確かにございませんけれども大多数の子女が高校に進学しておりまして、国内におきましては学費が非常に低額な公立高校という選択肢が幅広くあるわけでございます。海外におきましては、これはいろんな場所があるわけでございまして、言語、文化、あるいは基本的な問題として安全等といった問題から、日本人の子女が容易に就学できるということが難しいというところがかなり多いわけでございます。言葉の問題も、親がドイツ語のところから急にフランス語のところへ転勤する、あるいはロシア語の、私の場合なんかもそうなんですが、ロシア語のところから英語のところに急に転勤するというような場合に付いていくというようなことがございまして、そういうもの、日本の公立高校の教育を国内と同じような条件でやはり享受できないという状況がございますので、その代償といたしまして、日本の高校生の年齢にある在外職員の子女につきましては、日本の公立高校の学費相当分は自己負担させた上で海外で追加的に必要となる経費として子女教育手当を支給しているということでございまして、是非この辺の趣旨について御理解いただければと思います。
  37. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 私は、先ほど来述べられていることは、一般国民から見れば、小さいときから様々な言葉を学ぶ機会を与えられていることであり、様々な国々の様々な文化というものを学ぶ機会を与えられていることであり、言わば特権に見えるということをやはり指摘させていただきたいと思います。  そして、国民がやはり高校教育というものを全員が享受できるということが保障されて今の御説明があるのであるならばよく理解ができますけれども、文部行政にも大変興味がある一人間といたしましては、まだ経済的な理由で高校へ行けていない、あるいは途中で退学する生徒たちが多い状況というもの、これは御理解をいただきたいと思いますし、やはりそういうところが、これが当たり前なんだよと言われてしまうと、ああ、外交官はやはり特権意識がおありなのかなと、あるいは親も外交官である方が今とても増えているというふうに言われておりますけれども、そういう中で国民から離れてしまっているのかなというふうに思わざるを得なくなるわけです。  是非、国民の一般の暮らし、これは同じことをせよというふうに申し上げているわけではありませんけれども、今ある状況というものをよく理解できて国民から離れない形で今後の外交政策を進めていただきたいとお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  38. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  在外公館法の質疑に入る前に、通告しておりませんが、中国で大地震が昨日起こりました。四川省でマグニチュード七クラスで、阪神大震災クラスと言われております。現在までにつかんでおられる情報、また日本としての既に取られた初動対応について、もし可能であれば御答弁いただきたいと思います。日本の初動対応。
  39. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 現時点でつかんでいる被害状況でありますが、必ずしも正確につかんでいるわけではありませんけれども、十三日未明現在、四川省における死者が八千五百三十三名、その周りの地点を合わせると八千七百名を超えると。ただ、どんどん増えている状況でありますんで、もう一万人を超えたとか、更にどんどん増えているというふうに承知をしております。  これまでのところ日本人が被害に遭ったとの情報には接していませんが、引き続き在中国日本国大使館や在重慶日本国総領事館を通じて情報収集に鋭意努めていく考えでございます。  福田総理から胡錦濤国家主席、それから温家宝総理にお見舞いの書簡を発出いたしました。私から楊潔チ外相等にお見舞いの書簡を発出いたしました。その中に、できることがあったら申し付けてくださいと、こういうことはそれぞれしてあるわけであります。  今日、今朝ちょっと聞いたことでは、消防庁の方なんかも用意を整えて派遣する用意がありますが、一方で、今までいろんな災害でも中国は国内でやるからいいと、こういうことを言って余り外国の援助を受け入れてこなかったということもあるやに聞いています。今度どうなるか分かりませんが、我々としては要請があればやるという体制でいるわけでございます。
  40. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。  胡錦濤主席が訪日されまして、戦略的互恵関係が確認された、未来志向のこのタイミングでございますので、日本ができることがあれば、是非協力をお願いしたいと思います。  それでは、この在外公館法でございますが、私は、この日本大使館また領事館というものをどう配備していくかというその戦略性について質問をしたいと思っております。  お手元に資料を配らせていただきましたが、一枚目のグラフというのが、我が国承認している国の数と、下の方にグラフがありますが、大使館の実館数、実際に設置されている館数でございます。平成二年から平成二十年までありますが、平成二年から平成十八年まで途中を見ますと、国は百六十七から百九十一と二十四増えておりますけれども、実館数は百七から百十七と、その半分以下の十しか増えなかった。ただ、近年非常に頑張っていただいて、平成十九年は十七年間の十の半分である五、プラス五でございまして、その後はまたプラス四となっております。  次のページは具体的な定員の問題でございますけれども、非常に十八年度まで悲惨な形で減ってきていた、それを急遽十九年、二十年度と盛り返しているという状況でございますが、これを見て、なぜ平成二年から十八年ぐらいまで体制が十分に対応できなかったのか、また、この十九年、二十年に今伸びている急展開は、V字カーブをしているのはどういう危機意識に基づいてされているのかについて御答弁いただきたいと思います。
  41. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 大使館を始めとする在外公館は、政府を代表し、相手国との交渉、情報収集、邦人保護、通商関係の促進などの分野で重要な役割を果たしております。国際情勢が急速に変化する中、在外公館及びその定員増強を図っていくことは極めて重要であると認識をいたしておりまして、これまでにも外務省といたしましてはこのための努力を行ってまいりましたが、厳しい財政事情の中、十分にその実現を図ることができなかったと認識しております。  しかし、最近では、国民一般から外交重要性というものが認識されてまいります中で、公明党及び自民党より外交実施体制の充実に関する提言をいただくなど、国政において体制強化の必要性について力強い御指摘をいただいた結果、平成十九年度以降は十一大使館の新設、百五十人の定数純増を認めていただいたところであります。  今後も、まだ不十分な在外公館定員増強を図るため、外務省としても引き続き努力をしていく考えであります。  それから、十九年度以降、定数で二百名、大使館も十一と拡大したのはどのような環境変化あるいは危機意識の表れによるものかという御質問でございますけれども、我が国大使館数及び定員については、平成十九年以降は十一の大使館の新設及び百五十人の定員増を認めていただいております。これは、平成十八年に公明党では外交力強化するための特命チーム、そして自民党では外交力強化特命委員会より外交実施体制の充実に関する提言をいただくなど、国政において体制強化の必要性について力強い御指摘をいただいた結果であるというふうに考えております。  引き続き努力をしてまいる所存であります。
  42. 浜田昌良

    浜田昌良君 時間もありませんので、御答弁は簡潔で結構でございます。  自民党も公明党も確かに提言はしましたが、その背景として、我々はやはり国連の中での安保理の候補として日本が明言しているという立場もありますし、やはりいろんな面で日本の力というのが世界で求められているという観点から提言をしているものでございまして、是非、引き続き百五十館体制、二千名体制を実現できるようにお願いしたいと思っております。  次に、資料三ページを見ていただきますと、ちょっとショックなんですが、これは何かというと、相手国は日本大使館を置いているけれども日本大使館現地にないというところなんですね、十七か国あるんですが。非常に、アフリカでもベナンとかジブチとかルワンダとか、それほど豊かでない国でありながらもこの東京に無理をして実館をしている、それなのにこちらが出していないという状況なんですね。相互性という観点からすると少し問題じゃないかと思うわけですが。  さらに、ちょっとショックなのは、次の四ページを見ていただくと、資料四は何かというと、もう日本には大使館を置かないと、いわゆる北京に置いてそこから日本を見るんだというところが今十館あるわけですね。ブルンジ、ギニアビサウ、またシエラレオネという、実はこの三か国は日本が議長をしている平和構築委員会のモデルカントリーなんですね。これ、議長が終わったとしても、多分こういう国、平和の構築を日本がするんであれば長い関係が必要だと思っておるんですね。しかも、この国になぜ兼轄しているのかというと、実は日本から向こうの国には大使館を置いていないんですよ。そういう関係もある。多分中国は置いているんでしょう。  こういう状況を踏まえられまして、これからの百五十館体制に向けてどういう戦略で、どういうことを基本に置いて考えていかれるのかについて、外務大臣の御所見をお願いしたいと思います。
  43. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ルワンダ、ジブチ等の国々は経済的に大きな負担を抱えながらも我が国大使館を開設しているにもかかわらず、我が国がこれらの国々に大使館を設置していないという状況は残念でもあり好ましいものでもないというのは委員指摘のとおりでございます。また、ブルンジ、シエラレオネ、ギニアビサウを始め、我が国大使館を設置せず、第三国に駐在する大使館から我が国を兼轄している国があることもまた残念であります。このうち、御指摘の在中国大使館より我が国を兼轄している十か国については、我が国も当該国に大使館を未設置であり、このようにお互いに大使館の実館を設置しない状況は、またこれも好ましいものではありません。  このような状況が解消できるよう我が国外交実施体制強化に引き続き取り組んでいきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  44. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。是非戦略性を持って、あと、数の二十七増えるというだけではなくて、それをどういうところに置けば一番日本外交上うまくいくのかということを考えていただきたいと思います。  次に、大使館、領事館の効率性、いかに大使館を整備しても、それが効率的でなければ人も余分に必要になるし、数も余分になってしまうということで、効率性についてお聞きしたいと思いますが、先ほども牧山議員から御質問がございましたコンパクト大使館というのが最近設置されております。これについての有効性はどうでしょうか。また、新設のところだけじゃなくて、既設のところにもこういうコンパクト大使館を広げていくということについてどういうお考えか、御答弁いただきたいと思います。
  45. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その前に、先ほどの戦略性を持ってということでありますが、大使館を新規に設置するに当たっては、主として安全保障などの政治的重要性とか、あるいは日本企業支援や資源・エネルギー獲得を含む経済重要性とか、あるいは邦人保護の観点、そして国際場裏での支持獲得等の観点を踏まえた相手国の国際社会での位置付け等の要素を総合的に勘案して、大使館開設国を選定していく考えでございます。  そして、今効率性の話でありますが、コンパクト大使館は、大使館としての機能は維持しつつも、一定規模の定員数を当面の上限とする大使館のことでありますけれども、これは、在外公館の増設を図る一方で、外務省としても、厳しい財政状況を考慮し、可能な範囲で合理化を進めるとの観点から、平成十九年度から導入されたものであります。  一方で、コンパクト大使館も、政府を代表し、相手国との交渉、情報収集、邦人保護、通商関係等の促進等の通常の大使館が果たすべき機能をすべて維持する必要があるわけであります。そのためには適正な人員が必要であり、さらに、極めて厳しい環境の地においては、健康管理のため館員が任地を離れる期間を設ける必要があり、この点も勘案した人員配置が必要となってくるわけであります。  したがいまして、コンパクト大使館の設置については、こうした様々な点を考慮し、在外公館としての機能が十分発揮できると判断される場合に限りその導入を検討していきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  46. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう諸条件を考えていただきまして、新設のところだけでなくて、既設でもその条件にうまく当てはまればそういう形をして、新規のところにもやっぱりフルな体制が必要なところもあると思いますので、柔軟に対応していただきたいと思います。  一方では、駐在事務所というのがあるわけですね。まだ、いずれ百五十館体制にしていくとしまして、百五十でも百九十二か国のうち四十二か国がないわけでございますし、これから何年か掛かって百五十にしていくという中で、取りあえず、まずは駐在員事務所を置いていくという考えについてはいかがでしょうか。
  47. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 一般的には、ある国に職員を駐在させる必要があるにもかかわらず、財政上の制約などから大使館を設置することが困難な場合に兼勤駐在官事務所の設置について検討することといたしております。  しかしながら、本来大使館の機能は、政府を代表し、相手国との交渉、情報収集、邦人保護、通商の促進等、大変幅広いものでありまして、大使も置かれず、定員の極めて少ない兼勤駐在官事務所で対応できる業務は極めて限定されております。これは接受国との関係でも決して好ましいことではございません。また、厳しい勤務環境の中では、定員が限られた中、館員が健康を管理しつつ生活しながら事務所の最低限の機能を維持することで精いっぱいという状態になり、期待される役割を果たすことができないことも懸念されるのであります。  したがって、兼勤駐在官事務所につきましては、その機能が極めて限定されたものとならざるを得ないとの認識を持ちながら開設の是非を検討しなければいけないと考えております。
  48. 浜田昌良

    浜田昌良君 確かに、駐在員事務所は機能は限定されているのは私も認めているところなんですが、よって百五十館体制は実現しなきゃいけないと思っていますが、時間が掛かってタイムラグがありますので、その前さばきとしてどうかという話でございますし、再度御検討をお願いしたいと思いますが。  そうしますと、駐在員事務所もない場合はどうしているかというと、現地の方に名誉総領事になっていただくと。これは私、現地に行きまして、非常に私は、効果的にといいますか、非常に頑張っておられるんで驚きました。政務官時代にシエラレオネに行きましたら、シャンカルダスさんという方が名誉総領事なんですね。この方は商工会議所の会頭、博士課程も持っておられる方で、一九八六年から二十一年にわたって名誉総領事を務めておられるんですね。大統領から国連のミッションのヘッドからすべてもう顔見知りでフリーパスでいけるという、まさに日本国の顔として動いておられるわけでございます。  また、モーリタニアの名誉総領事のモクタールさん、本年度このモーリタニアについては日本大使館が認められたんですが、そのニュースを聞いて複雑な顔をされたんですね。なぜかというと、日本大使館がつくられるのはうれしいんだけれども、そうすると私はもう要らなくなってしまうと、私はそれで年数が足りないから、自分はいわゆる褒章を受けられないかもしれないという、そういう御心配をされているんですね。なぜかというと、それぞれの国で各国からの大使とか名誉総領事が集まっての集まりがある、そうすると、自分より在任年数が短いほかの国の人たちがいっぱい勲章を付けているのに私には一個も胸にない、こういう、気後れするという話があったんですよ。私は、こういう方に気後れしてもらっては日本国の利益に反すると思っているんです。  そういう意味では、こういう名誉総領事、ほかにもジブチもおられましたが、については、総務省の基準で出すだけじゃなくて、もう少し短期間で出し得る外務省独自の褒章というのは考えるべきじゃないでしょうかというのが一点でございますし、特に、今回TICADⅣが開かれるわけでございますが、アフリカ五十三か国の中で日本大使館がありますのは、本年度予定を含め二十九しかないんです。しかし、そういいながら四十三か国の元首が来るというのは、そういう名誉総領事が本当に頑張っていただいているからなんですね。  そういう意味では、このTICADの機会に是非名誉総領事を日本に招いていただいて、もし可能であれば、このTICADの記念褒章として何らかの形のことを考えていただけないかというのはどうでしょうか、大臣、御見解をお願いします。
  49. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 御指摘のように、名誉総領事は日本のために非常によく働いていただいておりまして、その役割は極めて大きいと考えております。  したがって、顕著な功績のあった名誉総領事につきましては、政府として叙勲の対象としておりますし、例えば、現在アフリカに配置されている八名の名誉総領事のうち、御指摘の在シエラレオネ及び在ジブチ名誉総領事に対しては二〇〇七年に勲章を授与いたしました。また、一定の功績が認められる名誉総領事につきましては外務大臣による感謝状の贈与等を行っております。本年一月には、在マリ名誉総領事退職に際しまして感謝状を授与しております。  名誉総領事は我が国外交の一翼を担っておりまして、この功績は様々な方法により積極的に報いてまいるように今後も努力をしてまいりたいと思います。  なお、TICADにおいて表彰を行わないかという御提案でございますが、褒章につきましては、今やもう極めて時間的な制約もありましてTICADⅣの機会に行うことは難しいのでありますけれども、名誉総領事の功績にどのように適時適切に報いていくかは検討していきたいと考えております。  出席等につきましては、現在のところはまだ考えておりません。
  50. 浜田昌良

    浜田昌良君 総務省は大体二十年って長いんですよね。そういう意味では、二十年超えられた方はなっていますけれども、是非もう違う形で短期間でできるもの、十年なら十年と考えていただきたいと思いますし、多分TICADⅣで、現地大使館がある場合は日本の大使はその元首と一緒に帰ってくるはずなんですよ。そういう意味からも、その元首が出席される国の名誉総領事についてはやっぱり同行させてあげる、日本としても、日本の顔であるということが分かるように是非、時間がございませんが、御検討のほどをお願いしまして、私の質問を終えさせていただきます。
  51. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  在外公館法の一部改正案ですが、盛り込まれました二つの日本総領事館の新設、それから外務公務員の手当の改定など、いずれも必要な措置であり、賛成であります。  今日は、先日の委員会指摘しました米軍車両の有料道路料金の免除、それからYナンバー車の車庫証明における不適切な実態等について、その後の改善状況についてお聞きをいたします。  在日米軍の車が公用で有料道路を使用する際に、米軍から発行されている軍用自動車証明書を提出すれば道路料金が免除をされ、日本の税金で肩代わりをされています。ところが、米兵のレクリエーションに行く観光バスとか休日のレジャーのためのレンタカー代にまで証明書が発行され、通行料金が免除をされているということを先日、横田基地のホームページも示して指摘をいたしました。  防衛省にお聞きしますけれども、その後、この問題についてどういう事実確認をされ、米側と対応されているでしょうか。
  52. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えさせていただきます。  四月十七日の当委員会委員からの御指摘の後、防衛省といたしましては、横田基地の第三百七十四サービス部のホームページにあります、レンタカーに関する記載について確認したところでございます。  高速道路料金につきましては、貸主の責任として公用証明が発給されるという具体的な記述は確認できませんでしたけれども、レンタカーのレンタル料金を支払えば日本国内におけるほとんどの高速道路料金を支払わずに済む旨の記述、また、レンタカーの使用時に高速料金チケットが使用され、また未使用のチケットは返還される旨の記述があることを確認いたしました。  これらの記述を踏まえまして、インターネットに掲載されておりますレンタカーに軍用車両有料道路通行証明書が発行されているのか、また、レンタカーの使用者に対し、希望すればすべて軍用車両有料道路通行証明書が発行されているのか、その軍用車両有料道路通行証明書の発行責任者はだれなのかなどにつきまして、在日米軍司令部に対しまして照会を行っているところであります。  そもそも、米軍が日本文化に対する理解を深め、軍隊の構成員の士気の高揚を図る目的で観光地に行くような場合には、これは軍隊の活動の一環として認められ得るものもあると考えられ、かかる目的のための車両等に軍用車両有料道路通行証明書が発行されれば補償の対象となり得るものと考えているところでございます。  他方、軍用車両有料道路通行証明書の発行につきましては、仮に日米地位協定の趣旨に反するような使用がなされていると疑われる事実があれば、事実を確認の上、外務省さんとも連携して適正に対応、対処する必要があるものと考えております。  いずれにいたしましても、現在、在日米軍司令部からの回答がまだないことから、早期に回答が得られるよう督促を行っている状況でございます。
  53. 井上哲士

    ○井上哲士君 質問から一か月たっているわけでありますが、まだ回答がないというのは大変遺憾であります。  ただ、アメリカの方は、日本国民の批判を恐れたんでしょうか、私の質問後に、横田基地のホームページにあるこのレンタカーの紹介から、日本のほとんどの高速道路の料金はレンタルでカバーされ、多くの場合、ほとんど車のレンタル料の分を節約することができますという、このくだりは削除をしておりまして、かつ、レンタカーの契約書もリンクが消されております。  まず、外務省にお聞きしますけれども、このホームページの記述、それから、それがその後変わっているという事実については確認をされているでしょうか。
  54. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 私ども、ホームページ確認させていただきまして、いつ記述が消えたかはあれでございますけれども、おっしゃった部分が削除されていることも確認いたしました。
  55. 井上哲士

    ○井上哲士君 外務大臣は先日、事実があれば、なぜ公務に当たるのか、米側と話してみたいと、こういう答弁をされました。  ホームページから削って国民の目から見えなくなればそれでいいということではまさかないとは思っておるわけですが、外務省として、この問題、どういう対応をされているんでしょうか。
  56. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先ほど防衛省地引局長から答弁したとおりでありまして、防衛省とともに、防衛省を通じてと言ってもいいんですが、事実関係確かめているところでありまして、まだ返事来ておりませんので更に督促をしてみたいと、こういうふうに思っております。  ホームページから消えたということは、直ちに実態がなくなったということを示すものではないかもしれませんが、何らかのことを米軍がそれで感じて消したとすれば、これから事実関係を聞いた上で適切なことになるように外務省としても努力をしていきたいと、こう思っております。
  57. 井上哲士

    ○井上哲士君 これ、何をもって公務とするのかということが問われることだと思うんですが、レクリエーションのための観光バスへの公用証明の発給も私は国民の理解が得られないと思いますが、やはり特にレンタカーを使った米兵のレジャーまで公務として認めるということは、これはおよそ国民の理解を得られないと思うんですね。  日本国民の税金でありますから、今、適切になるようにとおっしゃいましたけれども、まさに国民のそういう常識に沿った方向で適切に行われるというように私は毅然とした対応が必要かと思いますけれども、この点、改めて大臣、いかがでしょうか。
  58. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 前回もお答えしたように、米軍にどういう観点からどういうことをしているのか、どういうことをしていて、そしてそれはどういう観点からそれが今の地位協定に合うとお考えですかということ、事実をきっちり聞いた上でしかるべき判断をいたします。
  59. 井上哲士

    ○井上哲士君 レジャーまで公務ということを認めるとなりますと、例えばその間に事故や犯罪が起こった場合に、これは公務だということでアメリカが身柄を確保するというようなことにもつながりかねないことだと思います。私は、これはまさに国民の税金の使い方、問題、そして国民の権利ということからも含めてきちっと対応していただきたいということを改めて申し上げておきます。  もう一つ、Yナンバーの問題でありますが、先日、Yナンバー車の自動車登録に当たって車庫証明が添付されていないという問題を質問いたしました。  これは、お手元にありますように、二〇〇四年七月の日米合同委員会での合意で、基地外については車庫証明を付けるということで合意をされております。実際どういうふうに変わっているのかと先日聞いたときにはまだ調査中でありましたけれども、改めてお聞きしますが、今年一月から三月までYナンバー車の自動車登録の合計数、そのうち車庫証明の添付、未添付の数について、全国と沖縄についてお答えいただきたいと思います。
  60. 松本和良

    政府参考人(松本和良君) お答え申し上げます。  Yナンバー車両の台数でございますけれども、全国につきまして最初に申し上げますと、今年の一月が総登録台数二千二百十五台中二百六十六台が車庫証明が付いております。二月が総登録台数二千二百三十三台中二百八十一台、三月が二千三百七十一台中二百三十二台となっております。沖縄県陸運事務所の管轄区域における数字でございますが、今年の一月が総登録台数千四十台中二台、二月が九百十二台中一台、三月が千八十七台中一台となっております。
  61. 井上哲士

    ○井上哲士君 手元に表も配付をしておりますが、この三か月だけでなく、大体年間を通してこういう傾向だとお聞きをしました。全国的には、米軍人の居住者七万一千四百八人のうち基地外居住が二万二千八百九人、約三割が基地外であります。  ところが、この車庫証明を見ますと、全国的にも約一割しか付いておりませんし、特に横田、岩国はゼロ、それから沖縄は三千三十九件中四しか付いていないということになるわけですね。登録の際に、余りにもこの数は不自然だと思うんですが、基地外で実際には所有しているということのチェックはされないんでしょうか。
  62. 松本和良

    政府参考人(松本和良君) 登録の際のチェックの仕方でございますけれども、米軍人等は住民登録がなされておりませんので住民票などが出ません。それで、住所の確認は、それぞれの基地に憲兵隊がございますけれども、憲兵隊が発行いたします所属証明書を添付させて基地所属の軍人などであることを確認するとともに、その憲兵隊の所在地を住所として登録しております。  この取扱いは基地内居住者、基地外居住者同様に行っているところでございますが、つまり居住場所が基地内か基地外かにつきましてはその住所を公的な証明書で確認することができない現状でございますので、沖縄県に限ったわけではございませんけれども、車庫証明のチェックにつきましては、登録の申請のときに保管場所が米軍施設・区域外にあると申告された車両につきまして証明書の添付を確認しているということでございます。
  63. 井上哲士

    ○井上哲士君 基地外居住をしても住民登録をしないということにもかかわるわけでありますが、結局、基地外に車庫があっても基地内ということで手続をして車庫証明を免れると。事実上の虚偽申請という可能性が非常に高いわけですね。  二〇〇四年の日米合同委員会の合意について、お手元にありますように、関連法令の適切な運用が確保されることとなったというふうに外務省は言っているわけですが、およそそういう実態ではないというのがこの数字だと思うんですね。  日本政府としては、このときの合意の履行についてどのように検証され、どのように今評価をされているんでしょうか。
  64. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 政府といたしましては、平成十年の六月以降でございますが、米軍関係者の私有車両の登録に際しまして、いわゆる車庫法に基づき必要とされている車庫証明書の取得が適切に行われるよう協議を行ってきたわけでございまして、今の保管場所が米軍施設・区域の外にある場合につきまして、十六年九月一日から、米軍関係者が私有車両を登録する際にいわゆる車庫証明書を取得することで合意し実施してまいりました。  他方、御指摘の数字、一月―三月の数字、なかんずく沖縄におきまして登録台数全体に対して施設・区域外にある保管場所の登録件数が少ないという点につきまして、今、米側に対し事実関係の照会を行っているところでございます。  十六年の日米合意が確実に実施されるよう申入れを含め適切に対応していく考えでございますけれども、まずはその事実関係の照会に対する回答を待っているところでございます。
  65. 井上哲士

    ○井上哲士君 この数字は合意に基づいて行われていないことを如実に証明をしておると思いますが、同時に、このとき基地内の車両についての取扱いは二週間に一回、日米合同委員会の特別分科委員会で協議をするとされておりますが、その後、この基地内車両の取扱いについての協議は何回行われて、直近はいつ行われたでしょうか。
  66. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) ただいま御指摘の保管場所が米軍の施設・区域の中にある場合の取扱いにつきましては、協議の詳細につきましては米側との関係もありお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、この発表文の下の参考のところにございます日程はおおむね消化し、その後また八月にも一回協議を行ったと理解しておりますが、その後の協議につきましては、米側との意見に隔たりがございまして、日米間で合意するには至ってない状況でございます。  このありますような方式の、特別分科委員会の方式ということにつきましては、その意味では若干停滞しておりまして、十六年の八月三十一日が最後でございまして、それ以降特別委員会そのものは開催されておりませんが、その他の形で随時米側との協議を行ってきております。  政府といたしましては、関係法令にのっとった対応が実現するよう引き続き協議を行っていく考えでございます。
  67. 井上哲士

    ○井上哲士君 十六年八月が最後ですから、四年間協議がされていない、事実上休眠状態なわけですね。このように合意自身が守られていない、それから協議についても実行されていません。それから、この間、様々な嘉手納基地での戦闘機の未明や早朝の離陸の問題等々、そしてこのYナンバーの問題、沖縄の県知事さんも日米合意が空文化していると厳しく批判をされております。  こういう実態をやはり直ちに改善をする必要があると思いますが、最後、大臣、その決意をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  68. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 合意が守られているかどうかきっちり、委員が御指摘のように、そこに疑問があるわけでありますから、今、回答待ちでありますが、そういう点について日米合意が守られるように、そして日米合意がまだ詰め切っていないところは早く詰めるように努力をしてまいりたいと、こういうふうに思います。
  69. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、社民党・護憲連合、山内徳信でございます。  今日は、最初に、かねてから指摘されてまいりました在日米国大使館の敷地等の賃貸料について最初にお尋ねいたします。  この件につきましては、衆議院の照屋寛徳議員の質問で、在日米国大使館の敷地等の賃貸料が十年にわたって未払になっていることが指摘されてきましたが、現時点でどうなっていますか、その結果だけお伺いしておきたいと思います。
  70. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 賃貸料の未払につきましては、昨年十二月、米側より一括で支払われておりまして、その前提として、平成十年から平成十九年までは年額七百万円、平成二十年から平成二十四年まで年額一千万円、平成二十五年から平成三十九年まで千五百万円とすることで合意し、現在の、従来の金額の六倍の水準ということに決まっております。
  71. 山内徳信

    ○山内徳信君 経過につきましては、今お答えございましたとおり、よく分かりました。  次に、沖縄大使の配置の理由と目的についてお伺いしたいと思います。  諸外国在外公館を設置する意義はよく理解しておるつもりでありますが、日本政府は、一九九七年に外国でない沖縄に沖縄大使、外務省沖縄事務所を設置いたしました。その理由は何なのか、あるいはその目的は何かをお伺いしておきたいと思います。
  72. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 国内に大使を配置することはほかにも行われております。沖縄担当大使は、外務省沖縄事務所の職員とともに、多数の米軍が駐留する沖縄で米軍にかかわる具体的事案の処理等に関し、地元と在沖米軍等との対話維持、促進を支援する目的のために発令されております。沖縄担当大使は、外務省考え方を沖縄の方々に説明するとともに、地元の方々の様々な御要請にこたえるべく対応し、地元の意見、要望の聴取にも努めております。  外務省としては、沖縄担当大使は沖縄における米軍の駐留に伴う諸問題の解決のために重要な役割を果たしていると考えており、引き続きその役割を最大限活用したいと考えております。
  73. 山内徳信

    ○山内徳信君 次に進めていきます。  多くの日本国民が心打たれた「ビルマの竪琴」という映画がありました。そのビルマは今はミャンマーという国名になっております。ミャンマーのサイクロン被害は深刻であります。国連人道問題調整事務所が十一日に推計したところでは、死者、行方不明者等を合わせますと三十二万にも上ると言われております。各国からの救援物資への対応に軍事政権は積極的ではなく、支援物資が被災地に届かないと報じられています。在ミャンマー日本大使館、総領事館はどのような対応をされていますか、お伺いしたいと思います。
  74. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 在ミャンマー日本大使館は、サイクロンがミャンマーを直撃した当初よりミャンマー政府と連絡を取りつつ被害状況や援助要請などにつき情報を収集してきました。  その結果として、我が国政府は、五日にはテントや発電機等から成る約二千八百万円相当の緊急援助物資供与を決定しました。七日には、毛布、プラスチックシート、ポリタンク、簡易水槽、スリーピングパットから成る約三千六百万円相当の緊急援助物資供与を決定しました。さらに、九日には、当面の措置として、一千万ドルを上限とする緊急支援の実施を決定しました。  在ミャンマー日本大使館は、引き続きミャンマー政府と緊密に連絡を取りつつ、ミャンマーにおけるサイクロンの被害状況に関する情報を収集し、適切に対応するように指示をしているところでございます。
  75. 山内徳信

    ○山内徳信君 軍事政権が国際社会の人的支援の受入れを拒んでいることについて、福田首相は国連にもっと積極的に介入を求めたいと表明されておりますが、日本政府として、ミャンマーの軍事政権へもっと積極的に具体的に働きかける、そういう予定はございませんか。
  76. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本政府は、このサイクロン発生以来ずっと働きかけてきております。最近では、佐々江外務議官が駐東京ミャンマー大使を外務省に呼びまして人的支援を受け入れるべきだということを言っておりますし、それと時を同じくしても、在ミャンマー日本大使の方から、多分ミャンマーの外務大臣に対してそういう申入れをしているところでございます。  それから、私自身、先週でありますが、ネグロポンテ米国国務副長官、あるいはタイの外相、あるいはオーストラリアの外相と話し合ったときに、やはり国際連帯してお互いにミャンマー政府に人的支援を受け入れるべきだということを説得していこうと、こういうことを申し述べたところでございます。タイでは、それを受けてだかどうか分かりませんが、特使を出してミャンマー政府に説得をしているということも聞いております。  国際社会と連帯して、ミャンマーをどうしたら受入れの方向に動かすことができるのか、説得をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  77. 山内徳信

    ○山内徳信君 ミャンマーの民主化と人権問題、国民主権を抑圧し続けているのは軍事政権であります。ODA国別ハンドブックによれば、二〇〇六年度までのミャンマーに対する援助実績は、円借款四千三十億円、無償資金協力約千七百八十六億円、技術協力約三百四十四億円です。これだけ多額の資金が日本から軍事政権を通して供与されております。国民を守らない軍事政権に対し、ミャンマーの民生安定と民主化に向け具体的方策を今後求めていく、そういう御努力をしてほしいと思いますし、日本国民ひとしくそういうふうに願っておると思います。  そこで、外務大臣、この民主化の問題と民生安定の問題にもう少し具体的な答弁をいただいておきたいと思います。
  78. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その前に、先ほどの人的支援を受け入れるようにどういう働きかけをしているかということについて、福田総理からもタン・シュエ・ミャンマー国家平和開発評議会議長あてに親書を発出して、国際機関各国からの援助要員を受け入れるように働きかけを行っているというのを、一番重要なことでありますが、これを付け加えておきたいと思います。  民生安定、民主化のための働きかけというのは、もうかねてから何度も何度も、例えば私がミャンマーの外務大臣にお会いするたびにそういうことを申し述べているところでございます。そして、私たちはミャンマーの国民のためと思って援助をしてきたところでありますが、民主化が進まないということで、ある時点から人道支援に限ってしか支援をしないということになってきておりまして、また、さきのデモ鎮圧で日本人も亡くなるというような悲劇がありました。そのときは、その人道支援の中でも更に民衆が直接裨益する人道支援に、例えばポリオのワクチンとか、そういうものに絞ってしか支援をしないということをして、一方で、民主化が進めばそれに沿った支援をする用意があるんだよと、だけど今はできないんだよという、そういうメッセージを投げかけてきたところであります。  ただ、今は、今のサイクロン被害についてはもうそういうことから離れて大いにやるべきだと思っておりますし、是非、政権側がそのために人的支援を含めて受け入れてもらいたいと。今この時期に軍事政権側は、ここでいろんな人が入ってきて民主化のためにされちゃうのではないかと恐れて受け入れないというところがあるんで、今我々は、そういうことから分離して、ともかく目先の人道上のためにやるんだということに徹してやりたいと。今はそういうふうに、現時点のサイクロン被害に対する救援についてはそういうふうに考えているところでございます。
  79. 山内徳信

    ○山内徳信君 時間ですから、これで終了いたします。
  80. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  81. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、藤田君から発言を求められておりますので、これを許します。藤田幸久君。
  82. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 私は、ただいま可決されました在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   今日、国際情勢が不透明さを増している中、我が国に求められているのは国益を踏まえつつ、国際社会との協力連携の下、国際的諸課題に毅然と対応する外交力であり、そのためにも我が国外交を担う外務省の体制強化と危機管理体制の抜本的改革が急がれる。他方、我が国の財政事情は依然として厳しく、外務省においては組織改革や手当の見直しに際し、こうした国内事情を重く受け止め、とりわけ外務公務員の手当に向けられる国民の声に真摯に応えていく必要がある。   これらを踏まえ、政府は本法の施行に当たり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。  一、我が国外交の最前線基地である在外公館等の新設に関しては、我が国の国益と相手国との相互主義の原則等を踏まえ、戦略的にその増強・整備に当たること。なお、コンパクト公館の設置に関しては、関係在外公館との協力連携を十分図り、在外公館としての機能に支障が生じないよう留意すること。  二、在外公館においては、大規模自然災害や犯罪・テロ等の緊急事態における在外邦人に対する迅速かつきめ細やかな支援を可能とするため、危機管理体制の機能拡充に努めること。  三、我が国の厳しい財政事情を厳粛に受け止め、在外公館に関わる予算の効率性・透明性を高めるとともに、その執行に当たっては、適切な支出が図られるよう具体的な措置を講ずること。  四、在勤手当については、国内の財政状況外交活動推進する上での必要性を踏まえ、民間企業、諸外国外交官給与・手当の水準及び各任地の事情にかんがみ、為替・物価等の変動が反映される形で客観的に算出されることにより、必要に応じて在勤手当全般にわたる内容の見直しを行うこと。特に為替変動による在外基本手当の見直しについては、直近のデータを基に見直しすること。  五、国際社会のグローバル化による海外渡航者や在留邦人の増加とともに領事業務の重要性が高まっていることにかんがみ、邦人の活動環境を向上させるための国民の視点に立った領事サービスの向上に努めること。  六、外務省においては、総務省の行政評価・監視結果を踏まえ、不祥事の再発を防止し、信頼を回復するため、より一層の情報公開と外交機能強化のための組織・制度の改革に全力で取り組み、その成果を国民に対して分かりやすく説明すること。  七、在外公館における監査・査察体制の一層の強化を図ること。  八、国際機関における幹部職員を含め邦人職員増強に向けて国際社会に通用する人材の一層の育成を図るとともに、援助や平和構築など様々な分野において高級幹部も含め外部の人材の積極的活用を図ること。    右決議する。
  83. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいま藤田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  84. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 全会一致と認めます。よって、藤田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、高村外務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。高村外務大臣
  85. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を可決いただきまして、誠にありがとうございました。  外務省としては、ただいまの附帯決議の御趣旨を踏まえつつ、今後とも外交実施体制強化を図り、種々の外交課題に全力で取り組んでまいる所存でございます。
  86. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  88. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 次に、経済上の連携に関する日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定締結について承認を求めるの件、刑事に関する共助に関する日本国中華人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び経済上の連携に関する日本国インドネシア共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。高村外務大臣
  89. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ただいま議題となりました経済上の連携に関する日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  平成十八年六月以来、両国間で協定締結交渉を行ってきた結果、平成十九年六月十八日に東京において、我が方安倍内閣総理大臣と先方ボルキア国王との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、両国間において、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を進め、投資の機会を増大させるものであります。また、エネルギーの安定供給に資する枠組みを構築し、ビジネス環境の整備を図る等の協力を促進するものであります。  この協定締結により、幅広い分野において両国間における経済上の連携強化され、そのことを通じ、両国経済が一段と活性化され、また、両国関係全般がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、刑事に関する共助に関する日本国中華人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成十九年一月に、中華人民共和国との間でこの条約の交渉を開始しました。平成十九年四月に温家宝中華人民共和国国務院総理が訪日した際、首脳間で交渉の年内実質合意に向け努力していくことで一致したことも踏まえ、鋭意交渉を行った結果、平成十九年十二月一日に北京において、私と先方楊潔チ外交部長との間でこの条約の署名が行われた次第であります。  この条約は、一方の締約国が他方の締約国の請求に基づき、捜査、訴追その他の刑事手続についてこの条約の規定に従って共助を実施すること、そのための枠組みとして中央当局を指定し、相互の連絡を直接行うこと等を定めております。  この条約の締結によって、日中双方が刑事共助を一層確実に実施することができるとともに、中央当局間で直接連絡を行うことにより、共助の効率化、迅速化が期待されます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  最後に、経済上の連携に関する日本国インドネシア共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  平成十七年七月以来、両国間で協定締結交渉を行ってきた結果、平成十九年八月二十日にジャカルタにおいて、我が方安倍内閣総理大臣と先方ユドヨノ大統領との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、両国間において、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を進め、投資の機会を増大させるものであります。また、エネルギー及び鉱物資源の安定供給に資する枠組みを構築し、知的財産の保護を確保し、ビジネス環境を整備する等の協力を促進するものであります。  この協定締結により、幅広い分野において両国間における経済上の連携強化され、そのことを通じ、両国経済が一段と活性化され、また、両国関係全般がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いをいたします。
  90. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二分散会