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国務大臣(
石破茂君) これは
佐藤委員ともよく議論をさせていただくことなのですが、
防衛省ってほかの役所と明らかに違うところがあるということをちゃんと認識するところから議論はしなきゃいかぬのだと思います。要は、実力組織を持っているということ。もちろん、それは海上保安庁とか警察とかそれはあるんでしょうが、普通の国でいう軍隊という実力組織を持っている
防衛省というものの組織は本当にこれでいいですかという議論はやはりちゃんとしなきゃいけないことなんだと思っております。それが
一つ。
もう
一つは、文民統制と言いますが、今までは、統制する側から見て使いやすい組織かどうなのかという視点から議論をされたことがあるだろうか。つまり、なぜ政治家が、私もオタクとかマニアとかいろいろ言われますが、実際に
自衛官であったことはないわけでありまして、じゃ、何でその素人たる政治家が文民統制の主体として
防衛省のトップにいるかといえば、それは国民の選挙、選択によって、国民の
意思によって変わることがあるという国民主権に根差しているわけであって、そうすると、素人たる
防衛大臣なるものが使いやすい組織なんですかということをやはりちゃんと議論をしなきゃいけない。どこで何が決まっているのかということが
大臣の側から見て全然分からない、どこで何が決まったのか全く分かりませんということで本当に有事に
動きますかと。私は動くと全く思っていないんですね。そこのところの組織として本当に今のままでいいだろうか。
私は組織改革が目的なのではありません。組織改革は結果であって、まさしく
委員おっしゃるようにアウトプットであって、そのことを自己目的としてやっているわけじゃないんです。これが本当に文民統制にふさわしいちゃんと動く機能なんだろうか。
もう
一つは、ラインとスタッフという議論はちゃんとしなきゃいけません。つまり、実力組織が動くというのは、それはラインですよね。ラインがちゃんと動くか。それが、実際に
委員がそれぞれの部隊で指揮官でおられて、
大臣って遠くにいませんでしたか。すごく
距離感があるという感じがしませんでしたか。これは
大臣の側から見てもそうなのです。この
距離感をどうやって縮めていくかということは
考えていかなければいけない。
同時に、スタッフの部門が余りに入り組んでおって、ましてやそこに制服のスタッフというもの、各幕、そして内局の背広のスタッフというものが、これが車の両輪と言えばとっても聞こえがいいのですけれ
ども、本当にそれが上下
関係みたいな形に立っていないか。あるいは、お互いがいろんな調整をすることにエネルギーを費やして、
大臣のところにスタッフの意見が上がってくるのがすごく遅れるということがありはしないか。あるいは、陸海空それぞれの幕僚監部があることによって、それぞれの最適化はなされているけれ
ども、全体としての最適化は本当になされてきただろうか。そして、それぞれの幕で議論を積み上げ、予算なんかそうですよね、そして内局に上がってきたときにはいろんな議論が全部そぎ落とされて、まあまあこんなものでしょうかという当たり障りのないものが上がってきたということがありはしないかという、いろんな問題点があるんだと思います。
さきの大綱のときに、実効性のある多機能な、そして弾力的な
防衛力ということを打ち出しました。まさしく、これから実効性があるかどうか、多機能できちんと動くかどうか。もう
一つそのキーワードとして
考えていかなきゃいけないのは、統合、これは私は運用だけだとは思わないのですね。いろんなものも統合していかねばならない時代にあって、今の組織の在り方は本当にいいのですかという議論を、使う側の政治家の
立場から見たらどうなるだろうか、そして内局官僚、
自衛官たちから見たらどうなるだろうかというときに、政治家、制服組、そして内局、それの在り方というものをもう一回きちんと見直すということは私はこの時代にあって絶対にやらなければいけないことだと思っております。
アウトプットがどうなるかは別です。私の問題意識はそういうところにあるということを申し上げました。