○鴨下国務
大臣 平成二十年度
環境省所管一般会計予算及び
特別会計予算について、その概要を御
説明申し上げます。
まず、
予算の基礎となっております
環境政策の基本的な考え方について御
説明申し上げます。
地球環境は、二十世紀型の大量生産、大量消費、大量廃棄型のシステムにより、危機的な
状況にあります。
環境への負荷の増大は、世界的な水不足や
食料危機等の深刻化にもつながるため、人間の安全保障とも密接に関連するものです。
中でも最大の
課題である
地球温暖化問題に関しては、昨年末に、すべての主要排出国が参加して二〇一三年以降の枠組みについて
交渉する道筋を定めたバリ・アクションプランが合意されました。今後、我々は二酸化炭素排出制約の中で暮らしつつ、発展していく道筋を新たに選び取る必要があります。バリ・アクションプランはまさにこの人類史を画する動きであると考えております。
この中で、
我が国は、クールアース
推進構想に基づき、
地球全体の排出量の早期のピークアウトと二〇五〇年までの半減を目指し、北海道
洞爺湖サミットの
議長国として世界の議論をリードしていく必要があります。
我が国にはすぐれた
環境・エネルギー
技術や豊富な人材、深刻な公害克服の経験と知恵があります。これらを生かした
環境対策を経済成長や
地域活性化の原動力とすることにより、二十一世紀型の持続可能な社会の日本モデルを創造します。そして、北海道
洞爺湖サミットやG8
環境大臣会合を初めとするさまざまな機会を通じて世界に発信することにより、
環境立国日本として国際的なリーダーシップを発揮します。
本年が
京都議定書第一
約束期間の最初の年であることを十分に踏まえ、
京都議定書の六%
削減目標を確実に
達成するために
全力を尽くします。
京都議定書目標の
達成に関しては、今後策定される新しい
京都議定書目標達成計画に基づき、オフィスや店舗、家庭を初めとするあらゆる分野で
対策を加速します。
生物多様性の
保全及び持続可能な利用に関しては、第三次生物多様性国家戦略に基づく
取り組みを
国民各界各層の参加を得ながら進めます。例えば、さまざまな主体が
地域で展開する生物多様性
保全活動への
支援などを行います。また、鳥獣の保護管理について広域的管理や
担い手の
育成などの
取り組みを強化します。
スリーRを通じた循環型社会の構築に向けては、現在、策定を進めている新循環型社会
形成推進基本
計画の
もと、適正処理の
推進と不法投棄の防止を大前提に、廃棄物系バイオマスの利活用や
地元での処理が困難で高度なリサイクル
技術を必要とする場合の広域処理などを
推進します。国際的にもスリーRイニシアチブのさらなる展開に
取り組みます。
アジア各国においては、
環境問題の解決が経済発展のかぎであるという認識が拡大してきており、
環境保全と経済発展を統合し、持続可能な社会を実現しようという機運が高まっています。
我が国は、アジアの一員として公害経験や
環境・エネルギー
技術を活用し、水
環境保全や廃棄物処理などの分野での協力を進めます。さらに、黄砂や光化学スモッグなどのアジア
地域に共通する問題に率先して取り組むことにより、
環境汚染の少ないクリーン・アジアを目指します。
また、
環境への
取り組みが経済や
地域社会の
活性化にもつながるような、
環境、経済、社会の側面が統合的に向上する社会を実現するための基盤
づくりの
取り組みを進めるほか、安全、安心の
確保と快適な生活
環境の
保全、公害健康被害
対策等のための
施策を講じます。
平成二十年度
環境省所管一般会計予算及び
特別会計予算につきましては、以上のような基本的な考え方に立って取りまとめております。
まず、
一般会計予算では、総額二千百九十七億四千百万円を計上しております。
次に、
特別会計予算につきましては、エネルギー
対策特別会計に一般会計から三百六十億円の繰り入れを行い、総額として四百二億二千六百万円を計上しております。
なお、
委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、
環境省所管一般会計予算及び
特別会計予算の主要
施策につきましては、お許しを得て
説明を省略させていただきたいと存じます。
よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。