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土屋(正)
分科員 私は、鉄道
関係並びにまちづくりに関連して何点か質問をさせていただきたいと存じます。
鉄道は、長い間国有鉄道で来たわけでありますが、昭和五十五年の臨調から始まって、長い経過を経て分割・民営になったわけであります。昭和六十年の七月には正式に方向が決まり、六十二年の四月、いわゆる六二・四によって、全国が分割・民営になったわけであります。昨年の四月でちょうど満二十年たち、今二十一年目を迎えているわけでありますが、質問に入る前に、この分割・民営について改めて私の見解を述べておきたいと存じます。
大きな
流れとして、この分割・民営は成功したと考えております。
何といっても、国鉄の時代には数年に一遍ずつ運賃値上げをしていたものが、この二十年間、基本的には
消費税以外には値上げをしていない、こういうことが大きいと思います。消費者の利益ということだろうと思います。
二点目として、法人税を初めとする幾つかの税金を払っていただくようになった、固定資産税も含めて。これは国家
財政あるいは
地方財政に寄与している、こういう点で
評価をしなきゃならないだろうと思います。
そして三点目として、さまざまな雇用を確保し、さらに雇用が拡大している。
この大きな
三つの角度からいって、分割・民営は極めて成功した、このように
評価をしておきたいと存じます。
その理由でありますが、旧国鉄では鉄道
事業に限定されていて、物販などは旅客の便利を図るためということで極めて鉄道に付随したものしか認められていなかったわけでありますが、分割・民営され一般
会社になった結果、従来の鉄道
事業に、かてて加えて物販、ホテルとかさまざまなサービスの提供、不動産、さらにスイカ
事業のように金融と、こういう総合的な
事業を経営することにより採算性を維持し、乗降客数、利用客数は基本的には横ばいでふえていないにもかかわらず、良好な持続的な経営ができている、このように
評価をいたしたいと存じます。
同時に、一番鉄道
事業者にとって大事なのは、利用客、乗客の安全ということでありますが、これも、西
日本で極めて残念な事例があり、ATSを半年、一年前倒ししていたらと、まことに悔やまれる事故があったわけでありますが、それ以外にその他の
会社においては基本的にはそう大きな事故もなく、余部鉄橋の墜落事故とか羽越線のダウンバースト、一種の予期せざる風速四十メーターというようなものがあり、一部残念な事故があって、人命もまことに残念なケースもあったわけでありますが、しかし、おおむね事故率も下がり、安定した経営をしているのかな、こんなふうに考えております。
とりわけ、この際、私が気になったことを申し上げておきたいと存じますが、実は、中越地震のときのことでありました。私は当時の武蔵野市長でありましたが、中越地震の小国町というところと姉妹友好都市
関係がありましたので、それなりのサポートをさせていただきましたが、そのとき上越新幹線がどうなるか非常に注目をしておったわけでございますが、脱線はしたものの決定的な事故に至らなかったわけであります。
あれも、私、興味を持ってその後しばらく調べさせていただきましたが、山鳴りがしたというトンネルの特徴は別にしても、その後、いろいろなことがわかってきたわけであります。あの脱線した手前の鉄橋で活断層が見つかって、活断層のため支柱を二十三本事前に補強していた。私は、事故の安全とか予防とかということからすると、これは余り語られていないことでありますが、JR東の
皆様方の卓見である、このように考えているところであります。
そもそも、南関東大地震を想定したり、あるいは宮城沖地震を想定したりした前提が多いわけでありますが、上越新幹線のあの飛び地の活断層を見出して、あらかじめ、恐らく普通は投資を嫌がるわけでありますが、そこに投資をして、二十三本のうち二十本をあの列車が走ったわけでありますから、こういう手法こそ安全という角度から未然に事故を予想して防ぐ典型例ではなかろうか、こんなふうに考えております。イージス艦の事故など見ると、改めて組織の経営者の力量というものが問われているんだなというふうな感じがしているわけであります。
さて、前置きが長くなりましたが、そういう前提の上に立って具体の質問をしたいわけでありますが、まず一点目は、中央線の吉祥寺駅の駅舎改造についてであります。
二〇〇〇年にバリアフリー法ができて、十年間の時限立法でございますので、乗降客数が一日五千人以上の駅についてはすべてバリアフリーをやる、こういうことで積極的に進めてきているわけでありますが、吉祥寺駅はまだおくれており、いまだバリアフリーは、具体の話としては、エスカレーター、エレベーターの設置が未着手であります。と申しますのも、駅に一緒になってロンロンという年間三〇〇億ぐらい売り上げる商店がありまして、どこを抜くかによって重大な影響を与えるものですから、そういうこともあっておくれてきた。これはやむを得ないことと思いますが、間もなく二〇一〇年の時間切れになるわけであります。
そこで、いよいよ具体の話として、JRの皆さん、また関連する京王線の皆さんとで設計が始まったわけでありますが、同時に、ここには
南北に、鉄道敷地内でありますが、実際に
南北を通行しているような自由な準街路みたいな空間がありますので、こういうことを含めてどうするかということが問題になっているわけであります。
吉祥寺の駅は、明治三十二年に開業した
日本で最も古い駅の
一つでありますけれども、現在の駅舎が開設されたのは昭和四十四年で、連続立体交差
事業に伴ってできたわけであります。当時は二十万人程度の乗降客数を予想したわけでありますが、現在の乗降客数は、一日当たり四十二万人であります。JR東
日本の中で十八番目。一番が新宿でありますが、以下ずっと順位が来まして、十八番目に当たるような乗降客数があるわけであります。
こういう
状況の中で駅舎の改修があるわけでございますが、一たん改修されると、三十年、四十年は吉祥寺という町を制約してくるわけであります。新宿以西で三千億の売り上げのある、百万都市のような商業活動をしている最も大きな町でありますので、この駅舎のつくり方によっては極めて大きな影響を与えてくる、こういうことになるわけであります。
そこで、私の質問は、バリアフリーだけではなくて、同時に安全、安心、さらに快適、風格のある駅舎づくりということについて、限られた空間ですから、上に電車が通っちゃっているわけですから、その下の話ですから、非常に難しい
状況なんですけれども、そういう立場で、鉄道
事業法第一条の目的に従って、国として鉄道
事業者に対してどのような指導をしていくかについてお尋ねいたしたいと存じます。
また、先ほど申しましたように、その一部が
南北の通路になっております。井の頭公園というのがあり、花見どきには一日に十五万人ぐらい出るものですから、そこが最大の安全の場所になっているわけであります。まちづくりという
観点からしても、そもそも都市
計画の原点であります安全で快適だという角度からいって、都市
計画の立場からもどのように御指導したり、あるいは
補助やその他の制度を使ってバックアップするか、これについてお尋ねいたしたいと存じます。