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葉梨委員 先ほどの国男さん、国子さんの例え話が余り評判がよくなかったそうですので。
大場智満さんという元
財務官、「世界ビジネスジョーク集」というのを出しています。
モスクワの広い通りの真中で二人の労働者が働いている。一人が穴を掘る。もう一人がその穴を埋める。一カ所が終わると数メートル動いてまた穴を掘る。もう一人が穴を埋める。その繰り返しである。
イギリスの観光客が不思議に思って尋ねた。
「何をしているの。あんたたちはケインジアンか」
労働者は答えた。
「ケインズってなんだ。いつもは三人一組で働いている。一人が穴を掘る。二人目が苗木を置く。そして三人目が土をかける。今日は二人目の苗木の担当が風邪を引いた。だから二人でやるしかない」
これは計画経済を皮肉ったジョークでございますが……(発言する者あり)そういうことでございます。
ジョン・メイナード・ケインズの雇用、利子及び貨幣に関する一般理論で述べられているということで非常に有名な話は、雇用対策としての公共事業、これであれば、それは極端に言って、穴を掘って穴を埋めるということだけでも雇用が創出される、そして乗数効果が生まれる、そういうような
考え方であったからと思います。その
考え方、つまり景気対策としての
考え方をやめて、今、大田
大臣が言われたように、まさにストック重視という形に変わってきているということです。
穴を掘ってそれを埋めるという公共投資を行うことでも雇用が創出され、乗数効果を生むということになりますと、BバイCも相当やはり見方としてちょっと甘くなってくる。このことは、実はきょうもお配りしていますが、
平成十三年の骨太、これについても、率直に当時の政府が閣議決定をして反省していることは間違いございません。
ただ、当時はそういう時代だったんです。バブル崩壊後の恐慌に緊急に対処するために、
地方では、余り必要がないと思われるような立派なホールが建てられた、そういう時期も確かにあったんです。その時期の公共事業というのは、それは主としてやはり景気対策であり、私は、雇用確保のためであったんだろうかなというふうに思います。
それを最後として、つまり経済新生対策、これにおいては六・五兆円の補正
予算での、補正
予算ですね、ここに書いてありますとおり、これは
地方も入れてですけれ
ども、景気対策を行いました。その前の緊急経済対策では八・一兆円の公共事業を行いました。そして、その六・五兆円の、これが最後になったわけですけれ
ども、大規模な補正
予算を組んだ。このときは、連立
与党でございました。連立
与党が一生懸命すり合わせて行いました。そのときの
与党である自由党の党首は小沢
一郎という方でございます。
ですから、景気対策として公共事業をとらえた場合、BバイC、これに関する
考え方は明らかに
平成十三年の骨太以降とは変わってくるんです。私自身は、小泉
構造改革の意義というのはやはり極めて大きいんだというふうに思っています。我々自身は、もう既に大きな
考え方の転換をしているわけです。
ですから、昔の自自連立政権あるいは自自公連立政権、自自公連立政権が自公保になりましたのは二〇〇〇年ですから、それで大きく変わってくることになったわけですけれ
ども、自自公連立政権までの公共事業に関する
考え方、それが踏襲されているというふうな理解で、もしそういうような誤解でいろいろな
質疑をされているとすれば、これはもうまさに前時代の
考え方であるというふうに思っております。
そして次に、第七に移らせていただきましょう。誤解に基づくと思われる
考え方の第七でございます。今回の道路の中期計画の素案、これは、具体的な箇所も確定されておらず、
財務省の査定を経ていない、いいかげんなものであるということでございます。
ただ、
資料をちょっと見ていただければ、
平成十三年の骨太については、いわゆる公共事業に関する計画ということについて相当踏み込んだ書き方をしております。すなわち、公共投資に関する計画の硬直性、これについてはしっかりと打破していかなければならないというような記述がお配りした
資料の中にも出てまいるわけでございます。この
平成十三年の骨太でございます。
かつては、いろいろな公共事業に関する計画というのは、私も役人で、いろいろな合い議を建設省からいただいたことがありましたけれ
ども、今よりも相当な事業の具体名というのが書かれておりました。より一般的な計画を書くはずであるいわゆる全国総合開発計画、全総計画、これについても、紀淡の話もいろいろ出ましたけれ
ども、具体的な事業というのをとんとんと書いて、そしてそれが何か公約、空証文になった場合もありますけれ
ども、公約のような形になっていた。
ですから、この公共投資に関する計画で具体的な事業名を記述するということは、ある意味で、建設官僚にとっては当時、力の源泉だったんです。計画をつくる段階で陳情に来ます、そして
予算をつける段階でも陳情に来ます。今みたいに漠としたものだったら、昔の建設省と今の
国土交通省では、それはもう陳情の仕方というのが相当変わってきたと思うんです。
これは何で変わったかというと、打破したのは
平成十三年の骨太です。計画というのは、対象となり得る箇所を積み上げた膨大なバックデータを背景にしつつ、時々の経済状況もある、
財政状況もある、それから必要性が変わるということもある、そういうことを踏まえて、硬直的になっちゃいかぬということで、わざと、この事業の具体名を挙げるということは、
改革の成果として厳に排するようになってきたわけなんです。これはやはり、小泉
構造改革の成果だと思います。福田
内閣になって小泉
構造改革が変わってしまったということではないんです。大きな転換をもう既に我々はしていたということだと思います。
そして、その上で、私は、党の歳出歳入の一体
改革、公共事業担当の副
主査というのも務めさせていただきました。その経験からすると、党の議論の中だって、
財務省の主計官も来ている、
主査も来ている、みんなで、どうやってコストカットをしていこうか、そういう議論を、国交省の方とも当然どんどん議論しながら、
財務省の方ともどんどん議論しながら、そして、決して役人主導ということではなく、どこまで詰められる、どこまで切り詰められるということを一生懸命議論して、歳出歳入の一体
改革の計画もつくってきました。その結果としてできたのが二〇〇六年の骨太ですよ。これは非常に大事なものだというふうに思っています。
ですから、
財務省の関与とか
財務省の意見が全くこの中期計画の素案に入っていないなんということは、私はあり得ないんじゃないかなというふうに思っております。
道路の中期計画の素案、これについて、具体的な事業に関する
予算要求とは、これは明らかに性格を異にいたします。将来的には閣議決定されるべき性質のものであります。ですから、コスト削減などについて、やはり
財務省の意見も大分反映されているというふうに私は
考えますけれ
ども、
財務大臣からそこら辺のところについて御
説明をお願いしたいと思います。