○馬淵
委員 お手元の資料に12というのを用意しました。機構の未償還残高、すなわち債務返済計画の実績と計画の比較を載せております。今、平井副
大臣が御説明いただいたのは、一番上の表であります。機構が、計画に対して二千五百四十六億、返済が早く進んでいると。一番上の表のところで、実績合計と計画値の差、二千五百四十六億ということで、返済が進んでいるというお話でありました。
つまり、機構側は、
道路会社からの料金収入で返済を進めていますよと。
道路会社は
道路会社で、先ほど私は、推計値と実績値の乖離の問題があるのではないか、経営に直接影響を与えるのではないかというお話をしましたが、いやいや、収入が上がっておりますよというお話でありました。
しかし、実は、この表を見ていただきますと、債務が確定するのは、
道路会社が
道路をつくって供用開始、すなわち
道路工事が完了した時点なんですね。完了しないと債務は顕在化いたしません。すなわち機構に移りませんから、仕掛かり
道路資産として残るんです。これを見ていただきますと、二段目で会社の仕掛かり
道路資産というのを見ますと、これが実績合計で上がっております。これが年々大変上がっておるわけでありますが、この仕掛かり資産というのがふえていっております。この
道路仕掛かり資産、
道路会社が完成させずに、仕掛かり資産がどんどんふえていく。
一方で、機構の会社からの債務の引き受けというのが一番下の表にございます。これを見ていただきますと、機構の引き受けというのは、計画に比べて非常に少ない数字になっています。計画に対して引き受け債務が少ない。これは何を意味するのかということであります。実績と計画の差では、機構が、引き受け債務千八百九十三億、実際には債務を計画よりも少なく受けている。一方、
道路会社は、仕掛かり資産がふえているわけですね。この仕掛かり資産の額が一兆七千九百八十二億ですか、仕掛かり資産として上がっています。
つまり、償還計画、返済計画は順調に進んでいると言っていますが、
現実は、
道路を完成させずに仕掛かりとして、工事が完了せずに、供用がなされずに仕掛かりとして残れば、ずっとこれは仕掛かり資産で、債務にはならないんですね。債務の引き受けが起きないんです。進んでいる、進んでいるといいながらも、仕掛かり資産がふえて、そして引受債務は計画よりも少なくなっている。
このことの意味は何かというと、すなわち、将来的には、第二東名などの大規模な
道路が完成して供用とならない限り、実態としての債務の返済状況というのが把握できないということではないんでしょうか。
この問題について、私は、毎年の新規の建設計画というのを
道路会社が出せないのかということで確認をしましたが、五年ごとだということで、当初計画の数値しか出ませんでした。残念ながら、毎年毎年これをチェックすることはできないんです。これは何を意味するかというと、結局は、大規模の
道路供用がなされない限り、実態の債務返済が進んでいるかどうかが全く見えない
状態になってしまっているということなんです。
資料にお配りをした中で、13、14に、債務引き受けの差が生じている理由が載っています。ここには、工事が延びたということで債務引き受けがまだなされないんだということで書いてありますが、その多くは、災害復旧
事業の引き当て等々がございますが、大規模のものでも、工事が再度、計画が見直されて、言ったら、工期完了が先に延びたがために債務の引き渡しがなされていないという理由がここに述べられています。
私は、この
ように、リスクを顕在化させないという今の仕組み、
道路公団民営化という本来の目的は、無駄な
道路をつくらないということでした。民営化会社になれば、それこそ自律的な会社経営という中で無駄を省き、本当に必要な
道路しかつくらないというインセンティブが働くという状況であったのが本来の目的であった。しかしながら、この実態を見れば、債務を顕在化させなければ償還は進んでいるという形になって、また、民間会社で、本来ならばその
道路の収益に対して
最大の責任を負わなければならないのに、政府保証債初めさまざまな公的な裏づけのある状況で
道路をつくっていくといえば、これは全く責任は生じないんですね。
道路公団民営化の本来の目的がもろく崩れ去って、そして、国民にはそのリスクが顕在化されない状況がこのまま放置されていってしまうということを私は危惧しているんです。
推計と実績の乖離の問題もあります。そして、さらに加えれば、金利のリスクもございます。最後の資料で、16で載せておりますが、金利リスク、二〇五〇年の債務残高ということで、これは有利子負債だけ挙げておりますが、平均金利年四%ということで想定している債務残高、しかしこれは、一%金利上昇だけでも十六・四兆円ということで、このカーブは大きく変わってまいります。
この
ような状況で、
道路公団民営化、実際には民営化という名のもとに、さらにリスクを先延ばしにするという結果になってしまっている。そして、その大もととなるのも需要推計が大きくかかわっている。中期計画では、これからの話ですが、
現実に起きているものが、またもやこれは実態が隠ぺいされかねないということを私は危惧しますが、
大臣、今私が申し上げたことに対してはいかがでしょうか。