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亀井(久)
委員 ちょっと話の腰を折られました。
先般、
政府演説の中で、大田経済担当
大臣の演説の冒頭に、かつて
日本は世界の総所得の二割近いものを占める大国であった、それが二十四年ぶりに一〇%を切ってしまった、それで一人当たりGDPもどんどん下がって、今やOECD参加国の中で十八位に低下した、そのことで、もはや
日本の経済は一流とは言える
状況ではない、そういうことを言われたわけですが、私は、余りそういうことを評論家のように言われては困るんでありまして、どうしてそうなったのかという、その反省からやはり始めていただきたいと思うんです。
日本は決してそういう国ではなかったわけですから。
なぜそうなったのか。為替レートが変わったとか、そういう程度の話ではないわけで、やはり
日本の総合的な国力がどんどん落ちているということだと私は思うんです。それでは、その総合的な国力をどうやってこれから身につけていくか、再生をされていくか、そこの思い切った経済政策というものがまさに求められているんだと思います。
今、御承知のとおり、この間の
予算委員会で私申し上げましたけれども、二〇〇〇年から可処分所得がずっと減ってきておりますね。それで、負担はふえておりますね。定率減税を廃止して実質的な
増税になってしまった。医療費の個人負担もふえている。介護の負担もふえている。あるいは住民税も上がった。負担はどんどんふえているけれども可処分所得はふえていかない。そういう
状況ですから、個人消費が伸びないのは当たり前ですね。
ですから、
小泉元
総理が
安倍総理に対して鈍感力ということが大事だということを言われたけれども、私は、
国民生活を守るために
政府は敏感でなくてはいけないと思うんですね。そのことに対して鈍感であってはならない。
アメリカが緊急経済
対策を打ち出して、与
野党がぱっと合意をして、それできょう、法案が上下両院を通りましたね。あのぐらいの機敏な
対応をしていかなければ
日本の
国民の
生活というのは守れないんだ、そういう
状況に立ち至っているんだということをよく御認識いただきたいと思うんです。
今、
国民はお金を使いたいんです。使いたいけれども、ないんですよね。一部にはあるでしょう。だから、GDPを見ても、
小泉政権発足のときからGDPはがくんと一度下がって、それが少しずつもとに戻り始めているという
状況ですけれども、OECDの加盟国が軒並みGDPを着実に大きくしている中で、
日本だけは停滞をしている。まだあの二〇〇〇年の段階まで戻っておりませんね。
今GDPが、昨年五百十六兆ぐらいですか、そのぐらいまでしか戻っていない。かつて、一九九七年には五百二十一兆あった。それがまだそこまで戻っていない。少しずつ少しずつもとに戻り始めているという
状況。GDPが大きくなっていない中で、どんどん富が偏在をしていっているわけです。そこに大きな問題があると私は思います。
ですから、先ほど来いろいろな
皆さん方の
議論を聞いておりまして、例えば非正規雇用の問題が出ておりました。非正規雇用、どうしてふえたかといえば、これは、
政府が景気を回復させるという、デフレを解消するために積極的な経済政策をとるんだというそのメッセージを出さないままずっと進んでこられた。
緊縮財政、確かに財政再建は必要ですよ、財政再建は必要だけれども、やはり、財政というのは何のためにあるかといえば、
国民生活のためにあるわけですから、その財政を、ただプライマリーバランスを黒字化するという、言ってみれば数字合わせのようなことにとらわれて、ただ緊縮財政、緊縮財政でいけばいいんだという、そういう
考え方では絶対にGDPは大きくならないと私は思うんです。
私は、大田
大臣が政策統括官をしておられたときに、毎月、月例経済報告をめぐって
議論をしたことをよく覚えておりますけれども、デフレを解消するためには需要政策をとらないとだめですよ。官民、力を合わせた需要政策をとらなければ、縮小均衡に向かわざるを得ない。
政府が最初から、もう景気回復はやりませんというメッセージを出してしまえば、それは企業の経営者だって、当然、売り上げが伸びない中で収益を確保しなくてはいけないという後ろ向きのマインドになりますから、そうなるとコストを下げるよりしようがないでしょう。コストを下げて、結局最後はリストラと言われる人減らしをやった。
社会保険料の負担や何かしたくないから、正規雇用をできるだけ減らして非正規雇用にしてきた。今、大企業においては、二・五人に一人は非正規雇用ですね。
それで、しかも、今大企業はどういう
状況かというと、確かに空前の収益を上げている企業はあるでしょう。しかし、それでは、そういう企業の所得、役員の所得、従業員の所得を見ますと、この六年間で、大手企業三十社の平均をとってみますと、役員の所得は何と平均で九〇%ふえているんですよ、約倍になっている。では、そういう大企業の従業員、社員の所得はどうかというと、平均で五・六%減っているんです。
そういう大会社がどんどん外資に株を買収されていっている。外資の場合には、リターンを求めるわけですから、当然、うんと企業にもうけてもらって、それを株主に還元しろ還元しろと、それを第一に求めるのは当たり前なんです。それは、先ほど来名前が出ておりましたキヤノンにしても、もう半分近くは外資でしょう。ソニーは半分以上外資でしょう。そういうところは、必ず株主に還元しろということが第一、その上で、それだけの収益を上げた経営者がとってもいいですよ、従業員、社員は道具のように、いつでもかわりはあるんだ、そういう
考え方になってしまう。ですから、そこにも大きな問題がある。
中小企業は頑張っているんですよ。資本金一億円以下の中小企業をとりますと、六・六%、社員、従業員の給料はふえております、所得はふえております。それで、役員の所得が九%減っているんですよ。それだけの
努力を中小企業はやっている。しかし、大企業がそういう経営のやり方になってきた。私は、そこにも中間層の所得が落ちてくる大きな
原因というものがあると思うんです。
ですから、今、そういう苦しい中で地域格差も広がっておりますね。この間の発表でも、東京都の平均の個人所得、これは、一人当たり個人所得が四百八十万近いですね。ところが、一番低い沖縄は二百万そこそこでしょう。私どもの島根だって二百四十万ちょっとですよね。それだけ地域格差も開いている。地域で一生懸命働いても、さっぱり将来展望が開けない。
そういう中で、まだ世界で第二番目の経済大国ではあるんですけれども、その経済大国である
日本で年間三万人を超える人が自殺に追い込まれている。それが、自殺者が全然減っておりません。交通事故で亡くなる方は、今、年間六千人ぐらいですね。それの五倍の人が自殺に追い込まれているという、その
状況をもっと
政府は真剣に
考えていただきたい。
私どもは、
国民新党、小さな政党ですから財政力はありませんけれども、そういうことに対して何かやらなくちゃいけない、そういう思いから、近々、自殺に追い込まれた
方々の子弟で高校に進めないとか、高校の勉強が続けられないとか、そういう
方々のために、議員が拠出した金をもとにして少しでもお手伝いをするような奨学金を出そう、そんなことも
考え始めているところでございます。本来は、
政府がもっと敏感にこうした問題についても
対応していただくべきだというように思うんです。
以上、申し上げたことに対して、大田
大臣の御見解を承りたいと思います。