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谷垣委員 今
大臣が
説明された
制度は一部に誤解もありまして、
地方税に移したものをもう一回国税に戻して、むしろ
地方分権に逆行するんだなんという批判もあるんですが、決してそういうものではないということは我々もよく
説明していかなきゃいかぬと思うんですね。
そういう中で、これは暫定的な
制度というか過渡期の
制度という面がございますから、今後さらに、これをきちっと永続的な
制度にしていくためにはどういうふうにしていくかという、これからのまた
努力が必要だと思います。ぜひ、
総務大臣、これは力を入れてお
取り組みいただきたいと思います。
地方再生というのは非常に幅広いテーマでございますので、まだまだこれは議論しなければならないことがたくさんございますけれ
ども、次の
山口俊一さんがこの問題を取り上げてくださいますので、
地方再生についてはこのぐらいにさせていただきまして、道路特定財源の問題に移りたいと思うんですが、その前に私、一言、日切れという問題を申し上げておきたいと思うんです。
日切れというのはいわば政界の術語でございまして、テレビをごらんの方、日切れって何だとお思いかもしれません。日切れというのは、三月三十一日、つまり、三月三十一日から四月一日で年度がかわるわけですが、そのときに
成立しないと期限が切れてしまって不都合が起こる法律のことを、業界用語なんですが、日切れ
法案というふうに呼んでいるわけですね。
それで、毎年毎年この日切れ
法案というのは幾つかあるわけでございまして、これが通らないとどういう問題が生ずるかということをちょっと申し上げたいと思うんです。
まず税の関係でいいますと、これはまさに今
国会の論点の最大なものでございますが、揮発油とかそういうものに、道路をつくることが必要だというので税をいただいているわけですが、本則のさらに上乗せして倍ぐらいの税金をいただいている。これが切れるわけですね、ほっておきますと。そうしますと、二・六兆円の大幅な減収となる。
地方においては、交付金も含めますと一・六兆円財源がなくなってしまいますので、これは各
地方の
生活を支える道路の維持や建設が困難となってくる。これはまた後ほどよく申し上げます。
それから、マイホームなど土地の売買を行った場合の登記に係る税負担が大きく変わる、ふえてしまう。
それから、自動車取得税の免税点特例、これが五十万円ですが、これが失効して十五万円以上の中古車が課税対象となるとか。
あるいは、ちょっと難しい
言葉でございますが、東京オフショア市場というのがございます。海外のお金を海外で使うわけですが、それを、
日本の金融機関、
日本のマーケットを通して、そういう海外のお金、海外に行くのを使おうというマーケットでございますが、これは非課税措置になっているんですが、この非課税措置がなくなっちゃいますと、東京のこのマーケットが全く機能しなくなってしまうということがございます。
それから、関税の関係で申しますと、例えば、輸入牛肉等の軽減税率が失効して、ステーキ百グラム当たり十円ぐらい税金がふえてしまうということもございます。それから、そういう関税が、化粧品、洗剤、衣服、こういう必需品でも軽減税率がかかっておりますので上昇するとか、食品についても同じような現象が生じてくるということがございます。
それからもう一つ、特例公債法というのがございまして、これはどういう法律かといいますと、結局、我が国の財政は、八十三兆の
予算でございますが、全部税金で賄えませんので、借金をしながらやっている。そのうち二十兆は特例公債という、いわゆる全くの赤字国債でございます。これを発行するためには毎年毎年法律をつくるわけですが、これが四月にできておりませんと、
予算のための借り入れができなくなっちゃうということは、八十三兆の
予算の四分の一ぐらいがどうしたらいいかわからなくなってしまうということになりますと、金融市場が混乱するとか、それだけにとどまらない、いろいろな問題が生じてくるということがありまして、
国民生活にさまざまな混乱が生じてくるということだろうと思います。
そこで、今まではどういうふうにしてきたかというと、この日切れ
法案については、年度末に
与野党できちっと議論をして、さっと通そう、必ず通そうということをやってきまして、相当政争の激しいときでもこれはできたんですね。
私
ども野党になっておりましたときがございました。いわゆる細川政権でございますが、この細川政権で、我々は
野党で相当細川さんにかみついたという記憶がございますけれ
ども、そのときでも、日切れ
法案は、
国民生活に混乱を起こしちゃいけないということで、我々
協力して、
国民生活を安定させるために、当時の私
ども野党といえ
ども協力をしたということがございます。この
ねじれの中でそのことをどう
考えていくかということが、実は、ことしの
国会の潜在的な大テーマであろうと私は思っております。
それで、その背景に何があるかといいますと、結局、
予算が通らないと
国民生活に物すごく大きな影響が生ずるということで、
参議院と
衆議院が議論が違っていましても、
参議院が否決すれば、
両院協議会を開いて
衆議院の
議決が
国会の
議決にそのままなる、
衆議院が
参議院に送っても、三十日間
参議院が結論を出さなければ、否決したとみなして、
衆議院の
議決で
予算が
成立するという
制度がございます。
これは、
国民生活を混乱させちゃいけないということから、そういう
衆議院の優越をきちっと定めてあるわけでございますが、しかし、
予算というのは、結局、税が入ってきませんと執行できない。ところが、税は法律でございますから、法律に関しては
予算ほどの
衆議院の優越は認められていないんですね。
ですから、それも、いろいろ手は、六十日ルールとか細かなことは申しませんが、手はあるんですが、そこにやはり憲法上の問題が私はあると思います。
予算と、
予算の前提となる
歳入法案、つまり税法、これは一体として
考えるべきではないかと思うんですが、どうも憲法はそうなっていないというところに、憲法の議論というと九条論が盛んでございますが、単に九条論にとどまらない、この両院制、その中において、こういう
国民生活に一番基本的なものをどうしていくかというのは、実は、憲法を
考えるときの最大の論点でもあろうかと私は思っております。
今
国会で問われているのは、そういう憲法上の問題。必ずしも憲法起草者はそこを十分に
考えていなかったのかもしれません。だからといって、我々は、
国民生活に混乱を招いていいわけではありませんので、それを超える
知恵を出していかなきゃならない。それが、先ほど
総理にも御質問いたしました、
両院議長の決意、
危機感のあらわれが、
年度内に一定の結論を出すということだったのではないか。そして、そういう経験はやはり諸外国も味わいながら、
日本と外国は
制度が違いますけれ
ども、
選挙の年でも
国民にちゃんと結果を出そうじゃないかという
ブッシュ大統領の呼びかけになっているんじゃないか。こういうことを我々はもう一回想起してこの
国会に臨みたい、御答弁は求めませんけれ
ども、このことが非常に今
国会の大事な論点なんだということを改めて申し上げたい、このように思います。
そこで、道路特定財源の話に移りたい、このように思うわけですが、
政府は、
政府・
与党一体で、真に必要な道路を着実につくっていくためには、
平成二十年度以降十年間、暫定税率による上乗せ分を含めて現行の税率水準の維持を決定したということでございます。
これはどういうことかといえば、先ほど申し上げたように、道路は必要だ、そのために、道路を利用している方、あるいはガソリンとか自動車とかいうものに税金をかけて、それで道路をつくっていこうということでずっとやってきました。そして、それが余り無制限に膨らまないように、五年ごとにチェックしている。したがって、今、本則よりも倍ぐらいの税金をいただいて道路をつくっているわけですが、五年ごとにチェックするために、それは暫定だ、五年ごとに見直そうということでずっとやってきたわけですね。
それで、今後高齢化も進んでいくし、今後十年ぐらいの間に必要な道路をつくり切っていくということがやはり要るんじゃないか、そういうことから先ほどのような決定をさせていただいたわけでございますが、これにはいろいろな議論がございます。
実は、悪意の議論は、
与党の中には、道路のこういう特定の財源があるということを利権として、これを確保するために、必要でもない不必要な道路をどんどんつくっていくんだと。だから、道路公団が民営化したときには九千三百四十二キロだったはずが、いつの間にか一万四千キロつくろうとしているとか、五十九兆を道路のためだけに使おうとかというような批判もあるわけです。
だけれ
ども、私は、この問題は道路だけから
考えてはいけないんだと思っております。三つ
考えなきゃいけない。
一つは、本当にこの道路が必要なのか、必要な道路なのかどうかということですね。これが一つ。それから二番目は、
地方財政というものがもつのかどうかという議論がやはりあると思います。それから三つ目は、これを言うと笑う人もあるんですが、要するに、ガソリン等々に高い税金をかけてガソリンの消費を抑制して、そして、でき得べくんばそのエネルギーを省エネとか新しい
環境技術に向けていこうじゃないか、こういうことがございます。
それで、
日本では、
環境税というと
環境のために使わなければいけないというような議論が盛んでございますが、OECDで見ますと、石油、ガソリンに高い税金をかけて石油消費を抑え込んでいくというのが、どちらかといえば
環境税の定義でございまして、OECDの統計の中では、
日本のガソリン税、揮発油税等々の暫定税率を含めて
日本はこれだけの
環境税を取っているということになっているわけですね。このことが余り
日本では理解されていないんじゃないか。だから、これを廃止すると、OECDの統計上では、何だ、
日本ではこれだけ
環境を議論をしているときに
環境税を下げていくのかという議論にもなりかねないという、複眼的にこの問題は見ていかなければわからないんじゃないかと思うんです。
そこで、第一段目の、何でそんなに道路をつくり続ける必要があるのかという問題でございます。
これは、一つパネルをつくってまいりまして、この図を見ていただきますと、青く塗ってあるところが、先ほど申しました九千キロの話、それから赤まで含めますと一万四千キロの話なんですね。これは、一万四千キロ、全部つくると決めたわけじゃありません。ネットワークをつくるためにはこれが必要なんじゃないかということで、これから見直しもしながら議論していこうということでございます。
この図を見ていただくとおわかりだと思いますが、赤いところを抜いてしまいますと分断されちゃうんですね。例えば、島根とか鳥取とかいうところはなくなってしまいます。率直に言いますと、私の地元でございます京都府の北部から兵庫県の北部、鳥取に至るところは線も引いていないというところがあって、おまえ、一体何をやっているんだと
選挙区では言われるわけでございますが、とにかく赤いところを抜いてしまうと、道路というのはやはりつながらなければ
意味がないと私は思うんですね。
新幹線に例をとりましても、鹿児島新幹線というのは、熊本から鹿児島まで今通っていますけれ
ども、博多には結ばれていない。あれはどう
考えても、博多—熊本間が開通しなければあの新幹線は十分機能を発揮しないし、投資も中途半端なんだろうと思います。
そこで、これを見ていただければ、そんな無駄なことを
考えているわけじゃないというのは大体わかると思うんです。要するに、一体どういう道路が必要で、五十九兆というお金は何に使うのかという
あたりを、わかりやすく
冬柴大臣から
お話をいただきたいと存じます。