○
川内博史君(続)
動議の
趣旨を引き続き御説明申し上げたいと存じます。
道路整備財源特例法改正案は、
平成二十年度以降十年間の措置として、揮発油税等の税収を
道路整備に充当することを定める
道路特定財源制度を維持するための根拠法でございます。他方で、
福田総理は、三月二十七日、来年度から
道路特定財源を
一般財源化する
方針を打ち出し、四月十一日の
政府・
与党決定を経て、本日の
閣議決定に至っております。
この
閣議決定と
法案は
内容が
正反対なものとなっており、支離滅裂な
法案になっているわけでございますが、当然のこととして、
政府・
与党の方から
法案修正なり再
提出の動きがあり、この
矛盾を解消していただけるのであろうと私
どもは考えておりました。しかしながら、
福田総理が
一般財源化を打ち出してから一カ月以上たっているにもかかわらず、
政府・
与党からそのような話は全くなく、
国会法第五十九条、すなわち「
内閣が、各
議院の
会議又は
委員会において
議題となつた議案を
修正し、又は撤回するには、その院の承諾を要する。但し、一の
議院で
議決した後は、
修正し、又は撤回することはできない。」という
規定を口実に何ら手を講ずることなく、時間だけが過ぎ去っていったのであります。
言うまでもなく、
国会は
立法府でございます。
国会は
内閣提出法案をベルトコンベヤー方式で自動的に成立させるために存在をしているのではないのです。
国会で審議中の議案と
内閣の
方針に深刻な
矛盾が存在するのであれば、当然その
矛盾は解消をされなければならないのであります。
内閣に
国会法の縛りによってその手だてがないのであれば、残された道は、
両院協議会を
開催し
成案を得る
努力をすることであります。
第四の
趣旨を御説明申し上げます。
一般財源化をするのであれば、
暫定税率は当然
廃止をすべきであるということであります。私
たちが
開催を求める
両院協議会では、この問題についても議論がなされるべきであります。
この点について、本年二月二十二日、本院国土交通
委員会で、この道路
財源特例法改正案を審議したときの
国会答弁で、
福田総理御自身が発言をされたことであります。
福田総理は、
与党議員である西銘恒三郎
議員の、
道路財源をすべて
一般財源化するという政策は、ユーザー一千万人余の
反対署名もありますし、納税者に対しても無責任ではないかと思われますが、
総理の御所見をお伺いいたします。
という質問に対して、
道路特定財源をすべて一般財源にするということになりますれば、これはユーザーの負担ですからね。その課税の根拠が失われるということになります、そして、この
暫定税率を
お願いするということは困難になる。すなわち、その分を、結果としてガソリン値下げという格好になるわけでございますけれ
ども、その結果、国、地方合わせて二・六兆円の大幅な減収となって、道路予算、そしてまた、先ほど来御説明しているような、一般
国民、経済、生活にも影響を与えてくる、こういうことであります。
と答弁されました。
また、同じく
与党議員である高木陽介
議員の質問に対しては、
道路特定財源につきましては、ユーザーの
理解を得て
一般財源化する、こういうことになっております。ですから、
一般財源化というふうに簡単におっしゃるけれ
ども、それは今の段階ではそう簡単なものではないんだ、まずユーザーの
理解を得るということが必要なんだ。
理解を得られなければその分減っちゃうわけですから、払ってくれないわけですからね、そのところはよく認識していただかなければいけないと
思います。
と答弁されました。
さらに、
民主党の長安
議員の、
やはり、ここは
福田総理の強いリーダーシップをもって
一般財源化ということに本気で取り組んでいくということが必要だと
思いますけれ
ども、
総理の御見解をお伺いしたいと
思います。
という質問に対しては、
特定財源、これは、自動車ユーザー、ユーザーの
理解を得ながらということなんですね。そういうことでないならば、
理解が得られないというのであれば、これは税率を下げるしかないんですよ。そういうことなのでよろしいのかどうかということもございます
と答弁されました。
私は、この
道路特定財源をすべて一般財源にするということになれば、これはユーザーの負担であるから、その課税の根拠が失われる、
暫定税率を
お願いすることは困難になる、すなわち、その分、結果としてガソリン値下げということになるという
総理の答弁は非常に正しいお考えであるというふうに
思います。そもそも、
暫定税率を三十四年間も継続してきたこと自体がおかしい上に、揮発油税本則分については、もともと一般財源であったからであります。
第五の
趣旨は、環境税の導入についても
両院協議会で協議をすべきであるということであります。
昨日、町村信孝官房長官は、仮に
ガソリン税が環境税ということになれば、今より負担がふえ、ガソリン一リットル二百円ということになるかもしれないという
趣旨の発言をされました、我が党の鳩山由紀夫幹事長が、多くの
国民の実体の経済を御存じない、財政再建至上主義に頭が凝り固まって、頭が財務省に奪われているから、あのような発想が出るんですねと批判し、我々の考え方と全く違う、このような政権は一日も早くお引き取りを願いたいと税制の考え方についての違いを強調させていただき、早期の
衆議院解散・総
選挙を迫る考えを示したと報道されております。町村官房長官の環境税に対する認識は全く間違っていらっしゃいます。
環境省が行っております環境税についての
提案は、CO2を排出するエネルギーに着目して、炭素トン当たり二千四百円ということで、ガソリンに当てはめると一リットル一・五二円ということでございます。仮に、一兆円規模の環境税を構想するとしても、運輸部門の占める割合は一七%であり、ガソリン一リットル当たり五円にも達しないということになります。
したがって、
両院協議会において、あるいは今後の税制
改革の議論の中で、
道路特定財源を
一般財源化する場合においては、まず、自動車ユーザーの
理解を得るためにも、三十四年間にわたって継続された
暫定税率の
矛盾を解消するためにも、当然、
暫定税率は
廃止すべきなのでございます。
その際、環境税を導入する場合でも、ガソリンが負担すべき割合は、一リットル当たり一・五二円、最大級に見積もっても、我が党の菅直人代行が申し上げておる一リットル当たり五円未満であるということを確認すべきであろうと存じます。当然のことながら、一般財源としての
ガソリン税本則分の中に環境税を含めるべきであるという考え方も十分に成立をするわけでありますから、そのことも含めて、
両院協議会でしっかりと議論をしていただきたいと存じます。
なぜなら、本年四月十一日の「道路関連
法案等の取扱いについて」と題する
政府・
与党決定文書に、「四、
暫定税率分も含めた税率は、環境問題への国際的な取組み、地方の
道路整備の必要性、国・地方の厳しい財政状況を踏まえて、今年の税制抜本
改革時に検討する。」と明記をされております。この
方針も踏まえて、「
与野党協議を鋭意進める。」と書かれているのでございます。
なお、
福田総理を初め
政府・
与党の幹部の
皆さんが、全
世界が地球温暖化対策に全力を挙げている中で
我が国が
ガソリン税を大幅に引き下げることは
国際社会の
理解を得られないと発言されておられますが、それは大きな間違いでございます。
我が国の自動車ユーザーは、自動車取得税、自動車重量税、そして
ガソリン税など、自動車関係諸税として、自動車の取得、保有、走行のあらゆる局面で大きな税負担をしており、さらにその上、
世界に類例のない高額な高速道路通行料金の負担もしているのでございます。これらを考え合わせると、
我が国の自動車ユーザーの税負担あるいは公的負担は
世界一高いと言っていいのでございます。
国際社会の
理解を得られないとすれば、今後十年間五十九兆円を費やして
道路整備を続けるという本
法案こそが
理解を得られないのでございます。
しかも、驚くべきことに、国土交通省は、高規格幹線道路一万四千キロメートル、地域高規格道路六千九百五十キロメートル、合わせて二万一千五十キロメートルの計画を含む幹線道路ネットワークの整備を、地球温暖化対策と称して、本年三月二十八日に
閣議決定をされておる
政府の京都議定書目標達成計画に潜り込ませているのでございます。これこそ、
国際社会の
理解を得られない、まさに笑止千万の潜り込ませ事件であると言っていいのではないでしょうか。(
拍手)
第六の
趣旨は、
暫定税率撤廃による二兆六千億円の
ガソリン税等の減税は、現在の
我が国にとって最良の経済対策であるということでございます。この点についても、
両院協議会において御議論をいただきたいと考えております。
皆様方も既によく御存じのように、昨年の欧米諸国に端を発したいわゆるサブプライムローン問題は、
世界の経済
情勢を大きく揺り動かしております。その上に、史上空前の原油高、一バレル二百ドルもあり得るとの状況に、鉱物資源、食料などの原材料高も加わり、
世界経済は危機的な状況の中にございます。当然、
我が国経済もその渦中にあり、何らかの有効な経済政策が求められております。
しかし、残念ながら、
福田内閣は、昨年九月の発足以来、何
一つ有効な経済政策を打ち出していらっしゃいません。確かに、
我が国の財政の状況は、到底新たな財政出動を許す状況にはないわけでございます。また、金利についても、引き下げるだけ引き下げてきた結果、金利引き下げの余地がほとんどないことも事実でありましょう。
そのような
我が国にとって、まさに
ガソリン税等の
暫定税率の撤廃、すなわちガソリン二十五円の値下げ、軽油十七円の値下げによる総額二兆六千億円の減税こそが最良、最強の経済対策でございます。
ガソリン税の値下げについては、韓国の李明博大統領もアメリカの大統領候補も、一部その政策を取り入れていただいております。
ガソリン一リットル当たり二十五円の値下げは、明らかに個人消費の下支えとなります。
内閣府が行っておる景気ウオッチャー
調査においても、
全国のタクシー運転手さんやコンビニエンスストアの店長さんなどの現場の声が多く寄せられております。原油高、ガソリン高による消費者の消費手控えの実態が
報告されているのでございます。また、特にことし四月からの各種食料品などの物価上昇による家計の負担増が月数千円に上るとの試算もなされておりますが、ガソリン代の二十五円値下げは、それらの物価高を相殺する効果が期待できるのであります。
さらに、軽油代の十七円の値下げは、
全国の運送業者の
皆さんにとって大変な効果をもたらし、特に中小零細企業対策として有効なだけではなく、運送経費のコストダウンも期待できるものでございます。
平成二十年度については、既に歳出予算が成立しており、道路工事などの事業量は従来どおり確保されるため、ガソリン、軽油等の二兆六千億円の減税は、そっくりそのまま景気対策、経済政策としてプラスの効果をもたらすのでございます。
政府・
与党幹部の
皆さんは、では、その減税の財源はどうするのかと言われるわけでございますが、
平成二十年度の一年限りについては、さまざまな特別会計、独立行政法人などの剰余金、積立金などのいわゆる埋蔵金で十二分に手当てできるということは言うまでもありません。
埋蔵金と呼ぶかどうかについては議論はあるんでしょうけれ
ども、
平成十七年十二月二十四日
閣議決定「行政
改革の重要
方針」七ページ、「特別会計
改革」(2)ア1「「小さくて効率的な
政府」の実現を特別会計
改革においても目指す。特別会計については、資産・負債差額が約四十五兆円と言われており、積立金・剰余金についても多額に上っている。これらを精査して資産・負債や剰余金等のスリム化を徹底するなどし、今後五年間において合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指すものとする。」と、
政府自身が、まだまだ使えるお金が眠っているということを
閣議決定文書の中でおっしゃっていらっしゃいます。さらに、我が党の細野豪志
議員の
調査によっても、道路特別会計については、資産・負債差額が六兆円に及んでいるということが確認をされているのでございます。
来年度以降の恒久財源については、
民主党は、今年度末の税制の抜本
改革案の中でしっかりと御説明をさせていただく予定でございますが、
道路特定財源の本則分だけで真に必要な道路は整備することができるというのが私
どもの考え方であり、道路特別会計の中にその財源はあるということを申し添えておきたいと存じます。
第七の
趣旨は、
暫定税率の撤廃は、地方の所得をふやし、地方の活性化につながるということでございます。このことも
両院協議会で御議論をいただきたいと考えております。
今回の
暫定税率撤廃問題については、地方公共団体の首長さんや
議会の
皆さん、心配の声が多く上がりましたが、
民主党は、もちろん地方の
皆さんには一切御迷惑、御心配はおかけいたしません。
四月十一日の
政府・
与党決定文書においても、「
ガソリン税などの
暫定税率の失効
期間中の地方の減収については、各地方団体の財政運営に支障が生じないよう、国の責任において適切な財源措置を講じる。その際、地方の
意見にも十分配慮する。」と明記されております。
地方公共団体の
皆さんは、心配されることは全くありません。むしろ、
一般財源化して、その大部分を地方の財源とするというのが
民主党の政策であります。
道路整備についても、地方の知事さんや市長さんが、地方に住む住民の
皆さん方とよく相談をしてどの
道路整備が必要かということをお決めいただくことが、最も効果的な、効率的な
道路整備に資する方法であると私
どもは考えております。
ちなみに、安倍前
総理の御
地元である
山口県において、
平成十八年度、中国地方整備局
山口河川国道事務所が発注をしている萩三隅道路の工事を、どのような請け負いの状況になっているかということを教えていただきました。
萩三隅道路というのは直轄事業でございますけれ
ども、ここは大事なので聞いてください、
平成十八年度中に十八件工事が発注されています。そのうち
地元業者が請け負ったのが八件。十八件のうち八件が
地元業者が請け負っている。では、金額的にはどうなのかというと、十八件の契約金額が四十四億、
地元業者が請け負ったのが十二億、三割にも満たないのでございます。
本当に
地元の経済のことを、あるいは
地元の活性化ということを考えるのであれば、財源をすべて地方に移して、知事さんや市長さんが
地元業者に発注をできるような
道路整備の仕組みに改めていくことこそが、今私
たちがしなければならないことではないでしょうか。
道路も必要だし、道路の工事も必要だし、しかし、それを効率的、効果的に進めるにはどうしたらいいのかということを
両院協議会において真剣に議論しなければならないと存じます。
私がここで強調しておきたいのは、さらに
暫定税率の
廃止は地方の所得をふやすのだということでございます。
皆さん既に御案内のとおり、
ガソリン税や軽油引取税や、自動車諸税の負担は、自動車の保有率の高い地方こそ減税効果が非常に高いのでございます。
ちなみに、私の
地元の鹿児島県においては、一世帯当たりの
暫定税率分の減税は年間五万九千円と計算をされております。東京都の一世帯当たりの二万五千円の二・三六倍になります。鹿児島県の世帯数は七十三万世帯でございますので、年間で合計四百三十億円の減税になります。鹿児島県に対する
暫定税率分の配分額は百七十億円でありますから、減税による県民所得の増大の方がはるかに大きいのでございます。
東国原英夫知事の宮崎県も、
暫定税率廃止で一世帯当たり六万七千円の減税効果、四十六万世帯でございますから、合計三百八億円の減税。
福田総理の御
地元の群馬県では、一世帯当たり七万七千円、七十四万三千五百世帯ですから、合計五百七十二億円の県民所得増となるのでございます。
本
会議場におられる
与党議員の
皆さんにも、
暫定税率の
廃止は、
皆さんの御
地元の
有権者の
皆さんの所得がふえる、地域の活性化につながるということをぜひぜひ
両院協議会で御議論いただきたい、
お願いを申し上げる次第でございます。(
拍手)
第八の
趣旨は、道路特別会計は無駄だらけであるということでございます。この無駄を徹底的に排除することも、
両院協議会の重要なテーマではないでしょうか。
政府・
与党決定文書でも、あるいは本日の
閣議決定にも、「道路関連公益法人や
道路整備特別会計関連支出の無駄を徹底的に排除する。」あるいは「
政府全体で、行政と密接な関係にある公益法人について、集中点検を実施し、支出の無駄を徹底的に是正する。」と明記をされております。
今
国会の予算
委員会などの審議の中で、私
たち野党
議員の指摘によって、道路特別会計の支出の無駄遣いの実態が次々に明らかになりました。
与党の
先生方は何
一つ指摘できなかった、それを私
たちが指摘をしたわけでございます。
我が党の長妻昭
議員は、
道路特定財源で公益法人などが一泊七万円から十二万円の職員旅行を丸抱えしていた、あるいはアロマテラピーの器具を購入していると指摘をさせていただきました。社民党の保坂展人
議員は、
道路特定財源から、「みちぶしん」というミュージカル上演のために、三年間で八十五カ所、総額五億二千万円、一回平均六百万円という支出が行われていたことを明らかにいたしました。また、我が党の細野豪志
議員は、
道路特定財源から、道路関係の公益法人が作成をするウィキペディアからの意味不明の引用だらけの三冊の
報告書に、随意契約で一億円もの支出が行われ、公益法人が
道路官僚の天下りの受け皿となっている実態を明らかにいたしました。
また、
参議院においても、我が党の大久保勉
議員は、一人の職員が年間で五百万円にも達するというタクシーチケットを地方整備局において使用していたという問題について指摘をさせていただきました。このタクシーチケット問題を初めとする
全国の地方整備局と国道事務所の実態
調査も、
両院協議会においてしっかりと細部にわたって
調査、議論をしていただきたいと存じます。
さらに、
参議院の藤末健三
議員は、地方整備局あるいは
全国の百三十六の国道工事事務所、河川国道工事事務所に公用の自家用自動車が千四百二十六台保有され、そのうち八割に当たる千百八十六台は業務委託による運転手つきの公用車であり、運転手の業務委託の支出は年間八十二億円、五年間にすれば四百億円を超えるという実態も明らかになったわけでございます。さらには、この運転業務委託の発注先上位三社には、合計五十五名もの国土交通省の天下り、再就職がいるということも判明をいたしました。
さらには、長妻
議員の
調査により、五十の公益法人への天下りは合計千二百六十一名、さらには、
道路特定財源からの、道路特別会計からの工事発注先上位三百社、工事以外の発注先三百社、合計六百社の民間企業への天下り、再就職は二千六百四十一名、公益法人と合わせて合計三千九百二名もの天下り、再就職がいることが国土交通省の発表によって明らかになっております。この四千名近い天下りの人件費は、そのままコストに上乗せをされているんです。結局は、これらの天下りが
道路特定財源の不必要な支出になっていることを、
両院協議会においてもしっかりと精査をし、議論をしていただかなければならないのでございます。
なぜかならば、冬柴国土交通大臣は、これらの支出の無駄の指摘に対して、国土交通省の中に道路関係業務の執行のあり方
改革本部をつくり、四月十七日にその最終
報告書を発表されていらっしゃいます。この
報告書は、最終
報告書と呼ぶには余りにも拙速で不十分であり、
与党の
皆さん方からさえ、不十分だ、拙速だという指摘を受けていると報道を聞いております。道路会計の支出の無駄の
調査はまだ始まったばかりであることを、本
会議場のすべての
議員の
皆さんと確認をさせていただきたいと
思います。(
拍手)
第九の
趣旨は、十年間五十九兆円の
道路整備計画は、
暫定税率撤廃後の本則分の十年分二十七兆円で真に必要な道路は十分に整備することができるということでございます。五十九兆円もそもそも要らないということでございます。これも、
両院協議会で議論をしていただく最重要のテーマの
一つでございます。
国土交通省が作成をした道路の中期計画五十九兆円のうち十二兆四千億円は高速道路の料金収入、高速道路株式会社が整備をすべき高速自動車国道であって、
道路特定財源とは関係がないということを
皆さんは御存じだと
思います。五十九兆円のうち十二兆四千億円は
道路特定財源とは関係がないということでございます。
さらには、与謝野馨前官房長官は、再三にわたって、五十九兆円は公共事業予算のシーリングによって四十兆円台になる、すなわち十年間で十兆円程度自動的に減っていくのだということを公の場で御発言されていらっしゃいます。
さらには、公益法人などの天下りのための発注、あるいはまちづくり交付金、河川補助金、道路と直接関係のない補助金等を差し引くならば、十分に本則税率のみで
道路整備を進めていくことが可能であるというのが私
どもの結論でございます。
しかも、この本則のみで
道路整備ができるという考え方は、
道路整備にかかるコストを見直すという、国土交通省自身がおっしゃっていらっしゃることはまだ考慮に入れていないのでございます。
例えば、道路行政の達成度
報告書という、国土交通省道路局が作成をした冊子がございます。この冊子の中に、「規格の
見直しによる工事コストの縮減、事業の迅速化による事業便益の早期発現」という項目がございます。「規格の
見直しによる工事コストの縮減や事業の迅速化による事業便益の早期発現は、非常に大きな縮減効果が発現される」、「非常に大きな」と、「非常に」がついているのでございます。
ルートや工法や規格を見直すことによってさらなるコストの縮減が可能になる。これらによって、真に必要な
道路整備というものが真に必要なコストで整備をされるようになれば、なおさらのこと、本則税率で十分であろうと私
どもは考えております。
さらに大事なのは、今
国会の予算
委員会で我が党の馬淵澄夫
議員が、道路の整備計画
決定の際
基本となる交通需要推計や、あるいは費用便益分析について指摘をさせていただいた点でございます。
BバイC算出の基礎となる交通需要推計が、
平成十一年道路交通センサスに基づく古いデータであることが明らかになりました。
平成十七年の道路交通センサスに基づく最新の交通需要推計はことしの秋にでき上がるわけでございますが、二十年後、三十年後、四十年後の交通需要推計が、これまでと比べて減少することが既に明らかになっております。
したがって、現在のBバイCの数字は過大である可能性が高く、このことは、
政府・
与党決定文書あるいは
閣議決定にも、「道路の中期計画は五年とし、最新の需要推計などを基礎に、新たな整備計画を策定する。」という文章に反映をされております。
さらに、BバイCについては、
平成十五年に作成をされた費用便益分析マニュアルについても、便益の大部分を占める走行時間短縮便益の金額算出のもとになる時間価値原単位のデータが、
全国五千万台の自家用ドライバーが、業務時間も非業務時間も月収三十五万円の常用雇用者として計算をされているという過大な便益結果であり、結果として水増しBバイCになっていると私
どもは指摘をさせていただきました。
この費用便益分析マニュアルについても、ことし秋に
決定をされ、新たな整備計画策定は改定後のマニュアルで行うと冬柴大臣はお約束をされておりますが、このBバイCは、事業を推進する側として、どうしても便益を大きく見積もり、費用を小さく見積もる傾向がございます。
趣旨弁明の冒頭で申し上げた、私がいつも読ませていただいております自民党の中川元幹事長御自身のブログの中で、このBバイCについて、道路建設の「費用対効果は楽観的に見積もる傾向があるので、海外では、費用の三倍くらいの効果が見込めるものを「真に必要」といっている」と書かれていらっしゃるのでございまして、私
どもも、真に必要な道路のBバイCは三倍ぐらいに見積もった上でしっかりと精査をしていくべきである、この辺の議論についても
両院協議会で御議論をいただきたいと考えております。(
拍手)
第十の
趣旨は、これが本日、
趣旨説明の最後の項目でございます。衆参
両院に道路制度
改革調査会を設置して、
一般財源化の使途のあり方、
道路整備計画などを協議、
決定すべきであるということでございます。
国民の
皆さんは、
一般財源化するということに関して、一体何に使うんだろう、一体どうするんだろうということを非常に心配していらっしゃいます。
一般財源化すると言いながら、実は、中身は全部
道路整備だったよねということになれば、これは
国民の
皆様方を大きく裏切ることになるものであり、私
どもは、
一般財源化の中身、使途のあり方についても、
両院協議会においてしっかりと
法案を
修正し、さらには、
両院において正式な機関を立ち上げることについても御議論をいただきたいと考えております。
細川護熙元
総理の秘書官で、現在は駿河台大学の成田学長が、「自民党型立法システムの崩壊
世界標準の
議会の仕組みを導入しよう」という論文、さらには、「衆参の意思をどう調整すべきか—ねじれ
国会とその行方—」という論文をことしになって書かれていらっしゃいます。
党
議決定と
閣議決定によって、
国会提出前に政治的調整が済んだ
法案をあとは
国会を通すだけという自民党型立法システムに乗っかって通そうとするのは、昨年の
参議院選挙によって崩壊をしているのでございます。このいわゆるねじれ
国会に対処する方法は、自民党型立法システムが確立する前に日本でも採用されていた
世界のスタンダードな
議会政治に戻ることでございます。その
基本は、
国会自身が政治的調整を行う場になることでございます。
立法府としてのそもそもの
役割を担うということでございます。
例えば、
政府提出の
法案や
与党議員の
法案は
衆議院を先議とし、野党
議員提出の
法案は
参議院を先議として、先議の院を原案で通過した後、後議の院で
修正するような方法が考えられるのではないでしょうか。
修正案については、後議の院の所管
委員会に小
委員会を設置して、
与野党の実務家が集まって検討すればいいのです。
現在も制度的に
両院協議会がございます。衆参
両院の代表が建前を言い合って決裂するだけの
両院協議会ではなく、真の
成案を得るための
両院協議会を開けばいいのでございます。こうした形式的な協議の場を、アメリカ、ドイツ、フランスなどのように実際に合意可能な
修正案を作成する実務機関につくりかえる、成田学長はこのように書いておられます。
与党議員の
皆さん、私
たち民主党も、単に建前を言い合って決裂をするだけの場となるような形式的な
両院協議会の
開催を求めているわけではないんです。ともに
一般財源化の目標を持つ
与野党の
両院の代表が、
修正案の成立を真剣に検討する場としての
両院協議会の
開催を求めているのでございます。
政府が
閣議決定をしたのは、正式に
政府としての
方針を示したのはきょうの午前中です。
政府としての
方針を受けて、
与党として
修正を目指す
法案と
閣議決定の
矛盾を解消する
努力をする。さらに、私
ども野党は、
参議院では、
政府が
提出した十年五十九兆円
法案は、
総理が単独で会見された
内容と違っているね、おかしいよね、一体どうするんだろう、
与党の方から多分
修正がなされるのではないかということを考えておりました。そして、私
どもは、真剣にその
修正について党内で議論をさせていただいていたことも事実でございます。
与党の
皆さん、このねじれ
国会における問題解決の新しい場として、
両院協議会の
開催をぜひ目指しましょうよ。その
両院協議会の場で議論すればいいんですよ。お互いに
一般財源化ということについては合意できるじゃないですか、
一般財源化ということについては。だれも
反対する人はこの中にいませんよ。
法律にしましょうよ。それが
立法府としての
役割じゃないですか。
国民の意思を代表するこの
衆議院としての働きを最後まであきらめちゃいけませんよ。
すべては
法律ですよ。あなた方が再
議決しようとしている
法案は、十年五十九兆円ですよ。
道路整備だけをしますよという
法案ですよ。その
法案を再
議決していいと思っている人はいないはずですよ。
総理も
内閣も
閣議決定をしたわけじゃないですか。
閣議決定をして、
政府としての
方針を変えると。正式に変えたんですよ、けさ。だったらば、
両院協議会で
政府、
閣議決定どおりの
修正案を
提案してくださいよ。私
たちはしっかりと応じますよ。なぜなら、
一般財源化して、その中身について、何に使うんですか、どうするんですかということは、
国民の
皆さんがみんな心配をしているんですよ。
障害者自立支援法や
後期高齢者医療制度など、
強行採決で成立させて弱者を切り捨てる一方で、十年五十九兆円も
強行採決して利権だけは守る。これだから、
国民の
皆さんから信頼を失いつつあるんじゃないか、そのことを感じていらっしゃるんじゃないですか。立ちどまってもう一度よく考えましょうよ。
元財務大臣である塩川先生が、後期高齢者の医療制度について、ひどいと。差別するのか、区別するのか、涙が出たと新聞の論文に書いていらっしゃいました。しかし、この
後期高齢者医療制度を
閣議決定したときの財務大臣が塩川さんなんですよ。さらには堀内先生も、この
後期高齢者医療制度は問題があるねということで、
総理にも御進言をなされたというふうに聞いております。
本当にさまざまな問題が山積をする中で、さまざまに解決をしなければならない課題が山積をする中で、十年五十九兆円、
道路整備続けるよという
法律を通すだけで
立法府の
役割が果たせるとはとても思えない。
両院協議会で
成案を得る
努力をぎりぎりまでする、それこそが
立法府にいる者としての役目である、
役割である。
私
ども民主党を初めとする野党は、絶対にあきらめませんから。
暫定税率についても、真の
一般財源化についても、もし、きょう三分の二で再
議決をされる、
両院協議会など開く気もないということであったとしても、絶対に私
たちはあきらめませんから。
国民の
皆さんのために絶対にあきらめずに戦うことをお誓い申し上げるし、
良心を持たれる
与党議員の
皆様方は、
両院協議会の
開催に御同意いただけることを信じて、
趣旨弁明といたします。(
拍手)
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