○田嶋要君 田嶋要です。
私は、
民主党・
無所属クラブを代表し、ただいま
議題となりました
地方税法等の一部を
改正する
法律案、
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案、
地方法人特別税等に関する
暫定措置法案について
質問いたします。(
拍手)
本題に入る前に、けさ四時、イージス艦による漁船
衝突事故に関しまして、遺憾の意を表し、そして一刻も早い救出活動を要請するとともに、
総理大臣に対して二問
質問をいたします。
第一問、
事故は四時でございますが、第一報は何時に聞かれましたでしょうか。
そして第二問、報道によりますと、一時間半後とのことでございますが、もしそれが事実であれば危機管理上大きな問題があると考えますが、いかがでしょうか。
さて、今日の
日本経済、わけても
地方経済は、極めて厳しい
状況に置かれています。統計上はイザナギ景気以来の長期的な好景気と言われておりますが、それも国際経済の好調に輸出が引っ張られる形で実現した部分が大きく、もちろん現政権の成果でも何でもありません。それどころか、
住宅着工数の激減、サブプライム、モノライン問題の深刻化、あるいは原油や小麦価格の高騰など、経済のマイナス要因が強まっています。
国会を二度も
延長しながら、年金記録問題や薬害肝炎問題、防衛省の調達問題と、過去から受け継がれた自民党失政への対応に追われるばかりで、
国民生活と
日本経済に対しては希望を見出せる手は何一つ打っておりません。福田内閣の無策ぶりは、テレビに映る
国会答弁などを通じて、いよいよ
国民の不安感と無力感を高め、そのことは内閣支持率や株価の下落にもあらわれております。国際
社会からも、このままではジャパン・パッシングどころか、ジャパン・ナッシングと烙印を押されることでしょう。
総理、お伺いします。
過去十年来、自民党政治によって元気になった
日本の町が一つでもあったでしょうか。また、
我が国の現状は非常事態宣言が出てもおかしくないと考えますが、そのような強い危機感が今
政府にはあるのでしょうか。二点、御答弁をお願いします。
政府の危機感のなさは、その
財政運営にもあらわれています。
平成十九
年度の国
税収入は、当初予測を九千億円も下回りました。その結果、
地方交付税の原資に約三千億円の不足を来し、
政府は、昨年決めたばかりの
地方交付税特別会計借入金の償還を、何と初
年度から三年先送りする羽目になりました。大失態です。にもかかわらず、
政府からは、
予算委員会での
議論を通じても、反省や責任の言葉が一切聞かれません。しかも、先送りしながら、償還
期限を
延長はせず、後
年度の償還額をふやして対応が可能と強弁しています。
財務大臣、三点伺います。
これではまさに絵にかいたもち経営ではありませんか。そして、こうした
財政運営を平気で行うのは、翌年の
税収予測など当たるも八卦外れるも八卦、そのように考えているに等しいと
理解いたしますが、よろしいですか。そして第三点、特別会計借入金償還の先送りは、今回限りだということを
約束ができますか。第三点目に関しては、イエスかノーでお答えください。
政府・与党が
平成十五年から進めてきた
三位一体の
改革は、
地方の望まない補助率を引き下げる手法によって国庫補助
負担金を四・七兆円
削減。しかし、
地方への
税源移譲の額ははるかに少ない三兆円。さらに、臨時
財政対策債を含めた実質的な
地方交付税も、
平成十五
年度からのわずか四年間で六・一兆円も減額。
増田総務大臣は、岩手県知事
時代、二十一
世紀臨調の知事・市町村連合
会議の座長として、国の
歳出削減を
目的とした不合理な
地方交付税
総額の
削減は断じて許されないものであるという内容の声明を取りまとめられました。
地方の
財政が悪化し、
税収格差が拡大したのは、
地方の大幅な
財政削減を急激に行ったことが最大の原因ではありませんか。知事から立場が変わった
増田総務大臣、お答えください。
次に、今回の
改正法案による
政府の
地方財政格差への対応について
お尋ねをいたします。
政府は、
地方法人特別税
暫定措置法案で、
地方法人事業税のうち二・六兆円を国税化した後、
地方法人特別譲与税として
地方に配分し、
地方税収格差に対応するとしています。しかし、この
措置には大きな問題があります。
第一に、
地方税は、
地方自治体から受けるサービスに対して住民が
負担するという受益者
負担が原則です。本
改正によって、一部とはいえ
地方法人税をその
自治体以外の住民のために使うことは、
地方税の原則に反することになります。
そして第二に、国が
地方の
税金を取り上げるのは、自主
財源を拡充する
地方分権に逆行するものであります。
地方法人税の一部国税化は、断じて容認できるものではありません。
そこで、
総理大臣に
お尋ねします。
地方税を国税化するという
措置は、
税制の原則を揺るがし、分権に逆行したものではありませんか。また、これはあくまで
暫定ですという苦しい
説明を耳にしますが、抜本
改革を先送りしているからこそ、こうした理念なき対策に走ることになるのではないでしょうか。お得意の
暫定は、ここではどれぐらいの期間を考えているかもあわせて御答弁ください。
次に、
地方交付税
制度について
お尋ねをいたします。
本来、
地方交付税
制度そのものが
地方の
財源を保障し、
財政を調整するために存在するものです。しかし、現在の
地方交付税
制度は、拡大した都市と
地方の
格差を調整し切れているとは言えません。だからこそ、
政府は、
地方法人税の一部を国税化したり、
地方交付税の算定の際に、
地方再生対策費という便宜上の
財政需要を上乗せするといったことが必要になるのです。
総理にお伺いします。
地方交付税
制度をこの先どうする
おつもりでしょうか。どのようにして
財政調整機能を
強化し、抜本
改革をしていくつもりか、その方向性をお示しください。
民主党は、
改革先送りはしません。既に用意をしているひもつき
補助金廃止法案で、
地方を真の意味で国のコントロールから解き放ち、そして、将来的には
格差是正により配慮した
財政調整
制度を創設します。
また、
民主党の主張する
道路特定財源の
一般財源化は、
自動車ユーザーのみならず、広く
日本の産業や生活者に対しても波及効果の大きい
減税策でもあり、しかも、
世帯当たり
自動車台数の多い
地方に対する
地方再生策でもあるのです。
さて、
道路です。
自民党政治は
道路に始まり
道路で終わる、まさに引導を渡すにふさわしい肝心かなめのテーマであります。これ以上
日本を壊さないでほしい、これ以上
国民を不幸にしないでほしい、
税金を払う普通の生活者のこの悲痛な叫びが権力を変える、正念場の闘いであります。
日本道路協会という天下り団体が示している三年前の統計データを御紹介します。いわゆる
道路密度。
日本の数値、一平方キロメートル当たりに三・一六キロの
道路は、オランダを除く比較先進国の二倍にもなります。また、既にある
道路資産の
維持費用に対しての投資額の倍率が三倍を超えているのは、
日本のほかはスペインだけであり、既に多くの国では
道路維持費用の方が上回っています。こうしたこれまでの実績データと、人口減少、高齢化などの
我が国の現実を直視すれば、
日本も、おくればせながらではあるけれども、今ある
道路を大切に使うストック型
社会に移行すべきであることは、だれの目にも明らかではないでしょうか。
それでも、
総理、
総理は、本気で多くの
国民が毎年五・九兆円もかけて新しい
道路をつくり続けることを願っているとお
思いでしょうか。空気の読めないリーダーでは困ります。
また、法案の十年という
延長期間も尋常なことではありません。
総理大臣、
経済社会の不確実性は高まっているのです。翌年の
税収予測すらままならないということは、今回、
政府自身が証明をしました。にもかかわらず、かつて一度もない、十年という長期の、
道路だけのための
増税を固定化させるということは、どう考えても異常であると考えますが、
総理、いかがでしょうか。
さらに、
総理、
総理は、本気で
道路だけのための
特定財源が
国民に支持されているとお
思いでしょうか。
国民というのは、首長や
議長のような、声の大きい
国民、
税金を使う立場の
国民だけではないのです。彼らは
三位一体に痛めつけられ、いわばあつものに懲りてなますを吹いている状態です。そうではなくて、声なき声、
税金を払う側の声が
総理には聞こえているのかということです。
教育、少子化対策などには、他の先進国の背中すら見えないほどわずかな
予算配分しか向けられていません。また、障害者
政策の失敗や
地域医療の崩壊は
国民の生命をも脅かしています。教育も大事、医療も大事、そして
道路も同じように大事、だから
一般財源化なのです。
総理が所信表明でも述べられた
国民目線の総点検、供給者の立場からつくられた
制度を
国民本位のものに改める、これは口先だけだったのですか。
道路特定財源こそがその一丁目一番地じゃないですか。
総理、お答えください。
最近の世論調査の結果をごらんになっていることと
思います。多くの首長さんが大合唱している
道路特定財源の
維持に賛成している
国民はおよそ一割ですよ。
あのつなぎ法案の愚行によって早くも超低空飛行に入った福田政権は、
国民生活を
道路に激突させる前に一日も早く操縦席をおりるべきです。とはいっても、前任者のように仕事を途中で投げ出せと申し上げているのではありません。福田
総理には、残された大切な仕事があります。つなぎ内閣のリーダーとして政治権力を返上する仕事です。
政治家としての矜持と、生活者としての感覚が残っている良識ある与党国
会議員の皆さんに私は期待しています。御自分
たちがいまだに権力の座にあるということそのものが、
日本八方ふさがりの元凶であるということに十分お気づきのことだと
思います。皆さん方が野党になるということは、
国民にとってはもちろんですが、皆さんにとっても決して悪いことではありません。自分
たちにこびりついた過去のうみとあかを落とすということ、そして官僚依存の症候群から自立を取り戻すということです。
社会保険庁、薬害肝炎、障害者対策、建設官製不況、防衛省の不祥事、医師不足、これらの失政に
道路特定財源を加えて失政の山をさらに高くしたいのですか。
政府・与党のわがままでこれ以上
国民を苦しめるのはどうかやめていただきたい。
自民栄えて
国民滅ぶ、賞味
期限切れの権力は
国民生活にとって致命的である、このことを最後に強く訴えて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣福田康夫君
登壇〕