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内閣総理大臣(
福田康夫君)
古本議員の質問にお答えする前に、本日早朝発生した
海上自衛隊イージス艦と
漁船清徳丸との
衝突事故について申し上げます。
このような事故が発生したことは極めて遺憾であります。現在、
海上自衛隊と海上保安庁が懸命に乗員の方の
捜索救助に当たっていますが、残念ながら、いまだ救助されたとの情報は得ておりません。乗員の方を一刻も早く全員無事に救助できるよう、全力を挙げているところです。
このような事故は絶対にあってはなりません。乗員の方の
捜索救助が最優先ですが、あわせて、なぜこのような事故を未然に防ぐことができなかったのか、徹底して原因の究明を行うとともに、二度とこのような事故が起きないよう対策を講じなければならないと考えております。
それでは、最初の質問、
税体系の
抜本見直しについての
お尋ねがございました。
中長期的には、
社会保障を持続可能な
制度とするために、安定的な
財源を確保しなければなりません。このため、今後とも
歳出改革を徹底するとともに、
消費税を含む抜本的な
税制改革について早期に実現を図る必要があります。
政府としては、まずは、
社会保障のあるべき姿や
負担の仕方などについて、幅広く
国民各層から成る
社会保障国民会議を設置し、
国民的な議論を開始したところであり、そこでの議論を踏まえながら検討を進めていく考えでございます。
恒久と
暫定の違いについて
お尋ねがございました。
一般に、
法律に規定された
措置については、その具体的な
期限が明示されているものや、具体的な
期限は設けずに当分の間の
措置として定められているものについては
暫定措置と称される場合が多く、他方、このような定めのない
措置については
恒久措置と称される場合が多いと承知いたしております。
このような
暫定措置のうち具体的な
期限が到来するものについては、個々の
措置に係る事情を踏まえて
期限到来後の取り扱いが決定されます。その時点において限定的な
期限の延長という形で施策を講ずることが適当であると考えられる場合には、その限度で限定的な
期限の延長を内容とする
法律の改正が行われることもあり得ます。
道路特定財源の
税率を十年延長する理由及び
中期計画が目指す
社会について
お尋ねがございました。
中期計画の素案の作成に当たっては、二十一世紀を見据えた日本の
国土建設という中長期的な視点から、
道路整備の
事業プロセスに通常は十年程度を要する実情も踏まえ、十年間を
計画期間とし、必要な
事業費を算出しました。そして、このために必要な
財源として、現行の
税率水準の維持を
国民の皆様にお願いすることといたしました。
中期計画に掲げた
政策課題の達成によって、
国際競争力の確保、地域の自立と活力の強化、
国民生活の安全、安心の確保などが図られる
社会を目指します。
暫定税率と
地方予算との
関係について
お尋ねがございました。
今般の
道路特定財源の
見直しにおいて
現行税率水準を維持するとの方針は、
平成十七年十二月の政府・
与党合意、
行政改革推進法、
平成十八年十二月の
閣議決定でお示ししてきたものであり、これまで
地方自治体も含めて御説明に努めてきております。
十年後における
暫定税率のあり方については、
道路整備に対する
国民世論、
我が国経済や財政の状況、地球環境問題の
進展等をも勘案して判断すべき問題であると考えております。
自動車取得税について
お尋ねがございました。
昭和四十九年度以降の
自動車取得税の
暫定税率分の
税収総額は、
平成十九年度までで約四兆七千億円であります。昭和四十九年の
自動車取得税の
税率の
引き上げは、
地方道路財源の拡充を図ることとあわせて、
消費抑制、
資源節約、
環境保全といった
社会的要請にも配慮して
揮発油税等の
税率の
引き上げとともに行われたものでありますが、燃料の
消費量や
自動車の
販売量はさまざまな要因により決定されるものであり、
税率の
引き上げによる抑制の有無、程度について申し上げるのは困難と考えております。
自動車取得税は、
地方道の
整備水準、
特定財源の割合が低い状況にあることを考慮すると、引き続き必要であると考えております。
自動車重量税の
道路以外への活用について
お尋ねがございました。
自動車重量税は、昭和四十六年に創設され、国分の約八割が
道路特定財源とされています。
平成十八年度以降は
一般財源を逐次拡大しつつ計上しているところでありまして、
平成二十年度
予算においては、
自動車関連として、
納税者の理解の得られる範囲内で、約千九百億円を
一般財源として計上しております。
地下鉄の
渋滞緩和効果についての
お尋ねがございました。
例えば、
道路特定財源を活用した例ではございませんが、
平成十七年に開通した福岡県の
地下鉄では、周辺の国道において、交通量が約一〇%削減されるなど、交通環境が改善するなどの効果が出ております。
道路整備と
税率の
関係について
お尋ねがございました。
道路整備については、
公共事業全体の縮減を図る中で、
重点化、効率化を進めた結果、
平成十七年のピーク時から事業量の四割以上を削減しているところであります。今般、地域、
国民生活に欠かせない対策を進めるため、今後十年を見据えた
中期計画を作成するとともに、このために必要な
財源として、現行の
税率水準の維持を
国民の皆様にお願いしているものであります。
本四架橋について
お尋ねがありました。
旧本四公団の債務については、
道路関係四公団
民営化推進委員会の意見を受けた政府・与党申し合わせを踏まえ、有利子債務の一部を
平成十五年度に
一般会計で承継し、その処理のために、
平成十五年度から
平成十八年度の間、一兆四千六百億円を支出し、
民営化に当たり財務体質の改善を図ったところであります。
地方の
道路整備について
お尋ねがございました。
自動車がないと暮らせない
地方の切実な思いや、
自動車保有の実態から、
地方の
税負担が都市より大きいことは認識しております。地域の自立、
活性化に役立つ
道路整備や救急病院への交通の利便性の確保など、
地方部の対策は、お願いしている
負担の
関係からも急務と考えております。
平成二十年度
予算においては、
地方への無利子貸し付けなどに
道路特定財源を活用しているところでございますが、
地方部を含めた
納税者の理解の得られるものと考えております。
自動車重量税の
暫定分総額について
お尋ねがございました。
自動車重量税に
暫定税率が設けられた昭和四十九年から
平成十八年までの決算額は、約二十七兆円となります。このうち、
暫定上乗せ分についての
お尋ねについては、
自動車重量税は
自動車の車種区分ごとに
税率が異なっており、それぞれの年度ごとに一定の仮定を置いて試算を行う必要があることから、一概に申し上げることは困難であります。
自動車重量税と
自動車税を一本化すべきとの御指摘をいただきました。
自動車関係諸税は、それぞれ創設の経緯や課税根拠がありまして、また、国、
地方それぞれの貴重な
財源となっております。これについては、昨年十二月七日の政府・
与党合意において、「税制の簡素化が必要との指摘もあり、今後の抜本的な
税制改革にあわせ、
道路の整備状況、環境に与える影響、厳しい財政状況等も踏まえつつ、
暫定税率を含め、そのあり方を総合的に検討する。」ということとしております。
道路特定財源について、
暫定税率の引き下げ、廃止の
お尋ねがございました。
暫定税率が廃止された場合には、地域の自立、
活性化や
国民生活の観点から必要な
道路整備が困難となるほか、
地方財政に深刻な影響が生じ、
地方公共団体によっては福祉や教育などの住民サービスの
見直しにつながるおそれがあります。このような地域住民の生活への影響を踏まえても、
税率維持の必要性があり、私の地元云々というよりも、全国津々浦々の
国民の皆様に十分御理解いただくよう努めてまいりたいと考えております。
暫定税率の廃止の家計への影響について
お尋ねがありました。
確かに、
揮発油税等の
暫定税率を廃止することは、
税率の低下により
国民の
消費などが増加する面もあると考えられますが、
暫定税率の廃止に伴い仮に減収分と同額の
道路歳出が減少すれば、
道路投資額の減少により新規事業の凍結や継続事業の休止も予想されることから、地域経済や雇用面に与える影響など、家計へのマイナスの影響も大きいものと考えております。
三位一体による
税源移譲と
住宅ローン控除について
お尋ねがございました。
所得税から住民税への
税源移譲に当たっては、
税源移譲前と
税源移譲後とで所得税と住民税を合わせた年間の
税負担は基本的に変わらないよう
措置しているところでございます。
議員御指摘のような、
平成十九年以降に入居した方については、
税源移譲後の税制を前提に住宅を取得される方であるため、
税源移譲前から入居されている方と同列に論じることは適当ではないと考えております。したがって、これらの方に関しては、
税源移譲がなかった場合を仮定して、その影響人員や税収への影響等を議論することは適切ではないと考えております。
なお、
税源移譲後に入居される方については、
平成十九年度改正において、住宅
ローン減税の効果を確保する観点から、控除期間を十五年に延長する住宅
ローン減税の
特例を創設いたしております。
ガソリン税と
消費税との
関係について
お尋ねがございました。
消費税はあらゆる商品やサービスの
消費一般に広く公平に
負担を求める性格の税であることから、
消費支出の大きさに応じて比例的な
負担を求めております。したがって、小売価格の中に間接的に含まれる
ガソリン税相当分に対しても
消費税がかかることは、
消費税の性格上、おのずと生じることであります。これは、いわば国際的に確立した共通のルールとなっておりまして、付加価値税が採用されている諸外国においても同様の取り扱いがなされていると承知しております。
ガソリン税と環境について
お尋ねがございました。
ガソリン等の燃料課税が地球温暖化対策上果たしている役割は無視し得ないものであります。広い意味では、環境に関連する税制とも言えます。その
税率が下がることが地球温暖化対策に逆行することは否めません。
御指摘のように、幅広く
国民に
負担を求める税に転換することについては、温暖化対策全体の中での具体的な位置づけ、その効果、
国民経済や産業の
国際競争力に与える影響などを十分に踏まえ、総合的に検討していくべき課題であると考えております。
ガソリン税の諸外国との比較について
お尋ねがございました。
欧州主要国においては、地球温暖化対策などを理由として
ガソリンの
税率を段階的に
引き上げており、
我が国は、欧州主要国と比べ、
ガソリンの
税負担が相対的に低い状況にあります。その差額は、仮に御指摘の一リットル三十円が上乗せされたとしても、なお開きがあるものと承知をしております。
なお、今般の政府案においては、
道路特定財源の税収により、真に必要な
道路整備を行うとともに、その一部を
高速道路料金の引き下げに充てることといたしております。
地方道路整備臨時交付金の
財源について
お尋ねがございました。
地方道路整備臨時交付金の充当割合を二分の一とすれば、交付金に限っては
地方財政への影響が生じないことは御指摘のとおりであります。しかしながら、国の
道路財源が大幅に減少し、地域の自立、
活性化を支える直轄
道路事業や補助事業等に大きな問題が生じることが懸念されます。
暫定税率の位置づけについて
お尋ねがございました。
四月一日から、
暫定税率が継続するのではなく、新たな増税ではないかとの御指摘につきましては、
税率の水準が維持され、これに基づく課税
関係が切れ目なく続く限りにおいては、
納税者には引き続き同じ
税負担をお願いすることとなります。
我が国の
道路は、なお地域の自立、
活性化や
国民生活の観点から引き続き多くの課題を抱えていることを踏まえ、今般、
国民の皆様に、引き続き現在と同じ水準の御
負担をお願いするものでございます。
暫定税率の維持と
国民の御理解との
関係について
お尋ねがございました。
今般の
道路特定財源の
見直しにおいて
現行税率水準を維持することは、従来からの一貫した方針でございます。具体的には、
平成十七年十二月の政府・
与党合意、
行政改革推進法、
平成十八年十二月の
閣議決定でお示しし、
国民の御理解を求めてきたものでございます。
今般、これらの方針に沿って
現行税率水準の維持をお願いするものであり、現在御審議いただいている税制改正法案を年度内に成立させることこそが、
国民経済、生活の混乱の回避のために最も重要と考えております。
中期計画の事業量削減と
コスト削減に向けた改革の意思について
お尋ねがございました。
中期計画の事業量は五十九兆円を上回らない水準としたところでありますが、これは、現五カ年計画の事業量、五年間三十八兆円を二割以上縮減した水準です。今後とも、真に必要な
道路整備を行うとともに、
歳出改革の徹底等を図ってまいりたいと考えております。
また、
予算を使い切らなければならないといった考えは厳に慎み、今後とも徹底した
コスト削減に努めていくことが重要と考えております。
道路特定財源の
見直しと
一般財源化について
お尋ねがございました。
道路整備については、地域の自立、
活性化や
国民生活の観点から引き続き多くの課題を抱えている状況にあります。現下の厳しい
財政事情のもとでは、受益と
負担の考え方を踏まえ、
暫定税率を維持して安定的な
財源を確保する必要がございます。その上で、真に必要な
道路整備を行うとともに、これを上回る額は、
納税者の理解を得られる範囲で
一般財源として活用することとしております。
また、
地方の実態を見ると、
特定財源を大きく上回る水準の
道路整備が行われており、地域、住民生活に根差した資源配分が適切に行われていると認識いたしております。
道路整備の速度を緩めることについての
お尋ねがございました。
仮に
暫定税率を廃止すれば、国、
地方合わせて二兆六千億円の減収となり、
道路整備の速度が大幅に低下し、地域や
国民生活に根差したニーズにこたえることが困難となります。
また、一万四千キロの高規格幹線
道路について、個々の
道路を整備するか否かは、地元
自治体等の費用
負担の意思や客観的かつ厳格な事業評価等により判断されるものであります。その上で、高速
自動車国道については、国幹会議の議を経て決定されることとなります。
高速道路の料金引き下げに充てる国費等についての
お尋ねがございました。
今回の
高速道路料金の引き下げ等の
措置は、地域の
活性化等の
政策課題に対応するため、二・五兆円の範囲内で国費を活用する枠組みをつくるもので、
民営化会社の経営支援等を行うものではありません。
今後とも、政府・
与党合意の趣旨を踏まえ、毎年度
予算の編成過程で適切に判断してまいります。
高速
自動車国道の整備とその
財源についての
お尋ねがございました。
道路関係四公団
民営化に際しては、
有料道路方式と新直轄方式を適切に組み合わせて高速
自動車国道の整備を図ることとしましたが、新直轄方式は、国及び
地方の
暫定税率分を含む
道路特定財源が充てられているものであります。
高速
自動車国道の未供用の各区間を整備するか否かは、地元
自治体等の費用
負担者の意思や、今後改めて行う事業評価等の結果を踏まえて判断するものであります。
なお、
中期計画の素案では、約六十五兆円のうち、高速
自動車国道を含む基幹ネットワークの整備に約二十三兆円を計上いたしております。
国幹会議の審議を経ずに整備できる箇所についての
お尋ねがございました。
昨日の
予算委員会で松本委員から御指摘のあった、高速
自動車国道に並行する区間で、高速
自動車国道との二重投資を避けるために、一般国道のバイパスを
自動車専用
道路として現在整備している区間は、事業中のものを含め約千キロあり、
平成十九年度の
事業費は約一千四百億円となっております。
これらの
道路についても、実際に整備するか否かは、新直轄方式より重い
負担を負う地元
自治体の意思や、客観的かつ厳格な事業評価により判断されるものでありますし、高速
自動車国道に編入する場合は、新設時と同様、国幹会議の議を経ることとなります。
中期計画における維持修繕費について
お尋ねがありました。
中期計画の素案で計上した事業量には、新設だけでなく維持修繕費等も含まれています。新規整備に係る維持修繕費等は算出していませんが、既存ストック分も含めて、
中期計画の素案では七兆二千億円を計上いたしております。
以上であります。(拍手)
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