○古川元久君
民主党の古川元久です。
私は、
民主党・
無所属クラブを代表し、
福田総理の
施政方針演説に対して質問いたします。(
拍手)
福田総理、
総理は、今という時をどちらの
視点から見ていますか。過去からですか、それとも未来からですか。
永遠に流れる時間の中で、今をとらえる
視点としては、過去
視点と未来
視点の二つがあります。過去
視点、すなわち過去の延長として今を見るならば、それはいかにしてこれまでの
状況を今後とも維持していくかという現状維持的な発想となります。一方、未来
視点、すなわち未来の
社会を想定し、そこから今を見詰めれば、それは来るべき未来に備えて今何をしなければならないかという未来志向の発想となります。
総理が
施政方針演説の中で述べておられるように、
我が国は、人口減少・超高齢
社会を初めとして、今まで他国が経験したことのない多くの課題に直面しています。こうした課題を克服するためには、これまでの制度や体制を何とか維持しようとする発想を捨て去り、どうしたら新しい
状況に合った制度や体制にできるかという未来
視点に立たなければなりません。
私
たち民主党は、常に未来
視点で
政策を
考え、
政府・与党と議論をしてきました。しかし、残念ながら、
政府・与党は、過去
視点に立ち、現状維持のため、そして
政権維持のためにきゅうきゅうとしています。そのため、多くの課題で、どうしても議論がかみ合わない、議論が前に進まない
状況が続いているのです。
今を過去
視点でとらえる
政府・与党から出てくる
改革は、
改革とはいっても、それはいかにして今の制度、体制を維持するか、そのためのいわば偽りの
改革でしかありません。しかし、未来
視点で今をとらえる私
たち民主党が
考える
改革は、
言葉は同じ
改革でも、来るべき未来に備えて、いかにして今の制度、体制を変えるか、そのための真の
改革なのであります。
政府・与党のこうした偽りの
改革が幾ら実行されようとも、それはこの国の未来に何ら明るい希望も
安心も与えません。今起きている
日本売りは、まさにそのことを如実に物語っています。
この今を見る
視点について、まずは
総理の御所見を伺いたいと思います。
政府・与党が過去
視点で行ってきた偽りの
改革の象徴が
年金改革であります。
私
たち民主党は、未来
視点で現行の
年金制度を
考えた場合、この制度はもはや
時代にそぐわず、将来にわたって持続していくことは不可能との認識に立っています。
これからの
社会に必要な公的
年金は、高齢期になったときに、だれもが一定額以上の
年金は確実に受け取ることができる
年金制度です。だからこそ、私
たちは、所得に応じて
保険料を負担し、負担に応じて給付を受ける所得比例
年金と
税金で賄われる最低保障
年金とで、すべての高齢者に最低保障額以上の
年金給付を約束する、全
国民がひとしく加入する新しい制度を現行制度にかえて創設することを提案してきました。
ところが、
政府・与党は、いまだに現行制度を維持することに固執しています。そのために、今後も十年以上にわたって
年金保険料を引き上げ、給付も抑制しようとしています。しかし、このような形で現行制度を無理に維持しても、現行制度のもとでは、今後、低
年金者の数がふえ続け、
国民にとって公的
年金を維持する
意味はますます薄れていってしまいます。それでもなお、
総理は現行制度の維持にこだわるのでしょうか。
総理のお
考えを伺います。
公的
年金制度の
信頼を回復するためには、まずは現行制度で生じている消えた
年金問題を一日も早く
解決することが不可欠です。どのような
年金制度であろうと、それを運営する
政府に対する信用なくしては制度は成り立ちません。その
意味で、この問題は、単に
年金制度の問題だけでなく、
政府に対する信用そのものの問題なのであります。
さらに、消えた
年金は、過去の問題であるだけでなく、現在まさに進行中の問題でもあります。
政府はこれまで、五千万件の未
統合記録が生じた原因について、
平成九年に
基礎年金番号制度が導入された際、それ以前に一人で複数の
年金制度に加入していた方の記録の一部が統合できずに残ってしまったためと
説明してきました。そのため、
国民の多くは、消えた
年金問題は過去の問題であると認識してきました。
しかし、総務省の
年金記録確認第三者委員会によるあっせん事案の中に、
平成十二年以降の新しい記録が消えている事例が五件あることがわかりました。この五件は、これまでの
政府の
説明では生じた原因を
説明できません。これは、消えた
年金問題が過去の問題にとどまらず、きょう納めた
保険料があす消えるかもしれないという現在進行形の問題でもあることを
意味しています。
政府はこの五件が生じた原因を徹底的に調査すべきだと思いますが、
総理の御見解をお伺いします。
政府は、昨年十二月からねん
きん特別便の送付を開始しました。現在送られているねん
きん特別便は、未統合の記録の持ち主である可能性が高い方々です。ところが、十二月中に送付した四十八万人のうち、記録訂正のために
社会保険事務所を訪れた方は、一月八日現在で三万二千四百五十七人と約七%にすぎません。また、総務省の
年金記録確認第三者委員会においては、三万六千件を超える申し立てに対し、わずか数%しか判断が下されていません。このままでは
年金記録問題の
解決に
一体何年かかるのか、全く見通しが立ちません。この
状況について
総理はどのように認識されているのか、お伺いします。
私
たち民主党は、
年金記録問題は、厚生労働省、
社会保険庁が抱え込まず、全
省庁を挙げて取り組み、また、民間の
協力も得て、
国家プロジェクトとして取り組むよう主張してきました。現在、
社会保険庁は、国税庁と民間を合わせて十数名の応援しか頼んでいません。
総理は、
施政方針演説において、国を挙げて
年金記録問題に取り組み、
福田内閣で
解決するべく全力を尽くすと表明されましたが、そのための体制は本当に今のままでいいとお
考えなのか、
総理のお
考えをお聞かせください。(
拍手)
次に、税制
改革について伺います。
政府・与党は、前の安倍
政権以来、
消費税を含む税体系の抜本的
改革を行うと言い続けていますが、実際には抜本
改革は逃げ水のように先送りされています。そして、これまで
政府・与党が行ってきた税制
改革は、基本的に過去
視点、すなわち、これまでの税制の延長線上にあるものだけです。
総理は、本当に抜本的
改革を行うつもりがあるのでしょうか。
また、早期にと言われますが、
一体それはいつなのでしょうか。ひょっとすると、それは、次の総
選挙が終わって、当分
選挙がないときにという
意味でしょうか。
総理の真意をお尋ねいたします。
私
たち民主党は、昨年末、
民主党政権下で行う税制
改革に関する大綱を発表しました。この大綱の中で、私
たちは
民主党が
考える税制
改革のビジョンを示しました。私
たちの税制
改革のビジョン、それは「納税者の立場に立ち「公平・透明・納得」の税制を築く」という
言葉に集約できます。
代表なくして課税なしの
言葉に象徴されるように、議会制度は税とともに生まれ、発展してきました。すなわち、議会制民主主義における税の
あり方は、あくまでも税を納める納税者の立場に立って決められるべきものであり、税を徴収する為政者の立場から決められるべきものではありません。
ところが、
我が国においては、税制論議はこれまで
政府・与党を
中心に行われ、
国会での議論に十分な時間が費やされてきませんでした。そのため、現行の税制の
あり方は、納税者の立場に立ったというより、むしろ為政者の立場に立って決められていると言っても過言ではありません。
こうした
姿勢は、
政府・与党の失政によって膨大に積み上がった財政赤字という借金を、真摯に反省することも、またその責任を明確にすることもなく、加えて、税、
社会保険料の
無駄遣いの
根絶や歳出削減も不徹底なままで、
増税という形で
国民に負担を求めようとする姿に象徴的にあらわれています。
民主党政権では、税の根本に立ち戻り、納税者の
視点に立って、
国会において税制のあるべき姿を徹底的に議論した上で、
我が国の税制を根本からつくり直します。その際には、
我が国が直面している人口減少・超高齢
社会という国内
社会の変化とグローバル化した
世界への適応を十分に考慮に入れ、諸外国で始まりつつある未来
視点での税制
改革の取り組みを積極的に取り入れます。
国民の
関心の高い
消費税については、
消費税に対する
国民の
信頼を得るために、その税収を決して財政赤字の穴埋めには使わないことを約束した上で、
国民に確実に還元することとなる
社会保障給付以外に充てないことを法律上も会計上も明確にします。そして、
消費税率については、
消費税の
社会保障目的税化とその使途である
年金や
医療などの基礎的
社会保障制度の抜本的な
改革を行った上で、そのための
財源として引き上げが必要と判断した場合には、
選挙の際に引き上げ幅や使い道をマニフェストで明らかにして、
国民の審判を受けた上で実行します。
福田総理、
総理は、
消費税を引き上げようとする際には、私
たちのように
選挙の際にマニフェストに
消費税の引き上げを明示し、
国民の審判を受けた上で実行することを約束していただけますか。
総理のお
考えを伺います。
過去
視点で既に
時代にそぐわない制度をいつまでも維持しようとする、そんな
政府・与党の
姿勢が典型的にあらわれているのが
道路特定財源です。
道路特定財源は、今から半世紀以上も前に、
道路整備緊急措置法という名前のとおり、
道路整備のための緊急措置として創設されました。にもかかわらず、五十四年も継続されてきたのです。しかも、昭和四十九年には
道路整備を加速するために本則税率の上に
暫定税率が上乗せされ、その暫定措置も既に三十四年も続いてきました。
道路整備の重要性は今でも変わりません。しかし、
時代は大きく変化し、
社会保障や
教育、あるいは同じ
社会資本であっても災害
対策などの重要性が飛躍的に高まっています。ところが、
道路整備以外のこうした
国民のニーズは、厳しい財政事情のもとで常に抑制が求められています。このような
状況の中で
道路整備だけを特定
財源として聖域扱いにする根拠は、もはやどこにもありません。
私
たち民主党は、こうした
考え方に立ち、従来からマニフェストで
国民の
皆様にお約束してきたとおり、
道路特定財源をすべて一般
財源とすることとしました。
一方、
政府・与党は、今後も最低十年は
道路特定財源を維持することに決めました。
総理、なぜ制度創設から半世紀以上経過した現在においても特定
財源を維持しなければならないのか、
国民が納得できる合理的な理由を御
説明ください。
この
道路特定財源に
対応する形でこれまで重い税負担を自動車ユーザーに課してきたのが自動車
関係諸税です。私
たちは、
道路特定財源を
一般財源化するのに伴い、自動車
関係諸税の抜本的
見直しを行うこととしました。
まず、自動車取得税は、
消費税との二重課税を回避する観点から
廃止します。自動車重量税及び自動車税は、
地方税としての保有税に一本化し、その税収は
地方の一般
財源とします。揮発油税等の燃料に対する課税は、燃料消費が温暖化など環境に負荷を与える点に課税の根拠を求める、いわゆるバッド課税の
考え方に立って、一般
財源の
地球温暖化対策税という新たな税に根本から組みかえます。
こうした抜本的
見直しを行う第一歩として、
平成二十年度においては、
暫定税率をすべて
廃止することとしました。この
暫定税率は、もともと
道路整備のために上乗せされていたものでありますから、特定
財源の
一般財源化に伴い、当然
廃止されるべきものであります。
また、温暖化抑制策の総合的取り組みの中で、
地球温暖化対策税の具体的制度設計についても
平成二十年度中に行うこととしています。
総理は、これだけ自動車が
生活必需品となった現在においても、かつて自動車がぜいたく品であったころと同じように重い税負担を課するのが適当と
考えておられるのですか。
総理の御所見を伺います。
現下の
原油高騰、それに伴う物価の上昇は、
国民生活に深刻な影響を与えています。とりわけ、世帯当たりの自動車保有台数が多く、自動車の使用が
生活に欠かせない
地方ほど、
ガソリン、軽油の値上がりは家計に重い負担としてのしかかっています。
国民生活を第一に
考え、
地方の
格差是正を重視する私
たち民主党は、こうした
原油高騰が家計に与える影響を少しでも緩和することにも、この
暫定税率廃止が貢献すると
考えます。
政府・与党は、このような
国民生活の現状を顧みず、
暫定税率についても、今後最低十年はこれを維持することを決めました。
一体総理は、
原油高騰に伴う
ガソリンや軽油の値上がりが
国民生活や
経済に深刻な影響を与えている事態をどのようにお
考えでしょうか。御所見を伺います。
さらに、
地球温暖化対策として、燃料消費を抑制するために高い税率を維持すべきとの声が
政府・与党から突然出てきましたが、ついこの間まで、
政府・与党は、燃料消費は価格を引き上げても抑制されないと、環境税導入に後ろ向きだったのではないですか。しかも、
道路整備のための受益者負担との
考え方のもとに課されている税を法律
改正もなしに環境目的に振りかえることは、納税者を欺くことになるのではないですか。
温暖化対策というならば、私
たちのように、燃料課税の根拠を根本から、環境に負荷をかけるからという理由に変えて、税の仕組みそのものを見直すべきだと思いますが、
総理、いかがですか。
暫定税率廃止に関し、
地方の税収が減り、
地域で必要な
道路整備ができなくなるのではないかとの声が聞かれますが、私
たちは、
暫定税率廃止に伴う
地方の税収減に対しては、国の直轄事業に対する
地方負担分の
廃止などにより、国の責任で
地方の税収はきちんとこれを確保してまいります。もちろん、この税収は特定
財源でなく一般
財源ですから、その用途は各
地域で自由に決めることができます。したがって、各
地域において必要と
考えれば、
道路整備も従来同様にこれを行うことができます。
一方、国が行う
道路整備については、一般
財源の中で他の
予算項目との間で優先
順位を
考えつつ配分を行って、その事業費を決めることとなりますが、現在と比べれば、その事業費は一定程度減少すると思われます。しかし、事業費が減少しても、事業量もそれと同じだけ減少するわけではありません。なぜなら、私
たちは、国が行う
道路整備事業のコストを徹底的に見直せば、コストを大幅に引き下げることができると
考えているからです。
一例を挙げれば、国の道路
構造令に基づいて行われる
道路整備の一メートル当たり単価は十一万円。ところが、自治体が独自の基準で行った
道路整備では、例えば、長野県栄村では一メートル当たり二万円、下條村ではわずか三千四百円と、ずっと低いコストで道路が整備されているのです。こうした国の
道路整備の高コスト体質を改めれば、同じ事業費でもより多くの
道路整備を行うことができます。
しかも、そもそも、昨年、
政府・与党が決めた総額五十九兆円に及ぶ今後十年間の
道路整備計画自体が極めて問題です。
小泉政権下で九千三百四十二キロまで縮減された
高速道路計画が、どうしてまた一万四千キロと五割も膨らんだのでしょうか。また、当初
政府から示された六十五兆円という事業総額が、与党との協議で、どうしてわずか数日で五十九兆円まで縮減されたのでしょうか。
総理、その理由を御
説明ください。
さらに、この
道路整備計画の
内容は、本当に一切
見直しの余地のない、真に必要最小限の
道路整備だけなのでしょうか。
総理の御所見を伺います。
私
たちは、
道路整備計画自体の根本的
見直し、そして
道路整備事業の徹底的なコスト削減を行えば、限られた事業費の中でも真に必要な
道路整備は十分可能であると
考えます。むしろ、限られた事業費の中で、明確な優先
順位をつけて
道路整備を行っていくことこそ、無駄な道路建設を行わないことにつながると思いますが、いかがでしょうか。
総理の御見解を伺います。(
拍手)
過去からの惰性で更新が繰り返されてきたのが、数々の法人
関係の租税特別措置です。
私
たちは、法人
関係の租税特別措置全般について調査を行った結果、多くの租税特別措置について、税務当局も要求官庁もその
効果を証明できず、また減収額さえ把握していない
状況にあることが明らかとなりました。租税特別措置は実質的な
補助金であり、
税金をおまけするという形で財政資源を使うのであれば、制度を創設した
関係省庁も、メリットを受ける企業も、
国民に対して明確に
効果について
説明する義務を負っています。
そこで、現在の租税特別措置を抜本的に見直すため、私
たちは今
国会に租税特別措置透明化法案を提出することとしております。この法律では、減税明細書の制度化や、企業向け租税特別措置の利用実績の公表、期限到来の租税特別措置に対する会計検査院検査の実施などを定め、これにより二、三年以内に個々の租税特別措置の透明化を進め、これを評価し、その上で、必要なものについては法律の本則とし、必要性の乏しいものについては
廃止することとします。この法案は
政府・与党にも当然賛同していただけるものと
考えますが、
総理、いかがでしょうか。
年度末に期限の切れる複数の租税特別措置を含めた税制
改正法案について、これまで
政府・与党は、本来別個の税制
改正に関する法律を便宜的に一まとめにして一本の法案として
国会に提出し、十分な審議もないままに数の力で成立させてきました。
しかし、
国会での審議が十分に行われないこのような手法は極めて問題であります。したがって、私
たちは、税制
改正項目をすべてまとめて一本の法案とするのではなく、与野党で意見の相違がない項目と、相違があって
国会での慎重な審議が必要な項目とを分けた上で、それらを別々の法案として
国会に提出し、その議論を行うべきだと昨年より一貫して主張してきました。
ところが、
政府・与党は、今回もまた従来どおり一本の法案の形で
国会に提出することを決めました。これでは、私
たちも異論のない税制
改正項目を人質にして、
政府・与党と
考え方の違う税制
改正項目に関する
国会での徹底的な論議を封じ込めようとしているとしか思えません。
総理、どうして法案を分けることができないのですか。合理的な理由を御
説明ください。
福田総理は
施政方針演説で、
国民の安全と福利のために置かれた役所や公の機関がむしろ
国民の害となっている例が続発しており、これまでの生産者、供給者の立場からつくられた法律、制度、さらには行政や
政治を
国民本位のものに改めると表明されました。何を今さら、
余りにも遅きに失したとの感はありますが、これまでの
政府・与党の誤った
姿勢をお認めになった点は率直に評価したいと思います。
しかし、問題は、本当に中身が変わるかどうかです。これまでのように
言葉だけ、また形式的にだけ変えるのであれば、それは何の
意味もありません。むしろ、
生活者や消費者が主役との美名のもと、実はこれまでと同じ、
国民をないがしろにした行政や
政治の体制が維持されることになりかねません。
その
意味では、肝炎患者救済に向けて、
さきに全会派が賛同した議員立法により第一歩を踏み出した肝炎
対策について、今
国会で早急にさらなる一歩を踏み出すべきであります。
私
たち民主党は、
さきの薬害肝炎救済法では、肝炎感染者三百五十万人中、約千人しか救済されない
状況を一日も早く改善し、肝炎患者に対して
医療費助成を行うことにより、救える命を救うことこそが
政治の責任だと
考えます。既にそのための肝炎
医療費助成法案を参議院に提出していますが、与党は協議を拒否しています。
総理が本当に
国民本位の
政治を行うというのならば、まずはこの肝炎
対策について私
たちと協議を行い、
医療費助成を含む法整備を行うべきだと
考えますが、いかがですか。
このところ
政府が行う法
改正や新法制定は、建築基準法
改正や金融商品取引法など、消費者保護、投資者保護といった
生活者、消費者の立場に立ってとの理由で、新たにさまざまな規制や手続を課している例がふえています。しかし、これが実際には、単なる規制
強化、あるいは何か問題が起きても行政や
官僚はその責任を問われないようにするための法
改正や新法制定になっていることも少なくありません。
特に、
構造計算書偽装問題を契機として、
政府が取り組んだ
改正建築基準法の施行は、住宅着工に大ブレーキをかけ、景気に大きな悪影響を与えています。
耐震強度偽装事件を受け、建築の安全性へ
信頼を取り戻すため、
民主党は、再発防止、被害者救済に取り組むべく、行政が建築の最終確認を行う、建築に関与したすべての人を公開する、広告に保険加入の有無を表示することなどを柱にした法案を提出しました。
しかし、
政府が強行した法
改正は、建築士への罰則
強化、建築確認手続での二重チェック制導入などを盛り込んでいますが、国土交通省の
現場知らずの
対応も加わり、いたずらに審査が厳格になり、建築士や自治体の間で混乱が続いています。
結局、この
改正で実現したことは、何か問題が起きても行政は責任を問われない体制と、官製不況で
国民生活を苦しめるというゆゆしき事態だけです。
改正建築基準法への
対応は明らかな
政策の誤りであり、
国民本位の行政というならば、国土交通省の責任の明確化、法律の欠陥是正も含めて、
政府は直ちに
対応すべきと
考えますが、
総理のお
考えはいかがでしょうか。
また、
国民本位の行財政に転換するというならば、まずは私
たち民主党が指摘している
税金の
無駄遣いを徹底的になくすべきです。こうした私
たちの主張に対し、
自民党財政
改革研究会は、埋蔵金伝説だと批判しましたが、くしくも同じ
自民党の元幹部から、埋蔵金は存在するとの応援をいただきました。ところが、それはいつの間にか特別会計の剰余金等に限った話に矮小化されてしまいました。
無駄遣いを徹底的になくすためには、まずは徹底的な情報公開が不可欠です。
政府は、
平成十八年八月に、財務大臣名で「公共調達の適正化について」という通知を出しました。しかし、通知では、一年たてばホームページでの公表をやめてよいことになっている上に、公表したものを保存する義務も課されていません。また、違反しても何ら罰則はありません。これでは、情報公開の名に値しないと言わざるを得ません。
この財務大臣通知では、契約の
あり方についても言及されています。しかし、防衛装備品であって、かつ、
日本企業が外国
政府及び製造元である外国企業からライセンス生産を認められている場合は
随意契約にしてよいなど、大きな穴があいています。
さらに
政府は、公共調達の適正化に関する
関係省庁連絡
会議で、契約の監視体制
強化のため、すべての
省庁に第三者機関を設置することを決定しました。そもそも法的根拠のない第三者機関が機能するのか甚だ疑問ですが、その上、第三者機関の人選を当該
省庁が行うようでは、監視体制の
強化にはなり得ません。
政府は、財務大臣通知の
内容や
関係省庁連絡
会議の決定の
内容を
見直した上で、必要なことはきちんと法律化すべきと
考えますが、いかがですか。
総理の御所見を伺います。(
拍手)
税金の
無駄遣いをなくすためには、
独立行政法人改革も極めて重要です。
独立行政法人には、全体で年間約三兆五千億円もの財政投入がされていますが、必ずしも必要とは言えない業務が数多く存在しており、これらの無駄をなくすことによって相当の財政支出を減らすことができるはずです。
しかしながら、先般閣議決定された
独立行政法人整理合理化計画では、
廃止、統合される事業によって削減される財政支出は、
平成二十年度でわずか千五百七十億円にすぎません。昨年八月に閣議決定された「
独立行政法人整理合理化計画の策定に係る基本
方針について」では、
独立行政法人の事務事業について、「真に不可欠なもの以外はすべて
廃止する」と明記されていました。その結果がわずか千五百七十億円の削減というのでは、
余りにもお粗末と言わざるを得ません。この基本
方針と合理化計画の
内容にどうしてこれほど大きな乖離ができたのか、その理由を
総理に伺います。
何とかして現在の制度や体制を維持しようとする、そんな過去
視点からでは、これだけ
時代が激しく動き、
社会が大きく変動している中では、明るい未来の姿は見えてきません。しかし、これまで続いてきた制度や体制があるだけに、それを修正するだけの偽りの
改革は、私
たちの目には
現実的で実現可能なものに映りがちです。
一方、現在の制度や体制にこだわらず、それを変えようとする未来
視点に立てば、私
たちが進むべき未来への道筋は明らかとなり、
安心して前に進むことができます。ところが、それは今まで経験したことのない制度や体制であるために、それを実現しようとする真の
改革は、しばしば非
現実的で実現不可能に映りがちなのです。
しかし、今私
たちがどちらの
視点に立ち、どちらの
改革を行うべきなのか、それは、
我が国が置かれている
状況を正しく認識すれば、おのずから明らかでしょう。今必要なのは、新しい制度や体制ができない理由を探すことではなく、新しい制度や体制をつくるためにはどうしたらよいか、その方法を
考え、勇気を持ってそれを実行していくことであります。
ことしのえとは、戊(つちのえ)の子(ね)です。
戊は万物が繁盛し盛んな様子をあらわしますが、樹木でも、
余りに茂り過ぎると、風通しや日当たりが悪くなり、虫がついたり根上がりしたりして、木が傷み、場合によっては枯れてしまいます。そこで、思い切って剪定をして、風通しや日当たりをよくしなければならないということを
意味しています。また、子という字は、終わりと始めの組み合わせから成り、
一つのことが終わり、新しいことがスタートすることを
意味しています。
ことしのえとは、私
たちに、これまでの制度や体制に大なたを振るい、大きく変えて、新しい一歩を踏み出していかなければならないことを教えています。
福田総理、
総理は先日の
自民党大会で、
自民党が結党以来最大の
危機にあると述べられたそうですね。しかし、本当に
危機にあるのは、
自民党ではなく、この
日本です。そして、
日本をこのような
危機に陥れたのは、ほかならぬ
自民党の長期
政権です。
その
自民党長期
政権に、未来
視点で真の
改革を実現し、
我が国をこの
危機から救い出すことを期待することはできません。この国のために、今こそ
自民党長期
政権に終止符を打ち、新たに
民主党政権をスタートさせること、それこそが、ことしのえとが指し示す、
一つのことが終わり、新しいことがスタートするということなのです。
私
たち民主党は、
日本の未来を案ずるすべての
国民と手を携え、真の
改革を実行に移すべく、一日も早く
民主党政権を樹立するため、全党一丸となって邁進していくことを
国民の
皆様にお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣福田康夫君
登壇〕