○滝
委員 無所属の滝実でございます。
本日は、ありがたいことに二十分も時間をいただいておりますので、少しばかり
お話をさせていただきたいと
思います。
きょうの
法務委員会はいつになく根本論議が続いておりますので、私も、その影響を受けて、少しばかり
質問をさせていただきたいと思っているんです。
少年審判というのは、やはり非公開でございますから、
被害者あるいは
被害者の遺族にとっては物すごく心配なんですね。特に、
被害者が命を奪われているということになりますと、加害少年だけがしゃべりまくる、
子供ですから余りしゃべりまくることはないと思うんですけれ
ども、加害少年だけの言葉がどうしてもウエートを持つ。それに対して
被害者の方は、何か一方的に切りつけられるような、加害少年の口実の対象になっているのではなかろうか、こういうことだろうと思うんですね。
ですから、
被害者の尊厳という中で一番大きな比重を占めるのは、加害少年が
被害者との
関係で本当のことを言っているのか、本当の気持ちを言っているのか、こういうことだろうと
思います。
実は、これは何も少年
事件だけじゃなくて、成人の一般の刑事
事件でも同じことが当てはまるんです。
かつて、もう今から八年ほど前のことでございますからなんでございますけれ
ども、奈良でも、成人の運転する業務用の車が高校生をはねて死亡させた
事件があります。高校生はほとんど即死状態ですから、何もしゃべる暇がない。それに対して加害者側は、自分の
意見を堂々とお述べになる
機会はたくさんある。したがって、当初、
警察の方も、これは交通事故、五分五分の責任だということで、過失相殺、お構いなし、こういうことでございました。
ところが、
被害者側が、後に残った遺族が一生懸命証拠集めをしたりシミュレーションをしたりして、ようやく検察庁、
警察庁が動き出して再調査をして、第一審は無罪だったんですけれ
ども、大阪高裁で有罪になり、そして最高裁でも有罪の判決が
確定した、こういう
事件があるんですね。
要するに、
被害者が口をきかないということになりますと、どうしても、残っている加害者側の
意見というのがかなり大きなウエートを持ってくる。したがって、少年
事件でも恐らくそうだろうと思うんです。
ところが、少年審判の場合には、
基本的に、責任を追及するというよりも、加害少年の方の健全育成、立ち直りということを主眼にしておりますから、もともと、それほど責任を追及するという感覚は薄い。そこで、
被害者ないしは
被害者の遺族は、そのままほっておいたら本当に
被害者の尊厳が守られるのだろうか、こういうことだろうと思うんです。
したがって、今回の傍聴
制度は、従来から少年審判規則の二十九条に、
被害者側も場合によっては在席できる、こういう規定があるわけでございますけれ
ども、正面から傍聴の規定が置かれたということは、やはり
被害者の尊厳、加害少年の発言だけではないよ、こういうようなこととしては確かに画期的なことでございますし、それだけに、少年審判にとっては大問題ですからいろいろ反対
意見もあるんだろう、こういうふうに思っているわけでございます。
そこで、これは午前中にも
大臣が御発言になった中にあったのでございますけれ
ども、現在では唯一、記録の閲覧、謄写が認められる、こういうことなのでございます。これは、
被害者側あるいは
被害者の遺族にとっては、こういうかた苦しいものを受け取っても、どうしたらいいかということがますますわからないんだろうと思うのでございます。私の受け取り方としては、こういう記録を読むというのは大変難しいんだろうというふうに思うのでございますけれ
ども、刑事局長さんはどういうふうにお
考えになっていますか。