○滝
委員 衆議院の無所属、滝実でございます。
きょうも三十分の
質問時間をお認めいただきまして、感謝をまず申し上げておきたいと思います。
質問の
内容は二つに分かれるのでございますけれども、その第一点は、国の利害に
関係のある訴訟についての
法務大臣の権限等に関する
法律、そういう
法律があるものですから、それに関連して、二つの事例についてまず
お尋ねをいたしたいと思います。
昔、
法務省には訟務局という局まであったのでございますけれども、行政改革の
関係で、これが今、訟務部という小ぢんまりとした部になったのでございますけれども、恐らく体制は、小ぢんまりとしているわけではなく、昔の訟務局のままだと思われます。その前をさかのぼると、
法務省には三人の総裁がいたことがあるんですね。今の内閣法制局も
法務省にございましたから、
法務総裁
意見というものを出していましたし、それから立法も
法務省でおやりになる、それも一人の別の総裁が担当する、こういうことでございます。
本来、戦後の
司法行政の中では、
法務省は国全体のいわば法的な体系をつかさどる、こういう省庁であったはずでございます。恐らく、明治のときの
司法省も同じ考え方だと思うのです。今、そのうち内閣法制局が内閣の方に、独立して向こうへ移行したものですから
法務省の立場が少し微妙になって、
法務省は基本的に基本法を
法律的には所管する省庁、こういうことになったのでございます。しかし、基本法は基本法でございますけれども、実際の
法律的な後始末は
法務省がおやりになる、それはどこかというと今の訟務部がおやりになる、私はこういう認識をいたしておるわけでございます。
そういう
意味で
お尋ねをしたいのでございますけれども、まず最初は、代理出産に関する戸籍の問題でございます。
昨年の三月二十三日に
最高裁の小法廷で、東京高裁がお認めになった戸籍の取り扱いを否定した判決がございます。もともとは代理出産という格好で、アメリカのネバダ州の州法、
法律に従って適法に代理出産をしてもらって、本来の夫婦の嫡出子という格好で日本でも認めてもらおうということでおやりになったわけでございますけれども、東京家庭
裁判所がそれを拒否する、それに対して東京高裁がいいじゃないかといって認める、それを
最高裁が否定した
事件でございます。
恐らく、東京高裁が第一審の東京家庭
裁判所の戸籍拒否の判決をひっくり返したのは、いわば情状酌量判決だったんだろうと思うんですね。要するに、戸籍のない子ができてしまう、あるいは医学的には本来の父親、母親を確定してもいいのじゃないか、こういうことでこの代理出産の戸籍上の取り扱いを東京高裁がお認めになった、法的にはともかくとして、結果的にはそれしかないという
判断をしたんだろうと思うのでございますけれども、
最高裁はそれを覆して否定したのでございます。
ところが、
最高裁小法廷でございますから四人の
裁判官が関与しているわけでございますけれども、その四人の
裁判官のうち三人が、立法的解決を図るべきだという補足
意見をあえておつけになっているわけでございます。
要するに、日本でもいろいろな事態がこれを契機にして出てくるであろう、代理出産という形は、医学的にそれが可能であれば出てくる、しかし、これを放置しておくと恐らく既成事実だけが積み重なって法治国家としてはまずいのじゃないか、こういう
判断で三人の
裁判官が立法的にこの問題を速やかに措置すべきだと。要するに、倫理的な
意見もあります、それから医学的な問題もあるわけでございますけれども、基本は子供の福祉についてどうあるべきかという
観点から、とにかく急げ、これが補足
意見の中身であったのでございます。
その後、
法務省の民事当局がこれをどういう格好で処理をされてきたのか、その経緯をまず
お尋ねしておきたいと思います。