○古本
委員 ちなみに、局長、事務局から五百二件と来ていますよ。これは事件数が全国、東京からずっとあって、
検察官の数があって、それぞれ単純平均で出ていますね。五百二件じゃないんですか。いや、それは結構なんですけれ
ども、五百二件だそうです。
わかってください。今まで一カ月、二カ月、三カ月、今平均で
法廷は大体何日間ぐらい維持しているんですか。きのう、平均しますと大体半年ぐらいだと聞きましたよ。そうすると、
裁判員
制度を導入して半年間民間人を引っ張るわけにはいかないので、一日、二日で結審までするわけでしょう。そういうふうな
制度になってくればなってくるほど、本当に過酷な業務になりますよ。
したがって、数をふやした方がいいというふうに言っているんですから、隠さずにしんどいと言ってもらえばいいんですよ。だから、数をふやしてさしあげた方が僕はいいと思います。もちろん、党の考えはまた別にあるのかもしれませんが、私としてはそういうふうなことは思います。
その上で、この三千名を、せっかく受かってきた人
たちをそういうふうに誘導していくということも含めて、やはりある
程度の判断がないと、なかなかできないと思うんですね。年間で五百件処理をしているというのは、一人の検事さんが、どんな取り調べをして、物を読んで、そして
被疑者と接見してという、それにどんな苦労をしているかというのは、申しわけないです、私は
法曹の体験がないのでわかりませんけれ
ども、単純平均で五百件というのは、勢いきめ細かな捜査はできない、やはり機械的な処理をしてしまったということももしかしたらあるのかもしれない、その結果が一連のあの冤罪、自白強要事件じゃないですか。
やはりそういうことを考えますと、私は、ぜひ三千名の将来の金の卵の人
たちがそういうふうになればなと願っておる者の一人でございます。
ですから、そういうことを事前にきのうもお尋ねしているわけでありますから、素直にいろいろ教えていただけた方がすごくよかったなとは思いますけれ
ども、この件はそのくらいにしておきたいと思います。
大臣、残りが五分となりましたので、名残惜しゅうございますが、一つこういう話があるんです。
私は愛知県の豊田市というところの選出でいただいておりますが、実は、私の尊敬する友人の一人から先日電話がかかってきました。彼は私のことを代議士と呼んでいますけれ
ども、代議士、実はうちの息子のことで相談があるんだと。実はその彼は、今春高校三年を卒業なさるわけでありますが、県下でも屈指の進学校にいらっしゃる御子息でいらっしゃいます。
それで、その君は、
大臣の同窓を目指しておったそうであります。現役合格を目指し、東京大学法学部を受験なさった。もちろんセンター試験をやって、大変な受験
勉強をしたんだと思います。ところが、進路指導の先生のいろいろなこともあったんだと思いますけれ
ども、そして本人も本当に熱意を持って
勉強したんだと思いますが、桜は咲かなかったんです。
そして、相談があったのが、俗に言う度胸試しといいますか、滑りどめで受けたところが受かっている、もちろんそこも法学部です、どういう進路に進めばいいだろうかと。
法曹じゃない私に聞かれても困るんですけれ
ども、要するに彼の目標は、将来
法曹に進みたいそうなんですね。
それで、実は先日、私はその彼に会ったんですよ。一度私が話を聞いてやるということで、会った。そうしたら、こういうことだったんですよ。何と、東京大学法学部の最終試験の前日に、お母さんが高熱があって、あの季節ですから多分インフルエンザなんでしょうね、率直に言って
自分もうつったんですよ。三十九度の高熱だったんですよ。僕は、お母さんを恨んだねと言ったんです。そうしたら、彼は何と言ったと思いますか。今まで育ててもらって、そこまで受験できるというところまで来たことに
自分はもう満足していると言ったんですよ。風邪をうつされてですよ。恐らく、血のにじむ努力をしてきたと思いますよ。そして、英語が得意だったそうですけれ
ども、何と、英語のリスニング試験は全く白紙だったんですって。何でかと聞いたら、せき払いをしたら周りのみんなに迷惑をかけるので、ただひたすら口を押さえ耐え忍び、リスニングを受けたというんです、
大臣。私は涙が出る思いでしたよ。
その彼に、将来
法曹に進んだら何を目指すんだと聞いたんです。
裁判官になりたいと言ったんですよ。頼みますよ、将来、その節には。それで、なぜ
裁判官になりたいんだと言ったら、私は正義を貫きたいんですと言っていた、十八の子がですよ。
これはやはり
日本の
司法制度を、この国で今議論している
裁判員
制度しかり、
被害者が
裁判へ
参加できるこの仕組みしかり、もっともっとそういう将来を思っている若人
たちがいるという前提に立って、今から仕組みをつくっていくべきだと思うんです。
だから、私は、その三千人が企業
弁護士になってもちろんいろいろやっていくというのも一つの道だと思いますが、そういうことを誘導するために三千人だときのう事務局から
説明があったんですよ。私はびっくりしましたよ。やはり将来、一人五百件処理している
検察官がいる、一人数百件処理している
裁判官がいる、勢いやっつけ仕事になり正義が貫けていないならば、私は、この東京大学法学部を志した彼に対して顔向けができません。
さらには、有罪率九九%という話も彼に言ったんです。そして、その有罪率九九を維持しないとなかなか大変な仕事らしいよと申し上げましたけれ
ども、正義を貫いた結果、無罪判決がふえるのなら私は望むところだと彼は申しましたよ。
大臣の御感想を求めて、終わりたいと思います。