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2008-05-23 第169回国会 衆議院 文部科学委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十年五月二十三日(金曜日) 午前九時
開議
出席委員
委員長
佐藤
茂樹君
理事
伊藤信太郎
君
理事
小渕 優子君
理事
塩谷 立君
理事
鈴木
淳司君
理事
渡辺
具能
君
理事
小宮山洋子
君
理事
牧 義夫君
理事
富田 茂之君 阿部 俊子君
井脇ノブ子
君
石原
宏高
君 江崎
鐵磨
君 小川 友一君
岡下
信子君 加藤 紘一君
亀岡
偉民君
佐藤
錬君
鈴木
恒夫君
田中
良生
君
中森ふくよ
君
永岡
桂子
君
原田
令嗣
君 平口 洋君 福田 峰之君
藤井
勇治
君
保坂
武君 馬渡 龍治君 松野 博一君 山本ともひろ君 田島 一成君 高井 美穂君
寺田
学君 土肥 隆一君 藤村 修君
松本
大輔
君 山口 壯君 笠 浩史君 和田 隆志君 西 博義君 石井 郁子君
日森
文尋
君 …………………………………
文部科学大臣
渡海紀三朗
君
文部科学大臣政務官
原田
令嗣
君
文部科学大臣政務官
保坂
武君
政府参考人
(
文部科学省
生涯
学習政策局長
)
加茂川幸夫
君
参考人
(
慶應義塾大学文学部教授
)
糸賀
雅児
君
参考人
(
日本女子大学人間社会学部教授
)
田中
雅文
君
参考人
(
社会教育推進全国協議会委員長
) (
千葉大学教育学部教授
)
長澤
成次
君
文部科学委員会専門員
佐久間和夫
君
—————————————
委員
の異動 五月二十三日
辞任
補欠選任
飯島
夕雁君
永岡
桂子
君
近藤
基彦君
石原
宏高
君
藤田
幹雄
君
亀岡
偉民君
二田
孝治
君
藤井
勇治
君
松本
大輔
君
寺田
学君 同日
辞任
補欠選任
石原
宏高
君
近藤
基彦君
亀岡
偉民君
藤田
幹雄
君
永岡
桂子
君
田中
良生
君
藤井
勇治
君
二田
孝治
君
寺田
学君
松本
大輔
君 同日
辞任
補欠選任
田中
良生
君
飯島
夕雁君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
社会教育法等
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第五一号) ————◇—————
佐藤茂樹
1
○
佐藤委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
社会教育法等
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。 本日は、
本案審査
のため、
参考人
として、
慶應義塾大学文学部教授糸賀雅児
君、
日本女子大学人間社会学部教授田中雅文
君及び
社会教育推進全国協議会委員長
・
千葉大学教育学部教授長澤成次
君、以上三名の方々に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人各位
に一言ご
あいさつ
を申し上げます。 本日は、御多用のところ本
委員会
に御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございます。
参考人各位
におかれましては、それぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
参考人各位
からお一人十分以内で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
に対してお答え願いたいと存じます。 なお、御発言の際はその都度
委員長
の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、
参考人
から
委員
に対して
質疑
をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。 それでは、まず
糸賀参考人
にお願いいたします。
糸賀雅児
2
○
糸賀参考人
おはようございます。慶応
大学
の
糸賀
と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 早速ですが、
社会教育法等
の一部を改正する
法律案
について
意見
を述べさせていただきます。お
手元
に
資料
を配らせていただきました。それを
ごらん
になりながらお聞きいただきたいと思います。 今回の
改正案
は、昭和二十五年前後に相次いで制定されたこの
三つ
の
法律
についての
改正案
でございます。
図書館法
に関しましては、新しい
条文
がつけ加えられるということはこれまでなかったことでございまして、そういう
意味
では画期的な
法改正
だというふうに考えます。 私は、きょう、大きく前半でこの
改正案
に対する
期待
ということを申し上げ、後半で残された
課題
を
幾つ
か指摘したいというふうに考えております。 まず初めに、この
改正案
への
期待
でありますけれども、
社会教育
を通じた
情報化
の
進展
への
対応
がこれによって
促進
され、
国民
の
情報リテラシー
の
向上
につながると思われます。 具体的には、
改正社会教育法
第五条第十号に、
教育委員会事務
に
情報化
の
進展
への
対応
が盛り込まれました。また、
改正図書館法
第三条第一号に、
図書館資料
として
電磁的記録
を収集し、提供することが書き加えられました。さらに言えば、
改正博物館法
の第二条第三項におきましても、
博物館資料
としての
電磁的記録
が取り上げられております。こういったことは、それぞれの
施設
におきまして
情報化
の
進展
を促すことが予想されますし、特に
図書館
に関しましては、
地域
の
情報拠点
として、
各種データベース
の導入や
図書館
の
ハイブリッド化
の
促進
が
期待
されます。 次に、
大学養成課程
と
研修機会
の
充実
により、
司書
及び
学芸員
の資質が
向上
することが
期待
されます。 具体的には、
改正図書館法
第五条第一号によりまして、
大学
での
科目履修
が明示されました。及び、同じ
法律
の第七条で、国と
都道府県
による
司書
、
司書補
の
研修
の
努力義務
が規定されております。同じく
改正博物館法
第七条におきましても、国と
都道府県
による
学芸員
及び
学芸員補
の
研修
の
努力義務
が規定されております。こういったことによりまして、
図書館
や
博物館
への
高度化
、多様化する
学習ニーズ
に対し、より適切に
対応
することができるようになるものと思われます。 こうした
意味
で、私は、この法案の速やかな成立を
期待
するものであります。 しかしながら、これですべてが解決するというわけではありません。私は、
図書館
の
政策
を
中心
として、
幾つ
か今後の
課題
を指摘したいと思います。 まず初めに、
図書館振興
に向けた
社会教育関係予算
の一層の拡充が必要であります。 具体的に申し上げますと、
図書館
の
利用度
は非常に高い。抜群に高いと申し上げても過言ではありません。具体的には、二枚目にあります表を
ごらん
いただきたいと思います。 この表は、生涯
学習施設等
の
利用状況
を
全国
から抽出して調査したものでございます。
平成
十七年度に
文部科学省
の
委託調査
で実施されたものですが、これを見ていただきますとわかるとおり、
図書館
がほかの生涯
学習施設
の中でも群を抜いて高い
利用率
を示しております。具体的には、過去一年間に四三・二%の人が
図書館
を使っている。続いて
博物館
・
美術館
が二一・二%、
公民館
が一九・二%と続いておりますが、
図書館
は
博物館
・
美術館
の倍の
利用状況
を示しております。ただ、残念ながら、このグラフの一番
右側
に「いずれも利用しなかった」という方が三五・五%いることが示されておりますが、それにしましても、
図書館
が
各種
の生涯
学習施設
の中で
利用度
が高いということがこれでわかります。 この下の方には、具体的に、性別あるいは
年代別
、
職業別
、
地域別
の
利用状況
も示されております。 中でも私が注目したいのは、
年代別
の中の、
団塊世代
の
利用状況
であります。
団塊世代
の
利用状況
を見ますと、
図書館
がやはり極めて高いことがわかります。十代の学生が多いことも多いですが、そのほかの中では、実は
団塊世代
が一番
図書館
をよく使っているということが示されております。ちなみに、一番
右側
の「いずれも利用しなかった」では、逆に
団塊
の
世代
は一番低い数字、二八・四%となっております。 一枚目に戻りますが、そういう
意味
では、これからの
日本
の
高齢化社会
の
あり方
を考えたときに、
図書館
の
整備充実
ということは一層
求め
られることになります。 具体的には、例えば、
東京
の
八王子市立図書館
は、千人塾と申しまして、
団塊世代
を
中心
にした
図書館
による
調べ学習
ということを進めております。あるいは、長野県
上田市立図書館
は、
団塊世代
の
仕事録
といいまして、これまで
団塊世代
がしてきた
仕事
についての
自分
の
記録
をまとめるというふうなことを
図書館活動
を通じてやっております。 さらに、
図書館数
が絶対的に足りないことについては、
三枚目
の第二表を
ごらん
いただきたいと思います。 第二表は、
G7各国
における
図書館
の
整備状況
を示したものでございます。
洞爺湖サミット
を前にして、
G7
の中でも、実は、
日本
の場合、
図書館
がほかの国に比べて極めて少ない、貧弱な
整備状況
だということがこれでわかっていただけるかと思います。 十万人
当たり
の
図書館数
で見ていただきますと、
日本
は
イギリス
の三分の一
程度
。
G7
ではありませんが、
フィンランド
の数値を一番下に掲げました。
フィンランド
は御承知のように、OECDの
学習到達度調査
でも
世界
で
トップ水準
にございます。ここでは
公立図書館
の
整備
が大変行き届いている、これも学力の
向上
に結びついたというふうに
フィンランド
の
教育次官
も発言しております。 ちなみに、
日本
の場合には、まだまだ
図書館
が
整備
されていない
自治体
も多うございます。そこに挙げましたように、
町村部
を考えますと、まだ四八%の
町村
には
図書館
が
整備
されておりません。この
あたり
については、中教審の答申の中でも具体的に指摘があります。 それから、
資料費
に関しましては、同じ
三枚目
の第一図を
ごらん
いただきたいと思います。 これは
公立図書館資料費
の
経年変化
を示したものでございます。棒グラフが
図書館
の数です。
図書館
の数は年々ふえておりますが、一
館当たり
の
図書館資料費
は、逆に減少してきております。これは、各
自治体
での取り組みがなかなか行き届いていないために、
図書館
は
整備
されたんだけれども、
肝心かなめ
の
図書館
の
資料
が十分確保できていないということを示しております。
地方交付税
の中にこういった
図書館
の
資料費
も積算されておりますので、それがそれぞれの
自治体
において適切に措置されるということが必要だろうと思います。この
あたり
は、
学校図書館
において同じような措置があったんですが、実際に
学校図書館
で
資料
は十分購入されていないというのと同じような
状況
があることを示しております。 それから、今後の
課題
といたしまして、二番目に、
司書
の採用、
配置
の
促進
ということが挙げられます。 専任の
司書
の
配置
というものは、残念ながら減っております。
司書資格
を持って
図書館長
を務めている方は
全国
の
図書館
の二割にすぎません。せっかく今回の
法改正
によって
司書
の
養成
と
研修
の
あり方
が
充実
いたしましても、
司書
がその
図書館
で働いていないのではその
意義
も失われかねない、そういう懸念がございます。 また、
司書
が
配置
されていないために、
図書館サービス
の
地域間格差
が拡大する傾向にもあります。
司書
の
配置状況
は、
全国
の
図書館
の中で平均をとりますと五一%、半分を少し超えた
程度
にしか
司書資格
を持った
職員
が
配置
されておりません。しかし、これを
都道府県別
に見ますと、例えば高い
水準
にある滋賀県では、八一%が
司書資格
を持って
図書館
に勤務しております。しかしながら、逆に、青森県は、残念ながら三〇%しか
司書資格
を持った方がおりません。倍以上、三倍近い開きがあるということになります。
最後
に、
司書養成
における
大学院課程
への
重点移行
ということを申し上げたいと思います。
欧米
におきまして、
司書
、
ライブラリアン
や、
学芸員
、キューレーターは、
大学院
での
養成
が主流になっております。これは、
委員
の
先生方皆さん
よく御存じだろうと思います。ちなみに、
イギリス
とか
アメリカ
では
大学院
の
修士号
を持つのが基本でありますが、アジアを見ましても、お隣の韓国では、
図書館法
に基づいて、原則として、一級の正
司書
、これが
図書館長
を務めるわけですが、これは
大学院
の
修士
以上であるということが規定されております。 ちなみに、私
ども慶応義塾大学大学院
で、
現職
の
司書
を対象にいたしました
夜間
の
大学院コース
を五年前に設けました。これは、実際に
図書館
に勤めていながら、
夜間
と土曜日に
大学
に通ってまいりまして
大学院
の授業に
出席
し、
修士論文
を書いて
修士号
を取得する、こういう
プログラム
であります。これに毎年十人前後の
大学院
生が入ってきておりまして、既に五十人近い
現職
の
図書館員
の方が
修士号
を取っております。そういう
意味
では社会的な
ニーズ
も高いだけに、今回の
法改正
を
一つ
の手がかりに、ぜひ、
欧米
の
ライブラリアン
に匹敵するような、
大学院
での
養成
を
中心
にした体制に移行していく必要があるだろうと思います。
最後
に、実は、
アメリカ
の
上院議員
、
ウェンデル・フォード
さんの
言葉
を紹介して私の発表を終わらせていただきたいんですが、ここに実は、
アメリカ
の
図書館協会
のポスターを私は持ってまいりました。ここに、一九九八年ですからちょうど十年ほど前、
アメリカ
のケンタッキー州選出の
上院議員
で
ウェンデル・フォード
さんという方が
図書館
の
年次大会
で
あいさつ
、スピーチをされました。そのときの
言葉
にこういうものがございます。「
イフ
インフォメーション
イズ
カレンシー
オブ
デモクラシー
、ゼン ライブラリーズ アー イッツ バンクス」つまり、「
イフ
インフォメーション
イズ
カレンシー
オブ
デモクラシー
、」
情報
が
民主主義社会
の通貨であれば、
図書館
はその
銀行
であるというわけです。 つまり、
民主主義社会
は、
情報
が円滑に流通し必要な
情報
が手に入って初めて成り立つものであります。
民主主義社会
で多くの
国民
は必要な
情報
に基づいて判断をする。それによって
国民
の自律が促されるわけです。その場合、
図書館
はそうした
情報
を集めて必要な人に提供していく
銀行
だというわけであります。
アメリカ
の
上院議員
さんがこういう大変適切な比喩に基づいて
図書館
の社会的な
意義
を示していただいているということで、御紹介させていただきました。 ただし、
一つ
だけ
図書館
と
銀行
で違う点がございます。
図書館
は
銀行
と違って貸し渋りはしません。 そういったこともぜひお含みの上、これからの
国会審議
で
社会教育法
並びに
図書館
の
政策
について御審議いただきたいと思います。 どうも失礼いたしました。(拍手)
佐藤茂樹
3
○
佐藤委員長
ありがとうございました。 次に、
田中参考人
にお願いいたします。
田中雅文
4
○
田中参考人
おはようございます。
日本女子大学
の
田中
と申します。よろしくお願いします。 私は、
自分
の
専門
の
関係
から、
社会教育法
を
中心
に
意見
を述べさせていただきたいと思います。 お
手元
に私の
資料
がございます。この一枚目を
ごらん
になりながらお聞きいただけるとありがたいと思います。 初めに、
総論
なんですが、
社会教育
の
現代
的な
意義
というのを
三つ
の側面から確認させていただきたいと思います。
一つ
は、
現代
における
公共
の創造というものでございます。 よく言われますように、もう
行政
が
中心
となって
公共
を運営していくという時代は終わりまして、
地域
の中の各
セクター
、機関、団体、
人材
が
協働
ないしは、英語で言うとコラボレーションをとりながら生み出していくということが必要だと言われております。しかし、往々にして、異なる
セクター
間が、
個々
の利害であったり、文化の違いであったり、それから
価値観
の違いであったりということでぶつかり合うことが多うございます。その壁を乗り越えるためには、これが必ず
学習
が必要になるわけです。例えば
ワークショップ
で議論をしながら
価値観
を練り上げていくであるとか、それから特定の知識を共通に得るために
研修
を開くとか、セミナーを開くとか、あるいはフォーラムを開いていくとか、そういうさまざまな
学習プログラム
が、
現代
の
公共
を生み出すための
協働システム
には必ずついて回るわけです。 こういった
学習プログラム
は、
地域
の中で地道に
社会教育
の
世界
で積み上げてきた
ノウハウ
がございます。したがいまして、これからの
地域社会
における
公共
を生み出すために、
社会教育
の
ノウハウ
は、これまでは地道にやってきましたが、これをさらにブラッシュアップさせながら有効に
活用
していくということが
求め
られていると感じております。 二番目には、
ソーシャルキャピタル
の
蓄積
ということでございます。 これもよく言われるように、
現代
の
人々
が孤立して、新しい形の信頼とか互酬性に基づくネットワーク、
人々
の
つながり
が必要だと言われております。実は、
社会教育
の
世界
では、グループ、サークル、それからスポーツ、レクリエーション、さらには
現代
的な
課題
を
学習
するための
ワークショップ
といったさまざまなことによりまして、
地域
の
人々
の
つながり
がいろいろな形で生み出されてきております。これこそ、これからの
地域社会
の中でのソフトな
インフラ
として非常に有効に
活用
していけるものと考えております。したがいまして、さらに
社会教育
における
ソーシャルキャピタル
の
蓄積
ということが大きな
課題
となってきていると思っております。 三番目には、
次世代
の
育成
と
地域教育
の
かなめ
ということでございます。
地域共同体
の崩壊に伴いまして、自生的な
教育
の
システム
がやはり壊れてきております。そういう中で、
子供たち
のさまざまな問題が起こり、そして、
地域
の中で
子供たち
を大人として育てるための新しい
仕組み
を再構築あるいは再創造しなければいけないというふうに強く言われております。 ところが、当然のことながら、これにつきましては、
家庭
であるとか
学校
であるとか、
個々
のそういう
組織
なり
家庭
なりがこれを新たに生み出すというのはとても無理でございます。当然のことながら、
地域
の中でこれを再創造していかなければいけない。となると、
社会教育
に大きな
期待
がかかるわけです。さらには、
地域
と
家庭
と
学校
の
連携
ということが言われますが、この
連携
のためには、総合的な
コーディネーター
となる
人材
なり
組織
が必要です。 実は、私もそのメンバーの一人であります
東京
都の生涯
学習審議会
が、三年ほど前に、
地域教育
という
概念
におきましてこのような
仕組み
を提案しております。私の
資料
の
最後
のページを
ごらん
いただけますでしょうか。
地域教育プラットフォーム
という
言葉
でこういう図をかきまして、
地域
の各
セクター
、
人材
をつなげながら、
コーディネーター
のもとに、
学校教育
の
支援
であるとか、
学校外教育
を生み出すことであるとか、
家庭教育
の
支援
をやっていかなければいけないという提案をいたしまして、今現在、事例を開発しながら試行錯誤で
ノウハウ
を追求しているところでございます。 このような
コーディネーター
の中核となるのは、やはり
社会教育
にかかわる
人材
になります。というわけで、
現代
の
子供たち
を
育成
するための
地域
の
仕組み
にとって、
社会教育
の
人材
なり
組織
が今まで以上に力を発揮していかなければいけないというふうに考えております。 このような考えから、今回の
法改正案
に対する
意見
として
三つ
ほどまとめてみました。
一つ
は、第三条の二でございます。これは生涯
学習
に関することを書いた
条文
でございますが、どうも私の
印象
ですと、生涯
学習
の
概念
を非常に矮小化して使ってしまっているんじゃないかという気がいたします。それは、
国民
の
学習
に関する
需要
を踏まえたというふうな表現におきまして生涯
学習
の
振興
と書いております。この
需要
という
言葉
によりまして非常に消費者主義的なイメージが出るものですから、
サービス
を受ける
国民
というふうな
立場
がちょっと出過ぎではないかと考えます。 ですから、先ほど述べました一から三のような非常に
公共性
の高い
学習
を進めるためには、例えば、ここには書いておりませんが、
需要
並びに必要という
言葉
、必要という
言葉
を加えていただけると幅広い生涯
学習
の
概念
が出るのではないかと考えております。 それから、第五条の十五でございます。これは、
学習成果
の
活用
に関することでございます。 これは、
法律
におきましても、当然
行政
のそれぞれの、
縦割り
と言うとなんですが、限界があるので仕方がないのかもしれませんが、先ほど申し述べました
社会教育
の
現代
的な
意義
からいきますと、ここに書かれてある
学習成果
の
活用
の領域が
教育
の
範囲
内にとどまっているというのが、やや狭く感じられるものでございます。幅広い
公共性
に向けての
学習成果
の
活用
というのを考えたとき、この
条文
の中では「その他の
活動
」というふうに表現されているんですが、具体的には
まちづくり
であるとか
公共
的な
活動
であるとか、できればそういう
言葉
が入っていると幅広く理解できるんだとは思いますが、そのような
印象
を持っております。 その他といたしまして、
ソーシャルキャピタル
にかかわる問題ですが、この問題につきましては、省庁でいくと
内閣
府が
かなり力
を入れて推進していることと思いますが、
文部科学関係
におきましても、
社会教育
を
中心
とした
人々
の
つながり
というものがソフトな
インフラ
として有効というふうな考え方に立ちますと、
つながり
を推進するための
法制度
というものをこれからもっと追求してもいいんじゃないかというふうに考えております。 こういったことを踏まえまして、
各論
に入りたいと思います。
各論
へ行きますと、
社会教育
の中核的な
施設
の
一つ
としての
公民館
、それから中核的な
専門職
としての
社会教育主事
というのが重要になりますが、これにつきましては、
最後
に書いてあります
法律案
に対する
意見
ということを述べながら申し上げたいと思っております。
一つ
は
社会教育主事
に関してでございますが、第九条の三でございます。 従来からもずっと議論されておりますが、
社会教育主事
は、現実には、
地域
における
社会教育
の
コーディネーター
の
役割
あるいは
計画立案
の
役割
をかなり担っております。ただ、
法律
上は
助言指導
という
範囲
にとどまっております。今回も随分議論されたことは把握しておりますが、最終的に、
法律
の中では
助言指導
ということにとどまっているわけでございます。 ただ、
総論
で述べましたような
社会教育
の
意義
を考えますと、もう少し幅広い
コーディネーター
的な
役割
が
社会教育主事
に
求め
られてくることになるわけですが、これを
法制度
上でどういうふうに表現し、実体化していくかということが
課題
になるのではないかと考えております。 さらには、
地域
の
教育
全体に対する
支援
ということで、今回の
改正案
の中では、
学校
の
求め
に応じて
助言
するというふうな
意味
の内容が書かれております。ただ、先ほど
東京
都の生涯
学習審議会
の図を見ていただきました。あの経過からしますと、単なる
求め
に応じた
助言
ではなくて、そういう消極的な
役割
ではなくて、もう少し、
東京
都が言いました
地域教育
という広い
概念
を担うような
専門
的な
職員
として、
社会教育主事
が、
地域
、
家庭
、
学校
をつなげながら、
子供たち
を
地域
の中で総合的に育てていく、そのための
専門
的な
職員
としての位置づけ、機能、力を
蓄積
していかなければいけないと考えております。これも、
法制度
上でどういうふうな形で今後位置づけ得るか、実体化し得るかというのが
課題
になっているというふうに考えております。 もう
一つ
、
公民館
についてですが、
最後
の項目の、その他でございます。
公民館
につきましては、従来から
主事
を置くことが必置というふうにはなっておりませんで、「置くことができる。」というふうになっております。しかしながら、先ほどから、
ソーシャルキャピタル
であるとか
次世代
の
育成
であるとか、
地域
の中の
公共
を生み出すためのコーディネートであるとか、そういうことを考えたとき、
公民館
が
施設
的な
拠点
になるわけでございますが、単なる箱ではなくて、
人材
を置いてソフトな
プログラム
を持ち得る、そういうさまざまな
役割
を発揮し得る、その中核となるような
人材
がやはり必ず置かれるという形で、
公民館
がこれからの
地域
における
社会教育
の中核的な
施設
として機能していくために、そのような
公民館
の
主事
を必置とするような
法制度
に向けて、さらに御検討がされることを
期待
しております。 そういうわけで、私が述べましたことは、現状の
社会教育主事
、この面から見ますと、議員の先生方から見ますと、かなり乖離があるというふうにお考えの先生方もおられるかもしれません。これは同時に、
社会教育
がこれからの時代においてさらに力を発揮していくための課せられた大きな
課題
とも言えると考えております。我々
社会教育
の研究者が、
地域
の
社会教育
関係
者とともに、さらに機能の高い
社会教育
を発展させるために努力したいというふうに思うとともに、議員の先生方の方でも、
社会教育
の実態を把握されながら、さらに発展に力をかしていただけるとありがたいと思います。 とりわけ、
職員
の問題につきましては、今、
日本
社会教育
学会で検討中でございまして、
文部科学省
と
連携
をしながら、さらにいいものにしていきたいと考えております。 以上です。どうもありがとうございました。(拍手)
佐藤茂樹
5
○
佐藤委員長
ありがとうございました。 次に、
長澤
参考人
にお願いいたします。
長澤成次
6
○
長澤
参考人
皆さん、おはようございます。御紹介いただきました
社会教育推進全国協議会委員長
の、千葉
大学
の
長澤
でございます。 本日は、
社会教育法等
一部
改正案
の審議に
当たり
まして、このような場を与えていただきましたことに対し、衆議院文部科学
委員会
に対し厚く御礼を述べたいと思います。
社会教育法
が一九四九年に制定されてから、ことしで五十九年を迎えます。立法当時の文部省
社会教育
課長寺中作雄は、「
社会教育
の自由の獲得のために、
社会教育法
は生れた」と述べています。
社会教育法
は、
人々
の学びの自由と自治の
システム
を豊かに持つ
法律
であると同時に、戦後、我が国の平和で民主的な発展を願って
全国
各地に設置を奨励された
公民館
を第五章で規定し、法制定後、今日に至るまで、
全国
の
公民館
は、文部省、国の
行政
的努力や、
自治体
、
公民館
関係
者そして
地域
住民のそれこそ献身的な努力によって、
地域
住民の生涯にわたる学びと豊かな
まちづくり
、
地域
づくりに貢献してまいりました。学びを通したコミュニティー形成と住民の自治能力の
向上
が極めて重要な
政策
的
課題
になっている今日において、
公民館
、
社会教育
の
役割
というのはますます高まっていると考えております。 このような中で、民間の非営利団体であります
社会教育
推進
全国
協議会は、一九六三年の発足以来四十五年にわたって、
社会教育
の民主的な発展を目指し、さまざまな
活動
を続けてまいりました。今回の
法改正
に
当たり
ましても、この一月に
文部科学省
生涯
学習
政策
局
社会教育
課とも懇談を持ちまして、特に、法の目的を明示した
社会教育法
第一条や、第九条の二の
社会教育主事
の必置制や事務局
配置
、そして
社会教育法
第五章
公民館
の関連
条文
の堅持など、全体として、現行
社会教育法
を堅持し、法の理念や制度を後退させないことを強く要望してまいりました。 しかしながら、今回提出された
法改正案
は、極めて大きな問題を内包しているというふうに言わざるを得ません。 時間も限られておりますので、ここでは
社会教育法
改正に絞って法案の問題点を指摘したいと思います。なお、
資料
については、既に各
委員
の先生方のお
手元
にございます「
社会教育法
改正に対する社全協アピール 住民の
学習
の権利と自由を阻害し、
社会教育
行政
を後退させる
社会教育法
改正案
の問題点」を参照しつつ、お聞きいただければ幸いです。 まず第一は、本
改正案
の国会提出に当たっての法形式の問題です。 一九九九年の地方分権一括法のときもそうでしたが、
公民館
運営審議会の必置制の廃止など、
社会教育
施設
の住民参加の制度が大きく後退させられました。
社会教育法
、
図書館法
、
博物館
法は、それぞれ固有の理念や
課題
を持っています。ですから、一括審議ではなく、きちっと個別の法ごとに審議すべきだと考えます。 第二は、
社会教育法
第三条
改正案
の「
国民
の
学習
に対する多様な
需要
」という文言です。 今回の
法改正案
が、例えば一九八五年のユネスコ
学習
権宣言に見られるように、
人々
の生涯にわたる学びの営みを基本的人権として保障するという、国際的にも承認された
学習
権思想から離れているという点です。学びの営みを人権としてとらえるのではなく、
需要
、供給の市場メカニズムでとらえることは、受益者負担の導入に結びつき、
地域間格差
やあるいは格差社会を再生産することにつながらないでしょうか。 第三は、二〇〇六年
教育
基本法第三条を受けて「生涯
学習
の
振興
」という文言が入ったことです。 今、
自治体
社会教育
行政
は、行財政改革のもと、予算削減や
職員
削減、指定管理者制度の導入による
社会教育
施設
のアウトソーシングなどの圧力が日増しに大きくなりつつあります。また、この四月からは、改正地方
教育
行政
法によって、
教育
委員会
のスポーツ、文化に関する事務を首長部局に管理、執行させることが可能になりました。総合
行政
の志向を持つ生涯
学習
振興
行政
によって、
社会教育
行政
がさらに後退していく可能性があると私たちは考えています。 第四は、今回の
法改正
が、
社会教育
を
学校
支援
や
地域
・
家庭教育
との
連携
に特化していく、あるいはシフトさせていく方向を強く打ち出していることであります。 この
課題
が極めて重要であることは私どもも十分認識しておりますけれども、例えば、大人の学びを
学習
の成果の
活用
の視点から
学校
支援
に特化することは、大人の学びを
行政
が誘導し、自由で自主的な
社会教育
の学びをサポートするという
社会教育
行政
の本来の任務、あるいは、
まちづくり
、
地域
づくりをめぐる今日のさまざまな
課題
にこたえていくという
社会教育
の本来の姿からいっても、かえって大人の学びの力と自治の力を弱めることにならないでしょうか。 第五は、
社会教育
関係
団体への補助金交付の際に
社会教育
委員
の
会議
の
意見
を聞いて行わなければならないとした第十三条改正についてであります。 もともと憲法八十九条との
関係
で疑義のあった補助金交付でしたけれども、一九五九年
法改正
のときに、補助金交付が適正に行われることを保障する措置として、参議院の修正によって導入されました。他の合議機関でもよいとする今回の規制緩和策によって、もともと任意設置である
社会教育
委員
制度が廃止されたり後退していくことは、今日の
自治体
財政
状況
からして必至と考えます。 また、法第十七条によって、
社会教育
委員
の
会議
には住民参加による
地域
社会教育
計画立案
権が付与されておりまして、これから策定されるであろう
自治体
教育
振興
基本計画において、住民参加や市民と
行政
との共同による
社会教育
計画づくりの制度的保障が後退するという
意味
でも、極めて重大な
改正案
だと考えております。この点については、現行
条文
の維持を強く
求め
たいと思います。
最後
に、
改正案
の第三十二条と第三十二条の二に係る
公民館
の運営
状況
に関する評価及び改善並びに
関係
者への
情報
提供の問題です。
公民館
が
地域
において果たすべき
役割
については、二月十九日の中央
教育
審議会答申「新しい時代を切り拓く生涯
学習
の
振興
方策について」でも強調されているところであります。例えば、
公民館
事業を
中心
的に担う
公民館
主事
については、今日まで
専門職
としての
法制度
的
整備
が進まず、
自治体
の自治的な努力に任されてきました。例えば、専任
職員
数を見てみますと、
平成
十七年度
文部科学省
社会教育
調査報告書によれば、
全国
一万七千百四十三の
公民館
のうち専任
職員
数は一万一千九百八十二人で、平均しますと一
館当たり
一人を切るわけです。 さらに、この間、
公民館
設置運営基準が地方分権、規制緩和
政策
のもとで改定されまして、御存じのように、一九九八年に旧設置基準の第五条から館長と
主事
の専任規定が外されております。それから、二〇〇三年改定では
主事
の必置規定も外されました。 私は、今回、本
委員会
の
理事
と各政党の
委員
の先生方に「
公民館
で学ぶ3 私たちの暮らしと
地域
を創る」という本を参考
資料
として配付させていただきました。これは千葉県における
公民館
実践をまとめたものですが、
全国
の
公民館
が日々
地域
づくりに果たしている
役割
は極めて大きく、また豊かな可能性に満ちたものだと考えております。にもかかわらず、現実には、
専門職
制度が確立せず、
公民館
を支えるべき
職員
が数年で異動させられたり、あるいは非常勤嘱託化されるなど極めて貧しい状態にあります。
公民館
それ自体が
自治体
財政のもとで非常に厳しい
状況
に置かれていますし、
公民館
の学びは数値になじまないことなどを考えるとき、
行政
評価によって
公民館
がリストラされていく口実にされることを私は率直に危惧しております。私は、改めて政府に対して、
公民館
に対する一層の条件
整備
を進めていただきたい、そういう努力をしていただきたいということとともに、
図書館
、
博物館
と同様に、
文部科学省
内に
公民館
に関する協力者
会議
等を設置していただき、
職員
体制を含む
公民館
の制度的
充実
策をぜひ検討していただきたいと考えています。 以上、ほかにも論点はございますが、
社会教育法
改正案
に限定すれば、これまで見てきましたように、大変問題が多く、このまま
法律
が成立するならば、我が国と
自治体
社会教育
行政
のありように大きく影響を与えるというふうに考えております。本
改正案
について十分な審議を重ねていただくことを心からお願いして、私の発言を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。(拍手)
佐藤茂樹
7
○
佐藤委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
の方々からの
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
佐藤茂樹
8
○
佐藤委員長
これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。西博義君。
西博義
9
○西
委員
おはようございます。公明党の西博義でございます。 きょうは、
糸賀参考人
、
田中参考人
、
長澤
参考人
、お三方、大変お忙しいところ、当
委員会
で御
意見
をちょうだいいたしましたこと、心より感謝を申し上げたいと思います。 まず初めに、
糸賀参考人
にお聞きをしたいと思います。 先ほど、
社会教育
を通じた
情報化
の
進展
、これにいかに
対応
していくかということで何点か御指摘がございました。私も、
図書館
それから
博物館
等における
情報化
、特に電磁的
情報
をいかに
活用
していくかということが、これからの
一つ
の大きな
課題
だというふうに思っております。 おっしゃるように、収集、提供をいかにやっていくかということが重要なんですが、このことについて、先進的に今運営されている事例をもし御存じでしたら、お教えいただきたいと思います。
糸賀雅児
10
○
糸賀参考人
御質問ありがとうございます。
電磁的記録
ですが、
図書館
において考えますと、例えばデータベースの導入ということが考えられます。このデータベースといいますのは、新聞の記事を過去にさかのぼって検索したり、あるいは雑誌記事を検索したりすることがこれでできるようになります。
アメリカ
あたり
の
図書館
では、百を超えるような規模でこういったデータベースが入っております。 今、御質問は、
日本
でそういったデータベースの導入が進んでいるというところだろうと思いますけれども、身近なところでは、例えば千葉県浦安市の市立
図書館
でありますとか、あるいはそういうデータベースを積極的に導入しているところでは鳥取県の県立
図書館
、そういったところが挙げられます。そのほかに、例えば仙台にはメディアテーク、これは仙台市立
図書館
でありますけれども、こういったところでもそうしたデータベースを導入しております。そういった政令指定市や都市近郊の
図書館
だけではなくて、例えば北海道の厚岸という町がございますけれども、ここは
情報
館というふうに言っております。北海道新聞の記事の検索ができるようなデータベースを導入しております。 データベースの数は
日本
ではまだまだ、
図書館
の数もそう多くないし、データベースの数そのものも余り多くない。これが今回の
法改正
で、もう少し数をふやさないことには利用価値を増さないというふうには思っております。
幾つ
かの例でございますが、紹介させていただきました。
西博義
11
○西
委員
少ないという実態が報告されましたけれども、もう
一つ
は、必ずしもデータベースを置いておけば市民の皆さんがそれで自由に検索するというところまで実態は進んでいない。興味はある、いろいろ調べたいけれども、そこに行って、それが置いてあればすぐというわけにはいかないので、その辺にやはり
図書館
の
職員
の皆さんの、市民の皆さんとデータベースをつなぐ大きな
役割
がこれから出てくるんじゃないかなというふうに思っております。
最後
のところで先生は、
司書
の
養成
に関する、これからもっと高度な、例えば
大学院
卒とかそういう条件をおっしゃいましたけれども、多分その辺と若干
関係
があるのかなと思いながらお聞きをしておりましたが、
司書
のこれからの能力のさらなる
養成
という観点からもあわせて御見解をお願いしたいと思います。
糸賀雅児
12
○
糸賀参考人
今申し上げましたように、これからの
図書館
は、データベースの導入をしたり、あるいはホームページを通じてさまざまな
情報
を発信していくことが
求め
られます。そうすれば、
図書館
があいていない時間、
図書館
が休みの日でも、
図書館
のデータベースに自宅から、あるいは職場からアクセスすることもできるようになります。これが私、先ほど申し上げたハイブリッド
図書館
であります。 ハイブリッドというのは、つまり、アナログの
資料
とデジタルの
資料
両方を組み合わせて
情報
提供をしていくわけでございます。このためには、
図書館
で働く
専門
的
職員
であります
司書
の
情報
に関する知識、さらに言えば、デジタルメディアあるいはインターネットに象徴されるようなネットワークを使いこなすスキル、そういったものが
求め
られます。
司書
の現在の
養成
課程では、
大学
で
図書館
についての授業をやる単位数が二十単位しかございません。これだけでは十分ではありませんので、
研修
、さらには、私が
最後
に申し上げたような、
大学院課程
できちんとこれを修得するということが
求め
られるだろうと思います。 そういう
意味
では、
司書
の資格は、現在の
法律
で規定されておりますのは、私は、これは
図書館
の
世界
に入っていくためのいわば入場券といいますか最初の資格であって、その後、
司書
として働いていく過程の中でも、随時、そのスキルと知識といったものをふやしていく必要がある。それは、学びたいと思ったときに
大学院
で学べる、あるいは必要な
研修
が受けられるという
仕組み
をつくっていくことが
求め
られるんだろうと思います。 私どもの
大学院
では、
図書館員
に常に、
図書館
に入って例えば五年とか十年たった
現職
の
図書館員
を対象にしておりますが、マネジメントの知識とコンピューターを
中心
にした
情報
のスキル、これが身につけられるようにということでやっております。これは、
司書
の
大学
での課程だけでは私は十分とは思えませんので、今も申し上げましたように、
大学院
でこれを補っていくということが
求め
られているだろうと思います。 そういう
意味
では、
国民
の
情報リテラシー
の
育成
のためには、まずは
司書
自身がその
情報リテラシー
を身につけなければいけない。それをどこで学ぶかといった場合には、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで、
図書館
にいながらでも学べますが、それを改めて体系的に学ぶ、さらに言えば、いろいろな
図書館
の人との相互交流の中で
自分
の
地域
の
図書館
の
あり方
が見えてくるという
意味
もありまして、
大学院
での
学習
というものもこれからは強く
求め
られるだろうと思います。
西博義
13
○西
委員
どうもありがとうございました。これからの
図書館
の
あり方
が少し見えてきたような感じがいたしました。 続きまして、
田中参考人
の方にお伺いをしたいと思います。 この「
社会教育
の
現代
的な
意義
」というところで、私は非常にそうなんだなと思ったのは、市民の皆さんが、みんなが寄って新しい
公共
を創造していく、つくり上げていくことが
社会教育
なんだと。
教育
といいますと、何か教え込むみたいなことがついつい思い出されますけれども、大変重要な御指摘だと思います。市民の皆さんが集まって、そしていろいろな
意見
を出し合って、
一つ
の共通の方向性を見出していく、結論を見出していくという
学習
にこそ
社会教育
の
意味
があるんだというお話、大変興味深く拝聴いたしました。 それで、具体的な
東京
都の例をお挙げになりましてお話をいただいたんですが、この中で、これもまた新しい発見なんですけれども、この一番
最後
の図がございます。この中で、
地域教育プラットフォーム
というものを立ち上げられて、そして運営をされているんです。 私ども、この
委員会
でも、今は、
学校
と
家庭
とそれから
地域
、今回の
法改正
の目的も
一つ
はそうなんですが、この
三つ
が共同して
教育
に参加するということが議論されておりまして、
学校
があり、そしてその周りに
学校
の
支援
体制があるというふうなイメージで私はとらえていたんですが、もう少し違う形、
一つ
一つ
の
学校
を核とした、そういう
支援
体制とは必ずしも考えなくてもいいということをこの図を見ながら感じたんですが、その辺の、
学校
とそれから
社会教育
との関連を、
学校
支援
に対して、御見解をお教えいただきたいと思います。
田中雅文
14
○
田中参考人
御質問ありがとうございます。
東京
都の取り組みにおきましては、この何年かの間、事例として、
幾つ
かの
地域
にお願いしながら
ノウハウ
の開発を進めております。例えば、小平市であるとか世田谷区であるとか杉並区であるとか、それぞれ従来からユニークな取り組みをしていた
地域
に対して、
東京
都が、プラットフォームの考え方のもとに、さらにブラッシュアップして
ノウハウ
を開発してほしいということで、研究を一緒に進めてきたところでございます。
学校
というのは固有の文化を持っています。もう戦後六十何年、特定のがっちりした制度のもとにずっと運営されていますので、外の社会とはかなり違う文化が独自に形成されております。そこに対して
地域
が
支援
するといっても、
学校
の文化の枠組みに合った形で
地域
の方で
支援
するということが
求め
られながらも、今度は、
地域
には
地域
の文化がある、あるいは企業の人が
学校
支援
をやるとなれば企業の文化を背負ってくるということで、必ず文化のぶつかり合いというのが起こるんですね。 よく言われるのが、
学校
には固有のスケジュールがあります。絶対に先生方が電話に出られない時間に
地域
の人が電話をして、出られませんと言われたら
地域
の人は怒ってしまう、それでけんかになるという、しなくていいけんかを始めてしまうということがよくあるわけですね。 ですから、そこで、このプラットフォームの考え方の中の根底には、
学校
と
地域
のいろいろな文化を背負った人たちが共通の
価値観
、文化をつくっていく、お互いが文化の変容を起こしながら、そして共通の文化、
子供たち
を育てるという文化をつくりながら、その中で、
学校
は
学校
の
役割
を果たしていただく、
地域
は
地域
の
役割
を果たしていただくということで、私どもが考えていますのは、この
地域教育プラットフォーム
の根底には、それぞれの固有の文化の壁を打ち破り、共通の
教育
観を練り上げていく、それが一番の基本的な条件だと考えております。 以上です。よろしいでしょうか。
西博義
15
○西
委員
ありがとうございます。 周囲が
学校
を取り囲むということだけではなくて、社会そのものを変えていくことによって、
学校
ないしは
家庭
に影響力を及ぼしていこうというお考えかと思いますが、基本的にはそれでよろしいでしょうか。
田中雅文
16
○
田中参考人
相互に変わり合うというイメージで考えております。
学校
自身が変わり、また
地域
の方々、それぞれの団体も変わり、そして、これまでにない共通の文化を持ったものとして生まれ変わって総合的になっていくというふうなイメージで考えております。
西博義
17
○西
委員
ありがとうございます。 時間がもうほとんどなくなってまいりましたので、
最後
に
長澤
先生、一点だけ。 きょうのお話とはちょっと違うんですが、先生の御著作を読ませていただきますと、
公民館
初め、そういう
施設
が今、運営上、指定管理者制度にだんだんと移りつつあることに対しての疑問といいますか、批判的なお考えだと思うんですが、お述べになっておられたのを拝見してちょっと気になったんですが、このことについての現場への影響をお教えいただきたいというふうに思います。
長澤成次
18
○
長澤
参考人
御質問ありがとうございます。 私は、「
公民館
で学ぶ3」にも書かせていただきましたけれども、今
自治体
は、行財政改革の中で、指定管理者制度の
施設
への導入というのは大変圧力が強まっておりまして、私は、指定管理者制度というのは、いろいろな導入の理由が挙げられておりますけれども、基本的には経費節減というのが非常に大きな目的でございますので、やはりそれが、そこで働く
職員
の労働条件の問題とかいろいろなところに波及していく、非常に問題だというふうに考えております。 それから、一番大きいのは、指定管理者制度の制度設計が、御存じのように、三年ないし五年というような形で、いわば期間が指定される。やはりこれが、
教育
というのは非常に息の長い、まさに五年、十年、あるいはもっとかかるかもしれない。特に、
地域
の
社会教育
というのは、
地域
のことを非常によくわかり、そしてまた、いろいろな
人々
のいろいろな要求をつかまえながら進めていく事業でございますので、一年、二年ではなかなかできないということがございますので、やはり長い継続性だとかというものが
教育
の営み、特に
社会教育
の営みに大変
求め
られるというところでは、私は、やはり
公民館
、
社会教育
施設
に指定管理者制度というのはなじまないのではないかというふうに考えておりますし、それが導入されるということは、やはり住民の学びへの影響というのも大変大きいのではないかというふうに考えております。
西博義
19
○西
委員
限られた時間でございましたけれども、お三方、本当に貴重な御提言、ありがとうございました。 以上で終わります。
佐藤茂樹
20
○
佐藤委員長
以上で西博義君の
質疑
は終了いたしました。 次に、笠浩史君。
笠浩史
21
○笠
委員
おはようございます。民主党の笠浩史でございます。 きょうは、
糸賀参考人
、
田中参考人
、そしてまた
長澤
参考人
におかれましては、本当に貴重な御
意見
をいただきましたことに、まず冒頭、感謝を申し上げたいと思います。 順番に、
幾つ
か質問をさせていただきたいと思います。 まず、
糸賀参考人
の方から、
図書館
の
充実
ということですね。私も実は、一昨年
フィンランド
の方に参りまして、
学校
の現場あるいは
図書館
等々をかなり視察してまいりました。先ほど御指摘あったように、
フィンランド
が読解力も含め学力調査の中でも
世界
で最高
水準
にあるというところには、読書量の多さということと
図書館
の
充実
というのが
一つ
の大きな理由ではないかと私は思っております。 そうした中で、
フィンランド
のように、公立でさまざま
充実
をさせたり、あるいは過疎というか田舎の方には車の移動
図書館
なんかも来たりというような実にきめの細かい施策が行われているわけですけれども、現実、我が国でもっともっとこの
図書館
を
充実
させようと思うと、当然、数もふやさなきゃならないし、予算というものも確保していかなきゃならないわけですけれども、先生おっしゃるようなレベルに一気に行くというのはなかなか難しいと思うんですね。 そうしたある限界の中で、現在、公立の
図書館
であるとか、あるいは
学校
の
図書館
、また私立の
図書館
、既存の
図書館
の数をふやすということは我々やらないといけないんだけれども、そこにある限界がある中で、どういう形で
連携
をしていくとか、あるいは工夫をしていけば
図書館
の
充実
というものを図っていくことができるのか。何かいい妙案があれば、ぜひ御示唆をいただければと思います。
糸賀雅児
22
○
糸賀参考人
御質問ありがとうございます。 なかなか妙案はないのでございますけれども、
一つ
大事な点は、私は、
図書館
の
司書
をそれぞれ
配置
することで、今おっしゃる、ネットワークといいますか、足りない
図書館
の中での資源の有効
活用
ということが一層進むだろうと思います。 ちなみに、よく言われることでありますけれども、
図書館
の運営の実績を決める要因は大きく分けると
三つ
あるんです。
一つ
は、
施設
、建物です。二番目は、その
図書館
に収蔵されている
図書館資料
、本だとか、先ほども御指摘ありましたように、例えばデータベースを入れるとか、雑誌や新聞といった
資料
です。
最後
、三番目が、
図書館
で働く
職員
です。 この
三つ
なんですが、この
三つ
の中で、ウエートといいますか、比重はどれぐらいかといいますと、多くの
図書館
関係
者、これは
アメリカ
あたり
の
図書館
先進国の
関係
者も言うんですが、
施設
が占めるウエートは一割だろう、
資料
が占めるウエートは大体二割ほどじゃないか、残りの七割は、実はそこで働いている
職員
の資質が決めるんだ、こういうことなんですね。 そういう
意味
では、今、笠
委員
御指摘のような、
日本
でまだまだ
図書館
の
整備
が足りない、これをある
意味
では補っていくためには、
司書
を適切に
配置
する、
専門
的
職員
を
配置
するということが、結局は与えられた資源を有効に使うことに結びついていくだろうと思います。 それから、やはり
図書館
の数はふやさなければいけないという御指摘が今ございました。私もそのように申し上げました。妙案になるかどうかわかりませんが、私は、大きく分ければその方策は
三つ
考えられるだろうと思います。
一つ
は、現在の
法律
、つまり
図書館法
の第二十条にも、
施設
と設備についての補助金規定がございます。この補助金規定をうまく
活用
して国が地方
自治体
に対してそういった補助をすれば、
図書館
設置は進むだろうと思います。しかしながら、現在の財政
状況
を考えるとこれはなかなか厳しいかもしれませんが、それがやはり短期的には有効な方策の
一つ
だろうと思います。 二番目は、
図書館
を設置するのは当該地方
自治体
でありますから、その首長さん、いわゆる知事さんでありますとか市長さん、町長さん、村長さん、この方々に
図書館
が必要だということをもっと理解していただく。つまり、
政策
決定の優先順位を高めていただければ、今
図書館
のないところ、あるいは
図書館
が足りないところでもつくっていただくことができます。 そういう
意味
での機運を盛り上げるような
政策
展開といいますか、国からの
支援
、例えばイベントの開催を
支援
するというふうにして
図書館
の機運づくりを盛り上げていくといいますか、高めていくということが
求め
られるだろうと思います。これは、首長さんへのいわば戦略ですね。 三番目は、やはり一番肝心なのは、
国民
、
地域
住民の方々です。その方々に
図書館
の本来の
あり方
を知っていただく。そのためにも、先ほど申し上げたようなイベントを開催するということも必要だろうと思います。 ちなみに、二〇〇四年、四年前に
文部科学省
さんのお力添えで、ディスカバー
図書館
というイベントを
東京
で開催しました。このときに、
図書館
に関心が大変多く集まりまして、御茶ノ水にあります明治
大学
を会場で使ったんですけれども、千人近い方々がお集まりいただきまして、
図書館
機運が高まりました。 さらに言えば、小
学校
段階からきちんと
図書館
の利用
教育
をやると、
図書館
が本来どういうものかがわかった大人が育つわけです。こういう人たちが、
地域
に
図書館
がないと基本的な
インフラ
が整っていないということに気がつくわけなんですね。 そういうふうにして、国からの働きかけ、首長さんの判断、優先順位を高める、そして
国民
の
図書館
の利用能力を高める。これはいわゆる
図書館
リテラシーと言いますが、
図書館
リテラシーを高めることがひいては
情報リテラシー
の
向上
にもつながっていく。そこら
あたり
が当面の策として考えられるだろうと思います。
笠浩史
23
○笠
委員
ありがとうございました。また本当に参考にさせていただきたいと思います。 限られた時間でございますので、次に、
田中参考人
の方にお伺いをさせていただきたいんです。 先ほど、
学校
自身も
地域
も相互に変わっていくんだということですね。その文化、その壁をぶち破ってということがあったわけです。
田中参考人
におかれましては
東京
都の生涯
学習審議会
の方で副会長をされていると伺っておるわけですが、きょう先生の方から御提案のあった
地域教育プラットフォーム
なんですが、この中で、今、特に
東京
あるいは京都の方で大変進んでいる
地域
立
学校
、コミュニティースクールというものの位置づけはどのようにしていけばいいのかということを具体的にお話しいただければと思います。
田中雅文
24
○
田中参考人
非常に重要な御質問をありがとうございました。 いわゆるコミュニティースクールと言われるものは、
学校
運営協議会というものをつくりながら
地域
住民が
学校
の運営に対して
意見
を言い、そしてまた協議会での質問なり指摘を
学校
長がきちんと受けとめて検討しながら運営しなければいけないという制度でございます。 実は今、住民参画とか市民参加と言われるときに
一つ
問題がありますのは、平たく言いますと、汗を流さないで
意見
だけ言うという市民が実は
行政
への参画においても問題となる場合がございます。
学校
においてもそうでございまして、コミュニティースクールという制度のもとに
学校
に対して
意見
を言う、指摘をするというふうな市民が集まっての協議会というのになりますと、
学校
運営がむしろ非常に厳しくなるという面もございます。 ですから、実は小平のがそうなんですけれども、
意見
を言うだけではなくて、まずは
学校
支援
ボランティアで
活動
して
学校
のことを理解する、そして
学校
と
地域
の
関係
を体験的にわかる、把握する、その上で協議会のメンバーになるというのがやはり非常に必要な条件だと思います。ですから、
活動
し
学校
をまず理解する、理解した上でコミュニティースクールの協議会のメンバーになるということが必須の条件ではないかというふうに考えております。 要は、
意見
だけ言うのではなくて、教師とともに
学校
をつくり上げる体験をしながら、さらにはその上に立って
意見
を言えるような形にしていくということが重要だと考えております。
笠浩史
25
○笠
委員
もう一点、関連してお伺いをしたいんです。 私は川崎の方を選挙区にしているんですが、昨今、公立の小
学校
や中
学校
に、例えばおやじの会であるとかさまざまな形で
地域
の方々が
学校
の運営にも参加していこうよ、あるいは、
家庭
と
地域
と
学校
というものの、先生おっしゃったような
連携
を強めていこうということで立ち上がっていただいているんですが、一方で、今おっしゃったように、なかなかそういう
活動
にかかわってこられない、もう一歩踏み出してこられない、そういう層というのをどうやって巻き込んでいくのか。そういった点について、ぜひ御示唆をいただければと思います。
田中雅文
26
○
田中参考人
ありがとうございます。私のキャンパスも川崎にございまして、川崎では、おやじの会で有名な方がいらっしゃいます。 おやじの会の場合、どうしても平日はなかなか難しい。残業なども考えると、どうしても休日が
中心
になる。そうなりますと、休日にあえて出てくるためには、まず、これはどのボランティアでもそうですが、楽しみをいかに提供できるかということですね。ですから、おやじの会の場合には、価値意識であるとか
公共性
であるとかというところから入るのではなくて、まずは、飲み食いをするであるとか一緒に楽しむであるとか、そういう楽しみの場をどうやって提供できるか。 ですから、そういう
意味
では、おやじの会は明らかにボランティア
活動
ではありますけれども、ただ、その入り口としては、余暇
活動
的なイメージで入れるような、楽しみの場を提供し、そこからだんだんだんだん役に立てる
活動
に入っていっていただくということだと思います。 私も
幾つ
かのおやじの会とおつき合いがございますが、まずは、やはり楽しみというところから入るケースが多いように見ております。
笠浩史
27
○笠
委員
どうもありがとうございました。 続きまして、
長澤
参考人
の方にお伺いをしたいんです。 先ほど、今回の
法改正
の中で、
社会教育
委員
の制度について、これはもともと必置ではないわけでございますけれども、補助金を受けるときに、今回、
社会教育
委員
を置いていなくても、審議会等々にかえることができるということが盛り込まれました。 私、逆に、教えていただきたいんですが、この
社会教育
委員
の制度自体がまだ置かれていないところももちろんある。あるいは、未設置の
自治体
にとどまらず、置かれていても形骸化あるいはマンネリ化しているんじゃないかという指摘もなされるわけですね。今後、この
社会教育
委員
の制度これ自体をどのようにしていくことが望ましいのか、どういう形に持っていくことがいいのか、その点についてぜひ教えていただければと思います。
長澤成次
28
○
長澤
参考人
御質問ありがとうございます。 私も、先ほど発言させていただきましたけれども、
社会教育
委員会
議というのは、
関係
団体に対する補助金交付の際の
意見
を聞くというような、そういう機能もありますけれども、やはり、
地域
の
社会教育
計画を立案するというのが一番重要な職務内容でございまして、ですから、まさに
自分
たちの
地域
を、そこには住民の方たちも、要するに住民の代表の方たちも
社会教育
委員
に入っております。その
社会教育
委員
の
あり方
も、例えば
委員
の中に公募制を導入するとか、さまざまな
自治体
での御努力がなされているわけでありますけれども、
自治体
の
社会教育
計画を住民とともに
行政
がつくっていくという非常に大事な
役割
がある。 今回の
改正案
は、やや補助金の問題との絡みで規制緩和されて、それが、もともと任意設置ということがありますから、
社会教育
委員
があるところも
社会教育
委員
を廃止して、別の、例えば生涯
学習審議会
やほかの審議会にその機能を持たせるということによって、一番大事な
社会教育
委員
の
会議
の中身というものが、いわば
委員
の制度が後退することによって大事な
社会教育
委員
の
会議
の
仕事
というものが、
活動
というものが後退していくのではないかというところを私は大変危惧しております。 もちろん現状は、形骸化しているとかいろいろあるかと思いますけれども、まずは、それをどうやってよりよいものにしていくのかという、まさにそれが、
地域
の中で、あるいは
自治体
の中で
求め
られていることだというふうに私は考えております。
笠浩史
29
○笠
委員
もう一点、今のことに関連してなんですが、
社会教育
委員
の制度もそうなんですけれども、まず今、首長さんのいろいろな部局がございますね、また
教育
委員会
がある、そして
社会教育
委員
の制度もあり、あるいは今おっしゃったような生涯
学習審議会
みたいなものもあったりということで、なかなかそこら
あたり
の、もともとできたときにはそれぞれの
役割
があったと思うんです。もちろんあるんですよね。けれども、そこがまた、何か屋上屋を重ねるようなわかりにくさというものも整理をしていく必要があるんですが、その辺の、
教育
委員会
とのかかわりを含めて、
社会教育
をしていく上で今後どういうふうに、そういう
委員会
等々の
組織
の
あり方
というものをもう少しシンプルにした方がいいんじゃないかと私は思うんですが、その点を
最後
にお伺いいたしたいと思います。
長澤成次
30
○
長澤
参考人
ありがとうございます。 その
あたり
は今、まさに論点になっているところだというふうに思うんですね。
教育
委員会
というのは、やはり一般
行政
とは独立した
行政
委員会
として存在しております。また、
社会教育
というのは、
公民館
、
図書館
、
博物館
がございますので、それぞれ
図書館
協議会、
博物館
協議会あるいは
公民館
運営審議会というのがあるわけでありますけれども、私は、
教育
委員会
は、住民の多様な声を直接聞くルートというものが豊かにあるということ、やはりそういう豊かさというのはあるんではないかなというふうに考えております。 ですから、逆に、
教育
委員会
の場合ですと、
社会教育
委員
の
会議
と首長部局、生涯
学習審議会
の
関係
では非常に議論になるところでありますけれども、多様なルートの持っているむしろ豊かさというのをもっと追求する、そういう考え方、道もあるのではないかというふうに私は考えております。
笠浩史
31
○笠
委員
どうもありがとうございました。
佐藤茂樹
32
○
佐藤委員長
以上で笠浩史君の
質疑
は終了いたしました。 次に、石井郁子さん。
石井郁子
33
○石井(郁)
委員
日本
共産党の石井郁子でございます。 本日は、三人の先生方、国会の審議に
当たり
まして、それぞれの
立場
から貴重な御
意見
をお述べいただきました。本当にありがとうございます。 早速御質問させていただきますけれども、まず、
糸賀参考人
に伺いたいと思います。 先生の、
大学
の実践そしてまた
図書館
行政
等々に対する研究を踏まえて、
図書館
の
整備
や
司書
の
配置
の重要性ということについて大変具体的に述べていただいたというふうに思います。また、きょうは先生の御発言になかったと思いますけれども、
日本
の
図書館
というのは発展途上国の
状況
だということがちょっと目にとまりましたので、そういう認識の上で伺うんですけれども。 一点は、先生は中央
教育
審議会などの審議にも参加していらっしゃいますので、今、
教育
振興
基本計画、数値目標を出す出さないで
最後
の詰めをしているところかと思うんですけれども、この問題で、
教育
基本法に基づく
教育
振興
基本計画についての答申というのがありましたよね。この中では、「
図書館
が住民にとって身近な「
地域
の知の
拠点
」として、だれもが利用しやすい
施設
としての機能を果たすよう促す。」というのがあるんですよ。だから、こういう文言はあっても、これを具体的にどのように
整備
していくのかということがこれから問われるわけであります。 一体、
整備
の
あり方
、また、数値目標がここでは入るのか入らないのかというような議論が中教審などではどうだったのかということを踏まえて、今後、
図書館
の
振興
を本当にどのように
教育
振興
基本計画の中で図るべきなのか、その財政的な措置などをどのように考えていったらいいのかということについて、きょうは率直に御
意見
を伺えればと思います。
糸賀雅児
34
○
糸賀参考人
御質問ありがとうございます。 今
委員
御指摘のとおり、本来は、この
教育
振興
基本計画の中で具体的な目標値を掲げていっていただければ、
図書館
関係
者の一人としては大変喜ばしく思います。 具体的な数という
意味
では、先ほど私、第二表で、
G7各国
における人口十万人
当たり
の
図書館数
ということでお示しをいたしました。ここで見ていただきますと、現状では
日本
が二・三一、ほかの国々では、これが五ないし、一番多いドイツで十四というふうな数値が挙がっております。これを単純に考えますと、少なくとも
イギリス
並み、つまり、現状の三倍近い
図書館
が必要になってくるだろうというふうに考えます。 これの
一つ
の考え方として、現在、各
地域
に中
学校
がありますが、中
学校
区に
図書館
を
一つ
ずつ
整備
していくということも
一つ
の目安として考えられるだろうと思います。そのようにしていきますと、今も申し上げましたように、
イギリス
並みの
図書館
の
整備
水準
になってまいります。 ただ、
図書館
の数だけをふやせばいいというものでもございません。先ほど申し上げたように、きちんと
司書
を
配置
する、あるいは
一つ
の
図書館
の規模というものも問題になってまいります。いろいろと調べ物をしようとする、あるいは
地域
の
課題
の解決につながるような
図書館
といいますと、やはり床面積や蔵書数、そういったものも一定
水準
のものがなければだめだろう。私はやはり、少なくとも十万冊ぐらいの規模の
図書館
でなければ使いではないだろうというふうに思います。 そこら
あたり
、規模と数のバランスを考えた上での具体的な指標化ということができればいいだろうというふうに考えています。
石井郁子
35
○石井(郁)
委員
どうもありがとうございました。
田中参考人
にお伺いいたします。 NPOが行う
学習
活動
について、いろいろな実践またネットワーク等々をつくっておられますし、また研究もされているというふうに思いますけれども、
一つ
は、NPOが
教育
の分野で、特に子育てという分野で、
学習
をするテーマとか意欲とかというのは近年どういう特徴を持っているのかということをちょっと具体的に伺えればということがあります。 そして、同時にもう一点。先生の書かれた中で拝見したんですけれども、
教育
の分野にも市場原理が浸透してきている、特に指定管理者制度の導入が拍車をかけているという指摘がございまして、
社会教育
の分野では、
行政
の側が民間の企業と一緒になって事業を展開することもあるのが実情であるという指摘を見ましたので、こういう問題は、NPOの視点から見てどういう問題を投げかけているのか、もたらしているのかということをちょっとお聞かせいただければというふうに思います。
田中雅文
36
○
田中参考人
御質問ありがとうございます。二番目の方からいかせていただいてよろしいでしょうか。市場原理の話です。 実は、NPOが民間の新しい
セクター
として浮かび上がりながら、今、いろいろな方向が目指されていると思います。私なりの
言葉
で言うと、需給分離型と需給融合型を探る、NPOがそれぞれ方向を探っていると思います。需給分離型というのは、NPOが
サービス
する側、住民なりなんなりが
サービス
を受ける側。需給融合型というのは、住民なり市民と一緒になってNPOが何かをつくり上げていく。市場原理というのは、需給分離型の方でございます。 例えば事例を挙げますと、ちょうどキャンパスが川崎なものですから、川崎の虹ケ丘小
学校
コミュニティルームというのがございます。そこでは、
学校
の
施設
一部を開放して、
地域
施設
として市民ボランティア
組織
が運営しています。そこを調査したんですが、それは完全に需給融合型でやっています。今、NPO法人をつくっております。 ここにつきましては、住民と一緒になって、新しいコミュニティーづくりの
拠点
としてこのNPOが頑張るという形でいっております。これは、市場原理に進むのではなくて、コミュニティー原理といいますか、コミュニティーの中でNPOが、そのコミュニティーの
つながり
を、先ほど言いました
ソーシャルキャピタル
を豊かにする方向で模索しております。ですから、こういうケースを参考にしながら、これからの需給融合型のNPOの
あり方
というのをもっともっと研究していく必要があると感じております。 一番目の方で、子育てに関するNPOの話なんですが、先ほどの
学校
支援
とかかわる問題ですが、杉並区は、
学校
支援
をするための
人材
なり
組織
なりを、今、委託という形でかなり重視しております。そこの委託を受けているNPO法人、スクールアドバイスネットワークというNPO法人がありますが、これが
学校
と外の
専門
家をうまくつないで、
学校
の先生と一緒に
プログラム
を組みながらそこに必要な
人材
を張りつけていくという形で、いわゆる
学校教育
の
プログラム
を先生と一緒につくり上げるというふうな形をとっております。こういうものが
一つ
のこれからの参考になるのではないかなというふうに思っております。 以上です。
石井郁子
37
○石井(郁)
委員
どうもありがとうございます。 私も、確かに
地域
の住民がいろいろな
学校
にかかわっていくということは大変大事だと思うんです。しかし、そのかかわり方というのは、やはりなかなか考えないといけない問題をいろいろはらんでいるというふうに思いますし、また、
教育
というのは、本当に幼児の時期から、そして
学校教育
、そしてまたその後という、大人になっていく長い問題をはらんでいますから、
学校
だけにかかわるというやり方で考えると、どうなのかなということもちょっと考えておりまして、今お聞きしたところでございます。 次に、
長澤
参考人
に伺いたいと思いますけれども、先生から、この本を見てほしいということでいただきました。
社会教育
の分野でいろいろな法ができて以降、法成立以降、本当に研究と実践というのが積み重ねられてきたと思うんですね。それが
公民館
の
職員
と
地域
住民との共同という形でいろいろな実践がされてきた、もう五十年以上になりますから、そういうふうに思うんです。しかし、私どもも、
公民館
の中でどんな
学習
、学び、そういう住民と
職員
との共同が進められていたのかというのを余り知らなかったというか、率直に申しまして、今回の
法改正
を前にして、改めていろいろなことを学ばされたということがあるんですね。 そういう
意味
で、先生に伺いますけれども、これは千葉での実践が書かれていると思いますけれども、住民が学ぶということを今どうとらえていて、そして、自発的に学ぶ要求というのは、どんなふうに
職員
の皆さんが酌み上げられてそういう
活動
を進められているのか。その何か典型的な例というようなことを御紹介いただけたらいいかなというふうに思いますが、どうでしょう。
長澤成次
38
○
長澤
参考人
御質問ありがとうございます。それからまた、本もお読みいただきまして、ありがとうございます。
公民館
というのは、もうかなり、戦後六十年以上歴史がたっておりますし、
全国
に一万七千から一万八千の
公民館
がございまして、この実践を全部紹介するといいますか、あるいはそこで行われている住民の学びというものを紹介するというのはなかなか困難な部分もあるかなというように思うんですけれども、本当に、その実践については、例えば
全国
公民館
連合会とかあるいは月刊
社会教育
だとか、さまざまな
社会教育
、
公民館
の雑誌等、出版物がございまして、そこで紹介されているかというふうに思います。 今私たちは、
自分
たちの暮らしをつくっていくという、まさに
自分
の暮らしと生き方にかかわるような学びというのが、例えば子育ての問題やあるいは女性の生き方の問題あるいは環境問題、今、
地域
にさまざまな
課題
というのが噴出をしておりまして、まさに豊かな
自分
の暮らしとそれから
地域社会
を豊かにしていくという
意味
で、やはりこの
社会教育
あるいは住民の学びというのはとても大きな
意味
があるかというふうに思います。そのときに、住民とやはり
行政
、あるいは住民と
公民館
というのが協力、共同して進めていく、そういう実践ですね。 そういう点では、実は今回の
法改正
でも、特に、ちょっと先ほど指摘させていただきましたけれども、
公民館
、特に
公民館
主事
というのは、社教法二十七条で、必置ではなくて任意設置になっているんですね。ですから、社教法で
主事
が
法制度
化されていない
状況
の中で、いわば
専門職
制度、
公民館
職員
の制度化というのを進めるのが
自治体
の努力に任されてきたというようなところが戦後
日本
の場合にはございまして、でも、そういうところでも、それを超えていく実践が随分出てきております。 例えば、岡山県の岡山市では、三十七の
公民館
がございますけれども、そこに、もともと嘱託
職員
だった者をいわば正規
職員
にしていくという、
社会教育主事
有資格者の正規
職員
をほぼ
公民館
に
配置
するというような、そういう実践がありますし、大阪の貝塚、ここは
公民館
が
拠点
となって子育てネットワークが進められており、あるいは千葉県の木更津とか君津とか、そういう
自治体
における
専門職
制度の自治的な努力と住民が結びついて、住民の学びを援助していく営みというのがいろいろな各地で展開されていて、千葉もその事例の
一つ
だというふうに私は考えております。
石井郁子
39
○石井(郁)
委員
今話されましたけれども、社教
主事
が任意設置という中でも、そういう豊かな実践というのはいろいろな形で努力されてきたということを伺うことができましたが、今回の
法改正
の中では、
教育
委員会
、
行政
の側が
学校
支援
地域
本部などでの事業を行っていくということが強く出てきているわけですよね。それとの
関係
でいいますと、今お話しのような
公民館
側の自主的な取り組みとこの問題というのは一体どうかかわっていくんだろうかということをもう一点伺いたいことが
一つ
です。 それで、もう時間もあれですから重ねて
最後
にもう一点ですけれども、今回の
法改正
で、
公民館
、
図書館
、
博物館
にいわば評価というのが入ってきているんですよね。これは新設条項であります。いわば評価ということを法定化されるわけですから、この中身が問われなきゃいけないわけですけれども、私は、やはり
公民館
、
図書館
、
博物館
ともに、今るる各
委員
の方も言われましたように、予算、人的な補充とか拡充というのがどうなのか、そこが一番問われているときに、それの手当てがなくて、それで一方で評価、評価ということで来ると、本当に、果たして
地域
住民の
期待
にこたえるような
活動
が今後できていくんだろうかということを危惧いたします。 やはり、評価をすることが逆に今の
状況
をもっと悪くするということに
つながり
はしないか。人を減らすとか、いろいろ予算も減らすとかいうことに
つながり
はしないかということがありますので、本当にこの
施設
の機能をより果たしていくためには、この評価という問題も、現場ではどう受けとめていらっしゃるかということも
最後
にお聞きしたいと思います。
長澤成次
40
○
長澤
参考人
質問ありがとうございます。 第一点目の
教育
委員会
と
公民館
の
関係
ですけれども、先ほどの住民の学びというものを保障するというところでは、
公民館
というのは、住民の学びの要求とかいうものに基づいて、いわば自律的に
公民館
が
学習
活動
を進めていくというところに特徴があるというふうに思うんですね。
教育委員会事務
局というのは、それをいわば条件
整備
していくということでございますので、そういう点から考えますと、今回の
法改正
もそうなんですが、私はこの間一貫して主張しておるんですけれども、社教法の第五条、第六条、
教育
委員会
の事務ですよね、
公民館
、
図書館
、
博物館
というのは事業という
概念
で、事務と事業という
概念
が法の中で大変混同されているのではないか。 二〇〇一年
法改正
の中にも事業という
概念
が入りました。今回も事業という
概念
がいわば
教育
委員会
の事務の中に例示されるというのは、
教育
機関の事業、
教育
委員会
の事務、その区別というものをやはり非常にあいまいにして、
教育
委員会
が進めていくというところは、住民の学びを保障するという観点から、私は、その
役割
分担が大変あいまいにされてしまうのではないか。それが結局、住民の学び、自律的な
公民館
、
教育
機関としての自律性というのをやや脅かすのではないかというふうに考えておりまして、大変そこのところは大きな論点だというふうに考えております。 それから、二つ目の評価の問題ですけれども、御存じのように、二〇〇三年の
公民館
設置運営基準が全面改定されたときに、
公民館
の事業の自己評価というのが入りまして、ですから、既に各
公民館
でそのような実践が重ねられているわけですね。 今回は、事業の自己評価ではなくて運営にまでいわば評価の分野が拡大されておりますので、御存じのように、今大変
自治体
が厳しい
状況
にありますから、先ほど言いましたように、
公民館
というのは本当に条件としては非常に厳しいところで、しかし、
全国
各地でいろいろな形で頑張っているわけですよね。そういうときに、貧しい
状況
の中で評価がかぶされますと、やはりそれはもう要らないのではないかというふうになってしまう。そういう論理といいますか
仕組み
が出てきてしまうのではないか。 ですから、私は、今回の評価の問題については、やはり
公民館
の条件
整備
といいますか、そこのところを進めていくというのが
教育
行政
の非常に大事な
役割
なのではないかというふうに考えております。
石井郁子
41
○石井(郁)
委員
時間が参りました。三人の先生方、どうもありがとうございました。 終わります。
佐藤茂樹
42
○
佐藤委員長
以上で石井郁子さんの
質疑
は終了いたしました。 次に、
日森
文尋
君。
日森文尋
43
○
日森
委員
社民党の
日森
文尋
でございます。 きょうは、三人の先生方、本当に貴重な
意見
をありがとうございました。私で
最後
でございますので、簡潔に先生方に御質問をさせていただきたいと思います。 最初に、
糸賀
先生に御質問します。 先ほど、なるほどというお話を聞きました。
図書館
の中で、書籍が一割、
資料
が二割、
人材
がどう
活用
されて、これはどういう
仕事
をしているのかということが実は七割なんだというお話をお聞きしまして、
司書
の
役割
がいかに重要かということを改めて認識させていただきました。残念ながら、であるにもかかわらず、
司書
が
配置
をされていないとかいう
図書館
がたくさんある。
図書館
自体も、先進七カ国で比べれば全く恥ずかしい限りの数でしかないということについて愕然たる思いがするんです。これはもう本当に、
糸賀
先生の意を体して、我々は頑張って、
地域
の
情報拠点
としての
図書館
というものをしっかりつくっていく努力をしなければならないと思っています。 一方で、既存の
図書館
の中でも、それだけ
司書
の
役割
が重要視されているにもかかわらず、例えば、市区でも六割、それから
町村
では九割、
図書館
職員
の
研修
が行われていないという実態があるようなんです。恐らく業務に忙殺されて、数も少ない、したがって
研修
など行っていられないというのが実情だと思うんですが、こういう現状について、ひとつどうお考えなのか。こういう現実だと、実際に
地域
の
拠点
としての
図書館
の業務が今ある
図書館
でも果たしていけないのではないかという心配がちょっとあったものですから、先生のお考えを、感想といいますか、お聞かせいただきたいと思います。
糸賀雅児
44
○
糸賀参考人
御質問ありがとうございます。 今
委員
御指摘のとおり、特に
町村部
では専任で
図書館
で働ける
司書
の
配置
が大変おくれております。 これは、現在の
図書館法
の十三条にも、
教育
委員会
が必要と認める
専門
的
職員
を置くというふうになっているわけであります。この
図書館法
の第三条では、最前から御指摘もありましたように、
図書館
奉仕、いわゆる
図書館サービス
の規定が書かれております。この
図書館
奉仕として掲げられた規定を実践していくためには、
専門
的
職員
が少なくとも一人、本来ならば、その
図書館
の規模に応じて複数は
配置
されるべきであります。しかしながら、残念ながら我が国では、
法律
で規定されている資格を持った
司書
すら
配置
されていない、こういう実情があるわけでございます。 これにつきましては、やはり当該
自治体
の任命権者、つまり首長さんでありますとかあるいは
教育
長さんが
図書館
の
司書
の働きを十分理解していただくことがまずは必要だろうと思いますし、同時に、
司書資格
を持っている人間、
図書館
で働いている人間も、やはり
自分
たちの存在
意義
というものが十分わかるような
仕事
の仕方ということを一方でやっていかなければいけないだろうと思います。 そういう
意味
で、今回の
法改正
が
研修
についてきちんと国や
都道府県
に
努力義務
を規定したということは、私はすごく
意味
があるだろう。それだけに、そういう
研修
や
教育
を受けられるような環境になっていくよう、これも国あるいは
都道府県
の方で働きかけていかなければいけない。そうした上で、
司書
もやはり
図書館
で必要だということをもっとアピールし、同時に、首長さん方あるいは
教育
長さんも、
図書館
というのは本来
司書
がいなければ動かないんだと。七割は、先ほど申し上げましたように、
司書
、
職員
の占める割合が大きいわけですから、その実態を知った上で今後は
司書
の
配置
をふやしていって、少なくとも
欧米
並み、
G7
並みの
図書館サービス
が展開できるような
状況
に持っていっていただけたらというふうにお願いいたします。
日森文尋
45
○
日森
委員
どうもありがとうございました。
田中
先生にお伺いをしたいと思います。 先ほど、
東京
都の話、なかなか複雑怪奇で難しい話なんですが、何となくイメージとしてわかりました。 先生は、異なった
世代
間交流の重要性ということを大変強調されておりまして、そう伺っているんですが、異なった
世代
間で交流を積極的に行うということが強調されているんですが、その中で、
公民館
の
役割
というのは、先生のお考えの中でどういうふうに位置づけをされているのか。具体的な例も含めて、もしありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
田中雅文
46
○
田中参考人
ありがとうございます。
世代
間交流とは、もう言い尽くされている
言葉
でございますが、見ていきますと、一般的には、大人ないしは高齢者が
子供たち
にいろいろなことを教える、
学習
支援
するというふうなイメージが強いんですが、実は、大人自身が子供に何かすることで、そのはね返りで、大人自身の活性化であったり、大人自身が学ぶということが非常に多いわけですね。ですから、
世代
間交流というのは、異なる
世代
間の学び合いの
仕組み
だと考えております。 具体的には、例えば、国分寺の本多
公民館
という活発な
公民館
がございますが、そこでは
地域
会議
という名前で、
地域
のいろいろな
立場
の方々が集まって
学習
なり交流をする
仕組み
がございます。そういう
仕組み
の中で
世代
間の交流が行われていて、
世代
を超えた
地域
の
つながり
、先ほど申し上げましたような
ソーシャルキャピタル
というふうな
概念
でもとらえられる可能性のある、そういう芽が出てきております。 ですから、
公民館
が、先ほども申し上げました
地域
の
人々
の
つながり
や
ソーシャルキャピタル
を
蓄積
していく
役割
があるとすれば、そこには当然、異なる
世代
、異なる文化の方々が寄り集まる
仕組み
が必要で、そういう中で、お互い学び合い、そして、文化の交流を含めまして
地域
全体の文化を醸成していくというふうなことが見られると思います。事例として先ほど申し上げました本多
公民館
などは、その
一つ
の芽が出ているというふうに見ております。 以上です。
日森文尋
47
○
日森
委員
ありがとうございました。 続いて、
長澤
先生にお伺いをしたいと思います。 いろいろ準備したんですが、前の
委員
がすべて聞いてしまいましたので、一点だけお聞きをしたいと思います。
社会教育
の
充実
ということで、今先生はちょっと批判的な御見解をお示しなさっているんですが、国や
自治体
行政
が、
社会教育
の
充実
に向けて一体今何をしなければいけないのか、何をしてはいけないのかということについて、簡潔にお答えいただけたらと思います。
長澤成次
48
○
長澤
参考人
ありがとうございます。
行政
というのは、特に
教育
行政
の場合には、何度も繰り返しますけれども、やはり諸条件
整備
というのが非常に大事な
役割
でございまして、中身については、その住民あるいは
地域
がその
学習
内容というものを決めていくというような、住民の学びの自由と自治、この自由と自治というのが私はやはり
社会教育
の原理だというふうに思います。 そのことを踏まえた上でさまざまな条件
整備
をしていく。
一つ
は、
職員
体制も非常に大きいと思います。特に
公民館
の場合には、
図書館
、
博物館
に比較して大変
法制度
的におくれているわけですね。ですから、そういう
職員
体制の問題、予算の問題等々、そういう条件
整備
というところに本来力を入れていく必要があるのではないかというふうに考えております。
日森文尋
49
○
日森
委員
それ以外のことはしてはいけない、なるべくなら、してはいけない、いやいや、してはいけないという
意味
でよろしいですね。 ありがとうございました。終わります。
佐藤茂樹
50
○
佐藤委員長
以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人各位
に一言御礼申し上げます。
参考人
の皆様には、それぞれの
立場
から貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございます。本日いただきました御
意見
につきましては、今後の
委員会
審議に生かしてまいりたいと思います。
委員会
を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)
—————————————
佐藤茂樹
51
○
佐藤委員長
この際、お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
文部科学省
生涯
学習政策局長
加茂川幸夫
君の
出席
を
求め
、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤茂樹
52
○
佐藤委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
佐藤茂樹
53
○
佐藤委員長
これより政府に対する
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。田島一成君。
田島一成
54
○田島(一)
委員
民主党の田島一成でございます。
参考人
質疑
に続き、政府に対する
質疑
で三十分をちょうだいいたしましたので、適宜明快な答弁をぜひお願いしたいと思います。 実は、質問に入る前に、一昨日、私の地元、彦根市の
教育
委員会
、そしてPTAの事務局から電話がありました。
文部科学省
が田島一成の
社会教育
委員
の経歴を事細かく聞いてきた、PTAのこれまでの経歴を聞いてきた、答えていいでしょうかという、そんな電話でありました。 恐らく、私、かつて
社会教育
委員
をやらせていただいておりまして、その経歴を事前に調べようという思いであったんでしょうけれども、
教育
委員会
の方は、何事があったのかと。理由も一切知らされずに議員の経歴を調べようとする、その魂胆がわからないものですから、心配になって、すぐに電話をしてこられました。 うちの事務所に問い合わせてくれれば、すぐ答えられたことなんですね。そうやって
教育
委員会
等々の
仕事
をふやさせているその
一つ
ではないかと私は大変不快感を覚えたところでございます。どうぞ、その辺は、調べたいならばいつでも聞きに来てください。
教育
委員会
であるとかPTAの事務局なんかに余計な
仕事
をふやすことは今後ぜひ御遠慮をいただきたい、このことを冒頭に申し上げておきたいと思います。 さて、
社会教育法
についてきょうは質問させていただきますが、実は今回、この
社会教育
をめぐるさまざまな調査データがないかといろいろと探してみましたが、なかなかこれという
情報
を得ることができませんでした。 そんな折しも、
平成
十七年度に
社会教育
調査報告書というのが
文部科学省
から出されています。大変分厚いものでありますが、これを何とか手に入れようと思ったのですが、残念ながら、ホームページからダウンロードするしかない。といいながらも、
文部科学省
の方からわざわざプリントアウトしてお持ちをいただきましたので、これをもとにいろいろとお伺いをしたいというふうに思って中を拝見したのですが、残念ながら、この
社会教育
調査報告書は、三年間に一度しか調査を実施されていないということで、その前は
平成
十四年度、今回、一番新しいのが
平成
十七年度でありまして、おまとめいただき、出されたのは
平成
十八年のことでありました。
平成
二十年度がまとめられて提出されるのは来年というふうに聞いておりますが、この発行部数もわずか四百部ということで、この調査報告書自体、ホームページで調べていくのにもなかなかたどり着かないというような実態がありましたから、この調査報告書がどれぐらい今回の
法改正
に生かされているのかを冒頭ぜひお伺いをしたいと思います。 三年に一度しか調査をされていない。今回、大変長い期間を経ての、ようやく改正に至った
社会教育法
でありますけれども、こうしてこれまで調査をされてきた結果がどれぐらい反映されているのか、浮き彫りになっている
課題
や問題点が今回の改正に十分生かされているというふうにお考えなのかどうか、冒頭ぜひお伺いをしたいと思います。
加茂川幸夫
55
○加茂川
政府参考人
まず冒頭、
委員
御指摘のございました事実確認につきまして、
委員
に不快な思いをおかけしたことをおわび申し上げたいと思います。 御質問をいただきました予定の項目を確認させていただきましたら、
委員
の御経歴について未確認
情報
がございましたので、確認をした上で御答弁をする方がより適切な答弁になるのではないかということで、私の指示で確認をさせていただきましたが、御不快な思いをさせましたことをまずもっておわびをしておきたいと思います。
社会教育
調査についてでございますが、お話にございましたように、
社会教育
行政
に必要な
社会教育
に関する基礎的事項を明らかにすることを目的といたしまして、統計法に基づく指定統計調査として、これもお話にございました、ほぼ三年に一度の割合で実施をしております。最新の調査は
平成
十七年度調査でございます。 この調査結果でございますが、国だけではなくて、地方
公共
団体におきます
社会教育
行政
及び生涯
学習
の
振興
に資するための諸施策の検討、立案のための貴重な基礎
資料
として
活用
されておると理解をしております。このため、調査項目のほとんどが経年比較できるように構成されてございまして、
社会教育
行政
上の要請を踏まえた見直しも必要に応じて行っておるという調査を行っておるところでございます。 具体には、調査項目としましては、
社会教育
に関する
職員
数、あるいは
公民館
、
図書館
、
博物館
等、いわゆる
社会教育
施設
の
施設
の
状況
、設備の
状況
、事業の実施
状況
、
情報
提供の方法等、広範にわたる調査を行っておるわけでございまして、我が国における
社会教育
の現状を明らかにしておるわけでございます。 そこで、今回の
法改正
との
関係
でございますが、今回の
法改正
におきましては、まず、前提としまして、中央
教育
審議会で御審議をいただいたわけでございます。この審議の場で、
社会教育
調査を初めとする
各種
の調査の結果、または得られたその調査結果としましての現状や
課題
を基礎
資料
として、まず中教審に御提供申し上げたわけでございます。この場で総合的な検討に役立てていただいたとまず私どもは理解をしておるわけでございます。
一つ
例を申し上げますと、今回の
法改正
で御審議いただいております中に、
社会教育
施設
における
情報
提供方法につきましての案件がございます。これにつきましては、調査としまして、インターネットを通じた手段が増加傾向にあるということが明らかになっておりました。これを踏まえまして、今回の改正法案におきましては、紙媒体による
社会教育
資料
の提供を前提とした現行の規定を改めまして、新たに幅広く
情報
提供を行う規定に改めようとしておるわけでございますが、こういったところに調査結果が役立っているということが言えるかと思います。
田島一成
56
○田島(一)
委員
御指摘いただいた、
情報
ツールが電子媒体を通じてという傾向は、今回の法案にも盛り込まれています。しかし、もっともっとこの膨大な
資料
、基礎データを解析していくと、もっと手を加えなければならない部分があったのではないかと私は大変残念に思っているところであります。 もちろん、これだけの膨大な基礎
資料
でありますから、中教審にこの
資料
を提供されたところで、
一つ
一つ
を解析していくのは大変困難なことでもありますし、ましてや、数字の網羅であって、この数字を
一つ
一つ
、その背景を分析していくことは大変困難であります。私、どうせここまで調査をされているのであるならば、
文部科学省
としてはこれをどのように受けとめているのか、また、そういった解析、評価等々について検証を一定まとめていく必要があるのではないかというふうに思うわけであります。
平成
二十年度のデータをもとにしてまた来年、報告書が提出をされるわけでありますけれども、数字だけを単に書き並べるだけでは、これはなかなか読み取ることができません。例えば前回の
平成
十四年度と
平成
十七年度を単純に比較しても、この間には大きく、各
自治体
で市
町村
合併という
課題
がありました、そのことによって基礎
自治体
の数も大幅に減り、その流れで
施設
の数等も大きく変化をしてきています。単純に数字を読むだけで、
公民館
の数が減った、
職員
の数が減った、
主事
の数が減ったというだけでは解決できない、いろいろな要因を踏まえている数字でありますから、こうした分析、検証について、次回、
平成
二十年度の報告書を出されるに当たってどのようにお考えなのか、そのお考えをぜひ御披露いただきたいと思います。
加茂川幸夫
57
○加茂川
政府参考人
社会教育
調査の調査項目、その性格については先ほど御説明を申し上げたとおりでございますが、これまでも、その調査結果に基づいて明らかになった
課題
や問題点については、私どもも必要な分析を行ってきておりまして、
関係
の施策の検討に役立ててきているところでございます。インターネットについては先ほど事例として申し上げたところでございます。特に、
社会教育
として学級、講座、どういった講座が開設されているか、受講者の実態はどうなっているかといったことについては、いろいろ分析すべき興味のあるデータも上がってきておるものと認識をいたしております。 ただ、この調査はあくまでも指定統計調査でございますので、経年、基礎的なデータを
蓄積
した上で、それを
社会教育
政策
全般に役立てていくという性格のものだと思っております。例えば、特定の
政策
課題
について調査を行って、その結果を評価、検証して具体的な
政策
立案に役立てていくといった種類の調査もあろうかと思いますが、それとは基本的な性格が異なっておることもぜひ御理解をいただきたいと思っております。
田島一成
58
○田島(一)
委員
性格の違いをとやかく私、申し上げるつもりはありません。しかし、やはりこういう基礎データがある、統計調査があるということは紛れもない事実として受けとめていかなければならないことであります。とりわけ今回こうして
社会教育法
の改正がされるわけでありますから、それのもととなる基礎データ、統計調査として、今回の
平成
十七年度に出された
社会教育
調査報告書というものを、私は、やはり最低限
活用
していくベースになるのではないかというふうに考えました。 どうぞ、単なる統計調査だ、性格が異なるというふうにおっしゃいますけれども、この数字を、単に調査、各
教育
委員会
から出していただいて、それで、はい、終わりです、出しましたではなく、これをもとにして、実態把握以上に、どのような施策が今後、地方
自治体
、
教育
委員会
等に必要なのかという
資料
として十分にやはり御
活用
いただきたい。そのことを強く望んでおきたいと思います。 さて、この
社会教育法
でございますが、そもそもこの
法律
は規制法ではありません。各
自治体
の裁量幅が非常に大きく、
政策
の内容等も
自治体
によって大変大きく異なっております。何をやってもオーケー、何をやらなくても決して
法律
違反に問われるわけではない。ですから、各
自治体
のこの
社会教育
に対する姿勢というものが問われている、これが現状ではないかというふうに思います。 ですから、この場で議論をすることも大変難しいことでありますし、この
社会教育法
の改正の部分で
自治体
の裁量権に任されている部分が大半でありますから、国でいかに何をするかというのも非常に議論しづらい部分ではあります。そう考えると、この
社会教育
を
法律
できちっと規定していくということに対しても、もう一度原点に立ち返っていかなければならないのではないかと私は改めて考えるところでありますが、
社会教育
を法で規定する
意義
について、そして、規制法ではありませんから、各
自治体
においても大変温度差がある、取り組み
状況
に差があるという現状をかんがみて、大臣はどのようにお考えなのか、まずその御認識をお伺いしたいと思います。
渡海紀三朗
59
○渡海国務大臣 冒頭ございました話、私、きょう初めて聞いたわけでございまして、申しわけございませんでした。
委員
がどういう意識を持ってこの御質問をされるか、それに的確にお答えするためにという、私は悪意はなかったんだろうとは思いますが、ただ、率直に
委員
にお聞きすれば済む話でございますから、私からもおわびを申し上げたいというふうに思っております。 今、
社会教育法
の
意義
ということが
委員
から御指摘がございました。確かにこの
法律
は、実施主体は地方
自治体
でございますから、そういった
意味
で、何かを縛るといったものではございません。また、やらなかったから何か罰則があるというものではないわけでございますけれども、これはやはり、
国民
共通の
課題
として
社会教育
というものをどうとらえるか、また、
国民
の中でどういう理解をしていただくかということを法の二条、三条等に書いてあるというふうに御理解をいただいたらいいんじゃないかというふうに思っております。 私は、いつも簡単に、これはかたい
言葉
でとやかく言ってもわかりにくいわけで、いつでも、どこでも、だれでも学ぶ機会がある、こういう社会をつくっていくということが大事なんだということを申し上げておるところでございます。
法律
上は、
学校教育
というのがございますから、それを除いた部分、あらゆる部分が
社会教育
であろうという認識であり、なおかつ、それを推進していくためにやはり国や地方
公共
団体というのは環境をつくっていかなきゃいけない、その環境を奨励するためにどういうことが考えられるかということを書いてあるのがこの
法律
であろうというふうに思っております。 加えて、温度差があるということがあったわけでありますが、これはまさに自主性にゆだねられているところから来ているというふうに思います。ここ一、二、三日、実は、民主党の議員にも大変お世話になっておるわけでありますけれども、
学校
の耐震化という問題がございますね。これ
一つ
見ても、同じ制度でありながら、実は進捗
状況
に随分差がございます。 温度差というのは、やはり
地域
の財政
状況
も考えられるわけでありますし、その
地域
のいろいろな、議会もありますし、当然
行政
もあります、また
地域
の住民の意識もありますから、そういったことにおいて生じてくるということが
一つ
考えられるというふうに思います。 そういった中で、やはり我々としては、できるだけさまざまな、例えばガイドラインを示すとか、また、我が省でいいますと、今、放課後子ども教室というのをやっておりますけれども、これは、
子供たち
が
学校
外でいろいろな
活動
をするときに、
地域
のいろいろな方々が参加をしていただいて、そして、
子供たち
がそこで
学校
では勉強できないようなことも実は勉強ができるという場を提供しようということで、今一生懸命努力をしております。また、今年度から、
支援
地域
本部という新しい
仕組み
を立ち上げておりますけれども、こういった中で、いろいろな
意味
で
社会教育
という場が提供される。 そういった施策を国としても講じていくことによって、社会全体で
子供たち
を
教育
していくといいますか、そういったことにも実は
人材
が活躍していただけるんじゃないか。こういったことを通じて国としてもいろいろな
政策
を講じていきたい。しかし、この温度差というのは、やはり
地域
の皆さんが努力をしていただくということが大事であるというふうに私は考えているところでございます。
田島一成
60
○田島(一)
委員
温度差があって当然だと受けとめるか、もしくはこの差を埋めていこうと努力するのか、これはやはり
文部科学省
としての大きな私は責任だと思います。広く、どこの
地域
に住もうとも、いつでも、どこでも学ぶ機会が得られる、これがやはり
国民
として受けたいと思う
社会教育
の延長線、生涯
学習
ではないかというふうに私は思っております。
地域
の自主性に任せておく、もちろん、すばらしい考え方、底辺にあると思いますが、残念なことに、そのことによって、現実、トップの考え方であるとか、その
自治体
の
社会教育
に対する思い入れで、受けられる機会が多いところと少ないところがある。これはやはり大きな問題であり、そこを底上げしていくのが、私は文科省の
仕事
だというふうに思っています。 とりわけ、近年の財政難等々から、
教育
予算全体も相当逼迫をしてまいりました。この
社会教育法
に基づくさまざまな事業展開は、それこそ自主的に行われている部分でありますから、事業を減らしたところで
法律
違反に問われるものではない。しかし、
学校教育
については一定予算も投入していかなきゃいけないからと、
教育
予算の中ででもその分配の比率が近年相当変化をしてきています。
学校教育
の方に重点を置く余り、
社会教育
が大変おろそかになりつつある。そんな財政
状況
等を考えていくと、やはり伴うもの、先立つものとして、予算の確保というものに
社会教育
担当者は一番頭を抱えています。 私もかつて経験がありましたが、例えば、先ほどからもお話があった
公民館
活動
等々では、なかなか事業展開の予算がつかないということで、その事業予算の捻出に本当に苦労をされています。私なども、それこそ印鑑だけを持っていったこともありました。何をか言わんやです。こうしていろいろな形で予算を捻出し、そして
地域
の皆さんにいろいろと学ぶ機会を提供しようと
主事
を初め
公民館
の
職員
がいろいろと知恵を絞っているんだけれども、残念なことに、思うようなことにはなかなか進まないとじくじたる思いをいろいろと吐露していただきました。 こうした、予算が大変厳しいという
状況
、
社会教育
が結局財政難のしわ寄せを食らっているという
状況
をどのように受けとめ、今後どのように
対応
していこうというふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
渡海紀三朗
61
○渡海国務大臣
委員
の今の御指摘、要は、現行の枠組みの中で考えていくか、それとも国全体の予算の
仕組み
、これは民主党さんも地方分権ということでお出しになっているわけですね、基本的には地方の自主性に任そうということで地方に財源を持っていく。それは、割り振りの問題はあります。ありますが、自主性に任せるということになりますと、結局は、その中でどういう選択をするかというのは地方の裁量権になってまいりますね。そういう形の国家を目指すということであれば、これは、我々がやれることはある
程度
限界があるということも言えるわけなんですね。 ですから、現在の
仕組み
の中で、例えば、これは
教育
予算という中で何を考えていくかという
課題
だととらえれば、確かに
学校教育
がありますから、こっちにシフトされ過ぎているんじゃないかと言われれば、
学校教育
の方も苦しゅうございますから、これはやはり
子供たち
の予算というのを簡単に削るわけにいきませんから、我々としては今やらせていただきたいということをお願いしておるわけでありますけれども、やはり
社会教育
というのは大事な
課題
でございますから、今地財措置でやっておりますから、これは総務省の方ともよく話をしなければいけませんが、我々として、こういうものは地方財政の中でちゃんと組み込んで、地方にちゃんと交付税措置をしてほしいということを主張していくことが必要なんだろうというふうに思っております。 それがちゃんと使われているかどうかということになりますと、これはまた地方の問題にならざるを得ないというか、これにまた一々色をつけて渡しますと、結果的には地方分権、地方の自主性ということにまた反するということになりますから、ここは非常に、これは
委員
もおわかりいただけると思うんですが、国の形としてどういう国家をつくっていくかというときに、その骨太の議論をしっかりやらないと、なかなか現行の枠組みの中でのお答えにしかならないということになるということも御理解をいただきたいと思います。
田島一成
62
○田島(一)
委員
決して
学校教育
に予算を振るなと言っているわけではないので、その点は誤解をしないでいただきたいと思います。 それでは、具体的な内容にちょっと入りたいと思いますが、私の県でも聞き合わせをいただいておりました
社会教育
委員
制度についてでございます。 私、もう古い話でありますが、
平成
五年から十年間、地元の彦根市の
社会教育
委員
をさせていただきました。当時は一号議員、二号議員、三号議員というような
委員
の属性で区分をされておりましたが、地方分権一括法の改正に伴って、その構成であるとか区分というものも取り払われておりまして、最近ではどういうような方々がなっていらっしゃるのか、全体を把握するのが非常に難しい
状況
になっております。 しかしながら、私がやった当時もそうだったのですが、
学校
の校長先生、この方々は当時一号議員という
現職
学校
関係
者の枠でお入りになっていたわけですが、
現職
の
学校
の校長先生であるとか、元
学校
の校長先生という先生方が大変多くいらっしゃるわけですね。ある
意味
、
社会教育
という
学校教育
の枠を飛び越えた大変広範な
範囲
があるんですけれども、どうも
教育
委員会
から委嘱をするには委嘱しやすいという環境があるのでしょうか、
学校
関係
者の割合が
全国
的に見ても非常に多いことがこれまでのいろいろな調査
資料
等々でもわかり知るところであります。
社会教育
と
学校教育
の独立性というものを考えたとき、この現状等も、私たちは当時から相当
課題
だというふうにも認識をしておりましたし、また、
社会教育
委員
自体が一人一人委嘱されてのことなんですけれども、一応合議体という形で
社会教育
委員
の
会議
というものが設置されて、そこで会合を持っては、さまざまな答申や建議等々を議論したりもしていたんですけれども、残念なことに、この
社会教育
委員
の
会議
自体も、法的根拠がないと申しますか、その存在自体が非常にあいまいなところがあって、もうその当時から何度も何度もこの
社会教育法
の
条文
と照らし合わせながら、我々は何のために集まっているのだろうかということを自問自答していたことを思い出しているところでもあります。 今、
社会教育
委員
制度自体がマンネリであるとか形骸化だというような指摘も、先ほど
参考人
質疑
の笠
委員
からも御指摘をいただいていたところなんですけれども、どうもあいまいな形でこれは進んできているように私には思えてなりません。 例えば、未設置の
教育
委員会
というのも、福井県に始まって三十五市十一町十村、組合立のところに至っては三十一組合というふうに、任意設置でありますから、設置していないからといって問われるわけではありませんけれども、未設置の
教育
委員会
等々もあることを考えると、この地方の温度差、格差というものが非常に顕著にあらわれている数字ではないかというふうに思います。 予算がどんどんどんどん逼迫している中で、この
社会教育
の重要性を説くフロントランナーとして、本来頑張らなければならない
社会教育
委員
だというふうに私は認識しているんですけれども、こうした未設置の
教育
委員会
等々への働きかけであるとか、また、
社会教育
委員
のこの制度自体について、どのように評価をされているのか、まとめてお答えをいただければと思います。
加茂川幸夫
63
○加茂川
政府参考人
何点か御指摘がございましたが、まとめて御説明を申し上げたいと思います。 まず、
社会教育
委員
の構成についてでございますが、
委員
御指摘のように、現在、
社会教育
委員
は、
学校教育
の
関係
者、
社会教育
の
関係
者、加えまして
家庭教育
の
向上
に資する
活動
を行う者、そして学識経験者から、個人として委嘱されておるところでございまして、
学校教育
関係
者が委嘱されることは
法律
の事項として規定をされておるわけでございます。 その構成割合を見ますときに、いろいろな分類の仕方があろうかと思いますが、私どもの
手元
の
資料
で申し上げますと、
学校教育
関係
者が約一七%、
社会教育
関係
者が四一%、
家庭教育
関係
者が九%、学識経験者が三四%
程度
といった構成になってございます。ただ、先ほどOB教員という指摘がございましたが、学識経験者の中には
大学
関係
者あるいはOB教員も含まれておる可能性がございますので、
学校教育
関係
者は一七%
程度
と申し上げましたが、もう少しその数は高いものと考えておるところでございます。 ただ、今申し上げた数字を見ましても、
社会教育
の独自性が損なわれる、
学校教育
関係
者が必要以上に多くかかわって構成しておって問題なのかということにつきましては、はっきりそこは断定できないのではないかと考えております。 特に、
学校教育
関係
者、OBも含めましてでございますが、委嘱するに
当たり
ましては、現在
社会教育
が、社会総がかりで子供を育てていこうという
課題
に直面しておること、大臣のお話にもございましたが、
学校
内外で子供を育てる際に、放課後子ども教室事業あるいは
学校
支援
地域
本部事業が大きな
課題
で、これに
対応
していこうとします際には、
地域
との
連携
、あるいは、よく言われます学社
連携
の観点がますます重要になってくるわけでございまして、これらの
課題
にも適切に
対応
ができるふさわしい
教育
委員
が委嘱されることが望ましいと考えておるわけでございます。 こういったことから、
社会教育
委員
の構成についても判断していく必要があろうかと思っております。 また、
社会教育
委員
の未設置の
自治体
についてどう考えておるかということでございました。
社会教育
委員
は、個人に委嘱されるわけでございますけれども、
社会教育
行政
に広くその
地域
の
意見
等を反映させるという観点、あるいは、
社会教育
委員
としては、その豊富な知識経験を生かしながら、
社会教育
に関する計画の立案あるいは
社会教育
に関する諮問に対して答申を提出していただく、さらには、青少年
教育
に関する
助言指導
を行うといった広範な
役割
が
期待
されておるわけでございまして、
社会教育
振興
の観点からは大変重要な
役割
を担っていただいておるものと認識をいたしております。 この観点からしますと、御指摘のような未設置の県あるいは
町村
があることも事実でございます。ただ、率を申し上げますと、これは十七年の数値でございますが、
都道府県
では、この時点で四十六
都道府県
、九八%設置されておりますし、市
町村
、少し古い数字になりますが九六%以上設置をされておりますから、数値としてはそれほど遜色ないとは思いますが、
社会教育
委員
、またはこの制度の重要性を考えますときに、私どもとしては、未設置の
自治体
に対してこの制度の重要性を再度御理解していただくための周知を図りながら普及に努めていきたい、
社会教育
委員
制度の活性化にも努めていきたいと思っておるところでございます。 具体の活性化の方策としましては、最近の例でございますが、
平成
十三年の
社会教育法
の改正の際に、
社会教育
委員
として委嘱される者として、先ほど申しました「
家庭教育
の
向上
に資する
活動
を行う者」というものを加えたところでございまして、
社会教育
委員
制度についても必要な見直しを逐次行ってきておりますことも御理解をいただきたいと思っておるわけでございます。 各
教育
委員会
におきましても、
社会教育
委員
の活性化につきましては、
研修
活動
でありますとか、
活動
内容の広報
活動
でありますとか、さまざまな工夫をしていただいておることを承知いたしております。ただ一方で、
社会教育
委員
の構成を見ますときに、平均年齢が高いでありますとか、日常
活動
が必ずしも活発でないといった
課題
もあることを承知しておりますので、
社会教育
委員
制度の重要性を改めて地方
公共
団体に御理解をいただきながら、十分
連携
を図りつつ、本来の
役割
が果たせるように努めていきたいと思っておるところでございます。
田島一成
64
○田島(一)
委員
各
委員
の認識不足であるとかモチベーションの低さ等々も、やはり停滞している原因ではないかというふうにも思っております。 どうぞ、地方分権のこの御時世でございますから高圧的な話はなかなか申し上げられないだろうというふうに思いますが、ぜひ御理解いただける働きかけを進めていただくようにお願いをしておきたいと思います。 さて、この
社会教育
のステージは、何も
文部科学省
の所管の
施設
、
公民館
等々だけではございません。文科省が所管をしないさまざまな
地域
の
施設
等も一定以上の
社会教育
の推進に大きな
役割
を果たしていることは御承知のとおりだと思います。 例えば、人権問題等々を普及啓発していくために設置をされている
教育
集会所や隣保館、こちらの方は同和対策事業ということで総務省と厚生労働省等が補助金を出し、人権
教育
の重要性、そしてまた
地域
の
教育
力の
向上
に一定以上の効果を発揮してきたところでありますが、残念ながら、人権
教育
の重要性もこの
社会教育
の中でうたっているにもかかわらず、閉館されているケースが大変多く見られます。 こうした
施設
の存続が、近年、財政難であるとか首長の独断等々で廃止をされていくということは、それこそ
社会教育
、とりもなおさず人権
教育
等々がおろそかになりつつある傾向に拍車をかけているのではないかというふうに考えます。 もちろん、所管が違うわけでありますから、この
縦割り
行政
の中では踏み込めない
課題
だというふうに思いますけれども、どのようにお考えいただいているか、ぜひお聞かせください。
渡海紀三朗
65
○渡海国務大臣 今御指摘ございました隣保館につきましては、市
町村
統合とか、建物が大分古くなったりして、それがなかなか新しいのにかわらないといったような事情があるというふうに承知をいたしております。私の
地域
にもたくさんありますから、よくいろいろな話は聞いております。そして、この館が果たしてきたさまざまな
役割
というものにつきましてもよく承知をいたしているつもりでございます。 ただ、言えますことは、この人権
教育
ということは、むしろ非常に幅広い
範囲
において今とり行われているのではないかなという
印象
を私は持っております。 人権大会とかそういった、これは隣保館がベースになって発展してきた、そういった催し物にもよく私は
出席
をいたしますけれども、
子供たち
からお年寄りまで広く小
学校
区で行われておりますし、また、これは憲法上の当然の権利でございますから、そういった
意味
では、国際的にも、ただ単に今までは、例えば歴史的社会的事由等ということで説明をされてきたわけでありますけれども、そういうことだけではなくて、人間の大事な権利としてのこの人権というものをどういうふうに考えていくか、守っていくか、また教えていくか、こういうことについては大変大事なことだというふうに思います。 隣保館との
関係
ももちろんございますけれども、そういうことではなくて、この人権
教育
というものに対して、我が省としてもしっかりと取り組んでいかなきゃいけない、そういうふうに考えているところでございます。
佐藤茂樹
66
○
佐藤委員長
田島君、
質疑
時間が終了しています。
田島一成
67
○田島(一)
委員
ありがとうございました。終わります。
佐藤茂樹
68
○
佐藤委員長
以上で田島一成君の
質疑
は終了いたしました。 次に、石井郁子さん。
石井郁子
69
○石井(郁)
委員
日本
共産党の石井郁子です。
図書館法
は、制定されてもう六十年近くなりますが、
図書館法
の改正という形で出されたのは初めてのことかと思うんですね。それだけに、
図書館
の
関係
者の間では大変関心と
期待
が高まっていると思います。 もう既に
幾つ
か論点が出されておりますので、きょうは重複しない形で、しかし、確認も含めて
図書館
問題で質問させていただこうと思います。 まず、
司書
の問題でございますけれども、今、
図書館
司書
は
大学
で一体どのくらい
養成
されているんだろうか、そしてまた、資格を取っているのはどのくらいの方があるのかということと、その方々が
司書
として
公立図書館
に採用されているのは一体どのくらいなのかということを、まず端的にお示しいただきたい。
加茂川幸夫
70
○加茂川
政府参考人
司書
の
養成
課程を設置している
大学
の数でございますが、これは、最新、
平成
十九年度末現在で、短期
大学
を含めまして二百十九
大学
ございます。この
大学
で資格取得ができている者の数でございますが、約九千百名でございます。 ただ、
司書
の資格を取得する方法は、その
大学
での
養成
課程を修了する以外にも、主に社会人を対象とした
司書
講習において資格を取得する方法がございます。この講習の修了者が約千二百名ございますので、合わせて約一万名が
司書資格
を取得していると言うことができるだろうと思います。年間約一万人ということでございます。 このうち、実際
司書
としてどのくらい採用されておるかということも御質問いただいたわけでございますが、毎年調査しておるデータが残念ながらございません。 私ども
手元
にございますのは、大変古くて恐縮でございますが、約十数年前になりますが、
平成
三年の数値で申しますと、
公立図書館
あるいは
学校図書館
等の
図書館
関係
職員
に採用された者が、この時点で約四百名あることがわかっております。ただ、このときの資格取得者が、母数としましては約八千八百人でございますから、そういった
関係
で大体現在も比率になっておるのではないか、理解できるのではないかと思っておるところでございます。
石井郁子
71
○石井(郁)
委員
私は、やはりちゃんと数字は文科省として把握すべきだと思うんですね。
公立図書館
にどのぐらい採用されているのか、それは基礎データとして必要ではないかというふうに思うんです。 ずっとこの
委員会
の中での
質疑
でも、
司書
が少な過ぎるという問題がありましたけれども、現場では、公務員の削減ということで、退職者が出ますと補充されないということになって、
司書
の資格を持っている方がだんだんやはり少なくなっているということが起きているわけですよ。一方で、資格を持った人はたくさんいらっしゃるわけですから、何で採用できないのかという点で見ますと、本当に大きな矛盾を抱えているというふうに言わざるを得ません。 さて、
司書
は
図書館
にとって非常に重要だということは、いろいろな方がもう御指摘されました。私も、本当に、
司書
がいる
図書館
、いない
図書館
と一体何が違うんだろうかということを改めてやはり確認しておく必要があるんだというふうに思うんですね。 このことについて、
日本
図書館協会
から教えていただいたんですけれども、
司書
の比率が高いところほど、人口
当たり
の年間貸出点数、貸出密度が高いというんですよ。つまり、やはりそれだけ
サービス
がよく行き届いているということにもなるんです。市
町村
の、全体の正
職員
に占める
司書
率が四九・七%、約五割なんですけれども、そこでの貸出密度は五・一六だと。貸出密度が高い上位一〇%の市
町村
では、貸出密度が一一・九三と全体の二倍以上になるというんですね。そこでは正
職員
に占める
司書
率も五六・七%、六割に届こうかなというようなところになっているわけです。これは、そうしますと、年間で住民一人
当たり
十冊以上の利用が行われている、そういう状態になるわけで、そういう状態に
図書館
の機能を高めていくということが非常に重要ではないかというふうに思うんですね。
図書館
の
充実
にとって
司書
の存在、これがやはり
サービス
という点からも、
図書館
の機能を高めるという点からも、本当に急がれるし重要なんだということについて改めて認識を伺っておきたいと思いますが、いかがですか。
加茂川幸夫
72
○加茂川
政府参考人
司書
という
専門
的な
職員
が
図書館
の
役割
において大変重要な位置を占めておるというのは、
委員
御指摘のとおりでございます。 特に、
図書館
がその
地域
の知の
拠点
としての
役割
を果たすことがますます高まってきておりますから、
専門
性を備えた
司書
が、多様化、
高度化
する利用者の
ニーズ
に適切に
対応
して、その
専門
的な知識や経験を十分に発揮することがますます
求め
られておるんだと思っておりますし、
役割
の重要性については多言を要しないと思っております。また、一般的にでございますが、
司書
が
配置
された方が
図書館
における
サービス
向上
につながる、利用者にとってメリットが大きいというのも御指摘のとおりだと思っております。 私どもの
資料
としましては、具体にどういう
サービス
が
司書
の
配置
によって
向上
しているのか、または
配置
されないことによって劣っているのかといった、その明確な相関があるデータは持っておりませんけれども、一般論としては、おっしゃるように、
司書
を
配置
する方が、利用者の観点に立って
サービス
向上
等メリットが大きいことは御指摘のとおりだと思っております。
石井郁子
73
○石井(郁)
委員
私は、この点でも文科省としてきちんとしたデータに基づいて、
図書館
の機能を高める
司書
の有効性、有用性ということについてやはり論議をしていただきたいというふうに思います。 もう一点ですが、
司書
のいる
図書館
ほど実は障害者
サービス
も
充実
しているんですね。
図書館
の障害者
サービス
ということとして音声
資料
の作成、対面朗読の実施などあるようですけれども、音声
資料
を作成している
図書館
は
全国
で三百二十一館です。これは全体の一〇%。対面朗読
サービス
が五百十二館で一七%。この
程度
にとどまっているわけですよ。これでは到底障害者の皆さんに
サービス
しているということにならない。しかし、大事なのは、ここでも、そういう
サービス
が実施できるところはやはり
司書
の
配置
率が高いところになっているということなんですね。六〇%以上の
図書館
がほとんどです。 今
図書館
では、子供の
調べ学習
、例の総合的
学習
時間ということが導入されて、一層そういうことにもこたえる、イベントの開催なども
求め
られている、さまざまな機能があるわけですが、ぜひこの障害者
サービス
ということにも留意をしていただきたい。その点でも、
サービス
を担う
専門職
員、
図書館
司書
、これはもう絶対欠かせないわけですね。
公立図書館
にそういう点からも
配置
するということを再度
求め
たいと思います。 この点で、私は、この審議の中でも出されました、文科省の
図書館
の在り方検討協力者
会議
の「これからの
図書館
像」というのを見ましたけれども、
言葉
としては大変いいことを書いているんですよね。例えば「困ったときには
図書館
へ」、「分からなければ
司書
に訊け」とあるんですよ。そして「役に立つ
図書館
」をと。やはり
司書
がいないということは放置できないじゃないですか、そうなると。本当に
司書
を
配置
するという決意で臨まれるのかどうかということで、再度伺いたいと思います。これはいかがですか。
加茂川幸夫
74
○加茂川
政府参考人
先ほどの御説明の繰り返しになりますが、
司書
の持っております
専門
性を十分に果たしていただくことが、
図書館
奉仕、
図書館
における利用者に対する
サービス
向上
につながることは共通の認識を持っておるつもりでございますし、
図書館
に
司書
が
配置
されることが望ましいという観点から、私どもも、いわゆるその望ましい基準を持って、各設置者であります地方
公共
団体にその取り組みを促しておるところでございますので、引き続きこういう努力を続けてまいりたいと思っております。
石井郁子
75
○石井(郁)
委員
次に伺いたいのは評価に関してでございまして、これも新設の条項になっているわけですね。 運営
状況
に関する評価及び改善並びに
関係
者への
情報
提供ということで、それぞれ、
公民館
では三十二条で、
図書館
でも第七条の三、七条の四、
博物館
でも九条、九条の二というふうにあります。これは
図書館
でいえば、どんなことを評価するということになるんでしょうか。
加茂川幸夫
76
○加茂川
政府参考人
図書館
奉仕の
水準
の維持
向上
でありますとか、
図書館
運営の適正確保等を図るために、御指摘のございました七条の三におきましては、
図書館
についての評価と、それによる運営
状況
の改善に努めることを規定しようといたしておるところでございます。ただ、具体的な評価の内容につきましては、第一義的には評価の実施主体である
図書館
が定めることを私どもは考えておるところでございます。 評価の項目についてでございますが、一般的には、来館者・利用者数、蔵書数等がまず考えられるわけでございますが、このほかにも、例えば住民の
利用状況
、所蔵
資料
、
図書館サービス
、
図書館資料
のレイアウト、
施設
、
職員
等についてそれぞれ点検項目を設定いたしまして、定量的または定性的に評価を行うことが考えられると思っております。 また、利用者、住民の満足度についても調査を行うといったことで、多面的、多角的な評価に資することになるのではないかと思っておるところでございます。
石井郁子
77
○石井(郁)
委員
ちょっと確かめたいんですけれども、今話されたのは、そういう評価を
幾つ
か出されましたよね、これは国が行うということなんですか。それとも自己評価としてそれぞれの
図書館
にお任せするということなんですか。そこをはっきりさせてください。
加茂川幸夫
78
○加茂川
政府参考人
先ほども御説明を申し上げましたが、この評価は、評価主体であるのは各
図書館
でございますから、
図書館
が評価を行う。その際に、どういった評価項目で評価をするかといったことも
図書館
が判断をしていただくことになります。
図書館
自身で評価をするということについて、
図書館
同士で
連携
をするということも私どもは
期待
をしておりまして、
図書館
関係
の団体が評価、点検項目について各
図書館
に
支援
をする。例えばガイドラインを自主的に定めて
支援
をするといったことも視野に入れながら、私どもはこういったことを
支援
する
立場
をとっていきたいと考えております。
石井郁子
79
○石井(郁)
委員
大変重要な問題をはらんでいると思うんですけれども、今、評価ばやりでもあるんですが、一定そういうことを各
図書館
の自主的にと、自己評価ということを言われても、
連携
ということもあって、そうすると、この
図書館
はこういう項目で評価していると。評価というのは必ずまた公表もされますから、そうするといろいろなことが出てくるわけですよね、その実態が。 私は、きょうはもう時間の
関係
で
一つ
だけ指摘をしたいんですけれども、先ほどの話の中で、来館者の
状況
とか
利用状況
というのを言われましたよね。それは、まさに
司書
が置かれているところと置かれていないところでは本当にその機能が変わってくるんじゃないんですか。だから、そういう実態を抜きにして、あらわれた数字だけで見ちゃうと、実態を正確につかむことにはならないというふうに思うんですね。 だから、本当に文科省はすぐ評価を導入してやりますけれども、やはり予算が、例えば
資料
代の予算も、聞きますと、三年前二千万あったのが今千六百万だとか、ぐんと各
図書館
減っているんですよね。だから、予算上で
資料
も買えない、そして人的な補充もない、
専門
の
司書
もいないというような中で苦労していらっしゃる中で、こういう評価だけが入ってくるとどういうことになるんだろうか。私は、本当にこれが文科省のやるべきことなのかどうかということをまず根本に疑念を持っているし、逆さまではないのかというふうに思っているんです。 だから、こういう現状、本当にきちんと
充実
させるという、財政的な裏づけもしないで、人も
配置
をしないで、そういう評価だけを入れてくるというやり方はおかしいということを指摘したいと思うんですが、何か大臣、手を挙げていらっしゃるので、どうですか。
渡海紀三朗
80
○渡海国務大臣 この評価と
情報
提供というのは、私も突っ込んでかなりレクを受けました。やはり
一つ
の大きな
意味
は、
状況
が
情報
公開されることによって、その中身が、すべてとは言いませんよ、でも、かなり明らかになる。明らかになるということで、住民がその
図書館
の内容について知ることができる。知ることができることによって住民の
意見
というものが現実には出てくる。私はそう思っております。 いろいろな説明を聞きましたけれども、やはり詰めていくと、そういった中で、今先生がおっしゃったような実態も明らかになってくるわけでありまして、基本的ないわゆる地財措置というのは行われているわけなんですね。ただ、それがどう使われているかということになりますと、結果的には必ずしも、
配置
をされているところも
配置
をされていないところもある。 地方
自治体
にとって、この評価が出てくるということは、
自治体
が
図書館
行政
をないがしろにできない、そういった
意味
では効果があるというふうに私は受けとめました。これは、この
情報
提供というものが今後行われた段階でいろいろ明らかになってくるというふうに思いますが、そのことを
情報
公開の
意味
、また評価、調査の
意味
だというふうに私は理解をいたしております。
石井郁子
81
○石井(郁)
委員
私は、この評価がただ外形的にというか、数字がひとり歩きしないで、本来文科省がやるべきことは、やはり
専門
の
職員
がいるところといないところでどんな違いがあるのかだとか、予算がないもとでどういう違いがあるのかだとか、そういうデータこそきちんと出して、評価をしてお示しをするべきだというふうに思うものですから、予算の措置とか
司書
の
配置
とか、そういうことの確保にこそきちんと力を注ぐべきだということを強調しておきたいというふうに思います。 さて、もう
一つ
の問題が
研修
なんですね。
研修
も新設をされております。今回の
法改正
で、国とか
都道府県
による
研修
ということが位置づけられているわけであります。 まず、文科省に、国としては
図書館
職員
の
研修
ということでどんなことを行っていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
加茂川幸夫
82
○加茂川
政府参考人
司書
に対する
研修
についてでございますが、現在、
文部科学省
では、
都道府県
における指導的
立場
に立つ
司書
でありますとか
図書館長
等を対象に、高度かつ
専門
的な内容の
研修
を行っております。これらは、
都道府県
が行う
研修
を担当できる指導者の
育成
も目的としておるわけでございます。 具体には、今、
三つ
ほどの
研修
プログラム
がございます。
一つ
は、
図書館
司書
専門
講座という講座でございまして、ここでは経験年数が七年を超える者、七年以上の指導的
立場
にある
司書
を対象としまして、
サービス
計画あるいはマネジメントといった
図書館
経営に関する管理職として必要な知識、技術の習得を図る
研修
を行っておるものでございます。 また、二つ目には、ブロックごとに
図書館
地区別
研修
というのを行っております。これは、経験年数がおおむね三年
程度
の中堅
司書
を対象といたしまして、レファレンス
サービス
のスキルアップでありますとか著作権の問題など、
図書館
業務の
専門
的な知識、技術の習得を図る
研修
でございます。 また、もう
一つ
、第三番目の
研修
でございますが、新任
図書館長
研修
というのも行ってございます。就任一年未満の新任の
図書館長
を対象といたしまして、
図書館
の管理運営能力の
向上
を図る
研修
を行うものでございます。 こういったように、
司書
等が経験年数に応じて
求め
られる適切なテーマについて
研修
を行う。
司書
等が受講することによりまして、
地域社会
の
課題
でありますとか、それに対する
行政
施策、手法、
地域
が
求め
る
情報
内容、あるいは
図書館サービス
についての発展性や可能性、
情報
技術、さらにはコスト意識を含む経営能力を身につけることが
期待
できるものと考えておりまして、これらは、これからの
図書館
に
求め
られる
課題
について適切に
対応
できる能力を、特に指導的
立場
にある
図書館
職員
に身につけることができる有
意義
な事業だと思っておる次第でございます。
石井郁子
83
○石井(郁)
委員
時間もありませんので、少し短目に答弁いただきたいんですけれども。
専門
講座というのは
東京
での開催しかなくて、勤務経験七年以上の方が対象で、中堅の方とおっしゃったけれども、現場では七年というと、もうベテランの域だそうですね。これでは本当に現場のスキルアップにつながっていかないんじゃないかという声もありますので、この見直しが必要じゃないかということですね。つまり、
都道府県
でももっと実施ができるようにしなければいけないという問題。 それから、
研修
には
図書館
の
関係
団体、民間団体などがもっと関与してもいいのではないか、また、ゆだねてもいいのではないか、あるいは協力してもらうということがあってもいいのではないかと思いますが、その点でちょっと簡便にお答えください。
加茂川幸夫
84
○加茂川
政府参考人
このたび、
社会教育
施設
の
専門
的
職員
について国と
都道府県
に
研修
義務を課しましたのは、国がすべて
研修
をやる義務を負うのではなくて、
都道府県
とも
連携
をしながらという趣旨でございますので、
委員
御指摘の観点も踏まえたものと御理解をいただきたいと思っております。 また、民間団体もさまざまな
研修機会
を提供しておるようでございますので、必要な
連携
につきましても、基本的には、
研修
の実施、任命権者である地方
公共
団体の責任者の判断のもとに適切な
連携
が図られることが望ましいと思っておる次第でございます。
石井郁子
85
○石井(郁)
委員
もう時間が参りましたので、
最後
に大臣に、今後の
図書館
の
あり方
、今後の
充実
について御決意を伺いたいんです。 子供のときから
図書館
に親しむ、大人になったらもちろん
図書館
を利用する、やはりこういう社会にぜひしたいな、すべての人がそれが可能になるようなこういう
図書館
でありたいというふうに私は思っておりまして、ぜひ大臣のこの点での御決意を
最後
にお聞かせください。
渡海紀三朗
86
○渡海国務大臣 これは
委員
のおっしゃるとおりだと思います。 地方分権の時代ですから、先ほどの田島
委員
との議論にもありましたように、どこが地方が責任を持って、国として何をするかという、まださらなる整理が必要だと私は思いますけれども、
地域
の知の
拠点
として、より機能が発揮されるように、我々もより
振興
の努力を図っていきたいというふうに考えております。
石井郁子
87
○石井(郁)
委員
以上で終わります。
佐藤茂樹
88
○
佐藤委員長
以上で石井郁子さんの
質疑
は終了いたしました。 次に、
日森
文尋
君。
日森文尋
89
○
日森
委員
私は、二点について、大臣に確認だけさせていただきたいと思っています。 この間の
委員会
の議論の中で、いろいろありました。ありましたけれども、基本的に今回の
法改正
が、国、地方
自治体
を含めて
行政
が
社会教育
について介入するようなことがあってはならないというのが私たちの思いでありまして、その
意味
では、本当に住民の側の、
教育
する側の自主性をしっかりと重んじていくということが基本でなければならないと思っているんです。 その
意味
で、今回の
法改正
が、
教育
委員会
、
公民館
、
図書館
、
博物館
、これらの
活動
を通じて、国や地方
自治体
の
行政
組織
が
国民
の権利である
学習
、その内容や
家庭教育
に介入する意思はないんだ、あくまでも
社会教育
が発展をしていく基盤
整備
にしっかりと
行政
は取り組んでいくんだ、そういう趣旨であるというふうに私たちは理解をしているわけですが、これで間違いがないのか、大臣はどうお考えなのか。一点目、それだけお聞きしたいと思います。
渡海紀三朗
90
○渡海国務大臣
委員
がおっしゃるとおりだと私は考えております。 つけ加えますと、特にこの前、
家庭教育
の議論が何点かございました。これは、しっかりと
法律
にも、国及び地方
公共
団体は、
家庭教育
の自主性を尊重しつつ、その
支援
に努めるということが書いてあるわけでございますから、私は、
家庭
に介入をするということはできないことであるし、そういうことにはならないというふうに理解をいたしております。
日森文尋
91
○
日森
委員
仮に、そういう流れあるいはそういう兆候などがあったときは、これはもちろん市民の側もそうですが、そういう法をしっかりと堅持するという
立場
で厳しくチェックをしていって、公平中立、そして
国民
の
学習
権が侵されないようなそういう指導をしっかりするように、お願いをしておきたいと思います。 二点目は、私は前回の質問でも、ちょっとくどいように財政の問題について質問させていただきました。もちろん、大臣も大変頑張っていらっしゃって、それに対して、どこかの省がつまらぬ反論を、我々から見るとつまらぬ反論をして、本当に
教育
行政
、その基盤づくりをしっかりやっていこうということがなかなか困難になるような、そんな展開もあるようです。 しかし、きょうの
参考人
の皆さん方の御
意見
を聞いても、例えば
図書館
、余りにも少ない、恥ずかしいぐらい少ない。特に、村、町に行ったら、これはもう、本来、
公民館
もそうでしょうが、コミュニティーの
中心
となっていくし、同時に、そこで
情報
を知りあるいは発信していく、そういう
拠点
である
図書館
そのものがないとかいうことが随分明らかになって、各
参考人
の皆さん方も、これは何とかしなきゃいかぬということをおっしゃっておりました。 それから、先ほどの質問にもありましたけれども、
司書
もいない。こういうことをしっかりと実現していく。
公民館
でも、ちゃんと
主事
を置いて、しっかりとした
地域
の
拠点
、コミュニティーの
中心
としての
役割
を果たしていく。 これは、お金の問題を除いてはできないことだと思うんですよ。これは最初に、この前の質問のとき申し上げたけれども、すばらしい絵をかいても、それを裏づけする財政的な基盤がないとこれは絵にかいたもちになってしまうじゃありませんかということを申し上げたんですが、その
意味
で、大変御苦労なさると思うんです。私たちも全面的に応援したいと思いますが、この間の答弁では、これは
自治体
がやることというふうな話だけで、なかなかお金の話をしていただけなかった。非常に残念なんですが、とりわけ
自治体
における
社会教育
の発展、これは断固として実現するぞ、そういう強い意思があるならば、
社会教育
の制度的枠組みの
充実
と同時に、その財政基盤の拡充にも国としてしっかり努力をしていかなければだめだというふうに思っているんです。 その決意を、もちろん、ここで決意されて、どこかに行くと、違う違う、出さない出さないと言う連中もいるから大変かもしれませんが、大臣としてのそういう思い、決意をぜひ語っていただきたいと思います。
渡海紀三朗
92
○渡海国務大臣 私は、今、これから大きな
課題
を抱えているわけでありますが、その中で思いますのは、これが必要だ、そのために頑張る、そしてこれだけ要るんだと、各分野こういう声を上げるのは簡単なことであります。しかし、国家全体の財政、国と地方の
関係
、こういったことも含めて、我々は政府として責任を持っているということもまた事実であります。その中で
政策
選択を何に振り向けていくかという、ここの部分、限られた財源でありますから、やはり、そのときに我々はどういう物の言い方をしていくか、何を主張していくか、こういう話になってくるんだと思います。 それで、ここからが先生に対するお答えでございますが、私は、
教育
というのは
国民
全体の問題であり、国家にとって大きな未来への
課題
であるというふうに考えておりますから、そういった中で
社会教育
というものをとらえて、そして、広く
国民
が、
地域
において、
日本
の社会で格差がないように、常に
図書館
の
サービス
、また
社会教育
の
サービス
等が受けられる、そういった環境をつくり上げていくというのは、我々
文部科学省
としてといいますか、私からすれば
文部科学大臣
としての責任といいますか使命であろう、このように考えておるところでございます。
日森文尋
93
○
日森
委員
ありがとうございました。 必要な道路は着実につくると言っていらっしゃる方もいらっしゃいます。
国民
生活にもっと必要な
社会教育
の基盤
整備
は何としてもやり切ると、その道路何とかという方々を上回る決意でぜひやっていただきたいということをお願いして、終わりたいと思います。 ありがとうございました。
佐藤茂樹
94
○
佐藤委員長
以上で
日森
文尋
君の
質疑
は終了いたしました。 これにて本案に対する
質疑
は終局いたしました。
—————————————
佐藤茂樹
95
○
佐藤委員長
これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。石井郁子さん。
石井郁子
96
○石井(郁)
委員
本法案は、二〇〇六年十二月の
教育
基本法の改定を受け、新たに規定された生涯
学習
の理念(第三条)、
家庭教育
(第十条)、
学校
、
家庭
、
地域
住民等の
連携
(第十三条)などを
社会教育法等
に明記し、
社会教育
分野でその具体化を進めるものです。 法案では、三法案ともに
学習
の成果の
活用
が強調され、その具体化として
学校
支援
地域
本部などが挙げられています。自由で自主的、自発的な学びが制限され、
行政
が
地域
住民の
学習
内容にあれこれと枠をはめるようなことになりかねません。 また、
家庭教育
に関する
情報
の提供を
教育
委員会
の事務に追加し、
図書館
にも「
家庭教育
の
向上
に資する」など規定しています。これは、
家庭教育
という私事に
教育
行政
の関与を強めることになり、特定の
価値観
に基づく
家庭教育
の
情報
の提供につながるおそれがあります。 法案には、規制緩和の一環として、補助金交付の際の
社会教育
委員
の
会議
への
意見
聴取について、他の審議会等にかえることができるとしています。他の審議会にかえることができれば、任意設置である
社会教育
委員
の廃止が進み、現状でも進行している
社会教育
行政
の生涯
学習
を担う首長部局、一般
行政
への移管をさらに加速させるものです。
社会教育法
第三条第一項は、国と地方
公共
団体の任務として、「
社会教育
の奨励に必要な
施設
の設置」など、「すべての
国民
があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない。」としています。しかし、この
役割
を十分に果たし得ていない現状にあって、
行政
に都合のいい
学習
の成果のみが強調されれば、全体として
社会教育
の縮小の方向に向かわざるを得ないことを指摘し、反対の討論とします。 以上です。
佐藤茂樹
97
○
佐藤委員長
これにて討論は終局いたしました。
—————————————
佐藤茂樹
98
○
佐藤委員長
これより採決に入ります。
内閣提出
、
社会教育法等
の一部を改正する
法律案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を
求め
ます。 〔賛成者起立〕
佐藤茂樹
99
○
佐藤委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————
佐藤茂樹
100
○
佐藤委員長
ただいま議決いたしました本案に対し、
鈴木
淳司君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を
求め
ます。高井美穂さん。
高井美穂
101
○高井
委員
私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
社会教育法等
の一部を改正する
法律案
に対する附帯決議(案) 政府及び
関係
者は、本法の施行に
当たり
、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一
国民
の生涯にわたる
学習
活動
を
支援
し、
学習
需要
の増加に応えていくため、
公民館
、
図書館
及び
博物館
等の
社会教育
施設
における
人材
確保及びその在り方について、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮し、検討すること。 また、その際、各地方
公共
団体での取組における
地域間格差
を解消し、円滑な運営を行うことができるよう様々な
支援
に努めること。 二 生涯
学習
・
社会教育
に係る個人の
学習成果
が、
学校
、
社会教育
施設
その他
地域
において行う
教育
活動
として生かされるよう、各個人の
学習
活動
と
地域社会
の
教育
活動
との循環につながるような具体的な取組について
支援
に努めること。 また、その際、自発的意思で行われる
学習
に対して
行政
の介入とならないよう留意すること。 三
公民館
、
図書館
及び
博物館
が自らの運営
状況
に対する評価を行い、その結果に基づいて運営の改善を図るに当たっては、評価の透明性、客観性を確保する観点から、可能な限り外部の視点を入れた評価となるよう、国がガイドラインを示す等、適切な措置を講じるとともに、その評価結果について公表するよう努めること。 四 生涯
学習
の
振興
、
社会教育
の推進に当たっては、各地方
公共
団体における取組に係る
情報
収集及びその提供を行うとともに、様々な生涯
学習
・
社会教育
のための機会の
整備充実
やこれらを推進するための改善等を図ること。 五
地域
における
教育
力の
向上
のため、
学校
、
家庭
、
地域
等の
関係
者・
関係
機関の
連携
を推進し、各
施設
資料
の相互利用や
人材
の相互
活用
などを図るとともに、多様な
地域
の
課題
等に応じた機能を持つネットワークの構築を推進すること。 なお、その際、
学校
、
家庭
、
地域
の
連携
を推進する上で重要な
役割
を果たすPTAについて、その
活動
や運営などの実態把握に努め、「
学校
支援
地域
本部事業」における
連携
が円滑に進むよう十分配慮すること。 六
社会教育主事
、
司書
及び
学芸員
については、多様化、
高度化
する
国民
の
学習ニーズ
等に十分
対応
できるよう、今後とも、それぞれの分野における
専門
的能力・知識等の習得について十分配慮すること。 また、各資格取得者の能力が生涯
学習
・
社会教育
の分野において、最大限有効に
活用
されるよう、資格取得のための
教育
システム
の改善、有資格者の雇用確保など、有資格者の
活用
方策について検討を進めること。 七
社会教育
の推進に当たっては、
社会教育
委員
の制度等を積極的に
活用
・活性化するとともに、
社会教育
委員
がその重要な職責と
役割
を十分に認識するような環境
整備
を図ること。 以上であります。 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
佐藤茂樹
102
○
佐藤委員長
これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を
求め
ます。 〔賛成者起立〕
佐藤茂樹
103
○
佐藤委員長
起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、
文部科学大臣
から発言を
求め
られておりますので、これを許します。渡海
文部科学大臣
。
渡海紀三朗
104
○渡海国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。(拍手)
—————————————
佐藤茂樹
105
○
佐藤委員長
お諮りいたします。 ただいま議決いたしました
法律案
に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤茂樹
106
○
佐藤委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————
佐藤茂樹
107
○
佐藤委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十二分散会