○富田
委員 池坊副
大臣のおっしゃるとおりなんですが、実際に、例えば司法試験に受かった。実は、ことしの二月三日の東京新聞でびっくりしたんですけれ
ども、ことし司法修習を終了して検察官、裁判官、弁護士になる修習生が二千四百人ちょっといると。裁判官、検察官は百人も採りませんから、二千二百人前後が弁護士になる。
ところが、日弁連のアンケートでは、ことし、新人の弁護士さんを雇う事務所というのは千四百しかない。八百人あぶれるわけですよね。一生懸命勉強して法科大学院に入って、法科大学院で勉強して司法試験を受けて、司法修習もやって、では弁護士でスタートだとなったときに働く場がない。今、軒弁とか宅弁とかいう、軒先を借りて給料はもらわない、その事務所に一応自分の電話とか置かせてもらって、全部自分で稼げというのを軒弁と言うらしいんですが、私が司法修習生から弁護士になるころは、そんな言葉はありませんでした。実際問題として、軒弁じゃ食べていけないし、クライアントが困っちゃいますよね、何もわからない弁護士に、いきなり全部やられちゃうわけですから。
池坊副
大臣にちょっとお聞きしたいんですけれ
ども、ワーキングプア・ローヤーズという言葉があるのを御存じですか。(池坊副
大臣「はい」と呼ぶ)御存じですか。私もびっくりしたんですけれ
ども、ワーキングプア・ローヤーズ。ワーキングプアというのは雇用の問題でいろいろ出ていましたけれ
ども、ローヤーになってもワーキングプアだ、そういうことで本当にいいのかな。これは、やはり合格者数の問題もありますし、
考えなきゃいけないんじゃないかな。池坊副
大臣おっしゃったように、司法試験合格者で司法修習を終了した皆さんが全員法曹になる必要はないと私も
思います。行政の分野に進む方がいてもいいし、当然、企業法務を担当されてもいいと思うんです。
司法
制度改革の最初の
議論のときには、規制改革の方で、企業法務に人材が不足しているから司法
制度を改革して、法曹になるんじゃなくて企業法務を担当してもらう人たちのパイを広げる必要があるんだということを、オリックスの宮内さんとか旭リサーチの
鈴木さんでしたか、一生懸命言われて、多分、弁護士会もそれに乗っかった
部分があるんですね。それで、みんな、どどっと行ったけれ
ども、では、実際に司法修習が終わってみたら、どこも雇ってくれない。結局、去年は日弁連が一生懸命弁護士さんにお願いして、本来、勤務弁護士を雇えないような、雇う予定もないような
法律事務所が無理にみんな抱え込んだんですね。やっと一応全員就職できたという形になって、それでもやはり、先ほど言った軒弁とかそういうのが出てきてしまっている。ことしは八百人、これはもう絶対収容できないですよ。
実は去年の暮れ、私の
法律事務所にも一人、雇ってくれという子が来まして、うちのパートナーがどうしようかと言ってきたんですけれ
ども、そんな雇う予定もないし、要するに、弁護士一人雇うということは相当給料を用意しなきゃなりませんから、そうすると、売り上げを上げなきゃならない。こちらとしてもいろいろなことを
考えなきゃいけないということで、本当に申しわけなかったんですけれ
ども、お断りして、東京の方の知り合いの弁護士の事務所を
紹介しました。何とか就職が決まったというふうに先週報告を受けたんですが、決まった就職先も、まだ若手の弁護士さんで、何年先まで雇ってもらえるかわからないというような話をしているんですね。そうすると、こういう八百人就職先がないというのは、本当に現実の問題として、現場で今、司法修習生の人たちが一番苦しんでいる話じゃないのかな。
もともと優秀な司法修習生というのはいるんですよ。東大に行って現役でぱっと受かって、私の事務所で先日、司法修習をしていた女性の修習生は、TOEIC九百二十五点と履歴書に書いてきました。もうびっくりしちゃいますよね。そういう子は、受かった途端に渉外事務所に来ませんかと言われるんですね。そうじゃない普通の、まじめに一生懸命勉強してきて、何とか法曹になりたい、本来、そういう人たちに道を開いた新しい法曹養成
制度であるはずなのに、そういう人たちが一番困っているというのは、ちょっとやはり
制度設計のときと現実が違ってきたら、私は見直す必要があると思うんですね。
池坊副
大臣がおっしゃったように、確かに
閣議決定があります。ただ、そのままいっちゃって本当にこの一、二年、いいんだろうか。三千人になった上でもう一回
考えればいいんじゃないかという意見もありますけれ
ども、多分、鳩山法務
大臣はそういうことを言われているんじゃないんだと思うんですね、本音の
部分では。ただ、
閣議決定がありますから、
大臣として踏み込めないのかもしれませんけれ
ども。
今、本当に、このときに
考え直さなきゃいけない。こういうワーキングプアなんて出てきたときに
考えないと、今一生懸命法科大学院で勉強している学生さんがいるわけですから、そこはやはり
考えるべきじゃないかな。
もう
一つは、法科大学院の学生は、法科大学院は
学費が結構高いですから、奨学金をもらっていますよね。この奨学金が、私は、将来ばかにならないと思うんです。
文科省の方から法科大学院の奨学金の貸与状況の推移を教えてもらったんですが、平成十八年度で貸与人員七千九百五十六人、貸与金額百五億円。そうすると、一人、大体年間百三十万ぐらい貸与してもらっている。三年間行けば三百九十万ですよね。学生
時代も奨学金を受けていたりしたら、これは弁護士にならなかったら返せないですよ、単純に
考えて。司法試験も受からない、弁護士にもなれないという人たちが、将来自己破産する人がいっぱい出てくるんじゃないかな、それこそ本当のワーキングプアで。
そういったことを
考えたときに、先ほど池坊副
大臣が認可の基準を説明してくれましたけれ
ども、基準を満たせば文科省としては認可せざるを得ないというのはわかるんですが、やはり、七十四校、五千八百人という定員は、仮に三千人体制を維持したとしても、合格できない人たちが物すごくふえてくる。去年で合格率が四割ですか、法学を未修の方たちは合格率三〇%台ですよね。
そうすると、残りの人たちはどうなるんだということを
考えたときに、文科省がこうやれとは言えないんでしょうけれ
ども、全法科大学院が協力してやはり定数減に取り組む。一番いいのは、大きな大学の方から、自分たちはこれだけ定数を下げますと言えば、小さな大学の方もついてこざるを得ないので、そういったところを
考えるべきときに来ているんじゃないかなと思うんですが、こうやってやれとは言えませんけれ
ども、
大臣、今の私の話を聞いていてどう思われますか。