○小里
委員 その
現状認識はほとんど変わらないと思いますし、一緒の思いを持っております。
ただ、その「まず」の
部分が、この補てんの基準にしても
対象品目にしても、財源の積算根拠にしても、全くあいまいでありまして、「まず」の
部分にも対応できていないんです、
民主党のおっしゃるこの制度は。やはりこの
民主党案というのはちゃんとした処方せんが準備されていないと思うんです。
高齢農家や小
規模農家をひとりぼっちにする政策であると思います。ただ幾ばくかのお金を渡して、後は一人で長らえろ、そう言っているように私には聞こえます。
このお金は一時的な痛みどめにすぎません。やはり痛みの原因を根本から治療するものではないと思うんです。痛みどめを打たれた人
たちは、まだ頑張れるんだと、そのことには気づかないで、やがて体力の限界が来ます。やはり直払いだけではだめなんですね。それも大事だけれ
ども、総合的な政策で構造
改革を図っていかなければいけない。そのことをあえて申し上げておきたいと思います。
それと、ついでで恐縮ですが、
民主党は、先般のこの質疑におきましても、ヨーロッパ、EU、特に英国が直払いでもって
自給率を上げてきたということをおっしゃっていました。
あれは、確かに、一九七〇年代から
生産を上げ、
自給率を上げてきました。その過程では、
価格支持政策、そして国境措置としての輸入課徴金でもって
生産を上げてきたんです。その背景には、
規模拡大が進んでいた、あるいは食生活の変遷がなかったというものがあります。そして、一九九〇年代に入りまして、さすがに財政
需要が過大になってまいりました、あるいは
生産が過剰になってまいりました。そこで、
生産を抑制するために、
価格支持を引き下げながら直払いを本格的に導入したわけです。その延長線上では、当然、
生産は下がったし、
自給率は下がっていったわけであります。イギリスと我が国とは全く背景が違うし、制度が違う、制度の
目的も違うわけであります。
そういったEUからもし学べるものがあるとすれば、
規模拡大、あるいは確固とした国境措置である、そのことをやはり学ばなければいけないんだ、そんなふうに思います。ただやみくもにEUのことを信じてそのまねをするとするならば、これも失礼ながら、「鵜のまねして水におぼれるカラス」という
言葉がありますが、そんなふうになってしまいかねない。そのことをあえて申し上げておきたいと思います。
続きまして、食料の完全自給なるものについてお
伺いをいたします。
民主党の公約には、「食料の完全自給への取り組み」が記載されております。完全自給、すなわち食料
自給率一〇〇%を目指すものとして有権者に対してかなり強烈なインパクトを持ってきた、そのように
理解をいたします。
ところが、公約をよく読むと、国民が健康に生活していくのに必要な最低限のカロリーは国内ですべて
生産する体制を目指すとあります。これを見る限り、現在の食生活水準のまま一〇〇%の
自給率を目指すものではないというふうに
考えられます。もし不測の事態への対応を想定しているとすれば、それは、輸入が途絶えたら自給をしなければいけないと、当然のことを言っているにすぎないわけであります。そのような不測の事態には、使える
農地を総動員してカロリー効率の高い芋を主体にして作付をすれば、いわば芋を食うような生活をすれば、いや応なく
自給率一〇〇%になります。こういうことをもし想定しているとすれば、あえて食料
自給率一〇〇%を目標として打ち出す
意味はないということになるんですね。
逆に、今の食生活水準をそのままにして食料
自給率一〇〇%を目指すとすれば、現在の
農地の三・五倍の
農地が必要になります。これは現実的に不可能であるということは御
理解いただいていると思います。
民主党の主張は、食料
自給率と不測の事態における食料安保の概念を混同して、あたかも今の食生活水準を維持したまま
自給率一〇〇%が可能であるかのような印象を与えるものでありまして、全くフェアではない、まやかしではないかと思うところであります。
大事なことは、食料
生産に必要とされる
農業資源を利用可能な
状態にしておくこと、すなわち、
農地と水と人材を確保して食料の絶対的な供給力を確保することにあると思いますが、
見解をお
伺いいたします。
〔七条
委員長代理退席、
委員長着席〕