○大串
委員 事業をトータルとして見るとなると、やはりこの費用対
効果なんですよ。〇・八三なんです。先ほどおっしゃった、防災
効果があった、あれもあった、これは私も認めます。町の方々も恩恵を受けていらっしゃる、これは私も認めます。しかし、トータルとして見ると、やはり費用対
効果の数字〇・八三に収れんされている。
先ほど
大臣は
災害防止効果も含めていろいろな
効果はあるんだということをおっしゃいました。そこをもう少し詳しく見てみたいと思います。
資料の六ページ、「諫早湾干拓
事業の
効果一覧」にあらわれています。上から作物
生産効果、
災害防止効果、
国土造成
効果、その他となっていますね。それで、妥当投資額として下に全部まとめられています。千三百九十億が、第一回変更、第二回変更に伴って二千五百九十億、二千百二十億という妥当投資額になっている。これとの比較で費用対
効果が
考えられているわけでございます。
この中で一番大きいのが
災害防止効果ですね。見ていただくとわかります。これが当初
計画から第一回変更になるときに大きく上がっていますね。これは、第一ページ目とあわせ読んでいただきますと、第一ページ目に、
事業費が当初千三百五十億円から第一回変更のときに二千四百九十億に大きくはね上がっている。
事業費が大きくはね上がっているにもかかわらず、なぜそれでも費用対
効果が大きくがさっと下がらないかというと、六ページにありますように、
災害防止効果が六百六十億から千五百二十億へと大きくかさ上げされているんですね。これが非常に大きくきいているわけです。
ただ、なぜこの
災害防止効果が大きく上がっているのかというふうにその内容を
お尋ねしてみますと、
大臣も今いろいろおっしゃいましたね、
価格の調整を行ったとかいうことも冒頭おっしゃって、その次に、被害を受ける財の評価の方式も変わったんだということをおっしゃいました。
七ページを見ていただければと思います。
平成九年から十年にかけて、公共
事業の
効果に関する評価の方法が変わったんだという、まさにそのとおりのことが私もわかりました。これは
農水省からいただいた資料ですけれども。
「公共土木施設」等々のところで「再建設費」と書かれていますね。すなわち、この諫早湾干拓の潮受け堤防なかりせば、高潮などが起こったときに、わあっと波が押し寄せてきて、対岸にあるいろいろな公共土木施設等々が壊れてしまう、損壊してしまう、この再建設費がいわば
効果なんですというふうな計算方法になっているんですね。
ここは、こういう評価方法ではなくて残存価値みたいなもので
考えられていた。ところが、
平成十年から、ここは、再建設費、すなわち真新しいものをつくるとしたら幾らかかるかという、そういう
価格が計算の積み上げとして使っていいんだということになった。当然、真新しいものをつくるためにはお金がかかります。それが
効果として額の積み上げができるということになったものだから、六ページにあるように第一回変更のときに
災害防止効果がどんと上がっているということなんですね。
しかし、
大臣、これは私は役所にしか通じない論理だと思うんですね。普通、例えば損害賠償請求でも保険事故の場合でも、何がしかの耐久
消費財や不動産等に対する補償を行う際には減価償却という
考え方を入れます。ある物がつくられて、長い年数たって、その役務を年々
達成してきている、それによって減損してきている、その減損分を差し引いて、残存のいわゆる価値というものを減価償却した後
考える、それを補償するというのが通常の一般民間の
考え方です。
公の補償においてのみこういうふうに額がどんと高く出るように
平成十年に計算の方法を変更している、これによって、
事業費が大きく上がったにもかかわらず妥当投資額、便益が下がらないようになっている。これは
大臣、こういうふうな便益の計算方法はおかしいと思われませんか。