運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-05-14 第169回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月十四日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 中野  清君    理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君    理事 櫻田 義孝君 理事 高市 早苗君    理事 村田 吉隆君 理事 泉  健太君    理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君       阿部 俊子君    赤澤 亮正君       遠藤 宣彦君    大塚  拓君       加藤 勝信君    木原 誠二君       河本 三郎君   戸井田とおる君       土井  亨君    中森ふくよ君       西村 明宏君    萩生田光一君       藤井 勇治君    市村浩一郎君       楠田 大蔵君    佐々木隆博君       西村智奈美君    馬淵 澄夫君       松本 剛明君    石井 啓一君       塩川 鉄也君     …………………………………    国務大臣         渡辺 喜美君    国務大臣         大田 弘子君    内閣府副大臣       木村  勉君    内閣府副大臣       山本 明彦君    内閣大臣政務官     加藤 勝信君    内閣大臣政務官    戸井田とおる君    内閣大臣政務官     西村 明宏君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  原  勝則君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  江澤 岸生君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  株丹 達也君    政府参考人    (人事院事務総局人材局長)            尾西 雅博君    政府参考人    (内閣大臣官房長)   山本信一郎君    政府参考人    (内閣大臣官房官民人材交流センター及び再就職等監視委員会準備室長)   小林 廣之君    政府参考人    (内閣府政策統括官)   松元  崇君    政府参考人    (内閣府政策統括官)   丸山 剛司君    政府参考人    (内閣原子力安全委員会事務局長)        袴着  実君    政府参考人    (総務省人事恩給局長) 藤井 昭夫君    政府参考人    (法務省大臣官房長)   池上 政幸君    内閣委員会専門員     杉山 博之君     ————————————— 委員異動 五月十四日  辞任         補欠選任   加藤 勝信君     阿部 俊子君   吉良 州司君     松本 剛明君   吉井 英勝君     塩川 鉄也君 同日  辞任         補欠選任   阿部 俊子君     加藤 勝信君   松本 剛明君     吉良 州司君   塩川 鉄也君     吉井 英勝君     ————————————— 五月十二日  株式会社地域力再生機構法案内閣提出第一四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  株式会社地域力再生機構法案内閣提出第一四号)  国家公務員制度改革基本法案内閣提出第七五号)      ————◇—————
  2. 中野清

    中野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出株式会社地域力再生機構法案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。大田国務大臣。     —————————————  株式会社地域力再生機構法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 大田弘子

    大田国務大臣 株式会社地域力再生機構法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  地域経済の立て直しは、我が国経済重要課題であり、地域経済を支える事業者事業再生を通じた活性化が急務であります。このため、国、金融機関地方公共団体等が連携し、期限を切って集中的に取り組む仕組みの整備が必要な状況にあります。  こうした状況を踏まえ、雇用の安定等に配慮しつつ、地域における総合的な経済力の向上を通じて地域経済の再建を図り、あわせて地域信用秩序基盤強化にも資するため、金融機関地方公共団体等と連携しつつ、地域経済において重要な役割を果たしている事業者事業再生支援する株式会社地域力再生機構を設立することを目的として、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、株式会社地域力再生機構設立等の基本的な事項を定めております。地域力再生機構は、主務大臣認可により一を限って設立される株式会社とし、預金保険機構地域力再生機構の発起人となり、常時、発行済み株式の二分の一以上を保有しなければならないものとします。この法律主務大臣は、内閣総理大臣総務大臣財務大臣及び経済産業大臣として、役員の選任予算認可等の必要な監督事務を行います。  第二に、地域力再生機構組織について定めております。地域力再生機構には、その委員の過半数が社外取締役である地域力再生委員会を置き、事業者再生支援決定債権買い取り等決定債権または株式の処分の決定など、機構業務運営に関する重要事項決定を行います。  第三に、地域力再生機構業務について定めております。地域力再生機構は、地域経済において重要な役割を果たしていながら過大な債務を負っている事業者による申し込みを受け、支援基準に従って再生支援をするかどうかを決定し、支援決定を行ったときは、関係金融機関等に対し、地域力再生機構に対する債権買い取り等申し込みまたは事業再生計画への同意の回答をするよう求めます。さらに、回答に基づく債権買い取り、事業者に対する出資専門家派遣等資金人材両面にわたる支援を行うことにより、その事業再生支援します。また、地域力再生機構は、原則として、成立の日から二年以内に支援決定を行うとともに、支援決定から三年以内に事業者に対する再生支援を完了するよう努めるものとします。  第四に、地域力再生機構の円滑な運営を図るため、その他所要の規定を整備しております。政府地域力再生機構資金調達に関する債務保証や、預金保険機構に対する出資を行うことができる旨の規定を設けるほか、債権買い取り価格の算定のために金融庁または日本銀行技術的助言等協力を求めることができること、地域力再生機構中小企業再生支援協議会等との協力体制の充実を図ること、政策金融機関等について対象事業者に対する債務免除等協力するよう努めること、国、地方公共団体地域力再生機構等事業再生を円滑に推進するために相互に連携を図りながら協力するよう努めること等を規定しております。  以上が、本法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 中野清

    中野委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 中野清

    中野委員長 次に、内閣提出国家公務員制度改革基本法案議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原勝則君、江澤岸生君、株丹達也君、人事院事務総局人材局長尾西雅博君、内閣大臣官房長山本信一郎君、大臣官房官民人材交流センター及び再就職等監視委員会準備室長小林廣之君、政策統括官松元崇君、丸山剛司君、原子力安全委員会事務局長袴着実君、総務省人事恩給局長藤井昭夫君、法務省大臣官房長池上政幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中野清

    中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 中野清

    中野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚拓君。
  8. 大塚拓

    大塚(拓)委員 おはようございます。自由民主党の大塚拓でございます。  本日は、国家公務員制度改革基本法案について、渡辺大臣に御質問をさせていただきたいと思います。  ちょっと昔までですと、多くの日本人が、国のことは優秀な官僚に任せておけば大丈夫だ、こういうふうに思っていたと思うんです。私もそんな印象を持っていた者ですけれども、昨今の新聞、ニュース等を見ておりますと、いや、本当にそうだったのかな、官僚に任せておけば大丈夫というのは幻想だったんじゃないのか、こう思わせるような事態が頻発をしている、こういう状況なんではないかと思います。  それでは、官僚というのは優秀じゃなかったのかというと、私は、そんなことはないんだと思うんです。日々仕事の中で接しておりましても、多くの官僚の皆様というのは大変優秀である。問題は、その優秀な官僚ポテンシャル国益に資するような形でうまく引き出すようなシステム政府組織がなっていなかった、こういうことなんだろうと思います。この国家公務員制度改革基本法案は、そのシステムというものをしっかり、役人ポテンシャルを引き出して国益を最大化していく、そういうものであるというふうに理解しておるわけでございます。  では、それをどういうふうにやるかということですが、これも、よく役所の皆さん仕事をしていると、我が社、我が社というふうに言うわけですね。ここで我が社と言っている表現は、個々役人皆さんが所属している省庁のことを指しているわけです。自分の所属している省庁のことを愛着を込めて、会社に見立てて我が社、こういうふうに呼ぶわけです。これはこれで大変美しい愛社精神だと思うわけでございますけれども、しかし、この我が社カルチャーというのが、よく、省益あって国益なし、こう言われているような現状をつくり出してしまっている。結果として、例えば国土交通省道路関連で五十以上も公益法人をつくってしまうとか、硬直的な予算配分とか、なかなか進まない組織再編とか、そういうことにつながっている、こういうことだと思います。  やはり国家公務員ですから、国家公務員ですから、そこで我が社というふうに愛着を持って呼ぶ対象というのは、個々の例えば国土交通省であったり厚生労働省ではなくて、やはり日本株式会社でなければいけないんだろう、こういうふうに思っておるわけでございます。  そこで、法案の中身について質問に入りたいと思います。  本法案は、プログラム法案ということですので、実際にこれが成立した暁にはどうなるんだというイメージがなかなかつかみにくい、あるいは条文から読み切れないという部分もいろいろあると思いますので、そういうところを中心に、大臣に御質問させていただきたいと思っております。  まず初めに、改革ポイントというのは、省益というものと個々国家公務員をいかに断ち切っていくかということになるかと思いますので、その点についてお伺いをしたいわけです。  この法案では、内閣人事庁というものを設置することとして、総合職試験合格者採用とか各府省への配置、あるいは管理職等府省横断的な配置がえの調整ということについてここで一元的に行う、こういうことにしているわけです。これによって、各省庁人事権を握る、そして各省庁ゼッケン個々官僚がしょって一生生きていくという状況を断ち切っていこう、こういうふうにしておるわけでございますけれども、実は、大臣もよく御存じのように、幹部職員の所属について、この法案の中では「内閣人事庁及び各府省に所属する」というふうになっているわけでございます。  これについて、自民党内で法案の議論をする中で、これは大変な大激論になった点なわけです。こういった「人事庁及び各府省に所属する」というふうに書いてあると、解釈の幅が大変幅広い。内閣人事庁に実際の席もあって、そこから人事評価であるとか給料の支払いを受けるとか、そういう技術的な部分も含めて人事庁本籍がある、一方、各府省には形ばかり席があるというのが最左翼だとすれば、最右翼はその全く逆で、これまでのような感じで、各府省本籍があって、何となく併任のような形で人事庁にも名前が載っている、それだけだというところまで、何でもあり得るんだということで大激論になったわけです。  でも、ちょっと考えてみますと、人事庁による一括採用とか府省横断人事というものがうまく機能したとすれば、幹部職員省益関係というのはしっかり断ち切られるはずなわけであります。ある省の幹部になった人がその省のことを我が社だというふうに認識していなければ、その我が社に対していろいろメリットのある行動というものを最優先にしようというふうには思わないわけですから、そうならないようにすればいい。そのためには、今の採用とか配置がえの一元化、この部分をどれだけしっかりできるかということにかかってくるんだろうというふうに認識しておるわけです。  そのためには、総合職とか幹部候補、これは採用した後はできるだけ早い時期から府省横断型の人事を普通に行っていくというふうにしなければならないと思いますし、また幹部職員については、これは例えばということですけれども、ある省の幹部を務めたら、次の異動先というのは必ずほかの省にしなければいけない、こういった原則に基づいて運用していく、こういうことも必要なのかなというふうに思っているわけでございます。  そこで、大臣に、実際にこの法案成立した場合に府省横断人事というのはどのような運用をされることをイメージされているのか、ここをお伺いしたいと思います。
  9. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法案は、まさしく今までの各省割拠主義体制を根本から変えていくものでございます。内閣人事庁を創設することによりまして、採用から人材育成幹部登用、そして退職後の出口、天下りまで人事の一環として各省が今まで行ってきた、そういう体制を根本的に改めるものでございます。  まず、総合職からの採用者であっても、直ちに幹部候補となるわけではございません。この法案の中では、「採用後、一定期間勤務経験を経た職員の中から、本人の希望及び人事評価に基づいて随時行う」といたしております。幹部候補育成課程対象者に対しましては、「国の複数の行政機関又は国以外の法人において勤務させることにより、多様な勤務経験する機会を付与する」といたしております。内閣人事庁は、幹部職員については、適格性審査及び候補者名簿等の必要に応じた作成を行うほか、管理職員課長級ですね、管理職員についても府省横断的な配置がえに係る調整を行うといたしております。  これらのことによりまして、各府省立場を超えて、政府全体の立場に立った視野を持つ人材育成、活用し、内閣としての一体性を確保することが可能になっていくわけでございます。  また、今回の制度改革は、対象となるすべての公務員について一律に適用されるべきものであって、改革以前から公務員である者に対する人事制度が異なりますと、今回の改革趣旨が大きく損なわれることになりますので、そのあたりも、シームレスな措置が必要になってくるものと考えます。
  10. 大塚拓

    大塚(拓)委員 ぜひ、大胆な府省横断人事、ほかの省に異動することが当たり前だ、たまに例外的に異動するのではなくて、どこの省に異動していくのも当たり前だ、こういう状況を大胆につくっていっていただきたいというふうに思っているわけでございます。よろしくお願いいたします。  次に、この改革について必要な措置法施行後五年以内に講ずることとしているわけですけれども、少なくとも五年たったら新制度採用される人が出てきて、その人たちというのは各府省ゼッケン番号というのはついていない状態で公務員になってくるということなんだろうと思うわけです。一方で、旧制度のもとで国家公務員となった人たち、今現在、個別の各省庁ゼッケンをしょっている人たち、これも当然同じ制度のもとでの運用というものに移行していくんだろう、こういうふうに思っております。  その場合、新制度では、多様な研修とか経験を積んだ人材というものが幹部として活躍していくことをイメージされているわけですけれども、その新制度に旧制度の中で育った人たちをどういうふうに統合していくのか、これが一つ重要なポイントにもなってくるのかなと思っております。  五年の間に一定研修みたいなものも必要になってくるかもしれませんが、具体的なイメージ、どういった形で新体制に統合していく、統合された旧制度のもとで採用された人たちはどういうふうにしていけばいいのか、そのあたりをちょっとお伺いしたいと思います。
  11. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 国家公務員を旧人類と新人類に分けるわけにもまいりませんので、やはり今回の改革は、対象となるすべての公務員について一律に措置されるべきものと考えます。改革以前から公務員である者に対する人事制度が異なってしまいますと、今回の改革趣旨が大きく損なわれてしまいます。  一方において、人事制度が急激に変わって、人事が混乱したり停滞したりすることも困ります。移行措置を設ける必要があるかと思いますが、そのような経過措置も含めて、基本法成立後に具体的な制度設計は行われていくものと考えます。
  12. 大塚拓

    大塚(拓)委員 ありがとうございました。ぜひスムーズな移行というものが図られるようにしていただきたい、こう考えております。  もう一つ、新制度になると、大臣というものも、これまでとはちょっと違った心構えとか能力が求められてくるのかなというふうに思っているわけです。  具体的に言うと、経営管理能力というものがこれまで以上に求められてくるんだろう。これまでは、各府省が独立の存在として、ある程度自己完結していたわけですから、そこに単に乗っているだけでも組織というのはある程度うまく自律的に動いていたんだと思うんですね。しかし、今後は、各府省がそういう自己完結型組織で惰性で動いていくのではなくて、多様な個人の集合体になっていくわけですから、それを大臣リーダーシップを発揮して組織としてうまく使いこなしていかないといけない、こういうことになるんだと思うんです。  そこで、渡辺大臣に、五年後の世界で求められる望ましい大臣像、逆にもう一つ、こういう人は大臣になってもらったら困るな、こういうイメージがあったらそれを教えていただきたい、こういうふうに思います。
  13. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 小泉内閣のときには、一内閣一閣僚というキャッチフレーズを掲げて、大臣威令を行うべく、内閣全体として努力をされたんだと思います。やはり大臣が一年とかでころころかわってしまうということになりますと、威令が行われる場面が発揮できないんだろうと思います。総理が一年二年でかわるというのではなくて、やはり、より長い一定期間内閣としての一体性を保つ政治体制がまず必要であろうかと思います。  その上で、大臣というのは内閣の一員でありますから、内閣方針に従った各省のコントロールを行っていく必要があろうかと思います。なかんずく、人事権というものは、これまで各省大臣人事権と称して実は事務方仲間内人事権が発揮をされてきたという現実がございます。これを、より大臣威令を行うべく、実効あらしむるための改革プランがまさに今回の基本法案なのでございます。  その意味で、大臣もまたマネジメント能力が求められるというのは当然のことでございまして、その能力を一番強く発揮できる場面というのは、やはり人事権の行使ということになるのではないでしょうか。大臣内閣基本方針をよく踏まえ、そして、それぞれのポストのミッションは何か、そのミッションにふさわしい人材はどういう人材であるか、そういうことを見きわめる能力が必要になるかと存じます。
  14. 大塚拓

    大塚(拓)委員 どちらかというと、大臣大臣になるまでの、こういう経験を積んでくるべきだろう、こういうスキルを持っているべきだろう、あるいはこういうスキルのない人はちょっとあれかなと、もうちょっと具体的なイメージをお伺いしたい感じがあったんですけれども、お願いしていいですか。
  15. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 かつて自民党が一党長期政権であった時代、中選挙区の時代には、年功序列というシステムだったわけですね。ですから、大体、大臣になるのに当選五回でございますから、十三年から十六年かかったわけであります。しかし、その中選挙時代には、ほとんど同期の中で漏れなく大臣になれる、こういうシステムでございましたから、マネジメント能力とか、政治家としてのキャリアパスというのはほとんど関係ない世界だったかと思います。  しかし、やはりこれからは、まさに大臣に求められるミッション、これが極めて大事だと思うんですね。冒頭、大塚委員がおっしゃられたように、政治家は三流でも役人が一流だからこの国は大丈夫なんだなどという時代はもうとっくに終わってしまっているわけでございますから、まさに本来あるべき姿の真の議院内閣制を我々はこの基本法案において追求をしているわけでございます。まさにそうしたミッションを体現できる大臣というのが求められるかと思います。
  16. 大塚拓

    大塚(拓)委員 よくわかりました。渡辺大臣のようなミッションを遂行できる大臣ということがこれからどんどんふえていかなければいけない、こういうことだろうと思います。  次に、多様な人材登用という点についてお伺いしたいと思うわけですけれども、これまで、国家公務員試験というのがペーパー試験中心ペーパー試験の結果というものが余りにも重視され過ぎてきたんではないか、こういうことがよく言われるわけでございますが、実際の仕事では、リーダーシップとかコミュニケーション能力とか交渉力とか、必ずしも試験のよしあしということではかることが適さない、そういう能力も問われる局面が多々あるわけでございます。  実際に、多様な個性とか多様な能力を持つ人材を持っていることが強い組織の条件ということにもなってくるわけでございますので、これをどうやって多様な人材採用していくかというのは、新しい政府組織をつくっていく、強い組織をつくっていくという中で非常に大事だろうと思います。  一方で、お手盛り採用を防止することも必要だということで、客観的な基準が必要だ、こういうことでペーパー試験が重視されてきているという経緯もあるわけですが、この新しい基本法案採用制度のところを見ても、やはり試験というものが中心に書いてあるように見えるわけでございます。これが今後どういうふうになっていくのか。  例えば、平成二十年度の現在の制度のもとでの採用の実績を見ると、国家公務員1種を受験した人というのは二万二千四百三十五人、その中で試験に最終的に合格した人は千五百八十一人、約七%の合格率、こういうことになっているわけでございます。ここから実際に採用が内定した者が六百二十九名、七%の合格者の中の四割が採用されている。大体この試験で大分絞り込まれているということだと思うんですね。  ところが、試験足切りをされてしまった残りの九三%というのは、まずその採用対象として見られないわけでございます。ただ、その中にも、試験の力という意味ではちょっといま一歩及ばないという中で、ほかの能力リーダーシップとかそういうところでは大変すぐれている、秀でている、こういう人はいっぱいいるはずなんですね。  また、試験ハードルが高いという認識を多くの学生は持っているわけですから、自分余り試験に向いてないなと感じる人はそもそも国家公務員試験を受けない、目指さない、こういう状況にもなっているんだと思います。  少なくとも、多様な人材登用を目指している新制度の中では、必ず試験をやるということだったとしても、足切りの枠、このハードルというものを大幅に下げていく必要があるのではないのかな。例えば、合格率を三割ぐらいに思い切り広げる。そして、試験のできという意味で言えば、従来の制度のもとで採用されてきた人よりも少し及ばないところがあったとしても、ほかのところで秀でている、合格点ぎりぎりでも見込みがある人材、こういうのを丁寧に面接をして拾い上げていく、こういう運用が必要なんじゃないかと思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
  17. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 大塚委員御指摘のように、多様な人材というものがこれからの公務には求められるかと思います。職員採用に当たっては、知識偏重に陥ることなく、人材本位の採用を行っていくことが大事であります。  一方で、ペーパー試験の比重をどの程度にするか、人材本位で採用するためにどのような手法を用いるかといったことは具体的な制度設計でございまして、試験の目的に応じて検討を進めていく必要があろうかと思います。例えば、先ほど御指摘になられた中途採用試験については、ペーパー試験で判定される知識よりもむしろ実務能力をより重視して試験を行うことなども考えられます。  具体的な採用試験のあり方については、基本法成立後、採用の客観性確保の観点も踏まえながら検討してまいります。
  18. 大塚拓

    大塚(拓)委員 ぜひ、従来のような、勉強がよくできるという人材だけが集まる組織にはならないようにしていただきたい、こういうふうに思っております。  今もいろいろお話がありますように、この法案成立した後に決めていくことというのが非常に多いわけでございますが、この法案では、そういう具体的に決めなきゃいけないことを、国家公務員制度改革推進本部というものを設置して、そこでこの改革を推進していく、実際にいろいろ詰める作業をしていく、こういうことになっているわけでございます。  このプログラム法が実際にどういうものに具現化されていくかという中心になるのがその組織ですから、そこがどういう組織になるのかというのは、この改革の本当の成否に大きな影響を与えていく。逆に言えば、この組織づくりに失敗すると改革の骨抜きの温床にもなりかねない、こういう懸念も持っているわけでございますけれども、そうならないためには、やはり各府省からの出向者中心で事務局を構成するというのはよくないと思うんですね。やはり、なれ親しんでいる従来の制度からの惰性、慣性といったものが働くと思いますし、これまでの人間関係というのはなかなか断ち切りにくい。  何よりも、やはり国家公務員でずっとやってきている方というのは、一つのタイプの組織しか知らないわけですね。日本政府組織というあり方しか知らないということでありますから、やはり民間で人事それから組織といったものに幅広い知見を持っている人材を、事務局長については法案にも書かれておりますけれども、事務局長のみならず、マイノリティーになることがないように、そういう民間で幅広い知識を持っている、知見を持っている人間というものがしっかりイニシアチブをとって全体の制度設計を進めていける、こういう体制をつくる必要があると思いますけれども、この本部というものはどういう組織、どういうメンバー構成を想定されているのかをお教えください。
  19. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 国家公務員制度改革推進本部の事務局については、基本法成立後に、適切な体制となるようにつくっていかなければなりません。特に、重要なポストであります事務局長については、基本法において「公務内外の人事管理制度に関し識見を有する者」と明記いたしております。  官民の垣根を下げていくという観点からは、役所の人事制度に詳しい人材だけでなく、民間の制度運用に詳しい人も必要であろうかと思います。事務局にはぜひそういった人材登用していくべきだと考えます。
  20. 大塚拓

    大塚(拓)委員 公務内外の組織について識見があるというときに、公務内というのは日本政府組織というのが一つあるだけであって、外を見れば、いろいろな会社であったり非営利団体であったり国際機関であったり、何千何万というタイプの組織があるわけでありますから、比重としては、やはり公務外の組織に関する識見をいっぱい持っている人ということが前提になると思いますので、たまたまいろいろな人事組織を勉強した各府省からの出向者が事務局長になるということではなくて、しっかり民間でそれを専門にやっている方が事務局長につくということを強くお願いしておきたいというふうに思います。  そろそろ時間も迫ってまいりましたが、一点、公募、ポスティング制度というものの活用についてお伺いしたいと思います。  仕事のパフォーマンスというのは能力と意欲の積だ、能力掛ける意欲とよく言われるわけですけれども、仕事に対して一番意欲の高い、熱い思いを持っている人材というものを採用していくという意味で、このポスティング、公募というのは非常に有用、効果的なんだろうというふうに思っております。  これは、ほかの府省だけじゃなくて、民間からも幅広い人材を集めていくことができる制度でございますので、積極的に活用していくべきだというふうに思うわけですが、法案で、幹部職員の公募については数値目標を定めるというふうにしておるわけですけれども、官の側で積極的にポストをオープンにしていかないと、民から入ってこられない、官民人材交流、人事流動性というのが高められないということだと思いますので、幹部職員以下のポストについても積極的にこの公募、ポスティングを活用していただきたいと思うわけですが、御所見をお伺いしたいと思います。
  21. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 御指摘のように、基本法案におきましては、幹部職員等につきまして、その職責を担うにふさわしい能力を有する人材を確保するため、公募に付する職の数について目標を定めるなど、公募による任用を推進することにいたしております。  公募の活用によって、意欲の高い者が多数応募してくれることが期待されます。最終的な任用については、能力と適性を有しているか否かにより判断されるべきものと考えます。  公務員制度改革推進本部の事務局の幹部ポスト、先ほどのお話でございますが、こうしたポストについても、公募により意欲と能力、適性ある人材を集めるというのも一つの考えであろうかと思います。
  22. 大塚拓

    大塚(拓)委員 現在でも、公募であったり選考採用であったりされているわけですけれども、どうしても、処遇が民間にいたときよりも落ちるとか、任期つきのポストが中心だったりとか、そういうことで、なかなか本当にそこで仕事をしたいなと思える状況じゃないということがあると思いますので、新制度のもとではそういうことのないように、処遇面、任期つきじゃない普通のポストというものも幅広くオープンにしていただきたいと思います。  時間になってまいりましたので、最後に、これは大変重要な、国のあり方を変える大改革だと思うわけですけれども、何としても成立を期さなければいけない。ただ一方で、現在、国会情勢というのは大変厳しいところがありますので、野党の皆様の御協力を得ながら、御意見をお伺いしながら、これは何としても、我々も頑張りたいと思いますけれども、その旗を大臣がしっかり振って、絶対成立させるんだ、こういう意欲が必要だと思いますが、その決意のほどをお伺いして、終わりたいと思います。
  23. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 ぜひとも今国会で成立をさせていただきたいと思いますので、与党、野党かかわらず、よろしくお願いをいたします。
  24. 大塚拓

    大塚(拓)委員 大変困難な改革に取り組まれている渡辺大臣にエールを送って、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  25. 中野清

    中野委員長 次に、土井亨君。
  26. 土井亨

    ○土井(亨)委員 おはようございます。自由民主党の土井亨でございます。質疑をさせていただきたいと思います。  私自身、正直申しまして、この基本法が本当に必要なのか、悪い意味で必要なのか、そこまで国家公務員公務員皆さん方は自浄能力がないのかというような思いがございます。  たび重なる不祥事等々を含めて、この国の公務員のあり方が問われているのは確かでありますし、また、九七年の行政改革会議最終報告書にも、公務員制度改革ということで報告書が出ておりまして、以来、いろいろな施策を講じてまいっておりますが、国家公務員に対する批判というものが今もって国民の皆さんから払拭されない。  私の小さいころは、霞が関は不夜城だ、夜も寝ないで国のために一生懸命働いてくれている、それがやはり国民の皆さん国家公務員皆さんに対する、公務員皆さんに対する考え方だったんだろうというふうに思いますが、今はなかなか、そういう国家公務員に対する国民の皆さんの信頼というのが失われているというのも現実だろうというふうに思っております。  国の統治機構が変わったので国家公務員役割も変更しなければいけない、地方分権が進んで国家公務員仕事も減ってきた、だから国家公務員制度改革が必要なんだということであれば私も理解できるわけでありますが、そういうことではない中でこの基本法が今回出されたというのは、私は、個人的には大変不本意な思いをいたしております。  余談になりますが、ネットでちょっと調べてみました。昔は、国家公務員のことを公僕かお上とよく言われておりました。ところが、公僕というふうに言われることに、国家公務員皆さんはきっと抵抗感を覚えていたんだろうというふうに私は思います。公僕、すなわち広く公衆に奉仕をする者、一般国民に奉仕をする人、公務員のこと、これが公僕であります。一方で、お上という名称もあります。このお上、庶民から見た権力者のこと、天皇、朝廷、主君、現代では政府官僚公務員がこれに当たる。このお上という意識の方がいつの間にか強くなって、今のような現実が生み出されているんだろうというふうに私は思います。  まず大臣に、いろいろな形で公務員制度改革というのは行われてきた。なぜ今、改めてこの基本法が必要なのか。今回のこの基本法によって、どのような国家公務員像をつくり上げようとしているのか、どのような国家公務員をつくるのか、その辺の大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  27. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 明治の初期に我々の先祖たちは、当時の近代国家のいろいろないいところを取り入れた、まさにその時代の最先端の官吏制度をつくったんだと思います。封建制度の身分制を廃し、家柄、門地、身分、そういったことに全くかかわらずに優秀な、能力のある若者を官吏として登用していったわけでございます。  残念ながら、我が国が準戦時体制のもとで、政治というものが否定をされ、政党が排除され、究極の官僚主導体制が一九四〇年前後にでき上がったわけでございます。そうした制度が、実は戦後も引き続いているという説がございますが、戦後、まさに国民、国家の繁栄に積極的な役割を果たしてきたのも事実でございます。しかし、その後の世界の情勢、社会経済情勢の変化に対応できなくなってしまったではないかという大批判があるのも事実でございます。  昨年、能力・実績主義の人事管理の徹底、天下り規制の導入を内容とする国家公務員法の改正を行いました。これにとどまることなく、今回の基本法案によって、国家公務員人事制度全般の課題についてパッケージとして改革を進めるものであります。  今回の改革においては、一人一人の職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行するという姿こそが、目指す国家公務員像であります。同時に、総理の施政方針演説において述べられたように、行政や政治を国民本位のものに改め、常に国民の立場に立つをモットーに、公務員の意識改革も必要になったと考えるものでございます。
  28. 土井亨

    ○土井(亨)委員 今大臣からお話をいただきましたが、公務員皆さん方には、お上意識はやめてほしいというふうに思います。  公僕とお上という相反する言葉があります。ぜひ、お上意識というものを取っ払っていただいて、原点に戻って公僕と、必要以上にそう思う必要はないのでありますが、この国のために、国民のために懸命に働くんだ、国民の皆さんからいただいた税金はしっかりと、この国のために、国民の皆さんのために使うんだ、そういう思いで、この公僕という言葉、どっちかというと忘れ去られている、公務員皆さんが嫌がる言葉だというふうに私は思いますが、この公僕というものをもう一度考え直していただいて、公僕というものに対してもう少し意識を高めていただきたいというふうに思います。  二点目なんですが、今大臣からお話しいただきました意識改革。企業もそうでありますし、特に自治体、いろいろな不祥事が起きましたときに、知事を先頭に一番最初にやるのは、職員の意識改革であります。これはもう、全職員に対してやられるわけであります。  私も宮城県の県会議員をやりまして、食糧費やいろいろな問題がありました。そのときに、一番初めに知事が取り組まれたのは、やはり職員の意識改革。みずから律して、みずからしっかりと組織をいいものに変えていく、これが職員の意識になければ、どんな法律をつくっても決してよくなることはないんだろうというふうに思っておりますので、この意識改革というのが物すごく大切だというふうに私は思っております。  国家公務員でありますから、省庁設置法等々、いろいろな意味法律があるわけでありますが、公務員という、そういう職というものからすれば、どの省庁からいろいろな形で不祥事が出てきたにしても、全省庁が意識改革にまず取り組まなければならないというふうに私は思っております。  今日まで、国家公務員皆さん方はどう意識改革に取り組まれてきたのか、そしてまた、これからどういう形で意識改革というものに取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  29. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法案は、国民全体の奉仕者である国家公務員について、議院内閣制のもと、国家公務員がその役割を適切に果たすことという基本理念にのっとって改革を推進するものでございます。そういう理念のもとにおきまして、例えば総理の施政方針演説で述べられたように、常に国民の立場に立つということをモットーに、御指摘のような公務員の意識改革を進めていく必要があろうかと思います。  今回の公務員制度改革においては、公務員一人一人が高いモラルを維持し、能力を高め、誇りを持って職務に専念できることを目的としているものでございます。
  30. 土井亨

    ○土井(亨)委員 よく、省益あって国益なしというふうに言われます。その省のために頑張るんだというふうに、私はそうは思っておりませんけれども、とかくそういうふうな形で言われている昨今でありますから、決して省益のためにやっているんではないんだ、この国のために頑張っているんだという意識を持っていただくために意識改革というものも、これは総理大臣を筆頭に各大臣が、まさにサンドバッグ、役所と闘う姿勢を持って、そのことをしっかりと示していただきたい。そして、その意識改革というものをしっかり高めていただきたいというふうに思います。  そういう中で、私が思うのは、よくこれも市民の皆さんに聞くんですが、責任をとっていないじゃないか、不祥事やいろいろなことがあっても、公務員はだれが責任をとっているんだと。ある意味、かわいそうなのは大臣皆さんだと私は思いますよ。大臣に就任して喜んで、その省の不祥事が起きたときに、一番最初に責任を問われるのは大臣ですから、大変かわいそうなことだと私は思っています。ある意味大臣が責任をとるのは、そういう省の不祥事が起きたとき、その省の責任をどう明確化するか、だれがどういう責任をとるのかということだというふうに思います。  一例で言えば、今の年金問題、社会保険庁の職員。私は、政治の責任もありますが、職員の側の責任というものが重大だと思います。だれも責任をとらないんじゃないか、そういう不満が多くの国民の皆さんにありますし、公務員というのは責任をとることがないんだというような考え方を持たれていらっしゃるのも現実だというふうに思っておりますので、ぜひ大臣、この意識改革というものに取り組まれるとき、責任の所在をはっきりさせる、不祥事を起こした者にはしっかりと責任をとらせるんだ、そういう仕組みも同時にとっていただきたいというふうに思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
  31. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法案におきましては、職員の倫理の確立及び信賞必罰の徹底ということを第九条においてうたっております。例えば、人事評価について、国民の立場に立った職務遂行する態度その他の職業倫理を評価基準として定めること、あるいは、職務上知ることのできた秘密を漏らした場合その他の職務上の義務に違反した場合または職務を怠った場合における懲戒処分について、適正かつ厳格な実施の徹底を図るための措置を講ずること、また、国家賠償法に基づく求償権について、適正かつ厳格な行使の徹底を図るための措置を講ずることなどについて規定をしているところでございます。  ともすれば官僚の無謬性ということが強調され、責任逃れの言辞が横行してきたことに対する反省を踏まえて、このような九条の規定を設けたものでございます。
  32. 土井亨

    ○土井(亨)委員 よくわかるんですけれども、私自身、不祥事の場合、あといろいろな意味で、無駄遣いをした場合、その部分を含めてその省がしっかり返還するんだというぐらいの信賞必罰じゃなけりゃだめだというふうに思います。  これも地方公務員、地方のことを言うと大変申しわけないんでありますが、先ほど申しましたとおり、宮城県が膨大な食糧費で問題を起こしたときに、全職員が、またOBも含めて負担をして返還をした。このぐらいのきちっとした責任の明確化、そこまでしっかり責任をとらせるんだ、そういうものがなければ、私は、意識改革もできないでしょうし、今までのような省益あって国益なしというふうになるんだと思います。  自分たちが省益のためにやっていることがもし問題になれば省全体が責任をとらせられる、その省のみならず全省庁が責任をとるんだ、とらせられるんだ、そういうしっかりとしたものがなければ、一生懸命やられている公務員皆さんもたくさんいるというのは承知をいたしておりますが、この国家公務員に対する国民の皆さんの思いを払拭することにはなかなかならないんだろう。そのぐらいの覚悟を持ってぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  ちょっと基本法案の中身を質問させていただきたいと思います。  今回は、内閣人事庁を設けるということで、一元的な管理をすると。もしかすると今答弁されたような中身かもわかりませんが、私は、人が人を評価するというのは大変難しいことだというふうに思っております。しかし、人が人をしっかり評価するということになるわけであります。そういう意味では、今までもそういうことだったんでしょうが、人事庁が一元管理をしてその評価をするというふうな形になっておりますが、私は、その評価の仕方というのは大変難しいものだろうというふうに思っておりますし、新たにこういう人事庁という形で管理、評価をしていくわけでありますから、なおさら、今までのものを引きずった形での評価システムであってはならないというふうに思っております。  改めて、この人事庁の人に対する評価システムというものをどのように大臣は考えていらっしゃるか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  33. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 国家公務員評価システムについては、さきの国家公務員法改正におきまして、人事管理の基礎とするため、新たな人事評価制度が導入されたところでございます。  加えて、今回の基本法案では、職員育成及び活用を府省横断的に行うとともに、幹部職員等について、適切な人事管理を徹底するため、内閣人事庁人事評価を含む幹部職員等の人事に関する情報の管理を一元的に行うことにいたしております。これによって、内閣人事庁において人事評価に基づいた幹部職員等の人事管理を一元的に行うことが可能になるわけでございます。縦割りの各省割拠主義の弊害というものをこうした観点からも除去していこうということであります。  また、具体的な評価システムについては、基本法成立後、基本法に基づく措置を含めて整備されることになってまいります。
  34. 土井亨

    ○土井(亨)委員 今申し上げましたとおり、私は、人が人を評価するというのは大変難しい、そしてまた、そこに公平さを求められるということになるとなおさら難しいというふうに思っておりますので、ぜひその辺、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。  もう一つ、今申しましたとおり、人が人を評価したり一元管理をするわけですから、この人事庁職員の方々はやはり崇高な思い、理念や使命を帯びるというふうに思っております。そういう意味では、各省庁から人事庁職員を募るのか公募するのか、そういたしましても、当然、その省庁の影響というものが陰になり、いろいろな意味で疑いを持たれる、疑いと言うと変ですけれども、そういうものが足かせになることが想定をされるというふうに私は思っております。  私は、この人事庁というもの、そしてまた職員も含めて、相当の権限といいますか、省庁の抵抗やそういうものに、変な話ですが、きちっと対抗し得るものでなければ組織意味がないというふうに思っておりますので、この内閣人事庁というものの組織の権限のあり方、そしてまた省庁との関係、そういうものをちょっとお聞かせいただければというふうに思います。
  35. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 内閣人事庁が各府省のトンネル機関になってしまったら、これは元も子もないことでございます。  本法案においては、内閣人事庁の所掌事務について、職員育成及び活用を府省横断的に行うとともに、幹部職員等について、適切な人事管理を徹底するための事務を一元的に行うことを明確に規定いたしております。  内閣人事庁の具体的な権限については、基本法案成立後に検討することになりますが、各府省立場を超えて政府全体の立場に立った視野を持つ人材育成、活用し、内閣としての一体性を確保するという設置目的に合致するものでなければならないのは、当然のことであります。
  36. 土井亨

    ○土井(亨)委員 ぜひ独立性を持たせて、省庁のそういうものの影響を受けないような形でしっかりとした組織をつくっていただきたいというふうに思います。  次に、今回は、幹部候補生を育成するということで取り組まれる。ただ、これが余り過度になりますと、固定化を招くわけであります。やはり、幹部候補ということで育成されている職員であっても、途中で不適格だったりいろいろな評価がされるわけでありますし、また、幹部候補になれなかった職員、そういう方々の意識というものも低下をすることも予想されるわけでありますから、私は、余り固定化しない方がいいというふうに思っております。  その辺の選抜に際して、また育成が始まってからの入れかえ、入れかえというと変ですね、そういう中での流動化、そういうものをお考えになっていらっしゃるのか、その点、お聞かせいただきたいと思います。
  37. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法案は、身分制的であるという批判のある現行のキャリアシステムを廃止することを柱の一つにいたしております。御指摘の幹部候補育成課程についても、「課程対象者であること又は課程対象者であったことによって、管理職員への任用が保証されるものとしてはならず、職員採用後の任用は、人事評価に基づいて適切に行われなければならない。」と明記いたしております。  さらに、幹部候補育成課程は、人事評価に基づく選定と絞り込みを根本原則とし、採用試験の区分にとらわれることなく、能力・実績主義が徹底される仕組みとして整備することといたしております。  したがって、こうした規定から、現行の身分制的キャリア制度は廃止をされ、まさしく能力・実績主義に基づいた人事制度が確立をされるものと考えます。
  38. 土井亨

    ○土井(亨)委員 では、この幹部候補育成課程、幹部候補ということで育成される方々というのはどういう方々なんですか。どういう選抜をされるわけですか。
  39. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 まさしく人事評価に基づいて能力・実績主義を徹底していこうということでございます。したがって、試験の種類の違い、例えば総合職、一般職、専門職、いずれのルートからでも幹部候補になっていけますよ、そういうことを明確にしているものでございます。今の、現行のキャリアシステムというのは、1種試験合格者が自動的に幹部候補のルートに乗っていくということでございますから、その点が根本的に異なるわけであります。
  40. 土井亨

    ○土井(亨)委員 学力主義とよく言われるわけでありますが、ぜひ、仕事を一生懸命頑張る、頑張って本当に努力をしている、そういう皆さんでも、ある意味しっかりとした評価によって、頑張りがいがあるような、そういうシステムにしていただきたいというふうに思います。  時間もなくなりましたので、多分最後の質問になるんだと思いますが、今回、政官接触の集中管理ということで、専門官ですか、政務専門官というものを新しく設けるということで、いろいろな説明等々はその専門官が行うというふうに書いてありますが、その中で「その他の政務」というのもあります。政務専門官が行うその他の政務というものはどういうものなのか。  そしてまた、それ以外の職員が国会議員と接触をするときには大臣の指示を得なければならないような規定になっておりますが、私は、これはちょっと非現実的に近いのではないかなというふうな感覚を持っております。職員が議員に接触というかいろいろ会う場合、一々大臣の指示を求めていかなければならないのか、そこまで大臣は暇なんですかねというような感覚なんですよ。そんなことに大臣が一々指示を出すより、もっと大臣としての職責を果たしていただきたいという思いが強いものですから、これはちょっと非現実的に近いような感じもいたします。  政務専門官の説明以外のその他の政務というものはどういうものを想定されているのか。そしてまた、職員が議員と接触する場合に、大臣の指示を受けるということよりも、しっかりと複数の職員が議員と会ってメモをとって、もしいろいろなことであった場合は、このあなたの発言、要請、要望というものは公にされますよということで面会をした方が現実的だというふうに思いますが、その点、大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  41. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 この規定は、真の議院内閣制を実現するために置かれたものであります。すなわち、官僚主導体制、ともすれば官僚内閣制などとやゆされるシステムが、大臣の御意見はさておきなどといってロビーイングを許してしまう、そういう危うさを持っております。  したがって、真の議院内閣制を実現するためには、内閣主導型の体制、すなわち政治主導の体制を確立していくことが大事なことであって、そのような官僚主導のロビーイング活動を根本的に規制していこうという趣旨でこの規定を設けたものでございます。国会議員の側からの情報収集などを妨げないような具体的な制度設計を行ってまいりたいと考えます。
  42. 土井亨

    ○土井(亨)委員 もう時間が参りました。ある意味、私は、議員というのは、いろいろな説明を聞いたり、またいろいろな資料提供を求めたり、そういう中で議員活動が進むんだろうというふうに思っておりますので、説明に対しての専門官は私はよしといたしますが、議員との接触というものに対しては、むしろ公務員の方の意識をしっかり高めて、議員からのいろいろ不合理なそういうものには応じないんだという気概で接触をするということの方が、私は理にかなっているような気がいたします。  最後に、大臣はいろいろな形で御活躍で、大臣を担当する者は本当に省庁からサンドバッグ状態に遭う、そういう難しい問題を担当されるということで、ぜひ大臣のますますの指導力、リーダーシップ、御活躍に御期待をさせていただき、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  43. 中野清

    中野委員長 次に、遠藤宣彦君。
  44. 遠藤宣彦

    ○遠藤(宣)委員 おはようございます。自由民主党の遠藤宣彦でございます。  この公務員改革も大分佳境に入ってまいったようでありますけれども、私も昨年の暮れに実は質問をする機会をいただいたんですが、ちょっと身内の不幸がありまして、見送ったという経緯があります。満を持して質問させていただきたいと思います。  公務員改革、今回、キャリアの改革、見直しというのがいろいろあると思うんですけれども、これは考えてみれば当たり前のことでありまして、今までの優秀な人間、欧米が、先進国が先に進んでいて、そこに追いつき追い越せと見本がある、そして見本に対して、いち早くそれをマスターして、それを日本に適用していける人間が優秀だという時代が明治以来長くあったわけでありますけれども、今、いい意味でも悪い意味でも、日本が先頭に立っている、かなり先に立っている。そういった中で、お手本がない。  例えば、少子高齢化社会、ほかの国にはないぐらいのスピードで未曾有のシチュエーションに向かっているときに、今までの優秀という概念が成り立たなくなってくる。  そして、ある人が言っていますけれども、今までの優秀さというのは、必ず答えがあるものに対して、なるべく短い時間でできる問題から解くというのが非常に優秀な人間のパターンだった。今、これからの時代、そういったものが優秀さにならない。こういう意味でも、この公務員改革、ぜひともなし遂げなければならないと思います。  さて、今回、公務員改革幹部職員あるいは政官の接触とかもろもろの話がありますけれども、多分これで公務員改革というのはおしまいではない、かなりすそ野が広い話だと思います。  まず、大臣にそもそも論でお伺いをしたいんですけれども、これは先ほど土井先生がお話ししていたかもしれませんけれども、公僕という言葉、公に尽くす人、英語で言いますとパブリックサーバント。かつては天皇の官吏で、天皇陛下のために働けばいいということで、昔、お役人は一生懸命やってきた。今は、国民のために働く、一部の奉仕者ではなくて全体の奉仕者である。ところが、それが、時に一部の政治家の奉仕者であったり、OBに対しての奉仕者であったり、時には自分に対しての奉仕者であったりということがたまに出てくる。  こういった中で、先ほども質問があったかもしれませんけれども、公僕、この言葉について、改めて大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  45. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 国家公務員は、日本国憲法第十五条及び国家公務員法第九十六条に規定されるように、国民全体の奉仕者であります。常に国民の立場に立って職務を遂行することが求められます。こういう当たり前のことを当たり前にやっていくことは実は相当難しいことであるということを痛感せざるを得ません。公務員について、公僕、公などの言葉が使われる、この当たり前の感覚を取り戻す必要があろうかと思います。  今回の公務員制度改革においては、公務員一人一人が高いモラルを維持し、能力を高め、誇りを持って職務に専念できるよう改革を進めてまいりたいと考えます。
  46. 遠藤宣彦

    ○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。  公の概念というものが今極めてあいまいになってきている中で、ここを再確認することからスタートするというのは非常に重要だと思います。  そして、それに関連することなんですけれども、私は、本来的意味での公務員とあわせて実質的な意味での公務員、公、公務員という言葉が、みんなのため、そして全体のためという意味であるならば、身分が今、厳密な意味公務員でなくても、実質的に公務を果たしている方々がいるということをぜひとも確認したいと思います。なぜならば、そういった人たちが一生懸命やっているのに公務員が余り動いていないということになると、日本人全体のモラルというか士気が下がってきてしまう。  例えば、民生委員とかあるいは消防団の方々、こういった方々というのは厳密な意味でいわゆる今回俎上に上っている公務員ではないけれども、私が毎週地元に戻ってこういった方々と接触をするにつれ、本当の意味で公の仕事をやっているんだな、こういうふうに思います。  この背景には、幾つかありますけれども、日本の場合よく言われますけれども、公務員の数はそんなに多くない。しかしながら、何が決定的に欠けているか。執行機関が足りないんです。地元とかそのものに直面して対応していく執行機関が極めて少ない。だから、民間やボランティア、こういった、厳密な意味では公務員ではないかもしれないけれども、事実上公務を果たしている人たちに負うところがかなり大きい。  消防団なんかも、私の地元の香椎だとかあるいは西戸崎とか、いろいろなところがあるんですけれども、本当に、仕事をしながら一生懸命地域の防災のために頑張っている。あるいは、体育協会、そして民生委員。民生委員なんかは、北海道で生活保護で一億五千万か二億五千万か詐取をされた、ところが、地域のいろいろな方々に接しているそういった方々というのは、本当に困っている人がだれなのか、何なのかということを実際に一番知っている。  そして、安全協会。私の選挙区、三人の子供が亡くなった事故があったところですけれども、この方々が、本当にお気の毒なことだったんですけれども、地域人たちが一生懸命安全についての啓蒙活動をやっている。もはや地域の警察は、こういった方々の協力なしにはやっていけない。さらには、青少年委員。非行の取り締まり。今、先生だけではどうしようもない。警察はそこまで入っていけない。あるいは、防犯協会。特に、私の福岡は暴力団の抗争が多いところですから、非常に不安なんですね。しかし、地域の方々が、防犯協会の方々が見回りをしたりする。  こういう、本来の公務員ではないけれども、見方によっては、形式的な公務員の方々よりも地域を愛し、そして一生懸命やっている。ぜひ、こういう方々がばかを見ないように、さらに、本来の公務員がこういった方々のお手本になるようにするべきだと私は思いますけれども、実質的な意味での公務を果たしている方々について大臣はどのようなお考えを持っているか、そしてまた、今そういった方々の処遇が必ずしも十分ではない、こういうことについて大臣がどのようにお考えになっているか、ぜひともその所見をお伺いしたいと思います。
  47. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 公益を担う活動をする人は公務員でなければならないなどということはあり得ないと思います。これは、まさしく民間が公益を担う活動を大いにやっていくべきなのであって、今委員が御指摘になられたとうとい地域活動は、まさに日本においてさらに伸ばしていくべき分野であると考えております。  例えば、社会奉仕の精神をもって社会福祉の増進に努めておられる民生委員、献身的な奉仕の精神で地域の安全、安心のために活躍しておられる消防団の皆さん方、こうした方々がどれくらい報酬をもらっておられるかというのを調べてみますと、例えば私の地元の那須塩原市の場合、消防団員の報酬というのは年間三万三千円ぐらいですか、出勤手当が一回千四百円、訓練だと千三百円というわけでございますから、もうほとんどボランティア状態でこういった活動を担っておられるんだと思います。  こうした地域活動が維持、充実されるための方策というのは考えていかなければならないと思います。
  48. 遠藤宣彦

    ○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。  最近出た本では、東京二十三区のある区の緑のおばさんが年収八百万だそうです。それから、給食のおばさんが千万から千二百万。関西のある政令市のバスの運転手が千二百万。退職金もかなり出ますね、四千万ぐらい。  そういったことを普通の国民とか一生懸命やっている人たちが耳にするにつけ、一体公務員というのは何やっているんだということが出てきます。そこを正すのと同時に、私が今申し上げたいのは、実際の公務を補完している方々に対してもきちっとやっていくということが公務員改革を、世論の後押しを受ける大事な点だと思います。  ちなみに、かつて徳川幕府というのが二百六十年なぜ続いたか。こういう話があるんですね。  人間の欲望には三つある。一つは権力、もう一つはお金、そして最後は名誉。なぜ、今、日本の公務員の風当たりが厳しいか。若いときには権力を持っている、やめればいっぱい退職金がもらえる、そして最後は勲章ももらえる。一人で権力とお金と名誉と三つ独占しているじゃないか、そしてその割に働いていないじゃないかという時代になった。かつては一生懸命働いていたから、やはり一生懸命勉強してお役人になって、こうやってやった方がいいなとなったんですけれども、それに値しなくなってきたという批判がやはりあります。  徳川時代というのはおもしろいもので、権力のある人は石高も身分も低かった。身分の高い人はお金も権力もなかったんですね。そして、石高が高い人は権力も身分も低かった。そういった意味で、人間の嫉妬をうまく相殺させていたから長く続いたというのがあります。  今、日本が大きな曲がり角にある中で、いかに公務員に気持ちよくきちっと働いてもらうかと同時に、一般の方々から見て、あいつらだけがいい思いをしているじゃないかというようなことがないようにしていかないと、公務員改革というのは完成しないと思います。  そういう意味で、例えば勲章の話も、公務員であったからその人たちが先に行くというのではなくて、ぜひともそういった地域の方々というのに目を向けていただけるようにやっていただければというふうに思います。  さて、次の質問に参りたいと思います。  私自身は、郵政省におりました。特別会計と一般会計というものの違いが非常におもしろく、おもしろくというか興味深く見てきた。言うまでもなく、民営化された郵政事業、特別会計でありました。今、道路もそれに近いものがあると思うんですけれども、この特別会計というのが、一たん特別会計になってしまうと、私、郵便局長もやらせていただいたんですが、自分たちが稼いだお金だ、そして別に切り分けられたお金だというふうになった途端に監視の目が緩むんですね。  そして、さらにそこから行く子会社、ここに対しての目というのが極めて届きにくい。いや、あれはもううちの別会社になりましたから、こういうふうになりましたからという形で、なかなか追いかけていけないんです。これはいろいろな、ほかの会社もそうなんですけれども、子会社、孫会社にやばい話がどんどんどんどん逃げていく。  そういう意味で、公務員全体の話も、特別会計の監視の仕方、そしてキャリアとか天下りの話も、そこについてどこまで追いかけていけるかというのが極めて重要だと私は思います。  この点について、大臣の見解、これからの課題等含めて御所見を伺えればと思います。
  49. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 昨年の通常国会で成立しました国家公務員法改正におきましては、特別会計、一般会計を問わず、天下りについては各府省のあっせんを全面禁止するという規定を盛り込んだところでございます。また、営利企業等の地位についている元職員から出身省庁への働きかけなども規制を盛り込みました。こうした不正行為に対しては刑事罰も導入したところでございます。これらの規制の実効性を確保するために、外部監視機関を設置して厳格な監視を行うことにもいたしております。  天下りについては、今回の基本法では、定年まで勤務できる環境の整備、あるいは定年の引き上げや役職定年制の検討などにも取り組むべき規定を設けております。こうした制度改革に加えて、能力・実績主義の導入を昨年の法改正で図ったわけでございます。年功序列の打破に加えて、今回の基本法案では、内閣一元管理による各省割拠主義の打破も盛り込んでおります。こうしたことから天下りの根本的な根絶を目指すものでございまして、特別会計、一般会計を問わず天下りの根絶を目指していくものでございます。
  50. 遠藤宣彦

    ○遠藤(宣)委員 今回の公務員改革というのは、冒頭申し上げたように、本当にすそ野が広いと思うんですね。渡辺大臣がらつ腕を振るってここまでたどり着いたのは非常に意義あることだと思いますけれども、ぜひとも、大臣政治家である限り、まだまだすそ野が広い話ですから、取り組んでいただきたいと思います。  私自身が役人の出身だった、そしてまた郵政省というところにおりましたので、また、横浜市という自治体にも出向していました。いろいろな角度で物が見られて大変勉強になった。こういった経験を踏まえて申し上げるんですけれども、実は、公務員改革で絶対に避けては通れないものがあります。これは官公労の問題がある。  つまり、きょうの質問の骨格をもう一度言わせていただきますと、キャリアと本体の話はかなり煮詰まってきています。それに対して、実質的な公務員、周辺の人たち、公務を補完する人たちについての手当てをしなきゃいけない。もう一つは、官公庁内部で労組、官公労というのをどういうふうに扱ってどういうふうに処遇していくかということは、これは絶対に避けて通れない。  昨今、大阪の橋下知事なんかがいろいろがつんがつんとぶつかっておりますけれども、郵政省という役所は非常におもしろい役所でありまして、私自身がいろいろ迷ったあげく郵政省を選んだ理由は幾つかあります。メディアという大衆民主主義の中で非常に影響の大きいものを持っていることが一つ。それから、特定郵便局長会という保守の極めて大きな団体を持っている。もう一つは、国鉄が民営化された後の最大の官公労を持っている。労組について非常に関心があったものですから、組合の方々といっぱい突っ込んだ話をさせていただきました。  公務員改革と労組の改革というのはセットでやらなきゃいけないと私は思うんですが、では、何が労働組合、官公労の問題点なのか。  官公労が決定的に民間労組と違うのは、そこでの交渉に出てくるものは、税金であったり国民から上がってきた料金であったり、つまり、公のものについて交渉するわけですから、これを絶対に透明化させないと国民の理解は得られないんですね。先ほど土井先生がおっしゃられたように、何か不祥事があったら、会社でもそうなんですけれども、大臣とか偉い人が頭を下げる、ぺこぺこぺこぺこ、済みませんと言うけれども、ほかの下の方が変わらない限りは絶対変わらないんですね。  私自身は官公労の人たちと仲がいいというか、親しくつき合ってきたから、本音でいろいろな話が出てきました。何か。例えば一つ、かつて岐阜県庁であったように、労組会計が本当に透明化されているのか。もとはといえば給料というのは税金ですから、そこから、後で言いますけれども、チェックオフで上がってきたお金がどうやって使われているのか。岐阜県庁でありましたね、たしか。そういったものについて、やはり組合の内部でも不満を持っている人がいるし、まして一般の有権者、国民の方々は、何だ、変じゃないかというふうに思ってしまう。  それから、私の家内も市役所の職員で、もうやめましたけれども、チェックオフ制度、これはやはり、今、後期高齢の話でもいろいろ言われていますけれども、チェックオフ制度というのが本当に今、少なくとも税金を給料にしている人たちからのチェックオフというのが適切なのかどうかというのは、これは前、たしか国民新党の亀井静香さんが取り上げたことがあると思いますけれども、このあたりもそろそろ目を向けていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は思います。  そして三番目、地方に行きますと縁故採用があるんじゃないかという疑惑。こういったものについてしっかりと、公務員が現在信頼をかち得るかどうかの曲がり角、特に私のいた郵政省の特定局長がそうなんじゃないかとかといういろいろな批判がありました。いささかもそういった疑念がないような担保をどうとっていくか。夫婦で近いところに職場があるとか、もろもろの問題が指摘をされています。  そして、この前我が党の葉梨議員が指摘したように、専従制度が不透明なんですね。こういったキャリアだけじゃなくて自分たちの組織の中の、いわば組合と幹部、この両方についてしっかりとメスを入れていかなければ、公務員改革というのは完成しないと思うんですね。  私、たしか戸井田先生とかいろいろな方に言ったと思うんですけれども、社保庁のときも、社保庁長官と当時の覚書を交わした労組の委員長を両方、ぜひここに参考人で呼んでくださいという話を言ったんですけれども、去年、ばたばたで終わってしまった。  つまり、事公務員関係においては、扱っているものが国民からの預かり物である税金とかもろもろでありますから、そこの交渉だとかさまざまなものについてはぜひとも透明化していかないと、国民の公務員全体に対しての疑念というのは絶対に払拭されないと私は思います。  そういった点を踏まえて、まだまだ永遠に未完成だと思いますけれども、この公務員制度改革の中での官公労の扱い、それも、彼らにとっても、一生懸命やっている人たちがいるのに、一部の人たちがおかしなことをやったために全体が悪いと見られるのは不本意でしょうから、ぜひともそこを透明化するという考えを私は持っているんですが、それについての大臣の御所見を承りたいと思います。
  51. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法案の土台になりました懇談会の答申の中で、行政改革推進本部専門調査会の見解を尊重するという部分がございました。  この専門調査会の報告の中において、「公務員の最終的な使用者は国民・住民であり、その利益に反する不適切な労使慣行は、仮に一部の問題であったとしても許されるものではない。こうした問題の再発の防止と同時に、責任ある労使関係の構築が求められる。」「公務員の労使関係については、不適切な労使慣行の再発を防止して健全な労使関係を構築するためにも、その透明性を高め、説明責任を徹底して果たすべきである。」「労使交渉の透明性の向上については、交渉結果である協約はもちろん、交渉過程まで含めた情報公開が必要である。この点、情報公開の具体的方法等について、検討が必要である。」という部分がございます。  基本法成立後の検討において、御指摘の点についても検討を行っていくべきものと考えます。
  52. 遠藤宣彦

    ○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。  本当に、公務員改革全体の中で、幹部の話とあわせて労組の話を一体となってやることによって、公務員全体が生き生きと仕事ができる環境になると思いますので、今申し上げた点、ぜひとも中長期的に、公務員改革を完成させるためには絶対不可欠ですから、お取り組みいただきますようお願い申し上げたいと思います。  そして、最後になるかと思いますけれども、今度は逆に、幹部のキャリアの経歴、これについて私はもっともっと透明化させないといけないと思うんですね。  今回の人材バンクの中で出てきているのかもしれませんが、私のいた郵政省というのが、十五会という事務官の名簿があるんですけれども、いつの間にか再就職先を書かなくなっているんですね。この前、先輩たちがどこに行ったかリストをくださいと言ったら、三代ぐらい前の役職を書いたリストが出てきたものですから、これは出身者に対してもそんなであれば、まして出てこないなと。  その中から幾つかの真実が見えると思います。役人というのはなるべく匿名性の中で動きたいと思っているのかな、余り自分のキャリアを見せたくないと思っているのかなというふうに思います。だとするならば、本当に能力のある人はいっぱいいますので、この人たちを生かしていくためには、むしろこの匿名性をやはり打破してあげた方がいい。  何が言いたいかというと、例えば、非常に優秀な役人がやめたら、その人が現役のときに何を手がけたのか、どんなことをやったのか、もっともっとわかるようにすれば、私なんか素人感覚で言いますけれども、野球のドラフト制じゃないですけれども、ぜひうちの会社に欲しいという人が絶対いっぱいいます。そうすることによって、役人が匿名性の中に逃げ込むのではなくて、現職の間に自分が公務についてこれだけ一生懸命やろうというインセンティブが絶対に生まれてくると思うんですね。そして、それが評価されて再就職の行き先に決まるということになれば、これは一生懸命やる。  今までは匿名性の中でやっていて、そして、一部の業界の中で名前が知れ渡っているからそこで癒着が起きる、そういうようなとらえ方もありますけれども、むしろ、一般に対してこんな業績があるんですよということをしっかりと出していく方が私はいいのではないかなというふうに思います。  キャリアの透明化、そして匿名性を打破していく。ちなみに、政官接触の話にしても、郵政の役人が民営化の反対のときに勝手に根回しをして飛ばされちゃったという話がある、これは名前はあえて挙げませんけれども。匿名性の中で仕事をしていい場面と、そうさせちゃいけない場面というのがあると思うんですが、このあたりについて、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  53. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 まず、再就職の件でございますが、各府省の再就職、天下りあっせんは全面的に禁止されます。一方、市場価格での再就職、すなわち、知識と経験を活用した再就職を支援する官民人材交流センターの行う再就職支援については、懇談会の報告書を踏まえて、公正かつ透明な仕組みのもとで、職員の経歴を初め職員情報を適切に把握、活用し、職員能力、適性を踏まえた再就職が実現できるものとなるよう検討が進められているものと考えます。  郵政民営化のときに政府方針に反した根回しをした官僚がいたという話は、私も聞いたことがございます。やはり、こうした官僚主導と言われる状況を打破していく必要があるかと思います。  現在、国会議員と公務員との関係について、明確なルールがございません。この基本法案成立後に、明確なルールというものを規律していくことが大事であろうかと思います。  今回の基本法案は、議院内閣制のもとで、公務員内閣内閣総理大臣及び各大臣を補佐する役割を適切に果たすよう、大臣の指揮監督のもとで政官の接触の集中管理を行うものでございます。
  54. 遠藤宣彦

    ○遠藤(宣)委員 ありがとうございました。  本当に、明治になって大久保利通が導入した官僚制度が、先ほど申し上げたように、日本が成熟した、ある意味でトップになってしまった、成熟した国家になった中での大改革だと思います。冒頭申し上げたように、この曲がり角の中で、役人が公の仕事をやるのはこんなにすばらしいことなのかと改めて実感できる、そして一般の人たちからも尊敬を得られるようなものにぜひともしていただきたいと思います。  後世、渡辺大臣があそこで頑張ったからこうなったんだと、渡辺行革と言われるように、公務員制度改革の父と言われるように、ぜひともここで頑張っていただき、そして、大臣の職をもし離れられても、ライフワークとして、この公務員改革、日本の骨格でありますので、改革をたゆみなくやり遂げられることを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  55. 中野清

    中野委員長 次に、田端正広君。
  56. 田端正広

    ○田端委員 公明党の田端でございます。  渡辺大臣にとっては、きょうこういう形で審議が始まったということは、本当に大変な決意できょうはここにお座りになっているんだ、こう思います。  そういう意味では、私も、この公務員改革というのは大変大事な問題ですから、大臣のそのお気持ちに合うように我々もバックアップして、ぜひこれは前向きに、この法案成立し、そして実際に本当の意味公務員改革がなされなければならない、こういう思いでございます。  今、地元等で皆さんといろいろ会話しますと、公務員に対する批判というのはすさまじいものがあると思います。それは、国家公務員だけではなくて地方公務員も含めてのことでありますけれども。しかし、公務員というのは、はっきり言えば、税金で食っているのではないか、そういう公務員である以上、国民、市民に対して奉仕するのが当たり前ではないのか、それがいいかげんなことをしたり、裏金をつくったりとかいろいろな事件が起こりますと、国民の皆さんからしますと、納税者という気持ちからいきますと、何だという、お怒りになるわけであります。  そういった意味で、今回、去年に続いて国家公務員の大きな流れを、新しい流れをつくろうという大臣の意気込み、決意は、私は大変評価したい、こう思っているわけであります。  その上で、今回の基本法の制定で、公務員像、イメージはどういうふうになっていくんだろうということが、もう少し具体的に御説明いただけたらいいな、こう思います。  特に、第一条「目的」のところでは、国家公務員については「国民全体の奉仕者である国家公務員」という位置づけを明確にされていて、そしてその上で「国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行することとするため、」という、目的の中に明確に位置づけを規定されている。  これが本当に実行されていれば、これはもう大変尊敬もされ、公務員自身も胸を張ってお仕事をしていただける、こういうことになるんですが、そこが、再度こういう形で確認しなければならないところに今来ているのではないかとは思いますが、これがぜひ実行できるよう、こういう形の公務員が実現するよう、これこそが公務員像の大変大事な視点だと私は考えております。  国民に対する奉仕者であるというこの一点だけでもはっきり徹底できれば、これに過ぎるものはない、こう思うわけでありますが、大臣の決意を伺いたいと思います。
  57. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 まず、御質問にお答えする前に、本日こうして法案審議をやっていただいたことにつきまして、各党理事の皆様方に心から感謝を申し上げる次第でございます。また、各党国会対策委員会の御尽力にも改めて心から敬意を表するものでございます。  御指摘になられました、基本法によって公務員像がどう変わっていくのかという点でございます。  残念ながら、一連のいろいろな不祥事がございまして、国民の公務員に対する評価が大変厳しくなっております。当たり前のことを当たり前にやっていくということがいかに難しいことであるかを私も痛感をいたしております。公務員制度のあり方を原点に立ち返って見直していかなければなりません。  今回の改革に当たっては、一人一人の職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行するという姿こそが目指すべき国家公務員像であります。同時に、総理の施政方針演説においても述べられていますように、行政や政治を国民本位のものに改め、常に国民の立場に立つということをモットーに公務員の意識改革をあわせて行っていくことが必要であろうかと存じます。
  58. 田端正広

    ○田端委員 その上で、今回新たに変わった点の一つとして、政官接触について第五条で規定されているわけでありますが、議院内閣制のもとでの国家公務員役割ということで、つまり、国家公務員内閣内閣総理大臣及び各大臣を補佐する役割を適切に果たすために政務専門官を置く、こうなっています。  この政務専門官でありますけれども、ここが国会議員との接触になるということでありますが、しかし、その他の職員の国会議員への接触ということについては規制をしている、こういうことになります。  そうしますと、国会議員から見て、この新たな仕組みがどういうことになるのかなという一抹の不安があります。つまり、どこまでがどうなのかということがこの文言ではわからない。そのために、何か国会議員活動が、国会活動が、議員活動が少し狭まってくるのではないかというふうな心配もあるわけであります。  具体的には今後のことになるんだと思いますが、しかし、法案をつくられた大臣立場からいって、この問題については、例えば、大きい省とか小さい省とかありますけれども、省で何人ぐらいの専門官になるのか。あるいは、接触という意味の具体的な範囲が、例えば電話でいろいろ伺っても、それも接触のうちの一つですけれども、そういうことで問い合わせをしたり、この問題についてはこの人は専門官ではないけれども非常に詳しいエキスパートである、そういう人からいろいろな情報を得るということもだめなのかとか、いろいろなことが勘案されるわけでありますが、大臣の基本的な姿勢というものをお伺いしたいと思います。
  59. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の政官接触の集中管理の理念は、まさしく内閣主導型の体制を実現しようというものでございます。その結果、国会議員の側からの情報収集が阻害されることになってはならないと考えております。あくまで、官僚主導と言われる体制を転換することを目指すものであります。大臣の意見はさておきといってロビーイング活動をしたりする、そういったことを規制することが目的でございますので、国会議員の情報収集が阻害されないように具体的な制度設計を図ってまいりたいと考えております。  基本法案では、公務員内閣内閣総理大臣、各大臣を補佐する役割を適切に果たすよう、大臣の指揮監督のもとで政と官の接触の集中管理を行うものでございます。政官接触の集中管理に関しては、接触の範囲、態様、政務専門官の数を含めて、本法案成立後に具体化することになります。  繰り返しますが、国会議員の側からの情報収集等に支障を生じないよう十分配慮をして検討することにしたいと思います。  ついでながら、政務専門官の数でございますが、法案には何ら規定はございません。懇談会の議論の中で、例えば、堺屋座長代理などがおっしゃっていたのは、役所の規模にもよりますけれども、局長、審議官クラスが二、三名とか、課長クラスが五名から十名、そのもとに補佐クラスを若干名置くといった議論が行われていたことを御紹介させていただきます。
  60. 田端正広

    ○田端委員 今のを足しますと、大体二十人から三十人ぐらいの間かな、こう思いますが、それは、例えば任命するなりなんかして、この人は政務専門官だということがわかるような形にしてやると。それで、それ以外の人との接触についてのあり方とか、ここのところについては、例えば、それ以外だっていろいろなエキスパートの人がいるわけですから、その人たちに、情報を得るとか、いろいろなことを聞いていくというふうなことについてはどうなんでしょうか。
  61. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 繰り返しになりますが、政務専門官の数の具体的な検討についてはこれからの課題でございます。各府省に政務専門官は置かれます。また、政務専門官以外の職員が国会議員に接触することも大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものにするための規律を設けようということでございます。
  62. 田端正広

    ○田端委員 今の段階ではその程度しか物が言えないのかもわかりませんが、これは議院内閣制ということはわかりますが、しかし、我々国会議員の立法府の側からいきますと、そこはもう少し柔軟な対応が必要ではないかということは重ねてお願いしておきたいと思います。  次に、もう一つ新しい言葉として、五条の一項の二のところに国家戦略スタッフという言葉が出てきます。「内閣官房に、内閣総理大臣の命を受け、内閣の重要政策のうち特定のものに係る企画立案に関し、内閣総理大臣を補佐する職」、これを国家戦略スタッフということで、総理大臣の知恵袋という形になるのかと思いますが、置くということになっています。  例えば、今でも現実にはいろいろな形で、総理のもとにそういった形の人たちはあるわけでありまして、それが、改めてこういうふうにしているということはどういう趣旨であるのか。  二号のイのところでは、「公募を活用するなど、国の行政機関の内外から人材を機動的に登用できるものとする」、こうなっています。今までだってそれはあるのではないかと思います。だけれども、さらにこういう形で規定をして、そして、より民間の活力を導入したことでやっていこうという、その趣旨は大変いいことだと私も思っておりますが、この場合、この国家戦略スタッフはどういう立場になるのか。  どこに所属して、内閣官房になるのか本籍省庁になるのか、あるいは、民間から来た場合にはどういう形になるのか、そしてまた、どのぐらいの規模、構成をお考えになっているのかといったようなことでもし現時点でお話しできることがあれば、より詳しくお願い申し上げたい、こう思います。
  63. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 国家戦略スタッフは、内閣人事庁職員をもって充てるものとしております。  内閣官房に、内閣総理大臣の命を受け、内閣の重要政策のうち特定のものに係る企画立案に関し、総理大臣を補佐する職でございます。また、御指摘のように、公募を活用するなど、国の行政機関の内外から人材を機動的に登用できるものとすること、国家戦略スタッフを有効に活用できるものとするため、給与その他の処遇及び退任後の扱いについて、それぞれの職務の特性に応じた適切なものとすることなどを規定しているところでございます。  いずれにしても、総理大臣による政治主導の強化を図ることがその眼目であります。まさに国家戦略の企画立案に当たるスタッフという位置づけでございます。  具体的な制度の内容については基本法成立後に検討されることになりますが、先ほど申し上げたように、公募を活用するなど、内外の人材を機動的に登用できるものにすることといたしております。
  64. 田端正広

    ○田端委員 もう一つ、この法案の骨格に当たるかと思いますが、内閣人事庁という新しい組織でありますけれども、これの位置づけといいますか、そして内閣人事庁に所属する人たちのもとの各省との関係とか、そういったところを今後詰めていく必要があろうかと思います。  それで、例えば五条の一項の三のところで、「事務次官、局長、部長その他の幹部職員の任免については、内閣総理大臣による承認を要するものとし、内閣人事庁は、各大臣人事を行うに当たって、内閣としての一体性が確保できるよう、情報提供、助言等の支援を行うものとする」、こうなっていますから、これらの人事に関することは内閣人事庁が軸になってやるということでありますが、内閣人事庁と、もとの各省との、そこのところの関係性がここではもうひとつはっきり読めないということ。  それから、内閣人事庁府省横断的に幹部職員人事管理を一元的にする、こういうことにもなっているわけであります。そうしますと、幹部職員採用育成あるいは研修登用等々の流れ、プロセス、あるいはその範囲、そういったことが実際にどういう形で行われるのかということが、まだこれだけではもうひとつはっきりわからないな、こう思うわけであります。  いずれにいたしましても、内閣人事庁というのがこの法案の、あるいは今回の改革の大きな基本的な柱だと思います。したがって、ここの構成そして関係性、また何をやるかというところを明らかに、また、国民の皆様にも我々にも、ぜひこれは議論して、次のステップになるかと思いますが、しかし、ここで基本的なことだけは合意しておかなければならないのではないか、こう思います。  大臣のお考えをお願いしたいと思います。
  65. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 内閣人事庁は、各省縦割りの弊害を除去し、内閣一体性を保つ人事制度を確立するためにつくるものでございます。  幹部職員の任免については、各府省から幹部職員の候補者名簿の原案が提示された場合、これらの者が幹部職員としての能力、適性を有しているかどうかという観点から適格性審査を行います。また、必要に応じ、人事庁みずから幹部職員の候補者名簿を作成することができます。各大臣は、各府省及び人事庁の提示する候補者名簿を検討して人事案を作成いたします。当該人事案について、内閣総理大臣の承認を受けた上で、幹部職員の任用を行うことになるわけでございます。したがって、まさしく大臣威令が行われる、そのために大臣の選択肢が広がる、こういうことであります。  また、採用については、総合職試験合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配置調整を行います。  研修については、幹部候補育成課程対象者に対する研修のうち、政府全体を通ずるものの企画立案及び実施を内閣人事庁が行うものでございます。
  66. 田端正広

    ○田端委員 それで、今までの1種、2種、3種の採用試験を廃止して、今もお話ありました総合職、一般職、専門職、こういう新たな三つの試験に分かれるということでありますが、はっきりしておかなきゃならないのは、例えば、総合職がよりスーパーキャリアになるんではないかという心配、そういうことはないということをぜひ明確にしていただきたいということであります。  それで、実は、この六条の三項のところに、幹部候補育成課程について整備するということになっていまして、課程対象者であることまたは課程対象者であったことによって、「管理職員への任用が保証されるものとしてはならず、」云々、こうなっています。したがって、必ずしも総合職幹部職員になるとは限らないんだということをここはおっしゃっているのかなとは思うんですが、その下のところでは、「人事評価に基づいて適切に行われなければならない。」採用後の任用についてこうおっしゃっているわけでありますので、大臣が口癖のようにおっしゃる能力・実績主義というもので評価するんだということのあらわれにこういう表現をされているのかな、こう思っているわけでありますが、その点について確認をお願いしたいと思います。
  67. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今御指摘の六条の三項の規定でございますが、管理職員、すなわち課長クラスの人材登用に当たっては、まさに、総合職ルートであろうが、一般職ルートであろうが、専門職ルートであろうが、どこからでも採用できますよということを考えているわけでございます。  現行法のキャリアシステムというのが、採用試験の段階で幹部候補が事実上固定化されてしまう、その後も同期が横並びで昇進していく、極めて身分制的な人事運用が行われております。  今回の基本法案では、試験区分を、総合職試験、一般職試験、専門職試験を設けるとともに、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程を整備するものでございます。これによって、昨年の法改正による能力・実績主義の導入とあわせて、採用試験の種類にとらわれず、能力ある多様な人材能力、実績の評価に基づいて幹部候補として育成され、幹部へと登用されていくようになるわけでございます。したがって、現行のキャリアシステムは廃止され、根本的に異なる仕組みができ上がるものでございます。  このような能力、実績の評価に基づく仕組みは、幹部職員か否かにかかわらず、職員一人一人のやる気と誇りを高め、国家公務員全体の能力向上にも資するものと考えます。
  68. 田端正広

    ○田端委員 この国家公務員改革に際して、私は、もう一つ大事な点は、昨年大変な議論になりました天下りの規制の問題がどこまできちっとできるかということ、やはりこの延長線上に、今回の改革との問題になっていくんだろう、こう思います。  それで、ちょっと確認だけしますが、去年の改正で、官民人材交流センターがことし十月に発足するということになっています。そして、再就職等監視委員会も十月に発足するということになっていて、ここが、三年間の経過措置のある、あっせんの中身をチェックして、ここがオーケーした分は認めましょう、こういうことになっていると思います。そして、公務員の行為規制についても、法施行の十月一日からこれもまたスタートする、こういうことになっていると思います。  これら去年の改正がことしの十月にスタートすることになっていますが、今、これについてどういう状況になっているのか、準備はうまくいっているのか、見通しはどうなのか、その辺のことが一つであります。  そしてもう一つは、天下りということについて。これは早期退職勧奨ということと裏表の関係にあると私は思っておりまして、つまり、肩たたきがあるからやはりどこかに、それは公務員といえども生活があるわけですから、何かそういうことになっていくわけでありまして、したがって、平成十四年の決定のときには、肩たたきの年齢を二十年までに三歳引き上げるとなっています。つまり、当時五十四・四歳でしたから、五十七・四まで引き上げなければならないのに、伺ってみたら、五十五・八でまだとどまっているということでありますから、五年間で努力する、三歳引き上げるというこれが進んでいない。進んでいないのに、天下り規制の法律の改正の方が先に今行っているわけでありますから、非常に私は矛盾しているんではないかと思います。  この点についてお伺いしたいと思います。
  69. 小林廣之

    小林政府参考人 官民人材交流センターの設置につきまして、その準備状況につきましてお答えさせていただきます。  今お話ございましたように、昨年の通常国会で成立いたしました国家公務員法改正法におきまして、各府省の行う再就職のあっせんを禁止し、中立的な官民人材交流センターに一元化するということにしております。あわせて、行為規制を導入いたしまして、その監視体制として再就職等監視委員会を設けるということになっております。  特に、官民人材交流センターの制度設計に当たりましては、昨年十二月に取りまとめられました官民人材交流センターの制度設計に関する懇談会の報告書を踏まえまして、現在、公正かつ透明な仕組みのもとで職員能力、適性を踏まえた再就職が実現できますように、また、官民の人材交流の円滑な実施のための支援が行えますよう、その設立に向けて準備を進めているところでございます。  具体的には、センター本部及び支所の設置に関する準備、センターの業務を行うのに必要なシステムの設計、また、懇談会でも指摘されております公正性、効率性確保のためのルールの検討、これらを行っているところでございます。  あわせて、再就職等監視委員会の設置に向けましても順調に準備を進めておるというところでございます。
  70. 藤井昭夫

    藤井政府参考人 早期退職慣行是正の現状について御説明いたします。  御指摘のとおり、この対策は、平成十四年の閣僚懇申し合わせでできているものでございまして、平成二十年度には当時に比べて平均を三歳以上高くする、そういう方針で、各府省がそれぞれの実情に即して計画的に取り組むということにされております。  その各府省の取り組みというのは、それぞれ努力していただいて年齢は引き上がってきているとは思いますけれども、平均の数値は先ほど御指摘されたとおりでございます。また、いわゆる天下り問題に対する国民の厳しい批判というものもございます。こういうことも踏まえまして、引き続き強力に進める必要があるというふうに認識しております。  また、本年度がこの取り組みのいわば最終年度であるということも踏まえまして、今後は人事運用面の取り組みだけじゃなしに、今年度からは専門スタッフ職というのが設けられております。こういった制度も活用していただくことにより、早期退職慣行の是正に各府省が取り組んでいただくよう強く要請しているところでございます。
  71. 田端正広

    ○田端委員 今ありましたように、現実には五十五・八歳ということでありますから、これはぜひ是正に努力していただきたい、こう思います。  それで、十条のところに雇用と年金の接続。連動性ということで、定年まで勤務できる環境を整備して、つまり六十歳までということだと思いますが、そして六十歳以上の再任用制度の活用の拡大ということもうたわれていますし、将来にあっては定年の引き上げということで、年金に連動させるという趣旨だと思います。そしてまた、役職定年制の導入ということについても触れられています。  これは、法律にこういうふうに明記する以上、スケジュール的にどういうふうにやっていくかということもきちっと定めてこれからやっていかなければ、国家公務員皆さんも、やはりそこは、本当に安心して仕事に専念していただけるような、そういう状況をつくることが大事だということを重ねて申し上げて、最後に大臣の御見解だけお伺いしたいと思います。
  72. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 まさに、誇りを持って職務に専念できるように体制を整備することも今回の基本法案の大きな柱でございます。そのための方策を規定しているわけでございまして、委員御指摘のように、定年まで勤務できる環境の整備、定年の引き上げや役職定年制の導入も重要であります。  今回の基本法案において、その検討の規定を盛り込み、取り組むべき旨を定めているものでございます。
  73. 田端正広

    ○田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  74. 中野清

    中野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  75. 中野清

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。馬淵澄夫君。
  76. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 民主党の馬淵でございます。  国家公務員制度改革基本法、審議に入ったということで、きょうは民主党の一番手として質疑をさせていただきます。  先週、私は本会議での代表質問をさせていただきました。きょうお越しいただいております渡辺担当大臣並びに総理、お二人に質疑をさせていただいたわけでありますが、本会議の性質上、一問一答形式ではございません。十分なお答えをいただいたとは、残念ながら私はそのように受けとめることができませんでした。きょうは、さきの代表質問での確認事項を重点的にお尋ねしていきたいというふうに思っております。  まず最初に、政治主導について、これも代表質問でさせていただきましたが、これについてお尋ねをしていきたいというふうに思います。  いわゆる天下り先確保ということ、官僚が非常に必死になって行ってきたと言われておるわけでありますが、こうした行為が国の政策をねじ曲げているのではないか、いわゆる官僚内閣制に陥ってしまっている、こうした現状を排さねばならないということで、とにかく政治が役所をコントロールしていかねばならない。真の議院内閣制の確立のためにこの制度の基本法を制定するのだということの趣旨に対して、私も質疑をさせていただいたわけであります。  大臣、隣には副大臣もお座りいただいております。政治主導という形で進めてこられた国会議員の関与、またさらにはスタッフの充実についてお尋ねをしたいと思うんですが、現行でも、残念ながら十分に機能を果たせているとは言いがたいのではないか、こういった懸念がございます。  当然ながら、今回も、スタッフ部門についての補充あるいは拡充というのはそうした観点からとられた政策だというふうに思っておりますが、私の質問に対して、政治任用の拡充と、またさらには副大臣あるいは政務官等々、国会議員がこれまで以上に行政組織内部に身を置くということが必要ではないのか、役所をコントロールして効果的な施策を実現しなければならないのではないかというこの質問に対して、福田総理は、官僚に対する政治のコントロールを強化すべきという大きな方向性は民主党と共有している、このように御理解を示していただきました。しかしながら、そうしつつも、いわゆる政治任用の拡充については、これは議論が必要だという答弁にとどまっております。  また、渡辺大臣にも同じ質問をさせていただきました。大臣からは、この私の質問に対しては、国家戦略スタッフ及び政務スタッフを設けることで政治主導の強化が図られるんだ、こう御答弁をいただきました。  私どもは、現行の政治主導という今の状況では、現行は十分機能していないんだということであれば、国会議員の兼職という形で、行政組織内部に国会議員がより多くかかわれるようにすべきだ、このように考えております。残念ながら、その趣旨は理解をしているといいながらも、今法案については、こうした国会議員の兼職の緩和ということについては一切触れられておりません。渡辺大臣は、この部分に対して、国家戦略スタッフ、政務スタッフ、これで十分対応できるんだと答弁をされているわけであります。  基本的には同じ方向性を向いているという総理の答弁もございました。これは渡辺大臣も一致される部分だと思います。このように同じ方向性を向いている、共有しているんだということであるならば、我々民主党が主張しております政治任用、これは特別職でございますが、政治任用の拡充という点については、ある程度の一致点を見出せるのではないかな、このように感じております。  前回の御答弁では、あくまでスタッフの部門についてのお話しかいただけませんでしたが、率直に、私どもの考える政治任用特別職についての大臣の御見解というものをまずはお尋ねしたいというふうに思います。
  77. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 私のところのチームに関しては、山本大臣から適切な御提言をいただいたり、あるいは戸井田大臣政務官が国会や党との橋渡しをやっていただいたり、非常にチームとしてよく機能をしていると思います。一般的にはまだ不十分であるという声がないわけではございません。与党の中にもより拡充をすべきだと言う人もいらっしゃるわけであります。  今回の基本法策定に当たりましては、有識者の懇談会において議論をしていただいたことがベースになっております。残念ながら、この有識者懇談会において政治サイドの議論には余り深く踏み込んでこなかったということでございました。どちらかといえば試験選抜公務員の方の改革、霞が関改革といったことを念頭に懇談会の答申を出していただいたからでございます。したがって、私の認識としては、選挙選抜公務員の方の改革がその次に来るのであろうということで位置づけてまいった次第でございます。
  78. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 今の御答弁は、まずは国会議員の兼職の緩和の方を言っていただいたということでよろしいんですかね。  ちょっと整理をしますが、まずは一つ政治任用、内外から広く行政内部機関に登用するということで、政治任用という形の特別職での政治主導強化ですね。一般の方、民間の方が入られても、これは当然政治のある一定の方向性をしっかりと受けとめて入ってこられるわけですから、私は政治主導だと申し上げたいというふうに思いますが。この政治任用特別職の枠というものについて、もちろん現在キャリア制度で入ってこられる方々も含め、現行の制度の中で入ってこられる方の改革が先だと今御指摘がありましたけれども、しかし、政治が主導を図るという意味においては、それだけでは私は実現は難しいと思います。  今申し上げたいのは、この政治任用特別職という内外から広く求めるということについて、ある一定の一致点が見出せるのではないか、こう私は指摘をさせていただいているわけでありますが、重ねてお尋ねをします。大臣、いかがでしょうか。
  79. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法案の中には、国家戦略スタッフや大臣スタッフという特別職を設け、まさに裏方として、大臣あるいは総理を支えるそういう仕掛けを盛り込んだところであります。  そして、先ほども申し上げましたように、今回の制度改革が、その周辺といいますか隣接分野との改革と密接にかかわっているという認識は我々も持ってきたつもりでございます。ただ、いかんせん今回の改革が霞が関改革といったところに重きを置いて立案をしたがゆえに、国会改革といったところまでは踏み込んでこなかったということでございます。私としては、次の課題であろうかと認識をいたしております。
  80. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 確かに、国会法も含めた見直しが必要となります。次の課題であるということではありますが、大臣としては、これは一定の方向性を共有できる部分がある、一致点を見出せるんじゃないかということでよろしいですか。これはイエス、ノーで結構です。
  81. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 大きな方向性はまさに共有させていただいていると思います。
  82. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 今回は、この公務員制度改革の基本法、国会法ではないんだということで御答弁をいただきましたが、大きな方向性を共有しているということで理解をさせていただきます。  さて、では、現行の公務員制度の中での最大の問題点と言われるキャリア制度について、これも代表質問で私は確認をさせていただきました。  いわゆる官僚の魂をむしばんでいる事なかれ主義、きょうは役人の方々がたくさんいらっしゃるわけで大変恐縮ですが、しかし、現実に巷間言われていることでございます。事なかれ主義あるいは責任回避、こうした精神構造をやはり変えていかねばならない。所属する府省予算あるいは権限の確保、また省益本位主義と呼ばれるような形で、各府省がキャリア制度と一体となって差配するという閉鎖的な人事、これを変えていかねばならないということを指摘させていただきました。  福田総理は、これについてはこう御答弁をいただきました。「現在のキャリア制度は、採用試験の段階で幹部候補が事実上固定化され、その後も同期が横並び的に昇進していくような人事運用が批判されている」「このようなキャリア制度を廃止し、能力ある多様な人材が、試験区分ではなく、能力と実績の評価に基づいて幹部へと登用される仕組みの実現を目指す」としておられます。  全く同感であるわけでありますが、福田総理のこの御答弁、重要なポイントがございます。それはつまり、幹部候補の固定化という点と、二点目に、競争のない横並び昇進、これが問題であると総理は答弁の中で指摘されたのだと思います。  キャリア制度の問題の本質はこの二点であるとの認識、渡辺大臣もこれは御一緒でしょうか。
  83. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 私も同じ認識でございます。
  84. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 他方、ならばこの問題二点、端的に申し上げたこの二点を解決することに果たして本法案が資するのかということについては、若干不明確な点があるのではないかというふうに感じております。それについてお尋ねをしていきたいと思うんです。  まず、本法案では、試験区分というものを規定されております。試験制度を区分していくんだということでございますが、この試験区分、今までは1種、2種、3種という試験がございましたが、これを本法案では総合職、専門職、一般職、このような三種類に分けるんだということでございます。  本法案でこうした試験制度をつくるわけですが、まず冒頭にお尋ねしたいのが、この試験制度、これは採用段階で幹部候補が固定されることはありませんか。これも端的で結構です。
  85. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 ございません。
  86. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 この試験制度では幹部候補は固定はされないんだという今御答弁でございますが、内閣人事庁では、同庁へ総合職試験合格者からの採用を行うんだとしています。これは、適切な人事管理の徹底のための措置として、総合職試験と呼ばれる試験制度で合格された方を内閣人事庁採用するんだとしています。  総合職試験合格者だけが内閣人事庁採用となるんでしょうか。大臣、端的にお答えください。
  87. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 幹部職員候補の選抜については、採用試験の区分にとらわれることはございません。能力、実績の評価に基づいて行われるものであります。総合職試験からの採用者であっても、直ちに幹部職員候補となるわけではありません。  一方で、総合職試験は政策の企画立案に係る高い能力を有するかどうかを重視して行う試験でございます。この試験からの採用者は、その後の人事評価によるものではありますが、幹部候補育成課程対象者となる可能性が高いものと考えられます。  したがって、内閣人事庁は、総合職試験合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配属を一元的に行うということにしたものであります。
  88. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 簡単にお答えいただきたいんですが、私の質問総合職試験合格者だけが内閣人事庁採用となるのかということですが、それでよろしいですか。
  89. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 採用段階においてはそのとおりでございます。
  90. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 採用段階で内閣人事庁採用総合職試験だけが、試験区分において、それは将来の昇進も含めてそれを左右するものではないと大臣おっしゃられましたが、少なくとも、総合職試験合格者だけがまずは内閣人事庁採用となるということですね。  その目的については、先ほどは、将来的には幹部となる可能性が高いとおっしゃられましたが、すなわち、総合職試験合格者内閣人事庁採用するということは、幹部職、これはあくまで育成課程に行くかどうかはまた別だとおっしゃっておられますが、スタート段階で総合職試験合格者内閣人事庁採用するということは、一義的に、すべてとは言わないとおっしゃいましたけれども、これは流れとしては幹部候補育成課程に乗っかっていくんだという前提にはなりませんでしょうか。いかがでしょうか。
  91. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 これは総合職として採用された者であっても、できが悪ければ当然ふるい落とされていくわけであります。そこのところが、今の1種試験合格者が自動的に幹部ルートに乗るキャリア制度とは根本的に違うところであります。  一方、一般職試験採用あるいは専門職試験採用であっても、高い能力と実績を有する者は幾らでも、課長段階においても管理職員となれますし、幹部職員への道は開かれているわけでございます。
  92. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 このキャリア制度の問題の本質として、いわゆる固定化が問題なんだと、これは総理大臣も共通の認識を持たれているわけですね。幹部候補として固定化されてしまっている。  それはすべてじゃないですよ、現行でも。いろいろ問題のある方は当然昇進できませんし、すべてではないという意味では、現状もそうなはずです。ただ、これはおおむね固定化してしまっているということから、これを変えねばならないと、この基本法を出されているわけです。  その上で、試験区分にはとらわれないんだといいながらも総合職試験合格者だけを内閣人事庁採用するということは、本来の問題の本質を解決するという方向からはかなりずれ出しているのではないか、そのように私は思うわけであります。  これは昨年、同じくこの委員会でもやりました国家公務員法の一部改正のときに、同法の二十七条の二に、人事管理という部分でこれは改正をして、今大臣がおっしゃったところですね、「職員採用後の任用、給与その他の人事管理は、職員採用年次及び合格した採用試験の種類にとらわれてはならず、」このように昨年明記したわけです。大臣おっしゃっていましたね、能力・実績主義だと。このように明記された。しかし、「とらわれてはならず、」としながらも、採用の段階で、やはりこれは内閣人事庁という形で一たんふるいにかけていることになりませんか。  これは、大臣、逆にこの部分については、将来可能性があるのだということはよく理解をいたしますが、しかし、これについては内閣人事庁採用というのをそれこそ一括でするということも考えねばならないとはお考えいただくことはできませんでしょうか。
  93. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 総合職試験というのは、政策の企画立案に係る高い能力を有するかどうかを重視して行う試験でございます。一方、一般職試験は、的確な事務処理に係る能力を有するかどうかを重視して行う試験であります。専門職試験は、特定の行政分野に係る専門的な知識を有するかどうかを重視して行う試験でございます。  一般職試験や専門職試験を合格してきた人たちの中にも、仕事を始めてみたら極めて高い政策の企画立案能力があるではないか、そういう評価を受ける者も出てくると思います。  したがって、そういった人たちについては、まさしくこの幹部候補育成課程、こういうルートに乗せることが今回の法案では可能になっているわけであります。
  94. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 もともと固定化するのを変えようというわけですから、やはり、これは入り口のところをまず抜本的に変えねばならないんじゃないでしょうか。  我々は対案を検討してまいりました。同様に試験区分を変えようということを考えております。この試験区分の考え方も、政府・与党と非常に近い、呼び名が若干違いますが、近いものを考えております。さまざまな多様な試験、これは受験をされる方の環境によって設定すること、これは重要です。しかし、一たん入っていただいた、合格して、そして採用の段階においては、これはすべて同じだ、まさに試験区分によってのルートの選別がされないということを我々としては対案で考えてきています。  しかし、抜本的に見直されねばならない肝心のところで、総合職試験合格者のみを内閣人事庁において別枠にするというのは、私は、やはりこれは改革基本法と呼ぶ名には余りふさわしくない、このように感じるわけであります。  同じこの問題について、ちょっと違った観点でさらにお尋ねをしたいんですが、現行制度を見ますと、先ほど申し上げたように、1種、2種、3種という、もちろんそれ以外の採用の方法もございますが、1種、2種、3種という形で採用されている皆さん方、いわゆる1種試験というのは、大学卒業段階の知識・技術及びその応用能力を必要とする程度、このように試験の定義としてされております。内容としては、各府省採用された後、一般的な事務・技術的業務に従事する。2種の方々は、これも業務の内容は一緒なんですね、各府省採用された後、一般的な事務・技術的業務に従事する。ただし、その資格として大学卒業程度となっております。1種と2種の段階で違うのは、1種が大学卒業段階の知識・技術及びその応用能力を必要とする程度ということで、ある程度能力がさらに高いレベルが求められるということが示唆されているのではないかと思います。  この1種の採用者数は、過年度を見ましても、直近では十九年度五百七十五名、十八年度五百八十四名、十七年度六百十一名ということで、トータル、毎年多少の変動はございますが、大体三千数百名から四千名を超えるぐらいなんでしょうか、比率でいいますと、1種、2種、3種のトータルの中での1種の採用者数というのは大体一四、五%。昨年でいえば一六%、一昨年一七%、その前年は一四%、こういった比率だということになっております。  こうした1種試験皆さん方、国家公務員全体の採用あるいは国家公務員全体から見れば非常に数の少ない方々でありますが、こうした方々が、先ほど申し上げたように、これは固定化されるわけですね。将来の人事が固定化されていく、約束されているとも言えるのかもしれませんが、半ば幹部となるその道が約束されている。  そのため、本来必要な競争が働かないんだということであり、かつ、競争が働かない中で、天下りも現実にありますから、そのためには外郭団体をつくっていく、あるいは天下り団体をつくっていく、またその意味ではポストも保障されているというような形で活性化がされないのではないか、こういう意見が出てきたわけです。  これに対して大臣は、私も代表質問で触れましたが、「論座」の一月号でキャリア制度について触れられておりますね。これは、私は引用を前回させていただきましたが、大臣は、「現在のキャリア職員の数分の一、フローベースでは、年間百人程度に絞ってよいのでないか。」そして、「今以上に「狭き門」にすればよいと思う。いわば「スーパー1種」を作れば、もっと優秀な人材が集まってくるのではないか。」このように、一月号、ことしに入っての「論座」での寄稿論文に書かれておられます。もう既に大臣となられたお立場で書かれております。  この「百人程度に絞ってよい」、総合職試験合格者をこれは恐らくは想定されていることになるとは思うんですが、現行このキャリア制度は固定化が問題なんだ、そして競争のない横並び意識、これがだめなんだといって試験区分を変える。試験区分を変えるといいながらも、総合職試験制度はかつての1種試験と同様に、私は同様に見えるんですが、先ほどそうではないと強弁されますけれども、同様に、総合職試験合格者については、内閣人事庁の別枠採用である。さらに、大臣の御自身の御意見として、百名ほどに絞ればいい。  これは、大臣、さらに固定化、逆に言うと、さらにこの百名というスーパーエリートをつくり出すことになりはしないでしょうか。この大臣の御発言なり意見を見ますと、基本法として抜本的改革をするといいながらも、実は、高いハードルを掲げてみながら、現行とさして変わらない方針制度の改正をしようとしているように映ってしまうのではないか、私はこのように思うわけでありますが、大臣の御真意をお答えいただけますでしょうか。
  95. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 「論座」の論文は、一月号ではございますが、十一月の一日発売でございます。ということは、原稿は……(馬淵委員「十二月でしょう」と呼ぶ)一月号ですから十二月ですね、十二月一日発売ということは、原稿はおおよそその一カ月ぐらい前から書き始めたものでございます。まだその段階においては懇談会の答申は出されておりません。  その論文の中で私が書いているのは、論争のネタを提供するためにとお断りをしているはずでございます。したがって、論争が活発になることをあえて触媒としてほうり込んだのがあの論文でございます。したがって、そのことを決め打ちして、総合職は百人であるという御理解はしていただきたくないのであります。  いずれにいたしましても、我々が目指すものは、まさに競争のある人事制度、固定化されない人事制度という位置づけで総合職を設け、なおかつ幹部登用幹部候補育成課程を設けたものでございます。
  96. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 原稿段階で呼び水だと今おっしゃいましたけれども、私がお尋ねしているのは、こうした発想をそれこそ大臣が心の中でお持ちで、あるいは、逆に言うと、こういう高いハードルを掲げてしまって、これが下がる。今の制度、1種の方々は約六百名、その枠組みがさしたる数として変わらなければ、結局は固定化につながるのではないかということを私は懸念しているわけです。  十二月の発売で十一月段階で書かれたということですから、もちろんこれは御自身の個人的な意見だということで理解はいたしますが、私は、要はこの数の問題というのが、もう一つ、横並びの、あるいは固定化の問題に大きくかかわるのではないかということを指摘させていただきたいというふうに思います。  つまり、これも代表質問で私は確認をしましたが、御答弁では、総合職試験合格者からの採用規模については今後の検討課題、このようにされました。しかし、この採用規模というのがキャリア制度の廃止の根幹ではないかと思っています。現行六百名弱、あるいは六百名を超えたときもありましたが、こうした方々が現行のポストについていくという前提で今採用されているわけですね。そして、その採用されていく過程の中で天下りポストが準備されている。  抜本的に変えるのであれば、この採用規模というところを大きく実は見直さなければならないはずなんです。あるいは、ポストそのものを、それこそ各府省横断的に見直さなければならないはずなんです。  それを、制度ということでいうと、試験区分のところから入られている。だとすれば、私は、大臣頑張っておられると思うんですが、これは骨抜きにされる可能性が非常に高いという心配をしておりまして、そこでいうと、今後の検討課題などという生ぬるい話ではなくて、根幹なわけですから、総合職試験採用者の規模、すなわち人数ですね、これが1種試験と同様であればキャリア制度の維持につながってしまうのではないかということを指摘させていただきたいと思っています。  大臣、このように、採用段階で幹部候補は固定されないとおっしゃっておられますが、1種試験採用に比べて総合職試験合格者がどっとふえなければ、競争は起きませんよ。競争が起きなくなる可能性があるわけです。これについては、大臣、競争のない横並びを排除するといいながらも、この規模の話というのは非常に重要なわけですから、二点お伺いします。  今後の検討課題といいながらも、これは重要なポイントですから、今の1種の合格者数をさらに絞っていくのか、あるいは同様レベルなのか、あるいは倍、三倍といった幅広い採用を考えるのか、これはいかがですか。このことについて一点お尋ねしたいのと、そして、規模について明言できないとなるならば、かつてと同じような規模、人数になれば、実は横並び、固定化ということがこれまた新制度の中でも骨抜きとなって結局実現してしまうということ、これについてどうお考えですか。二点お答えください。
  97. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 懇談会の議論の中でも規模の議論は若干あったのでございますが、決め打ちはしておりません。  御指摘のように、総合職の数をふやした方が競争がもたらされるのか、それとも、総合職の数を減らして、例えば管理職員課長級の段階でほかのルート、例えば一般職の試験のルートの人たちあるいは専門職試験のルートの人たち、こういう人たちを、数値目標ではありませんけれども、アファーマティブアクションではありませんけれども、それぞれ半数ぐらい入れたらどうだという御意見もあったりしたわけでございます。  したがって、いずれにしても、固定化されないこと、そして競争的な環境をつくっていくこと、これはまさに変えがたい理念でございますから、その理念に基づいた具体的な制度設計基本法成立後に行っていくことが大事であろうと思います。
  98. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 大臣、ここは重要なところなので、そんな御答弁では私は簡単に次の議題に移るわけにいかないですね。  いいですか、1種、2種、3種で、先ほど申し上げたように、十八年度で三千四百名、そして十七年度で四千三百名、昨年では三千六百名強ですよ。三千数百から四千強という1種、2種、3種の採用試験区分、これを変えるんだということです。  では、お尋ねしますが、総枠は変えられるつもりですか、いかがですか。
  99. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 総枠の問題は、今回の基本法の議論において行っておりません。
  100. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 変わらないということですね。
  101. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 この話は、今回の基本法とはまた別の次元の話かと思います。
  102. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 次元じゃないですよ。これは総定員法で定められていることも含めて、だから私はお尋ねしているんです。変わらないんですねと聞いているんです。次元の話なんか聞いていませんよ。次元なんか聞いていませんよ。お答えください。
  103. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法の議論とはまた別途行っていくべき話であろうかと思います。
  104. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 事実関係を聞いているんですよ。変わりませんかと聞いているんですよ。議論するかどうかはお尋ねしていません。お答えください。
  105. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 基本法の議論の中で、この総枠を変えるべきか変えざるべきかということは議論はいたしておりません。
  106. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 もう一回聞きますよ。変わるかどうか聞いているんです、私は。この国家公務員制度改革基本法の中ではこれは議論されていないから、変わらないんですよ。変わらないということですね。お答えください。
  107. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 別途議論が必要かと思います。
  108. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 いいですか、大臣、もう一度聞きますよ。別途議論じゃなくて、今この議論をしている中で、私は、キャリア制度の廃止については非常に重要な問題をお尋ねしているんですよ。これは総定員法の枠組みの話です。だから、これは変わらないんですよ。変わらないということでよろしいですね。事実関係です。お答えください。
  109. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法の中では議論はいたしておりませんので、その点では変わりません。
  110. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 その御答弁をいただくのに、これほど数分かけないでいただきたいですね。歯切れよくお答えいただける、そう思って私も質疑に立たせていただいておりますので。  さて、変わらないんですよ、総枠は変わらない状況の中で、再度お尋ねします。  総合職試験合格者として採用される方の人数の枠組み、これは、大臣、今後決めるという話じゃないですよ。少なくとも、制度設計の話をしていくわけですから、基本の制度設計の中で試験区分の重要なポイントなんですよ。これは先ほど申し上げたように、1種は五、六百名なんですね、六百名弱なんですよ。それぐらいの規模のイメージだということでよろしいですか。
  111. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 規模の話はまさに基本法成立後の制度設計にゆだねるべきものとして、今回は議論を整理いたしております。
  112. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 私は、これはやはり大事な根幹、ポイントをこの基本法の中で議論して、方向性を確認しなきゃならぬという決意を持っていただけないのは非常に残念ですよ。  これは総枠は変わらないんです。総合職だろうが名前を変えようが、総枠は変わらない中で、かつ、固定化を避ける、あるいは横並びを避けるとおっしゃりながらも、総合職試験採用者については、これは内閣人事庁一括採用なんです。その後の話は結構です。まずは一括採用なんですよ。一括採用して、その人数が現行の六百前後であれば、それこそ今の1種と変わらないんです。  3種は高卒程度ということですからまた別かもしれませんが、少なくとも、1種、2種を含めて、これは全部雑多に同じ規模でいくんだということであれば、まさに競争が生まれるかもしれませんが、今だと、これは名前を変えているだけですよ。我々民主党が提案しようということで議論を重ねてきたのは、試験区分は変えたけれども、あと採用以降についてはすべて一緒なんだという位置づけなんです。区分を変えているだけなんだと。  今回のこの改革基本法の制度改正については、区分を変えたのではなくて名前を変えただけじゃないですか。そして、人数も含めて、規模も含めて、実は現行と余り変わらないということがイメージされているということになりませんか。お尋ねします。
  113. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 まさに、1種、2種、3種という試験区分に基づいて、また年次主義に基づいて人事が行われている現行の固定的身分制を打破するために今回の制度改正を行うものでありますから、その原点を忘れることはできません。その原点に立って、基本法成立後に具体的な制度設計を行うものであります。
  114. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 同僚議員がまたいろいろと質問を重ねていただけると思うんですが、規模の問題というのは非常に重要ですよ。基本法制定後に任せるといっても、少なくともこの方向、イメージを持たないと、私は何のための制度設計かわからないと思いますよ。  では、大臣、重ねてお尋ねですが、規模についてはお答えいただけないのであれば、少なくとも、現行よりふやすべきなのか減るべきなのか、ふやせば競争がなくなると考えるのか、あるいは逆に減らせば競争がなくなるとお考えなのか、大臣の考え方だけお聞かせいただけませんか。
  115. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、論争のネタとして提供した「論座」の論文の中では、総合職の規模を今の1種採用よりももっと減らすというブレーンストーミングを行ったところでございます。もし、馬淵委員からの具体的な御提言をいただけるのであれば、お聞かせいただければと思います。
  116. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 大臣は、ブレーンストーミングのための百名というのを、先ほど議論を活性化させるためのネタづくりだというふうにおっしゃいましたが、一方で、お考えの一つだということを今言っていただいたんだと思います。  百名という形で非常に狭き門にすることによって、逆に採用段階で選別されるんだというお考えだとは思いますが、私どもは逆に、我々が考えていたのは、区分を幾つもつくるけれども、そこから先の部分については、試験区分、これは区分を変えているわけですから、その人数についてはこれはもう本当に現行の制度とは違うものを考えねばならないと思っています。我々が考えているのは、内閣人事庁一括採用総合職だけなどということは考えておりません。したがいまして、大臣が言われるような仕組みの中で人数を定めていくのと、少なくとも我々が考えている仕組みの中で人数を定めるのと、これは全然意味が違います。  今回、今のお話を伺いますと、大臣が競争を強化するために百名程度という一つの提案をしたんだということは理解できました。ただ、私が心配をすることは二点です、この議論の中で、今この質疑の中でお話を聞きまして、あるいは私が質問させていただく中では。  百名ということが逆に、狭き門、スーパーエリート、スーパーキャリアをつくっていくことで、より固定化につながらないかという懸念は一つあることと、さらに、総合職試験制度内閣人事庁採用ということで、このように一括でルートが固定化されないかということ。そして、規模の固定化が、少なくとも総枠は変わらないわけですから、採用規模が変わらないような状況であれば、実は現行のキャリア制度の廃止にはなかなかつながりにくい、骨抜きにされるのではないかということ、このことを御指摘させていただくにとどめまして、次の代表質問の続きの質問をさせていただきたいと思います。  もう一つは、幹部人事内閣一元管理についてでございます。  これについては、私もこれも代表質問で、省益の拡大という意識を排除するには、各府省内部で決定されてきた幹部職員人事、これを内閣による一元管理に移行することが求められることを指摘させていただきました。しかし、これも一義的には、目的を目指しているという理解をしますが、実効性に関しては疑問があるというふうに考えております。  まず、これも現行についてお尋ねをしますが、現在の幹部人事について内閣による一元管理が達成されているとお考えでしょうか。いかがでしょうか、大臣。(渡辺国務大臣「現在ですか」と呼ぶ)現在です。
  117. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 現在のシステムでは一元化というには相当不十分であるがゆえに、このような基本法案を提出させていただいたところであります。
  118. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 現行の仕組みは不十分だということであります。  現行の仕組みはといいますと、これは平成十二年十二月十九日の閣議決定で定められた「事務次官、局長その他の幹部職員の任免に際し内閣の承認を得ることについて」ということで、中央省庁改革基本法、これを踏まえた人事決定の仕方です。ここに、事務次官、官房長及び局長、外局の長、そしてこれらに準ずる官職、在外公館長、国立大学長、さらにはこれらに準ずる幹部自衛官等々が記されていまして、閣議人事検討会議、これは官房長官主宰なんですね、こちらで決定をされて、その上で閣議決定で決められるということであります。  こうした仕組みをもってしても一元管理ができていないというこの原因はどこにあるとお考えでしょうか。
  119. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 ある官房長官経験者のお話を聞いたことがございますが、結局、持ち込まれる人事案件について、大臣の了解を得ていますからというまくら言葉があるんだそうでございます。そういたしますと、大臣人事権を盾にとって、まさしく各省事務方人事が行われているというのが現実の姿であろうかと思います。  こういう現状からは、内閣幹部職員の一元管理といった理念にはほど遠い。であるがゆえに、やはり今回の基本法に盛り込まれたような内閣人事庁構想をかなめとした新しい制度が必要なものと考えます。
  120. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 今の大臣の御答弁は、いわゆる閣議人事検討会議ですか、こちらは事務方会議ですから、そこで大臣の了解をいただいていますということがまことしやかに使われて決まってしまうというお話だというふうに理解いたしますが、つまりこれは言いかえれば、各府省がその幹部人事の原案をつくっている現状、ここにこそ問題がある、原因があるのではないか、このように考えるわけですが、大臣、いかがですか。
  121. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 それと同時に、検討会議の方で手足となる人事部隊がいないということに大きな問題があるかと思います。
  122. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 検討会議の人手不足というか部隊がないんだという、追加の御指摘もありましたが、少なくとも府省の原案作成に原因がある、これはお認めいただいたというふうに思います。  さてそこで、本法案では、各府省幹部職員の候補者名簿の原案を作成することとなっています。となれば、今お答えいただいたのは、それと同時にということですから、お認めいただいたということですが、各府省人事案をつくることが問題であると認識をされていながらも、なぜ本法案でも、各府省幹部職員の候補者名簿の原案を作成することができるような形になっているんでしょうか。これは現行と変わらないですよ。これでは、幹部人事内閣一元管理というのは達成できないんじゃないでしょうか。いかがですか。
  123. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 内閣人事庁をつくれば、すべて内閣人事庁幹部人事を全部立案できるということも、ちょっと現実離れしているではないか、そういう議論もございました。  今、いい悪いは別として、各府省採用から人材育成幹部登用、そして退職後の天下りまで、すべて人事の一環として行っている現実をどう変えていくのかということを考えたときに、人事庁をつくることですら各府省は猛反対をしたわけでございます。  したがって、いかに人事庁をつくり幹部職員内閣一元化を図っていくかということを考えたときのまさに現実的なあり方として、今回御提案をした法案の中身になっていることを御理解いただきたいと思います。
  124. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 ここも内閣一元管理といいながらも、これは非常にじくじたる思いでいらっしゃるのではないかというふうに思いますが、この各府省人事原案というものが原因の本質としてあるんだということであるならば、これは私は変えねばならないポイントではないかというふうに思います。  今、現行では、各府省がつくり、また内閣人事庁もこれをつくることができるわけですね。しかし、結局は現行と変わらない状況は残っている。改革ですからね、変えるとおっしゃっているわけですから、ここについては私は、これは各府省の関与という部分については厳しく制限をするということが求められているのではないかと思うわけであります。御理解をいただきたいということでありましたので、私も頭の中で理解は一応できますので、この点については理解をさせていただきますが。  重ねて、この内閣人事庁の問題についてお尋ねしたいんですが、適格性について、幹部候補については適格性審査を行うんだということでされております。  具体的にどのような審査をしていくのかということをお尋ねしたいと思います。適格性というのは具体的に何を指すのか、逆に不適格といった場合は具体的にはどのような場合なのかということ、これについてお答えいただけますでしょうか。
  125. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 内閣人事庁は、各府省から幹部職員の候補者名簿の原案が提示された場合、これらの者が幹部職員としての能力、適性を有しているかどうかという観点から審査を行うものでございます。まさにこれが適格性審査というものであります。また、必要に応じて人事庁みずからが名簿を作成することができる仕組みになっております。
  126. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 その適格性審査というところで、本当に人事案を覆すことができるような具体的な評価ポイントをつくれるのかというのが、この法案には非常に問われるのではないかというふうに私は思います。  実際に、府省人事案、府省が出してきた原案、これを覆すことができるのかということについて、この条文では実効性が確保されていないと考えますが、いかがでしょうか。
  127. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 幹部職員人事については、各大臣が各府省及び人事庁の提示する候補者名簿を検討して人事案を作成いたします。当該人事案については、内閣総理大臣の承認の手続が必要でございます。その承認を受けた上で任用されるものでございますから、まさに、人事庁案というものの位置づけについて、こうした仕組みになっているがゆえに現行の制度とは根本的に違うということが言えようかと思います。
  128. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 そこの担保は内閣総理大臣の承認なんだ、こういう御答弁をいただきましたが、現行も閣議決定なんですよ、人事は。閣議決定なんです。総理大臣を含む閣議の決定なんです。これは重いんですよね。  その意味では、閣議決定であるにもかかわらず内閣一元管理が達成できなかったということについて、承認権者の変更というのが本当に実効性を持つんでしょうか。私は今お答えいただいた答弁で担保できるとは思えないんですが、大臣、いかがでしょうか。
  129. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 現在は、各省大臣人事権と称して、人事権内閣ではなく各省にあるんだというがごときの現実が横行しているのではないでしょうか。やはり根本に立ち返って、官吏の事務というのは内閣が掌理するという憲法の規定がございます。法律に基づいて内閣の一員たる大臣がこの事務を分担しているわけでございます。  したがって、そういうことを考えれば、やはり幹部職員の任用においてもきちんと内閣一元化という扇のかなめが必要になるわけでございまして、この点、今回の基本法は、現実の今の制度も踏まえた上での改革プランになっているかと思います。
  130. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 現状をよく見きわめるとこうせざるを得ないんだというお答えをいただいて、私としては、非常に残念というか、だからこういうことになるんだなという気に今改めてなっているんですね。  結局、閣議決定といえども、そこではおれは関係ないわと。これは閣議ですから閣僚全員の決定なんですよ、全員の意思決定であるにもかかわらず、これは各大臣の担当だから自分関係ないわということでお任せになっている、そのお任せになっている人事の原案は事務方で決めている、だから閣議決定は重くないので、総理大臣一人の承認の方が重いんだ、こういう御趣旨の答弁ですよね。そうですよ。だから変えなきゃならぬのだ、こういう御趣旨ですよ。  この問題の本質は、また議論は外れますけれども、閣議決定というのは何なんですかという話ですよね。昨日も重要な閣議決定がなされましたけれども、閣議決定出席されている大臣からそんないいかげんな閣議決定なんだという趣旨を伺うと、この国の問題はこの国家公務員制度改革どころじゃないですよね。非常に残念な思いで今御答弁をお聞きしたんですが。  私が申し上げたいのは、結局、総理大臣を承認権者にしても、これは本当に変えることができるのか、私はそう申し上げたいんですよ。現行の閣議決定もできない。いや、それは閣議決定がずるずるしてやっているからだという話で、じゃ、総理大臣はできるのか、そうじゃないんですよ。  この原案の問題については、幹部職員の問題については、府省が原案をつくるから問題なんですよ。府省が原案をつくるから固定化したルートで人事が決まってしまう。だから、この府省の原案作成というものを取り除かない限り、だれを承認権者にしようが、どんな仕組みで決定をしようが、同じだということなんですよ。今のお話を聞いても、どんどん高みにそれこそ上げて、より厳しい監督の中で決めていくんだと言われても、これは全く説得力がないですよ。根本を変えなきゃだめなんですよ。府省の原案作成のこれを変えていく以外にないんですよ。大臣、いかがですか。
  131. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 まさに各府省事務方人事権という実態から脱却をするために、内閣人事庁というものをつくるわけであります。  内閣人事庁がたたき台、案をつくるということについては、実際に各省からのヒアリングを行いましたが、猛烈な抵抗がございました。しかし、その抵抗を乗り越えて、今回この政府案の成案を得るに至ったわけでございます。  したがって、この内閣人事庁をつくるかつくらないか、内閣人事庁がたたき台、原案をつくるかつくらないか、この差は決定的に重要なポイントかと思います。
  132. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 御苦労されているということについてはよく理解をしているつもりでありますが、私は、この法案の中でも、先ほど来申し上げているポイントについてはやはり骨抜きにされてしまいかねないんだ、このことは懸念として申し上げざるを得ません。  もう残りの時間もわずかとなりました。私は代表質問でお尋ねした全項目について網羅したいなと思ったんですが、どうももう時間もありません。最後になるかもしれないんですが、もう一点は、この流れで、幹部職員の所属について。  これは、私は実は当委員会でも質疑をさせていただきました。四月十八日、一般質疑におきまして、この幹部職員の所属については、内閣人事庁及び各府省に所属するという趣旨がどこにあるのかということで本委員会で私が質問したところ、大臣は、「法的にはあいまいな表現で、今後の制度設計に任せていこうという御趣旨である」と、そのあいまいさを認めておられました。つまり、併任ではないと。  この併任ではない、総定員法に照らして矛盾をしているという私の指摘に対しても、これはもうあいまいな形にしたんだ、あいまい表現なんだ、苦心の作という答弁もされましたが、法的に矛盾のある制度、このような形で腐心するよりも、むしろ、私が先ほど申し上げたように、候補者名簿を一義的に府省が作成する制度を変えること、こちらに特化する方がより重要なのではないですか、こう申し上げたいわけであります。  もう時間もありませんので、大臣、この所属についてあいまいだなどということは許されるべきではないと思うんですが、これについて、そして、私の提言であります、やはり府省の作成の点に特化すべきではないのかということについての御答弁をお願いいたします。
  133. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 これは、この前も議論をしたところでございます。  より明快には、内閣人事庁所属、各省併任というのがわかりやすい形であろうかと思います。残念ながら、そういう理想にこだわっていると法案を国会に提出できないという現実もございました。そこで、このような妥協の産物として、この基本法が成立後に具体化を図っていこうということになった次第でございます。
  134. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 四月の四日提出で、やっと法案審議です。しかも、先週、私が代表質問をさせていただいたにもかかわらず、きょうの審議も実はなかなか決まらないという状況でした。私も非常に心配をしておりましたが、ようやく俎上にのったわけです。  その中で、御苦労されていることも十分理解しながら問題点は粛々と指摘をさせていただきながら、当委員会審議を通じて公務員制度改革にとにかく歩を進めていただきたいということを最後に申し上げて、残余の質問は同僚議員にゆだねるとします。  ありがとうございました。
  135. 中野清

    中野委員長 次に、泉健太君。
  136. 泉健太

    ○泉委員 民主党の泉健太でございます。  この公務員制度改革、我々民主党も、ぜひ積極的に取り組んでいきたいということでこの審議を進めていきたいと思いますけれども、私は、与えられた時間が三十分ですので、端的に三つのことについてお伺いをしたいというふうに思います。  まずは、先ほど来、他委員からも話がありますとおりの政官接触のことであります。  大臣は、これまでの答弁の中で、いわゆるロビーイング活動、大臣の言うことを聞かず、ロビーイング活動にいそしむような公務員がいてはいけないんだというふうにおっしゃいました。そしてまた、国会議員からの接触は制限されない、そういう制度設計を目指していくということもおっしゃられました。  ただ、やはり非常にわかりにくいですね。果たしてどこまでが許されて、どこまでが許されないのか、これが非常にあいまいだというふうに私は思います。先ほど田端委員からも、例えば電話での接触はどうなるのか、議員の側から電話すれば問題がないけれども、官僚の側から電話してはいけないのか。こういったことも含めて、原則としては国会議員からの接触は制限されないということでありました。  私は、この政官接触の中でいいますと、大臣がおっしゃるようなロビーイング活動、これは一つ弊害としてあるというふうに思うんですね。よく取りざたされてきた、平成十三年、十四年ぐらいに言われていた政官接触のもう一つの問題点というのは、ロビーイング活動だけではなくて、いわゆる議員の側からの陳情、圧力、こういったものに対してどう対処していくかということもあったはずですが、その観点はどうなっているのかをお答えください。
  137. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 平成十四年のころの議論は、政の方からの口きき行為について、これをどう規制していくかという観点からの議論であったかと思います。  今回の議論は、それとは逆方向からのロビーイング規制を試みたものでございます。まさに官僚内閣制とすら言われるシステムのもとにおいて、本来の大臣威令が行われずに、大臣の御意見はさておきといった活動を規制するために設けたものでございます。  こうした規律を設けることから、結果として、間接的に議員の方からの口きき行為から起こされる問題についても抑制がきいてくるものと考えます。
  138. 泉健太

    ○泉委員 大臣、それはおかしいんじゃないでしょうか。先ほどの答弁から、大臣の御意見はさておきというせりふはもう三度目ですけれども、その説明はいいとして、先ほどの答弁では、国会議員からの接触は制限されないというふうにおっしゃったわけですよね。まさに日々の陳情、圧力、こういったものは国会議員からの接触であって、それがどうして今回抑制される、制限されるということになるんですか。それは制限されないんですね。ですから、この点は今までどおりじゃないですか。
  139. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 私が今申し上げましたのは、通常の情報収集とかいうことではなくて、要するに、かなり危ういレベルの個別案件の話を念頭に申し上げたつもりでございます。したがって、そういったことが、きちんと大臣威令が行われ、大臣の指揮監督のもとに接触ルールが行われるようになりましたら、そういったアブノーマルな形での口ききというものは当然抑制をされていくということを申し上げたつもりでございます。
  140. 泉健太

    ○泉委員 そういう御答弁ですと、では、まず大臣にお伺いをしたいのは、現在、そういった大臣威令に沿わないようなさまざまな要望事、さまざまな議員からの申し入れ、こういったものが行われているということでよろしいですか。
  141. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 具体的な調査を行ったわけではございませんが、一般論として、そのようなケースを想定して申し上げたつもりでございます。
  142. 泉健太

    ○泉委員 大臣、我々はうわさで法律を変えたりしてはいけないわけでして、ちゃんとした立法事実に基づいて法律をつくっていかなければならない。  ということで考えると、既に平成十四年七月十六日の閣僚懇談会申し合わせ、これはもう中身は大臣も御存じかと思いますが、この中で、政と官のあり方、「法律案の作成等、政策立案の過程における「官」から「政」への働きかけは、大臣等の指揮監督下にあって、その示した方針に沿ってこれを行わなければならない。」ということでありました。これは官から政への申し入れ。  一方で、対応が困難なものは閣僚に報告するというようなこともございますし、「報告を受けた大臣等は、要請、働きかけを行った国会議員に対し、内容の確認を行うとともに、政・官の関係について適正を確保する」というようなことが書いてあるわけですね。ここには大臣に対する報告というものがございますし、大臣による内容の確認というものもございます。  まず、それぞれ大臣がおられて、それぞれ官僚がおられるわけですが、他省庁のそういった事例について、これまで行革の担当者として大臣は御調査をなされたことはございますか。
  143. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 多分こういう質問が出るだろうと思って、調査をやってみてはどうかという話をしたことはございます。
  144. 泉健太

    ○泉委員 その結果のほどを教えていただけますか。
  145. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 結果として、調査はやっておりません。
  146. 泉健太

    ○泉委員 大臣威令がきいていないということですか。
  147. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 私の力不足だったと思います。
  148. 泉健太

    ○泉委員 ちょっと、これは行革を御担当なされている大臣としていかがなんでしょうか。副大臣、政務官もあわせて大臣をサポートしていただきたいと思うわけですが。それは、大臣が求める調査が今現在、結果的になされていないということですか。これはちょっとやはりおかしいのではないのかなというふうに思うわけです。  ですから、委員長、今の大臣の御答弁、表情を見ても大変苦悩の表情が浮かんでくるわけですが、私は、ぜひ委員会として理事会で御協議をいただきたいわけです。各省庁において、少なくともこの平成十四年七月十六日、閣僚懇談会申し合わせ以降において、それぞれの省庁大臣に対してどのような報告がなされてきたのか。具体的な物事一つ一つというのは難しいかもしれませんが、まず第一段階としては、大臣になされた報告の件数、さらには大臣からの内容の確認、そして、適正の確保等、処理をした件数、こういったものについて各省庁から、大臣のおられるところについては、資料の提出をお願いしたいというふうに思います。
  149. 中野清

    中野委員長 理事会におきましてこの御提案については協議させていただきますから、よろしくどうぞお願いします。
  150. 泉健太

    ○泉委員 昨年の公務員制度改革でもそうでしたが、やはり前提となる資料があってこその審議であるというふうに思いますので、これは早急な調査をお願いしたいというふうに思います。  この閣僚懇申し合わせには、「「官」は、国会議員又はその秘書から、個別の行政執行(不利益処分、補助金交付決定、許認可、契約等)に関する要請、働きかけであって、」というふうに書いております。まさにこういうことは、先ほど大臣は、そういったことがまことしやかに言われてきたというふうにおっしゃられましたけれども、我々もそういうような認識を持っております。  ただ、一方で我々国会議員の側も、果たして官僚の側が何を記録していて、何を管理して、何を保存していて、そして、それはどういうときに公開されるのか、全く今わからないんですね。これはやはり問題ではないかというふうに思うんです。自分としては圧力をかけたつもりではなかった。地元の陳情を、ある意味、権者である大臣なりしかるべき人に伝えたということをもってして、もしかしたらそれが記録上は圧力ということになっていたとすれば、これはやはり政治全体として、政治の側も見直さなければならないことであるというふうに思うわけです。  そういう意味では、これもぜひ大臣にお伺いしたいんですが、今現在、各省庁ではどのような記録の仕方をしているのか。また、その記録があれば、その保存の方法や公開の基準みたいなものがあるのかないのか。これもちょっとお聞かせいただけますか。
  151. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 事細かな調査をしたわけではございませんが、私がいろいろな機会を通じてお聞きをしてきた中には、国会議員との接触について、すべてを大臣に上げるという役所はなかったように思います。よく言われたことは、局長段階で大臣に上げるかどうかを判断して、必要なものを大臣に報告していますという話が比較的多かったように思います。
  152. 泉健太

    ○泉委員 きょうは、内閣官房、内閣府、法務省にお越しをいただいておりますが、まずは、この法案のさまざまなところにも出てきます内閣府の方は、現在、まさにこういったさまざまな国会議員からの要望事、そういったものについて、どのような記録の保存の仕方をされていますでしょうか。また、その公開の基準など、あるいは大臣への報告の判別をどのようにされているか、こういったことについてもお聞かせいただきたいと思います。
  153. 山本信一郎

    山本政府参考人 お答えいたします。  日常、常日ごろ、いろいろなお話がございます。制度の仕組みを説明してほしいとか、あるいは資料を求められたり、いろいろなお話がございます。誠実に対応させていただいております。  中には、これは当然大臣に御報告をして御指示をいただいて、またお答えすべきもの、そういうものもございます。そういったものはしっかり上げてございますし、それぞれのセクションで、そういったものについてのしかるべき記録も組織として整えているものが一般的だと思います。したがって、それは行政文書ということで整理がされているというぐあいに承知をしております。  個々具体のケースにつきましては、いろいろな取り扱いがあろうかと思います。  以上でございます。
  154. 泉健太

    ○泉委員 今、行政文書というふうにおっしゃいましたけれども、これは例えば保存期間というのは、どんな要望事についても基本的に同じ期間保存をされているのか。また、私はこの例は必ずしもよくないと思うわけですが、時には、用語的に言うとリークという形で、政治家が行政に対して働きかけしたものが全くおかしなタイミングで報道の機関にもたらされたりということも時にはございます。  そういったものも含めて、要望事の資料を保存する、保管しておくということの意味合いも含めて、これは、一度要望事があったものをどのように保管して、そして、その保管をしたものを何かまた活用する機会があるのか、そういったことも含めて、非常にわかりにくい現状であるというふうに思います。  せっかくですから行革事務局の方にもお伺いをしたいわけですが、行革事務局も、現在さまざまな政治家からこの法案について、例えばああするべきだ、こうするべきだということも含めてかもしれませんが、それは全部記録にとっておいてある、そしてまた、時によってはそういった記録も開示をしていただく用意があるということでよろしいでしょうか。
  155. 江澤岸生

    江澤政府参考人 お答え申し上げます。  ただいまの、官から政へのさまざまなことでございますけれども、要請等でございますけれども……(泉委員「政から官」と呼ぶ)済みません、政から官へのあれでございますけれども、平成十四年の閣僚懇申し合わせでございますね、そこに記載されておりますような不利益処分、補助金交付決定、許認可、契約等であって、政府方針と著しく異なる等のため、報告しなければならないといったようなものにつきましては、行政改革事務局は臨時の機関でございますけれども、これまでそういったものはございません。  それからまた、大臣の指揮のもと、法案について政治家の方に、あるいは政党に御説明を申し上げていた際のさまざまな御意見につきましては、これは、その都度、大臣、副大臣大臣政務官に報告するときもございますけれども、原則として、毎週月曜日、大臣、副大臣、政務官が一緒にいらっしゃる場で口頭で御報告を申し上げておるところでございます。
  156. 泉健太

    ○泉委員 時間もございませんので、やはり政官接触、特に野党の立場からすれば、今後はどの党が与党になり、どの党が野党になるというのはわからない話ですが、野党側の立場に立てば、やはり行政からのヒアリングを通じた形での法案の問題点をしっかりと精査していくということは大変大事な作業でございます。  その意味では、先ほどから再三御答弁いただいているとおり、国会議員からの接触は制限されないということではありますけれども、私たち民主党としては、接触は基本的に自由であって構わない。ただ、それは当然、その接触記録の管理、保存、また公開、これをぜひ伴っていただきたいというふうに考えるわけなんですね。公開が伴えば、当然そこには良識も出てきます。やはり衆人の目にさらすということが一番の抑止力になるのではないかなというふうに思っておりまして、大臣もうなずいていただいておりますので、ぜひその方向性で、今後、この政官接触のあり方についてはお考えをいただきたいというふうに思うわけです。  そしてさらに、先ほど他の委員からもありましたが、この五条の中の「その他の政務」とは何を指すのかということがございました。この「その他の政務」という言葉が果たして何を指すのか。これについて、いま一度御説明ください。
  157. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 これは、政務専門官の職についての説明文でございますが、「国会議員への政策の説明その他の政務に関し、大臣を補佐する職」と規定してございます。「その他の政務」とは、国会や政党との連絡交渉を初め、政治や行政との調整に関する事務のことを指しております。
  158. 泉健太

    ○泉委員 次に、「政務専門官以外の職員が国会議員に接触することに関し、大臣の指示を必要とするなど、」と例示で書いてございますが、他の手段を何か考えられているということでしょうか。「大臣の指示を必要とするなど、」というふうに書いてありますが、この「など、」にはどのような意味があるんでしょうか。
  159. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 これは、大臣が指示をする場合もございますが、個別の指示とか一般的な指示とか、いろいろな行為態様が考えられるかと思います。そうしたことを包括的に考えて、「など、」という表現にしたものでございます。
  160. 泉健太

    ○泉委員 この政官接触については、まさに渡辺大臣の写真入りのホームページに、二〇〇二年三月十三日、自民党国家戦略本部・国家ビジョン策定委員会の中での緊急アピールというものがございます。その中には、「政党、国会議員・秘書が官僚に接触する場合には、原則として大臣、副大臣、政務官が対応する。」というようなことが書いてある。  一方で、今回はそれがさまざまなところからの反発があって、我々も、先ほど言いましたように、基本的には接触は自由にして、そこに公開の原則が加わればいいのではないかという考え方ですが、恐らくこちらが大臣の本音で、そして、現在の姿というのは丸まったものになってしまっているのかなという気がいたしてなりません。その辺は、どちらかといえば今後の与党内でのやりとりなのかもしれませんが、ぜひしっかり指導力を発揮していただきたいというふうに思います。  次に、キャリア制の問題について行きたいというふうに思います。  こちらの方は、先ほども馬淵委員から話がありましたが、総合職、一般職、専門職という形で新しく区別がなされるという一方で、実は、このそもそもの、現在の国1、国2、国3、こういうような分け方も、これは何も、この分け方をしたからといって昇進が自動的に担保されるというものでは本来なかったはずだというふうに思うんですね。そんなものはどこにも書いていないわけです。だけれども、いつの間にか、この国1、国2、こういったものが、慣例としてなのか、自然とこういったキャリア制度の固定化につながっていったということを考えると、一般職、総合職、専門職、そしてまた、それをさらに大卒、院卒、高卒というふうに分けていく中で、やはりこれも新たな区分の始まりにすぎないのではないかというふうに私は懸念をするわけです。  そういったことはないというふうにおっしゃると思いますが、しかし、当初の思いとは裏腹に物事というのは進んでいくということも、これまでのこの国1、国2のあり方を見ていただくと、それはもう前例としてしっかりとやはりあるのではないのかなというふうに思うわけです。  その意味でなんですが、高卒以上の、高卒者試験には総合職がございません。この理由も御説明いただけますでしょうか。
  161. 株丹達也

    株丹政府参考人 今お尋ねがございました試験関係、基本法の中に六条の方に定めてございます。その中にございますように、総合職、一般職、専門職、これは種類というふうに規定がございますけれども、それと別途、区分という形でもって、院卒者試験それから中途採用について触れてございます。  この二つの試験の種類、区分の関係につきましては、いわばマトリックスのような形でもって御理解をいただければというふうに存じてございまして、その際に、総合職試験と、例えば大卒、高卒程度、現在ございますが、こういうものとの、具体にどういうものがあるかということについては、基本法成立後に具体的に決めてまいるということだというふうに理解してございます。
  162. 泉健太

    ○泉委員 制度懇の報告書の中のものを大体整理すると、現在のところは大卒、院卒については総合職というものがあるけれども、高卒者については今のところこの総合職は予定をされていないということと認識をしておるわけですね。  そういうことでいいますと、大臣、やはりよく考えていただきたいんですが、現在のキャリア制も、実際には学歴というものが非常に大きくその要素の中に入っているのではないかというふうに私は思います。もちろん、それは大卒の中であれば基本的には差はないということかもしれません、学歴というより出身大学によってということが多少あるかもしれませんが。しかし、やはりこれからの時代は、高卒の方であっても、能力、やる気があればトップに立てるかもしれない、これぐらいの人事のフレキシブルなあり方というものを私は目指していただきたい。そうでなければ、高卒者試験を受けた方は、恐らく一生、その高卒者試験がついて回るというふうなことになってしまうのではないか。  それを、もし大臣が、いや、そうではないんだ、今後はあらゆる方にチャンスがあるんだというのであれば、ぜひここは少し具体的に御説明いただきたいんですが、では例えば高卒者、今総合職は予定をされていないんじゃないかというふうに私は指摘をさせていただきましたが、この方については、いつの段階で幹部に進んでいくような道が、チャンスが用意をされるのか。お答えいただけますでしょうか。
  163. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 幹部候補育成課程というのは、総合職以外からも道は開かれているわけでございます。まさに、今回の改革プランは、1種、2種、3種という試験を廃止いたします。そして、重視する能力に着目した総合職試験、一般職試験、専門職試験を設けるわけでございます。それと同時に、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則といたします。その上で、幹部候補育成課程を整備するものでございます。
  164. 泉健太

    ○泉委員 これは恐らく、今の1種、2種、3種を見ていただいてもそうなんですが、法律ではなかなかあらわれないところで、いつの間にか、評価というふうにおっしゃいましたが、実は私はこう思うんです。例えば、この試験の区分によって与えられる第一歩のポストが違う、そしてまた役割が違う。そうなれば、仕事が当然変わってくる。そして、その仕事、プロジェクトの中で責任を持つ立場にいるのか、事務方立場でいてしまうのか、そういうことによって、恐らく、その仕事が成功したときのリーダーに対する評価事務方に対する評価、こういったものが今の段階では違うという状況があって、そうなればなるほど、結局は評価されるのは上の方ばかりということになってしまうのではないのかというふうに思うんです。  その意味では、やはり、こういった高卒者、また、これから院卒者をつくるということであれば大卒者の方、そういった方々にも十二分な仕事のチャンスを与えるということがなければ、この一番最初の試験の区分を変えたとしても、また新しい序列の中で実は新しいキャリアがスタートすることになってしまうということで、今後の制度設計の中では、いろいろな方々に仕事のチャンスを与える、責任のある立場を与える、こういったことにもぜひ目を向けていただきたいというふうに思います。  きょうはもう時間がありませんので、具体的に、きょうは法務省にお越しをいただいておりますが、大臣にお聞きいただきたいことがございます。  いわゆる国1という試験を受ける方々があって、そして各省庁に歩んでいかれるという中で、端的に申しますと、法務省においては、基本的には、課長以上のポストというものが、大多数が検事、いわゆる司法修習生出身者に占められておるという現状がございます。これはもう大多数ですから、実際の課長ポストがたしか七十一ぐらいありまして、今現在でいいますと、そのうち五十三名がいわゆる司法修習経験者ということでございます。そしてまた、もっと具体的に言いますと、局によってはっきり分かれている。刑事局、民事局においては、他省庁出身者を除いては、ほぼすべてが司法修習生出身者でございます。  こうなると、私はこれは隠れキャリアと呼んでいいのではないかというふうに思うんですね。1種で入った方も、残念ながら、頑張って課長どまり、その枠も非常に少ない。2種、そういった方々はもっと浮かばれないというか、現在固定化している。  今回の公務員制度改革の中で、そういった現行のものの見直し、また現行の隠れた内輪の慣習の見直し、こういったものに大臣はどのように切り込んでいくつもりなのか、お答えください。
  165. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 幹部職員登用に当たっては、内閣人事庁が一元管理をしていく体制を目指しております。その過程で、まさしく厳正な評価に基づいて能力、実績が評価をされていくことになるわけでございます。管理職員課長級の任用においても、まさしくこの能力と実績に基づく評価が行われ、総合職、一般職、専門職にかかわらず課長級の任用も行われていくようになるわけでございます。  まさしくそのような制度設計の延長線において、今御指摘のような法律に書いていない制度改革が行われていくものと考えます。
  166. 泉健太

    ○泉委員 もう最後にいたしますが、きょう法務省にお越しいただいたんですが、私、もう一回次に質問させていただきますので、ぜひ大臣、それまでにお答えを持ってきていただきたいんですが、法務省設置法の附則の中に、「当分の間、特に必要があるときは、法務省の職員のうち、百三十三人は、検事をもってこれに充てることができる。」というのがあるんですね。ただ、これは昭和二十三年にこの附則ができまして、どうしてこれが存在しているのか、またこの人数が何物なのか、まだ私よく存じておりません。  こういうものが実は法律でも書かれている中で、事実上、検事の方々が課長ポスト以上の中に多数おられる、そしてまた現在、法務省においては、国1の試験を通過した方でもほとんどが上に上がっていけないという状況について、どのようにこれを解決というか変えることができるのか。これをぜひまた次回に御答弁いただきたいということをもって、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  167. 中野清

  168. 松本剛明

    松本(剛)委員 国家公務員制度改革基本法について質問をさせていただきたいと思います。  まず、今回、何を課題だと考えて、何を変えようとされているのかということを、ポイントを絞って、整理をして御説明いただきたいと思います。
  169. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 三点申し上げます。  今回の制度改革の目的は、国民全体の奉仕者である国家公務員について、一人一人の職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行することであります。そして、改革の大きな柱として以下の三点がございます。  第一に、現在の官僚内閣制とも言える状況から、内閣国家官僚の結節点となる真の議院内閣制への転換を目指します。  このため、政務専門官を設け、それ以外の職員の国会議員との接触については、大臣のコントロールのもとで適切に行われるよう規律を設け、ルールとプリンシプルを明確にいたします。また、政治主導の機動的な政策立案を支えるため、国家戦略スタッフなどを設けます。  第二に、現行のキャリアシステムを廃止いたします。  現行のキャリアシステムは、採用試験の段階で幹部候補が事実上固定化され、その後も同期が横並びで昇進していくような人事運用が身分制的であると批判をされています。このため、現行の採用試験の種類と内容を抜本的に見直し、新たな採用試験の種類を設けるとともに、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程を整備いたします。また、民間からの中途採用試験も設けます。  第三に、各省割拠主義の打破を目指します。  これまでは、採用から退職、さらには退職後まで各省ごとの人事が行われ、これが各省割拠主義の源泉となっています。このため、内閣人事庁を設置し、職員育成及び採用府省横断的に行うこと等によって、各府省立場を超えて政府全体の立場に立った視野を持つ人材育成、活用し、内閣としての一体性を確保するものであります。
  170. 松本剛明

    松本(剛)委員 目標については私どもも首肯できるところが何点かあるんですが、方法、手段について幾つか議論を申し上げなければいけないところと、目標についても、私どもと少し異なるところもあるのではないかなということがあります。その点を整理して、少し質問をさせていただきたいと思います。  まず、官僚内閣制と政治主導というお話でございました。政治主導について、私どもの馬淵議員の方からも申し上げました。我々は、もっと国会議員が内閣の中にというか政府の中に入るべきではないかということを御提案申し上げておりますが、これについては、今後の課題なり別の課題というようなお話でありました。方向性については一定の御理解をいただいたというふうに理解をしております。  政官接触の問題について、泉議員の方からもいろいろお聞きをさせていただきました。田端先生の質問も、政官接触の問題についてあったと思います。  改めて確認をしますが、先ほどのお話では、この目的は大臣威令を行き届かせることであって、口きき防止といったようなものは反射的効果である、こういうお話でしたが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  171. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 反射的といいますか、間接的にアブノーマルな口きき行為は抑制をされていくであろうということを申し上げたつもりでございます。
  172. 松本剛明

    松本(剛)委員 御案内かもしれませんが、実は、民主党の中でも、やはり政官接触は厳しく制限をするべきではないかという議論をこれまでにも何度かやったことがあります。実際にそういった提案をさせていただいたこともあります。しかし、今回も、政府側からそういったものが出てくる中で、我々もいろいろなケースを想定して議論をしてみました。その結果、結論から言うと、やはりなかなか難しいのではないか。  法律では、「政務専門官以外の職員が国会議員に接触することに関し、大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けること。」こうなっておるんですが、この規律はどの程度厳格なものになるのか、どの程度柔軟なものになるのか。  大臣、先ほどというか本会議での答弁だったかもしれません、情報収集といったものを阻害することがないようにといったような趣旨の御答弁があったと思うんですが、このルールのつくり方というのは非常に難しいと思うんですが、今、何らかのそういったイメージというのを大臣はお持ちでいらっしゃるんでしょうか。
  173. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 規律というのは、全府省共通かつ明確なものとするために法制化をすべきであるという考えもございます。一方、閣議決定のレベルで定めることも考えられます。  政官接触の集中管理に関する規律については、その内容や法形式を含め、この基本法成立後、具体化することになります。その際、国会議員側からの情報収集等に支障が生じたり、意味のない規律になったりしないよう十分配慮してまいりたいと考えます。
  174. 松本剛明

    松本(剛)委員 抽象的にはそうなると思うんですが、実際にやろうとすると、例えば政務専門官の方々が国会議員への政策の説明を行うとなっております。我々も、例えば質問の際、もしくはそれ以外の際も、まず国会連絡室の方が来られることはあります。しかし現実には、やはりその方々は取り次ぎをするということが実態となってこざるを得ないわけですね、各専門的なことがあると。そういったことも含めると、国会議員の情報収集に影響がないようにしようとすると、かなり前広なものにしていかざるを得なくなるのではないかと思うんです。  他方で、そうなってくると、今度は大臣の指揮監督というものでコントロールするというには、渡辺大臣の場合は担当大臣ですから事務局もかなり統括できる範囲かもしれませんが、各省大臣のような大きなところになると、人数も膨大なものに、本省だけでも大変な人数がいるところもあるわけで、これを全部コントロールするというのが本当に現実的なのかどうかということをやはり我々も思うわけであります。  ですから、そういう意味では、泉議員の方からお話をさせていただいたように、今我々は、むしろ情報公開の徹底、透明化という形、どういうふうに接触をしたのかが残れば、結局それは報告として上がっていくわけですから、大臣のおっしゃるような、大臣の意に反するような行動をしたとしたら、これは記録に残さないケースもあるかもしれませんが、残さなかった時点でそれはルール違反ということになってくるわけですから、そういう縛り方をしていった方が現実的ではないかということで、実は今回、我々の議論は一つの結論を出させていただきました。  その意味で、接触の具体的なルールをどういうふうにするのかということによって、実は悪く言うと、おっしゃったように、ほとんど意味のないものになってはいけないし、かといって実際に妨害することになってはいけないとおっしゃったんですけれども、いろいろ考えると、実際にその切り方というのが非常に難しいのではないかと思いますが、その辺、いかがお考えでしょうか。
  175. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 まさに、この具体策は国会の議論を踏まえて策定をしていくことになるわけでございます。  もとより、議員側からの情報収集を阻害しようと思ってこの規定を設けたわけではございません。真の議院内閣制をつくるために、政務専門官というものを設け、官僚公務員皆さんには本来業務に立ち戻ってもらおう、そういう思いも込めてこの規定をつくったところでございます。
  176. 松本剛明

    松本(剛)委員 私どもが透明化型を御提案させていただいているのも、先ほど規律も、閣議決定とかいろいろなケースがお話があったんですが、あえて申し上げれば、政と官の接触のルールを決めるその規律の閣議決定の案文を官僚の方が書くということになったら、いわば笑い話みたいな形になってしまうわけであって、逆に、ぜひこの国会の場で、政と官のルールをある程度やはり決めていく形をとっていった方がいい。  書けるとなると、恐らく規律を法律に全部書くということは必ずしも現実的でないと思うんですよね。だとすれば、やはり透明化のルールをきちっとむしろ法律に書くということをお考えいただいた方がいいのではないかということを、私どもとしてはぜひ御提言を申し上げたいと思います。  もしコメントがあれば。なければ先に行きましょうか。
  177. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 貴重な御提言として承らせていただきます。
  178. 松本剛明

    松本(剛)委員 それでは次に、ちょっと順番が入れかわりますが、能力・実績主義とかキャリア制の関係について少し総合的に幾つかお伺いをしたいと思います。  これも、先ほど泉議員の方からお話をさせていただきました。  実は、この国では、法律に全く書いていないシステムが今機能をしているというのが実態だというふうに申し上げられると思いますが、さらに申し上げると、実は、国家公務員法というのを全部読んでいくと、ちょっとキャリアシステムという言葉がダブるんですが、今のような、いわゆるずっとその組織にいて順々に昇格をするという学問的な意味でのキャリアシステムをとっているというよりは、つくられた時期が時期ですから、どちらかというと米国型の、継続的な雇用を必ずしも前提としない、職に対するそういう意味でのノンキャリアシステムをとっているというふうに言えると思いますが、実態としては、今そうなっていないわけですよね。法律どおりになっていない。  これも、先ほど泉議員が法務省について、当分の間がまだ続いているという話をしておりましたが、例えば、国家公務員法でいくと職階制というのがとられることになっていますが、とられていないということになっているんですよね。そこのところを確認だけさせていただきたいと思います。
  179. 株丹達也

    株丹政府参考人 もともと国家公務員法がつくられましたときに、御指摘ございましたように、恐らくはアメリカの制度などを参考にしながら現行の国家公務員法体系ができ、その中に職階制があり、そこは、今委員が御指摘ございましたように、必ずしも生涯ずっと公務員ということを前提とするものではなくて、個々のポストに応じて適切な人物を採用していくという意味での職階制というものが入ってございましたけれども、昨年の国家公務員法の改正の中で、既に、職階制というのは一度も実施されたことはございません、そのことも踏まえまして、新しく体系を組み直して、そういう意味では、職階制の部分というのは昨年の国家公務員法の改正の中で廃止されたということでございます。
  180. 松本剛明

    松本(剛)委員 そうなんです。逆に言うと、法律に書いても何十年もほったらかしになるということすらあるということなんですね。法律に書いていないシステムが機能をして、なおかつ、法律に書いてある方向には行かないまま何十年もやってきたということを考えると、先ほどの政官接触もそうなんですけれども、きちっと実効性のあることをここで決めていかないと前へ行かないのではないかということを大変我々は懸念をするわけであります。  ですから、その意味で、いわゆる日本のキャリア制の問題と、それから先ほど申し上げた制度的なキャリアシステム、ノンキャリアシステムという問題を少し整理していかないといけないのではないかというふうに思います。  そういった中で、能力・実績主義ということにも関連をすると思いますし、いわゆる制度懇の中でも降給、降格、降任といったことについてやはり触れられているんですが、私の理解では、今の現状のシステムではそういったことはほとんど行われていないというふうに理解をしていますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  181. 株丹達也

    株丹政府参考人 御指摘のように、実際に、例えば課長である者がその職を下がるということは、それほど例はないというふうに思ってございます。
  182. 松本剛明

    松本(剛)委員 あえて言えば、やや懲戒的な意味で降格をされるとか、懲戒権が行使をされるというケースはあるんでしょうけれども、民間の企業でいえば、まさに働きに応じて上がったり下がったりという部分は、今の仕組みではほとんどない。  しかし、制度懇で言われているのは、そういったことも入れていこうということですよね、能力・実績主義ですから。それは、そういう理解でよろしいですよね。
  183. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法案では、第十条において、「職員の初任給の引上げ、職員能力及び実績に応じた処遇の徹底を目的とした給与及び退職手当の見直しその他の措置を講ずること。」を盛り込んでおります。  この規定に基づき、基本法の成立後、降格、降給のあり方を含め、能力及び実績に応じた処遇が徹底されるような給与の見直しを行うことになります。
  184. 松本剛明

    松本(剛)委員 では、私のちょっと読み方が、今の後段の部分法律に書いてありますか、あり方を見直すというのは。それは今の大臣の御答弁ということでよろしいんですか。
  185. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 第十条の二号が前段で申し上げたことでございます。この規定に基づいて、降格、降給のあり方を含め、能力及び実績に応じた処遇が徹底されるような給与の見直しを行うことになります。
  186. 松本剛明

    松本(剛)委員 これは幾つかの法律を変えることになるのではないかというふうに思います。いわゆる制度懇の答申でも給与体系の抜本的見直しということが入っていたと思いますが、どういった法律を変えることを想定しておられるんでしょうか。
  187. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 能力、実績に応じた処遇の徹底を図るためには、国家公務員法、一般職の職員の給与に関する法律国家公務員退職手当法、国家公務員共済組合法の改正が必要になろうかと思います。
  188. 松本剛明

    松本(剛)委員 本法案の第四条によれば、三年以内に法制上の措置ということになっております。法制上の措置というのは、成立をするということまで含めてのことだと理解をいたしますと、今お話しいただいた方向とか法案の内容というのは、およそ一年ぐらいをめどに結論が出なければいけないということになると思いますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  189. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 具体的にどういう法律の改正が必要となるかについては、基本法成立後に検討が行われます。先ほど申し上げた能力・実績主義の徹底のためとか、あるいは、内閣人事庁の設置のためには、新法が一年以内に制定されるといったことが想定されるところでございます。
  190. 松本剛明

    松本(剛)委員 逆に言うと、そういったところまでぜひ詰めていかないと、中身のないものになりかねないということを大変懸念しているわけであります。  現実に、先ほど降格、降任等が、いわば働きに応じて型の降格、降任がなかなかないという実態は、これまでの給与法に基づく身分の運営というのでしょうか、そういったものが非常に大きく影響しているのではないかというふうに私は考えているわけですし、その後ろには、さっき申し上げたいわゆるキャリアシステムをとるのかノンキャリアシステムをとるのかといった問題もかかわってくるというふうに我々は思っております。  その意味で、私どもは、実は幹部職ということで、範囲については法案と理解はおおよそ一致をしているのではないかというふうに思っておりますが、いわゆる幹部と言われる幹部職の方々については、ある意味では、まずは幹部職に一種のノンキャリアシステムというのを設けて、そこで切り離して、そのかわりそこでは働きに応じた降格、降任というのが非常にわかりやすく行われる仕組みを導入するのが現実的かつ必要なことではないかということを提案させていただいています。  今のこの法案では、やるときは、全公務員がそうなるということなんですよね。そういう理解でいいんですよね。これは特に分けていないんですよね、幹部職とかそういったものは、人事一元化だけで。
  191. 株丹達也

    株丹政府参考人 具体的なことにつきましては、いずれにしましても基本法が成立後の検討でございますけれども、基本法案の中では特段どこの部分に限ってというような形で規定しているわけではございません。
  192. 松本剛明

    松本(剛)委員 大臣も冒頭でもおっしゃっておられましたけれども、ある意味では、これは実現をすれば大改革だというふうに思います。ただ、具体的な中身がどうなっていくかによっては、看板は大きく変わったけれども実は並んでいるものは余り変わらないということにもなりかねないわけで、どこを変えていくのかというのも具体化をして確定させていくという議論をぜひここでさせていっていただきたいというふうに思っているんです。  降格、降任というのも、やはりそういう意味では今までの経緯もありますし、流れもありますから、どの範囲でどういう人たちにやれば納得がいくのか。また具体的に、評価といいますが、これは民間の企業でも、例えば年俸制とかいうのがうまくいっているかどうかについては、率直に言って評価が分かれます。評価というのは非常に難しい面があるわけです。その意味でも、我々は、やはり政治的な立場をある意味では実質的に含む幹部と言われる方々については、かなり弾力的な運用が必要な体制をとる必要があるというふうに考えております。  そういう意味では、今回、幹部職というのが内閣の一元管理の対象としてはクローズアップされていますけれども、あらゆる面で幹部というのは、それ以外の方々とは少し分けるべきではないかと御提言申し上げたいということを一つ申し上げたいと思っております。  そういう意味では、ぜひ具体的に御検討いただかないと、この基本法というのは、大臣自身も何点かであいまいさというふうにおっしゃいましたが、どちらへでも行きかねないものがまだ少し多いというふうに感じております。  今のことに関連をしてというか、これも馬淵議員から少し聞かせていただきましたが、もう一度。  内閣人事庁と各府省幹部職員の方々は所属をするというふうに法律ではなっています。先ほどの話ではあいまいだということでありましたけれども、そうすると、これはいわゆる人事権とか懲戒権といったものも、これから先、法律で、国家公務員法なりで決めていくということになるという理解でいいんでしょうか。どちらに人事権があるとか、どちらに懲戒権があるとか、現実には非常に難しいのではないかなと我々は思うんですけれども、いかがでしょうか。この先、法律で決めていくんでしょうか。
  193. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 両方に所属ということは、この基本法成立後に具体的な人事管理のあり方を決めていこうということでございます。  幹部職員を一元的に管理する観点、それから各府省大臣幹部職員に対する十全な監督権を担保する観点のバランスを考慮しつつ、このような規定ぶりになったものでございます。任命、懲戒、給与の支払い、人事評価等について、制度の具体化の中で検討していくという規定ぶりでございます。
  194. 松本剛明

    松本(剛)委員 私どもも、民主党の中でもこのことは随分と議論をいたしました。やはり当初言われていたように、非常に縦割りの弊害とか、それから、現実に各府省人事というのはこれまでも、ある意味大臣の意向が露骨にという言葉がいいのかどうかわかりませんが、今までの流れと違う人事大臣がされたというのがビッグニュースになるぐらい、これまでも数は数えられるぐらいしかないという事実はあります。  そういう意味では、実質的な人事権というのをどこがとるかということはあるんですが、先ほどの話とも一緒で、法律の問題とか、大臣が各役所をコントロールできる仕組みになっていないからしないのか、もしくは別の事由で何かそういうことができないのかという運用の問題と、制度をつくるに当たって幾つか整理をしていかなければいけないと思っております。  今回のことについても、現実には、今のこの法律ですと、結局、名簿の作成は各府省が一義的に行って、必要なときに内閣人事庁が行う。そして、所属については内閣人事庁と各府省にということになって、ありていな言葉を使えば、一つ間違うとどちらもとれないということになるのではないかなという感じがいたしますし、我々も所属については随分と議論をいたしましたが、現実に、今の各府省を全部廃止するというなら別ですが、やはり各府省が存在をして大臣のもとで一緒に仕事をする。先ほどチームというふうにおっしゃいましたが、ここにおられる副大臣、政務官の方々も、もちろん福田総理のもとにおられるわけですが、いわば渡辺チームなわけですよね、ある意味で。  そういうことを考えると、我々が今御提案をさせていただいているのは、決めるときはある意味では相当しっかりと内閣が関与をする、しかし、決まって配属をされたら各府省に渡す、もちろん、しかしその人をまた入れかえて新たに決めるとなればまた内閣が出ていく、そういう交通整理をここで決めておかないと、今おっしゃったように、この後決めるということが、幅が広過ぎて、こっちに行くかもしれないし、こっちに行くかもしれないということが少し多過ぎるのではないかと思いますが、御見解を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
  195. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 いずれにしても、基本理念は、各省の縦割りの弊害を除去する、そして、幹部人事については内閣の一元管理を行い、内閣一体性を図っていくということでございます。したがって、この基本法成立後における具体的制度設計も、まさにこの理念から逸脱することは許されないと考えます。
  196. 松本剛明

    松本(剛)委員 特に私どもがこだわるのは、今でも人事検討会議というのがおありで、ある意味では拒否権はあるんですよね、内閣に対して人事が上がってきたとき、拒否権は。今の仕組みですと、やはり名簿は基本的に各府省であるということになると、拒否権がある制度だと、逆に言うと今と余り変わらないのではないかということを懸念しております。  これも法律に書いてありますので、あわせてお聞きをします。  必要に応じ、内閣人事庁が名簿を作成するというふうになっていると思いますが、それは具体的にどういうときということなんでしょう。いつでもつくれる、内閣人事庁が必要と認めたらつくれるという理解でいいんでしょうか。
  197. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 内閣人事庁幹部名簿を作成する場合には、各大臣からの依頼があった場合、それから内閣人事庁みずからが必要と判断する場合の両方があると考えられます。内閣人事庁が行う幹部職員の候補者名簿の作成は、大臣人事を行うに当たっての選択肢をふやすものであります。例えば、各府省から示された候補者名簿以外にも能力、適性を有する者がいる場合に、内閣人事庁も候補者名簿を追加作成することになるわけでございます。
  198. 松本剛明

    松本(剛)委員 むしろ入り口は本当に幅広く、特に幹部クラスの人事であれば、ある意味省庁横断的な、他省庁からも有能な人材をそこへ引っ張ってくるということも考えられるでしょうし、また現実には、いわゆるその省の下から上がってくる人でその任に当たれる可能性のある人というのは、その時点ではかなり限られた人数になってくるでしょうから、そうなると、これは内閣人事庁がつくることができるのではないかというふうに私たちも思うんですね。  ですから、その意味では、そこをむしろしっかりと内閣人事庁なりでとっていただいて、逆に言うと、配属のところまで両方、併任にしようとすると、これはどう整理をしていいのかというのは我々もいろいろ頭をひねったし、今後の課題だとおっしゃっているんですが、各省もしくは大臣のもとの指揮をきちっとやっていこうと思えば思うほど、もとへ戻っていくのではないかというふうに思うんです。  その意味では、もう一度ちょっとお考え直しをいただいて、今回何を変えていくのかということをきちっと考える。縦割りの弊害は除去すべきだと我々も思いますし、人事権の問題は、実質的に大臣人事権をとれるようにするべきだというふうにも思います。しかし、その方法として、むしろ今大事なことは、今のままですと、各府省が名簿を出せるというのは、ある意味では今と変わらないわけですよね。人事検討会議に各役所が出している。これは、出しているものに大臣の判こもついていますといえば、まさにさっきおっしゃったようなのと同じことが起こってくるわけです。  そちらをとるのか、配属をとるのかといったときに、私はここでは入り口の方が大事ではないかなというふうに思いますが、もし御見解をいただければ、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  199. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 まさしく、内閣人事庁人事名簿のたたき台案をつくるという点は非常に大きなポイントでございました。まさにこの点に各省の反対、反発が集中したと言っても過言ではございませんでした。各省における大臣人事権と称する代物がこれによって相当脅かされるということから、そのような反発が起きたものと思われます。  しかし、我々は、この基本法案においてはっきりと内閣人事庁も別途たたき台案をつくることができるんだということを明記し、弊害の除去を明らかにしたところでございます。
  200. 松本剛明

    松本(剛)委員 おっしゃったように、認識は共有をされているんだと思います。重要なポイントに絞って、成果が上がるような制度づくりをしていくことが大変重要ではないかというふうに思っています。  また、このキャリア制の問題、幹部職員の問題、それから先ほどの降格、降任の問題にも関連をしますが、先ほど遠藤議員だったでしょうか、官僚の方でも、匿名性ではなくて、むしろきちっと匿名性を排する形がこれから必要になってくるのではないかという話がありました。私も全く同感でありまして、今の仕組みでは、いい意味でも悪い意味でも、責任が明らかにならないという部分があると思います。  実は、先ほど政官接触のところでも文書管理の透明化ということを申し上げましたが、もう一つ、責任の明確化という意味でも、また、もしくは功績の明確化という部分も先ほどの話からいえばあるかもしれません。そういう意味でも、文書管理の透明化というのを進めて、また、責任者の名前も明らかにした形で文書管理を進めていくことが大変重要だというふうに思っております。  特に今回、信賞必罰の徹底というのがこの中にも入っています。私どももこれは重要なテーマだと思っているんですが、現実には、信賞必罰を徹底しようと思うと、だれに責任があるのかがわからなければ信賞必罰も結局やりようがないということになりますから、この政策決定過程の透明化、文書管理の徹底ということも、これは公務員制度の内容にかかわる問題だということでぜひお取り上げをいただきたいと思いますが、御見解をいただきたいと思います。
  201. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 基本法の第九条においては、「職員の倫理の確立及び信賞必罰の徹底」という規定がございます。この中において、例えば、「職務上の義務に違反した場合又は職務を怠った場合における懲戒処分について、適正かつ厳格な実施の徹底を図るための措置を講ずること。」「国家賠償法に基づく求償権について、適正かつ厳格な行使の徹底を図るための措置を講ずること。」などが規定されているところでございます。
  202. 松本剛明

    松本(剛)委員 大臣、もう何度も申し上げませんけれども、それをやるために、きちっと、だれがどこに責任があるのか。例えば国家賠償法の求償権の行使というのは、お聞きをした限りでは、統計はないということで実績がどうなっているのかよくわからないということですが、今いろいろなケースで実は私どもも国会の委員会で、非常に大きな問題が起こった場合、明らかに責任があるのではないかと思われる当該役所の方々には、やはりそれなりの責任をとってもらうべきではないかということを国会でも申し上げております。  ただ、今の仕組みでは、本当にそこにどのぐらいの責任があるのか、実際にどういう行動が行われたのかというのがわかるケースとわからないケースもあるわけですから、ぜひ、今おっしゃった九条の二と三を実施していただくためにも、こういった実際的な責任が明確になるような政策決定過程などの透明化が必要だということの御理解をいただきたいとお願いを申し上げて、次のテーマに入らせていただきたいと思います。  労働基本権の問題に入らせていただきたいと思います。  これも遠藤議員だったと思いますが、労使関係は透明化が必要だというお話がありました。全く同感でありまして、ある意味では誤った形でとあえて言えば申し上げられるかもしれません、公共のという特別性の中でさまざまな労使関係、これは、結果がこうなった以上は、労にも使にも両方に責任があるというふうに私は思っています。社保庁の問題にしても、要求をした労にも問題があるし、それをずっと認め続けていた使にも問題がある、両方に問題があったということになると思いますが、そういったものがずっと残ってしまうガバナンスということにも、やはり基本的に大きな問題があると言わざるを得ないというふうに思います。  その意味で、これも先ほどお話がありましたが、専門調査会では、目指すべき方向として、自律した労使関係の確立を目指すというふうに書いてあるんですが、この法律の中では、実はそういった方向性というのが見えない内容になっています。第十二条だと思いますが、これの目指す方向性は、専門調査会で言う自律した労使関係の確立、民間並みという方向でという理解でよろしいのでしょうか。
  203. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 専門調査会の報告では、一定の非現業職員について、協約締結権を新たに付与するとともに第三者機関、人事院などでございますが、これの勧告制度を廃止して、政府、すなわち使用者が主体的に勤務条件を考え、職員の意見を聞いて決定できる機動的かつ柔軟なシステムを確立すべきであるといたしております。  一方において、改革に伴うコスト等に十分留意しつつ、慎重に決断する必要があること、改革の全体像を国民に提示して、その理解を得ることが必要不可欠であることも報告書の中で規定されているわけでございます。  今回の基本法案では、このような専門調査会の報告の趣旨を踏まえ、協約締結権を付与する職員の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示してその理解を得ることが必要不可欠であることを勘案して検討するとしたものであります。  すなわち、協約締結権を付与する職員を拡大した場合にどのような便益及び費用が想定されるか、それが国民の理解を得られるかという観点から検討を行うものでございます。
  204. 松本剛明

    松本(剛)委員 ごらんになったのであろうと思いますが、専門調査会の報告書というのは、今お読みをいただいた部分というのは、専門調査会の報告書の二ページ目のところになると思います。「労使関係の自律性の確立」という項だと思うんです。  今おっしゃったのは第二段落以降の話で、まず第一段落のところで、目指すべきは自律した労使関係を確立することだという趣旨のことが書いてあるんですが、その第一段落に当たる表現がこの法律ではなくなっているんです。それによって方向性がわからなくなっているところが実はいろいろな解釈を呼んでいるのではないかと思いますが、この第一段落の部分というのを改めて確認をさせていただきたいということで質問させていただきました。
  205. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 第一段落においては、「現行のシステムは、非現業職員について、その協約締結権を制約し、一方で使用者を、基本権制約の代償措置である第三者機関の勧告により拘束する。このように労使双方の権限を制約するシステムでは、労使による自律的な決定は望めない。」こういう報告書の書きぶりでございます。  この認識に従って報告書の以下の文章が書かれているわけでございまして、その報告書を土台に今回の基本法の中で規定をさせていただいたところでございます。
  206. 松本剛明

    松本(剛)委員 実は、第一段落でまだ大臣がお読みにならなかった一番最初の一行目、二行目に、「責任ある労使関係を構築するためには、透明性の高い労使間の交渉に基づき、労使が自律的に勤務条件を決定するシステムへの変革を行わなければならない。しかし、」の後を今お読みいただいたわけですが、その部分の、いわば理念といったものをやはりこの法律の中にも盛り込むべきではないかということを私どもとしては申し上げているのであります。  特に、これは大臣よりもむしろ御担当にお聞きをした方がいいのかもしれませんが、この法律で第二条のところで、基本理念がずっと一から七まであるんですが、私が理解をする限り、ある意味では、これは五条からずっと一条ずつほぼ一対一対応をしているのではないかと思うんですが、第十二条の、一番最後の労働基本権に関する部分だけ、実は基本理念のところに記載がないんですよね。  これは、もちろん制度懇でもこの七つのことが書いてあるんですが、制度懇では、労働基本権についてだけは専門調査会で別に議論をしたので、別の項で制度懇の中には答えが、「専門調査会の報告を尊重する。」というふうに書いてあるわけです。この法律はそれを両方あわせたものでなければいけないわけですから、この第二条の「基本理念」のところに、第十二条の今申し上げたような、透明な、そして自律した労使関係の確立というのがやはり基本理念として入ってくるべきではないかというふうに御提言を申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  207. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 大変貴重な御提言として承らせていただきます。
  208. 松本剛明

    松本(剛)委員 大臣ですから率直に一度お聞きをしたいと思いますが、貴重な提言の行方はどこへ行くんでしょうか。
  209. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 ぜひこの国会においてこの法案成立されるべく、我々も真摯に取り組んでまいりたいと考えます。
  210. 松本剛明

    松本(剛)委員 労働基本権については、私どもも私どもなりに申し上げてきたことがたくさんあるわけですけれども、今回は、その意味では、政府の専門調査会の方でお考えになったことというのも、いろいろな現状を踏まえての御提言だろうということで、我々としても真摯にこの提言についての評価をさせていただいて、また具体的に提言をさせていただいています。  その意味で、先ほども御引用がありましたけれども、今度は法律でお話がありました。一つは、労働基本権の費用と便益。確かに、専門調査会の報告でも、コストとメリットというような話が書いてあります。  しかし、実は非常に大きな点は、専門調査会は、先ほど申し上げたような方向性が出ていますし、協約締結権を付与する、そのためのコスト、ある意味では、公務なり官というものが労働協約締結権を持つことによってどういうふうに財政的に、もしくは国民に対してマイナスがあるのか、それをできるだけ少なくしなければいけないという意味でこれを使っておられるんですが、今回のこの法律の費用と便益を読むと、私も予算委員会に所属をしておりましたが、まさに道路でやってきたBバイCの言葉そのもので、一対一なり一・何倍かわかりませんけれども、今の政府基準で申し上げれば一倍かもしれません。大きければやるし、少なければやらないといったような趣旨に読めるんです。  まず、この費用と便益というのは、どういうことをイメージしてこういう言葉を使っておられるんでしょうか。私どもは、労働基本権という言葉にはちょっとなじまない言葉ではないかと率直に言えば思っておりますが、いかがでしょうか。
  211. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 この費用と便益という言葉は、金銭換算できるものに限定したものではないと思います。できるだけ広く改革の影響を把握し、わかりやすく国民にお示しできるよう、基本法成立後にこの費用、便益について具体的に検討をしていくことが大事であるかと考えます。
  212. 松本剛明

    松本(剛)委員 少し繰り返しになるところがありますが、専門調査会の報告書は、先ほど申し上げたように、自律した労使関係の確立が必要である、そして、協約締結権を付与するとともに、こう書いてあって、その上でコストとメリットということで、国民の理解が得られないので準備をしろということであります。慎重に決断をする必要があるということであります。  今回の十二条というのは、読む限り、全部を検討するように読めるんですが、この十二条の趣旨は、専門調査会の報告書のように、協約締結権を付与する、その方向で検討するという内容だという理解でよろしいんでしょうか。
  213. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法案では、専門調査会の報告の趣旨を踏まえ規定をしているところでございます。  協約締結権を付与する職員を拡大した場合にどのような便益及び費用が想定されるか、それが国民の理解を得られるかという観点から検討を行うものであります。
  214. 松本剛明

    松本(剛)委員 少しお伺いの仕方を変えます。  この条文に対して、評価として、専門調査会から後退をしたのではないかといったような評価をされる方々が、これは労使関係者のみならずある。大臣の本意として、そういったものではないという理解、大臣のお考えなのかどうかというのをまずお聞きをさせていただきたいと思います。
  215. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 そのような評価があることは私も承知をいたしております。私の思いとしては、専門調査会の答申を尊重していきたいと考えております。
  216. 松本剛明

    松本(剛)委員 大臣の思いとお気持ちは私も受けとめますが、そうではなくて、所管の大臣として、この法律の解釈として、大臣としてそういうふうに解釈をする、この専門調査会の趣旨にかなったものであるという解釈でいいということかどうかを確認させていただきたいと思います。
  217. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 専門調査会の報告書の文言よりも後退しているではないかという評価があるのは私も聞いております。このような文言にしませんと国会に提出できなかったという現実もあわせて報告をさせていただきます。
  218. 松本剛明

    松本(剛)委員 どこまでお聞きをしていいのかわかりませんが、国会に提出するためにはたくさんのステップが現行システムではあるというふうに承知をしておりまして、どこでどういうことになったのかあれですが、そうすると、国会に出すためにこういう表現になったということは、後退をしていると受け取られてもやむを得ないところがあるということになってしまうんですが、そういうことになってしまうんですね。
  219. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 後退をしているという評価があることはよく承知をいたしております。私の思いとしては、専門調査会の答申を尊重する思いを込めたつもりでございます。
  220. 松本剛明

    松本(剛)委員 こうやって法案審議を国会でさせていただいているのも、やはり立法者の解釈というのは今後の運用に当たっても非常に大きなウエートを占めてくるわけでありますから、ある意味では、十分に部内でも御検討をいただいて、この法律のこの条文をこういうふうに解釈するんだということを確定していただくことによって解決できる問題もあるし、この条文のこの文言である以上は、やはり我々、申し上げていることとは、例えば変えていただかないと意見が合わないということもあるかもしれません。大臣の思いも酌み取らせていただきますが、この条文でどうなんだということもお聞きをしていかなければいけないところがあるということを申し上げたいと思います。  もう一つ、実は、この専門調査会の、年数も長いと思いますが、四条だったかな、改革は、法制上の措置は三年でその他のことは五年というふうに書いてあります。十二条と四条の関係というのはどうなっているという理解でいいんでしょうか。
  221. 株丹達也

    株丹政府参考人 四条と十二条の関係についてのお尋ねでございます。  四条の中には、今御指摘ございましたように、改革を行う、必要な措置については法律の施行後五年以内を目途、それから必要となる法制上の措置、これは三年以内を目途というふうに書かれてございます。  十二条で労働基本権、とりわけ協約締結権についての検討というものでございますけれども、これは前段の部分法律の施行後五年以内を目途として講ずる必要な措置部分の中でございますので、検討について、この年限内にやらなければいけないという解釈でございます。
  222. 松本剛明

    松本(剛)委員 文言上はそうなのかもしれませんが、そうしますと、一つ確認をしたいんですが、これを検討した結果、労働協約締結権を付与するとなると、法律改正が必要ですよね。そうですね。  だとすると、この法の趣旨からすれば、必要な法律改正を三年以内に行うということからすると、もちろんここに書いてあることは検討ですけれども、あるべき姿としてはむしろ、やはり三年後には法律もできて次のステップへ行く。スピーディーにやらなければいけないという時期ですから、ということから考えると、この検討は、やはり一年ないし二年ぐらいで結論を出していただくべきではないかと思いますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  223. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 専門調査会のミッションが終了いたしておりますので、この基本法が成立をいたしましたら、速やかに次のステージでの検討が始まるべきものと考えます。
  224. 松本剛明

    松本(剛)委員 本会議では総理も、五年を前提とするわけではないといった趣旨の御答弁がありました。その言葉を聞く限りは、五年より短いというふうに読めると思いますが、上限が五年であったとしても、むしろ、もうちょっと、意思としてどのぐらいでやるのかということはぜひここでお示しをいただかないと、五年というのは相当長いと思いますよ。きょうここにおられる方でも、五年前国会議員ではなかった方はたくさんおられると思うんですね。五年もたてばそれだけ変わってくるわけですから。  特に、検討するのであればどのくらいのタームでやるのかといったら、やはり一年、二年というのが一つの期限だというふうに思いますが、ぜひ御検討をいただきたいということも申し上げておきたいと思います。いいですか、お願いをさせていただきますが。  それでは、間もなく時間になります。最後に、天下りについてお聞きをさせていただきたいと思います。  昨年も措置をおとりになられてきたわけではありますが、私どもとしては、これは非常に根深いものがあるということで、さらなる措置が必要ではないかということを申し上げてまいりました。何点かありますが、一点だけ、今、まずお聞きをします。  関連をして、やはり定年等の問題、それから早期退職勧奨との関係の問題というのがあると思います。早期退職勧奨の廃止と定年の延長といったものを私どもはセットで行うべきではないかというふうに提言をさせていただいていますが、この点について、今後取り組みをどうされるおつもりか、伺いたいと思います。
  225. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法案では、定年まで勤務できる環境の整備、定年の引き上げや役職定年制の検討などにも取り組むべき旨を定めております。  これらの制度的な改革に加えて、昨年行っていただきました国家公務員法等改正法における能力・実績主義の導入によって年次主義が打破されてまいります。年功序列人事がなくなり、今回の基本法案の一元管理による各省割拠主義の打破が行われることによって、天下りの背景となっている構造的な問題が解決されていくものと考えます。こうした方策によって天下りを根絶していくというのがこの法案の背景にある理念でございます。
  226. 松本剛明

    松本(剛)委員 おっしゃったように、能力・実績主義を徹底していけば、早期退職勧奨といった発想は年次からきているわけですからなくなるというふうに思いますが、やはりこれも、廃止をするということをむしろ打ち出されるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  227. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 従来型の勧奨退職慣行はこれらの改革によってなくなっていくものと考えます。一方、簡素で効率的な政府をつくるという観点からもこの問題は考えていく必要があろうかと思います。
  228. 松本剛明

    松本(剛)委員 私どもも、別に、費用がたくさんかかるようなことをしたいとは思っておりませんが、今、現実には、この天下りの問題とか定年、早期退職勧奨の廃止とか、昨年も提言もさせていただきました。我々もいろいろ検討いたしましたが、この天下りにかかっているコストというのはどう考えても膨大なんです。  ですから、全体を考えた場合に、雇用という問題も考えれば、どこが一番むしろ国民の負担が少なくて済むのか。率直に申し上げれは、大臣もかかわっておられましたけれども、独法なりも含めて、公務員の定数を減らしたんだ、減らしたんだといっても、公務員を非公務員にしても、結局、その給与の面倒を税金で見ているのであれば変わらないわけですよね。  ですから、全体としての国民の負担を減らすためにどうしたらいいのかということで、私どもは、今申し上げたように、早期退職勧奨も含めてなくしていくことで天下りを根絶すべきだということを御提言申し上げていることをぜひ御銘記いただくようお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  229. 中野清

    中野委員長 次に、塩川鉄也君。
  230. 塩川鉄也

    塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。  きょうは、法案につきまして、本会議でも指摘をした点ですが、官民人材交流に関連して官民癒着問題について質問したいと思います。  この間の防衛事務次官と防衛産業、防衛企業との癒着の問題ですとか、あるいは薬害をめぐる製薬企業と厚生官僚との癒着の問題など、官民癒着に対する国民の疑念というのはますます高まってきているところです。この点について、過日の本会議の私の質問に福田総理は、「もとより、交流が官民癒着との疑念を抱かれることなく、国民の信頼を得られるよう進めていくべきことは当然であります。」と述べておられます。  そこで、大臣にお伺いをいたしますが、こうした官民癒着の疑念を抱かれないようにすることが公務員制度改革の柱の一つだと考えておりますが、大臣はどのように御認識でしょうか。
  231. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 昨年の国家公務員法等改正におきまして、まさに官と民の不適切な関係を絶つことから、退職公務員の現職に対する口きき規制等の行為規制を導入したところでございます。場合によっては刑事罰も科されるという大変厳しい内容になっておりまして、こうしたことが定着をしていくことによって官民のアブノーマルな癒着関係は根絶されていくべきものと考えます。     〔委員長退席、岡下委員長代理着席〕
  232. 塩川鉄也

    塩川委員 今回の法案においても、官民癒着の疑念を招かないようにするということが改革の柱としてうたわれるべき趣旨だと思っておりますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  233. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 昨年の法改正においてこの点の手当てを行ってきたわけでございます。さらに、昨年の法改正でも議論をしたところでございますが、官民癒着の是正と同時に、官と民の人材の交流というものは進めていくべきであるというのが私どもの基本的な立場でございます。まさに、癒着を排しながら官民の人材交流を活発にしていくことが求められるものと考えます。
  234. 塩川鉄也

    塩川委員 その官民人材交流に当たって、当然、透明性の確保とかそういうしかるべき措置をとるということが求められております。その点は法案でもうたわれておりますが、そういう趣旨で透明性の確保を図るということだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  235. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 経済社会情勢の変化に迅速的確に対応した行政を進めていくためには、官と民がお互いの知識経験を生かせるよう、人事交流を抜本的に拡大していく必要がございます。特に、社会経済情勢の変化に対応して政策の企画立案能力を高めるため、民間の専門能力を持った人材を行政に受け入れることは極めて重要でございます。  このような観点から、国家公務員制度改革基本法案においては、官民の人材の流動性を高めるため、現行の制度を抜本的に見直すことを定めているものでございます。
  236. 塩川鉄也

    塩川委員 ですから、そういう流動性を高める上でも、透明性の確保を確立することが重要だと考えますが、大臣はいかがですか。
  237. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 現在の官民人事交流法における交流手続については、人事院による公募、民間企業の応募、各府省による計画の作成、人事院による計画認定といった手続を経て交流派遣または交流採用が行われております。  手続の簡素化については、交流制限に伴う対象確認作業等の手続の煩雑さが指摘をされ、企業側の負担感も大きいことから、これらの手続について、より簡素化する方向での見直しが想定されているところでございます。  交流対象の拡大については、現在民間企業に限られている交流対象自体を大学法人公益法人などまで広げる方向での見直しが想定されるところでございます。  今回の基本法案改革の理念、基本方針等を定めることを目的としており、具体的な内容については基本法案成立後、検討を進めることになるわけでございます。
  238. 塩川鉄也

    塩川委員 官民の人材交流について、七条の点で、手続の簡素化及び対象の拡大を行うという点で大臣の御答弁がありました。民間の負担軽減のための手続の簡素化の問題についてはまた後で御質問しようと思いますが、その七条で今、対応をとる前提として「透明性を確保しつつ、」とうたっているわけでありますから、そういう立場で当然この法案は臨んでおられるということだろうと思います。  そこで、現行の官民交流の制度について人事院に伺います。  民から官に人が移る、こういう交流がどのような制度で行われているのか、その点について最初に伺います。
  239. 尾西雅博

    尾西政府参考人 官民交流に関しまして、民間からの採用方法といたしまして現在ございますのは、まず、国と民間企業との間の人事交流に関する法律、いわゆる官民人事交流法でございますが、これに基づく交流採用、それから、一般職の任期付職員採用及び給与の特例に関する法律、いわゆる任期付職員法に基づく任期つき採用、そして、国家公務員法に基づきます選考採用、それから非常勤職員としての採用という四種類がございます。
  240. 塩川鉄也

    塩川委員 その四種類の中で、民から官に来てまた民に戻るということを前提としているのは、このうちのどの制度でしょうか。
  241. 尾西雅博

    尾西政府参考人 制度的に、民から官に来てまた民に戻るということを予定しているのは、最初に申し上げました官民人事交流法でございます。
  242. 塩川鉄也

    塩川委員 ほかの制度は同一企業に戻ることを前提としておりませんが、官民人事交流法は同一企業に戻ることを前提として制度がつくられております。こうした交流は官民癒着の疑念が生じるわけで、官民交流法はその疑念が生じないような規制をとっておると思います。  官民人事交流法において官民癒着の疑念が生じないようにどのような規制が行われているのかについて、簡単に御説明ください。
  243. 尾西雅博

    尾西政府参考人 官民人事交流法におきましては、公務の公正性の確保という観点から、官民癒着といった疑念が生じないように、まず、法律及び人事院規則で交流基準を設けるなどの措置を講じております。具体的には、採用に当たりまして、交流元企業に対する許認可等を行うポストにはつけない、あるいは同一の企業との継続的な人事交流は制限する、そういう措置を講じております。また、当然のことながら、交流採用者には国家公務員法に基づく守秘義務が課せられるということでございます。  さらに、先ほど大臣からも話がありましたけれども、募集に当たりましては、私ども人事院が民間企業の公募を行いまして、その上で、公募に応じた企業と交流先の国の機関との間で採用の計画を作成して、それについて私ども人事院が認定し、その上で採用する、そういう手続をとって透明性も確保しておるということでございます。     〔岡下委員長代理退席、委員長着席〕
  244. 塩川鉄也

    塩川委員 今お答えになった中で、許認可権限のある府省との間ですとか国と契約関係のある民間企業との間の交流制限、また、同一の民間企業との継続的な人事交流に関する制限、この二点が交流基準などを念頭に具体化されておるわけですけれども、こういった制限を設けている趣旨がどういうところにあるのかについて、改めて。二つの角度、官職の制限の部分もそうですし、あと同一企業との継続的な人事交流を制限している、それぞれどういう理由で設けられているのかについて、もう一回お願いできますか。
  245. 尾西雅博

    尾西政府参考人 官民交流といいますのは、公務の活性化といったために推進が必要ではあるわけですけれども、一方で、官と民との癒着という疑念が生じないように、公務の公正性をしっかりと確保しておく、そしてそういう疑念を持たれないようにといった趣旨から、やはり企業の所管関係等についてはしっかりと目を配っていく、あるいは同じ企業との間で何回も何回も続くということがないようにしていく、そういうことであろうと思います。
  246. 塩川鉄也

    塩川委員 こういった規制というのは官民人事交流法にあるわけですけれども、先ほど挙げていただきましたその他の人事交流の制度、任期付職員法ですとか国公法に基づく選考採用ですとか、非常勤職員もそうですけれども、今答弁いただいた規制は、官民人事交流法以外のその他の制度にはあるんでしょうか。
  247. 尾西雅博

    尾西政府参考人 先ほど申し上げましたその他の仕組みにおきまして、どういった措置があるかということでございます。  まず、任期付職員法と国家公務員法に基づきます選考採用の場合でございますけれども、こういった場合は、もちろん国家公務員としての守秘義務が課せられているほか、現在のところですと、他の一般職員と同様に、国家公務員法百三条に基づきます営利企業への再就職の制限というのがかかわってくるというのが一点でございます。  それからまた、こういった任期つき任用ですとか選考採用の場合も、募集に当たりましては、特段の事情がない限りは公募等によって幅広く人材を求めるということを各府省に要請しておるところでございます。  また、非常勤職員につきましても、国家公務員法に基づく守秘義務が課せられておりますほか、募集に当たっては原則として公募によるということを各府省に求めておるということでございます。
  248. 塩川鉄也

    塩川委員 許認可権限のある府省との間の民間企業の交流制限、許認可権限のある役所の方には行けませんよ、あるいは同一の民間企業について継続的な人事交流はだめですよといったような規定は、ほかの制度にはあるんでしょうか。
  249. 尾西雅博

    尾西政府参考人 基本的に、戻るということを前提にしているわけではないので、若干官民交流の場合とは違いますけれども、例えば任期つき職員の場合でありますと、営利企業に採用されている人にこちらへ来てもらった場合には、配置ですとか従事する業務について配慮をしてもらう、あるいは同一の営利企業から継続的に来ることがないようにということで、それは各府省さんにお願いしているところでございます。
  250. 塩川鉄也

    塩川委員 今お話のあるように、官民人事交流法と同様の制限がすべての制度に並びであるわけではありません。そういう点でも、今お話しになったように、戻ることを前提としていないほかの制度では対応が違っているというのが実情であるわけです。そこで、ほかの制度とは違って官民交流法は民間企業から来た人が再びもとに戻ることを前提としていますから、その対応が十分かどうかというのは置いておいても、癒着の疑念が生じないようにするためのさまざまな規制を設けているわけです。  そこで、具体的な事例でお聞きしますけれども、本会議質問でも紹介をしました原子力安全委員会の規制調査官の点であります。  原子力安全委員会事務局の規制調査課に、規制調査官として二〇〇三年四月から、三菱重工業、三菱電機、日立製作所から任期付職員法で受け入れております。この方たちは任期が終了して出身企業に戻られたと思いますけれども、確認させてください。
  251. 袴着実

    ○袴着政府参考人 先生御指摘のとおり、原子力安全委員会事務局規制調査官として、民間企業出身の任期つき職員平成十五年四月以降採用しており、そのうち、現在在籍しているのは三名でございます。  以前在籍した方は、また出身元の企業に戻っておられます。
  252. 塩川鉄也

    塩川委員 二〇〇三年に来られた方は、二〇〇六年に出身企業に戻られております。二〇〇六年にその後任という形で、任期を引き継ぐような形で、やはり別な方でしょう、いずれにせよ、先ほど紹介しました三菱重工業、三菱電機、日立製作所から任期付職員法で同じ規制調査官のポストに入っております。  この方たちの任期が終了しましたら、出身企業に帰る予定になっているのではありませんか。
  253. 袴着実

    ○袴着政府参考人 現在在籍しています三名の方々が任期が終了した後にどうされるかは、個別具体的には承知しておりませんが、基本的には戻られるものではないかというふうに考えております。
  254. 塩川鉄也

    塩川委員 事実上の人事交流といいますか、特定の企業から受け入れて、帰って、また同じ企業からいらっしゃると。  この人事交流の場合には、官民癒着の疑念を抱かれないように、先ほどの官民人事交流法などでのさまざまな規制はもとより、透明性の観点からも交流先企業は公募となっていると承知をしておりますが、これらの民間企業から任期付職員法で採用した方たちは公募で採用されておられるんでしょうか。
  255. 袴着実

    ○袴着政府参考人 これらの職員につきましては、これまで、企業から推薦を受けまして、人事院の承認を得まして、業務に必要な専門的知識あるいは実務経験の観点から選考の上、採用しております。これまで公募はしておりませんが、二十年度からは公募することとしております。
  256. 塩川鉄也

    塩川委員 これまで特定企業からの推薦で受け入れていたわけです。  任期付職員法は、先ほど確認しましたように、出身企業に復帰することを前提としておりません。そういう点で官民人事交流法とは違う規制になっているわけです。  事実上の官民交流人事をしながら、官民交流法の規制を逃れて、いわば任期付職員法で実質的な官民交流を継続するというのは、実態として脱法行為なのではないのかと率直に思いますが、しかるべく見解をお聞かせいただけますか。
  257. 袴着実

    ○袴着政府参考人 任期つき職員採用につきましては、任期付職員法に基づき、また、人事院の承認も得て進めているところでございますし、特に法令上問題があるというふうには思っておりません。
  258. 塩川鉄也

    塩川委員 いや、法令上もともと足りないものではないのかということを聞いているわけですけれども。  もともと原子力安全委員会というのは、規制官庁、保安院などに対する監視、監査などを行うわけですけれども、しかし、その規制官庁のもとには、電気事業者やあるいは原発のメーカーがあるわけですね。ですから、本来監督される立場の民間企業の人間が、その規制官庁を監視する立場の原子力安全委員会の事務局にいるということ自身に、やはり疑念が生じるんじゃないでしょうか。それで、特定のポストのように、特定の企業から行っては帰る、行っては帰るという形になっているという点でも、極めて官民癒着と言われるような実態というのがうかがえる。そういう点でも問われるものですし、そういう意味でも、同一企業との継続的な人事交流に関する制限が適用されないような脱法的な扱いは是正されなければならないと考えます。  民間企業から任期つき職員採用している場合に、原子力安全委員会事務局に限らず、内閣府の中でも、ほとんど出身企業に復帰、また復帰予定となっております。また、ほかの省庁でも同様の実態にあると承知をしております。こういったような脱法的な措置によって、法が求める透明性が確保できないような状態が政府全体に蔓延する可能性というものもあるわけで、そういう点でも現状が問われているわけですけれども、その上に、今回の法案でさらなる官民人事交流を拡大するということが先ほど大臣の御答弁でもありました。  そこで、大臣に伺いますが、官民人事交流法の人事交流の定義に基づいての具体化が行われるわけですけれども、官から民に行くという点での目的というのはお話のあったとおりだと思いますけれども、営利を目的とする民間企業が官の方に来る、民から官ですね、そういう場合の官民人事交流を行う利益、メリット、それは民間企業にとってはどういうものなんでしょうか。
  259. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 官民の交流は、国と民間企業の双方にとって、人材育成、活用、組織運営活性化や相互理解の促進等につながるものであると考えております。また、官民の交流によって、この国の進むべき方向性について官民で共通の認識が持てるようになるということは、まさしく、国のみならず民間企業においても有意義であると考えます。  なお、官民の人事交流が官民癒着との疑念を抱かれることのないよう、公務の中立性、公正性には十分留意すべきと考えております。
  260. 塩川鉄也

    塩川委員 総務省に官民人事交流推進会議というのがございまして、昨年から三回ほどにわたって審議を行ってきていると承知をしております。  その中でも紹介されております総務省の人事・恩給局の委託研究「民間企業等における官民人事交流に対する意識に関する調査研究」の報告書、昨年、平成十九年の三月ということで出されている報告書がありますけれども、この報告書というのは、「本調査研究の主眼は、官民人事交流の相手方である「民」側の真意・本音を可能な限り如実に引き出すこと、」民間企業の官民交流についての本音を聞き出すということを目的にしている調査なんだということをうたっております。  その中で、具体的に民間側の官民人事交流のメリットについて指摘をしております。「民側の能動的な働きかけによる民から官への派遣を通じて、民側が得たいと考えているメリットを整理すると以下の三通りが考えられる。」といって、一つが「派遣する社員の人材育成」、二つが「官庁等との人脈・ネットワーク形成」、これなどは先ほど大臣がおっしゃったことだと思いますけれども、同時に三つ目に、「新たなビジネス機会の創出」とうたっているわけですね。つまり、ビジネス機会の創出というのが直接的なメリットとなるんだということをここでは民側の本音として紹介をしているわけです。  ですから、官民人事交流を推進するとした場合に、民間企業が人事交流で官に人材を出すときに、その人材が官の中で出身企業の新たなビジネス機会の創出のために業務を行うとすれば、官民癒着そのものじゃないのか。官民人材の交流を推進する、拡大するといった場合に、こういった疑念が、民のメリットを尊重した方向で進められれば当然官民癒着の疑念というのが拡大するんじゃないでしょうか。「民間企業その他の法人の意向を適切に把握した上で、」と第七条にもうたわれているとおり、官民人材交流というのは官民癒着の疑念をさらに拡大するということになるのではありませんか、大臣
  261. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 官民の人事交流というのは、まさに官民共通のこの国の進むべき方向性についての認識が持てるようになります。国のみならず民間企業においても極めて有意義なことと考えます。  この人事交流が官民癒着との疑念を抱かれることのないような公務の中立性、公正性には、今後とも十分留意すべきと考えております。
  262. 塩川鉄也

    塩川委員 いや、そのようにおっしゃっても、要するに本音ベースでいったら、やはり官民人材交流といえば新たなビジネス機会の創出というのが大きな目的、ねらいなんだということを願っているということがここに示されているわけです。そういう点でも癒着防止の規定の強化こそ必要なわけですけれども、今回の法案ではその点はどうなっているのかを伺いたいと思います。  法案では、この官民人材交流について七条で、「その透明性を確保しつつ、手続の簡素化及び対象の拡大等を行うこと。」とありますけれども、この手続の簡素化、対象の拡大、先ほど大臣から少し先行して御答弁をいただきましたが、改めて確認でお答えいただけますか。
  263. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 基本法の七条一号におきましては、手続の簡素化について、交流制限に伴う対象確認作業等の手続の煩雑さが指摘をされています。企業側の負担感も大きいことから、これらの手続について、より簡素化する方向での見直しが想定されるところであります。  また、交流対象の拡大については、現在民間企業に限られている交流対象自体を大学法人公益法人などまで広げる方向での見直しが想定されるところであります。
  264. 塩川鉄也

    塩川委員 手続の簡素化ということで、交流制限作業の簡素化という点では交流基準の見直しということになるわけです。先ほど御紹介しました官民人事交流推進会議の第二回の会合で出されている資料に、「官民人事交流に関する各省からの意見等」ということで、どうやったら官民人事交流が進むのかということについて、ここで書かれております。  要するに、進まないのをどうしたらいいのかというのについて、「交流基準の見直し等」ということで、「連続交流制限の緩和」「派遣先企業の不利益処分等による交流制限の緩和」、行政処分を行ったような場合についてはストップよというのについて、ちょっとその辺を緩和してくれとかいう話ですし、「所管関係の規制は事後行為規制とする」ということで、事前規制を事後チェックに切りかえましょうという話ですとか、「交流先の業務制限の緩和」などもうたわれています。  ということは、今大臣がお話しになった手続の簡素化は、ここで挙げられているような緩和措置を行うということでよろしいんでしょうか。
  265. 渡辺喜美

    渡辺国務大臣 今回の基本法案は、改革の理念、基本方針等を定めることを目的といたしております。具体的な内容については、基本法にのっとって検討をしてまいります。  人事交流については、その透明性を確保しつつ、手続の簡素化及び対象の拡大等を行うことになるわけでございます。
  266. 塩川鉄也

    塩川委員 否定もされませんでしたし、官民癒着防止の規定が見直しの対象となることは明らかです。  この委託研究の報告書では、民間企業の意見として、官民交流と官民癒着は境界が不明確だということなども述べています。いわば官民交流と官民癒着は紙一重なわけで、癒着防止の制限を規制緩和するのでは、さらに官民癒着を拡大するのではないかという懸念を申し上げて、きょうの質問を終わります。  ありがとうございました。
  267. 中野清

    中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時一分散会