○市村
委員 では、まず大きな役割というところから私は議論をさせていただきたいと思います。
この
委員会でも、私は再三、現状を申し上げさせていただいていると思います。もちろん特定非営利
活動法人が
意味がないということを言っているつもりはありませんが、もう制度も十年たってきまして、現状を見ると、例えば、
調査報告とかも出ていますけれども、
平成十七年度における市民
活動団体
基本調査ということで、特定非営利
活動法人の運営上の課題ということで、やはり一番大きな悩みは、
活動資金が不足している、実に七割を超える団体がそういうふうに言っているわけですね。それから、スタッフ数が不足している、五二・四%。こういうことで、結局お金と人がいない。これは組織にとって致命的な問題であるわけでありまして、これが三年前の
調査ということでありますが、既に三年前でこういう
状況である。
では、それがこの三年間、好転しているかというと、好転どころか逆にもっと悪化しているというふうに私は
認識を持っております。というのも、例えば、介護保険に基づいて介護
活動をやっている団体というのが特定非営利
活動法人にはかなり多いわけでありますけれども、この三年間を見ますと、介護保険に対する大きな改革もありました。そうなると、もう撤退せざるを得ない、もう
活動できない、こうした悲鳴を上げていらっしゃる団体も大変多いわけであります。だから私は、この三年間、恐らく
状況は悪化しているだろうと思っています。
ですから、大きな役割を果たしているという部分が、どの団体がどう大きな役割を果たしているのかということが、実はまだ漠とした議論だろうと思うんですね。次の数の問題にもかかわってくるんですが、三万三千もあるからそれは大きな役割を果たしているんだろう、そういうふうにもちろん想像できなくもありません。三万三千もあれば、いろいろな団体があって、それは活躍してくれているんだろうと。
それはもちろん、この制度を利用して、かなり制度的には不十分ながら一生懸命頑張っている団体もあるわけです。しかしこれは、特定非営利
活動法人制度があるから頑張れているんじゃなくて、そもそもどういう制度
状況であろうと、志高い人が、ない中で何とかいろいろな知恵を絞りながらやっているというのが現状なんですね。これは実は特定非営利
活動法人制度が導入される前も同じような
状況だったんです。
しかし、それではいけないと。そうやって社会のために一生懸命やってくださっている方
たちがいて、組織的にやっている。一、二年ぐらいはみんながお金を出し合って、よし、やろうよとやっていても、だんだんだんだん疲弊していくわけですね。だから、こういう
状況をもっと支えるような基盤となる制度をつくらなくちゃいけないというのが、このNPOの議論なんですね。それで
一定の形として特定非営利
活動法人というものができたんですけれども、やはりさっきから申し上げているように、大きな役割を果たしているということについては私は疑問だと。
もちろんそういうお志を持ってやっていらっしゃる方も多いと私は思いますが、客観的に見た場合、なかなか、これもこの
委員会で申し上げましたが、立ち枯れ状態になっているんじゃないかな、こう思わざるを得ないんですね。
二番目の数の問題についても、数が三万三千あるからこれはなかなか変えられないのだという話かもしれませんが、例えば公益法人も、今は二万六千ぐらいなんでしょうか、かつては二万七千、八千ありましたが、これだけの数があっても今回は変えられるわけですね。つまり、数が問題じゃないわけです。数が大きかろうが、とにかく今の制度に問題があるからしっかり改めていこうということで、公益法人、民法法人の改革もしているわけですね。だから、数が多いから変えられないんだという話ではないと私は思うんです。
だから、大きな役割を果たしているからという点についても疑問でありますし、数が多いからといって変えられないのであれば、公益法人も二万七千もあったら変えられないというロジックになっていなくちゃいけなかったんですけれども、今回、私は大変評価していますが、変えるわけです、民法三十四条を削除するわけです。大変、大改革をしているわけです。そこまで踏み切ったのであれば、今この特定非営利
活動法人の現状を見た場合、これでいいのかということを、これはやはり客観的にしっかりと見直していくべきだと私は思います。
それから、今度の、一般社団、一般財団は登記だ、特定非営利
活動法人は認証だということで、またこれも違うから特定非営利
活動法人は存置すべきだというような御意見かもしれません。しかし、前にも何回もこの場でも申し上げておりますが、そもそも特定非営利
活動法人を入れるときの議論、その前提となる議論においては、まさに今回
政府でお進めされているような、一般社団、一般財団のように、準則主義的に登記で法人格を取得する道を開きたいというのがみんなの要望だったんですね。これはぜひとも見てください、皆さんの要望はそうだったんです。だから今回、
政府はそこまで踏み切っているわけです。ということは、特定非営利
活動法人の皆さんにとってみれば、認証よりもこっちの方がいいと思うに決まっているんですね。あのときの議論はそうだったんです。
この間も申し上げたように、制度のことはほとんどみんな知りません。別に制度があるからやっているわけじゃなくて、何かやろうとしたときに、どの制度がいいかということで、たまたまこの特定非営利
活動法人という制度があったから利用しているという話であって、別に、制度があるから、それがとうといからという話ではないんですね。
今の言い方はちょっとわかりにくかったかもしれませんが、すなわち、例えば株式会社を起こす人が、株式会社の法律を見て、ああ、こんな美しい法律があるから私は株式会社をつくりましょうなんということは思わないわけです。特定非営利
活動法人制度は、どこかそういう、今申し上げたようなところがあるんです。法律があるね、いいね、だからつくろうか、本来そういうのはおかしいわけです。株式会社の法律が美しいからといって、それで株式会社をつくりましょうとは思わないんです。もっと違う、まずいいサービスを
消費者に提供して、喜んでもらって、もうけさせてもらって、株主にもそれを配当しましょうということでやっているわけでありまして、法律が美しいから、法律がいいから株式会社になりましょうという話じゃないんですね。特定非営利
活動法人については、実はそういうところがあるということなんです。
だから、何か制度論で、例えば認証だからいいとかなんとかというのはどうでもいい議論だと私は思っています。それよりも大切なのは、まさに
政府もおっしゃっているように、
大臣もおっしゃっているように、民間の公益
活動をどうやってこの
日本という国に花開かせるのかということが大きな目的だろうと思います。
それから、関係者の意見ということですが、これが私、不思議なんですね。私が聞いている関係者の意見は、少なくとも
政府がおっしゃっている関係者の意見とは全く違うと私は思っているんですね。一体どなたが何をおっしゃっているのかわからない。
私が特定非営利
活動法人の何人かの方に、実はこういう制度があってということで、今私がここで議論していることを
お話しするわけです。そうすると、それはそうであってほしいとおっしゃるわけですね。しかしと私が申し上げるわけです。どうも皆さんの代表とか称する
人たちがこれを外してくれと言っているそうなんですが、知っていますかと言ったら、そんなこと全然知りません、だれがそんなことを言っているんですかと、話がこうなるんですね。一体だれの意見をとって関係者の意見としているのか、私はこれもよくわからないんです。少なくとも私がお聞きしている御意見とは違うんです、これは。
だから、かつて小泉さんが人生いろいろとかおっしゃいましたけれども、いろいろ意見はあるんでしょう。しかし、いろいろ意見があったとしても、政治家というのは、いろいろ違う意見がありますが、それをしっかりと踏まえてこういう国会で議論して、しっかりと調整しながら一つの制度をつくり上げていくべきものだと私は思っています、霞が関の皆さんと協力しながら。
だから、もちろん意見を聞くことは大切なんですが、しかしそんな、三万三千団体全部の意見は聞けません。しかも、三万三千掛けるスタッフ数がいて、そうしたら何十万人という関係者が特定非営利
活動法人にはいるわけですね。これは全員に聞いていくわけにいきません。だから、いろいろな方にある程度の意見をお聞きして、集約して考えてみると、やはり、ああ、皆さんが求めているのはそうなんだなということに落ちつかざるを得ないんですね。
かつ、私の場合は、この特定非営利
活動法人を入れるときの制度に、ある種、
中心的にかかわった一人だと思っていますので、あのときの議論から考えると、先ほどから申し上げているように、まさに今回
政府が進めようとしているような制度というものを、あのときに私
たちは求めたんですね。だから、異存ないはずなんです。今、特定非営利
活動法人になっていらっしゃる方
たちも、そういういい制度があるならそっちに入りたいと思うはずなんですね、素直に考えれば。だから、何でそれを、いや、関係者の意見があるからというふうに排除されるのかわからないというところでありますが、岸田
大臣、御
見解をいただきたいと思います。