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安川参考人 全国webカウンセリング協議会の
安川です。よろしく
お願いします。
協議会の
活動としては、
全国を回りまして、
学校とか
保護者に、現在の
ネットいじめの問題とか、不登校の問題とかの講演を行っています。それから、
全国からの
電話であるとか
メールの
相談というのも受け付けています。
きょうは、いろいろな
相談の中でこれはまずいなと思ったケースをもとに
お話をさせてもらいます。
皆さんの手元に「
ネットいじめ対応アドバイザー」と書かれた黒い表紙のテキストがあるんですけれ
ども、その十二ページに「なりすまし
メール」と書かれているものがございます。これは字のとおりで、だれにでも成り済ますことが可能なんですね。
例えば、
自分がここにいる
皆さんの
メールアドレスを知っているとすると、
皆さんの
メールアドレスを使ってこの
携帯からだれにでも
メールを送ることができます。そうすると、この
携帯から送ったということは一切わからないんですね。その
メールアドレスを使われた人が送ったことになってしまうんですね。
これは、実は簡単です。この
携帯から
携帯の
裏技と検索をかけると、なりすまし
メールのページに行きます。そこから
無料で、普通に
メールを送るように
第三者の
メールアドレスを使って
メールを送ることができるんですね。
学校で、
クラスの中で、仲のいい
男の子と
女の子のカップルがいて、あいつら見ていたらむかつくよな、仲を裂いてやろうかなんて言って、
男の子の
メールアドレスを使って
女の子に、おまえ、うざい、きもいんだよ、おれはもうおまえの
メールアドレスも
電話番号も削除するから、あしたからは他人な、なんというふうに送ると、
女の子はもうその場で
メールアドレスも全部削除して、
連絡がとれなくなってしまうんですね。
女の子の
メールアドレスを使って
男の子にその逆の
内容を送るんですね。それは二人が全く知らない間にそういうことが行われてしまったんですね。翌日
学校に行くと、二人はもう口もきかなくなっているんです。簡単に二人の仲が裂かれてしまったんですね。
そのほかにでも、
サブアドというのを
子供たちはたくさん持っています。
大人たちは、大体
メールアドレスは一個、
携帯番号は一個だと思い込んでいるんですね。ところが、
サブアドを持っている子は、一人で二十個とか三十個も
メールアドレスを持っている子がいるんですね。
一つの
携帯でそんなにたくさん
メールアドレスを持てるんですよ。それで、その
メールアドレスを使って、また
クラスの中で気に食わない子に、おまえよくそんな顔で生きているなとか、もうおまえの顔も見たくないからさ、あしたから
学校に来るなよとか、おまえ、うざいんだよなんということを五分置きに送られたらどうですか。すべて全部違う
メールアドレスなんですね。
しかも、auから送っているのか、
ソフトバンクから送っているのか、ドコモから送っているのか、それすら全くわからないんです。全くの
匿名性があるものから送られてくると、
学校全体、
クラスの中がもうみんな信じられなくなってしまうんですね。
学校へ行って、おはようとか話しかけてくれる人を見ても、でも、ひょっとしたらこの人送っているのかななんて思ってしまうので、みんなを疑った目で見てしまうことがあるんですね。
ここの問題なんですけれ
ども、なりすまし
メールなんて受け取りたくないですよね、普通の人は。これは、
携帯電話の
会社すべてがなりすまし
メールの
拒否設定があるんですね。
ソフトバンクにしても、なりすまし
メールを受信する、拒否するという
設定項目があるんです。拒否するに設定しておけば、なりすまし
メールというのは届きません。これは違法にだれかの
メールアドレスを使って送っているものですよとわかるんですね。
ところが、問題は、その方法を知っている人がほとんどいないんです。
全国の講演会に行って、
学校の
先生方に、なりすまし
メールの受信拒否の方法を知っていますかと聞くと、三百人とかの会場でも、だれも手を挙げなかったところもあります。
子供たちに聞いても、なりすまし
メールの
拒否設定なんてあるのなんて言っているんですね。もちろん親もわかりません。せっかくこんないい方法があるのに使われていないということが問題なんですね。説明書のどこを読んでもその方法が書かれていないんですよ。講演会に参加した人が、初めてその設定方法がわかって設定して、なりすまし
メールを受け取らなくなっているんです。
サブアドレスというのも、
自分の
メールアドレスを使わないんですから、やはり悪いことに使われることというのは多いんですね。出会い系
サイトに登録するとき、大体
子供たちというのは
サブアドから登録しているんですね。先ほどのように、
自分の気に食わない子を陥れるときというのも
サブアドを使って
メールを送っているんです。
サブアドというのは、これは広告費で成り立っていますから、必ずURLがついてくるんですね。URLがついてくる
メールはすべて拒否するに設定しておけば、
サブアドからの
メールというのも届かなくなります。これで安心ですよ。
ネットいじめ、
メールでのいじめもそうなんですが、何が一番怖いかというと、
匿名性なんですね。これを設定することによって、本当の
自分の知っている相手からしか
メールは届かなくなるわけなんです。せっかくこうやって
子供を守る方法があるんだから、これをもっともっと本当は広めていかなければならないと思うんですね。
このテキストの十一ページに「チェーン
メール」というのが書かれているのがあります。これは以前からありましたが、最近の
相談を受けるチェーン
メールというのは、いじめというよりも犯罪だろうというようなチェーン
メールなんですね。
どのようなものかというと、裸の画像とかトイレの画像が送られてくるんです。どうやってそんな画像を撮影するのか。実は簡単なんですよ。この
携帯にカメラ機能があります。普通のカメラで撮ったものというのは現像というのがあるんですね。現像の
段階で卑わいなものとかというのは現像してもらえませんが、
携帯のカメラで撮った画像は現像がないんですよ。どんな画像でも撮り放題ですよ。それを簡単に
学校裏
サイトにアップもできます。チェーン
メールで流すことも簡単にできてしまうんですね。
クラスの中でちょっと浮いている子がトイレに行くと、グループをつくって後ろからくっついていくんですね。それで、男子トイレで用を足している両端に立つんですね。それで、
メールを打っているふりをして、横の人の下半身の画像、そのおしっこをしているところの画像をカチャッと撮るんです。ここでシャッター音というのがあります。それを消すために大人数で行っているんですね。流しのところでみんなでわいわいがやがや話しながら、水を流しながら笑ったり雑談したりするので、そのシャッター音は消されてしまいます。いつの間にかその下半身の画像を撮られているんですね。
また、トイレの個室に入っても、防犯のため上も下もかなりあいています。
携帯を入れて上から簡単に画像が撮れますよ。上を見ながらトイレをする人なんていませんから、知らない間にそのトイレの画像を撮られているんですね。
それを、これはだれだれのくそをしているところの画像だぞ、これが届いたら五時間以内に五人に転送しろよ、もしおまえのところでとまったら、おまえの同じ画像も撮っているからな、今度はおまえの画像を広めるよ、こんな言葉が書かれていると、
子供たちは怖いんですよ。
自分が一番見られたくない画像、そんなのがもし広まったら、
学校どころか、もう外にも出られないと思ってしまいます。
本来であれば、人の下半身の画像とかを転送するのはまずいことだとわかるはずなんですけれ
ども、精神
状態がもう不安定になっています。そういうときというのは、
携帯の
電話帳に登録している
メールアドレス、片っ端から五カ所に転送してしまうんですね。それで、転送された五人がさらに五人に転送するので、あっという間に、
学校全体どころか、もう
学校とは全く違う人のところにまでその画像が広まってしまうんですね。
何でこんなことが広まってしまうのか。簡単ですよ。
子供たちは
自分のところでとまったというのがばれたら怖いんです。これは大人の
責任でもあります。どこでとまったかなんということは絶対わからないんです。でも、それを教えてくれる人がいないんです。だから、怖いから広めてしまうんです。送られた
段階ではその人も被害者ですけれ
ども、送った
段階で共犯者になってしまうということまで
考えないんですね。教えられないからわからないんです。
また、チェーン
メールには転送先というのもあります。どこかに転送しなければ怖いというときは、チェーン
メールの転送先に全部転送してしまえばいいんですよ。
協議会でも実はチェーン
メールの転送先を十個用意しています。財団法人
日本データ通信協会の方でもチェーン
メールの転送先というのは用意しています。だれにも迷惑がかかりませんよ、チェーン
メールの転送先に転送すれば。
協議会に転送してもらったら、逆にうれしいです。あっ、今こういうのが出回っているのかという
情報収集にもなります。それに対して
対策も立てられるんです。
今、チェーン
メールとなりすまし
メールのことで、実際、これはいろいろな
相談を受けます、いまだに受けています、そのような
相談というのは。
さらに、今、
子供たちにとっての
ネットというのは
携帯なんですね。
携帯電話がもう
ネットになっています。
学校裏
サイトに関しての
相談というのもかなりたくさん受けます。
学校の
先生とか
教育委員会からもかなり
相談を受けるんですが、
先生の中で休職に追い込まれた
先生がいます。
どうしてかというと、
学校裏
サイトに誹謗中傷を書かれていた
内容を生徒が
先生に
相談したんですね、
先生、何とかしてということで。それで、
先生がその
掲示板に書き込んだのです。何を書き込んだかというと、このような誹謗中傷するようなことはすぐやめなさい、警察に訴えますよということを書いたんですね。
そうすると、生徒たちもわかるんですね、どの
先生が書き込んだかなんということは。あの生徒さ、あの
先生に
相談していたぞ、絶対あいつが書き込んでいるぞということになると、おまえだれだれだろというふうに
先生の名前、実名を挙げて、今度は
掲示板でその
先生の誹謗中傷が始まったんですね。おまえの奥さんは浮気しているんだぞということで、男性と女性がホテルに入っていく後ろ姿の写真がアップされていたんですね。もちろん、それは実際の
先生の奥さんではありません。でも、その裏
サイトを見ていた人はその奥さんだと思い込むんですね。ああ、あの
先生の奥さんは浮気しているんだ。
さらに、おまえの
子供はどこどこ高校の今一年だよな、テニス部に入部しているんだよな、帰り七時ぐらいだよな、おれたち帰り襲っちゃおうかななんて書かれていたり、おまえの家、犬飼っているよな、不細工な犬だよな、おれたちぶっ殺していいかなんて書かれていたりするわけなんですよ。
怖いですよ、幾ら
先生であっても。
クラスの中のだれかが書いているわけですからね。翌日
学校に行っても、全員の生徒を疑った目で見てしまうんですね。それで、もう
学校という場所が怖くなってしまって、
学校へ通えなくなった
先生もいるんです。
掲示板の削除依頼についてなんですけれ
ども、
全国版の
学校裏
サイトの場合というのは、誹謗中傷とか個人名を挙げての書き込みは絶対やめてくださいと大抵書かれているんですね。そういうところというのは、管理人に
連絡をとるとすぐ大体削除してもらえます。ところが、最初から個人名が挙がって誹謗中傷がばんばん挙がっているような
サイトというのは、大変危険なんですね。
先生方がこれは
自分でやるべきではないんです。やはり専門家に
相談して、一緒に協力をして削除依頼を送った方が、
先生方がせっかく生徒のためと思っているのに、
自分自身の体を壊しては元も子もないんですね。
さらに、もう一例だけ話をさせてもらうと、あの子援交しているんだよ、きもいよね、あの子と話するとみんな友達なくすから、あの子と話するのをやめようねなんて書かれて、リンクが張られているんですね。
そのリンクを、クリックを押すと、その子のプロフィール
サイトに飛んだんです。実際、それはその
女の子がつくったプロフィール
サイトではありません。だれかが勝手に立ち上げたプロフィール
サイトです。その中に、
女の子の画像がかかれて、職業、JK、女子高生ということですね、性別、パコられる方、これは女性ということです。さらに、そのままの文章で言うと、特技はアナルとフェラだよなんて書かれているんですね。ここだけの話、苺佐保で
お願いねと書いてあるんです。イチゴサポ、食べるイチゴです、サは佐藤さんの佐、ポは保つという字です。実は、苺というのは
子供たちの間で隠語で一万五千円ということですね。佐保はサポート、援助ということを意味します。一万五千円で私と寝てねということです。
もちろんその子がつくっているわけではないんですね。でも、その裏
サイトを見た人は、みんなその子が援交していると思い込んでしまうわけなんですね。それが
学校の
先生の耳にも入って、おまえ、援交しているのかということを言われたんですよ。それがショックだったんですね。
学校の
先生にまで疑われた、
クラスのみんなが離れていく。結局、その子は転校せざるを得なくなったんです。本人に非は一切ないんです。そういう事例もあります。
あと、最近の事例なんです。
小学校六年生の
女の子なんですけれ
ども、書き込みをしてしまったんですね。書き込みをするというのは、実は、本当に今までのいじめと違って、全くまじめな子とかがストレスで書き込みしてしまうケースもあるんですね。それが
学校の
先生にばれて、
学校の
先生が
クラス全員に、書き込みをしている子がわかったからということで全員に
電話を入れたんですね。さらに、書き込みをした
女の子の
家庭には校長から
電話が入って、おたくの
お子さんは犯罪者です、あした全校集会を開きますから、
お子さんとお母さんで全校生徒の前で謝罪してくださいなんということがあったんです。その子のこれからのことを全く
考えていないんですよね。
時間になりましたので、ちょっと途中ですけれ
ども、ここで終わらせてもらいます。
ありがとうございました。(
拍手)