○大口
委員 この問題は非常に難しい問題でございます。ただ、
基本的な考えといたしましては、やはり地方に安定的な
財源を確保するということが非常に大事だ、もちろん社会保障とかいろいろなことの安定
財源は必要でございますけれども、しっかり
議論をしてまいりたいと思います。
次に、資料の二、資料の三を見ていきたいと思います。
中小企業の税制について私はちょっと
議論をしてみたいと思います。
中小企業、この資料の二を見ていただいてもわかりますように、企業数の九九・七%が中小企業である、それから従業者の数が二千八百九万人ということで七一%、また製造業の付加価値の額、これは大企業が四十四兆円であるのに対して中小企業は約五十八兆円ということで五七%である。こういうことで、本当に中小企業はそういう点では我が国の経済を支える屋台骨である、こういうふうに考えるわけでございます。
しかしながら、中小企業の開廃業率というものを見てみたいと思うんですが、企業数の推移というところを見ていただきますと、中小企業が一九八六年には五百三十三万社あったんですね。それが二〇〇四年には四百三十三万社ということで、この十八年間で百万社、中小企業が減少している、こういうことでございます。
そして、開廃業率というものを見ましても、一九七〇年代を見ますと、開業率が五・九で、そして廃業率が三・八ということで、廃業率の二倍弱、開業率が高かったわけでございます。それが一九八〇年代後半に逆転をして、そして今どういう状況かといいますと、一九九〇年代には二・七から三・五と、開業率が上がってきてはいます。これは
政府の
努力もあったと思うんですが、それでも二〇〇四年の廃業率が六・一でありますから、開業率が三・五ということで、倍弱、廃業率の方が高い。
こういうことでありますから、この十八年間で百万社減少したということを、私どもはやはりしっかりこの現実を認識しなきゃいけない、こういうふうに思っております。
こうした中で、中小企業の元気をどう取り戻すことができるのか。中小企業の生産性を向上させ付加価値を高めて競争力をつけることにより、経済の好循環サイクルを確保していく、そのためにも、研究開発税制ですとかあるいは基盤強化の税制が必要でございますし、さらにリスクマネーを初めとする資金の円滑化を支援することが必要である、こういうふうに考えております。中小企業支援税制というのは、この厳しい
財政状況の中でも、日本の経済の成長を支える重要な柱、こういうことで、中小企業の経営基盤の強化あるいは成長力底上げを図るため、徐々に拡充
整備はされているわけであります。
平成二十年度の改正におきましても、研究開発税制も、中小企業にも配慮するような仕組みをつくった。そしてまた、情報基盤強化税制については、中小企業に係る投資下限の額の大幅な引き下げ、三百万が七十万。それから、教育訓練費に係る税額控除については、中小企業が利用しやすいように、教育訓練費が増加しなくても控除が可能な制度への改組をして、しかも大企業についてはこの制度は廃止をする。そして、農商工連携を通じた取り組みを支援するための税制、そして二千三百億の中小企業投資促進税制の
延長、この措置がとられているわけでございます。
中でも、やはり事業承継税制、これは我が党もかねてより、中小企業の方々の御意見も受けて研究、
議論を重ねてまいって、毎回主張してきたわけでございますけれども、これが昨年度の税制改正の
議論の中で、
与党税制大綱及び
政府の
平成二十年度税制改正要綱に、二十一年度改正で取引相場のない株式等について相続税の納税猶予制度を創設する旨が規定され、今、国会に別途提出されております中小企業経営承継円滑化
法案、これの施行日以後の相続にさかのぼって適用されることが
決定されているところでございます。
これは、事業主の高齢化あるいは後継者不足などによってやむなく廃業せざるを得ないと考えておられる中小企業の事業主の方々にとって大きな悲願であり、税制改正だけでなく、現在国会に提出している円滑化法においては、民法の
特例あるいは金融支援なども含む総合的な支援策を盛り込んでいる
一体としての制度、これが施行されますと、
地域経済や雇用、さらには技術の伝承というさまざまな効果が期待される、こういうふうに思います。
そこで、新しい事業承継税制、これまで課税価格を減額する、こういう方式をとっていたわけです。事業承継に関する相続税の課税価格の計算の
特例ということで、例えば事業用の宅地、これは四百平米まで八〇%価格をカットする、これは昭和五十八年度の創設。あるいは、取引相場のない株式、これは
平成十四年度創設されたわけでありますけれども、
一定の中小同族法人の株式等について一〇%カットする。こういうことで、今まで課税価格を減額する、こういう方式であったわけでございますが、今回納税猶予方式をとることにした、この理由、これを
財務大臣にお伺いしたいと思います。