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冬柴国務
大臣 再三にわたりまして民主党の議員から、本当に熱心に、
拉致問題を
閣議決定の文中に入れるべきであるという御主張というか御
提案がございました。私もそのように同調いたしまして、そして閣僚の一人としてそのように
考えるということも申し上げたことは先ほどの
お話のとおりでございまして、私はそれを放置していたわけではございません。しかるべきときにはしかるべく、そのような
趣旨も、これはいろいろと公にするのは適当でないこともありますからあれですけれども、私は放置をしていたわけではなく、私の信念としてもそういうものを明確にした方がいいということはいろいろな場面では申し上げましたけれども、
政府部内、いろいろの議論の中で最終的にはそうならなかったというだけでありまして、ただ、私の主張はその
提案理由の
説明の中に、最後はちょっと順序が変わったという話もありますが、それについても十分
説明ができると私は思っております。
なぜ
閣議決定の中にそれが入らないかということは、先ほどの
外務省の答弁のとおりでございまして、外に出るこのような
閣議決定の文章については、できるだけ法文に忠実なものが選択されたというふうに
思います。
それは、一番最初の、いわゆる
ミサイルが発射されたときの十八年七月五日でございますが、万景峰号を直ちに
入港禁止といたしました。そのときの
閣議決定の書面も全く
拉致が入っていない、御案内のとおりだと
思いますけれども、その後、十月十一日に、十月九日に
北朝鮮自身が核実験を
実施したということを発表したときに、我々は追加してすべての船舶の
入港を
禁止いたしましたが、そのときの
官房長官の「当面の
対応について」という声明の中には、いろいろな事例が書かれているんです。
五つあります。これは、
北朝鮮自身が核実験を
実施したということを発表したということが
一つ。二つ目は、気象庁が地震波を探知しているけれども、それは自然の地震波ではない、すなわち、裏返したら人工的な地震波であるということを言った、これが二つ目です。三つ目は、こういうことをすることによって
我が国の安全保障に対する脅威が倍加した。四つ目は、
北朝鮮が
拉致問題に対しても何ら誠意ある
対応を見せていない、これが四つ目。それで五つ目に、国連安保理においても、当時はまだ決議が、一七一八ですか、これが出ていませんが、相当な議論をやっている最中でございました。したがいまして、この
官房長官談話では、国連安保理において国際社会全体として厳しい
対応をとるべく議論が進められている。こういう五つの
理由を挙げて、すべての
北朝鮮籍船の
入港を
禁止する、こういうふうに決定いたしましたということを
官房長官が申しております。
そのときの
閣議決定も、
入港禁止の
理由に、テポドン2を含めた弾道
ミサイルが発射されたこと、それから、日朝平壌宣言にある
ミサイル発射モラトリアムにも違反しているとか、あるいは、十月九日、
北朝鮮により核実験を
実施した旨の発表がなされた、これは重大な脅威だ、重大な挑戦であるということで、国連の安保理の数次の決議にも違反しているんだという
理由を挙げまして、
閣議決定されているんです。それがずっと踏襲されているんですよ。
そういう
意味で、その中には、今
外務省の方が答弁されたように、国全体としては、
官房長官談話にあるように、もちろん、
拉致というものの
解決が喫緊の
課題であるということは十分認識しているし、それから国会の議論でも、きょうも随分おっしゃいますけれども、そういう問題があるということを十分認識した上で、いろいろな配慮から、
閣議決定の
内容としては、国の安全に関する脅威があるんだという点を強調した文章になっている、それが踏襲されてきたという経緯があることを御理解いただきたい。
私
自身は、皆さん方のおっしゃっていることは十分
理由があるし、私の心も打つ、心にも響く、そういうふうに思うんですが、ただ、こういう
閣議決定という公式文書の中では、法文に忠実に、国に対する脅威、安全に対する脅威というようなものが強調された文章になってずっと踏襲されてきた、そういう沿革があると御理解をいただきたいと
思います。