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ノエル参考人(通訳)
委員長、ありがとうございます。
議員の先生の
皆様、ありがとうございます。
私、
皆様にこのようにお招きいただきまして、また
WHOの
移植に関しての作業を共有させていただくことを大変光栄に思っております。
この会議の前にも申し上げていたんですけれども、光栄であり、また心強い思いがいたしております。というのも、
臓器移植は公共的な資源なのです。そして、これは
市民が保有しているものなのです。ですから、この
レベルで議論すべきものなのであります。まさに、その意味において、
日本は模範を示していらっしゃるのです。
二十年以上も前になりますが、一九八七年、
WHOは四〇・一三の
決議で、
利益目的の
臓器売買を非難いたしました。これは
人権宣言に違反しており、
WHOの憲章にも違反しているということを確認しました。この
決議では、
WHOに
指針を策定することを要請しています。グローバルな
レベルで
法律を策定し、そして調和のとれたものを、
臓器移植に関して道のりを探るというものであります。この
指針は
WHOの総会でも支持されました。一九九一年の四四・二五の
決議であります。
二〇〇四年、
WHOの総会は、またこの
臓器移植に関して検討しました。これは五七・一八の
決議においてであります。ここでのアウトライン、重要な局面が示されました。それは、既に私が申し上げたとおりです。政府は、国民の代表として
責任を担っているのです。
臓器移植の細胞、
組織、
臓器などに関して
責任を政府は担っているのです。
この
決議でありますが、これは
WHOの総長に対して、事実を集めるように、慣行ですとか
活動など、こういったものを収集して、現在の
臓器移植に関しての
状況を文章化するようにと要請しました。また、グローバルな現実を反映した形で一九九一年の
指針を更新していくようにということも要請しています。
ですから、我々は二〇〇四年から
協議の
プロセスに入りました。この
協議の
プロセスですが、国家の
健康管理に関しての当局または
政策決定者、また
規制当局、国のコーディネーションを行う
機関なども入っています、そういった
組織が存在する国においては。こういったところが関与してきました。
特に
スペイン政府、また
スペインの国の
移植に関しての
機関などが関与してきています。
スペインは、特に
死体ドナーからの
臓器提供ということで成功してきています。また、科学的な、プロの
機関とも協力してきました。特に、グローバルな
レベルで関与してきています。
WHOとそれから
国際移植学会との間には近しい関係を持っています。
ただ、我々は慎重に、
WHOの六つの
地域に関しては、それぞれの
地域に注意を払っています。また、
地域それから
地域下の
レベル、国の
レベルということも見てきています。
協議は具体的な事柄に関しても行ってきています。例えば、
臓器売買、それから
移植ツーリズムなど、あるいは細胞、
組織などの
移植。この中には倫理的な局面も入っています。特に、
移植のための細胞、
組織などに関しては、これも入っています。
また、我々は、
スペインの
移植担当機関と協力して、グローバルな
データベースを手がけ始めました。これは、事実ですとか慣行、
活動、
組織、それから
法律的な
枠組み、
世界じゅうのそういったものなどに関しての
データベースです。これはインターネットで利用可能であります。これは
厚生担当局などのところで大変大きな恩恵をもたらしています。これによって、量的な形でのアイデアを
移植の
活動に関して得ることができます、特に
臓器の
移植について。これは、
臓器移植が非常に重要な
駆動要因となっているからです。
二〇〇五年、十万に少し足りないほどの
移植が年間に行われました。三分の二は
腎臓です。
加盟国の
活動を見てみますと、
臓器移植の件数を見てみますと、圧倒的に米国が一位であります。全体の
臓器移植の四分の一、年間の四分の一が米国で行われています。
人口百万人
当たりの
臓器移植の割合を見るということが
参考になります。例えば、
臓器移植全体で見てみましょう。最も積極的な国は米国でありますが、その後、オーストリア、ほかの
ヨーロッパ諸国が続きます。
日本は、百万人
当たりの
臓器移植の数をほかの最も先進また最も
効率のよい
臓器移植の国と比べますと、一三から一四%にとどまっているのです。
これは主に
アクセスの違いによります。
死体ドナーからの
臓器への
アクセスの違いによってこの結果が出ています。驚かれることはないと思いますが、百万人
当たりの
死体ドナーの数が、
日本では、例えば
スペインに比べると四十分の一です。
スペインは最も
効率よく、また進んでいる国であります。
死体からの
臓器提供ということに関しては
スペインは進んでいます。
次に、UNDPの
人間開発指数で見てみますと、そして
腎臓の
移植の
活動を見てみますと、
WHOは
世界全体を見ているわけですが、ここで気をつけなくてはいけないのは、
世界人口のうちの二六%がこの
開発指数の高いところに入っていますけれども、そこがすべての
腎臓移植されたものの六九%から
メリットを受けている、そして
世界の
人口の七四%、残りの
人たちは、
腎臓移植の三一%からしか恩恵を受けていないということなんです。ですから、大きな違いが国々の間であるのです。
しかしながら、実際の
ニーズは存在しているわけです。さまざまな段階におきまして必要とされております。特に、中間の指数にある国でも
ニーズというのは存在しているわけです。
例えば、
慢性透析プログラムですけれども、こちらがよく発達しています。そして、この小
委員会の
委員の
皆様も
御存じであろうかと思いますけれども、
腎臓の
移植ですけれども、これは、実際の生存それからQOLという観点で患者さんの便益になるだけではなく、少なくとも、五年後、実際の
人工透析の費用が半分になるということが挙げられるわけです。通常の生活が個人として送れる、そして家族としての役割を担うということに加えまして、こうした経費的、支出的な面での便益もあるわけです。
違いということを今述べさせていただきました。この違いというのは
WHOの
地域にひもづいていると思っています。
皆様方もよく
御存じであろうかと思います。
最も重要な
活動といたしまして
臓器移植活動の
地域を挙げることができるのは、
人口百万人
当たりの
腎臓ということで、
アメリカは二七・六、欧州ですとこの
比率が二一・三%になります。そして、
地中海地域の
比率が一三・二になります。そして、
西太平洋地域が六、そして
東南アジアが二、そして
アフリカ地域が非常に少ない
比率になっています。やはり
サハラ以南での経済的な困窮がその根底にあることを考えれば、これは驚くべきことではないです。
西太平洋、
アジア及び
東部地中海地域におきまして、こちらは
死体ドナーからの
臓器提供の
プログラムとの
相関関係が高いということが挙げられます。
生体ドナーの
アメリカでの実際の
比率を見てみますと、四一%になっています。これは
腎臓移植のケースになりますが、欧州はさらにその
比率は下がります。一九%になっております。これは、アイスランドからウラジオストクを含めました、
WHOの欧州を広義に定義したときのことになります。
それに比べまして、
生体ドナーの
腎臓移植ですけれども、これは
東部地中海それから
東南アジアでは九五%になっておりますが、
アフリカでは八二%になっております。一八%は
西太平洋地域になっておりますけれども、こちらに多少バイアスがかかった数字になっております。というのは、
中国がこの多くを占めておりまして、
中国というのは実際の
移植活動では第二位の地位を占めておりまして、そして、
中国で行われている
臓器移植の大多数は、囚人から、
死刑囚からというものが行われているからです。
このような
状況がありますので、実際の患者さんの
ニーズを満たすのが難しい
状況が生まれてきております。
アメリカ、
ヨーロッパであったとしてもそうです。特に
アジアにおきましてはそうです。これによりまして
移植ツーリズムへとつながってしまっています。
移植ツーリズムのシンプルな定義をさせていただくのであれば、これは、
移植を行う者が国境を越えた渡航をする、これはレシピエントもしくは医師もしくは
保健のプロが、
生体ドナーを用いまして、
臓器をお金と引きかえに、もしくは物品と引きかえに
提供する、特に、貧しくかつ脆弱な立場に置かれている者、これは
死体ドナー、
生体ドナーに限らず行われている行為、これが定義になります。
移植ツーリズムですけれども、評価するのが非常に難しい分野であります。三つの
移植ツーリズムに分類することができます。
まず最初ですが、
法的枠組みがないがゆえに蔓延している種類。こちらは
中国、
パキスタンなどを挙げることができます。
担当当局が推奨するということもあります。
地方当局などが推奨し、より容易な形で
資金源とするということも見られます。また、実際の執行が弱い国でも見られます。また、ことしの初めですけれども、
インドの
保健当局の方でこちらを犯罪として扱いまして、ネットワークで五百の、
デリー北部、グルガオンで摘発が行われたというような事例もあります。
こうした
臓器が
生体ドナーから
提供された場合、そして通常、実際に業者がかかわっているような場合ですけれども、貧しくかつ弱い立場にあるような者がかかわっているということが研究結果からも出ています。
シングルマザーであり、もしくは債務を抱えているような、貧しい弱い立場にある者が犠牲になっているわけです。
健康が失われてしまっている、慢性的な痛みにさらされている、また、職を失ってしまう、烙印が押されてしまう、恥をかかされてしまう。これはブラジルであったとしても、イランであったとしても、
インドであったとしても、
パキスタンであったとしても、
フィリピンであったとしても、
地域に関係なく、実際にこうしたことが行われている所見というのは一致しております。
だからこそ、これが一つの理由となりまして、二〇〇四年の
WHOの総会で
決議をいたしました。
加盟国に対しまして、貧しい者、弱い立場に置かれた者、実際の
移植ツーリズム及び
臓器売買と闘うようにということで要請を行いました。そして、
WHOの
事務総長の方で、
加盟国を支援するようにといったことを行っているわけです。
過去三年間、
加盟国とともに、私どもは、実際、
移植ツーリズム削減に努めてきております。そうすることによって、適切な
移植レベルの回復に持っていきたいというふうに思っています。
臓器移植には
市民にもかかわっていただきます。そして
皆さんもよく
御存じのとおり、それをほかの方々が便益を享受するということになります。法的な
枠組み、そして社会での
統治機関というのが重要な基盤となって、健全な
臓器移植が可能となるわけです。
皆様方も
中国での
進捗状況は
御存じであるかと思いますが、二〇〇六年の
暫定決議によりまして
商業主義が禁止されました。それから、さらなる規制がかけられまして、
移植ツーリズムを禁止しています。それによりまして、病院に権限が与えられています。実際、
臓器移植を行う病院に権限が与えられ、しっかり文書化された
同意が
生体ドナーからの
臓器提供には必要であるということになっております。
また、脳死に関する
法律、脳死という言葉は使うべきではないかもしれません、神経的な基準に基づき定義をする死というふうに言いかえた方がいいかもしれません。この点に関しましては、また後ほど付言させていただきたいと思います。まだ心臓が機能している場合、どのように死を定義するかということに関しましては、また後ほど述べさせていただきます。
また、
ムシャラフ大統領の二〇〇七年末の
大統領令に関しても
皆さん御存じなのではないかと思います。この中でも
商業主義を非難しています。そして、この
脳神経基準に基づいた死の定義というのを書いております。
パキスタンにはそれは存在しておりませんでした。
パキスタンはこれまで角膜も行っていないということでした。
角膜バンクもありませんでした。
そして、
フィリピンなどでは、
外国人を受け入れるということもやめています。
臓器を
フィリピンの貧しい方から
提供するということもストップしています。
この
移植ツーリズムへの対応ですけれども、こういった国々が示していますその主要な理由は何かというと、まず
自分たちの
市民に対して仕事をしなくてはいけない、自分の
システムをつくるときには、それは
自分たちの国民に
メリットがあるようにということ、これは今申し上げた三カ国で明らかに見てとれることであります。
この
死体ドナープログラムの開発ですが、それからまた
生体ドナーも注意深く活用するということ、そうすれば何とか、これはぎりぎりの自給ということを考えなくてはいけない。ですから、グローバルな
レベルで自給をしていくという
責任があるのです。
我々、五月二十六日に
WHOの
執行機関に対して
指針を
提出しましたが、それはこの
執行機関からも歓迎されました。三十四
加盟国がこの
執行理事会に入っているわけですが、そのうちの十三、それから
加盟国のこの
理事会のメンバーではない六カ国、それから二つのNGO、こういったところがすべて
指針を歓迎しました。そして、これはごくわずかな訂正だけが加えられています。このグローバルな形での
移植が、共通した
移植ということに関して見られるわけです。
これが
指針の内容になっているわけで、詳細は申し上げません。ただ、ごく簡単にタイトルをお話しします。
まず、
死体ドナー本人の
同意が必要であるということ。この
同意、これは明示的であろうと、それから推定されているものであろうと、これは簡単にできるものでなくてはいけません。というのも、それは、全
人口が持っている意識、そして情報に依存しているものでなくてはいけないからです。この
人たちがこの問題に対して関心を持っているということだからです。我々の
協議の
プロセスの中でも強調されたのは、この
移植のための
提供、これは
市民のやることであり、学校で教えられなくてはいけないということなんです。だから、
ドナーの
同意。
また、相反のない形での死の判定。それから
死体からの
臓器の調達、これは死亡の判定とは独立に行われなくてはいけないというところが重要な
ルールであります。
死亡判定でありますが、これは
心血管あるいは神経学的な基準によって行われることが可能です。
また、
死体ドナーからの
臓器提供を最大化する、これは別に人に対して害を与えるものではありません。
日本が
生体ドナーの
効率を
最大限にしている、
リスクは最小限にしているということはわかっております。しかしながら、これは四肢を切断するのではありません、
臓器を摘出するというのは。これは
生体ドナーに対しては
リスクを与えるものではないのです。
死体からの
提供、これを活用していくことは重要であります。
治療目的の活用を
最大限にしていくということは重要です。しかし、適切な監督が必要であります。適切なフォローアップも必要です。そのような形で
生体ドナーがその
プログラムを使えるようにということです。
また、
未成年者、
無能力者の保護、これも
生体ドナーにとってとても重要なことであります。また、
未成年の
死体ドナー、これは一般的な
死体からの
提供の
評価基準と同じであり、一般的な
医療に関しての認識を満たすものでなくてはいけません。
また、売買、
あっせんはすべて禁止であります。そして、プロモーションなども行ってはいけない。広告、
あっせんも行ってはいけない。それから、
移植などに関してわずかでもその出どころに疑義が持たれるような場合には
移植を行ってはいけない。それから、正当化できるプロとしての手数料。
配分ルール。
こういったものが
指針でありまして、これは九一年のもの、これを慣行においてアップデートをされているというものであります。
さらにこの二つ、一つは品質、安全、それから
効率、これは
ヒト出自のものに関してのものですが、この中にはトレーサビリティーも入っています。つまり、
説明責任が持たれなくてはいけないということ。また、安全に関して
有害事象がないようにということも考慮しなくてはいけない。そして、この新しい
指針の中で重要になってくるのが
透明性であります。この
透明性こそが、安全な、健全な
移植にとって非常に重要なところであります。
さて、最後ですけれども、
自給自足ということ。
ノルウェーのような国、
スペインのような国は、可能であるというふうに思っております。こうした国というのは
自給自足に非常に近いところにあります。二〇〇五年において
スペインは
腎臓の
ウエーティングリストが大分小さくなってきております。また実際に、二〇〇五年では、
移植の遅延ということも大分少なくなってきました。
アメリカにおいても、最近の
アメリカの
保健当局の協力によりまして実際に数が減ってきております。そして、四月の
アメリカン・ジャーナル・オブ・トランスプランテーションでも記事が出ましたけれども、この五十八の
臓器移植ですけれども、
月当たり十の
移植をすることによりまして、ふやすことによりまして、
ウエーティングリストがなくなるということが言われております。
しかしながら、実際に
ニーズを満たすという意味では予防というのが非常に重要になってきます。また、実際に
ノルウェーの
ニーズを満たす場合、実際の
発生率が低いわけです。
アメリカですけれども、実際に四倍ほど
腎臓移植の需要が高いわけです。ですから、
WHOの代表といたしまして、まず、やはり
終末期の
臓器不全につながるような疾病の予防こそが重要であるということを最後に強調したいと思います。
また、患者様の
ニーズを満たす、そして、これは資源に基づいて国家的に行われるべきもので、すべての
市民の方々の
連帯意識に基づいて行われるべきである、国の全
市民の
連帯意識に基づいて行われるべきであるということを申し述べたいと思います。(拍手)