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赤池分科員 自由民主党の
赤池誠章です。
決算行政監視委員会分科会で質問をさせていただきたいと思います。
本日は、農林業ということで、特に
地元、私は山梨一区を選挙区としております、果樹、ワイン含めて質問をさせていただきたいと思います。
御承知のとおり、
日本は古くから豊葦原瑞穂の国というふうに呼ばれておりました。これは、
意味するところは、御承知のとおり、水などの自然環境に恵まれて、アシが生い茂って、みずみずしい稲の穂が実っている国という
意味であります。まさに、
日本の伝統
文化の美しい名称であると同時に、
日本列島の歴史、風土、
状況というものを端的にあらわす言葉ということで理解されてきたわけです。しかし、実際のところどうだったのかということを考えてみると、本当に
農業に恵まれた自然環境だったかというと、これは決してそうでもなかったなというふうに思っています。
第一番目は、やはり、一年間の中で日照時間というのはどうしても限られている、しかし、その反面で、日照りなど、災害も、干害ということが非常に多かった。第二に、雨季が短くて、必要な用水をどうやって
確保するかということが非常に不安定であったこと。第三番目は、収穫期に台風が多くて壊滅的な風水害に見舞われたこともあったということであります。
以上のような厳しい自然環境の中で、冒頭お話をしましたとおり、豊葦原瑞穂の国という名称は、単に天から与えられたものではなくて、まさに古代から今に続く、私
たち日本人の知恵と努力の結晶があってこそ、初めてそういう言葉が実感を持って語られるのかなというふうに思っております。こういった言葉は、神話の一フレーズではなくて、まさに
日本の歴史、伝統、
文化に基づいた
農林水産業の理念であり、また
政策的なスローガンでもないのかなということを感じております。
古代から赤米の神事とか、神道の儀式には米、水、酒、塩、海の幸、山の幸をささげるとか、
地域の年中行事、宮中祭祀の中で一番大事なものが十一月二十三日の新嘗祭ということでもあります。そういった形での、まさに
農林水産業というのは、宗教であり、信仰、思想ではなかったかなと思っています。
そして、その一方で、古代からは、国家のプロジェクトとして、班田収授とか条里制、またはため池のかんがい整備とか荘園開発、また石積みの棚田など、これはまさに国家の威信をかけた、総動員をした国家プロジェクト、国家
政策でもあったということではないのかなと思っています。
しかし、近代以降は産業構造が大きく変化をして、
農業国家から工業国家へ、さらに都市化が進んで、現在は、商業サービス業、情報産業が急増しておりますし、世界に類を見ない少子
高齢化、人口減少時代を迎えているわけで、改めて
日本の国家ビジョン、国家理念の確立が求められている中で、私は、もう一度、この神話の言葉、豊葦原瑞穂の国という言葉が、今後の
日本の進路、ビジョンを示唆しているのではないかと思っております。
豊かな環境の中で、農工商、バランスのとれた産業構造の中で、歴史、伝統、
文化のある
地域に支えられて、先祖を敬い、家族を大事にして、勤勉に働いて、子孫繁栄に思いをいたして、国際社会の中で生き生きと暮らしていく
日本人の姿というものであります。そのために、
日本人の伝統
文化である、生きるための基礎的な
食料を供給する、産業の基盤、きょうのテーマであります
農林水産業の
活性化というものが不可欠ではないかと思っています。
御承知のとおり、過去十年、
農家人口は一千二百万人から八百万人ということで三割減少してしまいました。基幹的な
農業従事者も約一五%に減少をし続けている。その一方で、
農業就業人口に占める六十五歳以上の方の割合が六割を超えて
高齢化が進んでくる。今後、昭和一けた世代、私の親の年代でありますが、引退が本格化、加速化すると、
農業従事者が大幅に減少することが予想されております。そういう面で、担い手対策というのは待ったなしであります。
今、私の生まれ育った、選挙区でもあります山梨では、桜の花が咲いて、その後、四月には桃の花が咲き乱れまして、甲府盆地は桃の花のじゅうたんが敷き詰められたような景観になります。これはまさに、
農家が農作業をなさっているたまものであるわけでありますが、この景観も、十年後になるとどこまで残っているかというような
状況ではないかと思っております。
農家の方々にいろいろな形で意見を聞いてみますと、同じ
規模でも以前より経費がかかって
売り上げは高く売れないとか、息子さんが何人いても、朝早く夜遅く労働時間が長くて厳しくて、その割には所得が見込めない
農家はとても継がせられないというような
状況であります。
そこで、今後の
農業構造を展望して、他の産業と同じような労働時間で同様の所得を
確保できる
農業経営、また、意欲と能力のある担い手というものが大事なわけでありますが、農水省としての担い手対策の
取り組みについて見解をお
伺いしたいと思います。