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枝野委員長 平成十八年度決算についての議決案は、
理事会の協議に基づき、
委員長において作成し、
委員各位のお手元に配付いたしております。
これより議決案を朗読いたします。
平成十八年度の
一般会計歳入歳出決算、
特別会計歳入歳出決算、
国税収納金整理資金受払計算書及び
政府関係機関決算書に関する議決案
本院は、
平成十八年度決算について、
予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて
審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一 予算の執行
状況などからみて、所期の
目的が十分達成されるよう、なお一層の
努力を要する事項などが見受けられる。
次の事項がその主なものであるが、
政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
1 国の財政は、公債残高が年々増加の一途を辿り、非常に厳しい
状況にある。二〇一一年度には国と
地方の基礎的財政収支を確実に黒字化する財政健全化の
目標に向け、あらゆる
分野における歳出
改革に全力で取り組むなど、歳出歳入一体
改革を着実に進めていくべきである。また、ODAについては、納税者への
説明責任を果たすため、個々の
事業の必要性の検証を徹底するとともに、
事業に対する事前評価を含めた情報開示を一層推進するべきである。
2
我が国における本格的な人口減少社会を迎えるに当たって、
国民の希望する結婚や出産、子育てを実現できる
環境を早急に整備することが喫緊の
課題となっている。このため、保育所の受入れ児童数の拡大、多様な保育
サービスの拡大、放課後児童対策の拡充を図るなどの少子化対策を積極的に推進するべきである。また、将来の社会を担う若者の雇用・生活の安定を図るため、フリーター常用雇用化の一層の推進を図るとともに、ニートの職業的自立の支援を行う
地域若者サポートステーションの拡充強化等に努めるべきである。
3 耐震偽装対策として建築基準法が改正される中で、住宅着工件数が落ち込み、
経済に影響を与えるなどの混乱が生じた。
政府は、建築確認手続が円滑に行われるよう改正建築基準法の運用の改善に努めるべきである。また、低額所得者、被災者、高齢者、障害者等の住宅確保要配慮者の居住の安定を図るため、いわゆる住宅セーフティネット法に則り、公的賃貸住宅の供給の促進、
民間賃貸住宅への円滑な入居の促進等の施策を、着実に推進するべきである。
4
道路特定財源の使途について、不適切な関連
支出などの問題が生じていることは遺憾である。
政府は、無駄を排除し、
支出の適正化・効率化を図るとともに、交通需要を適切に把握し、
国民にとって真に必要な
道路計画の策定を進めるべきである。また、
道路関係公益法人に対する
支出の削減や
業務・組織形態の
見直しなどを進めるとともに、
道路特定財源を来年度から確実に一般財源化すべきである。
5 食品表示の偽装や輸入食品の安全性の問題等、食の安全・安心を脅かす事態が頻発していることから、食に対する
信頼を取り戻す有効な対策を講ずるべきである。また、食料自給率
向上のため、
農林水産業に従事する意欲と能力のある担い手の育成を進め、生産の場である農山漁村の活性化を図るべきである。
6
国民に
信頼され、豊かさを実感できる社会保障制度の確立に向け、公的
年金制度の長期的安定の確保について徹底した検討を行い、今後の国の役割及び
国民負担の将来像を早期に提示すべきである。また、
年金記録問題への対応については、
国民の
信頼回復を一刻も早く図るため、ねん
きん特別便等の通知を確実に行うとともに、記録確認の周知、相談体制の充実に万全を期すべきである。
7
地域医療や救急医療等における医師不足等の諸問題は深刻な
状況となっており、引き続き
国民に対する医療提供体制の整備強化に全力で取り組むべきである。また、高齢者の医療
サービス提供体制を充実させるとともに、介護を担う優れた人材の確保を図るため介護従事者等の処遇改善策を講ずるべきである。なお、
後期高齢者医療制度については、施行
状況を検証した上で根本的な対策について徹底的な議論を行うべきである。さらに、新型インフルエンザについては、その発生が国際的にも予断を許さない
状況になっていることから、ワクチン等の医薬品の研究開発を促進するとともに、抗インフルエンザ薬及びプレパンデミックワクチンの必要な量の備蓄に努めるべきである。
8 地球
温暖化対策等の
環境問題に関しては、
政府として、京都議定書の温室効果ガス六%削減約束の確実な達成に努めるとともに、更なる排出量の削減のため、森林吸収源対策の推進、バイオマス等の再生可能なエネルギーの導入促進等を図るほか、全ての主要排出国が参加する実効性のある新たな枠組み作り、排出削減と
経済成長の両立を目指す途上国への支援等、
地球環境問題に対する国際社会全体の取組にリーダーシップを発揮すべきである。
9 公務員制度の総合的な
改革を推進するため、
基本理念及び
基本方針その他の
基本となる事項を定めるとともに、公務員制度
改革を総合的に推進する機関を設置し、速やかに取り組むべきである。さらに、行政と
関係の深い
公益法人について、契約の在り方、役員報酬等の集中点検を実施するとともに、退職管理の適正化を進め、いわゆる天下り問題の根絶を図るべきである。また、イージス艦機密情報の持ち出しやイージス艦と漁船との衝突事故、前事務次官の収賄事件、防衛調達に関する水増し事案など自衛隊に関する不祥事が続発しているのは遺憾である。
政府は、厳格な情報管理体制の確立や再発防止を図るとともに、公務員による不正行為や行政執行の怠慢に対する厳正な処分の徹底等を行うべきである。
二 会計検査院が検査報告で
指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの
指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三 決算のうち、前記以外の事項については
異議がない。
政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算
審議の経過と結果を十分考慮して、行財政
改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって
国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
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