○下谷内
参考人 社団法人全国消費生活相談員協会の下谷内と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、このような
委員会にお招きいただきまして、また意見を述べさせていただく機会を与えられましたことを深く感謝し、御礼申し上げます。
私
どもの協会は、全国の国民生活センターや、または地方自治体で消費生活相談をしている者が会員の中心になって、全国で今、会員は千九百名近く、毎日の消費生活相談を受け付けております。また、私
どもは、北海道から九州まで全国に七支部を設置いたしまして、その中で、それぞれの活動とあわせまして、私
どもの主な
事業であります、本日の
特商法と割販法に関するものでございますが、週末電話相談というのを実施いたしております。
今現在は、東京と大阪、東京は土曜、日曜やっておりますが、関西の方におきましては日曜相談、それから、昨年の秋から北海道におきましても土曜日の午後に相談を受けるというような
体制をとりまして、全国からお寄せいただきます
消費者被害について、日ごろから救済活動、未然防止活動を行っている団体でございます。
本日意見を述べさせていただく機会を得ました。私
どもの相談事例を中心にお話ししていきたいと思っております。
今回の
特定商取引法と割販法の
改正に当たりまして、私
どもも長年期待をいたしておりましたところで、今回の
改正を高く評価いたしております。ただし、何点かやはり現場の相談員といたしまして問題が残るのではないかというところを
考えております。そしてまた、毎日の
被害救済に当たっておりますので、ぜひこの法案を一日も早く成立できるように御審議をお願いしたいと
思います。
それでは、私
どもの相談員が今一番関心を持っておりますのは、
指定商品制の撤廃でございます。
今回、非常に画期的なものといたしまして、
指定商品、サービスの撤廃が盛り込まれるということに対しまして、現場の相談員といたしましては非常にうれしく思っております。利用もしやすいのではないだろうかと思っております。ただし、
原則という言葉が使われているようでございまして、ネガティブリスト化がされるのではないかというふうに思っております。
しかし、私
どもが相談を受けます中にも、以前ありましたような原野
商法、それで、原野
商法が
規制されますと今度は測量になるとかといって後追い
規制をしてまいります。そういうことがないように、ぜひ
原則撤廃を求めますが、ネガリスト化の中にきちんと、それぞれ今後御審議されると
思いますが、お入れいただければと思っております。
例えば、医療
行為の問題がございます。エステだか医療
行為なのかわからないようなところで、エステであれば
特定商取引法で解決できるところでございますが、お医者様が行っていらっしゃいます二重まぶただとか隆鼻術だとか豊胸だとか包茎というものに非常に多く相談が入ってございます。そういうものもぜひ御検討いただきたいということでございます。
それから、通信サービスの問題におきましても、
特定商取引法と割販法におきましては
商品の
指定しかございませんので、通信サービス等には現在ございません。ぜひそこのあたりも御審議をいただければと思っております。
それから、先ほど池本先生からもお話がありましたのですが、展示会
商法とあわせまして、私
どもは、今後、適正与信の調査義務も含めまして、店舗
販売についてぜひ御審議いただければと思っております。
店舗
販売で、実は私
どもの週末電話相談にこのようなものが入っておりました。
雨が降っておりまして店頭で雨宿りをいたしましたら、中にあるいろいろな着物をぜひちょっとごらんになりませんかと言われて、雨も降っておりますので、誘われたまま入っていきました。入っていった方が悪いと言われればそれまでなんですけれ
ども、やはりそこに至る、誘引された仕方というのは非常に巧妙で中に入ったのですが、その中で着物や帯を次々と着せられまして、断り切れずに
契約をしてしまった。
その後、着物の着つけができないと申し上げましたら、二十代の女性でございますので、着物着つけ教室に誘われまして、次々とまた着物を買わされた。合計三百八十万の
契約をしたということなんです。二十代の方でございますので、平均的年収を
考えましても、国税庁の調査によりますと二百五十万ぐらいが平均的年収でございます。三百八十万でしたらば支払える道理がないわけですね。こういうものもきちんとぜひ与信調査をされるときにはしていただければと思っております。
それから、割賦
販売におきましても大きな
改正をされましたので、私
ども、使いやすくなっているかとは思っておりますが、一点申し上げたいことがあります。
マンスリークリアについては、今回は外されるように伺っております。私
どもが御相談を受けた中にも、二十代の男性の方が路上でポストカードを渡されて、近くでやっているからといって展示会に勧められた。どんな絵が好きかと言われまして絵を幾つか選びましたら、とてもあなたはセンスがいい、これを買わないかということを言われたそうなんです。とてもおうちに置くような生活レベルにもないし、
支払いもないからといって何回もお断りしたそうなんですが、二百五十万の絵が最終的には百万ぐらいになって、もう帰れる状態ではなかったということで、とりあえず
契約をした。
そのときに、カードを持っていますかと言われたそうです。カードならありますと言いましたらば、カードだったらどんな
支払い方法もありますねということで、この方はマンスリークリアの
契約をしました。マンスリークリアというのは、本人にとっては早く逃れたい一心からのものであります。
今回御審議された中におきましても、マンスリークリアは現金
払いと同じような
支払い方法である、したがいまして、ボーナス
払いは二カ月以上ということで今回
規制されましたが、ボーナス
払いだとかあるいは割賦
払いのように、同じようなセールスによる誘引性がないのではないかということで、マンスリークリアというものは入らないというふうに伺っております。
しかしながら、今申し上げましたように、この事例からも見られますように、若い方、それから高齢の方では、カードを持っているという、そのカードがどういう使い方がされるのか。例えばマンスリークリアといいましても、五十五日間後であればボーナスと余り変わらないじゃないか、そういたしますと二カ月以内になってしまいます。ぜひきちんと
説明するとともに、マンスリークリアを適用から外すということはぜひ御検討を、外さないように、ボーナスと同様な取り扱いをしていただけるように、もう一度御審議をいただければと思っております。
私
どもの相談にも、以前は紙媒体であります割賦
購入あっせん
契約が多かったんですが、最近はカード
払いの
ケースが非常に多くなっております。私
どもが御相談を受けました週末電話相談では十七
年度に一一・三%、十八年は一二・六%、十九
年度は一四・七%と、毎年、翌月一括
払い、ボーナス
払いのカードの
件数がふえております。
これはどういうことかということをちょっと調べてみましたが、国民生活センターのPIO—NETにおきましても、毎年増加しております。現場の相談員としてどのように実感しているのかということを全国の多くの会員に問いかけましたし、また、私
どもの週末電話相談の中から原因を探ってまいりました。
そういたしますと、出会い系サイトなどの相談も多くなったのですが、前回の
割賦販売法の
改正で、割賦
販売協会さんだとか
訪問販売協会さんの御努力によりまして、
加盟店管理がかなり厳しくされたというように感じております。それが個品割賦
購入あっせんでなくカード利用につながったのではないかと思っております。
したがいまして、今後、カード利用というのは、どんな方でもつくれるようになっておりますので、できればカード利用のマンスリークリアにつきまして、ぜひ御審議いただければと思っております。
それからもう一点でございますが、総量
規制の問題でございます。
先ほど二十代の着物の方のお話をいたしましたが、とても一年間で支払えるような金額ではないわけです。今回の
貸金業法の
改正におきましては、総量
規制といたしまして年収の三分の一ということが明記されております。今後、
割賦販売法等におきましても何らか、先ほどお話もありましたように、今のところ、目安というものはありますが、基準というものが見えてきておりません。そういうところもぜひ御審議いただければいいのではないかと思っております。
私
どもは毎日、
消費者の
被害救済、そして未然防止、
拡大防止に当たっております。一日でも早く
被害の救済をされることを願ってやみません。また、適格団体として昨年十一月に認定されました団体でもございます。そういうことも含めまして、私
どもは今後、未然防止、
拡大防止にも力を強めてまいりたいと
思います。
今回の消契法の中でも、
特商法、景品表示法が適格団体として差しとめ請求ができるように
改正されました。とても私
どもとしてはうれしく思っております。ぜひこの機会におきまして、一日でも早くこの法案が通りまして、
被害者が安心して、安全で、そしてなおかつ公平に救済を受けられる法案ができることを願ってやみません。
以上、ありがとうございました。(拍手)