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北神委員 ぜひ、その点、
お願いをしたいというふうに思います。
また同じような趣旨の
質問なんですが、一応、
大臣ももう重々御承知かもしれませんが、御参考までにちょっと申し上げたいのは、二十一年度の
相続税の総合的見直しという言葉が書いてありますが、大体私の
経験からいえば、主税局が見直しと言う場合は大体増税なんですわ。これは大体そうなんですよ。課税当局としては、私は、今の財政再建の中で、彼らは彼らの仕事をやっているというふうに思います。ただ、これは政策税制ですから、我々は、そこの点は、せっかくやるんでしたらやはり効果のあるものにしていかなければならないというふうに思います。
資料の二ページ目を開いていただきますと、これは昨年の政府税制調査会「抜本的な税制改革に向けた基本的
考え方」というところから抜粋をしましたが、
相続税の箇所について、今後の方向性について述べております。これを見ると、全部もう増税にしか向いていないんですよ、方向性が。
まず下線のところだけ読みますと、「
相続税の
負担が大幅に緩和された結果、」これは先ほど
川北審議官が
大島委員に対してお話しをしたように、バブル
時代に基礎控除を引き上げたりいろいろしてきた、その結果、「年間死亡者数のうち
相続税の課税が発生する割合が四%程度まで減少するなど、その資産再分配機能や財源調達機能は低下している。」と。財源調達機能というのは、要するに税収が足りないということでありますから、これも基本的に増税の方向であります。
三ページ目を見てみますと、「以上の
相続税を巡る環境の変化等からすれば、これまでの改正により大幅に緩和されてきた
相続税の
負担水準をこのまま放置することは適当ではなく、
相続財産に適切な
負担を求め、
相続税の有する資産再分配機能等の回復を図ることが重要である。」ということですね。
それで次に、課税方式については、先ほど申し上げた遺産課税、純粋な遺産取得課税方式に改めるということがニュアンスとして出ているわけでありますし、もう一つ、わかりやすい話としては、3の基礎控除と税率構造については、「前述の通り現在の地価はバブル期以前の水準まで低下しており、また、
相続税の担税力を有する層は拡大している。」と。
相続税を払ってもらえる
人たちはどんどんふえているということであります。
次の四ページに移りますと、「格差の固定化の防止や老後扶養の社会化に対する還元」、格差の固定化の防止というのは、要するに
人生のスタートラインを大体平等にすべきだということですから、恐らく
相続税をたくさん取らないといけないという発想だというふうに思いますし、老後扶養の社会化というのは、これはちょっとどうかと思うんですが、年金とか医療とか、この辺の
制度が充実をしているから、今までだったら老後の不安のためにお金を、財産を蓄積しないといけないけれども、ここまで社会的な保障が行き届いていたらそういう必要もないという意味合いで、これも恐らく
相続税をより多く取らないといけない。こういう「今日的な
観点も踏まえれば、地価上昇時に引き上げられ高止まりしている現在の基礎控除の水準は引下げが適当」だと。
基礎控除の引き下げですから、より多くの
事業承継者、
事業会社がこの
相続課税の
対象に入ってくる可能性が高まるということであります。より
相続税を払わないといけない。今かなりの方々が払わなくていいわけですから、その基礎控除を引き下げれば、課税最低限が下がるということでたくさんの企業が
対象に入ってくる。
もう一つは、「現在の基礎控除の定額部分は、分割困難な農家及び
中小企業の
相続を考慮し、」つまり、これは
中小企業の
相続を考慮して基礎控除の定額部分というものを設けていたということですが、その「一定額を基礎的に控除する趣旨で設けられたが、その後の各種
特例の整備に伴い、当初の意義は低下している。」「最高税率を含む税率構造のあり方についても、格差の固定化の防止といった
観点から検討する必要がある。」と。
最後に、
事業承継税制の部分があって、これは基本的にさっきの
税制改正要綱と同じ趣旨でありますが、一番最後の下線の文章を見ていただくと、「
相続税制全体の見直しの中でさらに検討を進めることが必要である。」と。これはちょっとニュアンスが違って、
税制改正要綱の方は
事業承継税制の
制度化が主で、それにあわせて
相続税の総合的見直しを検討するということでありましたが、これは
相続税制全体の見直しの中で
事業承継を
考えるべきだと。ニュアンスは違うけれども、
相続税制見直しが
前提となっているように書かれているわけですから、これもやはり気をつけないといけない表現だというふうに思っております。
ですから、
大臣に申し上げたいのは、
法案の趣旨、これはすばらしいことだというふうに思います。私も昨年
議論を、ちょっと無謀な
議論でしたが、やはり個人資産と
事業資産というものをいかに明確に分けるか。少なくとも、疑似的に、
法律上、
事業用資産というものを分けるという意味で納税猶予
制度というのが設けられたということは、私は一つの非常に大きな転換だというふうに思いますが、実際申し上げたいことは、はっきり言えば減税額なんですよね。今の現行の自社株の一割の減免措置の中でどのぐらいの減税額があって、そして、今回決めた八割の納税猶予によって、現行の
相続課税の
制度、今の
相続税制度の中でどのぐらいの減税額が発生するのか。
というのは、総合的見直しをしたときに、これは当然、全体が増税されるわけだから、この
事業承継税制の効果というものは少なくとも多少は相殺されるわけです。ここと比較をしないと、実際ちゃんと、
大臣がおっしゃったように、この
法案の趣旨に配慮をしてくれたのかということが担保をとれないというふうに思うんです。
ですから、そういった意味で、まずお聞きしたいのは、今の
相続税の
制度のもとで今回の八割の納税猶予を導入した場合はどのぐらいの減税額を見込まれるのかということをお聞きしたいというふうに思います。