○
甘利国務大臣 G20を経験しまして、つくづく、
日本が新しい提案をひっ提げて、それを国際ルールにするということが大変な努力が必要だということは実感しました。
もともとCOPの
会議というのはEU主導で進んでいますから、その中に新しい
枠組みを打ち出すということは、それぞれ旧来の
枠組みに従って動いている
経済主体もあるわけでありますから、それが自分の思惑が外れちゃうということは
経済的損失になるということもあるんでしょう。ですから、新しい
枠組みを持ち込むというのは正直なかなか大変な経過でありました。
過去、かつては、まさにそのセクトラルアプローチを新しい
枠組みとして持ち込むなんということは、それこそローマ教会の前でそれでも地球は回っていると叫んでいるガリレオの
思いだなんという話がありましたけれども、しかし、それは徒労ではなかったんですね。私もいろいろな
経済大臣の
会議でこの提案をしてきました。そこではかなりの支持を得てきました。
つまり、何で支持を得たかというと、考えてみれば損なことないねということですよね。
技術の移転がされる、石油もそれだけ使わなくて済む、設備が更新されるから競争力もつく。考えてみたら損なことないじゃん。しかも、資金スキームまでできればウエルカムに決まっているということで、支持を少しずつ得てきたんです。
今回は初めて
環境大臣の入っている
会議で提案をしたわけです、こんな話は初めて聞くよという人
たちのところで。そこでは何が拒絶反応であるかというと、もしかしておれ
たちも義務を負うの、いいことは受け取るけれども、義務を受け取ることは冗談じゃないよという
思いが一つある。それから、従来の
枠組みがなくなっちゃうのと。例えばCDMなんというのはお金がついてきてこっちへやってくれる、ハッピー、これがチャラになっちゃうの、つまり、従来の途上国にとって歓迎すべき
枠組みがなくなっちゃうんじゃないだろうねという警戒感なんですね。
だから、我々は全部チャラにしてしまって、何もかもこの方式で、そして途上国も相当義務を負うぞと言っているわけじゃなくて、このアプローチでいけば自然とみんなが達成できるでしょうということを理解してもらうということが大事だと思うんですね。それが、今までやってきたのが少しずつ浸透してきているなという感じはしました、初めて
環境大臣には
説明したわけですから。
そこで、セクトラルアプローチ一色。ということは、
日本提案を国際
会議で二日間にわたって議論しようなんということになったのは、これは前進だと思うんですね、もう即刻否決されちゃって話題にもならないんじゃなくて、それ一色になったわけですから。
その中で、先進国からは、総量目標を達成するための必要条件であるという某EUの一国からの発言もありました。途上国も、有用性は認める、だけれども、我々に即義務を課すというのであれば警戒をせざるを得ないという感じなんですね。全面否定じゃないというところがみそだと思うんです。
長くなって済みません。それから、
会議が終わった後の
日本とEUの高級事務レベル
会議というのをやったんです。その中で、議事録がありますけれども、EUからは、私が前進があったと思う二つのことがありました。
一つは、セクトラルアプローチは有効な手段であるということは認めますという明確なEU側からの事務レベルの発言。それからもう一点、我々が主張しています公平な基準年、一九九〇年というのは特定なところに有利に働くじゃないかということで、公平な基準年をずっと主張してきたんですが、それに関してもEU側からは、一九九〇年を聖域だと思っているつもりはない、新しくEUでEU指令を出しているのは、基準年は二〇〇五年だという発言があったんです。これは物すごい前進だと思うんですね。
ですから、まさにむなしい
思いで叫び続けてきたけれども、ボディーブローでかなりきいてきて、実は彼らもいい点は認めざるを得ないというふうになったのは確かなんだと
思います。これを二〇〇九年末のCOP15までどうつなげていくかということですね。ここで新しい
枠組みが決まるわけであります。
途上国に私はバイ会談でも強く言ったのは、あなた方は自分
たちにも
成長する権利があると言っているでしょう、
成長する権利がある、
成長もしていいんです。なおかつ地球
環境に貢献できたら、こんないいことはないでしょう。セクトラルアプローチというのは、まさに
経済成長と
環境貢献を両立させる手段なんですよということをずっと言ってきたわけであります。
そこで、彼らは、今度は、共通だが差異ある
取り組みというのをどう具現化してくれるんですかということですね。だから、土俵は同じ土俵だけれども、達成年度を延ばすとか、達成割合をもっと余裕を持ってあげるとか、そこで差はつけられるじゃないか。共通で差をつけるということが大事でありますから、これをこれからしっかり
説明して、警戒感を解いていくという必要があるんだと
思います。
洞爺湖サミットまでにG8エネルギー
大臣会合であるとか、G8
環境大臣会合であるとか、あるいはアメリカが主導する主要
経済国会合等があるわけでありますから、これらの場を通じて少しずつ共通理解を積み上げていくという努力をして、G8サミットで一遍に決めようといったって、これはもう無理ですし、そんな強引に余り押していこうとすると警戒感が高まりますから、COP15までの道筋としてちゃんと積み上がっていくようにしていきたいというふうに思っております。