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西村参考人 もしかしたら三つよりもたくさんあるかと思いますが、もし、強いて三つということでありますと、まず
最初に
日本銀行として見ていなきゃいけないことは、今、足元の問題であります。
先ほど、九十五円までいったという
お話がございましたが、
経済活動というのは、価格が、為替も
一つの価格ですけれども、価格がゆっくりと動いている部分においては、対応は比較的可能で、かつ、それほど大きな、調整に必要なコストというのは少ないんです。今まで
日本の為替というのはそういう動き、十年ぐらい前までは非常にボラティリティーが高かったんですが、最近非常にボラティリティーが低くなってきて、よい状況だったんですが、御案内のように、
米国発のあのサブプライムの問題、それが
金融不安という形になっておるということからいろいろな状況が生じている。これについては十分注意して、そして各国中銀と連携しながら対処しなきゃいけないというふうに
考えております。
それからもう一点は、
日本銀行が持っている
政策の、できることということですが、
日本銀行は、基本的には、今、金利
政策に、伝統的
政策に戻りましたので、金利です。金利ということは、マクロの金利を一本として、最も望ましいという形に持っていきたいというふうに
考えております。ただし、これだけばらつきが大きくなりますと、マクロの一本ではなかなか難しいということになります。
その
意味で、私は非常に重要だと思っているのは、
日本銀行が持っている
情報を集める能力というものだと思っています。
日本銀行としましては、特に地方の支店をできるだけ活性化して、そこに
情報がたまり、そしてその
情報がうまく流れるように、
情報がたまるだけではだめで、流れなきゃいけないわけですが、その流れを円滑にするように、
組織も
考え、そして職員の意識も今向上していっていると思います。と申し上げますと、例えばさくらレポートというのをこの間から、一年ぐらい前からですか、始めました。あのさくらレポートを読んでいただくとわかりますが、いかに地方の支店がいろいろと
情報を集めているかということがわかります。
ただ、必要なのは、
情報を集めて中央に流すだけではなくて、中央からの
情報を地方に流す、そして地方の中にある
情報を地方間で流すということがやはり重要ですので、それまでにはまだいま一歩かなというふうに思っております。そういう
意味での今後の精進というのは必要だというふうに思っています。
第三点は、
金融システム、今アメリカで起こっていることは、この
金融システムに対するいろいろな不安が生じてきて、それが実体
経済に大きな
影響を及ぼすという形になってきております。この
金融システムのかなめというのが、実は、やはり今でもこれは
銀行なわけです、商業
銀行であるわけです。商業
銀行というかなめがしっかりしていないと、そこでリクイディティー、流動性が枯渇するといろいろな問題が生じるというのは
皆様御案内のとおりだと思います。
この商業
銀行の最終的な流動性を見、そして問題が生じないように、常にうまく流動性が流れるようにするというのが
日本銀行の
役割であります。そういう
意味をこれからもきちんと、これは
中央銀行の最も
中央銀行である使命ですが、この使命を守るというのが
日本銀行の
役割だと思います。
最後の二つを両方あわせますと、
情報を流し、そして流動性を流し、円滑にし、そして
日本の
経済の、
企業が、
企業というのは単に営利
企業だけじゃなくて非営利
企業も入れたものですが、それを入れて、それから地方自治体とか、そういう
企業体を含めて、それがうまく発展していくというふうな土台をつくるというのが
日本銀行の
役割だというふうに
考えております。