○近藤(昭)
委員 従来の
考え方を何も変えたわけではない、もともと人道上の問題があるという理解であったということであります。
そこで、
大臣、人道上の問題ということをおっしゃられました。きょうは、お手元にコピーの資料を配らせていただいております。私は、もちろん私自身も戦後生まれであります。戦争というものを経験はしておりません。しかしながら、政治の世界に入る前、また入ってから、いろいろと話を聞く。そういう中で、言葉で言うと、死ぬとか殺されるとか爆死するとか、ある意味で、もちろん言葉からくる悲惨さもあるわけでありますが、一方で、言葉はやはりそのまま、例えばきれいと言うと語弊があるかもしれませんが、そのまま
流れていってしまう。
しかしながら、爆弾で死ぬとか爆殺される、手足が吹き飛ぶとかというのは、言葉で言ってもそのまま
流れてしまいますが、例えば手足が吹き飛ぶということは大変な苦しみ、命を失う、あるいは命を失わない中で大変な苦しみを持っていくわけであります。そしてその後、人生が変わっていく。もちろん、障害を持つ中で生きがいを持って頑張っていく、それは一人一人の生きざま。しかしながら、やはりその手足を失う、けがをする、そのことによって人生が大きく変わっていくわけであります。今
大臣もおっしゃったように、人道的にこのクラスター爆弾は問題である。私は本当に、一人一人の命、一人一人の人生というものを大事にしていかなくちゃいけない。
そういう中で、御承知かと
思いますけれども、クラスター爆弾の被害者の方がNGOの招きで初来日をしているということであります。お手元に写真のコピーを配らせていただきました。四枚ほどあるわけであります。セルビア出身のブラニスラブ・カペタノビッチさん、現在四十二歳であります。皆さんのお手元に配ったコピーに番号がついておりますが、一番のところが若いころ、青春時代、サッカーが大好きな青年であったわけであります。そして、二番の写真、これがユーゴスラビア軍で不発弾の
処理をしていたころであります。前列左から三人目が彼の写真であります。
そして三番目、被害に遭い、入院。彼は不発弾の
処理をしていた。そして、クラスター爆弾に触れるというよりも、クラスター爆弾というのは非常に不発が多い。それは現地で、戦場において、草むらもあります、池もあります、いろいろな
状況の中で不発が起きていく。彼の場合は、草むらに落ちた、やわらかいところに落ちた爆弾だったと思われるわけでありますが、そこに
処理のために入ろうとした。多分、本体に触れる前に草に触れたことによって爆発が起こり、それによって被害に遭い、そして入院、サッカーもできなくなり、まさしく人生が変わっていった、青春を奪われた。この病院で寝ている姿であります。両手両足が失われた。
そして、四番目の写真は、世界じゅうを回って、このクラスター爆弾がいかに人を傷つけるか、そのことを世界で訴えて回っている。この写真を皆さんのお手元に配らせていただきました。
彼は、四年間の入院生活で二十回を超える手術を行っています。きょうは、ちょっとクラスター爆弾の
一つの種類の模型と、そして、本当の爆弾の破片といいましょうか一部、大きな本体から爆弾が投下される、それが空中で分かれて、こういったものが百とか二百とかそういった数で落ちてくる。そして、統計にもよりますが、五%から三〇%ぐらいの不発が起きる。その不発弾に触れて多くの人が命を失う。それは戦闘員だけではない、かなりの子供たちが、特に男の子が。それはなぜかというと、こういったものに関心を持ってさわろうとする、そういう中で被害に遭うわけであります。
この包みの中に、さらにたくさんの小さな弾みたいなものが入っている。これが爆発をして飛び散るわけであります。あるいは、これは一部でありますけれども、こういったものも飛び散ってくる。先ほど申し上げましたように、爆弾が爆発する、それで傷を負うと、言葉で言うと何となくさらっといってしまいますが、こういったものが物すごいスピードで、勢いで体に飛んでくるわけであります。そして体を傷つける。もう一方で、今申し上げた小さな弾がたくさん飛んでくる。
ですから、彼がなぜ二十回も手術をしたのかというと、それは、麻酔をかけて小さな弾を除去していくわけでありますけれども、麻酔が効いて手術ができる時間というのは限られているわけですね。ですから、例えば何百も体にそれが入れば、一回に除去できる数が限られている。だからこそ、四年間にわたって二十回も手術をして、徐々にやっていかなくちゃならない、こういうことなわけであります。
私も、十五日火曜日に、院内の勉強会で直接本人に会って、お話も聞かせていただきました。彼の言う、クラスター爆弾は防御の兵器だ、こういう言い方をよくする、あるいは、侵攻してくる敵を防御のために攻撃する防御のための兵器だと。しかしながら、これが相手国の侵攻を防ぐ
目的であっても、不発弾がたくさん残って、戦争中あるいは戦後、戦闘が終わった後もそれが一般の人を傷つける、まさしく攻撃の兵器だ、こう言っているわけで、そのことは、本当に彼の言葉に説得力を持って私は話を聞いたわけであります。
カペタノビッチさんは、
外務大臣とも面談をしたい、こういう
要望であったようであります。
外務大臣もお忙しかったのかもしれませんが、副
大臣がお会いになった、こういうふうに聞いております。しかし、彼は世界じゅうを回って、セルビアの大統領、ノルウェーの総理、ベルギーの外相。
今、
高村大臣もおっしゃった、人道的に問題だというのはわかっていると。そうでありますならば、いかにこの兵器が人道的に問題があるかということを、やはり直接その被害者の人に会って、現場で苦しんだ、そして今世界を回ってこのクラスター爆弾の危険性を言っているカペタノビッチさんにはぜひ会っていただきたい、そう思うわけであります。
大臣、いかがでありましょうか。