○丸山和也君 時間の制限もありまして、いろいろ聞きたいことありますので、
死刑の問題はこのくらいにさせていただきまして、改めて
法務大臣の軽妙な
発言によってこの
死刑問題がクローズアップされたということについて大変喜ばしく思っております。
それから次に、自殺の問題に移りたいと思うんですけれ
ども。
まず、先般、自殺対策基本法というのが制定されまして、それに基づいて自殺の総合対策というのが決定されてまいりました。それでこの問題について
法務省がどういうふうに関連があるのかと思われるんでしょうが、私はこれは、自殺の問題というのは、確かに
日本は年間三万人以上の自殺者が九年連続ですか、発生していると。自殺大国と言われています。私は、
日本は
世界で二番目かと思ったら、まあ細かく数えますと
世界で九番目だと。ただ、その一、二、三とかいろいろある国は旧ソ連邦あるいは東欧とかそっちの国でして、いわゆる大国というのは変ですけれ
ども、大国の中ではロシアに次いで
日本が第二位というふうに言われて、まあ自殺大国と言われても仕方がないという、悲しい現実でありますけれ
ども。
これ、それに国が着目しまして、何とか自殺を減らそう、また遭われた遺族なり周辺に対していろんな援助なり支援、サポートしていこうと、これは非常にいい
取組だと思うんです、大変評価したいんですけれ
ども、やはり
一つそこから欠落している部分があるし、それはどちらかというと
法務省の所管の仕事じゃないかと思いますのでお聞きするわけでありますけれ
ども。
これはばかにならない問題ですね。例えば、三万人というと、それはやっぱり家族がおりますから、例えば四人家族としますと三、四、十二。それから、更に未遂者も含めると、もっと関係する家族なり関係者が多いと思うんですけれ
ども。
自殺が発生したとします。現実の話で、私も
鳩山大臣流に私が体験した
事件を
お話ししますけれ
ども、ある家族から相談を受けまして、御主人が亡くなったと、自殺したと。それで、小さな事業をやっていまして借金が何千万かあると。この自宅を売って返済して、家族としては悲しみを乗り越えて新しい生活をやろうと、こういうふうに決意して、そのために相談に来たわけでありますけれ
ども。
実際、自殺が公表というよりもまあ世間に知れた場合、その売却しようとしていた自宅、自宅で自殺が発生したので、自宅が売れないんですね。なかなか売れない、あるいは売れたとしても半分以下で買いたたかれるとか、そういうことでなかなか、不動産の処分ということにまで自殺の影響が及ぶ。これは、まあマーケットだから関係ないじゃないかと言ってしまえばそれまでの話なんですけれ
ども、やっぱり
日本における自殺に対する物の見方、とらえ方、あるいは人権意識、こういうのが微妙に絡んでいると思うんですね。
そこで私が取り上げたいのは、情けないかな、
裁判所である判決が出ています。この判決は、ある地方
裁判所の判決なんでありますけれ
ども、結構大きな
意味を持っていまして。
簡単に事情を言いますと、あるマンションで、これはもう公表されていますけれ
ども、あるマンションで奥さんが亡くなられた。自殺ですね。それで、子供さんの、障害児だったようです、子供さんの行く末をいろんな悩まれて自殺されたと。それで、あと御主人とお子さんが残されて、御主人はまたその後だれかと再婚されて、同じうちでさらに自殺の発生した六年半ぐらい住まれていた。ところが、家庭も落ち着いてきたんで、再婚家庭も落ち着いてきたので新たに別のところに住居を新築、買われてそこに移転しようとしてそのマンションを売却された。
これはまあ不動産業者も入って売却したんですけれ
ども、買われた方ですね、これも家族ですけれ
ども、買われてしばらくしてから近所から風評を聞いた。どうやらあそこは自殺があったらしいマンションらしいよということで、六年半以上も前のことなんですけれ
ども、それを取り上げまして、その売買契約の解除、要するに売買の目的物に、要するに契約の目的を達しないと、瑕疵があったということですね、まあ法理的構成ですけれ
ども、それで売買契約を解除を申し立てた。
それで、もちろん売主側としては、そういう、もう六年半も前のことだし、人の死は何も物件価格に影響するわけでもないし、幸せな生活をその後営んで、我々もそういう理由で転居するだけだから何も問題ないと、そういうことを告げなかったからといって売買契約に瑕疵があると思われないというような答弁をやるんですけれ
ども、何と
裁判官が、こういうふうに言ったんですね。
これは
裁判官の見解なんですけれ
ども、やっぱり、これは建物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景に原因する心理的欠陥であり、これも瑕疵と解すると。要するに、忌み嫌うべき、嫌悪すべき事情なんだと、自殺というのはね、だからそれはもう契約の目的を達しない、解除してもいいんだと、こういう
一つの、まあ判官も個人ですから見解を述べるのは自由なんでしょうけれ
ども、明らかに自殺に対する偏見と差別的
発言なんですね、これ、見方じゃないかと私は思うんですね。
だから、こういう一地方
裁判所の判例ですけれ
ども、これが
一つのベースになりまして、不動産取引の中でもこれは非常に重要な問題としてされているんですよ。現実の問題としてそれはおかしいじゃないかと、じゃ何年、六年半、十年以上前はどうなんだとか、際限のない問題なんですけれ
ども。
ここら辺について、やはり
法務省としてはこういう、自殺の防止ということだけじゃなくて、自殺にまつわる差別とかあるいはその家族の苦しみというところから、観点から、自殺を忌み嫌い、またそれに伴う差別ができるだけ発生しないように、しかも商業取引までにそれが及ばないような何らかの啓蒙活動というか、そういう視点で指導をしていただきたいと思うんですが、
法務大臣、このような
考え方についてはどのようにお思いでしょうか。