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国務大臣(
若林正俊君) さて、この諫早干拓についておっしゃられた御指摘は、当初、議論を始め、事業に着手するための
調査段階から、そして今日ほぼ完成をしました、その後、営農をどうしていくかという全体にわたって、現地まで行かれていろいろ
調査をされた、そういう中で問題を整理をされたことだと
思いますが、限られた時間でこの干拓事業の、特に諫早干拓について
委員に御納得いただけるように御説明するというのは大変難しいことでございますので、大筋について
お話を申し上げますが、そのような御
関心を持っていただくことは有り難いことでありますので、この事業を担当している者から、また
委員の御都合をお伺いして御説明をさせたいと
思います。
しかし、是非御理解いただきたいのは、この諫早湾の干拓事業というのは、元々この長崎県、平たんな農地が乏しいわけでございまして、大
規模な優良農地というのがない土地柄でございます。しかし、そこで
農業をやっている
人たちは、もう何とか
農業の
規模を拡大する農地を欲しいという、そういう強い願望が長いこと歴史的にもあったところでございます。それからもう一つは、ここは背後地が低い土地でございまして、高潮の被害とか洪水、そして常時の排水不良といったようなことから防災機能に対する要望も非常に強くて、
農業だけではありません、その
地域に住んでいる
人たちからも堤防を、しっかりとした堤防を造って安心してそこに住めるようにしてもらいたいという、そういう要望が非常に強かった
地域でございます。
そういう
意味で、昭和六十一年に事業に着手をし、今年度末には完了予定というところまで進んでいるわけでございますけれども、この諫早湾
地域では本当に度重なる水害によってずっと被害を受けてきた歴史がございます。しかし、
平成十一年に潮受け堤防を完成をいたしました。ごらんになってこられたと
思います。この潮受け堤防を完成して以来、台風とか大雨の際にこの潮受け堤防設置の事業の効果が顕著に現れておりまして、防災効果というのははっきりと現れております。そして、
平成十七年の台風十四号、これは諫早湾が直撃されたわけでございますが、それが来襲したときにも高潮を防止する効果が発揮されまして、地元からは本当に感謝されております。そういう地元の
人たちから、本当によかったというような感謝のお手紙も
大臣あてにその時点でいただいているというところでございます。
この干拓地は、そういう
意味で、
農業生産の
生産地を拡大するというだけじゃなくて、防災的な役割を果たすということを併せ行うような形でこの干拓事業が行われてきたということをまず御理解いただきたいと
思います。
そして、この干拓地につきましては、本年八月に、長崎県の
農業振興公社が入植をするといいますか、ここで営農をする人の希望を募りましたところ、新たに造成をする農地面積が六百八十ヘクタールあるわけですが、その一・五倍に当たる九百九十六ヘクタールの応募が寄せられております。
これらの応募した
方々に土地の条件、今おっしゃられた、雨が降れば軟弱で大型機械が入らないかもしれない、それは土地によって違うんですけれども、そこで営農をする
人たちにはその土地条件も十分御説明もした上で、それに合ったような形の営農をするということをしっかりと納得の上でこの土地を利用するようにしていただかなければいけないと思うんですね。話が違うといったようなことになって後でトラブルが起きるようなことがあってはならないと、こう思っております。
そして、この二十年度からは営農が開始されることになるわけですが、一気に、絵にかいたような形で大型営農がそこで直ちにすべて
展開するというようなことは
農業の特性からいって難しいですよね。ですから、そこに入った
人たちと営農指導をする普及事業などとがしっかりと連携を組みながら、
現実に即して着実な営農が
展開されるようにしていかなければいけないと
思います。
なお、御指摘になりました、ここに入る人が前持っていた土地を荒らしちゃうんじゃないか、耕作放棄するんじゃないかということでございます。これは営農、ここに入る
農家を選定するに当たって、そういうことがないように、今までの土地が利用可能な土地である限り、周辺で希望する
人たちにはこれをあっせんをして、その
人たちが利用できるような形で、全体としてやはり農地の有効利用が図れるようにするということは大事なことだと思っております。