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国務大臣(
若林正俊君) 三つの重要事項について御指摘あるいはまた御
質問がございました。
まず、
生産、米を中心として考えますと、米の過剰
状態というのは依然として大きなプレッシャーになっているわけでございますから、
水田農業をどのように活性化していくかということが
農政の大きな
課題であり、そのことがまた品目横断の
経営対策の中心になっているわけでございます。
その中にありまして、今までこの三十年余に及びましていわゆる減反
政策というものに取り組んできたわけでございますけれども、受け止める側からしますと、実はJAも含めてですけれども、頭からの強制減反反対だと、つまり押し付けの減反は反対だという声が常にございました。そういうにもかかわらず、しかしお米が
農業者の側からしますと有利な
状況であるだけに、どうしても我が
地域にあってはやはり米が中心だと、我が
地域も米だというようなことで、言わばそれぞれの
地域の特性に応じて他の作物の導入ということを考えていただこうとしても、自主的にはなかなかできないものですから、どうしても国から県、県から市町村というふうに、言ってみれば減反面積、それはまた
生産面積、
生産量でもあるわけですが、それを割り当てるというような形で下ろしていったわけでございます。
しかし、行政側が下ろしていくというのは、いろいろきめ細かく配慮してもどうしても画一的にならざるを得ない。米も結局は商品でありますから、米の商品特性を見ながら、そのニーズがどういうニーズであるかというのに合わせてそれぞれが
生産をしていくという
意味で、
生産者側も消費者の需要、意向というものに合わせて作っていく、米とても例外ではない。
そういう
意味で、品種でありますとか、あるいはそれぞれの
地域の持っている特性の銘柄でありますとか、そういうようなものから、あるいは
生産者側の組織が消費者側の組織と結び付いての特殊な販売ルートをつくることでありますとか、そういうことをやっぱり生かしていかないと、米の消費の拡大、あるいは米の安定した
生産関係ができないんじゃないかというような反省がございまして、種々論議を尽くした中で、ひとつ
生産者そして
生産者組織であるJAが中心になりまして、市町村段階で市町村長、あるいはJA、
農業委員会、それらの
関係者の
皆さん方で、市町村のレベルで協議会をつくっていただいて、その
皆さん方が
地域に合った作物選択をする中で米をどう位置付けるかということを決めていただきたい。もちろん行政は
責任回避をしませんから、行政側として需要を見込んで、全国レベルではこのぐらいの
生産目標、都道府県別に見ればこのぐらいの、これらの
生産目標、そして市町村段階に至ればこのくらいのことが一つの目標になるんじゃないかという情報提供をしまして、そしてアドバイスをしながら、主体はやはりJAを中心とした
生産者の
皆さん方が主体になって米の
生産量、
生産目標というのを決め、併せて米以外の作物もその中に取り込んでいただこうと、こういうふうに組み立て直したのが今度の品目横断の制度の中核でございます。
それらが、この初年度でやってみましたところ、私は、いろいろ御批判がありますけれども、私は意外とそれぞれが上手に対応してきているなと思うんです、全体として見ますと。にもかかわりませず、その予定した
生産目標を超えて
生産をしたという
地域も相当数ございます。県別に見ますと、今三十三県ほどがそれを超えておりますが、それを更に
地域まで下ろしていきますとなかなかうまく調整ができなかったというようなことがございまして、全体として見れば目標としていた作付けを超えて作付けされていると。そのことが、今年産の作況が九九であるにもかかわらず、全体として余剰と見込まれる、需要を超えた
生産が行われているというようなことが生じてきておりまして、そのことが背景になって米のセンターでの価格が低下傾向を示していると、そんなことになっております。
その
意味では、それらの行政と
生産者諸団体と、その
関係が、流通業者も入ってもらっていろいろ計画を立てる、そこのところの関連はもっと密にしながら、行政側も必要によってはもう少し入り込んでそこをちゃんとしていったらいいんじゃないか、そんなように思うのでございます。そういう第二ステージに入りました段階におきまして、初年度でありますからいろいろな試行錯誤もあったと
思いますけれども、この筋を更に一層強化をしていかなければならないんじゃないかと、こういうふうに思うのでございます。
そして、実はこの制度を進めていくに当たって、
委員が三番目に御指摘になりました産地づくり交付金の役割でございます。これは非常に大きな役割を担っていると私は思うんです。その
地域は米だけに頼っているわけにはいかない、米以外のものをどうやって作っていくのかという
意味で、その産地の中で有効な農用地利用を進めるための
施策をするに当たりまして、そういう
生産体制を整えていくその
前提として、
水田における
水田農業ビジョンというものを作って、その実現に向けて進めていく活動に対して産地づくり交付金というものを援助することによりまして、その
地域の実情に応じた特色のある産地づくりに向けた取組を
期待をいたしているところでありまして、制度
自身はその
意味で私は評価されているというふうに思うわけでございまして、
委員がおっしゃられましたように、この三年間のいわゆるゲタと称する助成の仕組みの上に、特別のこの個々の交付金を有効に活用をする助成策に特色を持たせまして、この三年間これを続けていくというふうにしているわけでございます。
それで、
平成二十二年度以降の取扱いにつきましては、この
対策の効果を検証をしなければなりません。この効果を検証しながら、米
政策改革の
施策の方向の検討と併せまして、
関係者と十分に話し合っていきたいと、このように考えております。この三年というのは、一定期間ごとにこの
対策の効果の検証をしながら、必要に応じて内容の見直しを行って情勢の
変化に的確に対応していくという趣旨でございまして、この制度はその後も継続して実施していくという基本は大事にしていかなきゃならない、こんなふうに思っているわけでございます。
三つ目の、三点でございました。
予算委員会でもそうでありましたし、当
委員会においても既に多くの指摘をいただいているわけでございますけれども、この十九
年産米が、今申し上げましたような背景の中で、この価格の低落が起こっていると、そのことが大変
生産者の中に不安や混乱をもたらしているのではないかという御批判がございます。何か手を打たなきゃいけないということをおっしゃっていただいているわけでございまして、私どもとしても、この米の
生産者がこのことによりまして不安を持ち、そして将来展望を失うというようなことになってはならないというふうに考えておりますので、このことについて、この
経営対策、その
担い手の
経営対策も含めまして、この低米価によります影響というものを何とかここで少なくしながら
対策を講じなければならないと思っているわけでありますが。
ただ、いろいろ御指摘になっております政府の買上げによって対処しろということにつきましては、もう
委員御
承知のとおりでございまして、我々政府は法律の範囲内で、違法にならないところで対処していく
責任があるわけでございます。その
意味で、今の食糧法は、そういう下落が起こったときに、それを下支えするために政府が買い入れるということを、買い入れ、かつこれを隔離して、場合によっては食用に供さないような用途も念頭に置いた
対策を講じろというのは、今政府が認められております食糧法上の買入れというのにそぐわないわけでございまして、政府の買入れは不作の場合における需給を回復するために備蓄として持つということに限定されているわけでございます。その備蓄の運用の範囲で、市場価格などへの悪影響がないような形でこれを運用していくということにならざるを得ないわけでございます。
今、適正備蓄は百万トン程度というふうに定められているわけでございます。この今の在庫量は七十七万トンということでありますから、若干の余裕はあるわけでございますけれども、それらの百万トン程度という備蓄の枠を念頭に置きながら、その中で許される範囲で運用上政府もこれにかかわっていくというような工夫を凝らさなければならないというふうに考えているわけでございます。