○自見庄三郎君 明けましておめでとうございます。
平成二十年の最初の国会でございまして、参議院のこういった
内閣委員会で
質問の
機会を与えていただきまして心からお礼を申し上げる、
委員長を始め、各党の理事の方に心からお礼を申し上げる次第でございます。
私は、
国民新党の副代表でございますが、
民主党と一緒に統一会派を、院内会派を組ませていただいておりまして、まだ名前は正式に実は決まっておりませんけれ
ども、大変、
民主党の
方々からこういった
質問の
機会を与えていただきまして心から感謝をいたしております。
さて、今年になりまして、
平成二十年、本当に
平成になって二十年になるのかなと、昭和天皇陛下の大喪の儀に私も
出席をさせていただきましたが、本当にあのことの印象というのは大変強烈でございますが、あれからもう二十年たつのかなと。新たに
平成の年も成人式を迎えたわけでございますから、この前も
大臣に申し上げましたように、日本国憲法の前文の一番最初に、日本
国民は国会における正当に選挙された代表者を通じて行動しというふうにあるわけでございますし、言うまでもなく国会というのは国権の最高機関でございまして唯一の立法機関でございますから、
国民から選んでいただいたその本当に重たい責任、過去のみならず歴史に対しても責任を持つというのが政治家の最も大事なところでございますから、そのことを踏まえて、今日は
国務大臣、大田
大臣と
岸田大臣おいででございますが、御存じのように
大臣というのは、
国務大臣というこの任命は親任式で宮中で天皇陛下からいただくわけでございますからみんな
国務大臣でございます。しかしながら、どの省を所轄するかというのは
内閣総理
大臣からいただくわけでございまして、何
担当、何
担当という以前にそれぞれの
国務大臣でございますから、
国務大臣としては本当に重たい責任があるわけでございますし、まあ
立場上、いろいろ所掌事務は決まっておりますけれ
ども、当然
国務大臣として連帯して
内閣に責任があるわけでございます。
国務大臣が一人反対すれば閣議というのは決まらないわけでございますから、それほど重たい責任があるということをしっかり踏まえて、両
大臣、
平成二十年、ひとつ新年に当たってしっかり国家と
国民のために働いていただきたいということを心から一議員としてお願いをする次第でございます。
さて、今年、年末から大変原油が上がっているんです。油が上がって一バレル百ドルを超えたというニュースもあるわけでございまして、私もこのお正月、選挙区に帰りましてガソリンを入れますと、もうびっくりするぐらいガソリンが高騰いたしております。このことが大変
国民生活を圧迫をいたしておりますし、世界じゅうでこれは本当に石油の高騰、特に東北、北海道は灯油が暖房源でございまして、大田
大臣御存じだと思いますけれ
ども、日本国は生活用の灯油というのを
政策的に十年ぐらい前までは非常に低く抑える、あるいは産業用の重油、C重油等々はこれも低く抑えると。ガソリンは、これは当時、昔の話でございますから、車に乗る人はお金持ちだということがあったのかもしれませんけれ
ども、これはかなり高めに設定をしてあるという産業
政策を戦後ずっと取ってきましたが、十年ぐらい前に
規制緩和だということでそういった制度も基本的にだんだん、輸入割当て制度というのをやっておりまして、前
年度に応じて輸入を割当てするという制度を作っておりまして、ですから、石油業界と製薬業界だけは、御存じのように、小売価格よりも仕入れた値段が高いというふうな、本当に変わった商行為があったのが石油業界と製薬業界だけだというふうに私は
認識いたしておりますが。
いずれにしても、今、石油文化だと、こう言われるわけでございますから、石油を抜きにして、今言いました生活も経済も産業も成り立たないわけでございますが、これがどんどんどんどん上がっていくということでございまして、このことについてちょっと
大臣の、
国務大臣としての大田
大臣、
経済財政諮問
会議の
担当でもございますが、御
認識を聞きたいというふうに思っております。
十七年前に私はたまたま通産政務次官をさせていただきまして、当時、参議院から中曽根弘文さんが通産政務次官、中尾栄一さんが通産
大臣の下で一年三か月通産省の政務次官をやらせていただきました。当時、第一次湾岸戦争が始まりましたことを今でもよく覚えておりますが、それまでは、もう
大臣御存じのように、原油の相場って大体ドバイ、中近東のドバイの要するに積出し、原油の価格が、大体それが世界の原油の値段を決定していましたよ。第一次湾岸戦争、日本も一兆数千億の金を、当時、小沢一郎さんが自民党の幹事長でございまして、よく覚えておりますが、海部
内閣で一兆数千億の、戦争が終わった後ぎりぎりぐらいに、本当に
国民の貴重なお金を一兆数千億、湾岸戦争の協力基金として出すというふうな非常時があったわけでございますけれ
ども。
そんな中で、私もよく記憶に残っているわけでございますが、当時、それから第一次湾岸戦争が終わったら、後ですね、御存じのように、今はもうすべて原油の値段を決めているのは基本的にニューヨークの原油先物市場で決まるわけですね。私はこういう人間でございますから、第一次湾岸戦争でアメリカ軍は勝利を収めました、ブッシュのお父さんの大統領の時代でございますが、これは、アメリカというのは軍も産業界も経済界も政治も一つのところがございまして、御存じのように、回転ドアですね、回転式の銃、ああいった人事をやりますから、アメリカというのはそういう国家でございます。御存じのように、軍の統合参謀本
部長が次の日は外務
大臣になると。あるいは、今の財務長官、ゴールドマン・サックスの直前の社長でございますが、今アメリカの御存じのように財務長官ですね。それから、キッシンジャーは御存じのように国務長官でございましたが、次の日はハーバード大学の教授になると。
まあ産官学と申しますか、いろいろな、あそこに行けば、もう御存じのように、共和党系、
民主党系のシンクタンクがございまして、そこにそういった
人たちが待機をしているというふうな、そういった統治方法、大統領制ですから、そういうのを取っておられるということは、大田
大臣、学者でもございますからよく御存じだと思いますが。私は、第一次湾岸戦争で勝った後、結局アメリカがニューヨークの原油先物市場に世界の市場を持っていったんだなというふうに私は思っておりますけど、まあそれはいいんでございますが。
その中で、今日は一つ、「ゴールドマン・サックスの陰謀」という、「原油価格高騰の「仕掛人」」というのを、「選択」というもうパブリッシュした
情報誌でございますからお持ちしたわけでございますが、これを読まれるまでもなく、これはニューズウイークにも、これ十二月五日号でございますが、
投機マネーが原油価格を操るという記事等々と、経済誌でも今そういう記事が多いわけでございますが、専門家によれば、今は石油の需要と供給は大体バランスが取れているということでございまして、一バレル、人によれば、専門家によれば四十ドルかなと。七十ドルかなという専門家もいますけれ
ども。
かつて、石油市場というのは、エッソだとかエクソンだとか、そういう非常に専門家だけが参入する小さな市場だったんですね。そこにどんどんどんどんいわゆる
投機マネーというのが入ってきまして、今は全石油市場の六〇%以上は実はこういった投機資本だというふうなことを言う人もいますが、どんどんどんどんそこに入ってきたと。
御存じのように、ニューヨークの先物市場、これは非常に
規制が緩いところでございまして、株式と違いまして匿名でやれるということもございまして、今はそこが、この「ゴールドマン・サックスの陰謀」という記事によると、もう既に、投機ファンドが上げた利益は既に二兆三千億を超えているというふうな記事もあるわけですから、まあ全世界の
国民が、国が、あるいは企業が原油の値上がりでもう本当に青息吐息、日本国も今度の補正
予算でそういった手当てをせざるを得ないということでございますが、一方、
投機マネーが既に二兆三千億も利益を上げているというようなことがこれは記事としてあるわけでございますし、御存じの投機ファンドというのは、それはもう
大臣御専門でございますが、短期的に売り買いを、売ったり買ったりを繰り返しまして、原油価格を基本的に操作をするということがこれには書いてあるわけですが、そしてもう膨大な利益を上げるということでございます。
私は、十年間近く、実は日本香港友好国
会議員連盟というのの、会長が羽田孜元総理
大臣でございまして、三原朝彦さんが事務
局長をしておりましたが、彼が七年間休みましたので、私が事務
局長を十年近くやらせていただいたんです。一九九七年、アジアにバーツ危機というのが起きまして、これはもうヘッジファンド、ソロスという名前、非常に有名でございますが、タイだあるいはインドネシアだと襲って、結局今、タイは短期の海外からの投機を
規制する法律を作りましたが、インドネシアもそういう法律を作っていると思いますが。
当時、私、香港の行政庁の長官だった、董建華さんといって香港のナンバーワンの人とたしか羽田先生と一緒にお会いしたんですよ。そしたら、董建華さんという方がこう言いましたよ。自見さん、我々香港にとって投資は大歓迎だと、投資は。しかし、
投機マネーが襲ってくると香港のような小さな経済ではもうひとたまりもない。特に香港の場合は不動産にヘッジファンドが、いわゆる
投機マネーが流れたようでございまして、その後香港の経済が大変疲弊をしておりまして、自見さん、G8、先進国サミットですね、あれに香港は
出席する、まあできないから、帰って日本の総理
大臣、外務
大臣に、是非このG8に行ったら、ああ、ごめんなさい、G7かもしれません、に行ったら、是非、投資マネーはいいんだけど、
投機マネーをきちっとやっぱり民主的にコントロールしないと香港のような経済はひとたまりもないという伝言をいただきまして、今でもよく覚えていますが、当時の宮澤喜一大蔵
大臣に私お伝えしたことがあるんですけどね。
やはり私は、この
投機マネーという、まあそれは確かに経済を効率的にやる、あるいは非常にというようなメリットがあるということを言う人もおりますし、確かに私はそういうメリットもあると思いますけど、同時に、
現実に原油価格はどんどんどんどん上がっていくと。でも、どこの国家も、どこの要するに公権力もそれに介入できないというふうなことで、果たして二十一世紀の人類の経済を考えた場合に、前回の
質問では資本主義とは何かという話をしましたけど、私
自身の考えを申し上げましたけれ
ども、一体この
投機マネーといいますか、これはもう巨大な金額でございますし、これをやっぱり民主的にいかにコントロールするかと。
いや、自見さん、そんなことを言っても、そんな
投機マネーだとかマーケットを
国家権力で、あるいは世界全体の権力で、少なくとも自由主義経済で
規制するなんということはそれは無理だよ。例えばアメリカだってエンロンが倒産しましたね。少し会社法厳しくしたんですよ。そうしたら、
投機マネーとかはほとんどニューヨークの今度は市場から逃げていってロンドンに行ったということで、これは
規制すればどこかほかのところに行くということがあって、それはもう巨大な勢い、激流のようなもので、それを自見さん、政治的、民主的な何か視点に立ってコントロールするなんというのはどだい無理だということを、これは日本銀行の
立場のそういった国際金融市場
担当の方から聞いたこともございますけれ
ども。
やはり私は、二十一世紀の物すごく大きな問題としてそういったことが、これはニューズウイークでございますが、超格差社会というふうにニューズウイークが出していますけれ
ども、まあ世界じゅうでグローバリズム、あるいは前回も言いましたけれ
ども、特にアメリカを
中心として、丹羽宇一郎さんが文芸春秋の三月号にも書いていますけれ
ども、米ソ冷戦構造が終わった後アメリカの資本主義が暴走し出した、もうだれも止めることができないんだと。そして、ワシントン・コンセンサスというものを、アメリカが世界経済戦略を変更したんだという話は前回の
質問のときにさせていただきました。その特徴が小さな
政府、
規制緩和、それから官から民へ、市場原理主義、それぞれ一つのタームは一見正しいようですが、それを全部合わせれば合成の誤謬ということがございますけれ
ども、巨大な世界企業に結局もうお金が集まっちゃう。どんどんどんどん一つの国でも豊かな人と貧しい人とどんどん社会の二極化が起きる。それがもう世界じゅうにそういった経済戦略をアメリカが輸出している、日本もその標的の対象になっているということを、何も、これ二十年前なら左翼の学者が書きそうな話でございますが、鴻池先生なんかは正に経済界でも有名な方でございますが、そういう経済人の、伊藤忠商事の、正に赤字の伊藤忠を立て直した名経営者で、今はもう
大臣の下で
経済財政諮問
会議の民間
委員の一人でもございます伊藤忠商事の丹羽宇一郎さんがお書きになっているわけでございますが。
まあ日本もその標的になって、その結果、非常に貧富の差が激しくなったと、二極化する。悪く言えば中産階級が全部ずり落ちていくということが
現実にアメリカでも起きつつありますし、ましてやアメリカ、中国、いろいろな、これニューズウイークの記事ですが、ほかの国でもそういう現象が起きているということをこの前福田総理に私は
予算委員会の
質問に立たせていただきましたから、そのことを鴻池
委員長の下で
質問をさせていただいたわけでございますが。
そのことについて、一体
投機マネーをどういうふうにやっぱり民主的にコントロールするかということは、私は非常に大事なことだと思いますよ。投資はいいんですよ。投機というのは、もう短期的にぱっと売ったり買ったりして引き揚げて、投資であれば、当然もう
大臣御存じのように、要するに長期的に投資をして、それから株式の配当を得る、あるいは利息を得る、あるいは長期的にその会社の株が値上がりして、非常に私はそういう
意味では外資は大歓迎でございまして、一つの国に外資が振り向いてくれないような経済であればこれは本当に寂しい話でございまして、私はそういう外資は大歓迎でございます、日本国にとっても。しかし、
投機マネーがどんどんどんどん世界じゅうを荒らし回るというのは、これはびしっとやっぱり考えていかねばならないんだと、こう思うわけでございますが、そのことにつきまして、大田
大臣、
国務大臣としての御見識をお持ちだと思いますが、どういうふうにお考えか教えていただければというふうに思っております。