○自見庄三郎君 国民新党の副代表の自見庄三郎でございます。
私のことを大変申して恐縮でございますが、私は三十八から六十まで七期、二十二年間、衆議院をやらせていただきました。十年ほど前に橋本龍太郎総理の下で郵政
大臣をさせていただきました。今回、郵政民営化に
反対ということで、前回の衆議院選挙、私の信念を貫いたというふうに私は思っておりますが、残念ながら自分の力不足で、刺客が来て議席を失ったわけでございまして、一年十か月、大変きついこともございましたが、自分が来し二十二年間、本当に国政の中枢に
参画させていただいて、まあ元々私は研究者でございますから、医師であり研究者でございますから、一体
世界というのは何か、人間とは何か、社会とは何かと、そういったことをしっかり、根源に返っていくことは、それほど私は
知識も
経験もございませんが、自分の
立場で一生懸命物を
考えてみたわけでございます。
おかげさまで、七月二十九日、今回の
参議院選挙で、国民新党の比例代表ということでまた国権の最高
機関であるこの
参議院に議席を得ることができたわけでございまして、
関係者の
方々に厚く感謝をいたしておりますけれども、私は、当選をさせていただきまして改めて日本国憲法の実は前文を改めて読ませていただいたんですね。今日おられる
国務大臣あるいは佐藤副
大臣始め皆さん方はよくお分かりだと、こう思いますけど、改めて浪人の後、日本国憲法を読んでみますと、非常にやっぱりしみ渡るようないいことを書いてあるんですね。読んでみます。
「日本国民は、正当に選挙された
国会における代表者を通じて行動し、」と書いてあるんですね。これ前文の第一条なんですよ。最初ですね。そして、主権が国民に存することを宣言し、権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、福利は国民がこれを享受すると。そして、ずっとございまして、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等
関係に立とうとする各国の責務であると信ずると。そして、日本国民は、国家の名誉に懸けて、全力を挙げてこの崇高な理想と目的とを達成することを誓うと。
これが、日本の有史以来、昭和十六年に太平洋戦争を始めた。そして、正に三百二十万人の日本国民がさきの戦争で命を失いました。アジアの中で最初に日本国が近代化を目指した国でございまして、私は今でもアジアの国、いろいろ今大変な経済的に追い上げがございますが、ある
意味で、近代国家をつくり得た唯一の国は日本国だと思っていますよ。それはもう大変な苦難があったけれども、やはり当時、十九世紀、正に弱肉強食の時代でございますから、アジアの国はほとんど西洋列強の植民地にならされた。しかしながら、当時、中国、覇権国家でもございますし、四千年の歴史の中で、アジアで中国が大体統一国家をつくっているのは二千年、分立国家をつくっているのは二千年でございますが、日本国は、正に西洋文明といいますか、産業革命あるいは近代化、中央集権国家、そういった巨大な波が押し寄せてきた、それはもう御存じのように、
大臣、ペリーですよ。
ペリーが、江戸時代二百六十年続いた封建時代に、正に浦賀に巨大な鉄の軍艦で日本国に開国を迫ったんです。正に、異文明とのもう劇的な遭遇、それを日本人は大体ペリーが来て十五年間で近代国家に、明治維新、変容できたんですよ。私は、日本国に天皇陛下という方がおられたから、私は実にある
意味で犠牲が少なく効率的に近代国家に変身できたと思っておりますし、そういう
意味では、私は天皇陛下を、保守の政治家として、天皇家を大変日本国の大事な政治的、社会的、文化的財産だと大変崇敬をいたしておりますが、中国は御存じのように当時列強から蚕食され、私は長い間、日本香港友好
国会議員連盟の、会長は羽田孜元総理で、私は事務
局長をさせていただいておりましたし、また日中友好議員連盟の副会長を、会長は高村今の外務
大臣ですよ、やらせていただいて、本当に中国が当時百五十年間、列強から蚕食されて、主権を持ちながら持っていないような、そしてそれに、大変悲劇的なことでございますが、イギリス、フランス、ドイツ、そしてアメリカ、そして最後には日本も満州国ということで加わったと、そういった帝国主義の時代に、私は、そういう歴史を通ってきたわけでございますが。
中華人民共和国、いろいろな視点があると思いますけど、私は、中国というのは百五十年掛かって、やはり孫文がした辛亥革命以来、あるいはその以前から香港を植民地化したのはたしか百六十年ぐらい前だと思いますが、それ以来百五十年間近代化に私は掛かったと思っています。それはたくさんのことがございまして、それが毛沢東を中心とする中国共産党は統一国家をつくったということでございまして、そんな歴史を振り返りながら、ナポレオンの言葉にこういうことがあるんですよ。愚人は過去を学び、過去のことばっかりくよくよ言うというわけですね、狂人は未来のことを語り、未来のことばっかり言うんだな、賢人は現在を語るというのは、私は青年のころ読んだナポレオンの言葉ですけれども。やはり我々、歴史に学ばなければ、
大臣、あしたのことも分からないんですよ。あしたのこと予想できますか。
私は本職医者でございますが、人間の生命というものは、地球ができて四十五億年、地球上に生物ができて三十五億年たつんですよ。
大臣も私も、その三十五億年前にできた生物の全部かけらをDNA中心に持っていますよ。御存じのように、
大臣、お子さんがおられるのか知りませんけど、おなかの中に赤ちゃんおりまして、途中人間の胎児というのはえらがある時代があるんですよ、えらがある時代が、おなかの中でね。
ですから、そういった中で、私は言うんだけど、月ロケット、あれ大体部品が百万個ですよ、百万個オーダーだな。大体車が十万個オーダーと言われますけど、ちょっと今ごろ増えたようですけれども。人間の体って、三十五億年の歴史と生物としてのすごい環境変化を担って生きてきた、そして約六十億個の細胞があるというんです。たったお父さんとお母さんから二つの生殖細胞が融合して、これはペアリングと、私は遺伝学ずっとやっていましたから、ペアリングといいますが。それから、六十億ぐらいの細胞があるんです。言うなれば六十億の部品があるもう極めてある
意味での生物でございますから、そう簡単じゃないんですよ。そして、人間には当然、心身一如といいますか、健全な心身に健全な精神が宿るという言葉がありまして、今、私は医学の方、科学の方はもう少し専門でございますが、どんどんどんどん発展してくると、どうも心と体は一つじゃないかということが今どんどんどんどん科学的に解明をされていますよ。
しかし、いかんせん、人間が幾ら、医学、科学、人間というのは複雑ですから、医学もあれば、当然経済学もあれば心理学もあれば比較人類学もあれば、もうあらゆる、全部合わせても、まだヴァス・イスト・デル・メンシュ、人間とは何か、まだ分からないんですよ。その謙虚さを我々人間は持つべきだと私は思っていますね。
そして、もう一点、今こういった国権の最高
機関は
国会しかないんですよ。行
政府じゃないんですよ。私は与党にしばらくいたけど、何か
大臣になるのが偉いような感じがしたよ、はっきり言えば。何かなりたいななりたいなと思って、
中川先生、一生懸命努力して、先生は今副
大臣だけど、鴻池先生も
国務大臣されましたよね。
しかし、よく
考えてみると、当たり前のことですけれども、
国会が最高
機関なんです、
国会で総理
大臣を任命して、そしてその人が
内閣をつくるんですから。それが主権が国民に存する間接制民主主義の大原則ですね。そうしますと、一番、当たり前ですけれども、国民が直接選んだ我々
国会議員が、やっぱりその歴史の任務に堪え、人間とは何かと。そして、やはりこの一億三千万人おる島国日本の、私の記憶では百九十八国家がありますよ、
政府が、その中でどうやっぱり生存していくのかということを、私は少なくとも、それに足らない人間だけれども、それぞれの議員がもう本当に命を懸けて、
世界観、そして歴史観、国家観、そして価値観を持たなければ、私は国民が不幸になると思いますよ、せっかく選んでいただけたんですから。私はその任には堪えませんけどね。そういう最高の、国権の最高
機関の議員として自分なりには一生懸命研さんをしてきたつもりですよ。
そして、正に現実には、この
国会、今
参議院においては、五十年ぶりに私が初めて出していただいた
参議院において、自由民主党だった、みんな無所属になりましたが、
参議院の議長さんが出られる。しかし、江田五月さんが五十年ぶりに
参議院議長になられたんですよ。御存じのように、さきの選挙では、私は自由民主党に育てていただきましたが、小泉さんから追放されて、やむを得ず離党せざるを得なかった。そんな小さなことは言いませんが。
それで、定数が二百四十二ですか、今
参議院ね。過半数が百二十二、あるいは議長さんの一票を入れれば百二十一ですよ。第一回目の小沢一郎さん、民主党の党首に入ったのが百十七票なんですよ。百二十一から百十七票引きますと、
大臣、分かるでしょう、四なんですよ。国民新党小といえどもちゃんと
参議院では四あるんですよ。
ですから、我々はこの郵政民営化
反対して、やはりこれはちょっと日本の国益に関しておかしいよと、地方の郵便局どんどんつぶしていって一番困るのは過疎地のおじいちゃんおばあちゃんじゃないのと。公的年金を一番もらっているのは、佐藤副
大臣はよく御存じだと思いますけれども、公的年金をもらうときには郵便局でもらうんですよ。
町村合併して、田舎のおじいちゃんおばあちゃん、私もかつて福岡県旧四区でしたから、三市十九か町村ありましたが、過疎法指定の町村が三つありましたよ。そこで私は三十八から五十歳まで十二年間鍛えられた。選挙で鍛えられるということは、全部国民の生活を見るということなんです。その人たちの本当に気持ちに立たなければだれも、みんな議員なんかよくお分かりですよ、だれも見ていないんだよ、秘密投票だから、名前なんか書いてくれませんよ、本当の話。ヒューマンフィルターを通るということは物すごく議員にとって大事なことなんですよ。
あっちやらこっちやら話が行きますけど、私、韓昇洙さんて、当時十七年前通産政務次官でしたけれども、ソウル大学のもう最高の経済学者。当時、東京大学の経済学者、同時にハーバード大学の経済学者でしたよ。私はそんな分野は余り知らなくてね。その人が最初に韓国で選挙があったときに、一族みんなやめろやめろと言ったらしいんです。
国会議員に出たんですよ。そしたら通った。非常にもう奇跡の当選と言っていました。そしたら、通った次の日に韓国の通産
大臣になった。
通産
大臣辞めた次の日に、実は私はソウルで韓昇洙さんにお会いしましたよ。私は聞いた、行って。今でもよく十七年前、鮮烈に覚えていますね。韓先生、先生は極めて
世界的に有名な経済学者だと。しかし、現実に選挙を受けて通産
大臣になったが、どうですかと言うと、こう言ったよ。自見君、私は失業率、韓国は例えば八・三%と数字しか学者のときは見えなかったと。ところが、選挙というヒューマンフィルターを経て、選挙を通していただいて通産
大臣になったら、失業率八・六、私の選挙区の確かにあそこの村外れの、要するに町工場の息子が今
就職していたけど
リストラに遭って失業しているとか、そういう数字の向こうに一人一人の国民の顔が見えてくると言いましたよ。
私は、自分自身も自戒を含めてそのことはよく分かっていますけれども、やっぱり国民の声、国民の生活、政治は生活だ、生活が政治だと、こう言って民主党さんは大勝されましたけど、それも私は一面正しいと思っていますよ。
やはり多くの国民にとって正に、まあ大田先生は有名な経済学者ですし、今
国務大臣で権力を持っておられる、国民から与えられた権力を持っておられるからそれは分からないかもしれないとは言わないけど、そんな失礼なことは言わないけど、やっぱりそこが原点なんですよ、政治というものの、民主主義国家の。
それは、民主主義国家が私は絶対ベストなものとは思いませんよ。しかし、長い歴史の中で、やっぱり独裁国家よりも民主主義国家の方がよりベターじゃないかと。今少なくとも人類が到達した、私はベストとは言いません、大変な欠陥がございます。だけど、よりベターな政治制度ではないかと、こう私は思っていますよ。
少し前置きが長くなりましたけど、我が国民新党は、これはもう記録に残りますから、十月二十三日の日に、民主党の代表の小沢一郎代表と国民新党の代表の綿貫民輔代表、我が党の代表と合意書にサインしたんですよ。ちょっと恐縮ですけれども、これも全部新聞に発表していますから読んでみますよ。
民主党及び国民新党は、両党の協力
関係を一層促進するために次の二点について合意したんですよ。二点なんですよ。郵政民営化の見直しに関する決議の
参議院提出を踏まえ、ここに
参議院における統一会派を結成すると。これは新聞にもよく載っていたね。しかし、二点目はきちっとあるんですよ。これは国民新党の
立場も強く主張したんですけど、統一会派結成後の政策協議並びに、諸活動、その他の諸
事項については、両党間で定期的に建設的な話合いをすると、信頼
関係を前提として建設的な話合いをすると。
ですから、それは民主党は尊敬しますよ、国民に選んでいただいた直近の
参議院における第一党ですから。しかし、その民主党がこの政策に賛成だって言うから自動的に我々は判をつくんじゃないんですよ。きちっと政策協議、結成後の政策協議並びに、政策協議をするんです。
で、恐縮ですけど、この自見庄三郎、国民新党の政審会長を承っていますよ。ですから、この日本国における責任が大変私は重かつ大であると、こう思っていますからね。
そして、御存じのように、郵政民営化廃止法案、これは廃案になったけど、しかし同時に、廃案になりましたけれども今度は郵政の株を凍結させる法案を
参議院議長の江田五月
参議院議長に提出させていただきましたよ。恐縮なことでございますが、光栄なことでございますが、私が筆頭提案者といいますか、提出者ですね。賛同者が二十人いて、これは民主党、社会民主党、そして国民新党、そして今日おられる糸数慶子先生もなっていただきましたし、それから川田龍平
参議院議員もなっていただきましたよ。大変感謝いたしておりますが、それをびしっと今
参議院に法律を出していますんでね。
これ、今さっき聞きまして、国権の最高
機関、衆議院と
参議院で成る。しかし、ねじれ現象なんという言葉をマスコミが言っているけど、私はねじれ現象なんという言葉は大嫌いだ。直近の民意は
参議院にあるんですよ。
そして、もうそれは
大臣は経済学よく御存じで、アメリカの議会では、まあ大統領制ですが、上院と下院と大統領とあるんですね。これ、大統領と上院の、下院のマジョリティーパーティーが一緒なこともあるけれども、一緒でないことがあるんですよ。大体、私の浅はかな、浅学な
知識、歴史的な
知識しかございませんが、アメリカは大統領と上院と下院と同じ党派、例えば共和党あるいは民主党、大体戦争を始めるんですよ。そして、選挙をしたら大体またマジョリティーパーティーは変わる。昨年の中間選挙でブッシュさんは敗北しましたね。そうすると、かえってある
意味で、何といいますか、やっぱり国民っていろんな民意を持っておられますから、それがやっぱり私は民主主義の私に言わせれば健全な姿だと思いますよ。
参議院に来らせていただいて、まあ率直に言いますよ、私も二十二年間やらせていただいたけど、
参議院は衆議院のカーボンコピーだと言われた。
中川先生、覚えてるな、よく非難されましたよ。それは、自民党とその連立政権が過半数であれば、党議決定すれば衆議院で過半数、過半数を
参議院で取れるからね。官僚機構も、与党しか相手しなくても何か右から左に大体法律が上がるんだよ。
私なんか、若いとき、もうよく訳も分からぬけど、国対の一年生で、ただ行って、入って立っていましたよ、率直に言って。それで、だんだんだんだん法律の内容が分かってきたけどね。私は医者ですから法律の専門家じゃございませんから、先生のように経済の専門家でもないからね。だけど、そのことがぶち壊れたんですよ。与党が衆議院通っても
参議院で通らなけりゃ、法律、憲法以外は全部
国会の衆議院と
参議院通らにゃ法律にならないんだから。予算は通っても予算関連法案は通らないんだから、予算なんか執行できないよ。
そのきちっとやっぱり民意を得た、それは皆さん方もいろいろ御努力いただいて悔しい思いもしておられると思いますよ。私も自由民主党のとき十か月間野党だったことがございますから、まあ本当に野党というのは苦しいときあった。そういった
経験を踏まえて、私は、よりこの日本の民主主義が成熟したと思っていますよ。このことを踏まえてきちっと、今、日本国憲法にありますように、崇高な政治道徳にのっとり、やっぱり大事なのは、日本国民の生活を守り、あるいは豊かさを守り、そして国が侵されないということですよ。
私は、政治の目的は何か、よく聞かれたら、こう言いますよ。先生の神社、ふるさとに、佐藤副
大臣も神社があるでしょう、栃木県にね。大体、神社に行ってごらんなさい、みんな、これは有村さんみたいな神社の専門家も、有村議員さんおられるけど、大体こう書いてある。天下泰平、五穀豊穣、無病息災。国が戦乱によって、どこか昔の日本で、どこか分からぬような盗賊とかどこかの国の大名が来て、わあっと来て田んぼを荒らされて、みんなたくさん殺されて、日本人の場合は、これ文化的特徴ですが、大体大名の上だけ交代するんだな、下の農民まで替わることはないんですよ。これが、ヨーロッパとか大陸にたくさんの民族がおって、皆殺しにしないとほかの民族は移民できないというところとの違いですよ。塩野七生さんの本読んだらよく書いてある。だけど、そういう中で日本文化をつくってきたんですよ。
やはり天下泰平、五穀豊穣、無病息災、これはもう千五百年も二千年も前から当時の日本国民が石に刻んで神に祈ったことですよ。変な盗賊とかほかの国の、隣の国の大名とか豪族が来て自分たちの田を荒らされて、心ならずも殺されたくないと、心ならずもできた稲を取っていかれたくない。そして、五穀豊穣。やっぱりだれでも人間であれば豊かに明るく健康的に生きたいですよ。それは無病息災だ。病気。
人類というものは、都市をつくったときに物すごく激減したんですよ。これは、私は公衆衛生というのが専門ですけど、都市つくると伝染病がはやるんですよ、だあっと。人間、人っていうものは、都市国家をつくるとだあっと人口が減るんですよ。それは中世のペスト、あれは都市、こういうことで、中世、あのころ三分の一、ヨーロッパ人、ペストによって死んだんじゃないの。日本だって、日清戦争、日露戦争の戦死者よりコレラによって死んだ人の方が多いんですよ。コレラって水系伝染病。今コレラなんかもう日本ほとんどございませんけれどもね。正に、その三つの命題、これ私は、千年も千五百年も前から、また今でも、将来でも、やっぱり政治に与えられた最も貴重な課題だと思っていますよ。
そして、今日は、そういった
意味で、少し何か私のような、勉強余りしませんけれども、今日はこのネオリベラリズム。
私は、人類なんかたくさんの思想だとかイデオロギーだとか宗教があったと思いますよ。それは古くは儒教があり、キリスト教があり、イスラム教があり、物すごい影響を与えていますよ、今でも。人間の文化、社会、経済にもね。そうでしょう。イスラム教徒は今でも利子取ってはいけません。いけないんでしょう、
大臣御存じでしょう。イスラム銀行って、今でも利子取ってはいけないんだから。アラーの神様は利子は不道徳なものだ、取ってはいけないって言っているから、今マレーシアなどではイスラム銀行は利子取っていませんよ。手数料ということでやっているようだけれどもね。
キリスト教徒も、昔は、多分ローマ教会、カソリックは余り利子を推奨しなかったんですよ。利子を取ったら余り良くない。だから、ある
意味でイタリアとかフランスは余り、何といいますか、資本主義がまともに発展しないというか、イギリス、オランダ、アメリカほどは発展しないんですよ。
一生懸命勉強しましたよ。西南女学院の講師していますので、講義に行こうと、その辺を話しようと思って。そうしたら、あそこ、ポイントは、ルターの宗教改革、それからカルビンのやっぱり予定説ですよ。それまで、中世の時代は王権神授説でしょう。王様にあなた、神様が権力を与えたというんだから。絶対的主権者で、ほかの人は何も言えないよ。正に中世の桎梏の私は基本的なイデオロギー、宗教は王権神授説だと思いますよ。ところが、ルターがこれはおかしいと、やっぱり聖書の原点に戻るべきじゃないかと、有名な宗教改革を始めたんですよ。当時のすさまじいローマ法王庁の権威に反抗した。それを経たカルビンという人の予定説。これ勉強、まあささやかな私は勉強しかしていませんけれどもね、面白いんですよ。
予定説って、人間が地獄に行くか天国に行くか、そんなことは神様が予定してあるんであって、もうそんなことは人間に分からない。神様に聞くわけにいきませんからね。そうしたら、物すごくパニックになったわけですよ、西洋
世界。一生懸命自分はキリスト教を学ぶ、聖職者になる、あるいは一生懸命善政を行った領主は間違いなく天国へ行けると思っていたんだからね。そんなことは全然ないよ、ある
意味、物すごく王権神授説の反動ですよ。今でいったら革命思想だな。これが広がっていった、だあっとね。
そして、その人たちの流れが、一つはピューリタンね。そして、アメリカに行って、まあイギリスにもたくさんおるしね。それで近代資本主義ってできたんですよ、と私は思っていますよ。あれ、カルビンが、予定説というのがなければ、今
世界に資本主義というものが私はなかったと思っていますよ、私は。
そのころ、商売だけなら大阪の方がよっぽど豊かだったんですよ。宋なんて、中国なんてよっぽど商売うまかったんだから、物すごい商業発達しているんだよ。だけど、この資本主義というものが何でできたかというと、非常に逆説的だけれども、最も禁欲的なこのピューリタニズムというか、それからあんな資本主義ができた。もう自分たちは天国行けるか地獄に行くか分からぬから、もう与えられたベルーフ、天職を一生懸命やるしかない。それで、多分間違いなく、私が勉強した
範囲では、資本主義ってできたんですよ。ですから、資本主義というのは、
大臣、常に倫理的、道徳的、あるいは宗教的にきちっとしっぽがあるものなんですよ、社会
システムに至るすべて、私はそう思っていますよ。
ところが、ベルツさんという人が、ドイツのお医者さんで、東京帝国大学初代のドイツ人のお医者さん。あの人の「ベルツの日記」って読んでごらんなさい。日本人は西洋がつくった文物、社会制度を取り入れるのが物すごくうまいっていうんですね。明治時代の話。当時、もう封建時代、二百六十年間あった。いや、今度はもうへましたら、あんた、イギリス、フランスの植民地になるばい、何とか打ち破らにゃいけぬ、なら、早く追い付け追い越せだと。彼は書いている。うまいけれども、その
システム、西洋でできた歴史とか哲学に対することは一切理解しようとしないと書いてあるよ。「ベルツの日記」、読んでくださいよ。私ははっと来たんだ。
確かに、今、先生はどういう思想を、経済思想を御存じか、信じておられるかもしらぬけれども、ネオコンという思想がありますよ。それから、大きなのはマルクス・レーニン主義、これイデオロギーですね。これは政治的にはソ連共産党が崩壊して、かなり崩壊してきましたよ。それから、ナチズム。それから、ケインズ、これは資本主義を生き返らせたという話もありますけれども。
今ごろは、やっぱり一九八九年以後は、
世界で一番大きな、
世界戦略をできる国は私はアメリカしか今ないと思っていますよ。圧倒的な経済力、圧倒的な軍事力、圧倒的な情報力を持って、
世界戦略を一国としてやっていける国はアメリカしかありませんよ。一九一八年まではイギリスでしたね、イギリス。だあっとイギリスは圧倒的な軍事力で七つの海に植民地を持っていましたからね。もう経済学者は御存じのように。
ビクトリア循環という言葉は御存じでしょう、ビクトリア循環。まあ少し
質問もせにゃいけませんから。
大臣、ビクトリア循環という言葉を御存じですか、当時の。